修正依頼」が出ています。問題点を追記できる方はご協力をお願いします。

風のクロノア ムーンライトミュージアム

【かぜのくろのあ むーんらいとみゅーじあむ】

ジャンル アクションパズル
対応機種 ワンダースワン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 ナムコ
発売日 1999年5月20日
定価 3,990円
判定 良作
風のクロノアシリーズリンク


概要

1997年発売のPSソフト『風のクロノア door to phantomile』(以下前作とする)の外伝作品にして、風のクロノアシリーズでは初の携帯機作品である。
また、ワンダースワンというハードの制約から、奥・手前の概念が無くなった完全な2Dアクション作品となり、特にパズル要素の強い作品となった。
外伝作品であるため、上記作品のストーリーとはほとんど関わりがないが、前作の開発に携わった多くのスタッフが、引き続き本作を担当している。


ストーリー

どこか、誰かの夢の世界にまよいこんだクロノア。
少女が泣いています。今夜は月がのぼらない?
『不思議の美術館』のゲージュツカたちが、月のかけらを自分たちのゲージュツの中に隠してしまったのです!
月を一人占め? 月を彼らのコレクションにされるなんて、冗談じゃない!
「分かった! 僕がとり返してくるよ!」
月のかけらを取り返すため、クロノアはゲージュツカたちの創った作品世界へ飛び込んでいきます。
でも気をつけて。作品の中はフクザツカイキなパズル世界。
ゲージュツという名のいじわるな仕掛けや謎がたーっぷり!
「我らのゲージュツ、見事解き明かすことができるかな?」
はたしてクロノアは、無事月のかけらを取り戻すことができるのでしょうか…?
(公式ページより引用)


システム

  • 本作は5つのワールドで構成されており、1つのワールドにつき6つのステージ(ビジョン)が存在する。
    • 1つのビジョンには、月のかけらが3つ存在しており、3つすべて入手することでゴールの扉が開かれ、ビジョンクリアとなる。
    • また、その他にも夢のかけらが各ビジョンに30個あり、1ワールド全ての夢のかけらを集めると、ギャラリーで見られるイラストが完成する。
  • 操作は前作同様、方向キーでクロノアを動かし、ジャンプボタンでジャンプ、ショットボタンで風玉を発射する。
    • 風玉を敵に当てると敵を捕らえることができ、捕えた敵を投げたり二段ジャンプに利用したりできるのも前作同様。
    • 一方でクロノアのライフは3つに減少。敵や仕掛けによるダメージを受けても、ハートを取ることで回復できる。
  • ビジョンをクリアするにつれ、ハコやオモリに風、爆発する敵などの様々な仕掛けが増えていく。
    • もちろん仕掛けの位置によっては手詰まりになることもあるが、ポーズメニューから仕掛けをリセットして部屋の始めから再開することができる。
    • また、本体を縦持ちにして進めるビジョンも存在している。操作は横持ちとほぼ同じ。
      • 一度クリアしたビジョンはポーズメニューから縦持ちと横持ちを切り替えることができる。
  • ワールド5をクリアすると、ワールドEXが出現する。これまでのワールドとは打って変わってアクション要素が強い。
    • ビジョンによっては一撃でライフをすべて失ってしまう仕掛けもあるため、これまでのワールドよりも格段にかなり難易度が高い。
    • ビジョン1・2についてはクリアまでのタイムが計測されるため、公式タイムに挑んでみてはどうだろうか。

評価点

  • 携帯機の小さい画面かつモノクロでありながら、『風のクロノア』らしい「独特なファンタジックさ」を感じられる雰囲気は健在。
    • 可愛らしく柔らかみのある画風で描かれた各グラフィック、クロノアとヒューポーといった各キャラの独特な台詞回しも前作から引き継がれている。
      新要素のイラスト解禁もかわいらしいもの、シュールなものなどと色々なものがあり、挑戦しがいのある見て楽しめるものでファンからの評価も高い。
      • 事実、このやりこみ要素は後のアクション系シリーズ作品にもほぼそのまま引き継がれたほど。
    • 音数の限られたワンダースワンの音源を活かしたBGMも良質。タイトル画面のBGMは前作のそれを再現しており、以降はシリーズのお約束となった。
      新曲の曲調はいずれも落ち着いたもので、各ワールドの雰囲気とマッチしたBGMとなっている。攻略中に行き詰っても気に障ることは少ないだろう。
      • もちろんタイトル画面や二段ジャンプ時の「わっふー!」といった、クロノアのボイスは健在。
  • ジャンルは前作から変わったものの、システムや仕掛けは完成度が高いものとなっている。
    • 現に本作の多くの要素は、以降のGBA作品にほぼ弄られることなく使用されている。
  • 難易度が絶妙で、ゲーム初心者でも問題なく遊べる。
    • 決して易しすぎるというわけでもなく、終盤のワールドでは仕掛けが複雑なため、かなり頭を使うこととなる。
    • 上に述べたワールドEXも難しくはあるが、残機を増やすアイテムが大量に用意されているため、繰り返しプレイすることでクリアにはこぎつけられる。
      • タイムアタックや夢のかけら集めといったやりこみ要素もあるため、やりこみ派も楽しめるだろう。
    • ちなみにプレイ中に本体の電源を切ると、直前に入った部屋からゲームを再開することができるというのも、携帯機作品としては有用な仕様であろう。

賛否両論点

  • ストーリーが語られるのは各ワールドの最初と最後だけで、登場人物もあまり多くない。
    • 外伝作品ではあるが、クロノアとヒューポー、雑魚敵を除き前作のキャラは登場しない。前作と違う世界の話であるため仕方のないことだろうが。
      ただし、ストーリー自体は『風のクロノア』という作品のテーマにもピッタリ合っている、やや考えさせられる内容であり、ファンからの評価も高い。
      • 前作をクリア済のファンからすれば、続編が登場したこと・今作のストーリーの時点である種の感動を感じられただろうことは想像に難くない。
  • ステージ数はEXを含めても36と、やや少なめである。
    • ただし1つのビジョンは長めであり、後半に進むにつれ濃厚になるため、そう感じることはあまりないだろう。
    • 一度クリアしたビジョンは縦持ち・横持ちの両方でプレイ可能なため、通常とはまた違う雰囲気でもう一度楽しめるのも大きい。
  • 後半に進むにつれダメージを受けやすくはなるが、回復アイテムが大量に存在するため、まずゲームオーバーにはならない。
    • また、ポーズメニューの仕掛けリセットで、ライフも入室時の状態に戻るのも拍車をかけている。
    • ただライフ・残機は多くとも、パズル要素にはあまり影響を及ぼさないため、初心者救済用のアイテムともいえる。
      • 実際アクション要素の色濃いEXでは、苛烈な敵や仕掛けによってみるみる残機が減っていく。そういった意味では適したバランスとなっている。
  • 発売当時はワンダースワンカラーが存在しなかった為に仕方が無いのだが、グラフィックはモノクロのみ。
    • グラフィックに対するファンの評価が高かった故、ワンダースワンカラーの登場後もカラー対応版が出なかった*1ことを残念がるファンも多かった。
    • 2019年現在にプレイしてみると、ワンダースワンの暗く・見づらく・残像も出やすい画面に少々煩わしさを感じてしまうプレイヤーもいるだろう。
      • ただし、ワンダースワンの最終モデル「スワンクリスタル」では液晶が変わっている為、画面に関する上記の問題点3つは解消されている。

その他

  • ライフが前作に比べて半減した
    • この仕様はクロノアにおけるアクションゲームとしてはG2まで引き継がれることとなるが、Wii版のdoor to phantomileでは6個どころか10個まで増えてしまっており、更にはアンコール版でのイージーモードで15まで増加(ノーマルは原作に沿ったライフ数)。

総評

前作とは趣こそ違えど、綿密に練られたゲーム内容は、制作陣の本作に対する思い入れを強く感じさせられる。
ゲームバランスも前作と同様に程よいため、初心者から上級者まで、様々な人に適した内容の作品となっている。
現在では入手手段の限られるワンダースワンタイトルであるが、見つけたら是非プレイしてみてはどうだろうか。


余談

  • 本作発売からおよそ2年後の2001年3月に、前作のシステムを引き継いだ『風のクロノア2 ~世界が望んだ忘れもの~』がPS2で発売された。
    • 同作のステージの中には本作を強くオマージュしたものがあり、BGMも本作のBGMのアレンジ版・収集要素も本作のとあるキャラとなっている。
  • 一方で本作の基本システムは、上述の通り『風のクロノア ~夢見る帝国~』『風のクロノアG2 ドリームチャンプ・トーナメント』にほぼそのまま流用された。
    • この2作についてはパズル要素よりもアクション要素に重きが置かれた作品となっている。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 1999年
  • WS
  • ACT
  • ナムコ
  • バンダイ
  • 風のクロノア

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年07月05日 15:07

*1 2000年12月から2001年にかけ、各社がモノクロのみだった作品にカラー対応や要素を追加した改良版を幾つか発売しており、本作と同じナムコ製の『ファイナルラップ2000』も、約1年半後の2001年11月にカラー版の『スペシャル』を発売していた。