ブレイブ ストーリー 新たなる旅人
【ぶれいぶ すとーりー あらたなるたびびと】
ジャンル
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ロールプレイングゲーム
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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メディア
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UMD 1枚
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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ゲームリパブリック
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発売日
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2006年7月6日
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定価
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4,800円(税抜)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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256KB以上
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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概要
宮部みゆき氏著作の小説『ブレイブ・ストーリー』を原作とした作品。
以降、原作である『ブレイブ・ストーリー』は作品のタイトルではなく「原作」と表記する。
同日に発売されたプレイステーション2用ソフト『ブレイブ ストーリー ワタルの冒険』(発売元:ソニー・コンピュータエンタテインメント)とニンテンドーDS用ソフト『ブレイブ ストーリー ボクのキオクとネガイ』(発売元:バンダイナムコゲームス)の2作品が原作の追体験、あるいは原作のifストーリーを軸に置いているのに対し、本作は原作の世界観を土台としたオリジナルストーリーとなっており、原作に登場したキャラクターも登場はするが、本作におけるストーリーには大きく関わることはない。
なお、本項では原作の設定や用語に関しての説明は省略するので、気になる方は上記原作タイトル名をWikipediaの項目にリンクさせているので、そちらで詳細を確認して欲しい。
ストーリー
――扉の向こうに行けば、運命を変えられる!
原因不明の病に倒れた幼馴染みの女の子を救うため、主人公は要御扉(かなめのみとびら)を越えて、旅人として幻界(ヴィジョン)を冒険する。
※SCEの本作公式ページのストーリーの項より一部編集を加えて転載。
登場キャラクター
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主人公
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名前は変更可能で、デフォルトネームは「タツヤ」。
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幼馴染みの女の子・「ミキ(デフォルトネーム。変更可能)」を救うために現世からやってきた旅人。
どこにでもいるような普通の少年。ゲームが好きで、運動が得意。
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ユーノ
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宿屋を営む両親と共に、森で狩りをしながら暮らす、ネ族の少女。明るく元気な性格だが、少々強引な上に、早とちりで突っ走ろうとすることも少なくない。そんな性格なので、トラブルメーカーの節もあるが、根は心優しい仲間思い。
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モンスターの群れに襲われていたところを幻界に飛ばされた直後の主人公に助けられてからというもの、半ば強引に主人公の旅に同行している。
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ソグレス
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寡黙で無骨な水人族の戦士。妻を亡くし、4歳になる息子を男手一つで鍛えている。
当人は息子のために強く生きていけるように育てているつもりだが、それが行きすぎている嫌いもあって周囲には理解されず、当の息子からも「自分は父親から嫌われている」と思われてしまっている。強面の面構えとは裏腹に律儀で涙もろい。
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ミレディ
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ワーハディーナのハイランダーを束ねるアンカ族のブランチ長。公明正大、威風堂々、並み居る獣人族の男達からも一目置かれる、男前な性格の女剣士。
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しかし、一度スイッチが入ると自分の立場もお構いなしの猪突猛進な姐御に変身してしまうため、周囲はハラハラしているようだ。
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ロプル
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ルルド天文台は幻界一の碩学、バクサン博士の問題弟子。
万事を理詰めで考え、感情の起伏が乏しい。
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見た目はパン族なのでちっこいが、その態度は尊大そのもの。
物事の先の先を読め、過程をすっ飛ばして結論から述べるため、周りと会話がちぐはぐになることもしばしば。
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レイナート
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シュテンゲル騎士団第一遊撃隊隊長、ロンメルの副官を務める角人族の騎士。
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穏和で丁寧な物腰の美男子だが、その一方でユーモアのセンスやしたたかさも併せ持っている。
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胸に秘めたある思いを果たすため、主人公と旅を共にすることになる。
以上が本作オリジナルの登場キャラクター。
また割愛するが、原作登場キャラクターも中盤に一時加入する。
システム
ブレイブパワー(BP)
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一般的なMPに相当するもので、これを消費して後述の「勇技(ゆうぎ)」や「絆勇技(きずなゆうぎ)」といった技を使用することが出来る。
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BPは敵への攻撃を行うことで回復し、連続で攻撃を行ってブレイブカウントを貯めるほどに、敵により大きいダメージを与えるほどにその回復量は増加するので、積極的に攻撃を行っていくことで強力な必殺技を多用出来る。ブレイブカウントは敵への攻撃以外の行動を行うとリセットされてしまう。
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なお、先述のシステムにより、戦闘中に攻撃をするだけでもかなりの回復を見込めるが、それ以外にもBPの回復アイテムや宿屋に泊まることなどでも回復させることが出来る。
勇技・絆勇技
勇技
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レベルが上がったり、イベントをこなすことで修得することが出来るキャラクターそれぞれの技。攻撃はもちろん、回復や味方の補助などの効果の勇技もある。
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勇技の使用には前述のBPが必要になるが、攻撃系の勇技を使った場合も与えたダメージとブレイブカウントに応じてBPが回復するので、場合によっては消費分をその場で回収することが出来たりする。
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ちなみに、本作では経験値がリアルタイムで計上されるため、戦闘中にレベルが上がることもあり、そこで勇技を覚えた場合はレベルアップの直後から使用出来るようになる。
絆勇技
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仲間と一緒に戦いを重ねて絆を深めていくことで修得出来る、強力な合体技。こちらも攻撃以外にも能力強化など、その種類は豊富。
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発動時は対象のキャラクター全員の技ごとに決められたBPを消費するので、キャラクター全員のBPが足りていない場合は絆勇技を発動出来ず、通常攻撃となる。
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逆に、BPが足りていれば連続して発動することも可能。
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こちらも攻撃系の場合はダメージとブレイブカウントに応じてBPが回復するが、その際BPが回復するのは絆勇技を始動したキャラクターのみとなる。
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なお、絆勇技は特定の2人の組み合わせが多いが、戦闘参加する3人全員で発動するものがある。
エクストラアタック
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残りのHPが僅かの相手に通常攻撃で大ダメージを与えて撃破すると、余勢を駆ってそのまま他の敵にも追加攻撃をすることが出来る。
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これを上手く活かすことで1ターンで2回攻撃が出来ることになり、今までのRPGでありがちだった、弱っている敵に対して必要以上に大ダメージを与えて倒すことに対して、システムとしてオーバーキルにメリットがない限り、「もったいない」と感じてしまうのを解消してくれるシステムと言える。
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ただし、最初に「通常攻撃で」と書いた通り、勇技や絆勇技で弱っている敵に大ダメージを与えて撃破してもエクストラアタックは発動出来ない。
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なお、通常の攻撃とエクストラアタックでそれぞれブレイブカウントが増え、それぞれでBPを回復させることが出来る。
驚暴化(きょうぼうか)
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戦闘中に特定の条件を満たすと、モンスターは驚暴化を起こすことがある。
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驚暴化したモンスターは巨大化し、攻撃力や防御力が劇的に上昇するが、倒すことが出来ればたくさんの経験値とアイテムを入手することが出来る。
そのため、ハイリスクハイリターンではあるが、意図的に驚暴化を起こすことで稼ぎにつなげることが可能。
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全ての雑魚モンスターが驚暴化を起こす可能性があり、その条件も様々だが、モンスターが驚暴化した後は確実に逃げる事が可能となるので、「自信があれば挑戦してみるといい」という類のものであり、決して理不尽な要素にはなっていない。
ブレイブソウル
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ストーリーを進めていく中、特定の条件を満たすことで覚醒するキャラクター固有の能力。
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キャラクターの特性を生かしたものとなっており、攻撃を受けたときに高確率で反撃をするものや、戦闘不能時に一定確率で復活出来たりなどがある。
アクセサリー製作
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モンスターを倒したりダンジョンの探索などで素材を集め、更に各地に散らばっているアクセサリーの製作図(設計図)を入手すると、対応したアクセサリーを作ることが出来る。
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アクセサリーは特定の能力を強化したり、ステータス異常を防いだりといった効果を得ることが出来るので、上手く活用すれば戦闘を優位に運ぶことが出来る。
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また、製作したアクセサリーは解体して素材に戻すことが出来るので、適宜製作と解体を繰り返してやりくりをしていくことになる。
ヴァイン召喚
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ストーリーを進めると、ドラゴンの「ヴァイン」を召喚することが出来るようになる。
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ヴァインを召喚すると、戦いの舞台がヴァインの背中に移り、ヴァインから力を借りることで効果中は戦闘に参加している仲間全員がBP消費なしで勇技・絆勇技が使い放題になる。
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ただし、ヴァインを召喚するには、主人公のBP最大値分全て必要になる。
おためし鳥
ハンチングバード
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ワールドマップ上に点在する特定の場所でプレイ出来るミニゲーム。
あちらこちらに動き回る「おためし鳥」と呼ばれる鳥たちを制限時間の中で出来るだけ多く捕まえるのが目的。
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捕まえた鳥は、制限時間終了後にフュージョン(合体)して一羽の特定の特徴を持ったおためし鳥になる。この捕まえたおためし鳥は下記の要素で使うことになる。
バード交換
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おためし鳥を飼っていると、バード愛好家相手に武器やアイテムと交換出来る。
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一部のレアアイテムはレア種のおためし鳥でなければ交換出来ない。
バードバトル
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世界各地にいる「バードバトラー」相手に、お互いが飼っているおためし鳥を戦わせることが出来る。
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バトルは完全オート進行で、プレイヤーは戦闘に介入することが出来ない。
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バトルに勝利すると、その証として「おためしの羽」をもらうことが出来、これを集めると…。
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なお、ハンチングバードで捕まえたおためし鳥をその後で育成することは出来ないので、強力なおためし鳥が欲しいときはハンチングバードで好成績をあげる必要がある。
評価点
美麗なグラフィック
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PSP初期の作品ながら、そのグラフィックは非常に質が高い。
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特に、戦闘中では演出でキャラクターがアップになる場面が少なくないが、アップになってもグラフィックがジャギーになったりなどしないので、画質などが原因で雰囲気が台無しになることはまず無いだろう。
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ユーザーレビューサイトの投稿の中には下手なPS2やPS3ソフトよりも綺麗だとする意見もあったりする。
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本作のキャラクターデザインは『∀ガンダム』などのキャラクターデザインを手掛けたあきまんこと安田朗氏。
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アニメ映画のグラフィックと単純比較をするのも些か問題はあるが、それと比べても本作のキャラクターイラストの方が原作の世界観に合っていて良いとする意見も出ていたりする。
古き良き時代の王道RPG
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RPGの場合、余計なシステムをゴテゴテに肉付けされて解りにくい作品も珍しくないが、本作の場合はシステムの部分で色々と書いたが、プレイ中にそれを意識する必要はほとんどない。
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徹底的に解りやすさ、ユーザーのプレイしやすさに拘っているのが解る作りとなっており、普段あまりRPGをプレイしないプレイヤーでも十分に楽しめるようになっている。
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それでいて、本筋から外れた部分でのミニゲームなどのやり込み要素もちゃんと用意されている。
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ストーリーも徹底的に王道に則ったわかりやすいものとなっており、取っつきやすくなっている。
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ただし、それは裏を返せば先が読みやすいということにもなってしまうのだが…。
戦闘システム
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攻撃によってBPが回復することもあって、他のRPGにありがちな「雑魚戦ではチマチマと通常攻撃をメインで戦い、ボス戦に備えてMPを温存する」というのをあまり意識する必要も無く、勇技や絆勇技を比較的気軽に連発出来る。
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そもそもの技自体の演出に派手なものも少なくないことも手伝って、爽快感がある。
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本作はランダムエンカウント制を取っており、そのエンカウント率はやや高めな感があるが、この仕様やエクストラアタックのおかげで雑魚の殲滅も苦にならない。
プレイする上での快適さ
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上に書いた余計なシステムを排除している点、そして何よりもPSPの初期作品でありながら、プレイしていてローディングをほとんど感じさせない快適性が高く評価されている。
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PSPソフトの場合、近年ではメディアインストールなどでロード時間を短縮出来ることはあっても、ローディングを感じさせないというほどには短縮出来ないのが多いが、本作は初期作品故にそもそもメディアインストールに対応していないにもかかわらず、ローディングが気にならない程に短い。
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RPGは必然的にプレイ時間が延びがちなので、こういった部分は地味ながらも重要な要素である。
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最初にワールドマップを入手出来、更にワールドマップには次の目的地の範囲まで表示されるので、探索して回る雰囲気はやや薄れてしまうが、目的地が見つからずに詰まってしまうことはないだろう。
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3Dで描写される作品には時として、フィールド上を動くキャラクターが遅すぎてストレスが溜まるといった意見が出ることもあるが、本作の場合は×ボタンでのダッシュ移動が非常に早く、それでいて操作に支障が出るほどではない程度に調整されているため、移動のストレスも少なくなっている。
賛否両論点
低い難易度
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戦闘のシステムもあって、難易度は全体的に低めになっている。
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原作ありきの作品かつ対象年齢を考えると、無闇矢鱈と難易度を高くして敷居を無駄に上げてしまうのも考え物だが、逆にあまりに難易度が低すぎると今度はプレイそのものが作業染みたものになってしまうため、この辺の調整は難しい部分だろう。
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そのため、物足りなさを訴える意見もある一方で、気軽にプレイ出来て良いとする意見も上がっている。
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また、一部の勇技にコストが非常に安いのに対して発揮する効果が強力すぎるという意見もあり、純粋なバランス面で疑問を投げかける意見も出ている。
戦闘の演出
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戦闘中に攻撃が命中すると擬音による演出が挟まれる。
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これは電車内などの消音でプレイせざるを得ない状況でプレイしても爽快感を得られるようにということで導入されているのだが、一部の多段ヒットする技を当てると画面中が擬音で埋め尽くされるといっても過言ではなくなることもあり、邪魔なだけといった意見もある。
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もちろん、コンセプト通りで爽快感の助けになっているという意見も出ているのだが。
問題点
ボリュームに欠ける
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本編ストーリーも20時間前後でクリアした者も多く、やや短めの印象を受けるプレイヤーが少なくない。もちろんロード時間が短く、テンポが良いのもあるが。
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ストーリーの先が読みやすいのに加えてどんでん返しなどに乏しく、良くも悪くもあっさり目になっているため、余計にその印象を強めてしまう部分があるのかも知れない。
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クリア後についてはボリュームは多くないが隠しダンジョンが存在する。
キャラクターボイス
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ストーリー中ではムービーでもボイスが無く、戦闘中にのみボイスが用意されている。
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声優陣もソグレス役の若本規夫氏をはじめとして、実力派揃いとなっているため、戦闘中だけではなく本編中でもフルボイスでプレイしてみたかったという意見も出ている。また、音質も若干悪い。
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「戦闘中だけ喋らせるくらいならいっそボイスそのものを無くした方がマシ」とする意見もあれば、逆に「この位の使い方の方がくどさを感じなくてちょうど良い」という意見もある。
主人公の扱い
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主人公は典型的な所謂「ドラクエ型」となっており、ストーリー中で喋ることがない。
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これは『ドラゴンクエストVIII』でも指摘されたことなのだが、キャラクターが3Dで描写され、場面によって様々な動きをしたりすることもあって、喋らないのが逆に不自然とする意見が出ている。
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『ドラゴンクエストVIII』の場合は選択肢が出ても基本的には「はい / いいえ」なのだが、本作の場合は表示される選択肢に明らかに主人公が活発な性格であることを匂わせる内容のものがあったりすることもあって、余計に喋らないことに違和感を覚えさせる部分もある。
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本作のパーティメンバーがなんだかんだで色々喋ることが多いため、喋らない主人公が余計に浮いてしまっているといった意見もある。
システム面
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エンカウント率の高さはよく言及される部分である。
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戦闘システムもあって、雑魚の殲滅はさして苦痛ではないのだが、エンカウント率が高ければやはり戦闘自体が作業じみてくる上に、基本的に敵は群れを成してやってくるので、時としてプレイがだれてくるといった指摘もある。
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本作ではセーブシステムも「ドラクエ型」に近くなっており、基本的には街の宿屋か、ダンジョン内のセーブポイントでセーブが出来るのだが、ワールドマップ上でセーブが出来ない。
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中盤で主人公がダンジョン脱出や街に戻る勇技を使えるようになるので、電源を切るためにセーブをしたいのにセーブポイントも無ければ、街に戻るにも時間がかかるという状況にはなりにくくはなっているが、それでもやはり、ダンジョン内のどこでもとまでは言わなくても、せめてワールドマップ上でくらいはセーブ出来るようにして欲しかったとする意見も少なくない。
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PSP自体にスリープ機能があるとは言え、携帯機である以上は電池の問題がどうしても付いてくるので、電源を切れる形での中断セーブを用意しても罰は当たらなかったのではないだろうか。
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原作登場キャラクターのアクセサリー変更が出来ない。
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本編中ではあまりアクセサリーが揃っていなかったり、展開上少人数で行動しなければいけない時に加入してくれるため、むしろ頼りになり、(耐性や能力の強化が出来なかったりはするが)これが問題とはならない。
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しかしクリア後でも変更不可であるため、能力こそ強化されているが、耐性や能力の強化が一切行えず、どうしても融通が利かないという問題が。
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致命的なのがミツルで、アクセサリーは一切装備していないので耐性がザル、勇技の追加はなく絆勇技も習得しないままなのでやれる事は同じ、特別能力が高いわけでもない…となっており、使い道が全くない。
勇技による範囲攻撃要員としても、既に役割が被る上にアクセサリーなどの制約がないために何かと融通の利くロプルがいるため、余程のことがなければ入れる理由が無くなってしまう。
総評
ゲームボリュームや難易度、一部のシステムに不満の声は聞かれるが、全体的にはかなり丁寧に作り込まれた作品である。
古き良き時代の王道を突っ走るといっても過言ではないくらいにシンプルで解りやすくまとめられ、かつ、ロード待ちなどの長時間プレイする上でのストレス要因になりかねない部分を徹底的に削っている、ユーザーライクなゲームであると言える。
原作ありきの作品、所謂キャラゲーの場合は元となる作品の旬(例:劇場版の公開に合わせる、など)を逃すことが許されず、どうしても作りが雑な作品となりがちだが、その中にあって、本作はその原作ありきの作品が持ちうるイメージを良い意味で裏切るだろう。
また、原作登場キャラクターも一部で主人公達に手を貸してくれたりといった程度の出番だが、そんな中でも原作を知っていればより楽しめる部分もある。
もちろん、原作を知らないでプレイしていても、最低限の用語は説明されており、原作の知識が無い事がプレイに差し障らないのも原作ありきの作品としては珍しい部分でもあり、同時に評価出来る部分と言えるだろう。
本作は全体的な流通量が多くないのか、中古でも見かけることもあまりなく、あってもプレミアまでは行かずともそれなりの価格を維持していることが多いようである。
加えて、現在に至るまでダウンロード販売などもされていないため、プレイするまでのハードルがやや高めではあるが、PSPで気軽に楽しめるRPGを探しているというのであれば、プレイする価値は十二分にある作品である。
一方で、殺るか殺られるかの歯応えのある戦闘バランスや難解で深く練り込まれたストーリーを求めるのであれば、その辺の要求を満たすことはまず出来ないと断言出来る内容であるので、その場合はプレイ候補に入れるべきではないだろう。
余談
本作のEDスタッフロールの最後には「杉村升に捧ぐ」という一文が入っている。
杉村升(すぎむらのぼる)氏はシナリオライターで、かつては東映の特撮作品(仮面ライダーBLACK、恐竜戦隊ジュウレンジャーなど)で脚本を手掛けていた。
ゲームでは『バイオハザード2』『鬼武者』『ディノクライシス2』などのシナリオで有名。本作発売の前年である2005年に他界。
本作の開発会社であるゲームリパブリックの代表・岡本吉起氏が設立した株式会社フラグシップ(カプコンの子会社、現在は合併消滅)の設立メンバーであり、本作にコメントが載せられているのはそのためであろう。
最終更新:2021年01月23日 05:12