SIMPLE2500シリーズ Portable!! Vol.11 THE パズルクエスト ~アガリアの騎士~

パズルクエスト ~アガリアの騎士~

SIMPLE DSシリーズ Vol.23 THE パズルクエスト ~アガリアの騎士~

Puzzle Quest: The Legend Returns

【しんぷるにせんごひゃくしりーず ぽーたぶる ぼりゅーむじゅういち ざ ぱずるくえすと あがりあのきし / ぱずるくえすと あがりあのきし / しんぷるでぃーえすしりーず ぼりゅーむにじゅうさん ざ ぱずるくえすと あがりあのきし / ぱずるくえすと ざ れじぇんど りたーんず】

ジャンル パズル

対応機種 プレイステーション・ポータブル
Xbox 360 (XboxLIVE ARCADE)
ニンテンドーDS
プレイステーション3 (PlayStation Network)
Nintendo Switch
発売元 D3パブリッシャー
開発元 Infinite Interactive
Vicious Cycle Software (移植・ローカライズ)
発売日 【PSP】2007年9月27日
【360】2007年10月10日
【DS】2007年11月29日
【PS3】2009年10月1日
【Switch】2019年9月19日
定価 【PSP】2,500円
【360】1,200マイクロソフトポイント/1,029円
【DS】2,800円
【PS3】1,500円
【Switch】1,750円
判定 良作
ポイント 単なる『ZOO KEEPER』型ゲームと侮るなかれ
3種類の遊び方で異なる戦略
高いやり込み性と中毒性
純粋なファンタジーだがシナリオはあっさり目
SIMPLE2500シリーズ Portable!!
SIMPLE DSシリーズ


概要

オーストラリアの企業が開発、D3アメリカが販売したフルプライス作品『Puzzle Quest: Challenge of the Warlords』の日本語版である。
タイトル通り、「パズル」と「クエスト」= RPG要素を組み合わせたゲーム。
いわゆる「マッチ3ゲーム」を対戦用にアレンジした上で編成や育成、収集と言ったのシステムが加えられている。

廉価作品または低価格ダウンロードゲームとして、多くの機種で発売されている。
360でダウンロードゲームとして発売の後、2年ほど遅れてPS3でもダウンロード販売された。
廉価作品を扱うSIMPLEシリーズでも、『THE パズルクエスト』名義でPSP/DSのパッケージソフトとして発売(PSP版はVol.11・DS版はVol.23)。
それぞれの機種ごとの違いについては後述する。


ゲーム内容(ゲーム進行)

  • 大きく分けて、ストーリーを進める「クエストモード」とフリープレイ用の「パズルモード」がある。
    • クエストモードの育成はフリープレイと共通である。
    • 機種にもよるが、他プレイとのマルチ対戦も用意されている。
  • クエストモードでは、道で繋がれた拠点を回って依頼を引き受けながらゲームを進行させる。
    • ストーリーに関係するメインミッションと、関係しないサブミッションがある。
    • シナリオ上でモンスターと戦闘になる他、拠点にもエンカウントでモンスターが出現する。
    • 既存のゲームでいうならば、『タクティクスオウガ』『ファイナルファンタジータクティクス』等に近いワールドマップシステムを採用している。
  • 拠点は城や街と、その他の砦や村、ダンジョンなどが存在する。
    • 城や街には店や情報が聞ける酒場があるほか、お金を払って各種施設を建設することで後述する各種育成を行うことが可能。

ゲーム内容(パズル)

  • 本作は『ZOO KEEPER』などで有名な「マッチ3ゲーム」と呼ばれるゲームの応用になっている。
    • 隣同士のマスを入れ替えて、同じものをタテヨコに3つ以上揃えることで消すのが基本となる。
    • フィールドの面積は8×8。時間制限はなく、いくら長考しても構わない。

戦闘について

  • 戦闘は1対1の対戦形式となる。相手のHPを削りきることで勝利。
    • どちらか一方からターン開始、自分と対戦相手とで交互にターンが回る。
    • 自分のターンではマスを入れ替えてジェムを消すか、呪文(後述)を使うことができる。
      • 入れ替えても3つ揃わず消えなかった場合、ペナルティダメージを受けターンは相手に移る。
    • 盤面には4種類の魔法ジェムと、その他の特殊ジェムが敷き詰められている。
      • 魔法ジェム:赤・青・黄・緑の4種類。消すと、その色の「マナ」が溜まる。マナは呪文の使用に必要。
      • ガイコツジェム:消すと相手HPへのダメージになる。よりダメージが大きく、爆風で周囲1マスを消す効果もある赤ガイコツもある。
      • コインジェム、スタージェム:勝利報酬とは別に、消した分に応じてそれぞれお金と経験値を獲得できる。
      • ワイルドカード:どの色のジェムとしても扱えるジョーカー的役割。「×3」などの倍率がかかっており、獲得できるマナはその倍率を掛けた数値になる。
  • その他のルールについて。
    • タテヨコに4つ以上揃えて消すと「ターンボーナス」として、相手にターンが回らず次も自分のターンになる。
      • ターンボーナスで得た自分のターンでまたターンボーナスを取れば、その次も自分のターンになる。ずっと俺のターン!
      • 通常通り3つ揃えた場合も、低確率でターンボーナスが得られる。
    • どう入れ替えても消せない配置になった場合フィールドがリセットされるが、その際には溜めたマナも全てリセットされる。
    • 5連鎖以上が成立した場合、ボーナスとして経験値100が入る。
  • 基本的に自分の次は相手のターンになるので、自分が消した後の状態が相手に有利な配置にならないよう考える必要がある。
    • もちろん消せる場所はある程度限られるが、CPUのAIが割と良いこともあって、チャンスを与えると一気に攻め込まれかねない。
  • ジェムを消す代わりに、マナを消費して呪文を使うこともできる。
    • 直接的にダメージや回復を行う呪文のほか、お互いのマナやフィールド上のジェムを操作するものなど色々ある。
    • 呪文に必要なマナは、「赤6・黄8」のように各々決まっている。呪文のセット可能数は6つに、後述の騎乗モンスターの分1つを加えた7つ。
    • 呪文を使ったターンは基本的に入れ替えは行えない。逆に言えば、ジェムを消すと相手有利になってしまう場合にパスの代わりとして用いることも可能。
    • 詠唱に必要なマナ以上に多くのマナを持っていると、威力にボーナスがかかるものが多い。
      • マナが溜まったらすぐに使うか、よりマナを溜めて威力を上げるかも戦略のひとつである。
    • 呪文はレベルアップのほか、モンスターを捕獲することでも覚えられる(後述)。
  • 主人公は装備品を4部位に1つずつ装備できる。それぞれの装備品によって効力を得られる。
    • 例えば「被ダメージ時相手に1ダメージ反射」「呪文を唱えた際に緑マナ+1」など。
    • 装備品を付けているのは敵モンスターも同じ。敵専用の強力なものもある。

その他のミニゲーム

  • 3回以上倒したモンスターと戦う際は、戦うのではなくそのモンスターを「捕獲」できる。
    • 捕獲は対戦ではなく、問題型のパズルを解いて行う。あらかじめ配置されたジェムを余らせず全消しできたら成功。リトライは何回でも可。
    • パネルでポン』のパズルモードなどが比較的近いと思われる。
  • 捕獲したモンスターは、「呪文を習得できるタイプ」か「フィールド上で騎乗できるタイプ」に大別される。
    • 呪文を習得する場合は、ひたすら1人でジェムを消す耐久モードをプレイすることになる。
      • 特定数のジェムを消せればクリアだが、その前に動かせるジェムが無くなる「詰み」状態になると失敗。呪文ごとにノルマとなるジェムの数は異なる。
      • ジェムを4つ以上揃えて消した場合のみ出現する「マキモノ」ジェムも特定数消す必要があるため、難易度はかなり高い。
    • 騎乗タイプのモンスターは、騎乗することでそのモンスターの呪文を1つ使用できるほか、フィールド上のエンカウントを回避することができる。
      • ただし、騎乗モンスターのレベルを上げて、エンカウントするモンスターより高くしておかなければならない。
      • レベル上げは、その騎乗モンスターと戦闘することで1つ上がる。このモードのみ制限時間があり、レベルが上がると制限時間は短くなる。
      • 騎乗すると、そのモンスターに乗ったグラフィックになる。巨大ネズミやらクモやらに騎乗するとシュール。
  • それぞれの拠点では、モンスターを倒すことで「ルーンの収集」か、「城・街の制圧」を行うことができる。
    • 城・街以外の拠点では、ルーンを守る特定のモンスターを倒すと、アイテム合成の材料となるルーンが手に入る。
      • ルーンを守るモンスターは、非常に強力な装備品である「ルーンの鍵」「ルーンの学書」を装備しているため、一筋縄ではいかない。
    • 城・街では、「城」と戦闘して勝つことで自分のものにでき、その拠点から定期収入を得ることができる。
      • 城も強力な装備品を持っており、勝つのは難しい。
      • シナリオ上「それ制圧しちゃっていいの?」というような場所も、平気で制圧できてシュール。

評価点

  • とにかくできることが多彩で、やりこみ甲斐がある。
    • 単に依頼を引き受けてモンスターを倒すだけでなく、モンスターの捕獲からの呪文習得・育成、ルーン収集からのアイテム合成、城の制圧と色々できる。
    • 呪文や装備品のセットには、カードゲームのデッキ編成のようにコンボを考えて組む楽しみがある。
  • RPG方面だけでなく、パズルとしてもマッチ3ゲームをうまく応用したゲーム性は優秀。
    • さながらオセロや囲碁・将棋などボードゲームのように、同じフィールドを敵味方で使う対戦パズルゲームはある種独特。
    • 敵AIは割としっかりしており、先を読む力はないがターンボーナスやドクロ・ワイルドカードなどをほぼ的確に活用してくる。
      • 「特定のジェムを溜めて大技を使う敵」「ステータス異常を駆使する敵」など、敵ごとの戦闘コンセプトも割とはっきりしている。
    • 同じマッチ3型のパズルでも、対戦・詰め・耐久と3種類の遊び方を提供しており、各々異なる頭の使い方が求められる。
  • 古典的ファンタジーの趣を強く残した世界設定とストーリー。
    • エルフ、ドワーフ、オークなどといった種族抗争のあるベタなファンタジー世界は、新鮮味こそないが安心感がある。
    • サブキャラクターも、それぞれに個性は設けられている。サブミッションでは各サブキャラに関するシナリオもある。
    • 一部のサブミッションには分岐がある。政略結婚を嫌がる姫を、父親の依頼通り送り届けるか、本人の希望通り逃亡させてやるか、など。
      • オートセーブなので、この辺りの駆け引きにはスリルがある。
  • 1戦1戦が3~5分程度あればだいたい終わるので、ちょっとした暇にも遊べる。
    • 特に携帯機でプレイする際には、この手軽さはありがたい。

賛否両論点

  • 序盤は攻撃スキルなどが使えず地道に攻撃して敵を倒すしかない為、戦闘が若干長引く。
    • とは言え本当に最序盤だけなので、そこさえ我慢すれば後はどうにでもなる。
  • ストーリーはテキスト量が少なく、あっさりめの作り。
    • 節々で世界観の表現やキャラ立ちはされているが、全体的には単なるお使いの繰り返しという印象が強い。
    • サブイベントでは仲間やサブキャラと絡む機会もあるが、演出やテキスト量など肉付け不足感は感じられる。
  • ゲームが進行することでシステム上追加される点があまりないため、終盤になると若干だれることはある。
    • スキルや装備品によって効率はよくなっているものの、終盤は敵味方双方のHPが多く序盤とは別の意味で戦闘が長引くことも。
    • 終盤では、ミッションもあまり凝ったものは見られなくなるのも寂しい。

問題点

  • ローカライズを在米企業のVicious Cycle Software社が担当しているせいか、翻訳が拙い部分が少々見られる。
    • 会話についてはあまり問題ないのだが、改行が変な所で切れていることが多く、読んでいて違和感を感じやすい。
    • 一番問題になるのは呪文やアイテムの説明文で、直訳したせいで妙な文章になっている点が多々ある。
      • 例としては「2以上のダメージを受ける度に1防御する確率が50%増加*1」等。
      • 捕獲したモンスターとの戦闘時に出現する制限時間の数字が間違っている等、プレイヤーを混乱させる誤った情報まである。
    • 冒頭の「訪ねる ⇒ 尋ねる」を始めとして、「ステータス以上」等、単純な変換ミスも若干見られる。
    • スタッフロールによれば、訳者は日本人。ただし1名しかおらず、チェック機能が働いていなかった可能性はある。
  • しばしばフリーズがある。
    • プレイ時間が長くなると発生しやすい模様。時間こそ僅かだが頻繁に読み込みが入るため、その辺りが影響していると考えられる。
    • オートセーブなので大きな被害を受けることはまずないのが不幸中の幸いだが、当然気持ちのいいものではない。
    • 読み込み関連では、読み込みの際に音が切れるのも残念。
  • インターフェースに若干不親切な点がある。
    • アイテム合成だったら作成結果を見られなかったり、モンスター捕獲時のパズルだったらリトライボタンが無かったりなど。
    • アイテム欄などを送る際も、高速でカーソルを動かせないので数が増えてくると若干うっとうしい。
  • 音楽がゆったりめのものばかりで緩急が感じられず、曲数も少ない。
    • 雑魚戦のBGMはワールドマップの曲より眠くなるようなものすら有る。
    • 質自体は平凡なレベルに収まっているためそういう作風と納得したいところ。
    • ボス戦の曲はなかなか勇壮なのだが、前の曲が終わるまでBGMが切り替わらないことがあり、聞く機会が少なくなってしまっている。

総評

基本的なパズル自体は知名度の高い単純なものだが、バリエーションとRPG要素の肉付けが面白さを高めている。
この手のジャンルを得意としていなくても入り込みやすいルールながら、適度な戦略性もあるためバランスもうまく保たれている。
育成要素はハマるとあと1戦だけ、あと1戦だけと、やめるにやめられなくなる魅力がある。

元がフルプライス作品の移植なので、低価格ながらボリュームに関してもそれなりのものが用意されている。
パズルゲーム好きもそうだが、育成ややり込み好きなプレイヤーに特にオススメしたい快作である。


各機種間の違い

PSP版

  • 2007年9月27日発売。日本での初出で、パッケージ版なので追加要素などはなし。
    • ロードによる音飛びがかなり気になるレベルだが、あとは機種特有の問題はない。携帯機として本作との相性も良い。

360/PS3版

  • 360版は2007年10月10日、PS3版は2009年10月1日発売。新職業や新ミッション、新モンスターなどが収録された追加コンテンツをダウンロードできる(PS3版は最初から収録)。価格も安い。
    • 一方で、ロードやフリーズ関連の心配は少ないが、文字表示が非常に小さいため、大きなテレビや解像度の高いモニタで無ければシナリオや説明がかなり読みにくいのが大きな難点。

DS版

  • 2007年11月29日発売。ハード制約によりグラフィックの質がやや落ちていたり、キャラクター保存数が制限されていたりとクオリティが落とされている。
    • 改行や一部の訳が修正されているが、アイテム名が微妙な訳に変更されている、アイテム関連でフリーズが増えているなど改悪も若干ある。

Switch版

  • 2019年9月19日発売。Switch向けにHDグラフィックスでリマスターされ、100個を超える新しいクエストと新しい5種類のクラスが追加。

余談

  • DS版の公式サイトでは体験版が手に入った。
    • ダウンロード版とFlash版があるが、Flash版は戦闘部分しか収録されておらず育成部分に触れられない。
  • DS版は2度発売が延期されている。
    • Vol.23なのに、Vol.25の『THE 交渉人』より発売が遅いのはこのため。

続編・派生作品

  • 『パズルクエスト:ギャラクトリックス』(PS3/360 2009年10月1日発売)
    • 宇宙を舞台にしたスピンオフ。本作ほどの評価は得られていない。
  • 『Puzzle Quest 2』(DS/360/Win/iOS/Android 2010年発売)
    • ナンバリング第2作。直接の続編だが日本未発売。
  • 『マーベル・パズルクエスト:ダークレイン』(iOS/Android 2013年12月20日配信 One 2016年2月5日発売)
    • マーベルのスーパーヒーローを使ったスピンオフ。基本プレイ無料で、スマホにて日本語版が遊べる。
    • 2016年にはOne版もリリースされているが、こちらは有料の買い切りゲーム。
  • 『Puzzle Quest 3』(Win/iOS/Android 2022年3月2日配信)
    • ナンバリング第3作。本編としてはシリーズ初の基本無料タイトルで、日本語にも対応している。
    • 舞台は初代『パズルクエスト』から500年後の「エセリア」の地。ドラゴン等の新しい脅威から王国を救う為にヒーロー達が招集される。
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最終更新:2023年02月15日 16:27

*1 「50%の確率で、2以上のダメージを1減らす。」の意。