アヴァロンコード

【あゔぁろんこーど】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 マーベラスエンターテイメント
開発元 マトリックス
発売日 2008年11月1日
定価 5,229円(税込)
判定 なし
ポイント 非常に異質なRPG
かなり好みが分かれる


概要

  • マーベラスエンターテイメント(現:マーベラス)が送るアクションRPG。滅び行く世界を舞台にした、一風変わったRPGである。

システム

  • 見下ろし型の3DアクションRPGで、主人公は「預言書」という不思議な書物の担い手に選ばれた少年or少女(性別と名前はゲーム開始時に選択可)。この預言書は世界が滅びる時に姿を現すという伝説の本で、その役割は世界を救う…ではなく滅んだ後の次の世界に残すべき物を記録することがその役割である。
    • この「記録」という作業が本作の中心となる。「コードスキャン」というシステムで、一部の特定状況下をのぞきあらゆるシーンでBボタンで発動でき、預言書を対象物に押しつけることでその対象物を預言書に記録できる。対象となるのは、一般人からモンスター、武器防具などのアイテム、その辺に咲いている花まで様々。モンスターの場合は隙を突かないとスキャンできないことが多い。
      • コードスキャン自体には特に対象に対する影響はない。スキャンした後が重要である。
    • より多くの場所に向かい、より多くのものをスキャンすると、預言書に経験値が入り成長していく。成長すると「フューチャービジョン」というニュースのような情報を得られ、サブイベントが発生する。
  • スキャンした相手には「メンタルマップ」という3×3のマップが付随している。ここには「コード」と呼ばれる様々な要素が配置されており、自由に組み替えることで対象に影響を及ぼせる。メンタルマップは預言書の成長に伴い拡大していく。
    • 例えば、単なる「ソード」に「鉄」や「銀」などのコードを入れて斬れ味鋭くしたり、モンスターに「病」のコードを入れて弱体化させるなど。
      • 各地の石版からは「メタライズ」という特別な要素をスキャンできる。これは言ってみればアイテムの設計図であり、指定されたアイテムに指定されたコードを組み込むことで、より強力なアイテムに変換できる。例えば同じ「刀」という素体でも銅×4、魚×1を組み入れると「シミター」、鉄×3、蛇×3を組み入れると「ショテル」といった具合に武器の性能が大きく変化する。
        ちなみにメタライズは設計図であると同時に作成許可証のような扱いでもあり、これがないとコードの組み方だけ知っていてもアイテムは作れない。
      • 武器のみ「最適の通り名」という概念があり、同じ武器でも組み込むコードによって武器の頭に付く通り名(歴戦の~、闘士の~など)が変わり、これを最も相性のいい通り名にすることで理想的な性能を発揮できる。これはその武器のメタライズとは別の場所でスキャンできる石版から入手できる(元の武器のメタライズを入手していないとスキャンできないパターンが多い)。
    • 新しいコードはスキャンした対象に最初から配置されているものを使い回すのが主になる。花は例外としてコード一つだけでメンタルマップがなく、コードを外すと二度と再配置できない。
    • なお、本作に「消耗品」という概念は存在しない。全てのアイテムはスキャンしておけば預言書から生み出せるからである。アイテム使用の際は代わりにMPを消費する。
  • 戦闘は両手に持った武器で行う。両手それぞれがXYボタンに対応しており、それぞれ個別に武器を装備できる。両手持ち武器といった概念はない。武器は剣、ハンマー、爆弾、飛び道具、素手の5種類。各武器ごとにボタン長押しで発動できる奥義がある。
    • それぞれの武器ごとに流派レベルがあり、使い込むことでレベルが上がってより高性能になる。
    • これ以外に盾を持つことも出来るが、これは敵にダメージを与えることが出来ず流派レベルが存在しない。
    • 「ジャッジメントリンク」というアクションがある。これはAボタンで発動し、目の前の敵を打ち上げ無防備な敵を連続で攻撃してより高く打ち上げるというもの。右手と左手それぞれでコンボを決めることが出来、同じ手でひたすら攻撃するとより高く打ち上がりダメージも大きく、違う手を交えて攻撃すると低く打ち上がりダメージが小さくなる。その代わり、相手の体力が尽きにくくなるのでコンボ数は増える。
      • 操作を間違えない限り、この間相手の抵抗は一切無いので完封可能。ただし、ボス級の敵には効かず、発動中は自分も動けないので他の敵に殴られることはある。
      • これで相手を倒すとMP回復アイテムとお金に相当するミスティックジュエルがもらえる。本作におけるメインのMP回復手段である(自宅で休んでもMPは一定値までしか回復しない)。
  • ダンジョンは部屋ごとにミッションが定められており、これをクリアすることで先に進める形式。ミッションには敵の全滅やスイッチの起動など様々なものがある。
    • より早くクリアしたり、サブミッションをクリアしていくとより高得点。得点は預言書の経験値に加算される。部屋によっては一定以上のスコアを獲得して金メダルをゲットすると、石版が出現することもある。
      • なお、ボスも含めて全てのミッションは後から再挑戦可能である。

評価点

  • 独特な世界観と登場キャラクターは評価されている。
    • 正統派ファンタジー風の世界観だが、滅びの確定した世界という独特な発想が良い。登場キャラクターも多彩で、エキストラキャラ以外のほぼ全てのキャラクターに個別イベントがある。またプレゼントをあげて仲良くなることもできる。
      • また、登場人物のほぼ全てとジャッジメントリンクバトルというミニゲームを遊べる。これは上述のジャッジメントリンクを対戦形式にしたもので、いってみれば簡易版バレーボール。実は全てのキャラクターに必殺技使用頻度など個別のAIが設定されており、これだけでもなかなかの作り込み。
    • 一見ほのぼの系の世界観だがストーリーは相当シビアでハード。
      • 中盤、主人公が英雄扱いから一転、街を破壊したテロリストとして糾弾される場面などかなり凄惨。今まで善良な隣人として接してくれていた街の住人からの非難は相当心に刺さる。ストーリー的にも、預言書を奪われてしまい難易度の跳ね上がるシーンである。
  • アクションとしてはなかなか骨太で、手応えのある難易度。
    • 雑魚敵ならどんな相手でもジャッジメントリンクで確実に勝てるが、ジャッジメントリンクを当てる隙の少ない相手も多く、苦労する。
    • コードを組み替えて病のコードをありったけぶちこめば、HPが減って弱体化するのでアクションが苦手でも安心。病を入れなくとも銅や金などの鉱石系コードを外すだけでもHPをかなり減らすことができる。終盤の相手の場合、HP5000~6000に対して病1つで50しか減らせないので、ここまでくるとやや厳しいが。
      • 逆にジャッジメントリンクでの記録を狙うならばあえて鉱石系のコードを大量に入れて、相手の体力を増やすこともできる。
      • 一部のモンスターは「無敵」という最強のコードを持ち絶対に倒せない。コードを組み替えて特定の条件下に置けば無敵を外すことも可能。条件はコードスキャンすれば読むことが出来る。
    • 各武器にはそれぞれ個性があり、使い勝手が全く異なる。両手にどのような組み合わせで武器を持つかによっても戦い方は変わってくるので、自分の好みの戦闘スタイルで戦える。
  • システムとして親切な面など。
    • 預言書に宿る精霊からヒントを聞く機能がある。4人の精霊でヒントが異なり、聞く度にその精霊との好感度も上がるので積極的に聞いた方がいい。
  • BGMも耳に残る印象的な楽曲が多い。そのフィールドの雰囲気に合わせたBGMの数々はよく出来ている。

問題点

  • コードの管理が非常に面倒。
    • コードのうち手元にキープできるのはたった4つ。それ以外のコードはキャラクター、モンスター、アイテムのメンタルマップに保管しておく必要がある。保管専用の場所などは存在しない。
      • いじりたい先のメンタルマップが既にいっぱいで、手元のコードも4つ全て埋まっている場合、まず手元のコードを適当な場所に置いてから作業する必要がある。
    • コードの検索機能がない。欲しいコードがあったら、膨大なページを一つずつめくりながら探す羽目になる。
      • 攻略本などでは、「ストーリー上いじる必要のないエキストラのページなどを、コード保管庫として活用しよう!」などという何か間違った管理方法が推奨されている。
    • 武器や防具のメタライズを記憶しておく機能はなく、組み替えたら元に戻すのはまた手作業。前述の仕様と合わさって同じ素体からなる複数の武器を使い分けるのは非常に難しい。
    • またコードを動かす度にほんのわずかだがMPを消費する。仮に中途半端な状態でMPが切れると、MPを回復するまでコードが動かせなくなる。
    • 預言書のページジャンプは、目次から大ざっぱなジャンルまでしか飛べない。そこから先のページ探しは手動になる。
      • 種類の少ない武器・防具・アイテム、住んでいる場所ごとに分けられている登場人物、マップ画面上のアイコンから直接ページに飛べるモンスターはともかく、種類が莫大なくせに「武器」「防具」などの大ざっぱなジャンルでしか飛べない石碑とワープ機能を使う際一々手間取るマップは深刻。一応しおりはあるが、これは前述の精霊が宿った物なので4枚しか使えない。しかも一度預言書を失った後、精霊を一人ずつ解放する過程では使えるしおりの数が減ってしまう。
  • パッケージなどでは「恋愛要素がある」とプッシュしているが、実際はかなり中途半端。
    • 攻略対象は男女別で5人ずつ。ただし、ストーリーの都合上女主人公だと、ストーリー中盤までに3人しか出会えない(男だと4人)。
      • ひたすら相手の好きなプレゼントを渡していくと勝手に好感度が上がり、デートイベントが起きる作業ゲー。イベントそのものはなかなか奥が深いが、恋愛対象同士の嫉妬イベントなども起きず、二股、三股もできてしまう(一応他の相手にプレゼントを渡すと好感度が下がってしまう)。
      • また、中盤までの段階で一番好感度を上げていた対象がイベントでいなくなってしまい、コードをいじれなくなってしまうという弊害がある。貴重なコードを入れているとメタライズにかなり支障が出る。
    • プレゼントをあげると当然MPを消費するが、前述の通りMPの回復手段は限られているので、MPが尽きたらモンスターと戦う羽目になる。街からモンスターの生息場所はどれも微妙に遠いので厄介。
  • 「調べる」と「ジャッジメントリンク起動」が同じAボタン。
    • 本作ではマップ上に「調査ポイント」というものが設定されており、これを調べることでも預言書の経験値が貯まるようになっている。また調査ポイントを全て調べると、石版が出現するマップもある。
      • つまり、事前の攻略情報が無かった場合、ひたすらジャッジメントリンク起動技を発動しながらマップ中をうろうろする羽目になる。ボイスもモーションも非常に鬱陶しい。
      • 調査ポイントもわかりやすいかと言えばそうでもなく、何の変哲もない場所が調査ポイントになっている例も多々ある。判定も小さいので、攻略情報があっても厳しいことも。
    • 本作ではLとRがどちらも同じ機能(回避)である。どちらかを調査かジャッジメントリンクに割り振ればこんな手間はかからなかったのでは…?
  • 一部のメタライズは、なぜかパズルを解かないと使えないようになっている。
    • パズルと言ってもよくある3×3、4×4、5×5のスライドパズル(メタライズごとに固定)だが、この手のパズルは決まった解法があるものの苦手な人はとことん苦手なので理不尽。
      • 終盤手に入る強力なメタライズは当然のように5×5のオンパレード。ただし、このパズルは4×4が解けるならその応用で5×5も同じやり方で解けてしまうので実は難易度は変わっていなかったりする。
    • 一部の武器は対応しているメタライズがやたら少ない。斧や銃、ボウガンはたった2種類(最適の通り名と元の素体含めて5種類)である。一方で剣系の武器はどれも大量のメタライズが存在するので、こちらはこちらで前述のように使い分けるのが大変。
  • ダンジョンの仕掛けは基本的に一つの部屋だけで完結しており、細かいトラップを次々と解いていく形式になっているため、やや単調。ダンジョン全体に影響を及ぼすような大がかりな仕掛けはない。
    • 仕掛け自体もそこまでバリエーションがあるわけではない。
  • データ引き継ぎの2周目が存在しない。男と女で大分内容が変わるので、配慮して欲しかったところ。
    • データも一つしか作れない。やり直すには今までのデータを消す必要がある。
  • 取り返しの付かない要素など。
    • ストーリー中盤のデートイベントは、こなさずにシナリオを進めると二度と見れなくなる。当然全員分確認したければ浮気必須
    • 武器の流派伝承イベント。このイベントで選択した武器だけが流派レベル15まで成長する(他は10)。各武器の個性が強いので、選び直せないのはなかなか痛い。
  • バグが多い。フリーズバグやサブイベントが進行しなくなるバグなど。絶対回避不可能というものは確認されていないが。

総評

システムは非常に独創的で、世界観もすばらしい。
ただ、全体的に不親切な面が目に付くのが痛い。特に目玉のはずの預言書関連は練り切れておらず、せっかくの個性的な要素が邪魔にもなっている。
もう少しきちんと作り込めば傑作になった可能性もある惜しい作品である。

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最終更新:2023年06月26日 15:53