遊☆戯☆王 モンスターカプセルGB

【ゆうぎおう もんすたーかぷせる じーびー】

ジャンル タクティカルRPG
対応機種 ゲームボーイカラー(全GB共通)
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメント札幌
発売日 2000年4月13日
定価 4,500円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 良作
遊☆戯☆王シリーズ


概要

遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』『II 闇界決闘記』に次ぐGB3作目の遊☆戯☆王ゲーム。
前2作はカードゲームだが、本作はモンスターカプセルを戦わせるRPGである。

舞台はDEATH-Tおよびモンスターワールド終了後から始まるオリジナルストーリー。
千年リングが心身喪失状態の海馬に取り付くことから物語は始まる。


評価点

ストーリー

  • 全体的には原作にあった「モンスターワールド」と「カプセルモンスター」を組み合わせたような世界観。大まかに分けると現実世界でダークマスターのいるダークフロアに入るためにスターチップを規定数集め、手持ちのモンスターカプセル(以降MC)を強化するパートとその後ダークマスターの用意した仮想世界内で冒険者となり問題を解決していくパートに分けられる。
    • 仮想世界でのストーリーは各階層で繋がりはなく、計5つあるがどれも非常によくまとまっておりなかなか出来がよい。
      • 世界内でハーピィレディや時の魔術師などが登場人物として登場するのもうれしい。
  • BGMは全てゲームオリジナルのものだが、雰囲気とマッチしており特にボス戦のBGMは燃える。
    • また作中で度々出る原作風のカットも出来がいい。

登場キャラクター

  • 遊☆戯☆王連載初期のキャラクターがかなり多く登場する。王国編以降完全にカードゲーム漫画になって以来全く出番のなくなったキャラも多く、昔からのファンにとっては「こんなキャラいた!!」と驚くこと請け合い。全員の名前が言えたら、完全にフリークと呼ばれても遜色ないレベル。
    • ただ、王国編からもバンデット・キースやペガサス等をはじめ多くが登場しており(というかダークマスターの多くは王国編のデュエリスト)、キャラの積み込みと捉えることもできる。
      • なお、本作の発売はDMの放映前のため海馬の髪の毛が緑色等キャラの造形はテレビ朝日(東映)版準拠となっている(ただし、テレ朝版でレギュラーだった野坂ミホは登場しない)。

システム

  • 戦いは6×6のフィールドで行われ1マスごとにフィールドが用意されている。最大で4体のMCを出せ、1ターンにつき1体のモンスターを動かして移動や攻撃を行う。MCがフィールド上に1体もいなくなったら負けとなる。
    • 攻撃の成功はダイスによって決定し、命中率よりも出た目が低ければ命中となる。ただし、命中率100%でも95以上の値を出すとファンブルとなり自滅。0%でも一桁台を出せばクリティカルで2倍ダメージ(00ならスーパークリティカルで3倍ダメージ)となる。
    • 命中率や威力はフィールドパワーソースや敵が他の味方が攻撃可能な範囲にいることによる支援効果でも上昇する。
    • バトル以外にもルート選択等全ての物事はダイスによって決められる。

モンスター

  • 使えるMCはトリガンやモグリンといった原作でもカプモンとして登場したもののほかに青眼の白龍やブラック・マジシャンといった本来ならばDMに登場するモンスターもおり、なかなかの数。
    • それぞれにステータスの上昇率や技の範囲が定められており、勿論強いもの程レアリティも高い。
      • 各階でレア設定されているMCはいずれも強力なものばかり。特に2Fでまれに入手できるラーバモスは根気よく育て上げれば今作最強のMC完全究極態グレートモスに進化できる*1
      • 後述のチートマシーンを使わないなら2Fで炎の剣士、3Fでバロックスやゾンビシリーズ(正確には進化させるとゾンビ化するだが)、4Fで暗黒騎士ガイア、5Fで二頭を持つキング・レックスやカースオブドラゴンなどを手に入れておくと楽になる(いずれも技が強力&能力が高い)
    • 特定のMCは決められた一定レベル以上になると進化カプセルを使うことで上位ユニットに進化が可能(例:ビートン→ハイパービートル)。進化直後はレベル1となり能力値は進化前の半分となるが、上昇率も良いため最終的な能力値は進化前を大幅に上回る。勿論、進化前の能力値が高い方が初期能力値は高くなるため、よりこだわるなら上限であるレベル50まで育てた方がよい。
      • 技の中には直接攻撃のほかに敵を弱体化させたり、動きを封じたりするタイプのものがあるほか、出すだけで特殊効果を出すドラゴンを封じる壺、それを無効化する壺魔人もいる。
  • 小さいながら、再現度は高くグラフィックはかなり頑張っていると言える(これはキャラにも言える)。

問題点

システム面

  • 仮想フィールドで発生するエンカウントが不安定。仮想空間のエンカウントは○歩歩くごとに○%といったようにダイスによって決められる*2
    • このため、運がいいと敵が全く出ない。逆に悪いと毎回毎回引っかかることになり、プレイヤーによる調整が全くできない。
      • ダイス判定とエンカウントにはタイムラグが存在するためセーブ&リセットにより、引っかかったらリセットを繰り返せばエンカウントを避けることは可能。
    • 逃走なども不可能であり、リセットによるエンカウント回避を使わないのであれば雑魚との戦闘が煩わしくなる。現実世界と異なり倒しても経験値しかもらえず、高レベルになるほどもらえる経験値が減るシステム上仮想空間で雑魚との戦闘をするメリットも薄くなってしまう。
  • 仮想空間のフィールドは広い上に行き止まりまである。前述のエンカウントの仕様から探索はかなり苦しい。STAGE3は同じ場所を行ったり来たりさせられるため、さらに苦しい。
    • それでいてアイテムは行き止まりに置いてあることがほとんどという意地の悪い仕様。アイテムを無視すればより早く進めるが、仮想空間は一度クリアすると二度と入れなくなるため、アイテムを捨てるには惜しいものがある。
    • 一部ステージにはお使いイベントを消化するために行ったり来たりを繰り返すものもあるためアイテムを無視してクリアする場合でも戦闘によって時間はかなり掛かる可能性もある。
  • MCは仲間のものを除いて一度倒されると例外なく消滅する。
    • 加えて、消滅しない仲間をモデルにしたMCは初期レベルが1で上昇率も良くないためあまり実用的でない。
    • そのため、ボス戦で今まで苦労して育ててきたモンスターが一瞬で消えることもざら。
    • 現実世界においても名ありキャラの中には隣接しただけで強制バトルになるキャラもおり、その階層に上がった直後にそれをやってしまうとかなり辛い。
      • ただし、次の階層で手に入るMCはその一つ下の階をクリアした時のMCのレベルと殆ど同一でしかも質も高いため、たとえ手元に1体しか残っていなくてもそれほど心配することもない。
      • しかし、この仕様のため1階で手に入れた思い入れのあるMCを最後まで使い続けるというのは不可能ではないものの、かなり難しい。
  • 戦闘で得られる経験値が一律で最大レベルのMCに合わせた値となる。そのため、1体でもレベルが高いと微々たる経験値しか入手できない。逆に言うと低レベルのMCのみで高レベルとのバトルに勝利すれば、一気にレベルが数十も上がる。
    • 進化直後のレベル1を使わなければまず勝てないだろうが。
  • 200個しかMCを持てない。一見多そうだが終盤になると全く足りない。だぶついたものなど余計なものは捨てるしかない。
  • 技レベルによって攻撃範囲が全く異なるものになったり、攻撃技からダメージを与えられなくなるサポート技になったりするモンスターがいくつか存在する。もちろん技カプセルを使うかどうかは自由だが、事前に調べていないと折角育てたモンスターが扱いづらくなってしまうこともある。

難易度

  • 仮想空間ではMCの補充ができず、ボスが強いこともあり攻略本なしでは中々きつめの難易度。
  • 特にSTAGE2と5はかなり辛い。
    • 前者は一体ランダムでユニットが奪われ、主人公の目的地までのルートによって敵の強さが変わる。最強レベルになるとほぼ積み状態といっても過言ではない。
      • ユニット強奪は少数精鋭で進める程ダメージが大きく、ルートに関してはダイス運が絡む。
    • 後者は単純に強い。ここまでくればそれなりに強力なMCを所持しているはずなのだが、それを一撃で消し飛ばすほどの性能を持っており、運に頼らざるを得ない部分を持っている。
      • ステージも相手に圧倒的有利なフィールドに設定されていてしかも攻撃範囲、攻撃力も狂っているの一言。並のMCだと命中すれば一撃で消し飛ぶなど日常茶飯事。
    • 3Fにおいて、ある条件を満たすと本来ならED後しか使用できないはずのカプセルマシーンが使用可能だが、それで強力なMCを入手してようやく少し楽ができるくらいのバランス。
      • ちなみにこのカプセルマシーン、全て各階で相当苦労しないと入手できないMCばかり出てくる、まさにバランス無視のチートマシーンである。
      • しかもこのカプセルマシーンでしか出ない激レアMCも複数ある。遊☆戯☆王シリーズでお馴染みのモンスター達もこのマシーンでしか出ない。

その他

  • 本作でのバトルをデュエル*3と表現している(主に王国編のキャラだが)キャラが存在している。本作のバトルはM&W及びデュエルモンスターズで行う物ではないため不適切である。本作のカプセルモンスターを使って行うゲームもデュエルと呼ぶ可能性があるが、いずれにしても違和感がある。ちなみに原作はカプセルモンスターを使うゲームをカプセルモンスターチェスと呼んでいたが、本作のバトルとはルールが異なる。これにより本作では原作で見せたカプモンの活躍が再現出来ない。
  • 戦闘中は戦闘相手の台詞によって進行するため、こちらが操作しているプレイヤーキャラであり主人公でもある遊戯は喋らない。仮想空間ではダークマスターが進行役なので多少違和感は薄れるが、現実世界でもこちらのモンスターの技名まで相手が呼ぶのはどうなんだろうか。
  • キースのモンスターが一体も収録されていない。
    • 原作でカードバトルをしていないキャラはともかく、カードバトルをしたキャラにはそのキャラが使用したモンスターが最低一体は収録されているのだが、なぜかキースのみ例外。ゲーム中に登場しない迷宮兄弟のモンスターも収録されているというのに。

ED後

  • ED後のやり込み要素が少ない。
    • 本編が終わると二度と仮想空間の中には入れず、ひたすら対戦用にモンスターを収集しレベルを上げる作業しかない。
      • 一応本編終了後にしか手に入らないモンスターはそれなりにいる。
      • ED後しか戦えない相手はいずれもラスボスにも匹敵するほどの実力を持つ相手ばかりなので、戦いがいは十分ある。
  • モンスターカプセル以外のパラメーター変更カプセルは本編終了後も一応カプセルマシーンから入手できるが、非常に確率が低い。
    • 特にモンスターを進化させる進化カプセルと技を強化する技カプセルは育成には欠かせないため、序盤から計画的に使用を抑える必要がある。

総評

題材としているゲームが違うとはいえ、他のGBの遊☆戯☆王のゲームを上回る出来であり、キャラゲーとしても間違いなく良作の部類に入る。
「遊戯王といえばカードゲーム」という認識のファンでも遊んでみる価値は十分ある。


余談

  • カプセルモンスターを題材としたゲームは、『遊☆戯☆王』のゲーム化第一弾であるPS『遊☆戯☆王 モンスターカプセル ブリード&バトル』、本作以後に発売されたPS2『遊☆戯☆王 カプセルモンスターコロシアム』が存在する。
    • カードゲームと比べると数こそ少ないものの出来が良いものが多い。
  • 今作は「ガチャで使用ユニットをゲット」、「ユニット毎にレアリティ(入手しやすさ)がある」、「強化アイテムとLVUPや進化でユニット強化」と言う様に現代のソーシャルゲームに似た要素が多い。
  • 本作のエンディングテーマは、後にボーカル曲となって翌年発売のプレイステーション版音楽ゲーム『ポップンミュージック5』の追加曲「アイドルポップ / ファーストステップ」として収録されている。
    • この曲は後にPS2版『ポップンミュージック13 カーニバル』にも再録されているが、アーケード版には収録されていない。
  • 2001年2月1日~2007年2月28日まで、ニンテンドウパワーの書き換え版として配信された。価格は1,000円(税別)。

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最終更新:2021年10月03日 20:39

*1 ただし5個の進化カプセルと最低レベルで進化させてもなお莫大な経験値を必要とする

*2 例えば10歩ごとに30パーセントなら10歩歩くごとにダイス判定があり出た目が30以下なら敵が出現。

*3 遊☆戯☆王シリーズでのM&W及びデュエルモンスターズで行うカードゲームの事