ドラゴンブリード

【どらごんぶりーど】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 アイレム
稼働開始日 1989年6月
プレイ人数 1~2人(交互)
判定 なし
ポイント 良くも悪くもインパクト極大のドラゴン
ゴールドドラゴン以外は空気
情報規制の影響でマイナーゲー


概要

1989年にアイレムよりリリースされた業務用横スクロールシューティングゲーム。「若くして王となったカイアス王子が、光の巨竜バハムートと共に魔王ザンバギオスを倒す」というバックストーリー。ダークファンタジーな世界観を持ち、アイレムらしい精密なドット絵で描かれたキャラクターと高めの難度が特徴。

システム

  • 全6面2周エンド。1周目をクリアするとエンディングが流れた後、ROUND7と称して難易度が上がった2周目が始まる。
  • 自機はボウガンを装備したカイアス。敵及び敵弾との接触、強制スクロールに挟まれる、分離時に足場から落ちる、タイムオーバーで1ミスとなる。復活は戻り復活方式で、コンティニューした場合も同様。
  • 巨竜バハムート(以下ドラゴンと記述)は完全無敵のオプション扱いであり、頭・胴体など全身のあらゆる箇所を使い、敵弾を防ぐことが可能。さらに体当たりで敵にダメージを与えることもできる。
  • 1レバー2ボタンで主人公カイアスならびにドラゴンを操作するが、足場のある地点であればドラゴンへの乗り降りが可能。また騎乗時と分離時では、ゲームシステムや操作に若干の相違がある。
  • 騎乗時
    • 強制スクロールでゲームが進行し、この状態ではレバーで8方向に移動、ショットボタンでドラゴンの形態の応じた攻撃を行い、ショット押しっぱなしで溜め撃ちを行う。足場のある場所に近づき昇降ボタンを押すとカイアスがドラゴンから飛び降る。
  • 分離時
    • スクロールが任意となり、サイドビューアクションの要領で単独行動が出来る。ただし左方向にスクロールさせることはできない。ショットは左右の他上方にも放て、昇降ボタンでジャンプする。ドラゴンはカイアスの上空で待機し攻撃を行う。レバー下でしゃがむとドラゴンがカイアスの元に移動し、ドラゴンの頭に向かってジャンプすると騎乗状態に戻れる。
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溜め撃ちと分離攻撃

  • アイテムを取ることでドラゴンが4色に変色し攻撃方法が変化。同じ色を続けて取る事でドラゴンとカイアスの攻撃が強化されて行く。
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レッドドラゴン
レッドオーブを取るとドラゴンが赤く変化。口から高威力のファイアーブレスを吐く、攻撃力重視の形態。
ブルードラゴン
ブルーオーブを取るとドラゴンが青く変化。胴体から真下に雷を落とし、レバーを下→上と入れる事で頭の下方向にとぐろを巻くように体を丸める。下方向への攻撃に特化したトリッキーな形態。
シルバードラゴン
シルバーオーブを取るとドラゴンが銀(白)色に変化。頭から敵を追尾する小さなドラゴンを飛ばす。雑魚に強い攻撃範囲重視の形態。
ゴールドドラゴン
ゴールドオーブを取るとドラゴンが金(黄)色に変化。鱗から三日月状の弾をばらまき、レバーを上→下と入れる事でカイアスを覆うように体を丸め、さらに一定時間8方向弾を発射できるようになる。全方向に対応する攻防一体の形態。

評価点

  • 見る者を引き付けるドラゴンの存在。
    • 見た目のインパクトだけでなく、その長い胴体でカイアスを守ったり、敵を押し潰したり…と使いこなす事で攻略に有利に働き、何より「強力なドラゴンを意のままに操っている感」を存分に楽しむことができる。
  • 細かく深い書き込みのグラフィック。
    • 特にドラゴンや敵のグラフィックの書き込みは非常に細かい。敵のデザインも奇妙でグロテスクであり、個性的かつダークファンタジーな世界観を醸し出すのに一役買っている。
  • ストーリー性の高いエンディング。
+ ネタバレ注意。画像あり

魔王ザンバギオスと相討ちとなり瀕死となったカイアスを、バハムートが最後の力で救い出し、自身は魔王を道連れに自爆するという、鬱目なエンディングとなっている。とはいえ直後に始まる2周目でバハムートは何事もなかったかのように復活しているが。

各面ボスとエンディング

問題点

隠れた名作! と言いたい所だが、癖が強くゲームバランスも練りこまれていない部分がある。

  • やられ判定の分かりづらさ
    • ドラゴンに騎乗時のやられ判定は、ドラゴンの頭の上に乗っているカイアス。しかしドラゴンが大きい事や、メインショット以外の攻撃がドラゴンから発せられるせいか、プレイヤーはドラゴンに注目しやすく、カイアスの存在を失念しやすい。
    • やられ判定が自機の上部に飛び出しているような格好になっており、敵の攻撃をよけたつもりがちゃんとよけられていなかったり、いつのまにかミスしていることも少なくない。本作の攻略のためには、まずこの独特なやられ判定をしっかり理解しておく必要がある。
  • パワーアップの格差
    • ドラゴンのパワーアップは4種類あるが、その中でも群を抜いてゴールドドラゴンが使いやすい。
    • 原因はレバー上→下で出る丸まりのせい。簡単に弱点であるカイアスを覆い隠せる上にあらゆる方向の敵に対応できるため、どんな状況でも丸まりさえ出していれば大体どうにかなってしまう。
    • 一方他のパワーアップは、ファイアーブレスの射程が短く接近戦を挑まざるを得ないレッド、攻撃判定が下に集中しすぎて前方や上ががら空きなブルー、攻撃力の低いシルバーとどれもやや使いづらく、ゴールド以外のパワーアップを使う必要性が薄い。
  • ドラゴンの乗り降り要素の空気さ
    • ドラゴンから降りる際にカイアスが着地する足場が意外に少なく(足場そのものが全く用意されていないステージもある)、また降りなければ攻略しづらい場所もほとんどなく、カイアスが単独行動する必要性が皆無に近い。
    • カイアス単独行動時は上方向にショットが撃てるという利点があり、それが生かせる場所もなくはない。またスクロールが任意となるので、タイムオーバーに気をつければスコア稼ぎに利用できることも。
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弾の出所とやられ判定の場所が違うと、咄嗟の回避が困難

総評

ドラゴンを操る横STGというジャンルは同年の他社作品『天聖龍』に似ているが、ドラゴンそのものが主人公である天聖龍と異なり、本作はドラゴンを操る人間が主人公であり、その主人公とドラゴンとの分離・合体をゲーム性を引き出す要素として取り入れられた。しかしドラゴンから降りて攻略する必要性は殆ど無く、騎乗時の当たり判定の分かりにくさを露呈するという皮肉な結果に終わった。

真面目に攻略しようとすると操作方法が特殊で癖が強く、難易度も高いのでコツをつかむまでかなり苦労させられる。練りこみもやや浅い部分があり手放しに良作とは褒められないのが実情である。しかしながらアイデアは斬新で独特のゲーム性があり、何よりドラゴンを操るのは純粋に楽しい。

当時アイレムが行っていた情報規制のあおりもあり、大して知名度がなく、コンシューマーへの移植もされておらず現在ではプレイ手段がかなり限られているが、もしゲーセンで見かける事があれば是非一度プレイして、ドラゴンを操る感覚を味わっていただきたい。

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無敵のドラゴンを操り、敵をなぎ倒す快感がウリ

余談

  • 情報規制について
    • 1989年頃、アイレムは大手アーケード攻略雑誌「ゲーメスト」に謎の情報規制を設けていた。この情報規制はどんな目的があったのかは不明だが*1、これにより本作や『Xマルチプライ』、『R-TYPE II』等の攻略情報が雑誌に乗らなかった。
    • どんな目的があったにせよ、これによりこの時期に登場したアイレムのゲームは知名度が大変低くなってしまった。
    • 更にこの頃はSTGが高難易度化の道を歩み始めたばかりの頃であり、アイレムはその先陣を切っていたため、この頃のアイレム作品は総じて難易度が高い。このため多くのプレイヤーが攻略情報不足のせいでクリアを断念し、次第にプレイヤー離れを起こし、結果としてゲーセンから早々に撤去されると言う事態になってしまった。
  • R-TYPE FINAL』に登場するバイド戦闘機「BX-4/アーヴァンク」は今作がモデルといわれている。
    • カラーリングやショット、意図的と思われる防御性能の高さなどが今作との類似点として挙げられる。
  • 後にアイレムのスタッフがSNKに移籍して制作したACT『メタルスラッグ』シリーズでは『2』より動物タイプの乗り物である「アニマルスラッグ」が登場している。
    • このタイプのスラッグは搭乗しているプレイヤーの方にやられ判定が存在している関係で、ある意味では本作の自機の後継とも言える性能と言える。

移植

  • PCエンジンへの移植も当初は予定されていたが、開発画面すら一度も公開されることなく、計画は立ち消えとなっている。
  • 国内では移植されていないが、海外ではPC「Irem Arcade Hits」に収録されており、DL販売店も多く値段も1,000円程度(セール時にはワンコインくらい)と入手も容易である。

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最終更新:2020年04月01日 17:38

*1 ロケテスト荒らし対策やゲーメストとアイレムの不仲説、攻略情報を掲載することがインカム減少に繋がるからなど様々な説がある。