Halo Wars
【へいろーうぉーず】
ジャンル
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RTS
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対応機種
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Xbox 360
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発売元
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マイクロソフト
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開発元
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Ensemble Studios
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発売日
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2009年2月26日
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定価
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通常版:6,800円(税別) Limited Edition:7,400円(税別)
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廉価版
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プラチナコレクション 2010年3月11日/2,800円(税別) 2013年09月19日/1,900円(税別)
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判定
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良作
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HALOシリーズ
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概要
『エイジ・オブ・エンパイアーズ』シリーズを手掛けたマイクロソフト傘下のEnsemble Studiosの最後の作品。
単なる『HALO』のキャラゲーでは無く世界観を上手く生かしたシステムで、パッド操作でも快適な調整のRTSに仕上がっている。
RTSとはリアルタイム・ストラテジーの略で、ターン制シミュレーションのような考える時間が無くリアルタイムでゲームが展開していく。資源を確保しつつユニットを生産し、迫り来る・もしくは基地を防衛する敵をどのように対処して勝利するかを競うゲーム
その待った無しのゲーム性からハードルが高い反面非常にコアゲーマーが多いジャンルであり、海外では『StarCraft』シリーズ等が人気を集めている。
特徴
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本作は従来の『HALO』のプレイヤー、つまりカジュアルゲーマー向けに作られたRTSで、あまりRTSの経験がなくても比較的簡単にプレイができる。
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キャンペーンではUNSC(地球連合軍)を操り敵異星人と激戦を繰り広げ、ネット対戦ではUNSCとコブナントにそれぞれ3人いる指揮官を選択して対戦が可能
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指揮官によって多少異なるが、UNSCはユニット生産や技術開発に必要な資源集めがしやすく、コブナント側は特殊能力を持った指揮官を戦線に送り出すことで序盤から敵陣地へ攻撃ができる。
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基本的にUSNCは中盤から後半にかけて本領を発揮し、コブナントは序盤のユニットが出揃っていない時に本領を発揮する
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ネット対戦は2対2、3対3のMAPも用意されている。前述の通り待った無しだが相手もこちらと条件は同じな為、きちんとユニットを作成しつつ強化を怠らなければ開始すぐに敗北することは無い。
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ここで重要なのが読み合い。相手が何を作ろうとしているか偵察することで、相手が作っているユニットの苦手なユニット(アンチユニット)で攻撃をしかけるというもの。
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もちろん相手も自分が作成したユニットのアンチユニットを作る可能性もある。しかしそれで躊躇していると生産速度の速いユニットを大量に作られてどうしようもなくなるかもしれない…。
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こうやって「如何に相手を出し抜くか?」というのがRTSの醍醐味である。無論リアルタイムで展開されるので非常に頭を使う。
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原作の設定通りコヴナント軍は総ユニット数の限界がUNSCより多く設定されている。
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ジャンルこそ違うがレジェンドはやっぱりレジェンド級の難しさ。
評価点
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キャンペーンのストーリーは初代『HALO』の20年前を舞台としている。ムービーは画質が高い事もあるが色使いが美しく、一見の価値あり。
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マスターチーフと同型のスパルタンチームの初登場シーンは鳥肌が立ったとの声も。『HALO』ファンの心理をよく捉えている。
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HALOタイムラインという項目があり、人類とコヴナントとの開戦からHALO2中盤までの経緯を年代記で見る事が出来る。キャンペーンで隠しアイテムを見つけるにつれて項目がアンロックされていくのでやりこみ要素もある。
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キャラクターも非常に立っておりストーリーも悲劇的ではあるが良くできている。
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ユニットのボイス数が豊富。周囲の敵や味方に応じた台詞も多く、歩兵ユニットは特に賑やか。
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次回作の『Halo Wars 2』では英語音声であり、今作の日本語音声の豊富さを惜しむ声も。
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ネット対戦ではUNSCとコヴナントの違いが明確に分けられており、初心者でも扱いやすいUNSCに比べコブナントは少々トリッキーな作りになっている。
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コヴナントは能力的にUNSCより劣っているユニットが多いものの低コストで生産速度が早い物が多く、基地近くのユニットは指揮官のいる場所へ瞬時にテレポートができる等、複数人戦では敵をかく乱させやすい。
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個人戦においてはコヴナント軍はゲーム序盤に強力な指揮官を呼び出せるという特性から敵基地へ移動しながらユニットを生産し、即テレポートさせてそのまま基地を強襲するという戦法がとれる。
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もちろん既に対策は練られており、分かっているプレイヤー相手にやると逆に窮地に陥ってしまいかねない。ここら辺も読み合いである。
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UNSC側もただ扱いやすいだけでなくきっちりと個性が出ており、最強の飛行ユニット「ホーク」と対車両特化の車両ユニット「グレムリン」を作成可能で技術開発に必要な資源と時間が少し軽減される「アンダース教授」や、最初から建造物のボーナスがあり資源さえあれば移動基地から歩兵ユニットを生産し続けられる「カッター提督」に加え、物資生産に必要な建造物を最初から強化状態で建造し、圧倒的な資源作成能力によって中盤から常にユニットを作り続けられる「フォージ軍曹」などそれぞれに特性がある。
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アンダース教授が頭一つ抜けていたのだがそれは過去の話、アップデートにより弱体化。ホークは未だ凶悪だがアンチユニットも多く作成に時間がかかり、グレムリンは作成可能時期が遅くなってしまい旨みが薄れた。
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操作性が良い。RTSはPCゲーが多いためマウスやキーボードでの操作が主眼に置かれてる場合が多く、コントローラーではキーボードと比べてボタンが少ないため、操作性に難があったりする事が多い。だが本作ではややこしい操作が無く、慣れれば覚えやすい操作性。
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開発陣も「操作性、ゲームの単純化を第一に考えた」と答えており、操作のしやすさについて力を注いだ事がうかがえる(公式サイトの動画より)。
問題点
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初心者向けとは書いたが、それでもジャンル的にハードルは高め。対戦は慣れるまで負けが続くと思われる。
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攻略wikiを見てセオリーを覚えたりしなければ難しいだろう。
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選択可能なキャラクターの一人「ブルートチーフ」がストーリーに一切出てこないどころかキャラクター紹介すらほとんど行われていない。
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原作にある「コブナントは物量で攻める」ができない。総ユニット数の生産限界はコブナントが上だが数を積まれればUNSCの方が強く、長期戦の物量と能力差で競り負けるのは大抵コブナント側である。UNSCが物量で負けてる原作は一体…。
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ただし、『HALO』のストーリー上のUNSCはコヴナント相手に数、質共に圧倒的に劣勢な為、ゲームバランス上已むを得ない面は大きい。
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全く使われないユニットや使えないユニットが両軍にいくらか存在する。例としてコヴナント軍の「グラント隊」やUNSC軍の「バルチャー」「サイクロプス」等。
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バルチャーの場合、コスト、必要TECが非常に高い(アップグレードも高コスト)。天敵も多くHPも低い飛行ユニットのため劣勢だと容易く撃破されてしまう。更に飛行ユニットなのにもかかわらず移動速度が遅く、撤退も難しい。バルチャーを出す位なら同じ飛行ユニットの「ホーネット」を量産する方が役に立つと言われることも。
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そんな扱いの難しいユニットなのに、これを最初に作ろうと基地の増強ばかり行いユニットを全く作らない層や初心者がたまに存在する。ユニットを初期から作らないのは自殺行為と言っても過言では無く、マルチプレイでは味方に多大な負担をかけてしまう。コブナント軍の「スカラベ」共々「脈絡なくこれ作る奴は地雷」とまで言われている。
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サイクロプスの場合、フォージ軍曹のみが作成できるユニットなのだが、移動速度が遅い(アップグレードで改善される)、近接攻撃しかできない、アップグレードで味方を回復できるようになるがUNSCにはそもそも手軽なコストで尚且つ1分で再使用可能でどこでも回復できる能力があるのであまり魅力ではない…と不遇尽くめ。コヴナントのサポートに回れば…と思いきやコヴナントには回復専門ユニットの「エンジニア」が存在するため益々不要に。
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グラント隊の場合、性能は微妙。アップグレードで対空が強くなるものの、それまでは肝心の対空力も微妙であり、エアパッドから対空特化ユニットのバンパイアがあるため対空ユニットとしても出番が無い。グラント隊を出す位なら対歩兵特化のジャッカル、対兵器のハンターを出した方が良い場合がほとんど。
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ただし長所が無い訳ではない。グラントの場合コヴナント同士の1VS1では敵リーダーを出し抜くために低コストで出せるグラントを量産する戦術も時々見受けられる(パッチで修正されるまではグラント隊は1VS1の対戦において活躍していた)。バルチャーも他のユニットのフォローに回ればかなり強力なユニットであり、特にアップグレード後のアビリティは強烈。あくまで単機で押し返すのは厳しいだけであり、攻撃面は強いユニットである。サイクロプスも低コストながら建造物への攻撃力が高く、中立基地を序盤に破壊したい場合には少数生産も考えられない事は無い。
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対戦CPUの思考能力が非常に低い。一般的に初心者はまずCPUを真似して戦略を立てようとするものだが、このゲームでそれをすると対人戦で地獄を見ることになる。
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一般的に「すべきではない行為」を行うようになっていて、難易度の変化は思考能力でなくユニット生産や時間毎の資源獲得数の増加等で行われている。
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次回作の『Halo Wars2』のNPCはそれなりの思考力で動き、積極的にユニットを出し続ける為手応えのある相手となっている。
総評
老舗であるEnsemble Studiosの最後の作品として優秀なカジュアル向けRTS。
とはいえ基本の骨子がしっかりしているため、コアゲーマーでもそれなりの満足感は得られるだろう。
余談
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2017年4月21日にPC向けにアップグレードされた『Halo Wars: Definitive Edition』がSteamとWindows Storeにて配信開始された。
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解像度のフルHD化、60fps動作、360版で有料配信されたDLCは最初から全て同梱されている点が大きな違い。
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なお、Steam版とWindows Store版とのクロスプレイには非対応。また、One版も同時発売された。
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既にEnsemble Studiosが会社組織を解散しているため、開発は『Dead by Daylight』を手掛けたカナダのBehaviour Interactiveが担当している。
最終更新:2022年10月06日 15:15