注意:このページでは、Win『Zoo Tycoon 2 Ultimate Collection』(良作)と、NDS『ズータイクーン2』(劣化ゲー)について紹介します。



Zoo Tycoon 2 Ultimate Collection

【ずーたいくーんつー あるてぃめっとこれくしょん】

ジャンル 経営シミュレーション
対応機種 Windows XP/Vista
発売元 Microsoft
開発元 BLUEFANG
発売日 2008年9月30日(日本未発売)
定価 3,140円(Amazon輸入版での価格)
判定 良作

概要

  • 動物園を経営するシリーズ『Zoo Tycoon』の2作目にして、それまで発売されたシリーズが全て詰められた完全版。アフリカゾウやライオン、キリンやホッキョクグマといった定番の動物を飼ったりバショウカジキやマンタといった水棲生物を展示して水族館を再現する以外にも様々な楽しみがある(後述)。

主な遊び方

  • 通路・オリ・募金箱といった周囲の環境を整え、動物を買い付ける。勿論広さや環境にも注意。
    • 「募金箱」は入場料とは別に、動物を見て感動した客が募金をしてくれるためのもの。「募金」と銘打たれているが、どちらかと言えばチップに近い。
    • 動物にはそれぞれ「ツンドラ」「サバンナ」「熱帯雨林」のように適切な環境が設定されている。きちんと合った場所を用意しなければ観客も喜ばず、何より動物の命に関わる事もある。
    • また動物にはそれぞれ遊ぶための道具が用意されており、ストレス解消になるほか見に来た客も喜んでくれる。タイヤで遊ぶパンダや絵を描くゾウは見ていて和むが、中には 生きたトカゲ などというものもある。ヘビクイワシがトカゲをすするシーンは妙にリアル。
    • 餌も普通の皿に入っているものから骨型の容器、木の枝、ワラの下に果物や草が敷き詰められている仕込み餌といったものも。これも 虫の入った木の枝 などというものもある。蜘蛛の類が苦手な人は注意。
      • 給餌やフンの始末、動物の治療は飼育員を雇って任せる事もできる。
  • 動物の中にはシャチやイルカ、ラッコのように芸を仕込んでショーを行うことが出来る種類も。こちらもトレーナーを雇って訓練を代わってもらう事が可能。
  • また、「Extinct Research Lab*1」を建てると化石の採掘ができるようになり、見つけた化石をパズルのように組み合わせて恐竜やドードー等絶滅した動物を復活させる事もできる。これも古生物学者を雇い、発掘をお任せしてもらう事も可能。
    • 恐竜は時折気性が荒くなり某ハリウッド映画さながらにオリを壊して暴れまくるため、麻酔銃で眠らせる事も必要。これも専属の職員がいる。
  • さらに、ギフトショップやレストラン、爬虫類館や昆虫館等の施設を設置できるほかジープでサファリパークさながらのツアーを組んだり、ゴンドラを引いて上から動物を観察したりも出来る。勿論プレイヤーが乗ることも可能。
    • やはり爬虫類や昆虫はリアルなので耐性の無い人は注意。

評価点

  • 何といっても動物の種類の多さ。哺乳類・爬虫類・鳥類・魚類・古代生物合わせて127種類はかなりのもの。
    • アジアゾウとアフリカゾウはもちろん、アミメキリンとマサイキリン、コモドオオトカゲとナイルオオトカゲといった似て非なる種類も取り揃えている。単なる色違いではなく、きちんと別グラフィックで作り上げている。
    • 更にシナリオモードをクリアすると、クアッガ*2やキラーペンギン*3を飼う事もできる。
  • 動物の再現度も高い。獲物を狙うライオンやクマ、木にマーキングするパンダ、水辺を転げまわるゾウなど実際の動物園でも中々お目にかかれないシーンをきちんとCGで再現している。作り方によっては旭山動物園のように観客の目の前で泳ぐホッキョクグマなども見る事ができる。
    • 母親の乳を飲むユキヒョウや親の背に乗るゴリラなど子どももきちんと再現されている。
    • きちんと餌をあげていれば、 肉食と草食の動物を共存させる事も不可能ではない。
  • 山や滝、谷を作って野性の環境さながらを再現したり水槽の中に海賊船を置いて雰囲気を出したりする事もできる。
    • これらの風景は写真を撮ってアルバムに保存する事が出来る。ネット上へアップロードしても可。

賛否両論点

  • 曲芸を仕込んでショーができるのは水棲動物だけ。ゾウの玉乗りやトラの火の輪くぐりなどは無い。
    • もっとも、これは動物保護に敏感なアメリカという国柄も影響しているのだろうが…。
  • 園内には様々なショップを展開させることが出来、中には当然食堂もあるのだが、『寿司スタンド』という日本人から見れば違和感のある施設も。
    • 熱帯雨林だろうが砂漠だろうが設置可能。別に客が食中毒になったりはしない。

問題点

  • 客の要求がとにかく多い。前述したレストランは客層によって好みが異なるため、「カップケーキのカートもあればいいのに!」など限りない欲求を口にしてくる。
    • 椅子やゴミ箱をびっしり並べていても「疲れたよ、座る場所はないかな」「ゴミはどこに捨てるんだろう?」といった頓珍漢な会話をしてくる事がある。
    • 「来園者が満足するように、ベンチや休憩所、施設などを増やしてください!」といった注意文が出るが、どんなに作っても前述の一文が出る。
      • ぶっちゃけて書いてしまえば、 客が邪魔になってしまう 。そのため、閉園したままにして自分ひとりで園内を回った方がストレスがたまらない。
      • 資金無制限のフリーモードがある事と、シナリオモードで入手できる動物が前述の二種類しかない事が尚更拍車をかけている。
  • 飼育員を休ませておく「スタッフセンター」が完全に無意味の施設。
    • それぞれの担当するオリで動物が空腹になったり糞をしたりすると、わざわざ駆けつけて給餌をしたり糞の処理をしたりしなくてはならないため、それまでは客に不安や不満を与えっぱなしになってしまう。
    • また、従業員は 別に疲れたりしない ので、 それぞれの動物のオリに放しておいて出られないようにすれば問題は起こらない 。現実なら酷い話であるが…
  • 動物図鑑のデータに間違いがある。
    • 図鑑には保全状況を示すアイコンが表示されるが、データのない動物であっても「軽度懸念(LC)」に分類されている。
      • データがない場合は「データ不足(DD)」あるいは「未評価(NE)」に分類するのが普通である。
    • 発売に間に合わなかったのだろうが、一部動物のデータが古い。
      • 例えばジャイアントパンダとレッサーパンダはDNA解析の結果全く異なる種類であることが判明したが、本作では同じ種類として扱われている。
  • 一番の問題はこれが「完全版」であるという事。当初発売された『Zoo Tycoon 2』以降、以下のシリーズが続々と発売された。
    + 長いので省略。
  • 「Endangered Species」:オランウータン・コモドオオトカゲ・シロオリックスが追加。以前から登場した動物もホワイトタイガーやキングチーターなどの色違いが生まれるようになった。
  • 「African Adventure」:ボンゴ・ラーテル・ヘビクイワシ・ミーアキャットが追加。ジープが加わりサファリパークが再現できるようになった。
  • 「Dino Danger Pack」:ダウンロード販売のみ。ティラノサウルス・トリケラトプス・カルノタウルス・スティラコサウルスが追加。
  • 「Zookeeper Collection」:「Dino Danger Pack」を除いたセット。後述する「Marine Mania」も少しだけ触れられている。
  • 「Marine Mania」:ホホジロザメ・イッカク・カリフォルニアアシカ等20種類の水棲生物が追加。ショーの開催も可能になった。
  • 「Extinct Animals」:ディメトロドンからブルーバックまで34種類の古代生物・絶滅生物が追加。化石発掘が可能になった。
    • これらの作品が一まとめになったのが本ソフトであり、一つ一つ買っていた人は涙目である。日本でも一部作品が完全版商法を批判されているが、それに勝るとも劣らないレベルではないだろうか。

総評

自由自在に動物園を作成できるため、動物好きの人は勿論箱庭ゲーが好きな人でも楽しめる名作。
来客の要求はわがままに感じるかもしれないが、そこは実際の世界も同じと割り切るべきかも知れない。

その他

  • 残念なことに日本では発売されなかったが、海外のユーザーは多く独自に動物を作った人も多い。
    • ニホンザル・トキ・タヌキ・イリオモテヤマネコといった日本固有の動物やネッシー・キングコングなどの架空の動物、さらにはピカチュウやイーブイといったポケモンを作り出した猛者もいる。ほとんどのサイトが承認制ないし閉鎖になってしまったのは痛いところ。
  • DSに移植はされたが、出来は微妙。詳しくは下記。
  • その後、2011年に開発元のBLUEFANG社が倒産したため、新作の発売は絶望的かと思われたが2013年11月23日にXbox Oneと360で装いも新たな『Zoo Tycoon』*4が発売。日本語版も360版が2014年3月20日に、One版が2014年9月4日に発売された。開発は『RollerCoaster Tycoon 3』を手掛けた英国のFrontier Developmentsが担当。

ズータイクーン2

【ずーたいくーんつー】

ジャンル 動物園経営シミュレーション
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 THQジャパン
開発元 アルトロン
発売日 2008年3月19日
定価 5,400円
判定 劣化ゲー
ポイント 動かない動物たち
歩けない園内

概要(DS版)

  • 前述の動物園経営ゲーム『ZOO TYCOON 2』のDS移植版。
  • パソコン版は動物の種類こそ少ないものの、園内を自由に歩き回る事で動物や客の様子を観察できたり、落ちているゴミの掃除をしたり動物に餌をあげたり体を洗ったりとなかなかの自由度を持つ名作であったのだが…。

問題点(DS版)

  • パソコン版の高いグラフィックをDSで再現するのは無理だったらしく、園内のグラフィックはかなり劣化。内部を歩くどころか動物園を斜め上から見下ろすだけになってしまった。
  • 登場する動物達のグラフィックはかろうじてパソコン版のままだが、全く動かずに突っ立っているだけ。基本ポーズが変わるのはなんと病気の時だけである。
    • 動物の世話もタッチペンで体を擦るなどの作業ゲーに。もっともパソコン版も動物の体をクリックするだけなのだが、その場で足を固定したまま体を揺らすだけなので世話した感が薄い。
    • 動物を手に入れるとカードが手に入るが、その辺の動物図鑑よりも薄い内容なため達成感がない。
  • もともと難易度が高いゲームではないが、すぐに客が増え多くの収入が入るために手ごたえがない。

評価点(DS版)

  • コアラやコモドオオトカゲなど、パソコン版では手に入らなかった動物達が増加*5
    • 中にはユニコーンやトリケラトプスなど普通の動物園には絶対にいないものも。
    • ユニコーンやイエティは既存のシリーズ使いまわしではなく、本作オリジナルの新規グラフィック。

総評(DS版)

原作の売りであった自由度とグラフィックが劣化してしまい、残念な出来に。
元々グラフィックを重視していないDSでの移植自体に無理があったのかもしれない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年08月04日 22:28

*1 日本語に訳すと『絶滅動物研究所』といった所だろうか。

*2 前半分はシマウマそっくりだが、後ろ半分は模様がない馬の一種。乱獲や生息域の減少により1883年に絶滅した。

*3 ゲームオリジナルの架空のペンギン。外見はマカロニペンギンに似ているが肉食性。

*4 尚、ナンバリングやサブタイトルがないため便宜上「~(2013)」が付くこともある

*5 海外版の追加パックには登場している