討鬼伝

【とうきでん】

ジャンル ハンティングアクション

対応機種 プレイステーション・ヴィータ
プレイステーション・ポータブル
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(オメガフォース)
発売日 2013年6月27日
定価 【PSV】5,800円
【PSP】4,800円
備考 【PSV】
PlayStation Vita TV対応
アップデートのバージョン1.07を適用することで
PS4版『討鬼伝 極』にネットワーク経由で引継可
判定 良作
ポイント 部位破壊がウリの和風ハンティングアクション
討鬼伝シリーズ
討鬼伝 / 討鬼伝 極 / 討鬼伝2


概要

2013年にコーエーテクモゲームスから発売された、「和」の世界観を軸に作られたハンティングアクション。

PSPとのマルチで展開したが、本項では主にPSV版について述べる。

機種による違い

  • PSV版はアドホックモードに加え、ネットを介して全国のプレイヤーと協力して任務をプレイすることが出来る。
    • アップデートで接続先の設定が出来るようになり、デフォルトは「日本語版」になっているが、これを「共通」にすることで同様に接続先を共通に設定している海外版のプレイヤーともマルチプレイが出来る。
      • ただし、海外版のプレイヤーは一律で名前が「★モノノフ」表記となる。
  • 初期型(PSP-1000)を除いて、PSP版ではアドホック通信によるPSP版/PSV版とのマルチプレイに対応しており、PS3のアドホック・パーティーを利用することで離れたPSP版プレイヤー同士で協力プレイすることも出来る。

物語

古より、“鬼”と呼ばれる異形の存在と戦う者たちがいた。彼らを称して「モノノフ」(鬼ノ府)という。
千年の長きに渡り「モノノフ」は歴史の影で人の世を守り続けてきた…。
しかし、太平の時代の末、突如、大いなる災厄が訪れる。時が歪み、天地が裂け、各地に異界が出現…。
かつてない大量の“鬼”があふれ出したのである。
多くの土地が“鬼”に飲み込まれる中、「モノノフ」は生き残った人々を里に迎え入れ、“鬼”に立ち向かった。
七日七晩……短くも熾烈な戦いの後、かろうじて人間の勢力圏を守り通した。
後に“オオマガドキ”と呼ばれるこの災厄を経て、「モノノフ」は人の世を守り、治める組織として、歴史の表舞台に立つこととなった。

それから八年――。
いまだ終わらぬ“鬼”との戦いの最前線に、新たな戦士が派遣される。

人の世を滅びから守るため、モノノフたちよ、“鬼”を討て!

(公式サイトより)


特徴・及び評価点

部位破壊ハンティングアクション

  • 本作のウリ。これまでの狩りゲーの多くが「敵を倒す」事を目的とし、戦況を有利に運ぶ要素の一部分でしかなかった部位破壊だが、本作ではこの「部位破壊をする事」自体が、鬼を倒す主な手段となる。
    • 大型の鬼は、頭部・腕・脚・尾などの各部位にダメージが蓄積される。勿論一定ダメージを超えれば、その部位が派手に吹き飛ぶ。
    • 破壊された部位は鬼の特定アクションで再生する(大抵は長めの一定時間を要する)。この際鬼によっては見た目・性能が強化される。
      • 「鬼祓い」によって破壊した部位を封印・回収することで、破損部位の復活を永久的に防ぐことができる。ただし、一部の鬼は後述の「タマハミ」状態に移行する際、それまで破壊して鬼祓いを完了していた部位も含めて強化したうえで再生させる*1
    • 部位破壊、または表層破壊(鬼本体へのダメージ蓄積)が成功する度に鬼が「マガツヒ」状態となり、生命力が表面化する。この時に初めて鬼の体力を削る事が出来るようになる。
      • 尚、鬼の破壊された部位はほとんどが半透明表示になっていて(常時マガツヒ状態として表面化しており)、そこに攻撃を続ける事で通常状態でも体力を削れる。
    • 鬼の種別によって決まった条件を満たすと、行動パターンや外見が著しく変化して凶暴化したタマハミ状態に移行する。
      いわゆる「怒り状態」や「発狂パターン」に類する状態なので、対処を誤れば致命傷は避けられない。ただし、タマハミ状態はマガツヒ状態の性質も併せ持っているためカウンターで体力を削れる。
  • 「部位破壊」に拘ったアクションスタイルであり、エフェクトも派手。豪快なSEと共に、プレイヤー程の大きさがある鬼の体の一部が吹き飛ぶ様は痛快の一言。
  • 敵からのアイテム獲得は殆ど全て前述の鬼祓いで済ませられる為、テンポも良い。
  • フレンドリーファイアが存在しない
    • この手の狩りゲーは攻撃が味方に当たってしまうため、故意か否かは関係無しに大振りの攻撃をする武器や射撃系の武器などが嫌われる傾向も見られたが、本作では味方に攻撃を当てても当たった味方の攻撃を潰してしまったり、怯ませてしまったり…といった悪影響を与えることはない*2
      • それどころか、癒スタイルのようにむしろ味方を攻撃することを推奨する*3スタイルも存在している。
    • これにより、「この武器を使いたいけど、味方を巻き込むなり誤射などして迷惑をかけそうで使えない…」と言う問題が起こらず、プレイヤーがそれぞれ使いたい武器を使って遊ぶことが出来るようになっている。
      • 余談になるが、後に発売された書籍『討鬼伝 キャラクターFILE』の中で、ウタカタのモノノフたちそれぞれのボイス集の記載がある。その中には「味方から攻撃を受けた時のボイス」の項目があり、いずれのキャラクターも未使用ボイスとされている。当初は既存の狩りゲータイトル同様にフレンドリーファイアをシステムに組み込んでいたものと思われる。

アクション

+ 各種アクション。クリックで開閉
  • 鬼千切(おにちぎり)
    • 武器ゲージを溜める事で発動可能。部位の蓄積ダメージに関係無く、大型鬼の部位を破壊する事が出来る。雑魚の小型鬼であれば一撃で葬り去る事が出来る。
  • 鬼ノ目
    • SELECTボタンor自キャラタッチで、気力を消費しつつ使用可能。
    • 大型鬼の表層部位ゲージ・体力・各部位のダメージ蓄積率を確認出来る他、小型鬼の体力の確認、鬼ノ目を使わなければ見付ける事の出来ないアイテムや特殊な小型鬼などの発見が可能となる。
  • 鬼祓い
    • 鬼の死体・破壊部位を封印する他、体力が尽きて倒れた仲間を一定時間内であれば復活させる事が出来る*4
    • 例によって慣れない内は高頻度で死ぬ傾向が強まっていくため(後述)、頻繁に御世話になるシステムである。
  • ミタマ
    • 恐らく本作の最も特徴的なシステム。
    • 神話時代~幕末の日本史上に名を残す人物達を「ミタマ」として従え、鬼祓い中に○×△□ボタンのいずれかで「タマフリ」と呼ばれるそれぞれの特殊能力を発動出来る。
      • 織田信長や卑弥呼などの有名どころから刀自古郎女*5、雷電爲右エ門*6などのマイナーどころまで幅が広い。中には浦島太郎や一寸法師など、御伽噺の主人公達もいる。全員わかる人は間違いなく日本史マニアである。
      • 全員に史実上のプロフィールが用意されており、「誰この人?」と思ったときに調べられるようになっている。
      • 服装や髪型は現代風にアレンジされている。ツインテールの清少納言など、女性キャラにその傾向が強い。
      • 石田三成のイラストはなんと『采配のゆくえ』のもの(しかも描きおろし)で、ファンを驚かせた。
    • ミタマは「攻」「防」「癒」「隠」「迅」「魂」「空」「賭」の8種類の戦闘スタイルに分かれており、それぞれ特徴がある。
      • ○ボタンはいずれも強力なタマフリが揃う(例えば「癒」のそれは戦闘不能状態の仲間を含めた同じエリア内にいるパーティー全員の体力・気力を全回復させ、状態異常も回復させる)がその分使用可能回数も少なく、使用した後のクールダウン時間も非常に長いので使い所を間違えると厳しい*7
      • 回復(治癒)系に関しては×ボタンで全て固定。
    • また、ミタマはハク(ゲーム内通貨みたいなもの。鬼祓いで獲得出来る)を得る事で経験値が溜まり、レベルアップさせる事でスキルを習得出来る。通常の戦闘でも入手できるほか、祈祷所でハクを与えてレベルを上げることもできる。
      • 1レベル毎に1スキル修得出来るが、1つのミタマで所有出来るスキルは3つまで。新しくスキルを習得した場合は4つの中から1つ忘れさせる必要がある。
        ちなみに「鎮魂(初期化)によってレベルを1に戻し、また最初から覚え直させる」という事も出来る。
      • 特定のミタマを指定された武器と「合成」する事で高威力・高性能の武器を作成出来る。但しミタマのレベルは最大(10)に、武器も最大まで強化しておく必要がある。合成に使ったミタマは消滅するが、そのミタマの再取得は可能。
    • このミタマが、公式曰く200以上。やり込み要素の一つにもなっている。

武器・防具、組み合わせスキル

  • 武器は太刀、手甲、鎖鎌、弓、双刀、槍の六種。それぞれ特殊技があり、いずれも個性的。
    • 太刀と槍はオメガフォースらしく手堅い性能(どちらかと言うと太刀は攻撃的・槍は防御的な技の傾向)。手甲は最も攻撃力が高いと同時に、唯一その場ガードが可能。猛烈な連打を繰り出すロマンある技も。
      鎖鎌の特殊技は独特で、近~中距離の攻撃が可能。また双刀と鎖鎌はスタミナを消費し続ける事で空中での連続攻撃が可能となり、立体機動で敵の高所を攻撃できる。
    • 武器にはミタマ用のスロットが最大3つあり、3つの組み合わせ次第で「組み合わせスキル」が発動する。
      • 組み合わせスキルは基本的にミタマの戦闘スタイルや所属時代を全て統一することで発動するが、その範疇にない特定の組み合わせにも固有の組み合わせスキルが隠されている。
        この組み合わせを探ってみたり試したりするのもプレイヤーの楽しみと言えるが、日本史を知っていればより多くの組み合わせが出来る事だろう(例:織田信長と豊臣秀吉で「主従の絆」、一寸法師と坂田金時(幼名は金太郎)と桃太郎で「御伽草子」など)。
  • 防具にはそれぞれ属性があり、天、風、火、水、地の5つ。
    • 防具自体にスキルは無いが、頭部、胴、腕、脚の4種類を同一系統の防具で装備しても組み合わせスキルが発動する。
  • 強化方法は、武具・防具共に「馴染み度」で決まる。装備したうえで任務をこなす事で馴染み、馴染み度が最大になると+1ずつ強化可能。レベルは全て+9まで上がる。
    • 武器防具共にそれぞれ馴染み度が上がりやすくなるスキルも用意されており、武器は「熟練の武器捌き」、防具は「着こなし名人」のスキルがあれば馴染み度が上がりやすくなる。

キャラクター

  • ウタカタの里を拠点とするモノノフをNPCとして、最大3人まで連れて行ける。候補は全部で6人おり、それぞれが自分のミタマと戦闘スタイルを持っている為、任務に合わせて連れを選ぶ必要がある。
    • ただし一部任務1周目はキャラ固定で、NPCを連れて行けない任務(単独任務)もある。
    • 仲間&妹思いの桜花、軽薄な仮面の下に熱い意志を隠す息吹、失った過去を抱えながらも明るく振る舞う初穂、友の思い出と生きる那木、言動が粗暴だが面倒見の良い一面を持つ富嶽など、連れていけるNPCモノノフは誰もが魅力的。ウタカタの里にも主人公をサポートしてくれるキャラが居る。
  • NPCのAIは優秀。戦局や状況に応じてミタマの戦闘スタイルに準じた適切な行動をしてくれるので、慣れない序盤は非常にありがたい。
    • 例えば「癒」スタイルの那木はプレイヤーの体力がピンチになるとタマフリで回復エリアを作ってくれる。 巨乳を揺らしながら走って回復に来てくれる彼女の姿に興奮したプレイヤーも多い。
  • アーシャのアトリエ』等を手掛けた、イラストレーターの左氏によるキャラクターデザインも評価が高い。なお、3Dデザインはいつもの『無双』である。
  • 主要な敵である大型鬼はどの鬼も特徴的で、グラフィックの美麗さも相まって迫力もあり、非常にレベルが高い。
    • それぞれに専用BGMも用意されている。
    • デザインも和の世界観に則しており、完成度も高い。特にパッケージデザインにも起用されているゴウエンマは外見に違わぬ猛威を振るった。
    • ちなみに鬼の名前はカタカナで表記されているが、ほぼ全て漢字由来の読みである。一例として、前述のゴウエンマの漢字表記は「業焔魔」となる。
      • 例外として、大型鬼の「マガツイクサ(禍ツ軍)」が一部分がカタカナで表記されていたり、小型鬼になるが「ワイラ(わいら)」のようにひらがなが正式な表記の鬼も存在している。

グラフィック

  • 間違い無く携帯機の中ではトップクラス。キャラのモデリングやマップ、背景の細部までこだわりが感じられる。
    • タマフリや鬼ノ目、攻撃などのエフェクト時にジャギが目立つものの、光と影の描き方がとても自然に見えるのでゲームに没入出来る。
  • 各ミッションの舞台となるステージも美しく、日本の各時代をイメージしつつ、鬼に喰い荒らされたためかどこか歪んだ不気味なものを感じさせる。
    • また、全てのステージで霊峰・富士山が背景になっているエリアが存在する。
  • 拠点となるウタカタの里でよくNPCキャラを観察すると、その作り込みが緻密である事が分かる。PSP版とVita版の比較画像がネット上に出回った時は、そのあまりの差に驚愕したプレイヤーも多いのではないだろうか。
  • ムービーの出来も良い。狩りゲーでは顔や髪型のキャラメイクが行われる都合でリアルレンダリングムービーが使われる事が多いが、本作のムービーは殆どプレイヤーの主観で再生されるプリレンダムービーとなっている。

UIの快適さ

  • グラフィックに目を奪われがちであるが、部位破壊アクションと同等か、それ以上に力を入れているとも取れるインターフェイスの快適さはかなりのものである。
  • 煩わしいアイテム管理は一切無い。入手アイテムは武具・防具の作成と、任務とは別に村人やNPC達からの「依頼」に使う程度のものである。
    • 戦闘に持ち込める道具もミタマのみであり、一々任務出撃前にあれこれと準備をする必要が殆ど無い。
    • なお「依頼」はアイテムが必要になるものの他に、「○○を何体討伐して欲しい」という依頼もある。報酬はハクか、別のアイテム。
  • 驚異のローディング速度
    • 謎の技術と呼ばれる程にローディングが早い。ゲームの起動からプレイまでの時間も圧倒的で、任務出撃時・終了時に、フィールドやウタカタの里を読み込むのに10秒前後必要とするが、それ以外のローディングは非常に短く、ストレスを感じる事は殆ど無い。
    • 任務失敗のデメリットも無い為、気軽にサックリと何度でもリトライ可能。
  • 任務
    • 変異種に例外はあるものの、初見の大型鬼との戦闘は概ね拠点・鬼域*8の2つのみ。パッと行ってすぐに戦いを始められる。
    • エリア移動の際のローディングに於いては、殆ど無いに等しいレベルである。
  • 里の施設
    • ゲームを進める内に禊場が使えるようになる。体を清める事で任務一回分のスキルを一つ得る事が出来る。モンスターハンターシリーズでいうところのアイルーキッチンに近いもので、使用には禊場使用許可証というアイテムが必要となる。
      • 男女の使用時間が決められているが、たとえ異性の時間に使用した所で咎められる事は無い。一人で禊ぎをする場合もあるが、アップデートによって現在はほぼ必ず誰かと一緒に禊ぎが出来るようになった。禊ぎをする時は当然全員白装束姿だが、男も女も濡れて透けている。
      • 相手が異性の場合、最初の内は拒絶される。しかし信頼度を高めていく内に、なんだかんだ言いながら一緒に禊ぎをする*9
      • 一緒に禊ぎをした相手の所持武器や特徴に合わせてスキルを獲得出来る。ただし対象スキルの持ち主は固定であるため(太刀使いの桜花ならば太刀関係の、手甲使いの富嶽ならば手甲関係のスキルといった具合。)、プレイヤーがためらいなく異性の使用時間に禊場を利用するのは決してやましい理由があるからではない。
    • その他、任務を請け負うモノノフ本部内に指南所、研究員秋水による情報閲覧、ハクを捧げる事でスキルを得られる賽銭箱、ミタマ関連を扱う祭祀堂などがある。

問題点

  • PSVにおけるオメガフォースの狩りゲー新規タイトルという事もあり、少々荒削りな部分が多くある。

  • 多くの不満がここに集中している。
  • 大型鬼の体力
    • 部位破壊を目玉要素として盛り込んだ所為か、戦闘のテンポに問題が生じている。
    • 前述した様に、部位破壊か表層破壊をして大型鬼をタマハミ・マガツヒ状態にする以外に鬼の体力を削る方法は無い。しかし当の鬼がやたら頑丈な上、中々怯まない。更に全部位破壊を推している関係で大型鬼の体力上限はとても高く設定されており、NPC3人を連れて行っても結構時間が掛かる。
  • 大型鬼の攻撃に関して
    • これで攻撃やミタマ使用のタイミングなど駆け引きの面白さがあれば素材集めやプレイの励みにもなるが、戦闘バランスも偏りがある。
      • 怯みにくさに加え、殆どの鬼が全体攻撃を放ってくる上に威力が高い。後半に登場する大型鬼が顕著。
      • 更にはどいつもこいつもフィールド上をあちこち動き回る。特にラスボス鬼の尋常でない動き回り(迂闊に接触すれば大ダメージで吹っ飛ばされる長時間の突進・更にはタマハミ形態で羽を生やしプレイヤーの能力では絶対攻撃が届かない高さまで飛行し時には高空で陣取り雨のような降り注ぎ攻撃をする(羽を破壊すれば飛べなくなるが)等)に関しては多くのユーザーが不満を述べている。この為、初見プレイでは何度も力尽きて仲間の救援が必要になることだろう。シングルプレイでのNPC同行が生命線になるのはこの為である。
      • 大型鬼との戦闘が鬼域内に限定されている場合、一度力尽きてリスポーンしない限りエリア外で戦闘を立て直す事が出来ない。一度戦闘状態に突入した場合は鬼も絶対にエリア移動をしない為、鬼からかなり距離を置かないと体勢を整えられない。その必要を無くす為のタマフリシステムではあるのだが……
    • その他、攻撃の多段ヒット、隙の無さ、攻撃角度など、相手によっては理不尽なレベルでバランスが悪い。特にその隙の無さから戦略性が薄くなりがちで、「取り敢えずタコ殴り」というゴリ押し、若しくは作業的になりやすい。
    • また、たとえ鬼祓いをしても、「露出した生命力が欠落部を補完」してしまう為、脚を破壊されたから動きが鈍くなるといったことはほとんど無い。
      • とは言え、対応した部位の攻撃が弱体化したり、ジャンプやダッシュの後に隙が生まれたり、飛行などを封じたりする事は出来る。再びダメージを蓄積させれば何度でも部位破壊は可能なので、怯みやダウンも何度も発生する。
      • 余談になるが、部位破壊でマガツヒ状態に出来るのはその部位の初回破壊時のみであり、それ以降、生命力によって補完された部位を破壊してもダウンを奪うことは出来るが、マガツヒ状態には移行しない。
  • 破壊報酬に関して
    • 全部位を破壊して討伐することで全部位破壊報酬が得られるのだが、これを得られる条件が「討伐時に」全部位を破壊している事が条件となる。全部位を破壊しきる前に討伐してしまった場合は仕方ないとしても、破壊したはいいが復活させてしまったまま討伐してしまい報酬を入手できない事が多々ある。特に富嶽と因縁のあるダイマエンは破壊部位がやたら多い上に破壊した部位を復活させてくるので、全部位破壊報酬の獲得は至難の業である。
  • 一部の大型鬼のタマハミ状態移行前の破壊済み部位に関して
    • 一部の大型鬼は前述したようにタマハミ状態に移行する時にそれまで破壊して鬼祓いも完了していた部位も含めて、鬼祓いが必要となる部位全てを強化した状態で再生させる。
      • この際、タマハミ状態になる前に破壊した部位が残っている状態で、その鬼がタマハミ状態に移行する条件が揃ってしまうと、鬼祓いが完了していない部位が強制的に回収されてしまう。更に、タマハミ状態になる前に追加で部位破壊をすると、破壊したそばから部位が回収されてしまう。
      • このタイプの鬼の素材が欲しい時は、鬼ノ目を使って鬼の体力によく気を配る必要がある。状況次第では、タマハミ状態になる前に強化再生した後の部位の破壊すら間に合わないほどに体力を削ってしまったり、そもそもタマハミ状態に移行させる事無く体力を削りきってしまう事もあり得る。
      • また、当然ながらタマハミ状態に移行する時の再生の後で再生部位の全てを破壊する前にその鬼を倒してしまえば、たとえタマハミ状態に移行する前に全部位を破壊していても全部位破壊とは認められない。
  • 種類
    • 大型鬼は変異種としてそれぞれ2種類が存在するが、殆どが色と属性、ステータスの数値を変えただけで水増し感が強い。
    • 挙動は一切変わらないので新鮮見が薄く、しかも一部を除いて色違いが出るのは本編クリア後の上級任務。これをやり込み要素と呼ぶかどうかはプレイヤーの自由だが、色違いの鬼の属性は何故か風属性の攻撃をする鬼が多い。炎や氷を飛ばす他属性の攻撃を風で表現変更し易かったからだろうか。いずれにせよ属性だだ被りで素材から作る武器や防具の属性も風ばかりになりがちで戦力強化的にも困る。
  • 小型鬼に関して
    • 状態異常攻撃の頻度の多さ、のけぞり耐性の強さ、攻撃頻度などが問題視された。
  • 現在アップデートで殆ど改善はされたが、エリア内を駆け回るなどのストレスの溜まる挙動はそれを行う頻度の低下、もしくはその挙動を繰り返す時間が減少する程度の修正に留まっている。

ストーリー

  • 登場人物の多くがその過去に暗い過去を抱え、物語を進めるにつれて苦難を乗り越えていく。モノノフとして成長する主人公と絆を深めていく描写もちゃんとあるのだが…。
    • 全体を通して見ると、物語そのものは気にならない、と言われても仕方が無いレベル。「狩りゲーならこんなもの」と割り切ってしまえばそれまでだが。
  • 秋水について(ネタバレにつき格納)
    + ...
  • 再び引き起こされようとしているオオマガドキを阻止する為に戦う、というのが本作の大筋であるが、研究員・秋水が曲者。
    • 序盤から怪しい雰囲気は漂わせているが、いざ目的が明かされるとその内容が「ある目的を果たすために再びオオマガドキを引き起こす必要があり、その障害となるウタカタの里を滅ぼす」というもので、鬼ノ府とは別の組織から送り込まれたスパイである。
    • 詳しい内容やその理由は後半で本人の口により隠さずちゃんと説明されるものの、主人公達モノノフ勢からしてみれば敵以外の何者でもない。
      • 物語終盤では結局所属組織を裏切り仲間として協力をするも、煮え切らない。しかし他の狩りゲーと同じく本編クリア後もキャラは資料説明役として在籍している為、「こいつ信用して前線基地に置くの?」という疑問は残る。
  • ムービーなどが挿入される本編は五章で終わりだが、その後上級任務として六章・七章が続く。しかしこれ以後は一切ムービーは存在しない。もうちょっと何とか練り込めなかったのだろうか。
    • 本編クリア後にも一応ムービーが1つあり、扱い上は第六章となっているが、実際は第五章に分類されたある種おまけとも言うべき任務*10の初回プレイ時に見られるものとなっており、その内容もその任務の討伐目標となっている巨大鬼の登場シーン*11で、ストーリーとは関連性がない。

NPC関連

  • 全体的に優秀であるが、敵を前にして何もせずにただ立っている、自分が鬼祓いをしている横で手助けをせずにひたすら攻撃をしているなどの調整の甘さも見受けられる。
    • 吹っ飛ばし攻撃を受けた時に×ボタンをタイミング良く入力すれば受け身を取ってすぐに体勢を整えられるが、NPCは誰一人受け身を取らずに吹っ飛ばされる。
  • NPCはそれぞれ異なる戦闘スタイルと使用武器が設定されているのだが、その中でも「迅」スタイルで鎖鎌を操る初穂はその両方がAIには荷が勝ちすぎているようで、双方の強みを完全に殺す立ち回りになってしまっている。
    • これにより、「性能などキャラ愛があればカバー出来る」というような猛者でもない限りは同行させるのは厳しいと言われてしまっている。
      • ちなみに、続編の『討鬼伝 極』では本作の目も当てられない立ち回りが嘘のような、むしろNPCの中ではトップクラスの強さと言われるほどにそれぞれの強みを活かした動きを見せるようになっている。

その他

  • 任務内でハクを獲得する方法は鬼祓いのみだが、その量が後半になるにつれ不足しがちになり、ミタマも中々レベルが上がらなくなる。
  • 後半になると武器が中々馴染まない。序盤が比較的スムーズにレベルが上がってしまう為、尚更時間がかかるように感じられる。
  • 素材・武器・防具にはそれぞれ1~9のランクが設定されている(数字が大きい方が高ランク)が、特に武器に関しては最大強化した状態で比較しても、少しだけ低ランクの武器の方が単純に高性能という事例が少なくない。
    • 当然ながら高ランク武器の方が作るまでのハードルも高く、いざ作ったら作ったで馴染みにくいというのに、苦労の対価に見合わないとする不満意見もある。特にミタマと合成して作る武器は素材となる武器を作るのも難儀なものが多く、要するハクも異常に高額、物によっては再取得しにくいミタマも必要。
      • 但し上記は「最大強化」時の比較であって、作成直後、あるいは強化度合いが低い状態であればランク通りの性能差であるものが多い。つまり、一部の武器の強化による能力上昇幅が大きすぎるとも言える(初期状態の値をランク設定の基準としたのかも知れない)。
    • 中でも双刀はこの傾向が顕著。ランク6の「隠剣・千鳥*12(以下「千鳥」)」は、武器に属性が無いのでどの鬼にも安定して使っていけ、かつ、攻撃力も双刀の中では高く、会心(クリティカルヒット)も出やすいという高性能な武器*13
      • そして、ランク7以上の双刀武器はそのすべてが最大まで強化しても千鳥に及ばないか、ほぼ互角であり、双刀メインのプレイヤー間では「千鳥以外は産廃(=作る意味がない)」の認識でほぼ一致してしまっている。
        一応、ミタマ合成武器の「二天一刀」(ランク9)ならばいくらか千鳥を上回ると言えなくもない*14が、作成の手間を考えると割に合うとは言いがたい。しかもアップデートで調整が入ってこれであり、それ以前はまさしく「(トロフィー目当てでなければ)作るだけ無駄」な有様であった。
      • 上で属性の概念を書いたように、鬼にはそれぞれ弱点となる属性が設定されているのだが、双刀自体が元々「攻撃力が低く、手数でトータルのダメージを稼ぐ」こと前提の武器である煽りなのか、双刀は属性の効果も他の武器に比べてかなり抑えられてしまっている。そのため、千鳥以外の武器を理由を問わず敢えて採用するのは一種の舐めプレイのようなものになってしまった。
    • 防具は武器ほど極端な例は見られないが、『ソウル・サクリファイス』とのコラボレーションとして無料配信されている「王道の法衣」一式(ランク3)がやはり強力。
      • 強化による防御性能の上昇幅が異常に大きく、下手なランク4~5あたりの防具一式よりも最終的に強力になるため、発売から少々時期が経ってからこの作品を購入、DLCを適用したプレイヤーの中にはメインストーリーの最初から最後までずっと「王道の法衣」しか使わなかったという者もいる。
      • トロフィーまで用意した防具の収集要素が、少なくとも序盤から中盤に掛けては形骸化してしまうので、防具の収集を楽しみたければあえて導入しないという選択をするのもアリかも知れない。
      • しかし、メインストーリークリア後(第六章以降、マルチの場合は進行度六以降相当)は徐々に防御性能が足りなくなっていき、その辺りからは王道の法衣よりも強力な防具も徐々に作成出来るようになるので、ある意味では本作のプレイを始めた直後のプレイヤーに対するサポート要素とも言え、上記の双刀のように他が産廃扱いされるほどの悲惨な状態にはなっていない。
  • 鍛冶屋で武器・防具の製造および強化のラインナップに新しく追加させるには、それぞれに設定されたキーとなる素材を最低1個入手する必要がある。未入手だとリスト上では「???」表示となり、どんな武器や防具が作れるのか、そしてそれを作るのに何が必要なのかがまるでわからない。
    • 本作の場合、素材名の多くは「○○(鬼の漢字表記)の××(部位など)」(例えばカゼキリから「風切の爪」)となってはいるが、討伐後の本体や全部位破壊報酬で得られるレア素材などは軒並みそれから外れている*15ため、キー素材を手に入れなければ何が必要かわからない。ようやく判明しても、どの鬼が落とすのかわからないのも少なくないため、「あの鬼を倒して武器(防具)を作ろう」といった目標が立てづらく、プレイのモチベーションを保ちにくい。
      • また、NPCの愛用している武器を作るにしても、何故か条件を満たした上でNPCがくれる特殊な素材では作成のラインナップに追加されず、小型鬼の素材がキー素材になっていたりするなど、キーに設定するアイテムがおかしいといった不満も。
  • 頭装備をすると例外無くその装備専用の髪型へと強制的に変化してしまう為、髪型・髪色のエディットが殆ど意味を成さなくなる。しかし防御力や組み合わせスキルの問題もあり、頭装備をつけないのは考え物。
    • 現在はアップデートにより、頭装備の表示/非表示を選択出来るようになった。
  • DLCとして配信されている限定の防具やミタマが多いが、このゲームに触れるのが遅かった、あるいは雑誌を入手できなかったなどの理由で入手し損ねてしまうと取り返しがつかなくなってしまう。
    • 他のゲーム作品によってはある程度期間がたってから、雑誌付録扱いのDLCも含めて有料で販売するケースもあるが、本作ではそのようなフォローが一切なされなかった。
      • 体験版や最初期の関連コンテンツでのみ入手可能な防具やミタマなどは体験版や関連コンテンツをリアルタイムでプレイしていない場合、その時点で入手手段が失われてしまう。
    • 雑誌付録扱いのコンテンツは後日、別号で再配信などのフォローもあったが、コーエーテクモの側で時限で配信されていたものはそれすらもない。
      • せめて有料という形でも雑誌付録扱いのコンテンツも含めて販売するなどの形で後からプレイを始めたプレイヤーにもフォローがあるべきだったのではないだろうか。
  • その他小さな不具合は多いが、度重なるアップデートで徐々に改善されている。現段階では、ステータス的にはほぼ別ゲームと言えるレベルでの改善がなされている。

総評

多少荒削りな部分はあるものの、ゲーム自体の完成度は非常に高く、それまで無かった「和風テイストの狩りゲー」としてユーザーから高い評価を得た。
目に見える不具合は大型鬼絡みといった程度で、普通にプレイしている分には目立ったバグにも遭遇しない。
狩りゲーそのものに対する好みは別として、UIの快適さや狩りゲーとしてのやり込み要素は充分満たしている。何よりも迫力ある部位破壊により強い爽快感が得られるアクションゲームである。

ただ、本作は体験版および発売直後の段階での評価はすこぶる悪いと言わざるを得ないもの*16であった。が、ω-Forceのスタッフがユーザーの声を真摯に受け止め、それを内容に反映させる形で高水準のゲーム内容に出来たという事も注目したい*17
DLCもボリュームと価格が適切*18であり、概ね好意的に受け止められている。無料のものも複数配信している他、オリジナルコミックも無料で配信している。

タイアップも盛んに行っており、『ソウル・サクリファイス』の衣装や魔物をアップデートで配信、ニコニコ静画によるミタマイラストコンテスト受賞作を無料配信するなど、積極的な販促も効果を上げている。『どこでもいっしょ』のトロのミタマも配信されている。
改善された体験版も配信中なので、まずは手にとって試してみては如何だろうか。

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最終更新:2022年07月17日 17:30

*1 このタイプの鬼は角などの装飾扱いの部位は再生しないが、鬼祓いが必要になる部位はすべて強化再生する。もちろん、タマハミ前に破壊できなかった部位も強化されて、部位のダメージも完全に回復してしまう。

*2 味方は悪影響は受けないが、攻撃そのものは味方にも接触判定はあるため、例えば双刀の双突や地襲が味方にヒットしてしまい、意図せぬ反動で浮いてしまったりと言うことは起こりうる。

*3 スタイル特性として「戦闘不能以外の状態異常になっている味方を攻撃するとその味方の状態異常を回復させる」というものがある(癒スタイル以外のキャラクターでは睡眠と気絶以外の状態異常は回復させられない)。さらにスキルを付けることで味方を攻撃することで気力を少量回復させたり、タマフリのクールダウン時間を短縮させることも出来る。

*4 体力が低い状態での復活となる。

*5 とじこのいらつめ。蘇我馬子の娘で後に聖徳太子の后となる。

*6 らいでんためえもん。大相撲史上最強と呼ばれる江戸中期の力士。

*7 一応タマフリの使用回数を全回復出来るポイントがマップ上に存在するが、原則、拠点エリアと他エリア1つの計2つしかない上、一度使えばその任務では二度と使えなくなる。

*8 瘴気で覆われたエリア。ここに入るとエリアに居る全ての鬼を倒さないと別エリアに移動する事が出来ない。

*9 プレイヤーキャラクターが男性の場合のみ、信頼度に関係なく禊場から追い出されてしまうキャラクターがいる。

*10 本編のラスボス鬼を他のモノノフ(NPC)の力を借りずに単独で討ち果たせというもの。

*11 基本的にストーリー上で初登場となる大型鬼の原種は、ゲーム中での登場演出がエフェクトなどを強化されたうえでムービーとして流れるようになっているのだが、本編のラスボス鬼の初登場はストーリーの絡みで通常の登場のそれと異なる形となるため、本来の登場シーンをその任務で再生している。同様の理由でラスボス鬼以外でも別の任務に出現ムービーが用意されている鬼がいる。

*12 おんけん・ちどり。NPCの「速鳥(はやとり)」の愛用している武器。作るのに必要となる素材の中に特殊な条件を満たさないと入手出来ない物はあるが、その条件を満たすのも特別難しくはなく、作成時に必要となるハクも安いので割合作成が容易。

*13 クリティカルヒットの出やすさも攻撃力も最大まで強化してから本領を発揮する。初期状態であればそこまで高性能と言うほどではなく、こちらも強化による上昇幅の大きさが大きな影響を与えている。

*14 攻撃力が僅かに千鳥より高く、会心の出やすさも微量下がる程度

*15 ツチカヅキの「希少鉱石」など、下手すれば領域で拾える素材とも思える素材もある。ゲーム中では素材のカテゴリ毎にアイコンが分けられているので実際に間違えることはないが…。

*16 狩りゲーの先達を参考に出来るはずなのに、高威力な上に多段ヒットする攻撃がやたらある、体力が異常に高すぎる鬼がいる、攻撃力が明らかに異常な高さな鬼が多い…等、バランス調整が壊滅的であったり等。

*17 この評価もあくまで「狩りゲーのデビュー作としては」という断りが付くものであり、完全版・追加ディスクを出すのであれば、ゲームバランスやシステム面やらのあらゆる面に改良して欲しいとする点が様々なユーザーから多く挙げられていた点は補足しておく。

*18 追加クエストは配信直後は無料/期間後は有料であったので新規が入りづらい空気は出していた。