ウィンズ・オブ・サンダー

【うぃんず おぶ さんだー】

ジャンル シューティング
対応機種 PCエンジン スーパーCD-ROM2
発売元 ハドソン
開発元 レッドカンパニー(レッド雷門)
発売日 1993年4月23日
定価 7,800円
配信 バーチャルコンソール:
【Wii】2008年6月10日/800Wiiポイント(税5%込)
【WiiU】2015年10月21日/838円(税10%込)
PCエンジンアーカイブス:2010年8月18日/800円(税5%込)
判定 良作


概要

  • ファンタジー世界を舞台とした、ライフ制横シューティングゲーム。綿密に描かれたドット絵と自機が空飛ぶ騎士と言うのが印象的だが、何よりヘヴィメタル調のBGMが人目を引く。
  • タイトルの類似性からハドソンの名作横STG『ゲート・オブ・サンダー』の続編としてよく扱われているが、世界観やストーリーのつながりなどは一切ない。強いて言えば中心となった開発スタッフ(レッド雷門)が共通しているくらいである.

ストーリー(OPデモより)

平和であったミストラルの地は今動乱の時を迎えていた。
地の果てより大神官長ソーンブルと6人の魔将軍に率いられたガルド帝国軍が忽然と現れ、
ミストラルの大地に侵略を開始したからである。
彼等の力は強大であり、烈火の如き勢いでミストラルの国々を次々と陥落させていく。
彼等の目的は創生の時代、至高神ファリーナと伝説の英雄デューによって
ミストラルの6つの大陸に封じられた暗黒神ザガードを復活させザガードの支配する暗黒の世界を作り上げる事であった。
ミストラルの人々は最後の希望を一人の剣士に託した。
その名は、ランディー。伝説の英雄デューの血を引く最後の剣士。
彼は伝説のデューの鎧を身にまとい単身ガルド帝国軍に向かっていった。
果たしてランディーはガルド帝国軍を倒し、暗黒神ザガードの復活を阻止する事ができるのだろうか。
  • これが機動戦士ガンダムのナレーション風に永井一郎氏の声で読み上げられる。
  • 要約すると「悪い帝国が世界を征服して邪神を復活させようとしてるので、英雄の子孫である主人公が立ち向かう」という単純明快なストーリーである。

システム

  • ゲーム開始後、攻略ステージである6大陸のいずれかを選択する。
    • ロックマンタイプ。クリア後、次のステージも任意で選択でき、全大陸クリアするとラストステージへ移行。
  • ステージ開始前に火・風・地・水の鎧からいずれかを選択。
    • 鎧に応じてサブショットが変化する。サブと言いはするもののメインショットよりも威力が高い。
    • サブショットは一定の敵を倒した際に出現するアイテムを一定量回収する事でパワーアップする。(レベルゲージは 緑:LV1 黄:LV2 赤:LV3)
    • 風は貫通性・地は威力・水は攻撃範囲に優れており、火はLV1が水・LV2が風・LV3が地のような性能になる。
    • ダメージを食らうとパワーダウンしていき、最終的にはサブショットLV1になるが撃つ事は可能。(ラスボス戦のみパワーダウンしない)
    • どんな状態でも敵に接近すると威力がそこそこの剣攻撃に切り替わる。
  • 鎧選択後に買物が可能。
    • 敵を倒すとクリスタルが出現。これが通貨となっている。
    • 買物アイテムはライフ回復・サブショットLVゲージUP(LV1・2とありゲージ増加量が異なる)・エリクサー(死亡時にその場で復活出来る)・バリア(耐久力1・2・3と分かれる)・ボム(ステージ中の補給は、ラスボス前の全回復以外は無い)・砂時計(コンティニュー回数を増やす)等様々。
      • ライフは敵が落す回復アイテムでも回復できるが、回復アイテムはステージ中に1~2個しか出現しない。

評価点

  • 4種類の鎧は全く違うパワーアップ形態を辿るので、ステージ毎の切り替えをする事で異なった展開と戦略面に長けている。
  • 難易度はそれほど低くはないが、裏技による救済手段もあるため初心者にもお奨めである。上級者用の撃ち返しあり難易度SUPERもある。
  • 綿密に作られたドットグラフィックはなかなかのもので、キャラの挙動も一つ一つが丁寧に描かれている。
  • BGが一枚しかないPCEで擬似多重スクロールを実現している。巨大な敵キャラがいくつも出現しても全く処理落ちせず、その技術力は驚異的である。
    • 最高難易度では誇張抜きに敵弾が画面を埋め尽くすが、ほとんど処理落ちしない。もはやスプライト性能の限界を超えているとすら言えよう。

賛否両論点

  • 本作ではほとんどの場面でヘビメタ調のBGMが流れるのだが、曲単体での評価は高いものの、本作のファンタジー系の世界観に合っているかどうかは好みが分かれる。
    • この熱い曲が気分を高揚させてくれるという人もいるが、やはり合わない人には本当に合わない曲ではある。
    • 実はヘヴィメタルには、ファンタジー系の世界観を前面に出すバンドが少なくない。RPGのパッケージと大差がないようなジャケット絵も多い。それを理解している人にとっては、世界観に合致したBGMとして受け入れられるだろう。
    • 本作のBGMは、ヘヴィメタルにクラシックの要素を取り入れた、ネオクラシカルメタルに分類される。
    • 作曲者はT's music(宮下智)。

難点

  • せっかくの属性の使い分け要素が十分に生かされていない。
    • 火に対する水のように属性によって効果が増減する仕様ではないため、結局一番強い属性を使い続けた方が攻略が楽になってしまう。
    • 敵がとにかく硬く、正面からぶつかると確実に打ち負かされるため、斜め方向への攻撃の出来る鎧とそうでない鎧とで難易度に大きな差が出てしまう。
      • 極端な話、アースアーマー以外はラスボス戦以外存在意義がないと言っても過言ではない。
  • プレイヤーの腕前が上達すると簡単に所持金がカンストしてしまう(上限は1万)。ALLクリア時に所持金がボーナススコアとして加算されるので、上限は無い方が稼ぎプレイは熱くなったはず。
    • もっともよほどのケチケチプレイをしない限り、通常ではMAXに達することはほぼないが。
  • 敵に近寄ると自動的に斬撃が出てしまう。斬撃は攻撃速度が然程早くなく、威力もそこそこなので斬っているモーションと同じ攻撃時間であればメインショットを当て続けた方が威力が高い。せめて弾消し効果付きで任意で出せれば・・・。
    • 敵は遠慮なしに弾をばらまいてくるので、1対1での攻撃しか出来ない斬撃は本当に使い勝手が悪い。
  • 全編を通じてストーリーの演出がまるで足りていない。
    • 折角ファンタジー世界観での壮大なストーリーを用意したというのに、作中でランディーとボスたちとの間でのやり取りがある訳でもなく、ラスボスの暗黒神ザガードもセリフが一切無い。ラスボス戦前で女神がランディーに語り掛けてくる場面はあるのだが、それにランディーが応えるような事も無い。
    • エンディングも手抜きだと言える程の、あまりにも味気無い内容である。戦いを終えたランディーの下に、恐らく恋人だと思われる女性が駆け寄ってきて、それで終わり。
    • またエンドクレジットに声優の名前が記載されていない。声が流れる場面はそれ程多くは無いとはいえ、制作に関わってくれたのだから最低限の礼節として、名前くらいは載せるべきではなかったのか。
    • ナレーションは永井一郎氏で間違いないだろうが、店員と女神の声優は不明。

総評

  • 戦略要素にあまり意味がない等、荒削りな部分も散見されるが、全体的な完成度は、良作が多いことで知られるPCエンジンSTGに相応しい。
  • 現在では配信で容易にプレイ可能なので、興味があるなら遊んでみてもいいだろう。


その他

  • パッケージイラストを手掛けたのは『攻殻機動隊』などで有名な漫画家の士郎正宗氏。
  • 海外版のタイトルは『Lords of Thunder』。海外版PCエンジンであるTurboGrafx-16にて日本と同年に発売された他、2年後の1995年には海外版メガCDであるSEGA-CDにも移植された。
    • TG16版はテキスト表記が英語化され、ナレーションや店員・女神のボイスがなくなっている以外はほぼ同内容。あちらではゲーム賞を受賞するなど高く評価されている。
    • SEGA-CD版はBGMがアレンジ版に変更され、一部キャラ名等の固有名詞が変更されている。またナレーションと店員に英語ボイスがついた(女神はボイス無し)。同時発色数の低下からグラフィックが若干劣化している他、処理落ちや被弾時の硬直無敵とパワーダウンの低下減少などの仕様変更により難易度が下がっており、TG16版の劣化移植と評する声が多い。
  • ちなみに前作『ゲート・オブ・サンダー』と本作を開発したスタッフ*1は、本作発売後有限会社シーエイプロダクションを立ち上げている。
  • 現在はPS3/PSPの「PCエンジンアーカイブス」で配信されている他、復刻版ミニゲーム機である「PCエンジン mini」に海外版が収録されている。
    • Wii/WiiU「バーチャルコンソール」版はサービス終了により現在は購入不可能。
+ タグ編集
  • タグ:
  • STG
  • 横シューティング
  • ハドソン
  • レッドカンパニー

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最終更新:2024年04月12日 09:11

*1 大半がかつてテクノソフトの『ヘルツォーク・ツヴァイ』、『サンダーフォースII』や『サンダーフォースIII』等の開発スタッフだった。ちなみに開発を手掛けた「レッド雷門」は『ゲート・オブ・サンダー』及び本作の開発を目的として作られたレッドカンパニーの内部開発チームで、チーム名と『ゲート・オブ・サンダー』のタイトルは東京都台東区浅草にある浅草寺の近所に開発拠点を構えていたことから、浅草寺の山門である「雷門」を由来としている。