デビルサマナー ソウルハッカーズ

【でびるさまなー そうるはっかーず】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 セガサターン
メディア CD-ROM 2枚組
発売・開発元 アトラス
発売日 1997年11月13日
定価 6,800円(税別)
判定 良作
ポイント オカルトとサイバーを両立させた傑作RPG
前作よりはるかに遊びやすくなったバランス、システムも高評価
女神転生シリーズ

概要

現代を舞台に、コンピューターを使って悪魔を呼び出し使役する者達の非日常の活躍を描く『デビルサマナー』シリーズの2作目。
1つの都市を巻き込んだ陰謀に悪魔使いの主人公が関わっていくという大枠はそのままに、「ネットワーク社会」「ネイティブアメリカン」などのモチーフを導入し、前作のクールな持ち味を引き継ぎつつ発展させ、全く新しいサイバーパンクシナリオが構築されている。

キャラクターデザインを金子一馬氏が担当し、それを元に副島成記氏がゲーム内グラフィックを描くという形がとられている。この構成はペルソナ2罪・罰にも引き継がれている。

ストーリー紹介

舞台は次世代情報化モデル都市としてネットワークと個人用無償端末が整備された天海市。主人公は天海市を拠点とするハッカー集団「スプーキーズ」に所属する18歳の少年である。
あなたは幼馴染で同じくスプーキーズで活動するヒトミと共に、天海市が計画して一般公開前から大人気となった仮想電脳都市サービス「パラダイムX」のモニター権をクラッキングで入手した際に、「レッドマン」と名乗る正体不明の人物から警告通信を受ける。
パラダイムXにログインした主人公は、レッドマンによってビジョンクエストという幻視を通じて他者の人生を追体験させられる。そこではあなたは「ウラベ」と名乗り銃型のコンピューター「GUMP」を使用して悪魔を召喚するデビルサマナーであった。彼は所属する組織「ファントムソサエティ」を裏切って殺される。
リーダーのスプーキーがアジトに持ち込んだ銃型コンピューターはウラベのものだった。そこから出現した悪魔であるネミッサがヒトミに取り憑いてしまう。
スプーキーの救援依頼を受けたあなたは、ヒトミ/ネミッサと共に異形の悪魔やダークサマナーとの戦いに巻き込まれる。やがてスプーキーズはこの街の裏に潜むファントムソサエティの謀略に関わっていくことになる。

評価点・前作から改善された点

システム面

  • 前作『真・女神転生デビルサマナー』とは打って変わって、女神転生系列作品にしては難易度がやさしめで、かつあらゆる面で親切な仕様になっており、多数の新規ファンの獲得に成功する。
    • 例としてはCOMPの仕様。インストールソフトで様々な機能を追加搭載できたり、簡単な合体くらいならできたり、とシリーズでも有数の多機能ぶりでダンジョン探索の助けになる。
      これらのソフトを使用することで、遊び方を自分で選択することができる。
      • 特に画期的だったのは、どこでもセーブが可能になるインストールソフト「バックアッパー」である。女神転生系の作品は(特に後半の)ダンジョンが広大で3Dダンジョンという特性上迷いやすく、攻略に数時間を費やすこともあるため、これは本当にありがたがられた。
      • バックアッパーそのものは前作にも存在したが、消耗アイテムなうえ1個しか持てなかったので、気軽にセーブするというわけにはいかなかった。
    • 仲魔の忠誠度上昇システムは、前作では性格付けという側面が強すぎて扱いづらかったが、本作では性格システムと統合された上で簡略化され非常にわかりやすいものになった。
      • 戦闘中の行動を決める性格が物理攻撃型の「獰猛」・魔法攻撃型の「狡猾」・防御型の「友愛」・臨機応変型の「冷静」・自分勝手な「愚鈍」・造魔専用の「虚心」に整理され、それぞれが好む指示を与えるだけで忠誠度が上がるようになり、複雑な条件は廃止された。
        さらに「GO」の時の仲魔AIも賢く(性格「愚鈍」は除く…)なった。
      • こうした性格システムも、ゲーム中でガンガン説明される。さらに、アイテムを使うことでプレイヤー自身の手である程度自由に操作することも可能。
  • 合体システムも、複雑化の一途を辿っていたものを整理した上で「威霊」「狂神」といった新要素を追加し、シンプルかつ奥行きの深いものに再編成された。
  • きめ細かく練られたゲームバランス
    • 本作で最も突出しているのは細かな数値的バランスの調整である。
    • とにかく難易度的な面でダレさせず詰まらせずの絶妙な調整がなされている。
      必要十分な難易度を残しつつ、不便な部分は改善し、敵の配置やステータスの調節が行き届いている。前作に見られた調整不足感はほとんど感じられない。
      • 全体的に親切な設計も見どころ。「開幕ムドオン」や「マイトブレス後にアギラオ」(要するにシリーズおなじみ即死攻撃)といった『女神転生』シリーズの系譜をしっかりと踏んだ歯応えのある戦闘もある。これを踏まえて、呪殺攻撃が激化するダンジョンの近くでは、それを無効化する防具が売り出されるなど、しっかり対策できるようになっている。
      • シナリオに無駄がないのもあるが、難易度曲線や攻略テンポが上手く組まれていて、周回プレイ時にも全く不満を感じないほどである。
      • 開発者インタビューによると、プログラム等の設計は早めに確定させ、バランス取りに多くの時間を費やしたという。
    • ダンジョンギミックも段々凝った内容になっていき、プレイヤーの腕前を試すかのような作りになっている。
    • 「魔晶変化」システムを活用すると前半から非常に有利にゲームを勧めることができるが、これもやり過ぎとは感じられず、かなり絶妙なラインである*1
      • 「王国屋」の依頼をこなすことで中盤からレベル差を無視した強力な仲間や装備を手にすることが可能。解禁タイミングからして意図的な仕様である。このようにやり込み次第で「お得感」を得られる仕組みも存在する。
    • 主人公のパラメータは力を無視して運を増やすなど割とどこに振っても大丈夫なように出来ており、攻略スタイルに柔軟性がある。
    • ブフ系が不遇と言われるパートナーの戦闘タイプ選択も、ある程度自力で難易度を選択できるような代物である*2
  • 本篇エンディングの後に特殊なダンジョンに行け、全てのボスを倒したら2周目に突入できるようになった。2周目では悪魔合体可能なレベルの制限がなくなるが、被ダメージ量が増加し高難易度化する。また商店でミニゲームができるようになる。
  • 新要素「ビジョンクエスト」のシナリオの評価は高い。
    • ビジョンクエストとは、戦士として実力がありながら不遇の死を遂げた者の人生を追体験するものである。
    • ビジョンクエスト時の行動で、後に主人公に対して何らかの影響を与えるが、最後のビジョンクエストだけはラスボスの特徴に影響する。
    • 計3回あるビジョンクエストは、どれもが高レベルの別人を操作してのダンジョン攻略という内容。着目すべき点はその攻略するダンジョンというのが、後に必ず主人公が向かうことになるダンジョンであること。つまり事前に高レベルのキャラを操作してこれから行くダンジョンのチュートリアルができる、というわけである。
      • ビジョンクエストで攻略するダンジョンは「最初のダンジョン」「これまでに比べて一段と広いダンジョン」「ラストダンジョンの前半部分」というゲーム攻略上の鍵になる場所である。ただし、ビジョンクエスト時と主人公が向かう時ではプレイヤーの性能以外にもダンジョンの構造に差異があることもあり*3、飽きさせないよう工夫されている。
    • 一口にサマナーと言っても三者三様に毛色が異なっており、この中でも「ナオミ」は(プレイヤー視点で見て)「チート」「最強」だと言われている*4
  • 戦闘開始ロード時間が短い。
    • この頃はまだCDを使ったゲームの開発に慣れていないメーカーが多く、RPGでありながら戦闘突入時に長時間のロードが挟まれるゲームは珍しくなかった。が、本作は移動 ⇒ エンカウント演出の流れの間にロードを高速で行っているのでスムーズに戦闘画面が表示される。

シナリオ・設定・演出面

  • 携帯機器やインターネットの普及を見越したかのような世界設定、仮想世界にのめり込み過ぎて自分を見失うモブキャラなど、製作陣の先見の明が窺えるシナリオ構成は高く評価されている*5
    • 仮想世界で現実とは全く異なる姿のアバターを使って会話する者、ネットで自分の経済的優位性を誇示する(見栄だか本気だかわからないような)者、匿名で愚痴を吐露する者、胡散臭い裏取引に従事する者(主人公もその一人となる)など今日では当たり前となった光景がある。
    • 「ネットは新たなコミュニケーションツールとなる可能性を持っていたが、結局人間性の粗悪な記号化を成しただけだった」という、現在におけるインターネットの負の側面をぴたりと言い当てた台詞も存在する。
      • 本作の開発時期はWindows 95が発売されて人気となり、パソコンが技術を持たない一般人のものとなっていく時代の幕開けと同時期だった。
      • 情報端末はデスクトップ機器がメインであり、携帯性に富んだ個人用無線端末がネットの主流となった現在からすると、本作の未来予想図はガジェット的には隔世の感がある*6
  • 街全体がネットワークで接続された都市というロケーションは、コンピュータを使って悪魔を呼び出すという女神転生シリーズの根幹的なアイデアを活かすのにこれ以上ない舞台設定である。
    • オカルトとテクノロジーという両立しがたいものを両立させる試みは、電脳空間とアナログな「魂」といった対抗的なモチーフを結びつけることで、単なるアクロバシーとしてではなく、まるで必然であったかのように高度に果たされている。どのような世界が描き出されたのかは是非実際にプレイして確認してみて欲しい。
  • ビデオゲームのシナリオとしては殆ど無駄がなく、開幕から結末まで一本の滝のように流れていく構成である。
    悲哀、挫折、不信といった感情が交錯し、ドメスティックな要素も込められている。
    • 敵組織であるファントムソサエティは前作から構想が存在したらしく、人類史に古くから干渉し続けている「イルミナティ」を意識したような(というよりほぼそのままな)裏設定が存在している*7
  • 前作から引き続き、癖のある怪しい住人、そして本作のイメージにあったクールなキャラクター・サブキャラクターが登場する。
    • 主人公が所属するスプーキーズは若者の集まりであり、今作のカラーの中心となっている。彼等にもそれぞれドラマが存在する。
    • 主人公と敵対したりビジョンクエストで垣間見ることになるダークサマナー達はどれもスタイリッシュで個性的な面々。
    • 重要人物である門倉は若くして急成長したコンピューター会社の経営者であり、その経歴や名前は「ビル・ゲイツ」がモデル。
    • 裏社会の人間であるサマナーに協力するショップなどの施設キャラもまた、癖のある連中ばかりである。前作と比べるとうらぶれたアングラの雰囲気は減少したが、一般的な風景の裏側に悪魔の関わる世界がある身近さは健在。
      • 豪華客船となった合体施設「業魔殿」では、合わせてヴィクトルも船長になり、オシャレな船長ルックに身を包み「業魔殿へヨーソロ」というインパクトのある名台詞を放つ。
    • 怪しい住人ばかりではなく、主人公の家族は極普通の人間である
    • 会話する悪魔たちの個性も強い。口調タイプでは、スタッフの礒貝正吾氏のメモをモチーフにしたという「行きたいね、○○(現実の地名)」「ダメダメくんだね、チミ」といったシニカルだが憎めない台詞回しが特徴の「ガインくん」が人気を呼び、『真・女神転生III』や『葛葉ライドウ』シリーズ、『デビルサバイバー2』などに使われるまでになった。モコイ、オバリヨンはガインくんの代名詞となっている。
  • シリーズ屈指の人気キャラ「ネミッサ」「メアリ」も登場した。
    • ネミッサは実体を持たない女悪魔であることから、主人公の幼なじみ「ヒトミ」に乗り移って主人公と行動することになる。また冒頭のヒトミの性格についての問いかけによって、習得する魔法タイプが異なる。
    • メアリは悪魔合体を取り仕切っている人物に仕える、美しくも無感情なメイド。話が進行する毎に徐々に心を開いていき、PS版の追加イベントでは微笑を見せてくれる。
  • カットイン映像で出てくるハッキングシーンは、単なるビット情報のやり取りに過ぎない通信やサーバーのディレクトリ構造を視覚的で物質的なサイバースペースとして表現している。
  • 敵にとどめを刺した時に、斬撃・打撃・銃撃・火炎等の各種属性攻撃でそれぞれ異なった消滅していくエフェクトになる。
    • それにあわせてか、敵の断末魔も数種類用意されており、とどめに応じて異なった声が聞ける。
      • 特に、打撃攻撃で敵を倒すと悲鳴を上げながら場外にすっ飛ばされていき、人間ボスがこれで倒される様はシュールである。
  • ゲームオーバー時の演出がレッドマンとの対面になった。
  • オープニングムービーは非常に完成度が高くサイバーパンクな世界観とよくマッチしており、今なおファンに愛されている。

賛否両論点

  • ダークゾーンでマップが見やすくなるインストールソフトの存在が空気。完全に視界ゼロだったFC/SFC時代・照明が完全に落ちたようなリアルな暗さのあった前作と違い、本作のダークゾーンはオートマップで詳細がわからなくなるだけでしかない*8
  • 最高位の悪魔はレベルが高過ぎ、仲魔にするのが難しい。
    • 本編クリア時のレベルは良くて60台、隠しダンジョンをクリアしてようやく70台といったところ。だが、最高位の悪魔には80レベルを超えているものが何体かおり、合体のレベル制限が解除される2周目プレイでもなければ実用はほぼ無理。
      • もっとも、『女神転生』シリーズにおいてそのような事は日常茶飯事*9であり、高位レベルの悪魔は"作成すること"自体が1つの目的でありやりこみともいえるので、これをどう見るかはプレイヤー次第。また、本作より搭載された要素として、クリア後の2周目では自分のレベル以上の仲魔も作れるようになったため、やり込みを重視するプレイヤーからは問題視されることは少ない。
  • 交渉時、特定の交渉用アイテムを要求され続ける
    • 特定口調の悪魔に対し、アイテムと引き換えに必ず仲魔にできる「おかしの長ぐつ」(子供口調の悪魔用)や「すいせんの花」(女性口調の悪魔用*10)を持っていると、該当悪魔との最初の会話は必ず「そのアイテム頂戴」という旨の会話になり、手放さない限り要求は続く。
      • かといって自宅やアジトに預けるといったことも出来ない。「アイテムはあるが、通常の会話で仲魔にしたい」というコレクター気質のプレイヤーには不便な仕様である。
      • アイテムを渡さないで会話を続けることも出来るが、友好度が低い状態で会話が始まり、選択ミスで目当ての悪魔の撤退、交渉決裂、奇襲を受けるなどリスクのほうが大きい。
  • 一部クエストについて
    • 今作は女神転生では珍しく低難易度だが、とある箇所にて混乱が生じた所がある。中でも当時話題になったり質問や混乱が多かった事例のいくつかあげてみると…。
    • 1つ目「星座クイズ」は、まず10秒という制限時間が実はある。「黄道上の第1宮は なに座?」…答えは「魚座」だが、おなじみの星占いや聖闘士星矢の黄金聖闘士編から入った人だと「おひつじ座」と答えてしまう。これで選択肢におひつじ座が無ければ引っかかりにくいのに、ご丁寧にも入っている。そしてネットで検索してもWikipediaですらおひつじ座から記載されている為に、余程の知識が無いと魚座にはいけない。
    • ''2つ目も「星座クイズ」'から。「この中で夏の星座はどれ?」の設問で答えが無い様に思える。正解は「射手座」だが、星占いの射手座は11月23日~12月21日なので星占いから入ると混乱が生じてしまう。といってもこれは星占いの時期は太陽がその星座の付近を通過する時期、見える時期とは半年ずれるということを知っておけばいい。中学校の理科の問題の範疇である。
      • ただしこの星座については同ダンジョンの通り道にある星座の展示物にすべてヒントが書かれているので、理不尽や難解というべきではない。このクイズの前段文にも「展示物の理解度クイズ」として書かれている。
    • 3つ目「窓辺のチェス」は、対ジャグラー戦の直前にご丁寧に対策アイテムの「ディクローズの石」を宝箱から取れるが、これは消耗品であり、またソウルハッカーズのアイテム管理上、アイテム欄の下の方に追加されることとなる。心理的に使いづらい。
      • 『ボス戦で直前に攻略アイテムを用意、しかもジャグラー本人が「魔法を使えなくするよ」と、まさかのほぼ解答の様なヒントをくれる』という至れり尽くせりな激甘な攻略場所のはずが、これまで手応え歯応えの高かった女神転生フリークにはまさかの逆に働いてその激甘ヒントに気づかない人が続出。当時攻略サイトで「ジャグラーが倒せないんですけど?」という質問があふれた所も多かった。
    • 他にも今作の低難易度のひっかけの様な箇所がある。

問題点

  • 造魔の仕様
    • 本作では最初に合体させる悪魔によって成長後の形態が変化し、各々の耐性や習得可能なEXTRA(魔法以外の特殊技能)が変わる。が、形態ごとの格差が大きい。
    • 特に問題なのが天使型。「物理攻撃に弱い」という防御耐性でありながら、習得できるEXTRAは物理攻撃を受けやすい前衛からしか使えないものばかり。耐性と内容が合っているとは言いがたい。
    • 逆に龍型は耐性面に隙が無く、形態ごとの能力値ボーナスも優秀と至れり尽くせりな仕様となっている。
    • なお育成を突き詰めると、「癖はあるが強力な補助EXTRAのある人型」「飲酒時限定で裏ボスを一撃で全滅寸前に追い込む壊れEXTRAをもつ獣型」「月齢限定の多段物理EXTRAと優秀な補助EXTRAを併せ持つ天使型」と比べ、飛び抜けた性能を持たない龍型は最終メンバーには残りにくい。シナリオ攻略中とは一変、クリア後の評価ならば最下位と言ってもよく、使い分けが大事である。
    • 何を継承させられるのかといったレファレンスもゲーム内に存在していないため、攻略情報を見られる人用のやりこみ要素のようになってしまった感がある。
      • とはいえ、適当に合体させても「クリアまでノーコストで連れまわせる肉壁」程度には使えるので不要というわけではない。
  • 不便なUI。合体時の選択画面でステータスを確認できなかったり、ステータス画面で所持スキルの詳細を確認できなかったり、ステータスを閲覧する時に一体見る毎に閉じて再度選択する必要がある(詳細画面をスライドできない)など。
    • 戦闘中に装備品を変更することが出来ないので、反射される武器や敵の攻撃に弱点となる武器をつけていると地獄を見る。弾丸を入れ替えることも出来ない。
      • また、銃弾のリロードがメニュー画面から装備選択で再装備することでしか行えず、戦闘終了の度に装填するのが手間となる。
  • 本作の仲魔のストック数はイベントで増加するが最大12体。1体は悪魔の生成に関与できない造魔が入るので造魔を捨てなければ残り11体となり、ここから精霊や御霊素材、依頼用の悪魔や攻略用メンツなど考慮すると十分とは言えず、非常にやりくりが厳しいものとなっている。
    • パーティー編成でこまめに合体することを思うと素材集めの面倒臭さも馬鹿にならず、一々業魔殿とシーアークを行き来したり、エンカウントの過半数となるDARK悪魔(ダーク・マンで交渉対象にはなるもののダーク合体は結果が限定されるため素材としてはコツが必要)をやり過ごしてNEUTRAL悪魔と交渉して…などとやっていると本当にこのストック制限が面倒に思えてくる。
      • 後述の移植版で悪魔全書が登場するまで、実に長い間悪魔の管理が面倒だった。
  • パラダイムX突入や合体時などスキップできない演出シーンがこまめに挟まれ、やりこみプレイをしたりやり忘れたことをやる時にテンポが悪いと感じさせられる。

総評

ハードボイルドを志向した前作から一転し、サイバーパンクとなったデビサマ。
「10年後のネットを予見した」と言われる質の高いシナリオ、遊びやすいUI、易しすぎず難しすぎないゲームバランスと、「『女神転生』シリーズは初めて」という人にも安心しておすすめできる傑作である。
デザイン、BGM、モチーフなどビジュアル的な部分(ガワ)が全面的にスタイリッシュになっているだけでなく、デジタルな方法で悪魔を呼び出すメガテンとしても、現代物としても、オールドな日本型RPGとしてもやれるだけのことをやりつくし、作り込みの極まった完成形といえるだろう。
さすがに現在のゲームと比べるとやや不便な部分はあるので、現在プレイするのであれば後述の3DS移植版をプレイするのがいいだろう。


デビルサマナー ソウルハッカーズ (PS版)

【でびるさまなー そうるはっかーず】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚組
発売・開発元 アトラス
発売日 1999年4月8日
定価 6,800円(税別)
廉価版 PlayStation the Best
2000年7月27日/2,800円(税別)
PS one Books
2003年1月23日/2,000円(税別)
判定 良作

特徴(PS)

  • 新規イベントやカジノ、SS版では懸賞で当選しなければプレイできなかった隠しダンジョンなども搭載。
    • PS版の新要素はおおむね好評だがBGMが若干劣化し、一部曲(ボス戦の曲や宝箱の敵との戦闘曲など)のカットに加え全般的にロードがSS版と比べて長い*11という欠点がある。
      • また、ビジョンクエストでの戦闘勝利ファンファーレがミスにより互いに別人のものに入れ替わっている。
  • ポケットステーションにも対応し、ミニゲームで「P-メッチー」を育てることができるようになった。育成終了後は悪魔に変化し、仲魔にできる。

デビルサマナー ソウルハッカーズ(3DS版)

【でびるさまなー そうるはっかーず】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ニンテンドー3DS
発売・開発元 アトラス
発売日 2012年8月30日
定価 5,980円(税別)
判定 良作

特徴・評価点(3DS)

  • 基本的にPS版を基準とし*12つつ、音楽は全て好評であるセガサターン版のものを使用、戦闘終了の演出など音楽面はSS版を基準とした両機種の良いとこ取りとなっている。
  • 他にもアニメOPや声優陣によるフルボイス化、ロード時間の更なる高速化、すれちがい機能を利用したネメッチーシステム、悪魔全書・剣全書の追加、新ボス追加といった追加要素もある。
    • キャスティングやフルボイス化自体に不満な人はボイスをオフにすることも可能。オリジナル版のOPも収録されており、アニメOPと交互に流れる。
    • アニメOPは正直なところ不満の声が多く、もしオリジナルOPが収録されていなかったらさらに不満は高まっていただろう。
  • ネメッチーシステムで入手できる悪魔は旧作で登場した悪魔やライドウの小説で登場した悪魔等となっている。
    • 能力も序盤の合体用のカジャ所持から終盤のフルステ造魔用まで多岐に渡る。万能継承が増えたため、王国屋(悪魔を交換できる施設)で入手可能であるメギドラオンを覚えているピクシーの活躍の幅が広がった。
    • これまでは低レベルで継承できる悪魔が少ないため、最終的に能力の低い外道シャドウ以外に継承させられなかった。一応造魔に継承させる作戦はあるが、造魔にはこのピクシー以外でメギドラオンを使えるアリラトを合成させた方が大抵楽である。
  • 3DSの下画面にはオートマッピングによる地図が常に表示される。これに伴い、地図表示に関する魔法・アイテム・インストールソフトが削除され、それらを覚えている悪魔の魔法や該当アイテムの入った宝箱は別のものに差し替えられた。
    • これにより、マップが無限ループする不思議な空間やコンピューターの無い3人目のビジョンクエスト*13がものすごく楽になった。

問題点(3DS)

  • ネメッチーシステムはすれちがいの回数で悪魔をアンロックする方式なうえ、全開放までには100回以上すれちがわないといけないため、東京等大都市以外ではすれちがい悪魔の入手が非常に難しく、この仕様に批判が出ている。
    • 政令指定都市でも1日1人とすれ違えればいいほうで、地方では1か月以上経っても誰ともすれ違えないという人も少なくなかった。
    • さらに発売前に公式ツイッターで「すれちがわなくとも3DSのコインですれちがい悪魔は全部集めることができる」と取れる旨の発言をしていた事もあり、余計に批判が集まった。実際はコインで交換できるのはすれちがい悪魔を購入するための「Dソウル」だけである。
    • さすがに批判が多かったためか、発売から一年近く経った2013年8月7日に更新データがニンテンドーeショップで配布され、1日1度のみDソウルを消費してネメッチーの形態を一段階成長させることができるようになった。これですれちがいができなくても、ゲームコインを集めるだけで悪魔のコンプリートが出来るようになった。

余談

  • 作中のムービーの使い回しで構成されてはいるが、発売時に流れたCMも人気が高い。が、BGMとして使われている曲の声をあてている人が誰なのか不明で、公式の資料も紛失してしまったため、サントラなどに収録できないのだと言われている。
  • 『女神転生』シリーズは結構な頻度で4コマ・コミックアンソロジー化されているが、中でも本作は新声社のゲーメストコミックスからも4コマアンソロジー化された。ゲーメストの名の通りアーケードゲームのコミカライズを行っていた中、非常に珍しい家庭用ゲーム原作*14である。
  • この作品から女神転生はコンポーザーの増子司氏が未参加、または一部のみとなり、このゲームのCDライナーノーツでも「(戦闘曲が)『女神転生』らしく無いと言われる…」と嘆きの声が書かれている。

その後の展開

  • 2007年8月30日に携帯電話のiアプリにて、本作の半年後の物語を描いたシミュレーションRPG『デビルサマナー ソウルハッカーズ Intruder』が配信。同年10月1日にはS!アプリでも配信。
    • ストーリーは『ソウルハッカーズ』の事件から半年後、天海市で発見された新たな敵の前にハッカー集団「スプーキーズ」の面々が再び集うというもの。
      • 現在は配信を終了している。
  • 2022年2月に25年ぶりのナンバリング続編『ソウルハッカーズ2』が発表された。
    • 対応機種はPS5/XSX/PS4/One/Winで、2022年8月25日に発売された。

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最終更新:2023年10月16日 00:48
添付ファイル

*1 特にネコマタやトケビが非常に優秀な装備品に変化する

*2 ただし、選択肢の内容を攻略本やWebサイトなど外部情報を見ることが前提だが。

*3 故人は当然主人公より過去の時期に訪れているため。

*4 コマンド型RPGとしては反則に属するような信じられない召喚術ばかりを覚えているため。

*5 ちなみに1997年当時のインターネット普及率は条件にもよるが、4.5~7%程度(インターネット白書'97及び総務省資料より)である。

*6 もともと二、三年位先の社会を予想して制作されたとのことだが。

*7 『真・女神転生デビルサマナー公式ガイドブック・ファイナル』及び『デビルサマナー ソウルハッカーズのすべて Revision』より

*8 3D画面では少し暗いだけ。ダメージゾーンすら目視できてしまう。

*9 『真・女神転生』の魔王やセラフ、『if…』の魔神や魔王など。

*10 性格が少女タイプの場合、前述の長ぐつと同時に所持してる場合は此方を要求してくる。

*11 一応補足するとSS版がCDメディアとしては異常に早すぎただけで、PS版でも充分早い部類。

*12 公式に明記。ロード比較がSS版なのはロード時間が元々SS版のほうが早いので比較対象としている。

*13 この2箇所は迷いやすいつくりの上、オートマッピングを参照出来なかった

*14 家庭用ゲーム原作の4コマ決定版は本作とマリーのアトリエのみ。