ピクミン3

【ぴくみんすりー】

ジャンル AIアクション
対応機種 Wii U
メディア Wii U専用12cm高密度光ディスク
ダウンロードソフト
発売・開発元 任天堂
発売日 2013年7月13日
定価 パッケージ版: 5,985円
ダウンロード版: 5,700円
対象年齢 CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント 新たな3人の主人公で効率的に攻略
非常に美麗なグラフィック
初心者に優しくなったゲームシステム
ややボリューム不足なストーリーモード
『2』の要素の大幅縮小
ピクミンシリーズ

概要

2013年の夏にWiiUで発売された『ピクミン』シリーズ第3作。『2』から9年ぶりとなる。
元々はWii用ソフトとして開発されていたが、開発途中にWiiU用ソフトとして生まれ変わることになった。
前作から主人公が変更され、新ピクミンの追加を始め、様々な新要素が追加された。

ストーリー

星暦20XX年。深刻な食料危機に陥ってしまったコッパイ星の住民は食料のある星を探しあて、3人の専門家「アルフ」「ブリトニー」「キャプテン・チャーリー』にPNF-404と名付けられた惑星を調査させることになった。
調査員たちはその星で出会ったピクミンとともに食料を集めていくことになる。

特徴

  • 新ピクミン・新キャラ
    • 今作は「紫」「白」に代わって新たに『岩』『羽』のピクミンが登場し、さらに個性的な特徴を持っている。
      • 岩ピクミン
        ゴツゴツとした体が特徴の黒色のピクミン。攻撃力が高く他のピクミンでは破壊できない硬い物を壊せたり、敵の生物に潰されない耐久力もある。
      • ただし他のピクミンと違い、敵生物に張り付くことができないため、ボス戦では状況に応じて使い分けることが必須となる。
      • 羽ピクミン
        空中や水上の飛行が可能なピンク色のピクミン。全ピクミンの中で最も機動力が高く、高い部分の仕掛けを解けたり、地上の生物にあまり干渉されずに運搬することも可能。ただし五色のピクミンの中で攻撃力が最低という欠点もある。
    • なお、「紫」「白」はミッションモード、ビンゴバトルモードにのみ登場。
    • 主人公はコッパイ星からやってきたアルフ、チャーリー、ブリトニーの3人に変更。前作のオリマーやルーイに負けず劣らず個性的である。
  • ストーリーモード
    • 今作のメインモード。ピクミンシリーズ独特のテキストやキャラの会話も変わらず存在。
    • 日数制限が復活。エリアに落ちている果物を回収し、食料として確保することで日数制限が回復していく。果物の回収自体にノルマは存在せず、必要最低限でもクリアは可能。
    • 三人制なので、1人でやるのは困難な部分は、他のキャラと手分けして探索・討伐・運搬できる。
    • また、本作ではデータコピーをせずとも指定した日を遡ってやり直せるようになっている。
  • ミッションモード
    • 様々なミッションをこなしていくモード。「時間内にお宝を集める」「原住生物を倒す」「巨大生物を倒す」という計3種類のミッションがある。
    • 初回プレイではマップの把握すら難しいが、うまく立ち回りピクミンを段取りよく指示することでパーフェクトクリアも可能。その先はタイムボーナスを極めることになる。
    • 巨大生物との戦いはピクミンや時間の制限もあるが、ボスと好きな時に再戦できる。地形も同じため練習にもなる。
    • 今回はDLCミッションも存在。2013年12月に無料の追加ミッションと、有料の追加コンテンツが更新された。
    • 世界ランキングにも対応。日々世界のユーザーと競い合える。また2013年10月の更新で画面が一新され詳細な情報が表示されるようになった。
  • ビンゴバトルモ-ド
    • 対戦用モード。指定されたアイテムを集めてビンゴで対戦が出来る。
    • 相手にピクミンを投げたりと、対戦要素も搭載されている。前作は能力に差のない赤と青のピクミンだったが、本作では葉っぱの光でチーム分けされたため通常プレイ同様に色の使い分けが重要になった。
  • システム面
    • 豊富な操作形式
      • パッドオンリープレイやPROコンでの操作、Wiiリモコン&ヌンチャクにも対応しており、TVから離れてやる場合はパッド単独プレイ、パッドにマップを映しながらリモコンでプレイなど様々な状況に応じて使い分けられる。アップデートによりタッチペン操作に対応し、直感的に操作できるようになった。
      • また、マップをなぞり自動的に移動したり、エリアのどこに何があるかなどを確認できる。
    • ロックオン機能の導入。敵の生物に狙いを定めてピクミンを投げられる。また、ピクミンの操作に敵の攻撃を回避する回避アクションや、突撃アクションが追加された。
  • Miiverse
    • WiiUのSNS機能であるMiiverseにも対応。
    • またスクショを撮影できる。他のユーザーに見せたり、高精細なグラフィックを眺めて楽しめる。ゲームパッドから風景を隊員視点で見渡せるカメラモードも付いており、アップのピクミンの群れや隊員から見た原生生物などの景色も見られる。

評価点

  • 美麗なグラフィック
    • 現行機でもトップレベルの美しいグラフィック。ピクミンや原生生物もかなりリアルになっており、後者は気味の悪さにも磨きがかかっている。また、エリアの水や木々の美しさも相当なもの。
      • フレームレートは30fps固定だが、大量のピクミンを連れ歩いてもめったに処理落ちは起こらない。
      • 今作で初登場した原生生物はグラフィックの向上も相まってリアルな気味の悪さなどが出ていて好評。特にストーリーモードのラスボスは必見。
  • 快適な操作性・システム
    • ゲームパッドに広いエリアがマップに描写されることで探索や進行速度の確認が快適に。
      • 行ったことのあるエリアなら指示することでその場所まで自動で移動できるようになり、時間の無駄がなくなった。
      • また画面で起きたことはほぼ遅延なくパッドに反映される。作中で使われている端末扱いなので、ストーリーモードでは他キャラとの通信画面も映ったりと没入感を深める演出にも一役買っている。
    • ロックオン機能の登場により、好きな対象にロックオンしてピクミンを一気に当てることが出来る。敵だけでなく壊せる壁や大地のエキスの様なピクミンが反応する大抵の物に対応しているため便利。
    • 味方キャラが投げられるようになり、隊列の整理が楽になった。
    • 各色のオニヨンは発見した日の終わりに合体*1し、翌日以降全色のピクミンを同時に引き出せるようになった。
  • ピクミンの転倒と花が散る要素が廃止された。
  • ミッションモード
    • ピクミンシリーズで恒例だったスコアアタックなどのやりこみ要素をインターネットによるランキングで競い合えるようになったのは大きい。
    • また、DLCで発売当初よりもボリュームはかなり増えている。一部無料配信もされているのも親切な所。
    • ポーズメニューに従来の「諦める」だけでなく「初めから再挑戦」が追加されて再挑戦をしやすくなった。
      • 前作にあったコースから脱出する様子が映し出される無駄な演出も廃止された。
    • 前作で問題視されていた運要素が大幅に削られ、実力重視の設計へと変更された。
      • 地形や原生生物・果実などの配置は全て固定されており、タマゴの中身も固定され前作の「タマゴムシ」に相当する生物や要素も撤回されている。
      • 一応、原生生物の動向や細かな初期配置など、運要素が全く無いわけでは無い。
  • Miiverse
    • Miiverseを生かしたゲームとの連動要素も好評。他ユーザーとのコミュニケーションやスクショの見せ合いも可能。
    • また美しいグラフィックで描写されるピクミンや原生生物のスクショを撮れるようになったのは嬉しい。
  • キャラクター性
    • 本作の主人公である「アルフ」「ブリトニー」「キャプテン・チャーリー」の3人はどれも個性的。
    • 真面目なオリマーと無口なルーイではなかったユーモアな会話劇は前作より強化されている。
    • 加えて3人の生物図鑑は三者三様の書き方で楽しめる。

賛否両論点

  • ゲキカラスプレーが便利すぎる
    • 前作のメリットはそのままに使うことで対象が全員花になる仕様が追加された。初心者にはありがたいものの、中級者以上にはバランスがやや崩壊気味に感じやすい。
    • 回収も全自動でやってくれるようになったことで、非常に使いやすくなっているのも目につきやすい要因になっている。
    • ただし岩ピクミンに限り、攻撃力の均一化によって攻撃力が半減してしまう上に他色と異なり攻撃速度が上がらないため逆に弱体化してしまうというデメリットを抱えている。
      • なお、ゲキニガスプレーは削除されてしまった
  • オニヨンの見栄え
    • 前述の通り、オニヨンが合体するようになり、便利になった一方でオニヨンが1体しかないことやマーブル状のオニヨンは『1』『2』の赤青黄の3点と比べ見栄えが悪く感じることも。
  • 主人公の交代
    • 主人公が代わったことで本作がシリーズ初めてでも遊びやすくなっている。
    • しかし、アルフ達に魅力を感じられなかったり、オリマーが好きだった過去作プレイヤーからは惜しむ声も少なくない。
  • 果物の確認シーンのテンポの悪さ
    • 具体的には、回収した果物を確認 → ジュース化してビンに入れる → ジュースを飲む → 食料の残量の確認…といったことがいちいち繰り返された。
    • しかもスキップが一切不可能だった。アップデートによりスキップ可能になったものの依然としてテンポがいいとは言い難い。
      • ただし、『1』や『2』ではパーツやお宝を回収する度に強制的に回収画面に切り替わり、作業を妨げる要因となっていたのに対して、今作の果物に関しては初回以降は回収画面に切り替わらずセリフやアイコンで表示されるだけにとどまっており日中の作業は大幅に快適になっている。

問題点

  • ピクミン間のバランスの悪さ・固有の役割の少なさ
    • 羽ピクミンは空を飛べることで運搬時に妨害を受けにくいメリットに加え、高い地形や水上を無視できるせいで他種、特に黄ピクミンと青ピクミンの使い所が減っている。
    • 攻撃力が低いというデメリットもゲキカラスプレーで容易に補えてしまうので、他のピクミンの役割を奪う要因になっている。
    • 黄ピクミンは通電させ明かりをつけるギミックや電気柵の破壊など固有の役目はあるものの、電気による即死がなくなったり、『1』で黄ピクミンのみ扱えた爆弾岩をすべてのピクミンが扱えるようになるなど過去作にあった強みが減っている。
    • 青ピクミンは水中の果物を水揚げするぐらいしか使いみちが無い上に、前作にあった溺れた他のピクミンを救出する能力が削除され個性が薄くなった。
    • その上、加入時期が最終盤な上に加入後も果実全回収を目指すので無ければ青ピクミンが必須になる場面は無く、活躍の場が用意されていない。
    • 赤ピクミンは果物の近くに前作のヤキチャッピーのような原生生物や間欠炎といったギミックはほぼなく*2、火に強いという個性を活かしづらい。
    • 岩ピクミンも圧死しない以外には水晶やガラスでコーティングされた敵や壁を破壊できるぐらいで、それも爆弾岩で代用できてしまう。
    • 総じて固有の役割がギミック破壊ぐらいで、探索を終えすべての障害物を開通させた後では羽ピクミンでだいたい事足りることになってしまう。
    • といっても、普通に攻略する上でならば特定のピクミンにしか破壊できない壁や特定のピクミンなら対処がぐっと簡単になる敵などが多数存在しているため、格差があまり気にならないプレイヤーも多い。
    • フルーツ全回収などを狙うやりこみプレイヤーは運搬で羽ピクミンを使うのが最高効率になりがちなため、他のピクミンの印象が薄くなってしまう、という程度。
    • 上記のゲキカラスプレーやバクダン岩も、そこそこ貴重だったり入手が面倒だったりはするので、あまり気軽にホイホイ使える代物ではない。
  • ストーリーモードの問題点
    • 本作のストーリーモードのボリュームは『2』と比べかなり少なく、プレイヤーにもよるがクリア時間は7~10時間程度。3人の主人公と合流して、オリマーとルーイを救出するだけである。
      • ミッションモードなどが充実しているため、全体的にはボリューム不足では無いものの、肝心のミッションモードでのやり込みはプレイヤー次第というスタンスのため、『2』と同程度と認識をしていたプレイヤーからの評価は芳しくない。
      • また、同じシステムの『1』とは違い、果実をコンプリートしてもムービーのラストに表示される文章の内容が変わるだけで、『1』に有った遊び心のあるムービーが流れないため、コンプリートのし甲斐はやや薄く感じてしまう。
    • ストーリーモードのデータが1つしか作れず、「クリア寸前のデータを残したまま初日からプレイする」ことができない。初日からやりたい場合、それまでのデータは消す必要がある。
    • 収集物にノルマがないこと
      • 『1』では30日以内に必須となる宇宙船のパーツを25種、『2』では10.000ポコ分のお宝の回収という回収数ノルマが存在したが、本作ではそういった回収数ノルマがない。つまり、果物の回収状況はゲームオーバー以外にクリアにほぼ関係がない。
      • 果物は何種集めてもその日の空腹を凌ぐためのものでしかなく、クリアに充分な日数分もかなり容易に集められるので、集め甲斐が薄い。
      • さらに、集めるのが果物のみなのも『1』の宇宙船のパーツや『2』のバラエティに飛んだお宝と比べると非常に味気なく、収集する楽しみにも欠ける。
      • 『2』における探検キットのようなアイテムも登場するが、わずか6個。『2』の半分以下な上に、内2つはエリア開放アイテムである。
    • 前作のキャラクター、ルーイの二度目の暴走
      • ストーリーを進めていくうちにエリアボスからあるキャラを救助するが、助けた翌日に食料を全部盗んで逃げ出し、さらに別のエリアボスに捕まってしまう。
      • 日没までにそのボスを倒す必要はないが、食料を確保しないとゲームオーバーになる。恩を仇で返す腐れ外道っぷりは前作と相変わらず賛否両論。また、話を進めるためには嫌でも助ける必要がある。
      • なお、本人としては「コッパイ星人に捕らえられていた」という認識だったことがムービーで判明する。だからって全ての食料を盗まなくても…。まぁ、前作に於いてもゴールデンピクピクニンジンを勝手に食べて、ホコタテ運送の借金を作っている程だし…。
  • 自機が3キャラである必要性が希薄
    • 『2』では2人プレイ・対戦を前提とした自機2キャラだったが、本作は3人同時プレイに対応しておらず、ストーリーモードは1人、ミッションモードは2人までしか一緒にプレイできない。
      • 3人同時プレイは画面分割の事情があり無理だったのかもしれないが、ストーリーモードの2人プレイも不可能だったのだろうか。
    • 全員性能が同じ
      • 小柄なアルフ、女性のブリトニー、大柄なチャーリーと見た目は差別化されているものの、性能はみんな同じ*3。 『2』では笛の音もオリマー、ルーイ、社長で違っていたが今作は笛の音まで全員同じ。
    • とはいえ、あくまで主役が「ピクミン」であり自機キャラは直接的な作業に関わることはほとんど無いことを考慮すると、足の速さやパンチの攻撃力の高さなどに差を付けたところで作業効率化を図れる特定のキャラだけが極端に優遇されたり、作業に必須な該当キャラを連れていくことを強いられたりと無駄な部分で気を遣わされるだけであり、無理に性能差を付ける必要は無いと判断された可能性もある。
      • さらにチャレンジモードでは…。
        + ネタバレ有り
      • チャレンジモード限定で一部のミッションでオリマーやルーイを操作可能。しかし前作と同様に性能は全く同じ。
        • それどころか先述のルーイの笛の音がオリマーと同じ(というか5人全員同じ)と、明らかに劣化している。
        • ちなみに、前作でのルーイの耐久表示のアイコンの背景は青色だったが、アルフと色が被るためか今作では黄色に変更されている。
        • このため、アルフ=青、ブリトニー=ピンク、チャーリー=緑、オリマー=赤、ルーイ=黄色、となっている。
          • なお、社長は名前のみの登場で本人は登場しない。
  • 自機がもう1人の自機を投げるギミック
    • 2キャラ以上を別々の場所で同時に作業させる際も、このギミックのせいで作業を中断して合流することになる。本シリーズの特徴である効率プレイを阻害していると言える。
      • これ以外に3人であることを意識したギミックは終盤の逃走イベントのみなのも難点。
  • 『2』の要素の大幅な縮小・変更
    • 紫・白ピクミンがストーリーモードで使えないことや、地下の探索やチャレンジモードが撤廃されたことから『2』を好むユーザーからは不評を買うことも多い。
      • 紫・白ピクミンに関しては、種類が多いと隊列の整理に支障が出ることや、岩・羽ピクミンの役割を減らさないようにする配慮もあっただろうが。
    • 前作のような黒いネタなどが少なめ。一応本作にもトラウマ的な敵生物は存在するが。
    • 生物図鑑がない。
      • 前作ではこういった細かい設定の補完は生物図鑑で行っていたが、本作は図鑑が無いので謎のまま終わってしまう。ただし、シリーズを通してボカしている設定も多く、考察が賑わっている一面もある。
  • 一部の操作が不親切
    • Wiiリモコン+ヌンチャクでのプレイでもゲームパッドの電池が切れるとプレイが中断されてしまう。リモコンプレイの場合はパッドも使えるが、必要としないユーザーも多く、なぜパッド依存の仕様にしたのか疑問。
      • パッドに映されているマップの操作はスティック非対応。タッチ操作でしか動かして見渡せない。
    • 今作の新要素『ロックオン』も好評ではあるが、ポインターの反応が悪いという指摘も多い。
      • Wii U GamePadを活用したゲームが少ない中で頑張った方ではあるが、使いあぐねている感は否めない。
    • 『1』『2』でできた隊列操作が不可能になっている。そのため足の遅いピクミンとはぐれやすくなった。
      • 上記の仕様のためなのか、本作はピクミンの回避アクションの追加などが行われている。しかし結果的に探索のしやすさがこの点においては劣化している。
    • 解散指示がプレイヤーがグルリとその場で1回転する動作に変更されてしまい、硬直してしまうようになった。Switch版でも改善されていないどころか、新たな問題が生じてしまっている(Switch版の「問題点(デラックス)」参照)。
  • 秘密メモと追加ムービーについて
    • 各エリアのあちこちには「秘密メモ」と呼ばれる黄色いSDカードのようなアイテムがちりばめられているが、全て集めても特に何の恩恵も無い。
      • 一応、秘密メモには「数字」が描かれた物も幾つかあり、これを入力する事で見られるムービーが追加されたが、これが何故かゲームの中に純粋に追加データとして入れられた訳ではなく、WiiU専用のインターネットブラウザで専用の画面に行った上で数字の暗号を入力しないと観られない。
      • WiiU本体専用の機能であるため、PCや他のハードのブラウザーでは数字入力が出来ないばかりか、「WiiUでここに来て下さい」などというメッセージが表示されてしまう。
      • 回りくどさも甚だしい。WiiUはゲームソフトを作りにくい本体仕様であり、このムービーも純粋にゲームの中に入れるのは大変だったのだろうか。

総評

9年の時を経て発売されたシリーズ最新作。
収集要素や生物図鑑など、主に『2』で好評だった要素が軒並み縮小・削除されていたり、隊列移動の廃止を始めとした仕様の違いなどから過去作を好んだユーザーからの賛否は分かれやすくなっている。

一方、WiiUというハードをうまく使いこなし、美しいグラフィック、高いゲーム性、誰にでも楽しめる難易度と、ゲームソフトとして大事な部分はしっかりと作りこまれており、完成度は高い。

ピクミンシリーズに触れたことのない人にもおすすめできる良作である。

余談

  • お笑い芸人・ダウンタウンの松本人志氏は、本シリーズと宮本氏の熱烈なファンであることを公言しており、2013年の6月に放送された「ピクミン3 Direct」では、氏が発売前の本作を一足先にプレイしている。
    • 同放送では宮本茂氏と対談もしている。興味深い話が多いのでファン必見である。なお、ダイレクトの動画はピクミン3の公式サイトで閲覧できる。
      • また、本作に登場する果実「ゴールデンキウイ」には「ミカケヒトシ」という名前がつけられており、「ゴールデンキウイの見かけが松本人志氏の坊主頭に似ていることから名付けられたのではないか」と噂されている。
    • これについて松本人志氏もTwitterで言及しているが、真偽について任天堂からの回答は無い。
  • 2014年にWiiUで『PIKMIN Short Movies HD』3DSで『PIKMIN Short Movies 3D』のOVAが配信されていた。内容は前作『ピクミン2』に該当する。若干グロい成分も含まれるので少し注意。ただし有料なため、お金を払わないと視聴できない。
    • 後述する『ピクミン3 デラックス』発売記念に応じてYouTubeの任天堂公式チャンネルで無料公開となった。それに伴って有料版は2020年10月8日に配信が終了された。
    • なお、OVAのCGムービーにはダイナモピクチャーズ*4が製作協力している。そして2022年7月14日にダイナモピクチャーズは任天堂の子会社化が決定し、2022年10月3日から商号を「ニンテンドーピクチャーズ株式会社」に変更される予定。

その後の展開

  • 2022年9月にシリーズ最新作『ピクミン4』が発表された。「氷ピクミン」など新種の登場が明らかになっている。対応機種はSwitchで、2023年7月21日に発売された。
    • 『1』から『2』で3年、『2』から本作ではその3倍となる9年の開きがあったため一部のファンの間では「このペースだと『4』はさらに3倍して27年後ではないのか?」という憶測が立っていたが、その心配はなくなった。
      • ただし、『4』発売予定の2023年は同作の発売からちょうど10年にあたるため、(1年ではあるが)そのスパンは確実に伸びている。

ピクミン3 デラックス

【ぴくみんすりーデラックス】

ジャンル AIアクション
対応機種 Nintendo Switch
メディア ゲームカード
ダウンロードソフト
発売・開発元 任天堂
発売日 2020年10月30日
対象年齢 CERO:A(全年齢対象)
定価 6,578円(税込み)
判定 良作
ポイント 『ピクミン』シリーズ初のリメイク版
原生生物図鑑の復活
前日譚&後日譚を知れるサイドストーリー
ピクミンシリーズ

概要(デラックス)

『ピクミン』シリーズ7年ぶりの続編であり、同時に初のリメイク版。
新要素が多数追加されており、新たなストーリーも追加。
操作方法もハードに合わせていくつか変更されている。

デラックス版の追加点

  • 原生生物図鑑の追加
    • 原生生物図鑑が追加され、また新たにアルフ、チャーリー、ブリトニーのメモも追加、アルフが、その生物の運搬数、弱点、チャーリーがその生物と戦った感想、ブリトニーがその生物に触れた感想、もちろんルーイメモ、オリマーメモも復活。どれもファンからは好評。
    • ウオノコ、トロロタラシなど、一部の生物は『Hey!』の設定が拾われていたり、逆輸入されているものもいる。
  • 難易度設定
    • リメイク前は難易度が低いと言う意見があったため、むずかしい、ゲキカラの難易度が追加。難易度が上がるにつれて一日の時間が少しずつ短くなり*5、原生生物の体力も上がっていく。
      • さらに、最高難易度のゲキカラは取れる食料の量が2分の1まで減少し、連れ出せるピクミンが60匹まで制限される。
  • 進級バッチ
    • いわゆるトロフィー機能のようなもので前述した難易度でクリア、規定数のピクミンを花ピクミンにするなどの実績のようなものから1つのバクダン岩で3匹の原生生物を倒すなど変わった内容まで様々で、やり込み要素が強化された。
  • サイドストーリー
    • オリマーとルーイを中心にした外伝で、メインストーリーの前日談と後日談がそれぞれ描かれる。内容はミッションモードに近くお宝を集めたり、原生生物を倒すことが目的だが、オリマーとルーイを合流させるという変わり種も存在。
  • 突撃の変更
    • リメイク前は、突撃は隊列全てのピクミンが一斉に突撃していたが、本作では投げる種類に選んでいるピクミンが一斉に突撃し、他のピクミンは隊列に残る。
      • これにより、特定のピクミンでしか操作できないギミックや、特定の種類の属性攻撃をする敵との戦闘にて対応したピクミンだけを使用することができるようになった。
    • また、ロックオン状態で解散することで突撃という操作だったWiiU版と異なり、突撃と解散のボタンが分離された。これによりロックオンせずともポインタ方向に突撃が可能になり、複数の敵やギミックに対し逐一ロックオンをする手間が無くなった。
  • ロックオン時の自動連投
    • ピクミンを投げる時いちいち連打する必要がなくなり、ボタンを押しっぱなしでピクミンを投げ続けることができるようになった。
    • これに伴い対岸沿いなど正規のルート上においてはロックオン用のネジ穴のような物体が追加された。
  • 秘密メモと追加ムービーの変更
    • WiiU版では秘密のメモを集めると、対応したパスコードを入力することで追加ムービーが見られるという仕様だったが、本作ではどちらも変更。
    • 秘密メモは新規追加されたオリマーの日誌へ差し替わり、追加ムービーはサイドストーリーの対応するミッション前、あるいはミッション後に流れる形になった。
  • セーブデータ数の増加
    • WiiU版では1アカウントにつきセーブデータは1つしか作れなかったが、本作では『1』『2』と同様に3つまでセーブデータを作ることができるようになった。当然データの複製も可能。

評価点(デラックス)

  • 様々な点が遊びやすく調整されている
    • 過去作から大きく変更及び追加されたシステムとして突撃とロックオンが存在するが、上記の通り属性耐性関係なしに全員突撃や連投が難しい問題点があった。本作ではそれらが解決されており操作しやすくなった。
      • 特にロックオンと突撃は本作を遊ぶ上では必須レベルの重要テクニックにもかかわらず、WiiU版ではチュートリアルが存在しないばかりかこれらの操作説明の書かれたメモが作中で任意入手という有様だった。
      • しかし、本作では1日目にロックオンと突撃に関するチュートリアルが挿入され、初プレイとなるプレイヤーでもこのテクニックを序盤から知ることができるようになった。
      • 細かいポイントとして、運搬や作業が終わっていないピクミンを笛で呼んでもすぐには作業を中断しなくなったり、プレイヤーのそばでピクミンが作業を終えた場合、自動で隊列に戻る*6などの改善が行われた。
    • さらに主人公とピクミンの移動速度が上がっているため自動移動でも敵の攻撃をある程度かわせたり、移動時間が短縮されたことによって作業効率もアップ。
    • メインストーリーが2人プレイ対応になったことも挙げられる。もちろんサイドストーリーでも可能。
  • プレイヤーにちょうど良い難易度
    • 最低難易度の難易度ふつうはWiiU版よりも原生生物の体力が低めに調整されており難易度が大幅に低下。クマチャッピーが特に顕著で、WiiU版ではバクダン岩で倒す場合3発分必要だったのに対して、難易度ふつうの場合は2発で倒すことができるため初心者でも楽しめる。
    • 逆に最高難易度のゲキカラは入手した果物から得られる食料の量が半減しているため探索期限が半減しているだけでなく、原生生物の体力が全難易度中一番高い。
    • 最大の特徴はピクミン持ち出し数が60匹まで制限された点で、通常よりも限られたピクミンでギミックや原生生物への対処を行わないといけないため歯ごたえ充分。
    • もちろん難易度を途中で変える事も可能*7、これによりゲームバランスは非常に良い。
    • セーブデータが複数作れるようになったため、初めてクリアしたデータを記念碑のように保存したり、難しい制限を課したプレイを進めながらクリア済みの別のデータで検証をしたりすることが可能になった。
      • 特に周回プレイや縛りプレイを行うようなゲーム上級者にとって非常にプレイしやすくなっている。
  • 新たな物語サイドストーリー
    • サイドストーリー追加によりWiiU版で指摘されていたボリューム不足はある程度改善された。
    • メインストーリーでは操作できなかったオリマーとルーイが主役になっているどころかプレイ中に見かけた物などに対してそれぞれ異なった反応を見せたり、ミッション前とクリア後にはオリマーの業務日誌が読めたりと中々作りこまれている。
    • 『2』に登場したホコタテ運送の社長も、WiiU版では言及のみの存在だったがこのサイドストーリーではホコタテ星から指令を送る上司という形で再登場。インパクトのあるキャラクター故に『2』プレイヤーには嬉しいファンサービス。
    • ミッションの舞台となるのは全てメインストーリーの舞台だが侵入エリアの制限や敵や仕掛けの配置によってまるで別の表情を見せている。クリア条件も原生生物の全滅、お宝の回収とそれぞれ異なっており歯ごたえも充分。
      • また、WiiU版と異なりルーイの笛の音が『2』のものへと修正されている。
    • さらに回収するお宝やBGMには初代『ピクミン』を遊んでいるとニヤリとする物もちらほら。過去作ファンにとってたまらないファンサービスといえるだろう。
  • 原生生物図鑑
    • 追加された原生生物図鑑は1匹に対してキャラクター5人分の解説がつく形となったため1人分の文量で見ると少なく見えるが、全て合わせると『2』に勝るとも劣らないレベルで非常に詳しく載っており、生物的特徴や対処方法、調理方法などについてそれぞれのキャラが解説する、個性あふれる図鑑となっており好評。
  • ミッションモード
    • リメイク前のDLCミッションも全て同梱されており、ボリュームは増加している。紫ピクミン、白ピクミンも健在。
  • やり込み要素も豊富
    • 進級バッチの追加によりやり込みが非常に多い。また、獲得条件もゲーム内でしっかり表示されるためバッチは欲しいが入手方法が分からない…と言ったモヤモヤに悩まされることもない。

問題点(デラックス)

  • ピクミン、主人公の性能差は改善されず
    • ピクミンの性能についての調整は全くなくバランスの悪さはそのまま。移動速度は一律で上昇しているが攻撃力等に変更された部分はない。
    • 相変わらず、チャーリーのバグを除けば主要キャラ3人の性能差は無し。サイドストーリーやミッションモードで使える前作主人公2人にも性能差は見られず、何らかの調整が欲しかったところではある。
    • 一応ルーイの笛の音だけは『2』と同じ音に戻ってはいるが、残る4人は相変わらず使いまわされており新録はなし。むしろそのような中途半端なことをされたせいでルーイ1人だけ浮いてしまっている。
    • デラックスで再登場した社長だが、肝心のプレイアブルキャラとしての復活は叶わず。他5人のキャラと同様にアイコンも作られているのにもったいない*8
      • その代わりアイコンの表情は無駄に豊富であり、社長のキャラ性がよく表現されていて面白いものではある。
  • 操作面の調整の賛否
    • 前述のとおり操作面に調整が入ったが、一概に操作性が改善されたとは言えないものも多い。
    • 特に解散の操作が顕著であり、WiiU版では隊列すべてを解散していたものが次に投げるピクミン・隊員を隊列に残しそれ以外を解散させるというように仕様変更された。
      • 特定のピクミンだけを連れて行く場合はそれでいいのだが、隊列から全員を外そうとすると2回解散操作を行わないといけなくなった。
      • 効率的なプレイを進めていくと、ピクミンを全員解散させてリーダー1人だけをここまで移動で進ませる…といった場面も少なからずあるため、過去作やWiiU版のプレイヤーにとってはもどかしい仕様になったといえる。
    • 作業中のピクミンは笛で呼び続けないと作業を中断しなくなった点や、作業終了後のピクミンが隊列に戻るという仕様も状況によってはマイナスに働きかねない。
      • ただし、このあたりの調整は『1』や『2』でも行われ続けてきたものであり、『ピクミン』シリーズ全体に付きまとっている問題でもあるため難しいところ。
    • 本作はおすそわけプレイ対応であり、ジョイコン横持ちでのプレイに対応。それに伴ってキー割り当て捻出のためか解散・リーダー切り替え・ゲキカラスプレーなど一部の操作がYボタンを長押しした上でLスティックを上下左右に入力する操作となった。そのために操作に手間取ったり、間違った操作を行ってしまう原因となっている。
      • 元から複雑な操作を要するゲームな点や、Wii U GamePadの画面タッチやWiiリモコンを振る操作などもボタンに割り当てなければならなかった側面があるため致し方ない面はあるが、ジョイコン2本持ちやProコンでの操作ではスティック押し込みや十字ボタン下などが余っているため、どうにかできなかったのかという意見もある。なお、ソフト側でのキーコンフィグは無い。
  • 原生生物の追加はなし
    • サイドストーリー最終面に既存の原生生物の色違いが出る以外は追加された原生生物のは存在しない。これはリメイク作なので仕方ないだろうという意見もあるが、新たな原生生物の追加を望む声も多かった。
  • 生物図鑑の並び順
    • 『2』のものと異なり生物ごとに番号は割り当てられておらず、登録した順番に並ぶため見栄えが悪い他、どの生物が登録されていないのかが分かりづらくなった。
    • 特にウジンコ♀は必ず初日に登録されるため、♂と並べるには進行ルートを無視して登録のためだけに始まりの森で1日費やす必要がある*9
    • 逆に希少だったり、限られた出現条件のために図鑑登録が困難な生物も存在する。中には普通にゲームを進行しているとまず出会うこと自体が不可能なものも。
  • 生物図鑑におけるオリマーメモ、ルーイメモ
    • 『2』までに登場した生物はほぼ流用されている部分が多く、オリマーメモには一部削られた箇所も見られる。目新しい記述のある生物は『2』までとは異なる種が登場していたことの発覚したコガネモチくらいである。
    • 一応、クイーントビンコの存在によって設定の矛盾してしまったトビンコなど、ごく一部の生物は変更箇所も見受けられる。
    • パンモドキやショイグモといった本作にはまったく登場していない生物の名前が解説中に登場しており、『2』までをプレイしていないユーザーには不親切である*10
  • 紫・白ピクミンの出番
    • 元々ミッションモード限定だったが、サイドストーリーには一切登場しない。そのためWiiU版から出番の増えた箇所は無く不遇。
      • 特に本作の前日談にあたるストーリーは事実上『2』の後日談でもあることから、紫・白ピクミンの登場を期待したユーザーも少なからずいたが、実際には登場しないばかりか新種である岩ピクミンが何の脈絡もなく登場している。
    • 一応、白ピクミンは原生生物の体力が低下したことで毒によるダメージが相対的に増えWiiU版からわずかに強化された。

総評(デラックス)

ゲームとしては面白いがボリューム不足や一部操作などの問題点が挙げられたWiiU版から大きく改善され、ようやく真価を発揮するようになった仕上がり。
有料DLCが収録されているといった点からも現在はこちらの購入をお勧めする。

余談(デラックス)

  • 本作の登場に伴い、『ピクミン』シリーズのメインタイトルは3作すべてに移植版が存在することとなった。
    • 皮肉にも、その全てがGC → Wii、WiiU → Switchと商業的に苦戦したハードから大セールスを記録したハードへの移植となっている。
  • Switchのかつてない好調な売り上げや、前述の『PIKMIN Short Movies』無料公開を筆頭に宣伝にも力が入れられたことから、リメイクタイトルながら国内売り上げ84万本、世界累計売上は204万本のセールスを記録した(2021年3月時点)。
    • これはGC版『1』の国内56万本/世界累計163万本を大きく上回り、『ピクミン』シリーズの中で最も売れたタイトルとなった。
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最終更新:2024年04月23日 16:20

*1 黄オニヨンのみ、発見後であってもイベントをこなさない限りは合体しない。

*2 一応全身に火をまとうカジオコシという生物は登場するが、岩ピクミンをぶつければダメージを与えられる上に触覚部分には炎の判定が無いためわざわざ赤ピクミンを用いる必要性は薄い。

*3 厳密にはチャーリーのみ体格が大きいことが災いして、とあるゲームバランス崩壊級のバグ技を扱うことができる。ただしそれを他の隊員との性能差として考慮していいのかと言われれば、NOであろう。

*4 後に『アーヤと魔女』や数々のMVを手掛けたCG制作会社。

*5 難易度ふつうで約18分、むずかしいで約14分、ゲキカラで約13分。

*6 この仕様に限ってはもともと『2』以前の作品にあったものであり、改善というよりは元に戻っただけという意見もある。

*7 ただし、プレイ記録のランキング掲載や難易度に応じた進級バッジの入手などは不可能になる。

*8 ちなみにアイコンの色は『2』と同じ紫。

*9 本作では倒した時点では図鑑には載らずオニヨンに運び込むことで登録される性質上、生物の死骸を無視し続ければ問題無いように見えるが、進行ルートに沿う場合は始まりの森へ訪れる前に、迷いの雪原にて回収不可故に倒した時点で登録されるコカガミを必ず倒すことになる。

*10 過去作の設定を放棄していない点や、『3』初登場の生物が過去作の生物と関連づけられている点などはシリーズファンにとっては評価点ともいえる。