エイリアンソルジャー

【えいりあんそるじゃー】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 メガドライブ
開発元 トレジャー
発売元 セガ・エンタープライゼス
発売日 1995年2月24日
定価 6,800円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年10月9日/600円
判定 良作


概要

  • 面クリア型の横スクロールアクションSTG。6種類の武器と特殊能力を駆使し、大型のボス敵が次々と襲い掛かってくるハードな構成の全25ステージに挑む。
    • ステージの最後にボスがいるオーソドックスなスタイルではあるが、平均的なアクションSTGと比べると、全体のステージ数は多く、1ステージ辺りの尺が短い。
  • 世界観はSFであり、敵味方とも、様々な動物の姿が混じり合った異形生物であったりメカであったりと人外ばかり。
  • タイトル画面のロゴの下には「FOR MEGADRIVERS CUSTOM」と書かれている。難易度が高い事で有名な本作だが、元々そういうつもりで作られたゲームである。

システム

基本的なシステムは、左から右へ進んでいく面クリア型アクション。トレジャーがメガドライブ処女作として開発した同ジャンル作品『ガンスターヒーローズ』の発展系といったところである。

  • 方向ボタンで移動・しゃがみ・武器の射角制御、Aボタンで特殊武器の選択、Bボタンで武器の発射、Cボタンでジャンプ。
  • 残機はなく、ライフやステージごとの残り時間が0になるとゲームオーバー。
  • 特殊武器はゲーム開始時に全6種の内から4種を選択する。同じ武器を2種類選ぶ事も可能。
    • 所定のボタン押すと所持している武器がリング状に展開し、方向ボタンで選択して再度ボタンを押すと決定。
    • 武器には残弾数(エネルギー?)の概念があり、残量0になった場合には攻撃判定・攻撃力ともに激減する。残量が減った武器は使用せずに一定時間経てば自然回復するが、回復量は武器によってまちまち。
    • 特殊武器はゲーム中にアイテムを拾う事で、持ち替えたり残弾数を底上げしたりできる。
    • 武器種と敵の種類には相性があり、有効な組み合わせを把握する事も攻略の上で重要となる。

本作には特殊操作が非常に多い。また、その特殊操作には無駄なものがほとんど無く、効率よく攻略するにはすべてマスターする必要がある。
そのため、初見ですんなりと越せる難易度設定ではない。敵の動きや武器との相性をよく考えてトライ&エラーを繰り返しパターンを構築する攻略法が中心となる、典型的な「覚えゲー」である。
代表的な特殊操作を以下に示す。

  • 「カウンターフォース」
    • Bボタンを素早く2回押す事で、敵の弾を消して体力回復アイテムに変える判定を発生させる。敵の弾以外のものは、弾き返す場合もある。
    • コスト0で常時使用可能である反面、判定の発生はごく短時間であり、範囲も小さい。しかし、敵の弾以外にも様々なものを弾き返す事ができるので、いろいろ挑戦してみると良い。
  • 「0(ゼロ)移動」
    • 「↓+Cボタン」で全身が完全無敵になり、一定距離を高速移動する。地上・空中どちらでも使用可能。本作は自機・ボスともにサイズが大きいので、回避行動の基礎はこのゼロ移動が担う。
  • 「0移動爆装(ゼロバースト)」
    • 上記のゼロ移動を体力MAX時に発動させると、移動中の本体に攻撃判定が付く。判定が重なっている間ダメージを与え続ける仕様であり、巨大ボスの弱点に上手く重ねると瞬殺も可能なほどの火力を発揮する。また、移動中に敵の弾と重なった場合はカウンターフォース同様に、かき消して体力回復アイテムに変える。
    • 1回使用すると体力が一定量減る。再使用するには、敵の弾を一緒に消して回復アイテムを出したり、カウンターフォースなどで補充したりといったフォローが必要。
  • ホバリング、2段ジャンプ
    • ジャンプ中にCボタンを押すと空中に静止(ホバリング)する。ホバリング中に再度Cボタンを押すと、そこから更にもう1度ジャンプでき、事実上の2段ジャンプとして機能する。
  • モードチェンジ
    • 主人公は「武器を発射しながら移動が可能」「武器発射中は立ち位置固定」の2種類のモードを切り替える事ができる。操作は「↓+Aボタン」で、前者は体色が金色、後者は銀色になる。
    • 銀色の状態がデフォルト。金色モードでは武器の消費スピードが大幅に上がる。
  • その他の仕様
    • 画面上部の情報エリアには、自分の体力・使用武器の残り残弾数・敵ボスの体力が表示される。表示形式は「数値」「ゲージ」「非表示(??となる)」から選択する。
    • ゲームクリアすると、ステージごとの所要タイムと総合クリアタイムが表示される。
    • 難易度は「SUPERHARD」と「SUPEREASY」の2種類。
      • デフォルトはSUPERHARD。SUPEREASYにすると、例えばゼロバースト使用時の体力減少値が抑えられて再使用しやすくなるなどといった変化がある。また、無限コンティニュー(SUPERHARDは3回まで)とパスワードコンティニューが可能になる。

評価点

  • ボス戦闘が連続するような形で構成された豪華なゲームデザイン。それでいて、ボスパートだけを繋ぎ合わせたもの(いわゆる「ボスラッシュ」)とは違い、道中での雑魚戦闘で回復や武装の下準備をするといった要素も併せ持っている。
  • 技術を磨き戦術を練る余地が多く取られていて、プレイヤーが努力と工夫を重ねて上達した分だけ、はっきりとクリアタイムが縮む。
    • ボスの動きなどを完全パターン化する事はできず、多少のアドリブも要求される。そのため、タイムを縮めるには知識と同時に実力を身につける必要がある。ハマった人にとっては、実際のボリューム以上の満足感を得られる事だろう。
    • 長期的な戦略眼も必要。ゲーム開始前の武器選択から戦いは始まっている。こうした試行錯誤の過程そのものも楽しい。
    • 普通にクリアするだけでも難易度・ボリュームともに十分な量がある本作だが、やり込んだ場合のクリアタイムは20分を下回る*1。テンポ良くスピーディに動けるようになれば、爽快感も大きい。
  • グラフィックが入念に描き込まれている。
    • キャラの動きは非常に滑らか。よく描き込まれて高速でスクロールする背景が疾走感を演出する。
    • トレジャー得意の大型多関節ボスも数多く用意され、ハデに動き回る。意図的にグロテスクにデザインされたというボスキャラクターたちのドット絵のレベルは高く、その狙い通りに気持ち悪い。
      • その一方で、各ボスキャラ(特に前半)の裏設定は色々な意味で濃く、トレジャー節の効いたバカゲーテイストも仄かに感じられるのは御愛嬌。

問題点

  • 特殊操作が豊富なので上達するほど面白くなるが、逆に言えば慣れるまでが大変。アクションゲーム上級者のやり込み派向け設計である。
    • ゲームスピードが早いにもかかわらず、武器交換やモードチェンジなどの切り替え操作に画面停止がないのも初心者には厳しい。初見でステージ1のボスに勝てないのは普通である。
    • 3ボタンと方向ボタンをフル活用させる操作形態は「複雑」の一言に尽きる。それだけに、6ボタンパッドに対応したキーコンフィグモードが無いのは残念。
      • 「ボタン→方向ボタン→ボタン」と手順の多い武器選択や、ジャンプボタンを3回押す必要がある2段ジャンプなどが、直感的でない操作系の代表例。
      • 『ガンスターヒーローズ』ではキャラクター特性としてスタート時に選択した方で固定だった「移動撃ち・固定撃ち」も、本作ではモードチェンジで切り替えながら1人で兼務する必要がある。
    • これらの要素により、普通にクリアするだけでは「操作の小難しいアクションゲーム」止まりになる事も多い。
  • メガドライブ最末期、市場縮小の煽りを食らって発売されることになったため、開発当初の予定通りの完成を見ないままリリースに至ってしまった結果、不自然な部分がある。*2
    • 『ガンスターヒーローズ』にも登場し、その名の通り7形態に変形するボス「セブンフォース」が、本作では5形態にしかならない。
    • とあるボスと戦闘する際、画面左端の一部が黒く切り取られて可動領域外となる。横長の画面で横方向に数多くのスプライトを並べるため必要な処理と考えられているが、全くごまかしがないので違和感がある。*3
    • オープニングで語られている宿敵との戦いはゲーム中盤で早々と決着が付くのだが、その後は特に何も説明がないまま先に進んでいく。ラスボスは正体不明で、エンディングも淡白。
      • 後述のPS2版に収録されたギャラリーモード内の資料集やマニュアルの巻末で、世界観についてはある程度補完されているが、ゲーム中盤以降の具体的なストーリーは記されていない。

総評

歯応えがあってやり込めるハデなアクションゲームが遊びたい人にお勧め。特に効率を追求するタイムアタックが好きであった場合は、細かい部分まで考えて綿密なステージ構築・ボスキャラ設計をした、開発側の本気が窺えるだろう。
タイトル画面で輝く「FOR MEGADRIVERS CUSTOM」は、持てる力を可能な限り注いだ作り手からプレイヤーに突きつけられた挑戦状でもあった。

ただし、この挑戦を受けるにはそれなりの覚悟がいる。確かに自機は、高火力の大技、全身無敵の高速移動、敵弾の弾き返し、回復アイテムの精製と万能ぶりを見せるものの、敵はそれを前提とした激しさで襲ってくるのだから。

複雑な基本操作・特殊操作を全てマスターした上で敵のパターンや武器の特性を把握し、更に効率良く勝つための試行錯誤を繰り返す事で、初めて本作に秘められた魅力は輝きだす。
超えなければならないハードルは非常に高いが、本作には「試練に打ち勝った際の見返りもまた大きい」という高難度アクションゲームの醍醐味が詰まっている。


その後の展開

  • PS2ソフト『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.25 ガンスターヒーローズ~トレジャーボックス~』に収録されたほか、Wiiのバーチャルコンソールにて配信されていた。
    • 本作は「エリソル専用の脳神経回路」ができてしまうほど操作が独特にして煩雑なので、コントローラーが変わるだけでオリジナル版経験者でも操作ミスが多発しやすい。
    • キーコンフィグ不可なのが惜しまれた本作だが、PS2版は一応キーコンフィグが実装されている。
  • 2019年9月19日に発売されたメガドライブミニにはファンから収録希望が上がり、国内版には収録されなかったがアジア版に収録された。
    • 2020年2月には、本作の発売25周年を記念してアジア版がAmazon限定かつ数量限定ながら正式に国内販売された。
      • これを受けたのか、2022年10月27日に発売されたメガドラミニ2には本作が収録された。公式サイトの紹介ページには「メガドライブを愛する人たちへ向けた、職人集団トレジャーからの挑戦状!」と記述されている。大体合っているのがアレ。

余談

  • 今でこそ、開発元であるトレジャーが「特定層に向けた作り」のゲームを多く手掛ける事は有名な話だが、本作発売当時はまだそうとは広く認知されておらず、このように徹底した上級者向けの仕様・調整は受け入れられにくかった。その事もあってか、ゲーム雑誌などでの評価は振るっていない。
  • 「FOR MEGADRIVERS CUSTOM」だからなのかは不明だが、本作は日本と欧州(MEGADRIVE)のみで発売され、北米(GENESIS)版は存在しない。
  • ComicWalkerで連載されている漫画『異世界おじさん』は、作者の殆ど死んでいる氏が本作のファンという事で本作に関するネタが多く登場する。同作にて本作を知ったという人も多い。
    • この縁で、前述のメガドライブミニ発売時にはコラボ漫画が公開された他、アジアエディションの国内販売分には殆ど死んでいる氏直筆のポストカードが付属した。
    • メガドライブミニ2発売記念コラボ漫画では上記の通り本作が収録され てしまっ た影響で、ほとんどこの作品の事しか語られていない。また、開発元のトレジャーがTwitterでこの記念コラボ漫画を紹介している。

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最終更新:2022年11月15日 08:01

*1 近年ではついに10分を切ったTA動画もあがっている。

*2 ユーズド・ゲームズ12号インタビューにて、トレジャーの前川社長は「中途半端な状態で出さざるを得ず、ユーザーに対して申し訳ない」と、当時の状況を悔しがるコメントをしている。

*3 これはメガドライブ本体に起因する表示上の不具合を隠すためらしく、『魂斗羅 ザ・ハードコア』等でも同様の処理がされている箇所がある。