ファイナルファンタジータクティクス アドバンス

【ふぁいなるふぁんたじーたくてぃくす あどばんす】

ジャンル シミュレーションRPG



対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売・開発元 スクウェア
発売日 2003年2月14日
定価 ソフト単品:5,800円
GBASP同梱:18,300円(各税別)
プレイ人数 【GBA】1~2人
【WiiU】1人
セーブデータ 2個(フラッシュメモリ)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※廉価版以降より付加
周辺機器 GBA専用通信ケーブル対応
廉価版 アルティメットヒッツ
2006年3月9日/3,143円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2016年3月30日/702円(税8%込)
判定 なし
ポイント 『FFT』とは似て非なる次作
行動を縛るシステム「ロウ」のきつさが賛否両論
前作同様の「ジョブ」を活かした全体的な出来は悪くない
子供主体の物語は『FFT』と大きく異なるが、別ベクトルの黒さ
海外版は追加要素・改善点が多い
ファイナルファンタジーシリーズ


概要

『ファイナルファンタジー』シリーズをシミュレーションRPG化した外伝作『ファイナルファンタジータクティクス』(以下『FFT』)。
本作はその流れを汲む続編として発売された作品である。

ただし、ストーリー的には『FFT』本編との関連はほとんど無い。
強いて言えば、舞台となる世界の名前が同じ「イヴァリース」である程度である。
一方で、『ファイナルファンタジーXII』との関連性が強い作品となっている。


ゲームシステム

  • 本作独自のシステム
    • 各キャラには性別の代わりに「種族」が設定されており、種族によって就けるジョブと召喚できる神獣が異なる。
      • 万能型の人間、物理攻撃重視のバンガ、魔法重視のン・モゥ、俊敏なヴィエラ、トリッキーなモーグリの5種類。
    • アビリティは武器・防具を装備することで使うことが出来る。マップをクリアすることで与えられるAP(アビリティポイント)が一定まで溜まると、その装備を外してもアビリティが使えるようになる。これは『ファイナルファンタジーIX』と同じ形式。
    • 細かい点では「アビリティにチャージタイムがない」「レベルアップによるパワーアップの比重が大きい」など、やはり携帯機ゆえに簡単に進められるよう作られている印象を受ける。
    • 前作の儲け話のように街にあるパブで「クエスト」を受け、指定された拠点に行くことで戦闘を行い、ゲームが進行していく。
    • 更に、本作からの新システムとして「ロウ」が登場したのだが…、詳細は賛否両論点の項で述べる。

評価点

  • グラフィック
    • 細かいところまで作りこまれたドット絵は、GBAの中でも高い完成度を誇る。
    • 武器はひとつひとつ異なるグラフィックになっており、魔法も滑らかで時間がかかるなど演出が過剰にならない程度に抑えつつ見応えのあるアニメになっている。
    • 召喚魔法や神獣はスクウェアらしい派手で長い演出だが、どちらも使用頻度の少ない魔法であるためそこまで気になることはない。
  • シナリオ
    • 後述の通り賛否両論な部分もあるが、明るい雰囲気ながらも所々に暗い要素を含んだシナリオは高く評価されている。
    • 本作はメインキャラクターが少年少女であり、前作のような戦争や宗教・階級・民族の対立といった重厚なドラマが描かれているわけではない。
      • しかし、本作には現実からの逃避や現実との対峙といった、現代の行き過ぎた個人主義に身近で深刻な問題を訴えかける一面がある。
      • 登場人物達のコンプレックスや、いじめっ子のコリン・ライル・ギネスの設定など、現代にも通じる暗さがある。
+ 各キャラクターのコンプレックスについて
  • ミュート
    • 母親が死んだ事により、父親が仕事をしない飲んだくれのダメ親父となる。
    • イヴァリースに来てからは、母親は女王で自身のいう事を何でも聞いてくれる存在、父親は法を体現するジャッジのトップとして仕事をこなす。
    • 故人である母親と、仕事をする父親という2つの理想を手に入れた。
  • リッツ
    • 現実世界では白髪である事から虐められる。
      虐めそのものより、母親が白髪に産んだ事に負い目を持っている事とリッツの髪を染める際の表情が彼女の一番の辛い事だった。
    • イヴァリースに来てからは白髪ではなくなり、結果的にコンプレックスが解消される。
  • ドネッド
    • 現実世界では体が弱く車椅子で生活している。
    • イヴァリースに来てからは走り回れる健康な体を手に入れる。
      • マーシュが世界を元に戻す行為はドネッドに不自由な体に戻れと言っている事に等しくここだけ取り出せば否定意見を言いたくなるだろうが、兄弟だからこそ分かりあえる理由から説得に成功し和解する。
  • システム
    • FFTの基本システムを受け継いでおり、変更点はあるにしろ同様のシステムで遊べることを喜んだファンは多い。
    • FFシリーズ恒例のジョブシステムによって、アビリティのコンプリートや青魔法の習得など、成長要素がそのままやり込み要素に繋がっている。
  • やり込み要素
    • クエストの総数は多く、6割以上が戦闘のないサブクエストではあるが、実に300ものクエストが存在する。是非コンプリートを目指したい。
    • FFTと同じく、通常のプレイでは1~2個しか入手できずその機会も限られるレアアイテムが多数用意されている。
    • 「捕獲」コマンドで捕まえたモンスターが送られるモンスターバンクなど、その他のやり込み要素もある。
    • また、キャラの最強育成の幅は前作より狭まってしまったものの、今作では特定のクエストをクリアすることによって能力値が成長する装備品が新たに登場している。
  • 音楽
    • 崎元仁らによる音楽は高く評価されている。
  • 難易度
    • 「ウィーグラフとの一騎打ち」や「赤チョコボ」などの難所が多かった前作より格段に難易度が下がっている。
      • ストーリー終盤にもなると強敵が増えてくる上、ストーリークリア後にはさらに手強い相手と戦うクエストもあるので、難しさを求める人にも問題はない。
    • ランダムバトルがシンボルエンカウント方式になり、逃げることも出来るようになった。

賛否両論点

  • 「ロウ」システム
    • 英語で法律を意味する「ロウ=law」の名の通り、プレイヤーや敵の行動を制限するシステムである。
      破ると戦闘を監視する「ジャッジ」がすぐさま飛んできてサッカーのごとくイエローカードやレッドカードを提示し、これが貯まるとステータス減少やアイテム没収などのペナルティーが科される。特にイエロー2回かレッド1回を受けた場合は、「プリズン送り」となって一定期間戦闘に参加できなくなるという重いペナルティーが科せられる。適用されるロウはゲームの経過日数と全体のゲーム進行によって変化する。
    • 「ダメージ50以下」「HP回復禁止」などの違反しやすい重いロウもあるので、スケジュールを調節しながらエンゲージ(戦闘)に臨むのが基本戦略となっている。
      • ロウを破らないよう注意していても、偶発的な事故で破ってしまう場合がある(例:「ダメージ○○以下」のロウの適用下でクリティカルが出てしまう、など)。
      • 技が揃っていない序盤で「たたかう禁止」が適用されると非常に戦いづらくなる。
      • 特に主人公がプリズンに送られてしまうと即ゲームオーバーになるため、戦闘時はかなり注意せねばならない。
      • 魔法剣に対する「最後が『ト』禁止」、忍術に対する「最後に『ン」禁止』など、技をほとんど封じられてしまう例もある。これは、魔法剣は「****ソード」という特技が多く、忍術は○遁(とん)という術が多いためでもある。
    • ストーリーを進める程にロウは厳しくなり、ランク6は「HP回復禁止」や、前のターンに行動したキャラと同一行動を取るとペナルティーとなる「まねっこ禁止」、指定された種族への攻撃がペナルティーとなる「〇〇愛護」など、極めて重い内容になる。
      • 世界観的には「主人公達の動きを封じるために特権階級である敵対勢力がロウの影響度を引き上げている」という展開なので演出としてみればリアルであり、「世界のルールを支配している者に立ち向かう」という燃える要素とも捉えられなくはないのだが…。
    • 終盤まで進めなければならないが、敵にわざとロウを破らせて(「ダメージ50以下」のロウのときに敵にバーサクをかける・「あやつる」で操ったモンスターに禁止行動をとらせる、など)プリズン送りを狙ったり、ロウの抜け道を発見したり(「最後に『ン』禁止」のロウがある場合、赤魔法の「連続魔」を使えば「マディーン」や「ポイズン」といった最後に「ン」の付いた魔法もロウにひっかかることなく使うことができる、など)と今までになかった戦略性が生まれている。
      • ただ敵にロウを破らせるのは手間がかかり、毎回やろうものなら単純な作業ゲーにもなりやすい。
      • また多くのボス敵には「免罪符」が付いており、その敵がロウを破ってもプリズン送りにされないためせっかくのシステムを活かせていない。
      • ただし、とあるボスは「チャーム」による同士討ちを狙ってくるが、「チャーム禁止」だとその魔法を使ってこないなど、ロウに対する考え方にも個性があるともいえる。
    • アイテム「ロウカード」によって戦闘中にロウをつけたり消したりすることもできるが、消耗品で所持できる数も少なく、便利なロウカードはレア度が高く手に入れにくい。
    • ロウの制限を受けないバトルフィールド「ヤクト」も存在するが、そこでは代わりに「マップクリア時、戦闘不能になっていたキャラは死亡して二度と使えなくなる」というゲーム内でもかなり重い設定がある。
    • このスケジュール管理やルールを守るシステムは「理不尽」という意見や「新しい戦略性があってよい」と賛否が分かれるポイント。
    • この「ロウ」のせいで、ゲーム中は常に縛りプレイを強要されてしまう。「ダメージ20以下」など出ようものなら折角育てたキャラの力を発揮できず、わざわざ弱いキャラで対応するなどしなければならない。うっかりロウを破ろうものなら、愛を込めて育てたキャラがプリズンへ送られる。
  • 「トレジャーハント」システム
    • 移動マップに該当する画面での地形チップを自由に配置し、その組み合わせによってアイテムが貰えるという『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』の「ランドメイクシステム」に似たシステム。
    • 上手くいくとレアアイテムを貰えるが、ふつうは攻略情報を見なければレアアイテムの入手は難しい。
    • あちらのような2周目要素はないため、やり直しはきかない。レアアイテムを取り逃した場合、通信要素でしかフォローはできない。
      • 厄介なことに通信環境無しだとこれでしか入手できない装備品が4種類存在する。
  • 前作『FFT』から変更された世界観・作品の雰囲気
    • ベイグラントストーリー』に近いダークファンタジー風の世界観・シナリオを持っていたFFTからがらりと雰囲気が変わったため、そちらの作風を期待していたファン層からは残念がられた。
    • 携帯機ゆえかシナリオの本筋も短くなっており、設定面を含めやや小ぢんまりとしたまま終わってしまうところもないではない。
    • キャラクターデザインが吉田明彦から彼の弟子にあたる伊藤龍馬に変わり、アニメや絵本のようなタッチになっているのも大きな要因だろう。
    • ただし、前述したように明るいのは主に全体の雰囲気であり、シナリオは見た目とのギャップも含め案外に重い。
      • 人によっては忘れたい古傷をえぐるような場面もある為、見ようによっては本作の方が暗いという意見もある。

問題点

  • 行動時にロウが表示されない。
    • このため、うっかり禁止行動を取ってしまうことが多い。その後に出るジャッジの「!」マークときつい笛の音がトラウマになったプレイヤーは多いだろう。
  • 一部アビリティがやたら強い。
    • 敵味方全体を眠らせる青魔法の「夜」、即死攻撃でアサシンの「息根止」・錬金術師の「デス」、MPがあるかぎりHPダメージを受けない複数ジョブで習得可能の「MPすりかえ」など。
    • それに付随して、種族間の格差もある。あまりに極端なものはないが、バンガ族の不遇は特に顕著。
      • 理由としてパワー系の種族であるのだが、ゲーム内で重要なパラメーターである素早さが低い上、サポートアビリティも弱く、味方支援や相手の弱点をつく攻撃が取りづらい。強みであるパワーも大したものではなく、人間族の二刀流での威力に負けてしまう。
      • シナリオキャラにバンガ族がいないというストーリー面での不遇もあり、徐々に空気化する。
      • もちろんロウ「○○愛護」の回避などで育成する意義はある。
  • 一騎打ちイベントでのアビリティの付け替えが出来ない。
    • 初見時など何も知らずに進めていると、バブズ戦やレドナ戦で泣きを見る。
      • 前作FFTと異なり連戦中のセーブはできなくなっている。そのため前作の一騎打ちイベント(ウィーグラフ戦)とは異なりハマる心配は一切無いのが唯一の救い。
  • キャラの動きやコマンド選択周りのUIが遅く、ゲームのテンポが悪い。
    • アイテムがずらずらと縦に並ぶため、管理が面倒。特にアビリティーの付け替えで頻繁に変更する武器・防具で顕著。
    • また、ジャッジも1ユニット扱いにされており、順番が回ってくると無意味にジャッジに行動ターンが回される。
      それだけならまだしも、ランダムに移動し、あろうことか戦闘に邪魔な位置にわざわざ移動してくる場合もある。
      • 戦闘中のジャッジが邪魔になっても移動するのを待つしか手段が無いため、展開によっては余計にターン数が掛かる。
  • 全体的に敵が弱い。
    • 射程外から攻撃すれば無傷で済むアルテマクリスタル戦や「人間愛護」と「ハメどる」を使えばマーシュ一人で何もしないまま完封勝利できるクイーン・レメディ(ラスボス第一形態)戦など。
    • もっとも、ただでさえロウによる縛りが厳しい本作で敵までも手強くされるとクリアするだけでも大変な難易度になってしまった可能性もあるので、これに関してはむしろ弱くて助かったというプレイヤーも多いと思われる。
  • 新アビリティ「コンボアビリティ」が空気気味。
    • 「コンボアビリティ」という必殺技が各ジョブに用意されているが、これを覚えるための武器である各種ミスリル系がなかなか手に入らないのでそもそも活用するのが難しい。
  • 戦闘クエストのほとんどが「全ての敵を倒す」が目標となるものであり、やや単調。
  • サブクエストの内容(特に派遣系)が薄い。
    • 依頼文自体はそれなりに展開や起承転結があるものが多いが、派遣系のクエストは酒場で派遣するキャラを選ぶだけであり、終了時は成否が知らされる程度で後日談などは語られない。ただし成否によってクエストが派生することはある。
  • 「クエストアイテム」の最大所持数が少ない。
    • 戦闘のないサブクエストでは「クエストアイテム」が手に入る。これは連鎖するサブクエストを受ける為に必要になることが多いが、最大32個しか持てないため管理が大変。
    • 二度と手に入らないクエストアイテムも多く、間違えて捨てるとその先のサブクエストは永久に進行不可能となってしまう。
    • 一応、通信要素で他のプレイヤーと交換できるので、もう一組のGBA+ソフトを用意できればハマリは解決できるが、現実的には厳しい。
  • 前作と異なり、汎用ユニットの名前を変更できない。
    • ランダムでシステム内部の名前テーブルから選ばれる仕様のため、時間は掛かるが気に入った名前のキャラが加入してくるまで待つことは可能。
  • 解雇時のセリフが手抜き。
    • ユニットを解雇した際に表示されるキャラの台詞がランダムな為、長い間一緒に戦った人物から辛辣な捨て台詞を吐かれたり、加入後に即解雇したキャラが感謝の台詞を述べるなど不自然な現象が起こる。
  • ロウを破った際に課せられるペナルティの一部が厳しすぎる。
    • 最も厳しいのは「ステータスダウン」。文字通り何らかのステータスがダウンさせられるのだが、その戦闘中だけでなくその後も下がったステータスは永遠に元に戻らない
      • DQでいう種・木の実やFFでいう○○アップのようなドーピングアイテムの類が一切存在しない本作では育て直すことも不可能。
        手塩にかけて大切に育てたキャラが運悪くこのペナルティを受けてしまうとそのキャラはもはや使いものにならなくなるため、解雇するしかなくなる。
        当然ながら解雇不可能な主人公がステータスダウンさせられてしまうと本当にどうしようもなくなってしまう。
    • その他には、モンスターバンクに預けたモンスターのうちどれか一体が脱走する「モンスター脱走」や、装備中の品をランダムで没収される「装備アイテム没収」もキツイ。
      • 登場するクエストを全てクリアしてしまうと二度と捕獲できなくなってしまうモンスターや、クエスト限定かつ個数限定の装備品も存在する為、それらが失われたりしたら目も当てられない。
  • 前作よりキャラクターの最強育成の幅が狭まった。
    • 前作と異なり、最大LVが99→50に変更&レベルダウンも不可能になったため、全ステカンストを目指したり、育成をミスしたキャラや高レベルで加入したキャラをレベルダウンさせて新たに育て直す事といったことが不可能になった。
      • 育て直しができない故に、加入時ジョブの素早さの初期値による格差がどうあっても覆せないものとなってしまっている。
      • また先述の「ステータスダウン」が取り返しの付かないものになっている一因でもある。
    • その他、こちらも先述だが「汎用キャラの名前が固定で変更できない」というのも、育成にこだわるプレイヤーにとってはモチベーションを下げる一因となっている可能性がある。
  • バグがいくつか存在する。
    • 「ヤクトのある特定のクエストで主人公を死亡させたまま終了すると主人公が消滅する」「成長する装備品がオーバーフローして255から0になってしまう」といった致命的なものがある。
      • ただし、前者はそもそも存在に気づきにくく(主人公が死亡した状態で終えると大抵のクエストはそのままゲームオーバーになるため)、後者の「成長する装備品弱体化」はそこまで鍛えるのに膨大な時間を要する&初期版ROM限定(?)のため、一応どちらも意図的に起こさない限り陥る可能性はまれ。
      • また、前者である主人公消滅の方は主人公に加えて固有キャラのモンブランも死亡させていれば全キャラを解雇可能になるため、むしろこれを利用してLV1の汎用キャラを雇うためにあえて意図的に行うやり込みプレイヤーも存在する。
    • メインクエストを受けるのにも金を払う必要があるため、何度でも挑戦可能なサブクエストやランダムエンゲージができるようになる前の時期に金が完全に尽きてしまうと、ゲーム進行が不可能になり完全に詰みとなる。
      • もっとも、こちらも「わざと金を浪費しまくり、アイテムや装備品も売り尽くして所持金ゼロ」にでもならない限り陥ることは無いだろう。

総評

既にベースの完成されたシミュレーションRPGというジャンルから出来合い自体は悪くなく、携帯機のシミュレーションRPGとしてはかなりのポテンシャルも備えている。

ただし、前作とベクトルの異なる、少年少女を主人公とするシナリオは評価が分かれたほか、バランス調整・ユーザビリティなどでも問題点が指摘される。
特に「ロウ」システムはゲーム全体の面倒臭さを強めてしまった印象が強く、一見面白そうには見えても実際遊んだプレイヤーからは否寄りの賛否両論が寄せられた。

総合的には『FFT』ほどの評価は得られなかったが、シナリオを評価するプレイヤーや、何十時間もかけてやりこんだプレイヤーも少ない訳ではない。

やや過度と言える縛り要素を肯定的に受け止められるのであれば、触ってみるのも悪くないだろう。


海外版

  • 国内版発売の約半年後に海外版が発売された。不満点を受けてか、国内版と比較して大幅に改善されている。
    • クリア後ではあるが、敵として登場したリッツやバブズ、操作できないキャラであるシドを仲間にすることが出来る。彼らに関する追加イベントも用意されている。
    • シドは設定自体が大きく変更されている。おそらく「酒浸りの日々を送る父親」という設定が海外の基準ではNGだった為と思われる。
    • クエストアイテムの所持数制限が国内版の2倍(32個→64個)になり、サブクエストの進行順序に頭を悩ませる必要がほとんどなくなった。ただし、空き枠を意識しなければあふれてしまう可能性はあるので注意。
    • 他に、「ダメージ○○以下」「○○愛護」「最後に『ン』禁止」など一部の縛りがきついロウの削除および縛りの緩和、アビリティの変更などの調整が入っている。
  • 本作は他のFFシリーズのようにインターナショナル版として国内には逆輸入されておらず、国内版との格差を嘆くファンも少なからず見受けられた。

余談

  • 開発時の画面写真と製品版の画面は印象が異なる。開発時の写真の台詞も製品版ではほとんど喋っていない。
    • もっとも、過去に松野氏が制作した『タクティクスオウガ』も、開発当初の画面写真と製品版とで全然違う出来栄えになっていたという過去があるのだが。
  • 本作で登場人物たちがプレイしている『ファイナルファンタジー』は『FF12』という裏設定がある。
    • 種族にバンガやヴィエラが登場している、ジャッジの存在、ギーザ平原やサリカ樹林といったFF12のロケーションが登場するなど本作と共通点が多く、FF12での召喚獣の一部(アルテマ・エクセデス・ファムフリート・アドラメレク・マティウス)が神獣として登場する。しかし、FF12で敵対関係にあったジャッジは本作(のストーリー上)では比較的味方に近い立場にある。
  • 2007年10月25日にニンテンドーDSにて続編『ファイナルファンタジータクティクスA2 封穴のグリモア』が発売された。
    • 本作の大きな問題点であったロウシステムが、「破るとペナルティがある」というものではなく「守ると良いことがある」という要素に変更され、破った際のペナルティも緩くなる等の改良がなされ、かなり遊びやすくなった。
    • その他、「変わった勝利条件を持つクエストも登場し多彩になっている」、派遣クエストに対しても「特定の場所に行って依頼人と会う」「成功後にクラン宛に依頼主からの手紙が届く」「酒場で話題になる」などの要素が追加され、ロウ以外の本作の問題点も大幅に改善されている。
    • 詳細は当該記事にて。

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最終更新:2022年01月01日 04:08