イース・オリジン

【いーす・おりじん】

ジャンル アクションRPG
対応機種 Windows 98~8
プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
Xbox One
メディア 【Win】DVD-ROM 1枚
【PS4/PSV/One】ダウンロード専用
発売・開発元 【Win】日本ファルコム
【PS4/PSV/One】DotEmu
発売日 【Win 98~XP】2006年12月21日
【Win Vista】2007年3月29日
【Win 7】2010年12月16日
【Win 8】2013年3月22日
【PS4】2017年2月21日
【PSV】2017年5月30日
【One】2018年4月11日
【Switch】2020年10月1日
【SPエディション】2020年10月1日
定価 【Win 98~XP/Vista】7,980円
【Win 7】4,800円
【Win 8】3,990円(各税5%込)
【PS4/PSV】2,200円
【One】2,160円(各税8%込)
【Switch】2,160円
【SPエディション】6,380円(税込)
判定 良作
ポイント イース』の700年前にあたる前日譚
イースシリーズ


概要・特徴

日本ファルコムの『イース』シリーズのスピンオフであり、シリーズ7作目。
全体的なシステムや3Dグラフィックは『VI』や『フェルガナの誓い』を踏襲している。
現時点では唯一の「アドルが出てこない『イース』作品」である。


特徴

  • 他のイース作品との関連性
    • 時系列はシリーズで最も古く、『I』『II』の時代より700年前のイース王国の時代。
    • 地上の《塔》だけを舞台として各々の物語が描かれる。
      • この《塔》は、後の『I』に登場する「ダームの塔」と同一の物だが、まだ「ダームの塔」と命名されてはいない。
    • 後のシリーズに繋がる要素がいくつか存在する。
    • 登場するボスの多くは『I』『II』で登場したボスと同じもの。
    • 『I』『II』のBGMのアレンジ曲もいくつか存在する。
  • 3人の主人公
    • 初期状態で選択可能な主人公はユニカとユーゴの2人。ユニカは「イース」に登場するサラの、ユーゴはダルク=ファクトの先祖である。
    • さらにこの2人のシナリオを両方クリアする事によって、3人目の主人公「鉤爪の男」が選択可能となる。
    • 3人とも全体的なゲーム展開は共通しているが、ストーリーはそれぞれで異なる。
      • 主人公によって一部の謎解きの突破方法が異なったり、特定の主人公でのみ戦うことになるボスや戦わないボスも一部存在する。
      • 鉤爪の男のシナリオのみ、本作の核心に迫る内容となっており、真のラスボスと戦うことになる。なお、このルートが以降のストーリーにつながる内容となっている。
      • いずれの主人公もアドルに比べて個人的な葛藤や成長といった心情描写が目立つ。
    • 一周に掛かる時間は、初回なら5~10時間程度。2人目以降はより早くクリアできる。早ければ3時間以内でクリアできる。
  • 難易度
    • 前作「フェルガナの誓い」は凶悪な難易度を誇っていた事で有名だったのだが、あまりにも酷評された為なのか本作は「フェルガナの誓い」に比べて難易度が大幅に抑えられている。
    • 本作のハードモードが、「フェルガナの誓い」のノーマルモードと同等の難易度と言えば分かり易いだろうか。3人の主人公がいずれも進行できるように、無難な構造にしたとも考えられる。
    • とはいえ中盤の「黙砂の領域」のように、トラップと滑る床の複合によって難易度が高い場面はあるのだが。

プロローグ

かつて、歴史の流れに消えていった大いなる伝説の国があった。
イース。
双子の女神と六神官に導かれ、地上に栄華を誇った理想郷。
そこでは、女神の至宝たる《黒真珠》によって人々に大いなる恩恵がもたらされていた。

──しかしある時、その災厄は訪れた。
前触れもなく数多の魔物が現れ、イースに侵攻してきたのである。

魔物は瞬く間に地上を蹂躙し、ついに人々は、女神たちの住まう
サルモン神殿にまで追い詰められた。

全てが終わったかと思われたが女神と六神官は、《黒真珠》の力で
神殿を浮上させる事に成功する。

しかし地上に巨大な《塔》が築かれると
翼を持った魔物が天空に飛来し、
再び破滅の危機が訪れようとしていた。

──そんな中、地上から離れたサルモン神殿を揺るがす事件が起きる。
あろうことか、イースの象徴である双子の女神が姿を消したのだ。

人々が絶望する中、六神官は1つの決断を下した。

消えた女神たちを探すため、騎士や魔道師から精鋭を選りすぐり、
闇に閉ざされた地上に遣わしたのである。

ゲームシステム

アクション

  • 特殊攻撃
    • 従来のダッシュ攻撃にあたるアクション。移動 ⇒ ニュートラル+攻撃で発動する。
    • 今作ではこの特殊攻撃により、敵の防御力をある程度まで低下させられるようになった。
    • ボスには効かないことが多いが、人型の敵であれば有効。
  • スキル
    • 『フェルガナの誓い』のリングアーツに相当する、MPを消費して使用する特殊技。風・雷・炎の3種類が存在する。
      • 消費したMPは時間経過で回復する。ただし、回復開始までには消費MPに比例したクールタイムが必要となる。
      • 属性によってどの敵に有効か否かが異なっている。
    • 風のスキルは特殊な移動手段としても利用可能、雷のスキルは特定の壁を破壊可能、炎のスキルは特定の仕掛けに火を灯すことができる。
    • キャラによってスキルのアクション内容が異なっており、当て方なども工夫する必要がある。
  • ブースト
    • 『フェルガナの誓い』同様、ブーストゲージが一杯になると、主人公が一定時間パワーアップする「ブースト」を任意で発動できる。
    • ブースト中はスキルのMP消費量が低下、防御力が上昇。鉤爪の男は各種攻撃も強化される。
    • ゲージはHPが減少しているほど早く上昇する。HPが全快だとほとんどたまらない。
      • うまくかわせれば多少HPが減っている方がブーストを多く使用できて有利だったりする。
  • バースト
    • ゲーム終盤で一定条件を満たすと使用可能になる、ブースト中に発動できる強力な攻撃。性能は主人公によって異なる。
    • バースト発動中は敵のあらゆる攻撃を完全に無効化する事が出来るので、緊急回避にも使える。
    • バーストを使用すると残り時間に関係無くその時点でブーストモードは終了する。
      • バーストの有効時間はゲージ残量の影響を受けないので、終わり間際に使うのが効率的。
  • 主人公ごとの特徴
    • ユニカ
      • クセが無く扱いやすい。3人の中では『フェルガナの誓い』のアドルに最も近い性能。
      • 初期装備は「斧」だが、途中から「紅蓮の大剣」と使い分けられる様になる。大剣の場合、射程が長めで威力は高いが、振りが遅くなってしまう。
      • 風、雷のスキルは近接攻撃だが、炎のスキルは多段ヒット・長射程・広範囲と使いやすい。
    • ユーゴ
      • 近接攻撃が存在せず、ほぼ全ての攻撃が遠距離攻撃というシューティングキャラ。
      • 帯同する2つのファクトの眼からも同様の攻撃が放たれるため、攻撃範囲も広い。
      • 移動速度は遅く、通常攻撃では敵を怯ませられないが、他のキャラより安全に戦いやすいので、ある意味初心者向け。
      • 風のスキルでダメージを1,2回無効化する結界を張ることができる。
      • 雷のスキルはファクトの眼を機雷として設置し、時間経過で爆破する。ファクトの眼を使用してしまうので、爆破まで攻撃範囲が狭まる。
        単発で使うと当てづらいが、ファクトの眼がすべて設置されていてMPが残っている状態で再使用すると即座に爆破できる。
    • 鉤爪の男
      • リーチは短いが、移動速度や攻撃速度が速く、鉤爪による連続攻撃は強力。上級者向けの性能。
      • 特殊攻撃のスライディングは、一部の場所を潜り抜ける移動手段としても使える。風スキルでも代用可能だが。
      • 風のスキルは無敵の超高速移動を行う。MP消費量が少なく、連発可能。方向キーがニュートラルな状態であれば、最寄りの敵の方向へ移動する。
      • 雷のスキルは敵からHPを吸収できる。ブーストゲージ増加量も大きい。
      • ブースト中は各種攻撃が強化される。
  • ボス戦
    • ほとんどの巨大ボスは、ボスの体の上に乗ることができる。
    • ボスを気絶させてからボスの体をよじのぼって弱点を攻撃したりと、ボスの上に乗ることを利用した攻略法が存在する。
    • 本編をクリアすると、クリアキャラによる任意のボスとのタイムアタックができるようになる。
      • こちらのレベルは適正レベル程度で、装備は登場エリアまでに入手できるもので固定となる。
      • 敗北しても再戦可能だが、クリアタイムは累積してしまう。
      • おなじみボスラッシュもこれで行われる。難易度次第では数時間かかる。
  • インターフェース面
    • 本作ではMPやブーストゲージが数値でも表示されるようになった。

その他

  • 女神像
    • 本作のセーブポイント・ワープポイント・回復施設・主人公の強化施設。
    • 女神像は《塔》の各所に設置されている。女神像に触れると主人公のHPとMPが全回復する。一度訪れた女神像の場所には一部例外を除いていつでもワープ可能。
    • 女神の加護
      • 女神像にて利用できる主人公の強化システム。本作では店や通貨は存在せず、女神の加護によってキャラを強化していく。
      • 『SP』を一定量消費して、女神像から加護を受ける事により、防具の強化や特殊能力の取得を行える。
      • SPは敵を倒して獲得する他、宝箱からも入手出来る。
  • ボーナスSP
    • 鉤爪の男のシナリオクリア以降は、主人公問わず「ゲームをクリアした回数×10000」のボーナスSPをゲーム開始時に任意で入手できるようになる(最大150000まで)。

追加機能プログラム

  • 2007年4月上旬より、日本ファルコムのメールマガジン購読者限定で、追加機能プログラムのCD-ROMが配布された。
  • 「Vista対応版」はこの追加機能プログラムが適用された状態で出荷されている。
  • 追加要素
    • 本編に最低難易度「VERYEASY」と最高難易度「NIGHTMARE」が追加。
      • どちらも鉤爪の男までクリアするとアンロックされる。つまり、VERYEASYはEASYクリア後でないとプレイできないので本末転倒。ぶっちゃけなくていい。
      • NIGHTMAREは敵が強化される他に、獲得SPが1に固定される。また、行動パターンも強化され、攻撃回数が多くなったりなど一線を画する。
        PS4/PSV版では、NIGHTMAREでのボスラッシュクリアがトロフィー条件となっている。
    • キャラクター図鑑、モンスター図鑑が追加。
    • アリーナモード
      • 専用のステージで大量の雑魚と戦うモード。
      • 後述のボーナスショップ専用のSPを獲得できる。ただし、途中で敗北するとSPは没収で、中断もできない。
    • ボーナスショップ
      • アリーナモードで獲得したSPを消費して様々な特典を解放できる。
      • スキルの攻撃範囲が広くなっているなど若干強化されたEXTRAバージョンを使えるようにできる。
    • アドルの使用
      • ボーナスショップで解放できる特典の1つで、ボスラッシュとアリーナモード限定で従来の主人公アドルが使用可能となる。
      • 『VI』仕様の性能と『フェルガナの誓い』仕様の性能の2バージョンが存在する。
      • 本作に合わせて、原作とは微妙に性能が異なったり、共通のブーストとバーストが追加されている。
      • 特に注目したいのが『VI』の魔法の仕様。原作では魔法ゲージが最大になっていなければ使用できなかったが、今作ではいつでも任意で使用出来、且つフルチャージで非常に強力になる。
        その圧倒的な強さはもはや『VI』本編時とはまったくの別物であり、既プレイヤーほど原作との違いに驚くだろう。
      • ちなみにアドルのデータ自体は追加機能プログラム配布前もプログラムに入っており、システムの脆弱性を突く事でタイムアタック限定で使用可能だった。

評価点

  • アクション
    • 『VI』系列の最終形といえるアクションは完成度が高く、ゲームバランスも絶妙。サクサク進めていける。
      • ダンジョン構造は同じ場所が舞台だった『I』とは大きく異なるが、「悪魔の回廊」「ワープする鏡」などの特徴的な場所はしっかり再現されている。各種アクションを駆使して突破していく謎解き要素も豊富で階層に応じてガラリと変化する景色なども見物。
    • 飛び道具メインのユーゴや、高速戦闘が可能な鉤爪の男は今までのアドルにはない新鮮な性能。特に鉤爪の男の爽快感は抜群。
  • 音楽
    • 相変わらずのファルコムクオリティ。
    • 特にOPテーマ「GENESIS BEYOND THE BEGINNING」や、通常ボス戦曲「SCARS OF THE DIVINE WING」は評価が高い。
  • 演出
    • 導入では本格的なアニメ。ゲーム中も舞台が精緻に作り込まれておりカメラワークも良い。キャラクター達は一枚絵が多数用意で表情も豊か。
  • ストーリー
    • 各主人公をはじめとして主要キャラはそれぞれの思惑で行動しており、女神も敵も含めて各キャラの人間関係が絡み合うストーリーは、短いながらも上手くまとまっている。
    • 3人目の主人公である鉤爪の男のシナリオは、それまでにないダークヒーロー的な主人公であることや、ユニカやユーゴのシナリオでは謎だった設定が明かされたりと、全体的に新鮮でやり応えのあるものになっており、3人目まで遊ぶだけの価値はある。
      • もちろん、ユニカとユーゴのストーリーも良好。ユニカは未熟な戦士として厳しくも優しい仲間や様々な試練を経て成長していき、ユーゴは天才魔導士の自負と密命から仲間に頼らない一方で敵との出会いと別れを通して成長していく過程が丁寧に描写される。王道展開が多く、万人が親しみやすい。
    • 『I』『II』ではフィーナの影に隠れがちだった、双子の女神の片割れ「レア」が、今作オリジンでのメインヒロインとしてクローズアップされている。「是非とも3人目クリアまでやってほしい」という感想が多いのは、このレアをヒロインとして描写したストーリーが秀逸な為である。

賛否両論点

  • ボス戦
    • 「通常時はボスにまともなダメージを与えられず、ボスを気絶させたりしている間のみ一方的にダメージを与えられる」といった、ターン制のような感覚のボス戦がいくつか目立つ。
      • メリハリはあるのだが、やらされているような作業感もある。
    • 終盤のボスの多くはバーストによるゴリ押しが可能。
      • 瀕死の状態でもない限りブースト及びバーストは連発できないので一応バランスは取れているのだが、それでも大味な感はある。
  • キャラクターデザイン
    • 『I』『II』に登場したキャラが登場するが、特に敵方キャラのデザインが大きく変更されているため、この点は好みが分かれる。
      • なお、現段階の彼らは一応人間であり、本編内で一度死亡している。その後、魔物として蘇生された、ということである模様。

問題点

  • 舞台が似たり寄ったり
    • イースシリーズはあらゆる場所を冒険するが、本作は塔の内部が舞台なので建物内部ばかりで代わり映えしない。たまに屋外の通路から外の景色が見えるが荒廃した土地であまり有難味がない。ただし、あらゆるギミックが用意されており様々なゲーム性を持たせている。
  • ゲーム展開がどの主人公でもあまり変わらない。
    • ダンジョンの攻略順序などやることは大体同じなので、2~3人目の主人公では、ストーリー的にはともかくゲーム的にはさすがに飽きやすい。建物内部ばかりなのも相まって尚更である。
      • ただし、同じギミックでも攻略法がキャラクター毎に異なる。例えば「悪魔の回廊」については、ユーゴはイース1と同じく「ハンマー」を使い、ユニカは別のアイテムで対策する。
        では3人目の主人公編はというと、トラップを解除せず、自身の能力を利用したゴリ押しである。因みにこれはれっきとした正規の攻略法。その為、3人目だけは悪魔の回廊が結構な死亡ポイントになっている。
      • ボス戦の方も、キャラが違うと戦う相手も当然違って来る。
    • 本作は3人目の主人公までクリアして初めてストーリーの全容が掴めるようになっており、3人の主人公で計3回クリアすることは半ば前提の作りになっている。
      • というか、3人目の主人公がストーリー上正史扱いになるためユーゴ、ユニカのストーリーは完全にパラレルである*1。もちろん、キャラの背景をつかむために1人目2人目の主人公をプレイする意味はもちろんあるのだが無かった事と思うと若干虚無感があるのは否めない。
      • 加えて、最後の隠し要素は全てのキャラ・全ての難易度でクリアする必要がある。つまり、15周必要。
  • 『フェルガナの誓い』では本編クリアまでに掛かったプレイ時間が記録されたが、本作ではクリアタイムは記録されない。

総評

『イース』の700年前を舞台にした珍しい作品、アドルが不在であるがそれでもイースアクションの面白さは健在。
シリーズの中では癖の強いゲーム内容なので万人向けとは言いがたいが、アドル主人公の『イース』とはまた違った魅力を持つ。


移植

PS4 / PSV / One / Switch版

  • フランスのDotEmu社による移植、解像度やUIのフルHD化、オンラインランキングに対応、日本語・英語など6ヶ国語に対応。
    • PSV/One版はDL配信のみ。

PS4 / Switch版『イース・オリジン スペシャルエディション』

  • 上記DotEmu移植のパッケージ版で、販売は3goo。
    • PS4/Switchで2020年10月1日発売。価格は6,380円(税込)。
    • Win版の初回限定特典のビジュアルブックをイメージして制作された特製ボックス仕様で、CD2枚、アートブック、ポスター等が封入された豪華版。
    • Switch版に関しては、DL版の配信開始と同日発売となった。

参考動画

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プロモーションムービー

Ys Origin - Music: Scars of the Divine Wing


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最終更新:2022年03月24日 15:50

*1 3人目の主人公がイースに戻り六神官の一人になるため。他の2人のエンディングだと『I』『II』につながらなくなる。