エルミナージュII ~双生の女神と運命の大地~

【えるみなーじゅ つー そうせいのめがみとうんめいのだいち】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD
発売元 スターフィッシュ・エスディ
開発元 スターフィッシュ・エスディ
オペラハウス
発売日 2009年10月29日
価格 6,090円(税込)
プレイ人数 1人
廉価版 Good Price:
2012年6月28日/3570円(税込)
判定 良作
エルミナージュシリーズリンク


概要

  • スターフィッシュの奇跡『エルミナージュ ~闇の巫女と神々の指輪~』の続編。
    • DSにも『エルミナージュII ~双生の女神と運命の大地~ -DS REMIX-』として移植されている。
  • 「フェイスロード」「結婚システム」「SS機能」の追加。
  • 現在主流な3DダンジョンRPGの中で最も初代Wizを色濃く受け継いでいながら、エルミナージュブランドとして完成された良作。

特徴・評価点

  • あいかわらずの自由度の高さや、決して空気過ぎずかといってプレイヤーに設定を押し付けているわけでもない背景設定などが秀逸。やりこみゲーらしく、ストーリーをクリアしてからが本番。
  • 前作に比べさらに操作環境が良くなり、UMDでもインストールすることでロードも全く気にならない。
  • 豊富なやりこみ要素。モンスター410種、アイテム652種それぞれにかなり詳細な専用の説明文が用意されており、図鑑を眺めているだけでも楽しい。
    • モンスター装備を除いてモンスター、アイテムそれぞれにグラフィックも用意されている。モンスターは拡大も可能。
      • DS版ではモンスター装備にもアイテムグラフィックが追加された。
  • wiz系統だけあって戦闘バランスは割と厳しめ。特に一周目のクリアまでは結構シビアである。ただし、救済策も数多く用意されており、それらを使うことで難易度はかなり下げやすい。Wizの代名詞であるロストする場面もまずない。ゆえに、昔のwizに比べて簡単である。
    • また、クリア後ある条件を満たすと追加されるダンジョンは、ストーリークリア程度のレベルでは歯が立たない。とはいえやり方次第ではごり押しで進めることも可能。
  • 追加ダンジョンには前作同様に11体の隠しボスが存在する。正面から戦うと苦戦するが、低レベルで勝てる方法も用意されている。
    • それぞれのボスにも背景設定がなされており、倒すことによってみられる図鑑でそれを確認することができる。
  • 前作の真ラスボスを凌ぐ強さの凶悪な真ラスボスも追加。上述の隠しボスに勝てる程度のレベルではまるで歯が立たず平均レベル4桁のPTでも戦略を練らなければ全滅させられる。このボスを倒す/契約することを終着点としているプレイヤーもいる。
  • その他所持していると敵のレベルが倍になるアイテムや、極めて高いレベル上限、装備を超強化できる高純度錬金、召喚士は真ラスボスも含むほぼ全ての敵と契約できるなどやりこみ要素には事欠かない。
  • 職業は前作と変わらず基本職6種、中級職7種、上級職3種。種族も前作と同じく12種だが、ゴブリン・オーガ・魔傀儡は最初から選択可能になった。
  • 職業のバランスが良く、どの職業にもその職だけの強みがあり、様々なPTを使って行ける。
    • また、今作はレベル上限ではなく経験値上限で最大レベルが決まっているため、レベルアップに必要な経験値の少ない職業ほど最大レベルが高くなる。
    • 一定レベルを超えるとHM能力を得られる。どれも個性的だが、敵から装備を盗めるようになる盗賊は世界が一変すること請け合い。
  • 顔グラを外部から取り込めるフェイスロードの追加により、自キャラクターへの感情移入がしやすくなった。別のゲームやアニメのキャラなどを使うこともできる。
    • 魔法の呪文名を変更できる「スペルキャスティング」もあいまって、自分の世界観での冒険が楽しめる。
  • 前述の契約したモンスターとキャラクターを結婚させて、子供を作る事が出来る結婚システム。
    • 結婚できるモンスターに制限はなく、ゾンビだろうがスライムだろうがゴーレムだろうが男×男だろうが女×女だろうが結婚して子供が産まれる。
    • 子供は両親の一部の能力を一定確率で受け継ぐので、通常キャラでは持つ事が出来ない武器防具破壊能力などを持たせる事もできる。
    • さらに今作では「ゆめのなか」というダンジョンで街に登場するNPCも敵として遭遇し、彼(彼女)らも召喚魔法で契約することができるので、NPCとの結婚という妄想補完にも一役買っている。

賛否両論点

  • お話の真面目な時とギャグな時の落差が激しい。
    • NPCが前作にもましてはっちゃけており、軽すぎるという意見もある。特にライバルパーティーとの会話が長く、さらにどこでも出現するため世界観にそぐわないこともあって批判されることがある。
      • 無論好意的に受け取っている人もいる。そもそも原作であるwiz自体パロディやギャグ、NPCとの馬鹿馬鹿しいやりとりが数多く練りこまれているのであるが。
    • ちなみに会話に関しては立ち絵のみの表示なので高速スキップであまり時間を取らない。なおライバルパーティに関しては裏技で作中登場させなくすることもできる
  • 『連撃』の凶悪な仕様
    • 闘士という職業が『連撃』という特技を持ち、通常攻撃の後に一定確率で追加攻撃を入れるというものだが、同時に 敵の耐性や抵抗をボスだろうが何だろうが問答無用で消し飛ばす という凄まじい副次効果が付いている。つまり、即死効果を持つ『首切り』や、治療役が居なければ事実上の死亡である『麻痺』『石化』の状態異常を打ち込むことができてしまう。
    • また、ダンタリウスというモンスターはこの『連撃』と『首切り』『麻痺』の状態異常攻撃を持ち、召喚士が契約すれば上記の通り暴れ回る。召喚モンスターなのでパーティの枠も食わない。
      • ただし、隠しボスなどは物理攻撃を高確率で跳ね返す『つばめ返し』の能力も持つため、連撃だけで全て解決というわけでも無い。
    • 一方、この能力のおかげで力不足なパーティでも強力なモンスターの討伐や契約などが行いやすく、高難易度への挑戦の足掛かりになる面もある。
    • 続編の3では、HPが一定以上の場合首切りが通用しない能力や、麻痺や石化を自然回復する能力が現れ、多少マイルドになった。
  • 前作と比べシステム面での変化はほとんど無い。前作と同様のアイテム収集を一からさせられるだけとも言えるが、ゲームシステムの完成度が高い作品なので、むしろその過程こそ愉しむべきものと思った方がいい。

問題点

  • ゲーム開始時のロードがかなり長い。
    • ロードの後に表示されるのはタイトル画面だけなので、何をそんなに読み込んでいるのかは全く不明。
      • 元祖のウィザードリィよりリセットするシチュエーションが多いだけに痛い問題。
  • 下画面の名前表示の文字数が少ない。
    • 下画面にキャラのアイコンが表示されるのだが、何文字付けようと頭の5文字しか表示されない。
      • 余白がかなりあるだけに、前衛、後衛と分ければ簡単に解決する問題であり、スタッフは誰も思いつかなかったのだろうか。
      • なお、Original〜Ⅲまで同じエンジンで作られている為か、上記のロード時間の問題も含めて共通の問題となっている。
  • バグがかなり多い。鉱石増殖バグ、フェイム(イベントをこなすと手に入るもので、これを沢山捧げることですさまじい攻撃力になる武器が存在する)大量獲得バグなど。
    • 特に、鉱石を増殖できるバグはゲームのバランスを崩しかねないのでご利用は計画的に。
      • これを使うことでレベル上げがかなり楽になる為、人によってはむしろゲーム寿命が延びたという人もいる。
    • 致命的なものに「仲間を呼ぶモンスターが何度も仲間を呼ぶとフリーズする」というものがある。10回や20回程度では問題ないので、普通に戦闘をこなしている分にはまず発生しないバグではあるのだが、Wiz系には初代の頃から仲間を呼ぶモンスターを延々と倒して経験値を稼ぐ「養殖」という戦法が存在するので、養殖をしようと試みたプレイヤーの多くがこのバグの洗礼を受ける事になった。
  • PSP版はモンスターから盗めるアイテムにはグラフィックがない。通常のアイテムには一つ一つ書き分けられたグラフィックがあるだけに残念なところ。
    • スターフィッシュ自体あまり大きな会社ではなく、エルミブランドが人気ゆえに会社としては最大限利用したいのだろうが……
    • ちなみに移植の順番は1はPS2→DS→PSP、2はPSP→DS。ハード人気を考えたら妥当だが容量的には変。事実、バグが修正され新モンスター、アイテム、イベントが追加されている2DS REMIXではキャラ登録枠が最大22人とPSP版より少なく結婚システムがあまり生かせない(結婚の目的=子作り)。

総評

  • 昨今迷走の続いていたwiz風3DダンジョンRPGの流れを破る、非常に完成度の高い作品。戦闘、シナリオ、自由度が絶妙なバランスで成り立っており、携帯機との相性のよさもあいまってついついやりこんでしまう。
  • 前作が良作だったゆえ期待も不安も大きかったが、蓋を開けてみれば素晴らしい出来栄えであり、エルミナージュというブランドを世に知らしめた。


余談

  • スタッフが非常に少ない。批判点というよりは不安点。
    • 小宮山大介氏がディレクターからシナリオ、敵デザイン原案までかなりの部分を一人で担当しており、エルミがいかに綱渡りで製作されているかがよく分かる。
    • 続編である3のマスターアップ直前に小宮山氏が会社を辞めてしまい、ファンの間ではこれ以後のシリーズに対して不安視する声が大きい。
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最終更新:2024年03月23日 17:16