注意:本稿では『閃乱カグラ』と、その続編『閃乱カグラ Burst』を紹介する。両方とも「良作」に分類。



閃乱カグラ -少女達の真影-

【せんらんかぐら しょうじょたちのしんえい】

ジャンル 爆乳ハイパーバトル(アクション*1
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 マーベラスエンターテイメント
開発元 タムソフト
発売日 2011年9月22日
定価 5,980円(税込)
レーティング CERO:D(17歳以上対象)
コンテンツアイコン セクシャル
判定 良作
ポイント 業界初の『 おっぱいゲー
その見た目以上に凝ったシステム
良くも悪くも話題作りには成功した
閃乱カグラシリーズ

概要

マーベラスエンターテイメントとしては最後に発売されたゲームソフト。
ジャンル名からも分かるように、本作は同じタムソフトの開発による『一騎当千 Eloquent Fist』と『一騎当千 XROSS IMPACT』(以後前2作)の流れを組む作品。ただしこれはシステム上の話であり、物語の繋がりなどは全くない*2。 ゲーム業界初の「3Dで飛び出すおっぱいゲー」として話題となり、よく言えば潔い、悪く言えばあざといゲーム内容にはユーザーの反応も様々だった。
キャッチコピーは「命懸けで獲りにきて。」。

特徴・評価点

魅力的なキャラ

  • 操作可能キャラは少なくなったが、全員個性豊かで特徴的な性格で、影が薄いキャラや極端に強すぎる・弱すぎるキャラが誰一人としていないのがミソ。ちなみに全員忍者という設定上、名前は本名ではなく一種のコードネーム。
    + 国立半蔵学院
    国立半蔵学院

    飛鳥【あすか】(CV:原田ひとみ)

    • 2年生。事実上の本作主人公。いつも元気いっぱいで、どんなことにも一生懸命。前向きで友達思い。分かりやすく言うなら嫌味の無い正当派主人公キャラ。実はチームの中で最も小柄。*3
    • 武器は2本の脇差。忍としての実力はまだまだだが、潜在能力は計り知れない。好物は太巻き。
    • リーチは短めだが、攻撃回数が多いので連閃を繋げやすい。テンポ良く飛翔乱舞へ持って行けるため、使いこなせばあらゆる場面で活躍できる。また忍耐力が高くのけぞりにくい。

    斑鳩【いかるが】(CV:今井麻美)

    • 3年生。冷静沈着でクラス委員を務める他のメンバーのまとめ役。知的なしっかり者キャラ。良家のお嬢様でもある完璧超人。
    • 武器は家宝の名刀「飛燕」を使った抜刀術。懐石料理が好物で、作ることもできる。しかし、他の料理に関しては壊滅的。
    • 長いリーチと移動速度の高さが長所。攻撃範囲も広く、初心者にも扱いやすい。攻撃力もトップクラスだが体力が低い。
    • 中の人が暴走気味なのか戦闘中に奇声を上げる、陰乱モードがやたらエロいなどネタ的な描写が多くネタキャラ扱いされている。
    • 余談になるが、本作の無印版の半年前にPSPで発売された「ファンタシースターポータブル2 インフィニティ」のヒロイン、ナギサと外見が酷似している事が、当該ゲームのプレイヤーにとって話題となった*4

    葛城【かつらぎ】(CV:小林ゆう)

    • 3年生。考える前に手が出るタイプで、あけすけで豪快。理不尽なことも言うが、涙もろく親分肌のため周りから慕われている。所謂姉御キャラ。
    • 徒手空拳(主に蹴り技)で戦う。好物はラーメンで、修行の途中で収穫した野草を入れた味噌ラーメンを特に好む。
    • 巻き込み技がほとんどなく、全体的に動作も重い。しかしパワー面に関しては高性能で、敵をまとめて倒しやすい。また体力が高く打たれ強い。
    • 余談だが、その服装のせいで、他キャラと比べるとフィギュアなどのキャラクターグッズ化が難しいと開発者がインタビューで答えている。

    柳生【やぎゅう】(CV:水橋かおり)

    • 1年生。無駄なことを嫌い、いつもクールであまり感情を見せない。無口で一人称は「オレ」。眼帯をしている。孤独を好む性質だが、雲雀の事を大事に思っているような描写がある。
    • 武器は仕込み傘。他にもクナイなどの飛び道具も使う。好物はスルメ。
    • 連閃技の巻き込み技の多さが魅力。反面防御力が低く打たれ弱いのがネック。

    雲雀【ひばり】(CV:井口裕香)

    • 1年生。ほんわかとした見た目、落下しながらの登場、任務完了時にうっかり後ろを向いてVサインなど、あまりにも分かりやすいドジっ娘キャラ。しかし意外とネガティブな面もある。
    • 徒手空拳で戦うが、葛城とは違いあまりにも特徴的な攻撃を行う。好物は甘い物全般。
    • 攻撃力が低くクセのある技が多いが、防御力が高いので打たれ強く使いこなせば充分他の4人に引けを取らない強さを発揮する。
    • 他キャラに比べて扱いがよろしく無い事を自覚してるらしく、攻略本カバーに「ヒバリいつも扱い小さくない?」などと書かれてた始末である。

    大道寺先輩【だいどうじ】(CV:浅川悠)

    • クリア後のミッションに登場する隠しキャラ。規格外のパワーとスピードを持った伝説の先輩。最終試験には合格しているものの何故か卒業しないで留年し続けている。時代がかった口調が特徴。
    • 我流拳法で戦うが技の中には格ゲーファンなら誰でも知っているような技もちらほら。
    • 公式の凄まじいグラフィックから誤解するプレイヤーもいると思われるが、立派な女性である。
    • 攻撃・防御に関しては全キャラ中最強。しかし歩くスピードが遅い上に各技の隙も大きい。扱う者にも相応の技量が求められるキャラである。

    霧夜【きりや】(CV:藤原啓次)

    • NPC。飛鳥達、忍学生の担任を勤める教師。由緒正しき忍の家計に生まれたが、任務の為に平気で命を切り捨てる生き方に嫌気がさし、教師としての道を選んだ。
    • いわゆる紅一点の逆パターンだが、時には優しく、時には厳しい良き教師として飛鳥達に慕われている。
    • アニメ版ではとあるキャラとの接点の関係上、大幅に出番が増えた。
  • 敵である悪忍もそれぞれに過去や事情を抱えていたりと人間臭い描写が多く憎めないキャラクターばかりであり、敵ながらも人気は高い。
    + 秘立蛇女子学園

    秘立蛇女子学園

    焔【ほむら】(CV:喜多村英梨)

    • 飛鳥より長いポニーテールと日焼け肌が印象的な少女。2年生ながら実力は高く、悪忍側のリーダー格を務める。
    • 実力第一の悪忍の世界に生きているためリアリストで言動に容赦がないが、一方で面倒見も良く、飛鳥とは敵対しながらも忍と関係ないところでは助けたりしている。飛鳥が正統派主人公とするなら彼女は正統派ライバルキャラといえるだろう。
    • 武器は刀を片手に3本ずつ持った6刀流…奥州筆頭の子孫か何かですか?さらに最終戦では覚醒して髪と目が赤くなり、太刀による一刀流となる…炎髪灼眼なあのお方の親戚か何かでしょうか? なお、後者の覚醒状態名は紅蓮の焔。
    • Burstではメインキャラ。六刀流による範囲攻撃が強力。ゲームクリア後は紅蓮の焔に切り替えることも可能。

    詠【よみ】(CV:茅野愛衣)

    • 2年生。見た目は穏やかで口調もお嬢様っぽいが、貧民街の出身で実際は非常に貧乏な生活を送っている。好物はもやし。
    • リアルお嬢様である斑鳩を敵視しており、初めて会って以降はたびたび絡む。
    • 大剣と銃火器を使った戦闘スタイルで、近距離戦も遠距離戦もこなすオールラウンダー。
    • 発売前の人気投票で1位になった。のだが・・・*5
      • 因みに、その人気投票の結果より、無印の特典冊子の表紙を飾ったのは詠である。
    • Burstではメインキャラ。攻撃力は高いが隙が大きい、典型的なパワータイプ。飛翔連閃は攻撃中に高度が下がりやすいのがネック。

    日影【ひかげ】(CV:白石涼子)

    • 3年生。実力はあるが感情が希薄。だが一度キレると手がつけられなくなる。一人称は「ワシ」。京都弁に近い関西弁が特徴。
    • 葛城と戦って以来向こうから一方的にライバル視され、面倒くさがりながら受けている。その中で「感情」とはなにか、に少しずつ気づいていく。
    • 柔軟な体から繰り出す体術と手足に仕込んだ暗器で戦う。
    • Burstではメインキャラ。狂乱状態と陰乱の組み合わせは最強クラスの火力を叩き出す。他属性でもリミットブレイクを連発すれば意図的に発動させることも可能。

    未来【みらい】(CV:後藤沙緒里)

    • 1年生。ゴスロリ+ネコミミ+眼帯といろんな意味でツッコミどころ満載。そして本作唯一の貧乳キャラ
    • 子供っぽい性格で、無視されることを極端に嫌う。初めて会ったときの柳生の反応が気に食わず、執拗に付け狙う。
    • ガトリングなどの重火器と呪符を使った特殊な戦闘スタイルが特徴。秘伝忍法のインパクトは凄まじく、多くのプレイヤーを唖然とさせた。
    • 続編発売の前に開催された人気投票では、貧乳キャラにもかかわらず人気投票1位となった。爆乳ハイパーバトルとはいったい……*6
    • Burstではメインキャラ。唯一カウンター技を所有しているが、柳生同様に体力が低いので過信は禁物。

    春花【はるか】(CV:豊口めぐみ)

    • 3年生。サドっ気の強い女王様キャラ。他のキャラが割と健康的なお色気なのに対し、彼女だけ妙にエロの方向に向いている。
    • 様々な傀儡を操る本作唯一の策略家タイプ。そのためシナリオ上でも割と出番が多い*7。雲雀に目をつけ、自分だけの「お人形」にしようと目論む。実は蛇女側では最も仲間想い。
    • 戦闘では様々な薬品を仕込んだ試験管を投げてくる。
    • 予約特典のドラマCDでは彼女のSっぷりが垣間見られる。このCDでそっち方面に目覚めたプレイヤーもいるとかいないとか。
    • Burstではメインキャラ。試験管投げは強力なものの、衣装を破壊されると使えなくなってしまう。そのため命駆状態では使える技のレパートリーが極端に減って弱体化してしまう。

    鈴音【すずね】(CV:三森すずこ)

    • Burstにのみ登場する、大道寺ポジションのキャラ。生徒たちには苛烈な厳しさで接しているが、身の丈に合わない無謀な訓練を嫌い生徒の安全に気を配っていると思しき行動もある。過去の経歴は一切不明。
    • ゲームクリア後に条件を満たすと使用可能。あらゆるステータスが高い上に機動力にも優れ、秘伝忍法も強力。大道寺先輩と違い非の打ち所が無い性能を有するが、一部の技にバグがある。
    • ちなみに本名は「」。名前の意味を考えるとすぐに結びつくだろう。

ストーリー

  • 大きく分けてキャラのモノローグや回想となるテキストパート、キャラ同士が会話するアドベンチャーパート、実際にミッションを遂行するアクションパートの3つから構成される。
    • テキストパートのセリフ部分及びアドベンチャーパートはフルボイス。豪華声優陣による熱演がストーリーを盛り上げる。
    • アクションパートは相変わらず爽快感抜群。並み居る雑魚敵を纏めて蹴散らせる。
  • 一度クリアしたミッションのテキストパート及びアドベンチャーパートはすべてスキップ可能。繰り返しのプレイでもストレスは溜まりにくい。
  • シナリオは『428 ~封鎖された渋谷で~』や『ケイオスリングス』の北島行徳氏が手掛けており、意外に王道かつシリアス。序盤はどことなくほのぼのとした雰囲気だが、ストーリーが進むにつれ「善と悪の違い」など色々な意味で深い話が出てくる。
  • アドベンチャーパート、各種カットインは3D対応。なので揺れる揺れる…何が揺れるかは言うまでもない

忍転身

  • 連続攻撃を成功させるなどして転身ゲージが満タンになると、忍転身が可能となる。分かりやすく言うならコスチュームチェンジで、その流れも「普段着が消滅→水着姿になる→忍び装束着用」と言った流れ。しっかり3D対応です。本当にありがとうございました
  • 転身後は技の種類が増え、秘伝忍法(必殺技)が使用可能になる。複数の雑魚を纏めて蹴散らす爽快感は健在。
  • キャラグラフィックも3DSのグラフィック性能を限界まで引き出したとも言えるほど作り込まれている。

コスチューム破壊

  • 敵の攻撃を喰らうとライフとは別に衣装の耐久度が減っていき、半分になるとコスチュームがボロボロになり、無くなると全部剥がれる*8もちろんボスの服も剥がせる
    • 衣装の耐久度を回復させる手段は無いが、その代わり減点などもないので剥がれたままクリアしても特に問題は無い。
      • ちなみに服の状態はミッション後のアドベンチャーパートにおけるキャラの立ち絵にも影響する。
    • ボスの衣装破壊時に胸部のアップで止まってしまう 素晴らしい仕様 バグがある。
      • 進行不能というわけではなく、Aボタンで続行できる。解禁していればカメラ操作も可能。

命駆(いのちがけ)

  • キャッチコピーにもある、本作最大の特徴かつ前2作との差別化に成功した新要素。コマンドを入力すれば戦闘前に自らコスチュームを脱ぎ捨てる*9
  • この状態では転身せずとも秘伝忍法が使えるようになり、さらに攻撃力とスピードも爆発的に上昇する他、技のパターンも変わる。しかしこの状態では受けるダメージが倍増してしまう。雑魚敵の攻撃でもすぐに瀕死になるほど。
  • ただし、立ち回りとシステムを理解すればボスすら瞬殺できるようになる。そういった意味でも上級者向けと言える。

陰陽変華

  • 各キャラには陰陽の属性が設定されており、熟練度を上昇させるとそれぞれの属性の効果を発揮できるようになる。
    • 陽属性は通常の制服、脱がされた際の水着、忍衣装で戦うことで熟練度ゲージが上昇し、極めると「陽乱属性」になる。陽乱属性では防御力が上昇する他、敵の攻撃でのけぞりにくくなる。更にコンボ段数・ヒット数が増加し、忍法ゲージが上昇しやすくなるという特徴もある。
    • 陰属性は命駆状態で戦うことで熟練度ゲージが上昇し、極めると「陰乱属性」になる。字を間違えないように。陰乱属性時には勝手に命駆状態になり、攻撃力とスピードが他属性よりも大きく上昇する他、リミットブレイク*10を発動させてもライフが減らなくなる。しかし受けるダメージはさらに増えてしまい、陰属性では5倍、陰乱属性ではなんと10倍にもなる。敵の秘伝忍法を喰らえばほぼ即死確定。
    • そして陰陽の両方を極めると、「閃乱属性」を選択できるようになる。連閃ルートが最も多彩で、攻撃のヒット数も増加。そして最大の特徴は無限コンボが可能である点。
  • ちなみに全属性を極めても、交代画面でいつでも好きな属性に変更可能。ただしミッション開始時ではなく操作キャラ変更時に属性を選ぶことになる。
  • これらの属性の概念を導入したおかげで、陽属性は安定したプレイで敵を殲滅したいプレイヤー向け、陰属性はハイリスクハイリターンな戦いを楽しみたいプレイヤー向け、という風に初心者から上級者まで幅広く対応できるようになった。

コスチュームチェンジ

  • 普段の制服、水着、忍装束をそれぞれ変更可能。
    • レースクイーン風の水着や婦警の制服、パジャマや敵である蛇女子の5人の忍装束まである。さらに色の変更も可能。
  • 数で言うなら前2作よりもずっと増えている*11
  • ネコミミなどのアクセサリも2つまで装着できる。なお、アクセサリは装備すると特殊な効果が得られる。

賛否両論点

  • ハードなストーリー。
    • まず、和気藹々とした爆乳萌えストーリーを期待していると確実に裏切られる。命を賭ける忍少女たちの物語はなかなかにシビア。
      • ただ、これは前作(前述の通りシステムやストーリーは無関係だが)の一騎当千からして、かなりキツい物語であるためそれを踏襲しているとも言える。
    • ストーリーは王道を押さえており、善忍と悪忍の因縁、最終決戦の盛り上がりは一見の価値がある。一方で後述するがストーリーのボリュームは多いとはいえず、そのために出番が少ないキャラや活躍の場がないキャラもいる。
      + 軽いネタバレ注意 恐らく最も扱いが悪いのはキャラクター解説にもあるように、雲雀。半蔵側の忍の中で最も設定上の戦闘力が低く、周囲の足を引っ張っていることを気に病み、挽回のために独断で行動するもそれが結果として仲間に怪我を負わせ、学院の貴重な書物を相手に奪われることになってしまう。また、最終盤で各キャラが持ち味を伸ばす特訓を行う際も、雲雀に課せられたのは生き残ることのみ。物語序盤からラストまで活躍らしい活躍は一切ないどころか、足を引っ張り続けている。
    • 本来は戦闘が苦手な代わりに諜報活動が得意という設定があるのだが、それが発揮される場面は一度もない。一応特技を生かして、所在の知られていなかった蛇女の本拠地を発見しようとするが、結果として敵の罠にかかり、上述の失態を犯す原因となってしまった。唯一の貢献はその失態の渦中で結果的に敵の本拠地を知ることができたことのみである。
    • このように扱いは悪いものの、一方で出番は多い。burstでも不遇は変わらず、ある人物に催眠をかけられて操られてしまうが、そのお陰で善忍メンバーの中では一番出番が多い。
    • 雲雀に次いで扱いが悪いのは人気投票で1位だったはずの詠(と、詠のライバル枠である斑鳩)。こちらは単純に出番が少なく、他の蛇女メンバーは半蔵メンバーと何度も戦うことになるのに対し、詠と斑鳩の戦いは最終決戦を除けば一度しかない。
      • 他のメンバーは数度戦ううちにある程度関係が深まり、最終決戦での盛り上がりに繋がっているのに対し、詠と斑鳩はそれがないため今一つ盛り上がりに欠け、残り者同士で戦っている感が漂う。一応最終決戦前に詠が斑鳩に因縁を持つ理由が語られるが、駆け足気味になっているのは否めない。
      • burstでは詠の視点から斑鳩との因縁に関わる物語はかなりボリュームアップされており、詠と斑鳩ファンにも納得の出来となっている。アニメ版でも序盤から要所で対比が描かれており、最後には和解している。
    • 悪忍側のキャラの掘り下げが少ない。
      • 善忍側が忍になる理由は一般的に善忍の家系に生まれたからなのに対し、悪忍側は様々な理由から忍となることが語られているが、作中で悪忍になった理由が明確に語られるのは焔のみ。詠と未来はその境遇からある程度理由を推し量れるが、日影と春香は一切の描写がない。日影の感情がない理由についても触れられない。
      • burstでは蛇女側のストーリーとなるため、各キャラのバックヤードの掘り下げがなされた。ただし日影の感情がない理由については触れられていない。
  • 最終決戦のラストの展開も賛否が分かれる。
+ 重大なネタバレ注意
  • 半蔵vs蛇女子の死闘は半蔵の勝利で終わろうとしたところ、突如巨大妖魔「怨楼血」が出現し、蛇女子の5人を取り込んで復活してしまう。
    • という展開が起こるが、妖魔自体はともかく怨楼血の存在に関しては伏線も一切なく、忍同士の戦いというテーマに割り込んでいきなり出てくるためポッと出感が強く、場違いにすら感じる。
      • この展開でないと蛇女子が全員死んで終わって鬱展開になってしまうことを考えると必要悪ではあるが…。
      • ちなみに開発初期は取り込んだ蛇女子を助ける展開になったと思われる資料が公開されている。これはburstに活かされることになった。
  • この怨楼血、ゲーム面にしてもあまり面白い敵ではない。
    • 攻撃頻度にかなりの気まぐれがあり、一方的に殴って勝ってしまうこともあれば相手の圧倒的な攻撃力であっさり蹂躙されることもある。運ゲーとも。

問題点

  • ベルトスクロールアクションの宿命故か、全体的にボリュームが少ない。
    • ミッションの数は少ないわけではないが基本的にやることが「ザコ殲滅orボス撃破」なのでバリエーションに乏しく、ストーリーをクリアしてしまうと飽きやすい。
      • また、ボス戦オンリーのミッションも割と多く、体感のボリュームはもっと少な目。
    • 蛇女サイドの視点も欲しいというプレイヤーの声もある。開発側も開発期間の少なさから出来なかったらしいが。
      • 続編であるBurstは蛇女サイドの物語となった。
  • ストーリーミッションは初回のみ操作キャラが固定されるので、全員満遍なく育てていかないと最悪詰む。特に中盤の操作機会が多い雲雀とラスボス戦を担当する飛鳥は放置していると泣きを見る。
    • ただしミッション中にリアルタイムで成長していく上にフリーミッションもあるので、育てるのはそれほど苦労しない。1人だけではなく満遍なく育てる必要があるゲーム性、と言い換える事もできる。
      • 雲雀は、中盤において強制ミッション以外出撃出来ない状態になるので下手をするとそこで詰む。ただし、その状態に行くためにも雲雀の強制ミッションをクリアする必要がある為、詰まりにくくはなっている。属性も変更出来ないので低防御力の陰乱属性にしているとキツいかもしれないが。
      • 飛鳥はそういう状態にはならないので、他のミッションでレベルを上げたり属性変更すれば大丈夫。
  • リスクのある成長要素の不可逆性。
    • 成長するごとに技が増えたり前述の属性効果がついたりするのだが、成長したからと言って必ず強くなるとは限らない。-例えば、低レベルのうちは地上で4発前後攻撃すると相手を空中に吹っ飛ばせるのだが、高レベルになると7、8発必要になったりする。タイマンならその分ダメージも増えて強いのだが、このゲームはあくまでベルトアクション。攻撃が長くなったせいで後ろ・遠距離から別の敵に攻撃される、などと言う事も少なくない。
    • 特に問題となるのが「命懸」状態。命懸でミッションをクリアすると「脱」評価が付くのだが、成長して陰属性・陰乱属性が付くと防御力が大幅に下がるため、それらの属性がつかないうちの方が「脱」でクリアしやすい。
      • レベルを下げたり属性を外す事はできない*12。そのため「成長前の方が使いやすかった」となっても、ゲームをやり直す以外に成長前に戻る方法がない。
  • 3DSのゲームとしては、ややロードが長め。
    • あくまで「やや」であり、プレイに支障が出るレベルではない。
  • グラフィックの代償というべきか、フレームレートが低い。
    • 他のパートは問題ないが、特にアクションパートで敵を切り刻むと目に見えてカクカクするようになるため目に良くない。
      • 特に柳生や斑鳩といった、攻撃範囲が広く、連閃数の多い攻撃が出来るキャラだとそれが著しい。
  • アクションパートとキャラの装備等を変更する更衣室が3D非対応。特に更衣室はキャラクタービューモードも兼ねており、多くの紳士達が血の涙を流した。
    • 更衣室の3D非対応に関しては続編のBurstで3D対応となった。
  • 任務中に先へ進めなくなるバグが存在している。一応対処法はあるが、失敗するとしばらく待たないと進めなくなる。
  • 取得経験値増加の効果を持つアクセサリ「ネコ耳セット」を装備している場合、リザルト画面の昇段と実際の昇段がずれるバグがある。任務中のものが正しく、リザルト画面が間違っている模様。
  • 柳生、雲雀が途中で使用不可能になる
    • ゲームを進めて特定の任務をクリアすると柳生、雲雀がプレイアブルキャラクターとしての使用が不可能になってしまう。

総評

前2作の課題をほとんどクリアしつつ、新要素でさらに進化を遂げた名作。派手で爽快なアクションと3Dで表現されたお色気要素が絶妙なバランスで融合しており、「お色気要素目当てで買ったがアクション部分の完成度に驚いた」というプレイヤーも多い*13
前評判はそれほどでもなかったが、いざ発売されてみると初動で約5.4万本、2011年11月までの累計販売本数は約7.1万本という売り上げを記録した。さらにマーベラスの公式発表によると2011年12月中にも売り上げが実売8万本に達する見込みで、当初の予想売上*14を大きく上回る結果となった。
この手のギャルゲ臭の強いソフトは普及したハードでも10万本売れれば大ヒットと言える中、当時の3DSの市場状況*15から見ても大健闘と言って差し支えないだろう。更に本作発売週にハードの売り上げが前後週と比べてそこそこ伸びている*16ことから多少のハード牽引効果もあったようである。
その後、続編である「閃乱カグラBurst ~紅蓮の少女達~」が発売され、その後もその時点での最新ハードに乗り換えながら順調にシリーズを重ねている。コミカライズやアニメ化、スピンオフ作品なども展開されその人気は留まるところを知らない。


閃乱カグラ Burst -紅蓮の少女達-

【せんらんかぐら ばーすと ぐれんのしょうじょたち】

ジャンル 爆乳ハイパーバトル
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 マーベラスAQL
開発元 タムソフト
発売日 2012年8月30日
定価 5,980円
※2014年3月6日より2,980円に改定
判定 良作

概要(Burst)

  • 『閃乱カグラ -少女達の真影-』の続編だが、前作の内容が丸々入っているため実質的には完全版と言うべきもの。前作のシステムを一新した他、あらたに秘立蛇女子学園のメンバーが主役のストーリーも追加されている。

追加要素・変更点

+ 多岐にわたる。旧公式ブログ「「半蔵編」は、どのようにBurstしたのか?」で詳しく触れられている
  • 前作(半蔵編)と同等のボリュームがある蛇女編を追加。
    • 蛇女編のストーリーは半蔵編のパラレルという設定で、基本的な話の流れは前作とほぼ一緒だが細部が大きく異なっており*17
      実質別の物語になっている。前作では語られなかった蛇女キャラの詳細も語られている。
  • 忍部屋/更衣室を立体視に対応
  • 更衣室に新コスチュームとアクセサリーを追加
    • コスチュームの取得タイミングが早まった
    • 一部は、半蔵編もしくは蛇女編でしか使用できない
    • アクセサリーについていた個別のパラメータUP機能を全て削除
    • 個別に設定していた衣装耐久値を統一
  • 更衣室にクリア後に開放される新機能を追加
    • マイクに息を吹きかけるとミニスカートタイプの衣装をめくれる
  • 更衣室にて一度忍部屋に戻る事無く、キャラクターの変更を可能にした
  • 資料室でOPアニメをいつでも見れる
  • 2回目以降の「任務選択」にてADVのスキップを事前に選択出来る
  • ADV中の一部演出やBGM/SEや表情を変更
  • 「命駆」使用時のエフェクトを変更
    • 命駆で任務をクリアした場合、4段階評価ではなく「脱」という別の評価がつくようになった
      • 前作では命駆でクリアすれば4段階評価もついていたのだが、この仕様により通常の半分の時間で全任務をクリアできなくなっている
  • 半蔵5人の忍転身演出を一新(前作のものは未収録)
  • プレイヤーの秘伝忍法演出のアレンジ(前作のものは未収録)
  • プレイヤーのコスチューム破壊演出の新規追加&アレンジ(前作のものは未収録)
  • 陰陽変華した際のキャラ性能を変更
  • 陰乱属性の際にリミットブレイクが連発できなくなった
  • 忍法ゲージが2本になるタイミングをL11→L5へ変更
  • キャラクターボイスの追加
  • プレイヤー/ボスを含めたパラメータを再調整
  • プレイヤーの技取得のタイミングを早めた
  • アクション中のカメラのズームイン/アウトの演出を調整
  • 「空中秘伝忍法」の追加
  • 「飛翔乱舞」を始めから1回継続出来るように変更
  • 新規通常技の追加
  • 「強襲攻撃」の追加
    • ジャンプ中か飛翔乱舞後に使用でき、前作のように攻撃後無防備な状態で落下することはあまりなくなった
  • 空中ショートダッシュを最初から使用可能&ダッシュ軌道の変更
  • 2段ジャンプの性能を変更
  • 各種攻撃の発生フレームなどの調整
  • 各種攻撃によるダメージ量の調整
  • カットインデモのスキップ可能タイミングを変更(攻撃連打で誤動作を防ぐため)
  • ポーズ中にUIを非表示に出来る
  • 殆どの敵に備わっていた「のけぞり耐性」を大幅に削減
  • 敵出現パターンの微調整
  • クリア規定タイムを調整
  • エリア切替位置の微調整
  • 破壊オブジェクト位置の調整

問題点(Burst)

  • 本体の仕様上仕方ないのだが、前作からの追加連動要素もデータ引き継ぎも一切無い。そのため前作を極めたプレイヤーは再度プレイし直すはめになるのである。
    • なお本作のセーブデータはSDカードに書き出せるようになっている。
  • 前作のシナリオが改良収録されてるため、前作のシステムでプレイしたい等の気持ちがなければ前作をプレイするメリットが薄い。
    • 逆に言えば前作未プレイの人は一粒で二度美味しいとも言える。
  • 相変わらず陰乱状態での難易度が高く、気が付けば画面外から飛んでくる高速の矢に当って即死ということもザラにある。前述のように、今作では「脱」評価が追加されたため、全てのクエスト脱評価で埋めるためには命駆を避けられないのもネック。前作で触れた「成長要素の不可逆性」の問題と重なり、「成長させたせいで逆に『脱』評価が取りにくくなる」という事態に陥る。さらに属性の成長速度の速さから、全クエストを陰乱状態になる前に埋めきるのは不可能に近い。前述のように、今作ではリミットバーストの連発が不可能になったため、改善されるどころか余計に難易度が増した。
    • 属性の成長度合いは獲得経験値に左右されているため、出来るだけ経験値を稼がないように不要な戦いを避け、連閃を稼がないようにすることで陰乱状態になるのを遅らせることはできる。
      • 一応、キャラを問わないならHPが格段に高い隠しキャラを使えば比較的楽。序盤の低難易度クエストは後回しにして、陰属性がMAXになる前に難易度の高いMAPからクリアしておく手も有る。
  • ストーリーは完全にパラレル。初期設定が同じなだけで、前作との繋がりは存在しない。
    • また、前作の不満点はある程度解消されたが、それでも質的な不満を唱えるプレイヤーは少なからずいる。
  • 物語終盤からエンディングまで、忍部屋に戻ることができなくなるため、場合によっては詰む。途中で属性の変更が出来なくなるため、特に陰乱属性をセットしたまま突入すると危険。一応、該当のミッションを選択する前に注意が出るため、誤って突入する可能性は低い。
    + 軽いネタバレ注意
    • 前作の中盤の雲雀と同様の形式。ただしこちらは戻れなくなってからエンディングまでの戦闘数がかなり多く、また難易度も高い上に5人全員が複数回戦闘を行う必要があるため、誰か一人でも低レベルの状態で最終盤に突入すると、苦しくなる場合がある。
    • 本編が終わっても、エンディング終了後にある人物を相手に5人連続で勝利しなければならない。途中で負けた場合一人目からになるため、ここで泣きを見る場合も。
    • 中でも戦闘数が頭抜けて多い焔のレベルが低い場合は苦戦は免れない。最終決戦の相手の飛鳥は動きが早く強敵な上に、一戦目の後パワーアップした状態の2戦目も戦う必要がある。一応二戦目から本編終了時までは紅蓮の焔になれるので多少はマシだが。
    • 実は忍部屋に戻れなくなるクエストの直前にかなり難易度の高いクエストがあるため、ここを突破できるだけの能力+腕前があればそうそう詰むことはない。とはいえこのクエストで操作するのは春香、詠、未来の3人だけなので、焔と日影が十分に育ちきっていなくても先に進めてしまう点には注意が必要。特に焔は戦闘数が多いので猶更。

総評(Burst)

  • 元々完成度の高かったゲームに新たなシステムやストーリーが追加されたことで、さらに魅力が増した良作。「最初からこの仕様で発売してほしかった」という声もあるにはあるのだが。

余談

  • Amazonの商品レビューでは星1つのレビューは作品への批判ではなく、特典の有無に関する内容が多い。
    • 本作の特典はかなり凝った作りになっており、予約してでも手に入れたいと思ったプレイヤーが多かった為である。なお、『BURST』の特典の表紙を飾ったのは人気投票1位の未来だった。

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最終更新:2022年10月03日 15:15

*1 エロ表現に厳しい任天堂の公式サイトでは「アクション」表記であり、ソフトアイコンも龍のマークとなっている。

*2 そもそも前2作は原作付きのキャラゲーである。

*3 設定身長155cm

*4 偶然かもしれないが防御力が低いとこまで一緒である

*5 BOTを用いた投票が行われた

*6 爆乳好きの票が分散する中、貧乳好きの票が集中した、と言う側面もあるだろうが。

*7 アニメ版でもかなり出番が多かった

*8 しかし3DSのプレイヤー層を判断したのか、一騎当千のように派手な露出は無く、せいぜい水着姿にされるまで。また、「水中での戦いに備えて水着を着ている」という設定のため、後に発売されるVITA版とは違いパンツやブラといった下着ではなく水着という設定となっている。

*9 といってもちゃんと水着は着ている。

*10 ライフを僅かに消費することで使える、全体攻撃技。発動中は無敵だが、発動後は一瞬の隙ができる。

*11 前2作は各キャラに一つずつしか用意されていなかった。

*12 陽乱属性・閃乱属性になると命懸になれないため、一度陰属性や陰乱属性を獲得すると、命懸=それらの属性効果を強制で得る事になる。

*13 ちなみにファミ通の読者レビューでも評価点1位は「アクションの完成度の高さ」だった。まあ、「爆乳目当てに買った」と素直に答えるのが恥ずかしかった読者も多いのだろうが。

*14 ペイラインは1.5万本、目標売上は3万本だったという情報もある。

*15 話題作「モンスターハンター3G」の発表直後でこそあったが、ハード売り上げは190万程度だった。

*16 ファミ通集計で発売週に売り上げが+6,000台、翌週に-13,000台

*17 詠と斑鳩あたりは特に