スーパーストリートファイターIV 3D EDITION
【すーぱーすとりーとふぁいたーふぉー すりーでぃーえでぃしょん】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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メディア
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2Gbyte3DSカード
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発売元
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カプコン
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発売日
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パッケージ版:2011年2月26日 ダウンロード版:2013年9月19日
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定価
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パッケージ版:4,800円(税込) ダウンロード版:2,057円(税込)
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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3DSの性能を限界まで引き出した意欲作
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ストリートファイターシリーズ
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概要
PS3/360で好評だった『スーパーストリートファイターIV』の移植で、3DSのローンチタイトル。
なお、家庭用版からのバランス調整は施されていない。
特徴・評価点
本作は据え置き機であるPS3/360版よりスペックの劣る3DSでの発売であるが、スペック差を埋めるかのようなアレンジが様々な点において施されている。
本項では、それらを中心に記述する。
グラフィック
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3DSと同時発売でありながら、マシンパワーをいかんなく発揮した美麗なグラフィック描写を可能にした。
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"闘っている二人のキャラクター"に重点的に注力して描画することで「法線マッピング」(ポリゴン表面の細かな凹凸や造形-具体的には筋肉や服のシワなど-を光沢や陰影をもって表現する技術)や「セルフシャドウ」(キャラクター自身からの影が自分の身体に落ちる表現。キャラクターの実在感を強める)をファイターに用いることができたため、さすがにHD機より品質は落ちるものの「ストIVらしさ」を感じさせる存在感のあるファイターの表現が出来ている。
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3D立体視はしっかり奥行きと立体感を感じさせ、また画面内のステージやキャラクターを目が疲れるような「遠く画面の奥深く」でも「飛び出し過ぎた状態」でもなく「画面の液晶ガラスの中のまさにすぐそこ」に位置させるきちんとした調整になっている。前述のグラフィック表現もあいまって、「画面の中にある3D空間にキャラクターが"存在"して闘っている」感覚が味わえる。
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特筆すべきは、ウルトラコンボ発動時のムービー。キャラクターによっては、手前や奥へと目まぐるしく動き回るため、3DSのパワーを強く体感することが出来る。
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3D表示をONにしていると30fpsで動くが、ゲーム内オプションでOFFにすると、60fpsで動くようになる。
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また『3Dバーサス』という自キャラの斜め後ろから写した画面アングル(『ポケットモンスター』シリーズの戦闘シーンのようなかたち)のモードもあり、遊びやすさや機能性という面では真横からの普通のモードに劣るため本気でプレイするには向かないが、自分と向かい合って迫りくる敵や斜め奥に向かって飛んでいく飛び道具など3D立体視ならではの奥行き感や臨場感をより楽しむことができる。
PRO操作とLITE操作
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本作は、従来通りのコマンド入力によるPRO操作と、タッチスクリーンで簡単に必殺技を繰り出すことが出来るLITE操作の二つの操作方式を搭載している。
このLITE操作によって、携帯機、及び格闘ゲーム特有のコマンド技の出しにくさを緩和している。
オンライン待ち受け
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携帯ゲーム機のいつでも持ち歩いて遊べるという特徴を生かし、他のモードで遊びながらもワイヤレス通信やインターネット通信で対戦相手の待ち受けが出来る。
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マッチングした相手とすぐ対戦が出来るため、CPUと練習しながら対人戦を楽しむといったことも出来る。
フィギュアコレクション
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3DS版のみの要素。ゲームを遊んでいると貯まるフィギュアポイントを使用し、スロットでフィギュアを手に入れることが出来る。
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すれちがい通信での対戦も可能。限られた制限の中で5体のフィギュアを選び、すれちがった相手とオートで対戦が行われる。
どのような順番で戦わせるかなど、シンプルながら熱い戦略性もある。
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カプコンによって配信されるパスワードを入力することで、限定のフィギュアを手に入れることも。
その他
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ディスク媒体ではないため、ロード時間が非常に短い。本体アップデートによりさらに高速化している。
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相手を倒したときの「K.O.」の表示が早めに消える。
問題点
前述の通り携帯機ならでは・携帯機ながらの評価点が多い中、携帯機ならではの問題点も持ち合わせている。
LITE操作の問題点
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溜めコマンドや2回転コマンドなどの技もワンタッチで出せてしまうため、コマンドの制約によるバランスが薄くなり、ただぶっ放すだけの試合になる恐れがある。
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溜めコマンドの場合は使ってからしばらくウェイトがかかるのだが、何故か「←溜め」と「↓溜め」が完全に分離されており、例えばガイルの場合はソニックブームの直後にサマーソルトキックを出せてしまう。
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バイソンに至っては、攻撃しながら2回分のターンパンチをファイナルまで溜めることが出来てしまう。
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オンライン対戦では対策されており、PRO同士やLITE同士のみでマッチングするように設定できるのが救い。
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後の「6」では「モダン操作」として必殺技を1ボタンで出せる操作モードが存在しており、時代を先取りしていたとも言えよう。そちらについてはパンチとキックの出し分けができないなど、特有の欠点もある調整となっている。
演出面
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PS3/360とのハード性能の違いからだろうか、背景の観客のアニメーションがなくなり、場を盛り上げてくれなくなった。
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他にもポリゴンで描写されていた箇所が一枚絵になっていたりと、やや寂しい印象を受ける。
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例えばアーケードモードのラスボス戦の舞台となるステージは、他機種版ではそのステージで待ち構えていたボスとプレイヤーキャラとが対峙するシネマシーンのあと、実際のプレイ中に闘いが進むにつれて背景がダイナミックに変化していく演出があるのだが、3DS版では他機種版と同様のシネマシーンのあと対戦が始まる時に既に変化した状態で始まり固定されて動かないため「この一瞬に何があった」となるような違和感のある進行になってしまっている。変化させられないならせめて変化していない状態のままのほうが自然だった気もするが……。
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状況によるBGMの変化も無くなっている他、何故か「Drive-in At Night」ステージのBGMがおかしくなっており、ウルトラコンボが発動可能な状態でのBGMが流れ続ける。
オンライン対戦時のラグ
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対戦時にラグがあり、このラグを悪用するプレイヤーもいる。例を挙げるなら一度ダウンを奪う→相手が起き上がりガードする前に意図的にラグを発生させガードする前にまた強Kでダウンを奪う×nといった卑怯な戦法も可能となってしまう。
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またニックネームをいつでも変えられるため、自分が相手したくないと思うプレイヤーと当たってしまったと気づかずに対戦し、不快な思いをすることも。
3Dモデルの劣化点
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どういうわけか開始前動作、勝利・敗北ポーズ、ウルトラコンボ・カメラワークを使うロック技使用中、スパコン・ウルコン・カメラが動くロック技以外の喰らい中動作でキャラクターが無表情になる。
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また、リュウの鉢巻など、服装の細部が動作しなくなっている。こちらはハード性能の違いもあると思われる。
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しかし、KO後は何事もなかったかのようにキャラクターの表情が変わるようになっている。また、3Dバーサスでは全てのダメージ動作で表情が変わるようになる。
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ゲーム進行に影響はなく、解像度も低いためあまり気にならないのだが、カメラが近くなる3Dバーサスではこの欠点が多少目立つ。
総評
携帯機ながら移植度は高く、気軽に『スパIV』を触るにはある程度良い作品。
ただ、バランスに関してはプレイヤーモラルにかかる面も大きいいえる。
最終更新:2023年06月27日 16:48