デビルサバイバー2

【でびるさばいばーつー】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 1024MbitDSカード
発売・開発元 アトラス(インデックス)
発売日 2011年7月28日
定価 6,279円(税込)
判定 良作
女神転生シリーズ

概要

  • コミカルなキャラクターと、それにそぐわぬハードな世界観で好評を博したシミュレーションRPG、デビルサバイバーシリーズの第二作。
  • 壊れていく日常とそれに立ち向かうというコンセプトは継承しつつ、今作では侵略者と呼ばれる異生物との戦いもストーリーの主軸となっている。

特徴・評価点

  • 仲間キャラである悪魔使いとの交流を深める事で、新たな仲魔を作成したり、プレイヤーに有利な状況を作る事ができる「縁システム」。
    • 交流の内容も、心温まるものからシリアスなもの、ギャグチックなものと幅広い。
    • ベストエンディングを見るには全員の縁をある程度上げないといけないため、計画的にプレイする必要がある。
    • 前作では仲間との交流を見る機会が少ないのが残念がられていたが*1、今作は主人公が仲間と会話する事自体が本編となっておりこの点が解消されている。
  • 前作よりもキャラクター化された主人公
    • 前作主人公のネコミミには従兄のナオヤとの関係など特殊な設定があったが、今回の主人公はただの一般人である。そのため、前作よりキャラクター化され、感情移入しやすくなっている。
    • 会話の選択肢も、カリスマ性溢れる言動から、女性キャラに対するセクハラな言動やおとぼけ選択肢までよりどりみどり。仲間はもちろんファンからも愛される「人たらし」なリーダーとなっている。
  • マルチエンディング
    • 今回もマルチエンディングであり、複数の結末が用意されている。
  • 近い未来に死んでしまう運命を負ったキャラの死亡シーンを配信する「死に顔サイト ニカイア」。
    • ただし、主人公たちの行動次第によって死の運命は変える事が可能。そのため悪趣味な動画というよりは、むしろ警告として活用されている。
    • 文字だけで終わっていた前作と違い、縁を結ぶ仲間が死ぬシーンの動画なのでプレイヤーにも強い緊張感を与えており、今作の雰囲気作りに一役買っている。
  • 「平等」か「実力」か対立するシナリオ
    • 悪魔だけでなく、人間との対立も本作も健在。
    • 実力か平等かそれともまた別の道か、それぞれが正しいと思う世界を作ろうとし、仲間達が対立する、鬼気迫る展開は止め時が分からなくなる。
  • 前作に引き続き、スタッフ陣は豪華。
    • キャラクターデザインは引き続きヤスダスズヒト氏が続投。今作も暗い雰囲気をある程度払拭させる元気に溢れたキャラを楽しむことができる。
    • また、サウンドは『サガ』シリーズでお馴染みの伊藤賢治氏が担当。
      • 前作の浅野孝已氏による曲群はギターが鳴り響く絶望感に溢れたサウンドが多かったのに対し、本作のサウンドは強敵に立ち向かうような勇壮な曲が多い。
      • マップ、戦闘曲が特に評価が高い。また、余談ではあるが今作はアトラススタッフがアレンジした曲を収録したCDが特典でついてくるのだが、いずれも伊藤氏のファンを自認していた。
    • 敵生物「侵略者」デザインは『ぼくらの』などで知られる鬼頭莫宏氏。
      • 氏の織り成す無機質かつ強大なイメージは、本編での強さと相まって高いインパクトを生み出した。
  • 悪魔総数は前作の約二倍。英雄、魔人などの新種族も作成可能になり、コレクター要素もさらに広がっている。
    • 隠しボスも前作より増え、また、いずれも難易度は高い。最初の魔人である「ゴーストQ」は、初見撃破が非常に困難なボスとして知られている。
    • また、前作の「隠しボス」ルシファーは、合体レシピが前作と同じ、と言うファンサービスが試みられており、更に彼と対を成す「サタン」も今作で参戦している。
    • 戦闘中に入手できる「アドオン」というシステムにより、仲魔のスキルが全て付け替え可能になり、労力をかければ好きな悪魔を最強に出来るようになった。
    • 悪魔数が増えたことで基礎レベルにとらわれず好みの種族を継続して使いやすくなった。種族固有スキルが重大な差別点として存在する今作では重要。
  • 戦闘面の向上。
    • 新種族の登場やスキルの増加・修正などにより、戦略の幅が増えている。
    • 画質向上や演出強化の他、全体的にテンポも良くなっている。
    • 戦闘システムは前作の形ほぼそのままの形で続投。エクストラターンシステムや行動力制は前作同様好評。
  • 複数の都市を舞台にした物語。
    • 東京だけでなく、大阪、名古屋の新ステージが追加されており、有名な観光スポットが背景や戦闘マップとして登場する。
  • バトルの改善
    • 前作(無印)では物理がややイマイチで魔法が強力だったが、今作では強力な物理スキルが追加された。バランスブレイカー気味ではあるが…(後述)。

賛否両論点

  • 前作との「サバイバル」の路線の違い
    • 前作は「封鎖された山手線内に閉じ込められた挙句、悪魔や悪魔使いが現れはじめ、さらに徐々に荒廃していく」という、まさに「現代が舞台のサバイバル」にぴったりなシナリオだったのだが、今作で描かれるのは「謎の侵略者との生き残りをかけた戦い」であり、「サバイバル?」と首を傾げた人も多い。
      • 加えて一個人が寄り添って行動していた前作と比べ、組織に所属して侵略者に対抗するという面でも安心感を生み出してしまっている。(主人公は衣食住を保証されているため、前作における「限界状況での生存」という面の心配がない。)
    • 「survivor(サバイバー)」という単語自体は「事件・災害などにおける生存者」という意味であり、所謂文明から隔絶されたサバイバルという意味ではない。また、どこにも逃げ場のない本作は前作以上に追い詰められている面もある。
  • バランスブレイカーの存在
    • 「千烈突き」は良く代表に挙げられる。終盤で手に入るスキルなのだが、その効果は「敵全体に速に比例して物理攻撃を与える」というもの。
      • ヨシツネ、フェンリルなど力と速に長けた悪魔は特に千烈突きの恩恵を受けやすく、物理反射が無い敵相手なら無双できる。またエクストラターンの関係上、攻撃回数が増える=クリティカルを得る機会が増えるので、非常にエクストラターンを奪いやすく得やすい。エクストラを得たうえで敵全員のエクストラを根こそぎ奪い去る、なんてことはザラ。
      • ただし、当然ながら物理反射持ちの相手には通用しないので他の戦闘手段も必要になるし、逆に敵が使ってきた場合は恐ろしい。また、最速クラックも6日目中盤と遅め。
      • 終盤には反射を持つユニットも増えてくるが、反射を持たないユニットの方が遥かに多いのでやはり強い。
  • 「邪念流動」という邪龍の上位種族スキルもよく挙げられる。その効果は「使用したターンの射程が+4される」という恐るべきもの。
    • 移動・迎撃戦闘による行動遅延が増加している今作では、いわゆる固定砲台の優位性が飛躍的に上昇しており、その恩恵を最大限受けたスキルと言える。オマケに何故か敵側は使ってこない。まぁ使われたらそれはそれで困るのだが。

問題点

  • シナリオの説明不足
    • 前作では、あらゆる出来事への理由付けや張り巡らされた多数の伏線の回収など「シナリオの完成度」が評価点の一つであったが、今作では説明不足な点が目立つ。
    • キャラが特に話題にしない事まで含めると謎のまま終わってしまう物も多数存在。例えば「憂う者がフミを操っていた理由」「輝く者とは何なのか」など説明の無いイベントや用語が多い。
  • シナリオの変化に乏しい
    • 前作同様マルチエンディングを採用している本作ではあるが、終盤までシナリオに余り変化が無い点が前作から不満となっている。
      • 今回はまだ「縁システム」による会話が変わるが、それでも概ね同じである。
    • 特に前作ではキャラの死亡やフラグ管理などでイベントそのものが増えたり減ったり別の物になったりと多少の変化はあったのだが、今作では台詞が少し変わったり、会話するキャラが変わるという程度の変化しかない。また、バトルも仲間死亡で味方の数が変化するがイベントは同じである。
      • この点は周回プレイ前提のゲームであるという事もあり、不満に拍車をかけている。
  • 使い回しが多い
    • 新規ステージや新規モブもいるのだが、無印そのまま使い回されている部分が多い。
    • 序盤から一般の警察官が「前作の悪徳警官の立ち絵」で現れるのは、良い意味でも悪い意味でも強烈なインパクトがあった。
  • 会話
    • 前作と同じで会話にバックログがない。

総評

サバイバルの方向性の変化やシナリオ面の問題など、前作ファンからすると残念な箇所もあるが、キャラクターの掘り下げやゲームシステム的には良好な進化を遂げた新作。


余談

  • 前作ではDSをモチーフとしていたCOMPは今作では登場せず、代わりに携帯電話に強制的にダウンロードされた「悪魔召喚アプリ」を用いて仲魔を使役する事になる。
  • OP曲「夢幻の世界」を歌う歌手の名前は「嵯峨(サガ)絹子」。実はこの苗字が歌手選定の最後の決め手になったらしい。
  • 2013年に「DEVIL SURVIVOR 2 the ANIMATION」としてアニメが放送された。
    • 大まかなストーリーのラインはゲームと同じだが、初回から白虎と契約していたり最終回まで悪魔合体が使えない等、アニメ独自のシナリオが展開されている。
  • 2015年には「デビルサバイバー2 最後の7日間」というタイトルでパチスロ化された。

デビルサバイバー2 ブレイクレコード

【でびるさばいばーつー ぶれいくれこーど】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 2Gbyte3DSカード
発売・開発元 アトラス(インデックス)
発売日 2015年1月29日
定価 6,458円(税込)
判定 良作
女神転生シリーズ

概要(ブレイクレコード)

  • 新規シナリオやフルボイス等を追加した3DSリメイク作品。

追加要素・評価点(ブレイクレコード)

  • オリジナルのその後と、新キャラ「峰津院 都」を描いた新シナリオ「トリアングルム」編が追加された。
    • オリジナル、追加シナリオのどれかを選んでスタートできる。
    • これで双方のストーリーを合わせたボリュームは50時間強。3DSでも屈指のボリュームのRPGとなった。
    • また峰津院 都を始め縁システムも全員用意されている。以前の世界から成長したキャラ、変化に戸惑うキャラなどまたキャラクターの魅力が増している。
  • おもしろ主人公の健在
    • 「トリアングルム」編でも主人公の以前のバラエティ豊かな選択肢は健在。セクハラが多くなっているような…
  • オリジナルのシナリオ「セプテントリオン」にも改良が加えられている。
    • フルボイスに対応し、イベントスキップの性能が向上、BGMやボイスのON/OFFができるようになっている。
    • 前作にはなかった主人公のボイスが追加された。実力派声優の神谷浩史氏が担当しており、主人公のキャラ付け強化に一役買っている。
    • またモブキャラも地方事に方言で話すなど、細かい作り込みをしている。
      • 健康診断イベントではなんとキャラの立ち絵の追加がなされている。けしからん。
  • 難易度を選択できるようになった。「福音」「黙示録」の2つから選べる。
    • 「福音」はいわゆる「イージー」に相当する低難易度で、全滅してもレベル引き継ぎ、スキル持ち込みができるようになり初心者でも楽にクリアできる。
  • 追加楽曲はペルソナシリーズでお馴染みの目黒将司氏が担当。
  • すれちがい通信の追加。
    • すれちがいをすると他プレイヤーの情報がみられるほか、すれちがったときに仲魔1体が成長する。
  • いつの間に通信の追加
    • いつの間に通信によって追加悪魔の作成、アドオンによるスキル引き継ぎ、期間限定ではあるが本作と同じくヤスダ氏がキャラデザをした「デュラララ!」キャラの配信が行われた。(もちろん、これらの追加悪魔がいなくても悪魔全書コンプは可能である)

問題点(ブレイクレコード)

  • シナリオ
    • 追加されたトリアングルム編でも説明不足のイベントや用語は多い。特に新キャラクターの「峰津院 都」に理由のわからない行動や不可解な設定が集中している。
      • また、シナリオの関係上、縁を上げる機会が極端に終盤に偏っており、ゲーム内時間で半日もかけずに一気に上げる事になるので、割と主人公への他キャラのデレが多い本作でも特にチョロい印象を与える。
    • セプテントリオン編もシナリオ自体には手が付けられていないため、シナリオの問題点はそのまま残っている。
  • その他
    • 通信によって得られるアドオンが無ければ悪魔に継承できないスキルがいくつか存在する。
      そのアドオンは一つのセーブデータで入手機会が1回のみのため、仲魔に覚えさせて悪魔全書に登録せずに周回した場合、その後覚えさせる事は不可能になる。
  • 前述したように選択肢が非常にバリエーションに富み、反応の違いがとても楽しめる物なのだが、絆レベルのポイントが設定された選択肢が数多く存在している。
    • 加算ポイントは微々たる物なのでルート分岐自体への影響は少ないが、全てを救っての大団円エンドを目指す場合はかなりカツカツで「選択肢が固定されてしまう」という問題は少し残っている。

総評(ブレイクレコード)

  • オリジナルから改良され、ボリュームも魅力的になり、3DSの中でもRPGの名作となっている。一度でも遊んでみる価値のあるゲームに仕上がっている。

余談

  • 当初はアニメ放送のタイミングに併せて2013年7月11日発売予定であった。
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最終更新:2022年07月20日 10:51

*1 前作ではイベントシーンの会話は常時仲間にいる親友の二人でほぼ固定。またルート選択のフラグを満たそうとした場合、その分無関係なキャラとの会話イベントにしわ寄せが行きがちであった。