この項目ではニンテンドーDS用ソフト『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』と、
そのリメイクである、ニンテンドー3DS用ソフト『真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY』の紹介をしています。(判定は共に「良作」)



真・女神転生 STRANGE JOURNEY

【しん・めがみてんせい すとれんじじゃーにー】

ジャンル RPG
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 1024MbitDSカード
発売元 アトラス
開発元 アトラス
ランカース
発売日 2009年10月08日
定価 6,279円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
廉価版 アトラスベストコレクション
2011年8月11日/2,980円
判定 良作
女神転生シリーズ


人類よ。これ以上、何を望むのだ。



ストーリー

21世紀初頭、南極に突如として出現した「シュバルツバース」と呼ばれる謎の巨大空間。
あらゆる物質を飲み込み、拡大を続ける超常現象の脅威になす術は無く、事態を重く見た国連は、シュバルツバース内部に有人探査機を送り込む最終プラン「シュバルツバース調査隊」を設立させる。
主人公は国連が組織した調査隊の一員となり、人類の命運を担った奇妙な旅へ赴くことになる。

概要

外伝作品を除き、真・女神転生シリーズとしては『真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス』から実に5年ぶりとなる作品。
ただし、シナリオ自体は他の女神転生シリーズとの関連性は前作同様無く、完全に独立したものとなっている。

レッドスプライト号という拠点を軸にダンジョンを攻略していく、Wizardryライクな作りになっている。


特徴

  • 『デビルサマナーソウルハッカーズ』以来となる3Dダンジョンの復活。
    • また、DSの特徴を活かした下画面にオートマッピングを常に表示するようになった事は、地味ながらもダンジョンの難易度が高い女神転生シリーズには嬉しい仕様。
  • スタンス(属性)の概念が再びストーリーに大きく絡むようになった。
    • 終盤でロウルート、カオスルート、ニュートラルルートに分岐する。
    • また、ロウとカオスの対立をテーマとしている事もあって、『真・女神転生』のロウヒーロー、カオスヒーローのセルフオマージュとも言えるキャラ達も登場する。
  • 新システム「デビルCO-OP」
    • 敵の弱点を突くと、パーティメンバーで同じスタンスの仲間が追撃を行ってくれるというもの。
    • スタンスが同じメンバーが多いほど追撃のダメージは大きくなるので、いかにスタンスの同じ仲間を揃えるかが重要になる。
    • メンバー全員のスタンスを揃えた上で全員が弱点を突けば、敵に多くのダメージを与えられる。
    • 後の『幻影異聞録♯FE』の「セッション」の原型とも言える。
  • 主人公はシュバルツバースを探索するための特殊スーツ「デモニカスーツ」を着用しており、後から特殊機能を追加していく『ソウルハッカーズ』のシステムインストールに似た強化システムを持っている。
    • そのデモニカスーツの外見がパッケージイラストである。
  • 過去シリーズと比較すると悪魔召喚の制限が低くなっている。
    • 悪魔を召喚をする際の資金の消費が廃止。
    • 前作『真III』と同様、悪魔を召喚し続けるために必要なエネルギーとなる「マグネタイト」も廃止されており、ずっと連れ歩く事が出来る。
      • 本作では「現世に悪魔を実体化させる」のではなく「悪魔が実体化している世界に人間が足を踏み入れている」ので当然といえば当然である。
    • 属性による悪魔の召喚制限もない。
  • こうして見ると過去シリーズに触れた層から見るとヌルいようにも見えるが、後述のバランスや前述のデビルCO-OPなどの要素から決してヌルくはなっていない。
  • アンノウン
    • 本作は最初に出会った悪魔はモザイクがかかっており、耐性や弱点だけでなく姿が一切わからず、交渉もできない。また、攻撃力がやや高くなっている。
    • 倒すことで解析度と呼ばれる値が上昇していき、最初に姿が分かるようになる。その後何度も戦闘を繰り返すことで弱点や所持スキルなどが判明し、DSの下画面に情報が表示される仕組みになっている。
      • もちろん耐性はそのままなのでうっかり攻撃すると反射される場合も十分あり、初戦闘の悪魔は基本的に恐々と戦うことになる。
    • 仲魔にした悪魔は、一緒に戦闘を繰り返すうちに敵として出会う時より多くの解析度が上昇し、同種の悪魔が敵として遭遇したときの情報に還元される。
    • 余談だが、開発中は攻撃力1.5倍、弱点をつけない(突くことそのものが不可能)という修羅の仕様だったらしい*1
  • デビルソース
    • 今作の悪魔合体の要となるシステム。
    • 上述の解析度がマックスになった仲魔がレベルアップすると貰える悪魔の力の欠片であり、悪魔合体時に使用することで、ソースを提供した悪魔のスキルを継承させることができる。
      • ソースは同種を複数持てないうえに使い切りである。再入手するには再び悪魔のレベルアップ時に貰えるのを待つしかない。また1度目は確実に貰えるが、再入手の時は確率は低い。
    • 今作は通常の悪魔合体時において、合体後の悪魔に継承されるスキルは法則に基づいて完全に固定されているため、好きなスキルを着けるにはこのデビルソースを使用する必要がある。
  • 近年の女神転生シリーズにはお馴染みの「超強い隠しボス」ももちろん登場。
  • 公式サイトにて作成した悪魔のパスワードをプレイヤーから募集、公開。他のプレイヤーが作成した便利な悪魔やネタ悪魔を使用することが出来る。
    • パスワード限定の悪魔も存在する(没データをパスワードで使用出来るようにしたもの)。

評価点

  • 難しいながらもちゃんと練り込まれたバランス。
    • 基本、戦闘はデビルCO-OPの追加ダメージを計算に入れている事もあってか、味方の単発の攻撃力は低め。敵はその逆でとにかく攻撃が苛烈であり、調子に乗っていると1ターンキルもあり得るバランス。
    • 序盤でありながら最上級魔法をぶっ放してくるボスなどもいる。初めてプレイする人はあまり分からないかも知れないが、知っている人なら魔法名が表示された瞬間驚くこと必至。
      • さらに後半は、デビルCO-OPに慣れてきたプレイヤーに対する罠と言わんばかりの戦法を仕掛けてくるボスまでいる。
    • シリーズ共通だが、主人公が死んだり、石化すると即ゲームオーバーになるため主人公の状態には常に気を使わねばならない。そのうえ、今回の主人公はやや強さが微妙な為、基本主人公はアイテム使用などの後方支援になり易い。
      • ちなみに今作ではアイテムの使用は素早さとは関係無く最速で行われる仕様となっており、アイテム要員としては優秀である。
    • 女神転生シリーズにはお馴染みの「開幕ムド(即死魔法)」「物理反射」といった即死要素も盛りだくさん。
    • また、所持金の25%を消失させる「マッカビーム」は、死ぬ事はないにしろ、その強烈な性能からトラウマ技として語られている(序盤の資金繰りに一番苦労する場面で使用悪魔が登場する)。
      • ファンブックの裏表紙に「さぁマッカビームの話をしようか」という文言が堂々と書かれるほど。
      • 更に上位版(半額消失)の「宵越し銭金」もあるが、こちらの使い手はは終盤のサーチでのみ遭遇する悪魔でありそこまで脅威ではない。
  • しかし裏を返せば、如何に相手の弱点を突くかといった事や敵の戦法に対してどんなメンバーを組むかといった戦略を練れば有利に戦えるという、理不尽ではないバランスとなっている。
    • 「子守唄(全体睡眠魔法)」→「永眠の誘い(敵味方問わず睡眠状態の者を100%即死)」といった極悪コンボや、「石化攻撃(事実上即死)ができる銃」に頼っているころにこっそり出てくる銃撃反射の敵*2など、敵の戦法や配置は練りに練られている。
    • 前述の通り、悪魔召喚の制限が少ないために「あいつにはこいつを使おう」「ここでこいつは不利だからやめておこう」といった柔軟な運用も可能。
  • ダンジョン自体も「ターミナル(スタート地点への帰還も可能なセーブポイント)」や「ヒールスポット(所持金消費でHPやMPの回復が可能)」が頻繁に設置されており、「ダンジョン内で迷ってジリ貧の末に死亡」「長くセーブしていなかったためにゲームオーバー後の復帰がキツい」といった事も起こりにくい。
    • またボス戦の前にはほぼ確実にターミナルとヒールスポットが設置されており、ボス部屋に差し掛かった辺りで大抵は警告メッセージが出たりするので「準備不足のままボス戦に入ってしまい詰む」といった事もない。
  • ストーリー、キャラクター。
    • ロウとカオスというシリーズお馴染みの概念に、「地球の意思」や「現代社会が抱える問題」といった要素を絡めたシナリオは完成度が高く、かつ女神転生らしさもしっかり残っており好評。
      • また旧作以上にSF設定が充実しており、好きなプレイヤーにはたまらないだろう。
    • 一方、キャラクターも印象に残る濃い面子が揃っている。例えばロウの導き手となる天使マンセマットは、選択したルートによっては従来のシリーズの天使観から大きく逸脱したキャラ崩壊っぷりを見せることで話題になった。
  • クラシックの壮大な音楽
    • 近年では『真・女神転生III NOCTURNE』『デビルサマナー 葛葉ライドウ対アバドン王』『ペルソナ4』など、幅広いジャンルの楽曲を提供している目黒将司氏が全曲の作曲を担当。
    • これまでのシリーズのようなロックサウンドではなく、男性コーラスを織り交ぜたクラシック基調の楽曲となっている。
      • 従来のテイストを期待すると肩透かしに感じられるかもしれないが、人類未踏の地の壮大さ・峻厳さの感じられる聞きごたえのあるサウンドであり、緊迫したストーリーを重々しい男性コーラスとストリングスで盛り上げてくれる。

賛否両論点

  • ビジュアルセンス
    • ゲームのジャケットを見れば一目瞭然である
    • その元凶である独特なデモニカスーツのデザインはバケツスーツと呼ばれたり、やる夫やオプーナと悪魔合体したAAが作られたりと、発表後にネット上で散々イジられた。キャラクターデザインが濃い口なことも相まって、昨今のRPGと比べると極めて異質なビジュアルのゲームといえる。メガテンらしいと言ってしまえばそれまでだが。
    • シナリオ、音楽を含めゲーム自体がレトロフューチャーを志向している(インタビューより)ため。この点を鑑みるとデザイン自体が間違っているわけではない。
      • 個人差はあるが、デモニカスーツも「やってるうちに気にならなくなる」「だんだん愛着がわいてくる」「むしろこのデザイン以外考えられない」といった声も少なくない。スルメ的デザインとでも言うべきだろうか。
      • 一部ではこのジャケットを見て「さすがメガテン。全く媚びていない」と喜ぶ者も。
      • ちなみにシリーズの人気マスコット「ジャックフロスト」が専用デモニカを着込んだ「デモニホ」という悪魔もいる。
    • デモニカスーツは次回作『真・女神転生IV』にも悪魔討伐隊の標準装備という設定で登場した。
  • シナリオ面
    • ロウルート及びカオスルートが非常に両極端。天使に傅くことになるロウルート、悪魔として生きることになるカオスルートは、双方とも歴代を鑑みてもひときわ極端な描かれ方をしており、ファンの間でさえ「シリーズ最悪のエンディング」と言うものもいるほど賛否が割れている。
      • もっとも、ロウ、カオスエンディングは、ニュートラルエンディングと比較すると簡単に到達できるため、バッドエンドと感じやすい点はある程度意図されたものと言えるかもしれない。また、こうした傾向はシリーズにお馴染みのものでもある。
      • カオスルートは主人公が悪魔と共に戦ってきた事や、カオスヒーローに当たるヒメネスと悪魔バガブーの友情等、感情移入しやすい部分も多いだけに後述のロウルートと比べると選ばれやすい。「悪魔との共存」といった言葉に共感してこちらのルートを選んだ結果、想像以上にカオス方面に突っ切ったエンディングに唖然としてしまったプレイヤーも多かった。
      • ロウルートは「導き手である天使マンセマットのうさん臭さ」「ロウヒーローに当たるゼレーニンが終始悪魔を嫌悪している=機動部隊の主人公の行動と対立しやすい(ただし原因は納得できるものではある)」「天使の力を借りて敵部隊を沈静化した結果がどう見ても洗脳」等、ロウルートを選ばせる気ないだろうと思わざるを得ないようなシナリオ展開になっており、エンディングについても(どう感じるかはともかくとして)「そりゃそうなるだろうな」としか言いようがない内容である。
    • 一方、環境汚染や戦争などといった、現代社会の負の側面をテーマとして描いたシナリオでもあるため、人によっては説教臭く、重く感じられる部分もあるが、その重圧と正面から向き合い、人類として戦い抜くニュートラルエンドは、クリアしたときの達成感もひとしおとなっている。
      • ただしこちらも、根本的な解決とは言い切れない側面があるが、これもまた、シリーズお馴染みの要素と言える。

問題点

  • 戦闘面
    • こちらの攻撃力は低いのに敵の攻撃は苛烈であるため、弱点の無い敵などデビルCO-OPが封じられる戦闘では完全な持久戦になり、やや作業的になる。
    • デビルCO-OPは雑魚はともかく、初見では弱点が分からないボスに対しては使いづらい。
      • 仮に弱点がわかったとしても、パーティーメンバーのスタンスを揃えて、なおかつ役割分担(攻撃役や回復役など)をさせるようにスキルを整えるのは、下記の悪魔合体システムの複雑化も相まって非常に時間と手間がかかる。
  • ややテンポの悪い要素
    • 過去作に存在したダッシュがない。
    • メインアプリにあるダークゾーンを可視化する「ダークスキャナ」はダークゾーンに入るたびに演出が入るためややテンポが悪い。(一応ボタンで演出スキップはできる)
      • 特に中盤からはダークゾーンから出たり入ったりする場面も多いため尚更そう感じる。
  • 登場する悪魔について
    • 「シリーズ最大の悪魔数」と銘打っているもののリストラされた悪魔も多い。新たな悪魔にライトを当てるための措置と思われるが、ミカエルら四大天使や魔王ベリアル、堕天使ネビロスといった過去作において重要なポジションにあった悪魔の未登場を残念がる声もある。
      • その反響なのか、次回作ではこれらは復活した*3
  • 悪魔合体システムの複雑化
    • 悪魔合体時の継承スキルが固定になったことで、デビルソースが重要になっているが、上述のように使いきりである上に入手には手間がかかる。理想的な能力を持つ悪魔を作るための道のりは長い。
    • そのためか、パスワードを利用した裏技的な悪魔入手法では楽に強い悪魔が仲魔になる。
      • パスワード悪魔は難易度についていけないプレイヤーへの救済策でもあり、使いまくるとバランス崩壊にも繋がるためご利用は計画的に
  • ダーク悪魔とは通常会話が一切できない
    • 過去作でも「ライト悪魔と会話が出来ない」という仕様は存在した。
    • これまでもダーク悪魔は(一部のスキル使用を除いて)会話で仲魔にはできなかったが、会話で「お金やアイテムを貰う」「戦闘を回避する」ことは出来た。今作ではこれらの方法は使えないため、戦闘を回避するには逃げるか、既に合体などで仲魔にしている状態で話しかけるしかない。
      • なお、命乞い等で悪魔側から話しかけてくる分には会話が成り立つので、それらを狙う方法は有効。
    • そのようなシステムだから仕方がないと割り切ることも出来るが、サブイベントで話しかける場合は普通に会話が出来る。
      • しかも割りと気さくだったり、人懐っこいような口調でイベントが進むので、通常状態との差異が激しい。妖樹スクーグスローのイベントは、内容も相まって特に顕著。
  • 悪魔会話関係で、ニュートラルが圧倒的に不利
    • 悪魔との会話は、主人公と会話相手のスタンスによって「相性がいい」「気にしない」「相性がよくない」「相性が最悪」の4種に分かれる。例えば、ロウ属性の主人公は、同じロウの悪魔とは「相性がいい」となり、カオスの悪魔とは「相性が最悪」となる。
    • しかし、敵のニュートラル悪魔は一貫して「気にしない」立場を貫く。これはどの属性でも変わらないため、主人公がニュートラルでも「相性がいい」にはならないのである。
      • そしてこちらがニュートラルの場合、ロウやカオスの悪魔は「相性が良くない」となるため、会話で仲魔を集めることが非常に難しくなっている。そのため、一時はロウかカオスにスタンスを傾けることが推奨されている。
  • 特殊合体に一つ、難易度がとても高いものが存在する。
    • これは素材悪魔の調達云々ではなく、特殊合体に8体もの悪魔を使用する為である。連れ歩ける悪魔枠の大半を利用する割に、合体が解禁されるのは終盤に差し掛かった時となる。終盤にもなって8体分もの枠を空けるのはかなりキツい。
    • ちなみに『1周目での合体』を諦めることで、簡単に合体出来る方法が存在する。
  • 中断セーブがない
    • セーブポイントが頻繁に設置されている関係もあってあまり気にはならない点ではあるが、外出中に電池がなくなってきた場合など、一時データでも保存できないのは少し不便。
  • 一部サブアプリの存在価値
    • サブアプリはポイント制の為、どうしても事故防止などの面で便利な物を優先してしまう。その為「あれば便利だがもっと大事な物を消してまで付ける程でもない」微妙な効果のサブアプリは、結局最後まで出番がないままになってしまいがち。

総評

女神転生シリーズの一作として、旧シリーズの面白さと共に手堅い難易度を備えた良作と言える。
シリーズ入門にも最適な作品でもあるため、ビギナーにもおすすめできる。


余談

  • 女神異聞録ペルソナ』において登場した技「刹那五月雨撃ち」は、ペルソナでは平仮名で「せつなさみだれうち」と書かれていたため、「切なさ乱れ撃ち」と勘違いする人が後を絶たなかった。
    …が、本作ではその「切なさ乱れ撃ち」が「刹那~」とは別に独立した技として登場した。
    • 初期スキルとして所持している悪魔はミルメコレオ。ライオンと蟻を親にもち、上半身がライオンで下半身が蟻。ライオンの主食である肉を食べても消化できず、かといってライオンのプライドが邪魔をして蟻の食事を食べられず、産まれた時から餓死することを運命付けられているという確かに「切なさ乱れ撃ち」な悪魔である。
    • ちなみにミルメコレオは聖書の誤読によって生まれた悪魔だったりする*4。誤読繋がりのネタである。同じく誤読によって生まれたネコショウグンは出演しないが……
  • 企画段階では「真・女神転生4」であったという話があるが、ファンブックである「シュバルツバース回顧録」の金子一馬氏のインタビューでは「最初から外伝だったけど、広報は4として作ってほしかったみたい」という内容の記述があるため、真偽のほどは定かではない。
  • 本作独特の悪魔用口調として「情報系」というものが登場した。
    • これはシリーズにおける「悪魔との会話時には悪魔召喚プログラムの翻訳機能を利用している」という設定を生かし、悪魔の口調が「無料翻訳ツールに日本語の文章を打ち込み、英語に翻訳し、また日本語に翻訳しなおした時に出てくるおかしな日本語」になっているというものである。
    • スタッフインタビューによると、この口調は「セリフを設定し」「翻訳ツールで加工し」「ゲーム用に手直しする」という通常の口調の3倍の手間がかかっている高価な口調とのこと。

真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY

【しん・めがみてんせい でぃーぷすとれんじじゃーにー】

ジャンル RPG
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 アトラス
開発元 アトラス
発売日 2017年10月26日
定価 6,998円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 良作

概要(DSJ)

『真・女神転生 STRANGE JORNEY』のリメイク作品。
プラットフォームが3DSに移った事により、サウンド、グラフィックが大きく進化。
また、ボイスや新キャラ、新ダンジョンなど、さまざまな要素が追加されている。追加点の詳細は後述。

特徴・追加点(DSJ)

  • システム
    • 原作ではついていなかったボイスが追加された。
    • サブアプリの増加、および仕様が変更。
      • 原作では限られた数しか装備できなかったが、本作では効果が重複*5、あるいは相反する*6場合を除くサブアプリを同時に装備できるようになった。無論、効果のON/OFFも可能。
    • 敵悪魔、および仲魔の増加。
      • デメテルやアモン、アナーヒターなど、本家メガテンシリーズでは仲魔になっていないキャラも大勢出演している。
      • イシスやネビロス、ベリアルなど過去作に登場していて人気の悪魔なども追加された。
    • 難易度変更が可能になった。
      • プレイヤーの技量に合わせて、3種類(条件を満たせば4種類)の難易度を選択できるようになった。
    • 主人公に新技能「コマンダースキル」「オートコマンダースキル」が追加
      • 新規サブアプリを装備することで使用可能。「使用後3ターン状態異常無効」「発動ターンは確定先制」などパーティーに有利な補助効果をもたらすことができる。
      • 前者は任意で、後者は毎ターン一定の確率で自動的に発動する。
    • 中断セーブの追加。
      • 通常セーブと異なり枠は一つだけだが、ダンジョン探索中、いつでもセーブできるようになった。
    • 艦内の回復が無料になった。
  • シナリオ
    • 新キャラクター、新ダンジョンの増加。
      • 黒いデモニカスーツに身を包む謎の少女「アレックス」(CV:潘めぐみ)と、その相棒である自律AI「ジョージ」(CV:中村悠一)が新たに登場。強大な敵として立ちふさがるほか、新エンディングのキーキャラクターにもなっている。
      • また、新しいダンジョンとして「嘆きの胎」「十天への至」が登場。
  • DLC
    • 通常プレイでは入手できない武器やサブアプリを購入可能。

評価点(DSJ)

  • 追加要素はほぼ評価点と言っていい。
  • サブアプリが非常に便利になった。
    • サブアプリのポイント制が廃止された事で原作ではほぼ使われていなかったサブアプリも、有用性を見いだせるようになった。
    • 新アプリも有用なものが多い。
      • 主人公より一定以上レベルの低い戦闘は回避可能な「エネミーナイナイ」は、EXミッションの為に以前のダンジョンへ戻ったり、以前のダンジョンの地図を埋める際等の雑魚敵との戦闘をスルーしたい際には非常に便利。
      • 散々面倒くさいと言われたワープや落とし穴にもサブアプリによるテコ入れが入っており、「ワープや落とし穴に入ろうとすると直前で止めてくれるアプリ」や「ワープマークをタッチするとワープ先を表示してくれるアプリ」等が追加されている。
    • これによってただ簡単になっただけでなく、それ相応の新ダンジョンも追加されやりごたえがある。追加ダンジョンはこれら新アプリがある前提で設計されているため、既存ダンジョン以上に面倒なダンジョンが何層にも渡って存在する。
      • 例えば、ワープ地点が特定の手順を踏まないと使用できなかったりして、ただ行き先をアプリでチェックするだけでは簡単に解けない構造になっている。一部にはギミックを把握する事すら困難という声も聞かれた。
  • ロウ、カオスルートの新エンディング
    • 原作の項目で記したとおり、ロウルートとカオスルートのエンディングがバッドエンド同然だった点がピックアップされており、新たに追加された新エンディングでは、きちんとグッドエンドと呼べるものになっている。
  • パッケージのビジュアル
    • 原作の賛否両論点に記載されていた通り、原作のパッケージは人を選ぶものとなっていた。
      • 今作は、主要人物が描かれるというオーソドックスな形となっており、特に新規には手に取りやすいものとなっている。無論、あのバケツがよかった、という声も聞かれるが、これは経験者故の意見という面が強いと思われる。
  • 各クルーへのバストアップ絵追加
    • 原作では主要人物以外は小さいドット絵しか与えられていなかったが、新規のバストアップ絵及びボイスが追加されより愛着が持てる様になった。
    • また終盤でロウorカオスルートに進むとさらなる変化が…
  • 特殊合体の仕様変更
    • 原作の項目で記述したように、原作では、特殊合体する際に使用する仲魔は全て手持ちにいなければならなかったが、今作ではそれが改善されており、悪魔全書から直接召喚する悪魔も素材として選べるようになっている。
  • 前作の批判点の改善
    • ダークスキャナは初回のみ演出が入るが、以降はカットされるように。また、オートマップにも記録されるようになった*7
    • 前進のみだがBボタンを押しながらダッシュができるようになった。
    • フィールド上で中断セーブか可能になった。
  • サブダンジョンの追加で行き詰まりも防ぎやすい
    • サブダンジョンはメインシナリオの進行に合わせて少しずつ先に進めるようになるのだが、メインシナリオより強めの敵が出るおかげでレベル上げ等の強化も行いやすい。
      • 特にメインシナリオのボスに行き詰った場合等、以前はレアエネミーを狩るくらいしかやる事がなかったのだが、サブダンジョンを攻略していく内に自然と強化出来るので作業感をかなり減らせるようになった。
  • 新規楽曲は、リメイク前の全曲を担当した目黒氏のほかに、小西利樹氏が新たに参加しているが、いずれも原作の雰囲気を損なわない作りとなっている。それだけに、サントラ等に収録されていないことを惜しむ声もある。
  • 追加の隠しボス
    • やり込み要素として隠しボスも増えており、ただ単に最高レベルの悪魔を作成するだけでは勝てないような超高難易度のボスが多数増えている。

賛否両論点(DSJ)

  • レトロフューチャー感の減少
    • 全体的に画面の配色が明るめになる、ボイスの追加、キャラクターイラストの変更等諸々の要素により、原作の持ち味のひとつであったレトロフューチャー感が薄まったとの声もある。
      • これらの変化は新規プレイヤーを意識したもので有ると思われるため、おおよそ仕方ない面もある。
  • アレックスの行動
    • アレックスは「破滅した未来から過去を変える為にやってきた未来人」*8なのだが、その未来を変える為に主人公やヒメネス、ゼレーニンを殺しにかかってくる。
      • ロウルートは天使により精神制御されたディストピア、カオスルートは悪魔が蔓延る暴力世界となってしまう為、アレックスがそれぞれのルートのキーとなるヒメネスやゼレーニン、そのルートを確定させる要因の主人公の命を狙ってくるのも自然であり、またその情報をアレックスから受け取り、ロウ・カオス寄りではあるがハッピーと言えるEDへと向かう展開は好評。
      • 一方でニュートラルルートでは「それらの破滅を避けたのに、主人公の命が狙われる」という非常に理不尽な展開になってしまっており、ヒメネスやゼレーニンはともかく主人公の命を狙う理由が納得しづらい。

問題点(DSJ)

  • マッカビームの仕様変更
    • 原作のマッカビームはHPを半分以下にした時点で確率で使用してくる設定になっていたが、今作ではそれが廃止されており、序盤にマッカを大量に失う危険性が高くなっている。
      • ただし拠点での回復にかかる費用がなくなった為、以前のようにマッカを奪われて回復にも困るというような事態はなくなった。

総評(DSJ)

原作の良さはそのままに、さまざまな要素を追加、および改善し、より遊びやすくなった。さらに、難易度を選択できるようになったため、初心者から上級者まで楽しめるようになっている。
その結果、原作を楽しめた人も、未経験という人にもお勧めできる良作となった。


余談(DSJ)

  • DSJの番外編に当たる漫画『デスタメント-真・女神転生DSJ Another Report-』がヤングチャンピオン烈で2018年~2019年まで連載された。(全3巻)
    • 主人公のいる1号艦、ヒメネス、ゼレーニンのいる2号、3号艦以外にもう一つ第4のギガンティック号があり、ゲームではほとんどスポットの当たらない艦なのだが、そのギガンティック号で出発したクルーをメインに据えた物語となっている。
      • ギガンティック号は原作ではボーティーズに墜落しているのだが、DSJにおいて追加されたダンジョン“嘆きの胎”に墜落していたというifストーリー。
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最終更新:2023年02月26日 20:13

*1 『シュバルツバース回顧録』より

*2 銃の石化攻撃→反射→主人公石化→ゲームオーバー。ファンブックを見ると「銃に頼りきってる頃だろうから」という理由で配置され、引っかかったプレイヤーは数多い。

*3 ただ四大天使など一部はデザインが大幅に変わっている

*4 聖書の一文「老いたる獅子、獲物無くして滅ぶ(年を取って体力が落ちると獲物を捕らえられなくなり餓死する)」を翻訳する際、「老いたる」の部分を「蟻」と間違えて訳してしまった結果誕生

*5 敵との遭遇率を低下させる『エネミーバイバイ』と敵との遭遇率を大きく低下させる『エネミーララバイ』等

*6 合体事故の発生確率を100%にする『コペルニクス』と合体事故の発生確率を0%にする『フラカストロ』等

*7 これに伴って、サブアプリ「スキャニングゼロ」が廃止された

*8 未来から過去に移動した方法は明かされていないが、本作では主人公も一度過去へ移動するイベントがあるため、同じ方法を使ったという推測はできる。