コロぱた

【ころぱた】

ジャンル 自律キャラおつかいアクション
対応機種 ニンテンドーDS
Windows(Steam)
発売・開発元 ラックプラス
発売日 2009年12月24日
定価 4,800円(税別)
配信 【DSiウェア】
2014年4月16日/1000 DSiポイント
【Steam】
2021年3月14日/2,000円
判定 良作


概要

主人公の女の子ひまわりが無事にお使いに行けるように、アイテムを上手く配置してステージを誘導していくパズルゲーム。
ステージ内にはの様々な仕掛けを連鎖的に動かし、ステージごとに設定された条件をクリアしていく。
分かりやすく言うと、ピタゴラ装置*1を完成させるゲームである。

ひまわりをはじめドット絵で描かれたかわいらしいキャラクターたちによる、(かなり際どいネタがある)ステージの合間のデモもポイント。


特徴

  • 全てが動き始める前の停止した状態でアイテムを配置し、ひまわりや仕掛けを再生して動かすことで条件クリアを目指す。
    • 再生してからプレイヤーは一切介入できず、物体移動などの操作は重力やひまわりのアクション、ギミックによって行うことになる。
  • アイテムや仕掛けの動きには物理演算が採用されており、基本的にどんな動きをするのかは実際にやってみないと分からないようになっている。
  • 「ボールや台車の動きに慣性が働く」「ボールをぶつけた位置でドミノの倒れ方が変わる」「鏡の位置で光の反射角が変わる」など1ドットずれただけでも全く異なる動きをするため、動きを確認しては細かな微調整を繰り返していくことになる。
    • 仕掛けの種類は数多くあり、自然落下による重力はもちろん、風力や浮力、光を虫眼鏡で収束させての爆弾やロケットへの点火も扱う。
    • 決してゲーム後半からの話ではなく、ステージ3で早くも微調整の必要性を実感させられるようになっている。
  • 勝手に動き回るひまわりもパズルの一要素になっており、驚かせて走らせたり、転ばせて動きを止めたりして動きを誘導する必要がある。
    • また、ひまわりには「機嫌」と「体力」のパラメータがある。体力ゲージの量や機嫌の良し悪しで動きが変わり、どちらかが0になるとひまわりが泣き出してクリア扱いにならないため、ステージによってはパラメータを変えることも計算に入れなければならない。

評価点

「自分の答え」を見つける醍醐味

  • 一見簡単に見えるがその方法では詰んでしまう、「使うと見せかけて使わないアイテム」「本来の用途とは違う使い方をするアイテム」のある場合が多く、詰まったときは「同じことを少ないアイテムでできないか?」「別の使い方はないのか?」といった発想の転換が必要になる。
    • このように、試行錯誤を繰り返して自分なりの正解を見つける*2のが本作の醍醐味である。

繰り返し挑戦しやすいゲームデザイン

  • タイトル画面からゲーム画面に移るまでの時間/操作数が少なく、すぐにゲームを始められる。
  • 失敗してもワンタッチでリトライできる上に、制限時間や残機といった概念はない。試行錯誤することを前提として、快適にやり直せるようになっている。

大ボリュームのステージ構成

  • 本編の「おつかい」だけでも128ステージ、追加ステージの「よりみち」64ステージも合わせると、全192ステージが用意されている。「おつかい」は1ステージずつクリアしなければならないが、「よりみち」は一度ダウンロードすればどのステージからでもプレイできる(「おつかい」「よりみち」ともに一度クリアしたステージは何度でも挑戦可能)。
  • 程良い頻度で新アイテムが登場することもあり、それぞれ個性的で良質なステージとなっていてクリア条件も様々。
    • ひまわりに全く仕事をさせる必要がないステージもある。

良質なキャラクターによるゲーム展開

  • 主人公のひまわりを始めとしたキャラクターやアイテムはドット絵による愛らしいデザイン。
    • デモは3ステージに1回と多めに入るため、息抜きとしてよく機能している。やり取りの内容や各キャラの立ち絵も豊富。
  • ゲーム中のひまわりが取るリアクションも豊かで、体力や機嫌、アクション別に様々な表情、反応を見せてくれるため、殺風景になりやすいパズルゲームの画面を彩る役割も果たしている。
  • デモでは何気ない日常が描かれていくが、ゲーム画面の背景やクリア条件、登場アイテムもストーリーにちなんだものになり、プレイに変化を与えてくれる。
    • ストーリーの最後は、ゲームプレイを含めた感心させられる展開で締めくくられる。

賛否両論点

微調整による非常に高い難易度

  • このゲームは「地道な確認作業の繰り返し」が好きかどうかで評価が大きく分かれる。
  • 上記のようにひらめきも大事であるが、それ以上に何度も試行錯誤していくことが重要となる。
  • 各物体には現実同様の緻密な物理演算が反映されるため動きが予想しづらく、アイテムを設置できる位置や角度の自由度もとてつもなく高い。
    • 取れる手段が非常に多岐に渡るので、どのアイテムをどう使うかの手順を思い付くだけでも中々に困難。
    • 解法を見出だせたとしても、そこから更に正解かどうか分からないままトライ&エラーを行っていく必要があり、簡単にはクリアに辿り着けない。
      • あまりにも微調整がシビアすぎるため、もう少し調整できる自由度が低くても良かったのではという意見が多く聞かれる。
      • 攻略情報なしでは1つのステージクリアに数時間以上かかることもザラ。攻略情報ありでもドット単位の調整でそれなりに時間がかかるレベル。
    • 正攻法の解法でも安定しない場合も多く、確信が持てないまま微調整を強いられるのは理不尽に感じる声も多い。
  • 中にはひらめきなしで試行錯誤だけが求められるステージも存在し、状況が一切進展しないままクリアできずにもどかしさだけが募る可能性もある。
    • なお、ひらめきで一気に解決できるステージも少なくないため、それらに限れば誰でも楽しみやすい。
  • 黙々と同じことを続けられるプレイヤーは時間を忘れて楽しめるが、一瞬のひらめきを優先しテンポ良く進めたいプレイヤーにはあまり向いていない。
  • しかし、極端ではあるがこの緻密さこそが正攻法以外の解答を生み出しており、試行錯誤がクリア時の達成感の大きさに繋がっているのも確かである。
    • また、この難易度の高さが他のパズルゲームにない独自性にもなっている。

ステージ間のデモでのやり取り

  • CEROが全年齢対象でありながら、デモで全年齢対象とは言い難い性的に際どいネタやイラストが挟まれることが多く、それを喜べるかどうかは人を選ぶ。
    • もっとも、流通量が少なかったため前情報を知らないライト層が買うことは少なかったと思われるが。

問題点

ライトユーザーに辛い仕様

  • 解答保存、早送り・中断などの補助機能がなく、仕掛けが複雑な後半のステージは結果の確認に時間がかかってしまう。
    • 「空いた時間にちょっとやってみる」という遊び方は難しい。
  • 高い難易度に反してヒントや解答例、スキップなどの救済機能もなく、本ゲームだけでは一度煮詰まってしまうと先に進めなくなる。

インターフェース面の問題

  • タッチの認識は悪くないが、画面スクロール以外のボタン操作が一切できず、タッチペンでしか操作できない。
    • パーツの選択や微調整が難しい、ステージセレクト・メッセージ送りも全てタッチペンを使わなければならないなど、不便に感じる点も多い。
    • Steam版はほぼDS版そのままの移植のため、PCの大きい画面ではアイテムを掴んだことになる範囲が広すぎると感じることも。

総評

かわいらしい見た目とは裏腹の、とても辛口のパズル。
ひねりの利いた謎解きに加えて細かな微調整が求められるため、1ステージをクリアするのに数時間かかることもあり、万人に勧められるものではない。
しかし、答えが分かったときの充実感は普通のパズルゲームではなかなか味わえないものである。
この唯一無二のデザインは、パズルゲームにおいて強烈なインパクトを与え続けている。


その後の展開

  • Android版:2011年2月配信開始。現在は配信停止。
    • DS版の全ステージを分割販売したもので、最初の7ステージは「お試し。」ということで無料、全ステージが入った「全部入り~」は998円であった。ただし、ステージ合間のデモは収録されていない。
  • DSiウェア版:2014年4月16日配信開始。
    • 「よりみち」の全ステージがプレイ可能になっている(それにともなってWi-Fi関係のオプションが削除されている)こと、電子マニュアルが追加されていることを除けば純粋な移植で、ステージ合間のデモもそのまま収録されている。ここまで至れり尽くせりで、お値段たったの1,000円である。
  • 2010年に開発スタッフが作成した『コロぱた 非攻略本』(設定資料集)、『コロぱた 解答集』が同人誌として冬コミで販売されている。
  • 2011年4月にサウンドトラック『きく コロぱた』が発売されている。
  • 2021年、Windows(Steam)への移植およびNintendo Switchでの完全新作の制作が発表された。
    • Steam版は2021年3月14日に発売された。

余談

  • 「ひまわり」「あすか もも」「こだま きらり」「おおすみ ひのとり」「ふじ2号」…など、本作の登場人物の姓名はすべて日本の人工衛星の名前(参考リンク)をもとにしている。
    • ちなみに、本作のDSi版と同時に配信された同社のシューティングゲーム『サジタリウス・エー・スター』(公式サイト)も、天文用語がタイトルの由来になっている*3
  • ROM版は現在入手困難
    • 生産本数5,000本・5,000本完売という極端な需要と供給であったために、発売後すぐにプレミア化してしまった。
      • ニンテンドーWi-Fiコネクションのサービス終了で追加ステージをダウンロードする機会もなくなったため、ROM版にこだわらないのであればSteam版の購入をお勧めする。

タグ:

2009年 DS PZL
+ タグ編集
  • タグ:
  • 2009年
  • DS
  • PZL

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月18日 22:53

*1 NHK教育の番組『ピタゴラスイッチ』で有名になったこの装置は、海外では「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」と呼ばれ、1992年に『インクレディブル・マシーン』(PC)というタイトルでビデオゲーム化されている。日本では同作のローカライズのほか、キャラクターを魔界村シリーズのものに差し替えた『アーサーとアスタロトの謎魔界村』(PS・SS)が比較的有名であり、「インクレディブル系」と呼ばれることもある。

*2 与えられたアイテムをすべて使う必要はなく、別解が複数あるステージも多い。有志がまとめた本作の攻略wikiでも正攻法から力押しの方法まで複数の解法が掲載されている。

*3 Sagittarius A*:いて座の電波源(観測対象となる強い電波を出す天体)の中で最も強い電波を出す星。「いて座A*」「Sgr A*」とも表記される。