国盗り頭脳バトル 信長の野望

【くにとりずのうばとる のぶながのやぼう】

ジャンル ボードゲーム
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 256MbitDSカード
発売・開発元 コーエー
発売日 2008年6月26日
定価 5,040円
通信機能 ニンテンドーWi-Fiコネクション対応(対戦)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 KOEI the Best:2010年3月15日/2,940円
判定 良作
信長の野望シリーズ


概要

  • プレイヤーは戦国大名となり、制限知行(=コスト)に収まるようにデッキを編成して特定ターン内に勝利条件を満たす、というボードゲーム。

特徴

  • シリーズを重ねるごとに複雑化していった『信長の野望』のシステムを見直したような、シンプルなルールが特徴。
    • コンピューターSLGと言うよりボードゲームに近いゲーム内容、リソースも金と物資(ユニット強化用)のみなのでとてもわかり易い。
    • 特定数の城や石高(地形に設定されている値)を制限ターン内に獲得したものが勝者。
    • しかしシンプルなルールながらも、兵種の3すくみや特定の武将が持つ「切札」など駆け引きの要素も強い。
      • 切札は1戦に1回しか使えないが様々な効果を持つ。しかし漫然と使うだけでは必殺にはならない。
  • 対人プレイに特化した仕様で、一回のプレイ時間は対人でも10~30分程度で終わる。
  • 『信長の野望』と冠しながらも、全くの異色作として評価が高い。

評価点

「頭脳バトル」と銘打つだけあり、システムはシンプルながらも良く練られている。

  • 兵種の3すくみについて
    • 各武将には「兵種」が設定されている。
      兵種には「足軽」「騎馬」「鉄砲」の3種があり、「足軽>鉄砲>騎馬>足軽…」の3すくみの関係にある。
      具体的に言えば、得意兵種に対しては(例えば足軽の場合は鉄砲)、通常の倍のダメージを与えられるが、苦手兵種に対しては(足軽の場合は騎馬)、全くダメージを与えられず一方的に大ダメージを被る。
      • ただし、苦手兵種であっても、こちらが攻撃側で、かつ後述する「戦力」が相手より上回っていれば一方的に相手を打ち負かせる。
  • 「戦力の数値が高い=強い」ではない
    • 兵種とは別に「戦力」という数値も各武将に設定されている。戦力はダメージを受けるごとに減少し、0になると強制的に盤面から退場する。退場した武将は3ターン後に復帰する。
    • 戦力が高いと、先述のように攻撃時に一方的に相手を打ち負かす。
      「だったら、戦力の高い武将でゲームに臨めばいいのでは?」と思われるのかもしれないが、そうはいかない。
      本作では、「武将の移動は1ターン同時に、かつ戦力の低い武将、および総戦力の低いエリアから行動する」システムが採用されており、例えば一つのエリアに高戦力の武将を集め、いざ相手の城を攻め取ろうと思っても、周りを低戦力の武将のいるエリアに囲まれていると、低戦力の武将からダメージを受け続け(苦手兵種ならなおさら)、結局何も出来ずに盤面から退場、ということもあり得る。
      • よって、低戦力と高戦力の武将をバランスよく編制し、かつ効果的な武将の移動を考えなければならない。先述の城攻めの場合、高戦力の本隊とは別に、城エリアにいる武将に少しでもダメージを与えるための別働隊を配置することも必要になる。
      • このゲームでもユニットを強化してある程度強くすることも可能であるが上記の関係上それが必ずしも有効ではないなど、どの戦力に関しても有効に活用できるよう調整されている。
  • 「知行」と「武将」について
    • 上記の「戦力」のほかにも「知行」(分かりやすくいうとコスト)という値が各武将ごとに設定されている。この知行の総計は、マップごとに異なる一定以下の数値に抑えなければならない。
      • 戦力が低ければ低いほど知行が低い…というわけではない。後述の特技と切り札にもこの値は関係する。
      • これにより、高い戦力、強力な切り札を持つ武将を入れると、残りは弱い武将しか入れられなくなる恐れがある。ここも戦略として重要な点である。
  • 特技・切り札も効果的に活かさないと意味がない
    • 武将によっては、武将ごとに一定の確率で発動する「特技」、任意のターンで使用でき盤面全体に大きな影響を与える「切り札」を持つ者がいる。しかし、これらも使いどころを見極めないと意味のないものになってしまう。
      • 例えば特技の一つ、織田信長(鉄砲)が持つ「三段撃」は、「攻撃時に2回攻撃をする」というもので、うまく使えば自分より高戦力のエリアを攻め取れるのだが、「1回目の攻撃後、戦力が相手を上回る状況か」を見極めないと、「単に攻撃エリアの武将に少し多めのダメージを与えただけ」に終わってしまう。
        特技が発動していても、効果的でないと思ったらあえて攻撃をしないという見極めも重要である。
      • 切り札の一つ「ど根性」は、「自軍武将の戦力を2倍にするが、ターン終了後は問答無用で戦力が1になる」という効果を持つ。ここ一番で一気に攻めるときに重要だが、先述したように「戦力が高い=ターンでの行動が遅い」ので、これまた低戦力に囲まれた状況だと、一方的にダメージを受け続け、何の成果も挙げられないまま戦力が1になってしまう。使いどころを見極めることはもちろん、副作用に備えて戦力を回復させる切り札(を持っている武将)も一緒に投入することも考えねばならない。
  • このように、決してごり押しでは通用しない、頭を悩ませ緻密な戦略を組み立てないと勝利できないバランスで構成されている。「国盗り頭脳バトル」の名前は伊達ではない。

問題点

  • 今作は上記の通りボードゲームに近い作品であるため、他の信長の野望シリーズと同一視すると肩透かしを食らう。
    • 内政要素は皆無だし、(少なくとも序盤は)シナリオを進めていく形式なので、信長の野望よりも同社の合戦特化(決戦シリーズ)した作品としてみたほうがしっくりくる。
      • 一応パッケージで作風の違いは一目瞭然であるのだが…
  • Wi-Fi対戦は深刻な過疎状態
    • 本作は何と言っても対人戦が面白いので、プレイヤー人口の少なさは致命的だった。
    • 2014年5月20日に任天堂がWi-Fiコネクションを終了したため、オンライン対戦は不可能になった。
  • 武将獲得が大変。
    • クリアするごとに獲得する「名声」を消費して武将を集めるのだが、この名声が集めにくい。ちなみにシナリオモード最終章クリアで獲得できる名声は10。
    • 対して武将獲得に必要な名声は2、15、50の3段階あり、必要名声50の武将が24人も存在する。全武将コンプリートにはかなりの時間を要する。
    • ただWi-Fi対戦では勝てば9、負けても6貰えるので、対戦を楽しみながら自然に名声を集める事ができた。
      • 上記の通りプレイヤーを探すのが大変だったが…
  • 『信長の野望DS2』(『信長の野望 武将風雲録』のDSリメイク版)とワイヤレス通信しないと手に入らない武将も存在する。ワイヤレス通信で手に入る武将は正直言って弱いが。

総評

タイトルネーミングで明らかに損をしているが、実際にやってみると本当に熱い頭脳戦が楽しめ、タイトルの真意を知ることになる一作といえる。
ルールがわかり易くチュートリアルも完備、1プレイの短さで手軽に楽しめて武将獲得によるやり込みもある。
対人戦もワイヤレス、ダウンロードに対応しているので、戦略ゲーム好きで、かつ対人戦が好きという方には大いにお勧めできる出来である。

PC用の体験版が現在もダウンロード可能で、現在は廉価版も発売されているので、興味のある方は是非遊んでみてはいかがだろうか。ちなみに価格は中古で1,500~2,000円程とNDSの信長の野望シリーズの中では安い方である。


余談

  • 中身が優れた作品でありながら、『信長の野望』という硬派なイメージのある作品と「ボードゲーム」というカジュアルな内容の融合作であることが抵抗を生んだためか、本作が手に取られる事は少ない。
    • 地雷臭を感じずにはいられないタイトル名ではあるものの、実際は前述のように決して駄作ではないのだが…。
    • タイトルに関しては、4gamerでの紹介コーナーにおいて、「クイズゲームか?」とレビュアーの知人に勘違いされるエピソードが紹介されている。確かに『クイズ殿様の野望』というゲームも存在するが…。
    • バラエティ番組のコーナー「お笑い頭脳バトル」と混同される事さえある。というか、「お笑い頭脳バトル」でググると関連キーワードに「信長の野望」が…
  • 攻略Wikiでは対人戦をする時に日時を書き込む場所が設置してある。対人戦がしたいプレイヤーはここで呼びかける文化があった。

関連リンク:攻略WikiWi-Fi対戦 ~心得と待ち合い場所~

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最終更新:2020年08月23日 17:22