本項ではニンテンドーDS用ソフト『マリオ&ルイージRPG3!!!』と、リメイクであるニンテンドー3DS用ソフト『マリオ&ルイージRPG3 DX』の両方を紹介します。(判定は共に「良作」)



マリオ&ルイージRPG3!!!

【まりおあんどるいーじあーるぴーじーすりー】

ジャンル ブラザーアクションRPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 任天堂
開発元 アルファドリーム
発売日 2009年2月11日
定価 4,571円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 2個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント マリオ&ルイージRPGシリーズ第3作目
クッパが主役級のプレイヤーキャラとして参戦
マリオシリーズ

概要

マリオとルイージの兄弟二人組による冒険を描く『マリオ&ルイージRPG』シリーズの第3弾。
マリオとルイージの冒険に加え、従来作では敵役だったクッパが主役級の立場でプレイヤーキャラクターとして参戦することで話題を呼んだ。

当時ニュースなどで話題だった「メタボリック症候群」が元ネタである「メタコロ病」が作中に登場するなど、社会風刺ネタが多い。


ストーリー

平和なキノコ王国に、突如からだがふくれ、コロコロと転がり続けてしまう恐ろしい病気「メタコロ病」が流行り始めます。
スターの精もさじを投げた病の原因を探るべく、マリオとルイージが再び冒険に出ることになりました!

一方、いつものようにピーチ姫をさらおうとしてマリオに撃退されてしまった大魔王クッパ。
かれは森の奥で怪しげな商人から、とっても強くなれる「ラッキーキノコ」をプレゼントされます。

「マリオに勝てる!? 本当か!?」
キノコをひとのみしたクッパですが、様子が激変!
まわりのありとあらゆるものを吸い込み始めてしまいました。

そのままピーチ城にたどり着いたクッパは、キノコの効果でマリオたちを吸い込んでしまいます。
クッパのからだに吸い込まれたマリオたちは?
そして、キノコ王国の運命やいかに!?
(取扱説明書より引用)


特徴・過去作品からの変更点

ブラザーアクションやアクションコマンドなどの基本的なシステムは、『1』『2』から特に変更されていない。
また、『2』同様、DSの二画面を利用した演出が多用されている。

クッパが主役級プレイヤーキャラとして参戦

  • 今作の最大の特徴は、クッパがプレイヤーキャラになったことである。
    • これまでも『スーパーマリオカート』を初め、様々な作品でプレイヤーキャラとして登場しているが、今作ではマリオ&ルイージと共に「主人公」としての役割を担っている。
    • マリオRPG』や『スーパーペーパーマリオ』でも、利害の一致からクッパがパーティーインすることはあったが、今作ではクッパは独自に行動し、マリオ&ルイージはクッパの体内からクッパを陰ながら支援する形となっている( ゲーム中、クッパはマリオたちと協力関係にあることを知ることはない )。
    • つまりマリオ&ルイージだけでなく、クッパ視点でも冒険が進んでいくためクッパが事実上の主人公とも言える扱いとなっており、海外版では『Mario & Luigi: Bowser's Inside Story』とシリーズで初めてタイトルにクッパ(Bowser)の名が刻まれている。
    • クッパはX、Yボタンで操作する。

フィールド

  • マリオ&ルイージ側とクッパ側を切り替えながら進めていくようになっている。
    • クッパは広いフィールドを探索し、強力なアクションで道を作り出していく。パンチ、ファイア、ボディプレスなどのアクションがフィールド上で使用可能である。
    • マリオ&ルイージはブラザーアクションを駆使しながらクッパの体内を探索し、発見した器官を刺激してクッパの力を増幅することでクッパの冒険をサポートしていく。
      • クッパが水を飲むと体内が水没し、今まで行けなかったエリアに行けるようになるなど、クッパの行動がマリオ側に影響を及ぼすこともある。
      • マリオ&ルイージも、中盤からはクッパの体の外に出て探索を行えるようになる。
        なお、この場合フィールド上にいるはずのクッパはいなくなっているためマリオ達とすれ違うことはない。

バトル

  • マリオとルイージは、アクションコマンドを成功させていくと「バッジメーター」が溜まっていく。最大になったメーターをタッチすることで、HP回復や攻撃力上昇などの効果が得られる。
    • 今作から通常攻撃のアクションコマンドはタイミング判定が複数段階になった。よりシビアなタイミングでボタンを押すと、ジャンプ攻撃の二回目が発生するなど、与えられるダメージが上がっていく。
    • バッジメーターによる効果はマリオのバッジで、メーターが溜まる条件はルイージのバッジでそれぞれ設定出来る。条件が難しいものほど、ゲージの充填率が大きく、必要ターン数は少なくなる。
  • クッパは、パンチ、ファイア、バキュームを使用して一人で敵と戦う。このうちバキュームは敵や場面によって異なる効果を示す特殊アクションである。
  • 「スペシャルアタック」は今回は消費アイテムストックではなくSPを消費する(初代のブラザーアタックと同じ仕様)。
    • マリオ&ルイージのものはA/Bを使うが、今回は十字キーも使用する技が新登場。技の種類はアイテム収集によって増える。
    • クッパにも個別のスペシャルアタックが用意されており、その操作はすべてタッチペンを用いる。
      主に部下であるクッパ軍団を救出することで増加していき、彼らを呼び出して「ボコスカクリボー」「ボコスカカメック」などの豪快なコンビネーション攻撃を行える。
  • 巨大化したクッパが巨大ボスと戦うイベントも存在する。かなり豪快で迫力満点。
    • このバトルでは、DSを縦にしてタッチペンやマイクを使用する。

評価点

前作の不評点を踏まえて多くの改良が施されている。

  • クッパが主役級のキャラになり、大きく脚光が当てられている。
    • 任天堂代表であるマリオシリーズの主人公になったが、相変わらずよく喋る
      • わがままで癇癪持ちという欠点だけでなく、王を名乗る者としての責任感や友情に厚く、部下想いという長所、時折見せる愛嬌のある一面などがきっちり描写されている。
      • 特に終盤(ラスボス戦〜エンディング)のクッパはファンから「カッコいい」と非常に高い評価を得ている。
  • もちろん、マリオとルイージの活躍もしっかりと描かれている。
    • 二人は今までどおり「台詞がない」ので、本来のRPGの意味「役割を演じるゲーム」にそったあらすじが展開される。
      また前述のとおりクッパはよく喋ってくれるので、ドラクエタイプのRPG&近今のJRPG、両方のスタイルがブレンドされて楽しめる。
  • 『2』同様、DSの性能を利用した演出・操作。
    • バトルのハチャメチャ感は前作以上のものとなっており、賑やかで面白い。
    • 特に巨大な敵とのバトルとして「DS縦持ち」「タッチペンとマイクによる操作」が初登場。
  • クッパのアクション・操作感は、マリオ&ルイージとはしっかりとした差別化がされている。
    • 強力なパンチやファイアで、障害物を豪快に排除していくのはクッパにしか出来ない行動といえるだろう。同じ敵相手でもクッパとマリオ&ルイージでは対応方法が変わってくる他、一部敵の反応も変わる。
    • 戦闘で防御する際はマリオ&ルイージと違い、甲羅でのガードとパンチが必ず両方使える。*1単にどちらを使うかを見極めるだけでなく、甲羅とパンチで反応が変わる・両方使う事で初めてカウンターができるなどバリエーションは多く、敵の動作でどちらに攻撃が来るかを見切るマリオ&ルイージとは上手く差別化されている。
    • クリボーやノコノコなどのクッパ軍団が活躍するスペシャルアタックは、マリオ&ルイージとは違いタッチペンが必要な内容になっている。
      • ただし後述するバキュームなどによりボタン操作の余地を残すことで、タッチ操作の押し付けになることを避けている。
  • クッパの新アクション「バキューム」の存在。
    • クッパのみ使える戦闘コマンドブロック「バキューム」を使う事により、敵キャラ毎に様々な事が起きる。このバキュームは、マリオ&ルイージと比べてかなり戦闘を有利にしてくれる。
    • 起きるイベントは相手を無力化したり状態変化を起こしたり自分のHPを回復したり、はたまたマリオ&ルイージでの戦闘に切り替えるなどなど多岐に渡り、それぞれ面白い反応を見せてくれる。一見バキュームが効かない敵も、殆どは特定の条件下で効くようになるなど無駄になる相手がほぼいないため、初見の敵が出る度バキュームの反応がどうなるかを楽しみにできる。
  • 前作の不評点の1つだったミニゲームの少なさが改善。
    • 数種類のミニゲームをイベントでそれぞれ数回行う事になる。
  • 前作の反省からストーリーをカラっと仕上げ、「対比」と「信頼」をテーマとした良質のものとなった。今の時代が忘れたことを、思い出させてくれる。
    • "任天堂らしさ"を前面に押し出したものであり、今作でもコミカルな要素は健在。
  • ブロキャット集めや闘技場などの追加により、前作で不評だったやりこみ要素不足が解消された。
    • 強化されたボスと戦える闘技場や、スペシャルアタックを失敗するまでエンドレスに続けられる場所が追加され、アクションが得意なプレイヤーが腕を試す機会が増えた。
  • 過去作品同様、2Dで丁寧に描かれたグラフィックは評価が高い。
    • マリオ&ルイージ、キノピオなどのサブキャラクターはかわいらしく、クッパはカッコよく(時々かわいらしく)描かれている。リアクションも豊富で見ていて飽きない。特にクッパが操作できる事目当てで買った人には満足が行くだろう。
  • BGMも素晴らしい。
    • 特にラスボス戦のBGMはそこまでの流れも含めてマリオシリーズとは思えないほど熱い。エンディングのBGMも演出と相まって温かい気持ちになれること請け合いである。
  • キャラクターのボイスも豊富。
    • 具体的な台詞こそないが、マリオやルイージはシーンの要所要所でよくしゃべってくれて、コミカルによく動くドット絵と合わせて公式で設定付けの少ないマリオとルイージのキャラクター性を垣間見ることができる。
    • また今までは声の高いキャラは高めのセリフボイス、中ぐらいのキャラは中ぐらいのセリフボイス、低いキャラは低めのセリフボイスだけだったが、イエロースターやピーチ姫、クッパ等のメインキャラクターはそれぞれ専用のセリフボイスが用意されている。ちなみにキノピオ、キノじい等の一部のキャラのセリフボイスのトーンも変更されている。キノピオに関しては同じ個体で大人と子供の2種類が登場しているため、大人と子供で分けていると思われる。なお女性キノピオは高いトーンで固定。男性キノピオはキャラによって高い、中ぐらい、低いトーンで分かれている。
  • 今作も、アクションが苦手なプレイヤーと得意なプレイヤーに対する配慮はしっかりとされている。
    • 特にバッジメーターのルイージ枠には簡単な条件で済むものも用意されている。自分のアクションの腕に合わせて設定可能である。
    • チュートリアルが丁寧に行われるため、初心者でも冒険に行き詰ることは少ない。
  • フィールドアクションの区別が判りやすく、R切り替え等での混乱がかなり減っている。
    • ただし、マリオ操作時に間違ってクッパボタンを押して体内マップから出てしまう、といったような事はある。

問題点

  • セーブポイントは比較的頻繁に用意されてはいるが、それでもいくつか「ここでセーブしたいのにできない」と思える箇所が存在する。
    • クッパの体内における拠点となる「キノピオひろば」にセーブポイントがない点が上げられるが、そこにセーブポイントがあるとクッパを操作している時でどこでもセーブ可能になってしまうので仕方ないと言える。
  • フィールドマップで行ける場所が少ない。
    • 同じ場所を何度も行き来するせいで、人によっては飽きるかもしれない。一応だが、ワープゾーンを設けるなどの配慮はされているが…。
  • 所持金の管理がシビア。マリオ&ルイージとクッパはコインを共有しているため、一方が装備品やアイテムの購入等で無駄遣いすると、もう一方が肝心なときに購入できないという事態に陥る。そのため本作では気軽にコインを消費できない。
    • またシロップ類やリフレッシュハーブ等、双方で共有できるアイテムの購入は無駄が少なめであるが、逆に言えば一方が共有アイテムを激しく消費するともう一方が使えないという事態に陥りやすい。
  • 一部の装備品の入手難易度が非常に高い。
    • もちろんクリアするだけならあまり問題にならないが、コンプリートを目指したい人にとっては非常に骨が折れやすい。ザコ敵の場合は何度も戦えば手に入る可能性もあるが、1回しか戦えないボスの場合、倒しても手に入れられなかった場合、リセットして最初からやり直しである(特に装備品店で購入、ブロックを叩いたり壊したりして入手、ザコ敵のドロップでも手に入る物以外、つまりボスだけの限定品は)。
    • どうしても手に入れたい場合は、マリオ、ルイージの場合はキノコボールイベントの景品「オタカラメガネ」、ブティックキノダの「アイテムグラブ」を、クッパの場合はブリローズのスペシャルアタック挑戦のボコスカクリボーAランクの景品「おたからゆびわ」を使用すると多少は楽に入手できるかもしれない。
  • ワープゾーンの位置が少々微妙。あまり使い道がないワープゾーンがある一方で「ここにあれば良かったのに」と思える箇所もある。
    • 特にクッパのブリローズのスペシャルアタック挑戦場の場所がワープゾーンから少々遠いためあまり気軽に挑戦できない。
    • どちらか片方でしか入れないマップがあるからか、ワープゾーンはクッパ用とマリオ&ルイージ用に分かれていて、それぞれ半分ずつしか使えないよう割り振った形になっているので、一方のキャラならワープゾーンですぐ行ける場所でも、もう一方のキャラでは非常に遠い道のりを歩きまた帰る必要がある。
    • 因みにワープゾーンが無い側のキャラでその場所へ行く必要が無いという訳ではない。
  • 闘技場に挑戦できるのがマリオ&ルイージだけ。クッパ用の闘技場が存在しない。
    • 特に巨大クッパVS巨大ボス戦はよく出来ているだけにもったいない。
  • ボス曲が巨大化バトル・ラスボス戦を除いて一曲しかない。
    • 前作までは専用曲が流れるボスがいたのだが、今作では存在せず通常ボス曲のみで一部ボス戦では少々違和感がある
      この点はリメイク版で改善されている。
  • ダッシュの類ができない。
    • クッパだけは途中習得するアクションによって少し速く移動する事もできるが、マリオ&ルイージでフィールドマップを行き来する際には、移動の遅さに苦痛を感じる事もある。
      • クッパが速く移動できるアクションにはスライディングパンチとスパイクボールがある。スライディングパンチはそれなりに序盤に習得できるが見違えて速くなるものでもなく、一方スパイクボールは前作のブラザーボールに該当するものではあるが習得が終盤である。
  • CMで宣伝されているほどには、クッパとマリオ&ルイージでお互いに影響を与え合わない。マリオ&ルイージがクッパに影響を与えるのは特定のマップとイベントの時限定である。
    • 一部体内フィールドに戻ってアイテム回収などをしたい場合、そのイベントがあった場所までクッパで行かなければならない。
    • クッパから影響を与えるのもマリオ&ルイージを操作するのがメインで、クッパ側の操作は放置か多くても必要な際にボタンを押す程度である。イベント中以外はクッパを動かすとマリオ&ルイージは体内マップ選択画面にまで戻ってしまい、両方同時に操作する事は無い。
  • 一部スペシャルアタックがバランスブレイカーである。
    • 特に「はね~るメット」が強力。攻撃対象こそ単体だが、その分威力が高く消費SPが少ない。何よりマリオのPOW(攻撃力)だけをダメージ計算に用いるため、POWの劣るルイージで始動しても威力が落ちない。割と早い段階で入手できるのも高ポイント。
      • 腕に自信のあるプレイヤーならマリオに「ハラハラブーツ(装備者のPOWが2倍になるが、攻撃を受けると即死)」を持たせてもよいかも知れない。そこにDスターウェア等、POWを大幅に上げる装備品や、スペシャルアタックの威力を上げる装備品等を組み合わせると、レベルやバッジの組み合わせ次第では、あの闘技場のラスボスすらも…?
    • ただしスペシャルアタックを含めたアクションコマンドの難易度が、前作に比べてタイミングがシビアになるなど全体的に高まっており、失敗すれば1ダメージも与えられずに終わるスペシャルアタックも多いため、アクションの腕前にゲームバランスが大きく左右されるようになった部分もある。「はね~るメット」も例外ではなく、途中でマリオを落としてしまうとダメージを与えられずに終了である。
  • ミニゲームが強制イベント。
    • 成功できるまでストーリーを進められず、終わるまでミニゲーム以外の事はできない。シナリオが進むにつれてだんだんと難易度は上がっていくので、アクションが苦手な人はひょっとすると立ち往生する事もあるかもしれない。ついでにどれも失敗の度にコインが減る。また一部ではライフ制もあり、ライフをすべて失うと最初からやり直しである。
    • 一方、以前やったイベントミニゲームはほとんどが再プレイできない。
  • ラスボスが弱い。
    • アイデアこそ面白いものの、行動がワンパターンでHPが低い。折角BGMの出来がいいのに勿体ない。
    • 前作のラスボスがかなり強い部類であっただけに、本作ラスボスの弱さが一層際立ってしまった。
      • 特に、ラスボスが弱いことについては毎回マリオシリーズで言われていることである。
      • とはいえ、「誰でもクリアできる難易度」に公式が調整しやすい方向性にあるのである程度は仕方のない面があるが。
    • その代わり、闘技場で戦える事実上の裏ボスはシリーズ屈指の強さとなっている。

総評

エンディングを見た多くのプレイヤーに「いい話を見せてもらった」と思わせるだけの魅力を持った良作である。
アクションやゲーム内容も過去2作の長所をさらに伸ばし、反省点を改善させたことで、今まで以上にハチャメチャで賑やかなものとなった。
プレイヤーの腕前に合わせた配慮もきちんとされており、初心者でも行き詰まりにくく、上級者も飽きにくい絶妙なバランスを作り出している。

キャラクターの扱いの悪さも改善を見せており、特に今まであんまりな扱いだったクッパに大きくスポットが当てられている。
クッパファンはもちろん、いつもとは一味違うクッパを見たい人にも必見である。


余談

  • 出来・評判の良さは売上にも繋がり、日本国内だけで70万本を達成した。
  • 2018年12月27日に3DSでリメイク作『マリオ&ルイージRPG3 DX』が発売。詳しくは下記参照。

マリオ&ルイージRPG3 DX

【まりおあんどるいーじあーるぴーじーすりー でらっくす】

ジャンル ブラザーアクションRPG
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 任天堂
開発元 アルファドリーム
発売日 2018年12月27日
定価 4,980円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 2個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
周辺機器 amiibo対応
判定 良作
ポイント 1のDX同様に良質なリメイク
3DSの終末期故に、出来に反して売上は伸びず
アルファドリームの遺作

概要(DX)

『マリオ&ルイージRPG3』を3DS用にリメイクした作品。
マリオ&ルイージRPG1 DX(以下、前作)同様グラフィックが『4』以降準拠にリニューアルされ、新要素として「クッパJr.RPG」が追加された。


特徴(DX)

追加要素の多くは前作の3DS版から引き継がれている。

  • ガイド
    • 基本的なシステムやブラザーアクションの解説を任意で見られる。戦闘のアクションの練習もできる。
  • イージーモード
    • 戦闘でマリオブラザーズ、及びクッパに有利な補正がかかる。
  • アシストモード
    • ONにすると戦闘で敵がマリオとルイージ、どちらを狙っているかわかるようになる。
    • クッパの場合は防御に使うボタンだけが画面に表示される。
  • きんきゅうガード
    • 敵の攻撃をよけられないと思った時、ガードしてダメージを減らせる。
    • 前作はXボタンだったが今作はYボタンに変更されているので注意。
  • フィールドでの同時ジャンプもYボタンに変更された。

その他変更点

  • マメの隠されている「くぼみ」があるエリアはマップにアイコンが表示されるようになった。このためマメ探しは過去作に比べ、だいぶ楽になっている。
  • バトルコロシアムで巨大ボスと再戦できるようになった。再戦版はスピードが上がるなど強化されている。
  • キャラクターボイスは一新されているが、ゲラコビッツなどのゲストキャラクターのボイスは原作からの流用となっている。
  • DS版ではランクアップに応じて装備の枠が最大3つまで増えたが、今作では始めから装備の枠が3つ用意されている。
    • それに応じてランクアップ時のボーナスも変更された。
  • バッジのメーターがたまりきった時の効果を2つまでストックできるようになった。
    • 見た目と違い、ストックが2つある状態ではメーターが増加しないので注意。
  • 巨大ボス戦時のクッパの炎攻撃はマイクからタッチに変更された。
    • マイクの調子が悪い本体でも安心。多くのプレイヤーを苦しめたあのボスの難易度も低下した。
  • amiiboに対応しており、読み込むと本編かクッパJr.RPGで使用できるアイテムが入手できる。

クッパJr.RPG
本作の追加要素で、マリオ達の冒険と同時期に起きていた別の冒険を描いたゲーム。

  • 前作の「クッパ軍団RPG」がベースとなっている。以下は追加、変更点について。
  • 前作はタイプの違う4人の隊長を任意で入れ替え、レベルも個別に設定されていたが本作はクッパJr.が隊長で固定、任意でタイプを変更する方式に変わった。タイプを変えてもクッパJr.のレベルは変わらない。
  • 新たに「配置」の概念が加わった。隊長を除く仲間を範囲内で自由に配置できる。特定の形で配置すると「陣形ボーナス」が入りステータスが上がる。
    • なお、それに応じて前作の特定キャラの組み合わせで発生する「スキル」は廃止された。
  • 新たに「サブリーダー」が追加。サブリーダーを付ける事で特別なコマンドを使えるようになり、ステータスにもボーナスが付く。
  • 同じキャラクターを複数組ませると「グループアタック」が発生、通常より高い効果を出せるようになった。

評価点(DX)

  • 前作同様、細かい部分が調整され遊びやすくなった。
    • ガイドのおかげでよりチュートリアルが簡略化され、初心者のためのサポートも充実している。
  • BGMもDS版からグレードアップ。サウンドモードではDS版のBGMも聴ける。
    • さらにボス戦用のBGMに新曲が2つ追加された。
      一つは純粋な新曲、もう一つは過去作をプレイしているとニヤリと出来る曲になっている。
  • 前述の通り、DS版で残念がられた「巨大ボスとの再戦不可」が解消された。
  • 巨大ボス戦の演出が強化され迫力が増した。それでいてテンポも損ねていない。
    • トドメの一撃も4から逆輸入されている。
  • 「クッパJr.RPG」において前作の「クッパ軍団RPG」の欠点が解消された。
    • 前作はある程度本編を進めないと始められなかったが今作では最初から本編と「クッパJr.RPG」を選択できる。
    • 前作は本編をロードしてメニューを開く、というやや面倒な手間があったが、今作はセーブファイルからいきなり「クッパJr.RPG」を始められる。
    • 前作は本編を一度クリアしないとラスボスと戦えなかったが、今作は本編の進行具合と関係なくラスボスに挑める。
    • また、その前作をやっている人がニヤリと来るシーンもある。
  • 多少だがラスボスは強化された。

賛否両論点(DX)

  • 「クッパJr.RPG」は実はちょっと難易度が高め。
    • 「配置」の概念が加わった事で考える事が増え、敵も前作に比べ強力なのが増えている。結果として難易度が上昇、少なくとも"何も考えず適当にやってクリア"できる程甘くはない。
    • これを「難しい」と取るか「手ごたえがある」と取るかは各プレイヤーによるだろう。
  • 細かい部分で演出が変更されている。
    • 全体的にもっさりした挙動になっており、DS版と比べると爽快感に欠ける。
      • 例としてブラザーアタックの「ぶんしんタルたいほう」は発射されたマリオブラザーズの速度がDS版より遅くなっている。
    • ラスボス撃破時の演出はDS版経験者だと特に気になる箇所と思われる。これはこれで悪い内容ではないのだが。
  • ストーリーの都合上、今作のクッパJr.はけっこうな悪ガキ。ストーリー前半は人によっては不快になるかもしれない。
    • 前作主人公のクリボー隊長が少々おバカではあるが割と真面目なキャラだったので差別化の意味もあると思われる。
    • なお後半からクッパJr.も真剣になるのでそこは安心してほしい。この後半の成長を見せるための前半と思えば多少は気が楽になるか。

問題点(DX)

  • いつでもセーブ不可
    • 過去に3DSで発売された同シリーズでは基本的にフィールド上であればいつでもセーブが出来たが、今作はDS版同様セーブはセーブブロックでしか出来ない。
    • そしてセーブブロックがDS版より増えている、なんて事もない。そのためDS版の欠点だった『いくつか「ここでセーブしたいのにできない」と思える箇所が存在する』という問題はそのまま。
  • アイテムや装備品の値段がDS版と比べると高くなっている他、クッパ専用回復アイテムが追加されている。(クッパのSP回復アイテムがシロップからチーズに分離された等)
    • より金銭管理がシビアになったため、どちらのプレイヤーキャラクターでも買い物の際は十分注意する必要がある。
  • 全体的にプレイヤー側の要素が強化され過ぎていて、簡単になりすぎてしまっている
    • パワフルバッジの効果が原作では連続攻撃の場合初弾しか乗らなかったのが、全弾乗るようになり、効果自体も上昇。
      • おまけにストックしておけるので終盤のボスもあっけなく沈んでしまう。
    • クッパ用の装備「でしゃばりきば」の入手方法が簡単になってしまった。
      • 装備するとクッパが1ターンに2回行動できるようになる。はっきり言ってチート装備。
    • DS版ではクッパをレベル40まで上げて最高ランクになった際の景品だった。普通にプレイするとその前にクリア出来るので、やりこみ派向けの特典の意味合いが強かった。しかし今作ではストーリー中のある巨大ボスを倒した時のドロップアイテム。巨大化バトルでは『4』と同様にアイテムを4つドロップするようになり、ドロップ率も100%であることからクリア前に必ず手に入る。
      本当にゲームバランスを変えてしまう装備なので、これはDS版そのままでも良かったと思われる。
    • もっともこれらに関しては、どれも嫌なら使わなければいいだけの話ではあるのだが…。
  • 序盤のクッパの与ダメージが大幅に減少した。
    DS版ではクッパのダメージ計算式にプラスの補正がかかっており、序盤からクッパらしい大ダメージで豪快な戦闘が見られていた。
    それと同時に、序盤はクッパで訪れた場所を中盤以降マリオ達が訪れる際、低レベルクッパで戦った相手に高レベルのマリオ達でも良い戦いになり、ゲームバランスを保ちつつクッパの強さを再認できるようになっていたのだが、本作ではバランスを再調整した一環からかその補正が削除されてしまった。
    そのため、序盤は一桁のダメージで殴り合う情けないクッパを見る羽目になってしまった。
  • 巨大ボス戦時でのタッチ画面の位置が右側固定となり、位置を変更できない。
    • DS版では左側固定だったため、原作経験者は違和感を覚えてしまうことがある他に、同じく巨大ボス戦を採用している『4』では利き手に応じて画面の位置を変更できたが、本作にはその設定がないため左利きの場合だと画面が見づらくなってしまう可能性がある。
  • 先述した新曲の片方はバトルコロシアムでも戦えるボスの曲だが、そちらでは流れない。
    • 評価が高いだけに残念である。特にパワフルバッジで瞬殺してしまっていると味気ない。一応、サウンドテストでは聞けるが…。
  • クッパ軍団RPGに存在した「スキル」の廃止。
    • いろんなキャラクターを組み合わせるので見た目に楽しく、中にはキャラクター同士の人間関係も見える要素だったので廃止されたのは残念。
    • その代替であろう「陣形」もスキルに比べて味気なく、やや物足りない。
  • 「グループアタック」の仕様上、個別に名前のあるキャラクターは「グループアタック」が使えず、やや不利。
    • クッパ7人衆やカメック(青)はサブリーダーとして使えるのでまだいいが、そうでないキャラクターは使うメリットがない。
  • 操作感が悪化した。
    • 終盤でクッパが覚えるスパイクボールが顕著。明らかに原作以上に壁に引っかかりやすくなっている。
  • クッパの等身大ボス戦は、結局再戦できないまま。
  • バグの増加。
    • 特に致命的なのは中盤のルイージ単体行動シーンでの進行不能バグ。
    • これの修正時に今度は"サウンドテストで原曲版が聞けなくなる"というこれまた致命的なバグが発生。
    • こちらも修正はされており、現在でも残っているのはよほど重箱の隅をつつくプレイをしない限り発生しないようなバグのみに留まっている。
  • これとは別に序盤のボス「ハナチャン」を倒しても経験値が入らないという問題もある。設定ミスだろうか?
    • ボスが召喚するザコ「はっぱヘイホー」の経験値だけ入る。

総評(DX)

前作をベースに調整し、さらに遊びやすくなって生まれ変わった作品。
細かい不満点もなくはないが概ね良いバランスでまとまっており、3DSにおけるこのシリーズの締めくくりとして申し分ない。
クッパJr.RPGも難易度こそ高いが、歯応えがありストーリーも良い出来となっている。
DS版を未プレイの人にも、経験者にも、安心してオススメできる良作である。


余談(DX)

  • DX版のCMは病院でクッパが診断を受けておりレントゲンに写っているマリオブラザーズの影に驚くという任天堂らしいシュールなもの。
  • 株式会社アルファドリームが2019年10月1日に破産手続き開始決定を受け、本作が最後のコンシューマーソフトとなった。(AUTOMATONの該当記事)
  • 作品の評価に反し、セールス面ではマリオ史に残る失敗をした作品でもある。2000年以降に発売されたマリオシリーズに限定すると、本作は2番目に売上の少ないソフトとなってしまった(2019年時点・参考動画)。
    • 本作より2年前に発売され様々な面で商業戦略をしくじった『ペーパーマリオ カラースプラッシュ』と比べても、本作の売上は約半分である。
      理由としては以下が上げられるが、いずれにせよ本作の売上不振がアルファドリーム倒産の一因と推測する声は後を絶たない。
      • 発売時期が3DSの末期で、ユーザーの関心はSwitchに向いていた。
      • GBAでリリースされた『1』と違い、原作となった『3』は3DSでも互換機能でプレイ可能であり、中古市場でも入手が容易。1作目で荒削りな部分も多かった『1』と比べると『3』はシステム面の完成度がもともと高く、わざわざリメイクする意義やユーザーからのリメイク需要が薄かった。
      • 『2』のリメイクが飛ばされた事で、『1DX』から入った新規プレイヤーが購入をためらってしまった。
  • 『2』を飛ばしてリメイクされた本作だが、幸いにして初代と『2』、及び『2』と『3』はストーリー的に大きな繋がりは存在せず、また本作では明確に初代から繋がるストーリーが描かれている為、『2』をやらずに『1DX』→『3DX』と直接プレイしても大筋の理解は十分可能ではある。…むしろ本作の場合は『2』を飛ばしたことで逆に大筋を理解しやすいかもしれない。
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最終更新:2024年02月13日 13:52

*1 マリオ&ルイージは攻撃パターンによって、ジャンプとハンマーのどちらで対応するかが必ず決まっている。