Trials Evolution
【とらいあるず えう゛ぉりゅーしょん】
ジャンル
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キャラクターアクション,レース&フライト
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対応機種
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Xbox360(Xbox LIVE ARCADE) Windows(Ubisoft Connect/Steam)
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発売元
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Microsoft Game Studios 【Win】UBISOFT
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開発元
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RedLynx UBISOFT Shanghai(Windows版)
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発売日
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2012年04月18日 【Win】2013年3月22日
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定価
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1,200マイクロソフトポイント(1,500円) 【Win】
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プレイ人数
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1人(マルチプレイ時最大4人)
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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グラフィック・演出がパワーアップ エディットしたコースを世界中に公開可能
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Trialsシリーズ 2: Second Edition / HD / Legends / Evolution / Fusion / of the Blood Dragon / Rising
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概要
2009年にXBLAで発売され、その単純ながら奥深いゲーム性や快適なリトライシステム、充実したコースエディット等で360ユーザーから高い評価を得た『Trials HD』。
本作はその続編である。
システム
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主な操作は前作と同じく、「アクセル・ブレーキ・スティック操作で体重を前後にかける」のみ。(例外も存在するので後述)
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この操作をうまく利用して、大穴をジャンプで飛び越えたり、急すぎる坂をうまく登っていったりする。
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基本的には画面左から画面右へ真っ直ぐ進むレースアクションゲームであるが、本作ではルートが画面手前や奥に曲がるステージも存在する。
前作からの主な変更、および評価点
前作『Trials HD』から強力なパワーアップを果たした結果、以下のようなことが実現した。
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ステージによる舞台の変化
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前作ではどのステージも倉庫、洞窟といった閉鎖的で似通った背景が多かった。(ゲーム性には影響がないので問題点ではない)
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今作は1つの島全体が舞台となり、屋外を走行できるようになっただけではなくバリエーションもかなり豊富になった。
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起伏のある山は勿論、街中も洞窟も工場も遺跡も海上の船も、はたまた空に浮かぶ小島までもがステージとなっている。描画距離も前作から大幅に増えており、上空にあるステージから見える地上の景色は壮大である。
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また、ステージごとに時間が異なり、昼と夜で全く雰囲気が変わるのも魅力である。
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DLCによって新たにワールドが追加され、さらに舞台が増える。島を離れた先は、遊園地・未来都市・おもちゃ箱など、例を挙げればキリが無い。
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マルチプレイの実装
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多くのプレイヤーから望まれていたマルチプレイがついに実装された。
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プレイできるのは、対戦用に作られたコースを全プレイヤーが横並びになって走る「スーパークロス」と、通常モードのコースを同時プレイし、他プレイヤーをゴーストとして映すものを、難易度別に二つの合計三種類となっている。
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他のプレイヤーを妨害するような要素は全く存在しないので己との勝負に変わりはない。だけど他人の動きを見て焦り、ミスをしてしまう事もあったり。
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数レース終了後の順位によって経験値がもらえ、レベルアップする。報酬は特に無いが。
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何かがおかしいスキルゲームの数々
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前作のスキルゲームもバイクでそれやるか?といった破天荒なまでのアクションが多くを占めていたが今作は遂にバイクですらなくなった。
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空中に浮かぶ迷路をボールを転がして進むゲームや、UFOを操作して各地のチェックポイントに着陸していくゲーム、三回まで爆発してジャンプできるライダー(!?)を操りゴールへと向かうゲームなど、公式が狂気な何かが並ぶ。
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コースエディット
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前作から更にパワーアップしたコースエディターは圧倒的な自由度を誇る。通常コースやスキルゲーム、もちろん対戦モード・スーパークロス専用コースも作成可能。
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数えきれないほど多いオブジェクトが用意されており、それらを配置していくことで公式のコースと同等またはそれ以上に作りこむことができる。
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演出やスキルゲーム向けに用意されたスクリプト要素はなかなか充実しており、駆使すると上述のような公式のスキルゲームを再現できるだけではなくなんとFPSや縦スクロールSTG、簡単なRPGも作る事ができてしまう。
このゲームのジャンルは何だっただろうか...
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コースを作成する際は最初に走行ラインを決めるが、島上のすべての場所を一度にステージとして指定できる。
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そのため、その気になれば島一周観光ツアーコースなんてのんびりプレイにも対応可能。チェックポイントの設置は忘れずに。
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トラックセントラル
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そして、エディットで作成したコースを、フレンドだけでなく全世界に公開することが可能となった。トラックセントラルからコースをダウンロードして他人のコースもプレイすることができる。
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ユーザーが気合を入れて作りこんだコースや、ほんの僅かなプレイヤーしかクリアできないような超高難度なコース(たいてい忍者級というタグがつけられている)が数多くあり、多くのユーザーが(公式コースだけでなく)これらのコースでもランキングを競っている。
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トラックセントラルの機能(コースの公開、検索、プレイ)についてはシルバーメンバーシップ(Xbox Liveの無料会員)でもすべて無制限に利用できる。このことも、トラックセントラルの盛り上がりに貢献している。
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上記のような演出面での大幅なパワーアップがあったにもかかわらず今作でも60fps動作は維持されており、軽快なレスポンスは保たれている。
問題点
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コースを選んだ際のロード時間が長くなった。
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前作のようにロード無しで一瞬で始まるようなことはなくなった。
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DLCで新しいワールドが追加されたことによって、違うワールドのコースを遊ぶ際には、ワールドの読み込みとコースの読み込みの両方が行われるのでなかなかのストレス要因となる。
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コースが始まれば、チェックポイントからのリトライも最初からのリスタートも前作のようにボタンを押して一瞬で済む。
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コース難易度は『HD』に劣らず相変わらず高い。
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序盤は体重移動さえわかればサクサクいけるものの、初見では時間切れ・回数切れになってしまうようなとてつもなく長いコース辺りを皮切りに、難易度は加速的に上昇する。
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とはいえ、世界で数人しかクリアできないなどというコースはない。リトライを重ねて、感覚を叩き込んでいけば、実績はどうあれコースをクリアできる時は必ず訪れる。総合的には前作と殆ど変わらないレベルであるといえるだろう。
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前作同様カメラワークの問題、過剰なエフェクトやミスを起こしやすい仕掛けは健在。
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そのうえ今作は屋外であることに加えコースが一直線ではなく、手前や奥にカーブしたりするコースも多いため、走行ルートを見失う事が多い。
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エディターに慣れるのが難しい。
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エディターに慣れていない人にとっては出来ることの多さゆえに、コース作りのプロセスを掴みにくい。
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一応ライトエディターとプロエディターの2種類が用意されているが、ライトエディターを選んでもユーザーが設定できる項目が少なくなるだけで、エディットが大幅に簡単になるというわけではない。
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エディターの操作にはコントローラのボタンをフル活用する。そのため慣れないうちは、自分がしたい操作をするのに逐一画面下に表示されるコマンド表を見ながら操作するという風になりがちで、なかなか作業効率が上がらない。
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「トリガー」や「イベント」といったものは、コース途中で演出を行なったり仕掛けを動かしたりするためには必要になるものである。しかし、これらのツールを適切にセッティングするにはトリガーやイベントの使い方や動作をあらかじめ把握しておく必要があり、エディター初心者の人にとっては扱いづらいものである。
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サンプルコースには単純なコースだけでなく公式のスキルゲームの仕組みを再現したものが多数収録されている。また、公式のチュートリアル動画(英語)がYoutubeに投稿されていたりと、開発側もユーザーがエディターに慣れてもらうような努力はしている。それでもなお、エディターのことをよく理解することは時間がかかる。
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トラックセントラルの検索機能は貧弱。
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最近公開されたトライアルコースを遊びたいときには「最新トライアル」というタブを開いて探すことができるが、難易度によるフィルターなどがない。
上記の忍者級コースも一緒にまとめられている上に、難易度やタグを確認するにはコースの詳細を開く必要があるため、自分が遊びたい難易度のコースを探すのに手間がかかる。
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通算での高評価ランキングからも探すことが出来るが、ランキングの仕様のせいか忍者級のコースでランキングが占められてしまっている。期間が限定された高評価ランキングではこのようなことはあまり起こっていないが、低難度のコースを走りたい人にとってはあまり役に立たない。
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コースを検索したいときもコース名による検索はできない。素晴らしいコースはたくさんあるのにコースを直接探せないというのはあまりに不便ではないか。
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コース製作者のゲームタグを入力することで絞り込むことは可能だが、「ゲームタグがいつの間にか変更されている」「完全一致でないと検索にヒットしない」「制作コースが多すぎて検索に引っかからない」など、とても快適な仕様とは言えない。
総評
レースゲームとしては異色の存在であった前作を、更にパワーアップさせた今作。
そして公式が「エンドレス・コンテンツ」と謳い、それを否定できないほどに充実しまくったコースエディット。
すべてが前作を上回っているとは断言できないものの、名作といえるポイントは十二分に持っている。
そして、ひたすらコースをプレイしてノーミス最速クリアを狙うのも、オンライン対戦で世界中のプレイヤーと激しいトップ争いをするのも、コースエディットでとんでもない作品を作り上げるのも、すべてがプレイヤー次第なのである。
余談
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本作の発売前にデベロッパーのRedLynxはUBISOFTの買収を受け、傘下会社となった。そのため後発のPC版はUBISOFTがパブリッシャーとして発売している。
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今作の公式コースの中ですら、全く関係ない他作品のオマージュ(というより再現)コースが多数存在する。
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今作をベースに『TRIAL HD』の要素を追加し、Windows PCに移植した完全版とも言える『Trials Evolution: Gold Edition』が2013年3月22日に発売。移植はUBISOFT上海スタジオ。
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今作のコースは「クラッシュ郡」、前作のコースは「HD Warehouse」として同時収録。コース数の増加に伴い、上位コース解放に必要なメダル数も大幅に増えている。
コースエディットは今作ベースだが、『HD』コース用のパーツも使用できる。
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Ubisoft Connectおよびフェイスブックアカウントへの対応が行われている。Steamからでも購入可能だが、その場合はSteamから起動し、さらにUbisoft Connectのクライアントを導入することになる。
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残念ながらXBLA版のDLCコースは未収録。
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ゲームメディアによる開発スタッフへの技術インタビューの内容をざっくりと要約すると、「通常よりハードウェアに近いレベルのプログラムを組むことで、Xbox 360のハードウェアの性能を最大限に引き出せるようになった。その結果、ビジュアル面は豪華になりつつもパワー不足にならず、物理エンジンも最適化され、60fps動作を維持することができた」といった感じ。
最終更新:2022年10月18日 09:38