ドラゴンクエストIX 星空の守り人

【どらごんくえすとないん ほしぞらのまもりびと】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ニンテンドーDS
メディア (容量不明)DSカード
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 レベルファイブ
スクウェア・エニックス
発売日 2009年7月11日
定価 5,980円(税5%込)
プレイ人数 1~4人(通信による協力プレイ)
セーブデータ 1個+中断データ1個 ※中断データは再開後自動的に消去
通信機能 ワイヤレス通信、すれちがい通信、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 アルティメットヒッツ:2010年3月4日/2,940円(税5%込)
判定 スルメゲー
ポイント 自由度が高いやり込み型RPG
従来シリーズや事前情報からの路線変更に反発も
大都市優遇過疎地方不遇な要素
シリーズ初のギネス認定獲得
クリアしてからが本番
ドラゴンクエストシリーズ


概要

説明不要の国民的RPG『ドラゴンクエストシリーズ』の9作目(以下DQ)。製作は『VIII』同様、レベルファイブが担当した。
ゲーム中のグラフィックスは3DCG中心だが、三人称視点の『VIII』とは違い、『VII』以前の作品に近い俯瞰視点の形式。また、マップ上のキャラクターなど、一部ではドット絵を使用している。

天空シリーズから続いていたシナリオ重視の作風から一転、『III』同様のキャラクリエイトシステムをメインとしたやり込み要素を重視した作風に転換した。

キャッチコピーは「そして、僕たちは天使と呼ばれていた」


ストーリー

主人公は天界に住まう天使の1人。
天使の役目は人間を陰から見守り手助けし、人間からの感謝の気持ちの証である「星のオーラ」を集めて世界樹に「女神の果実」を実らせることにある。
「役目を果たした時、神の国へ行くことができる」という言い伝えを信じ日々努めに励む天使たちの働きにより、ついに女神の果実が世界樹に実る。
しかし突如発生した異変により果実が落ちて人間界の各地へと散らばり、主人公も地上へと放り出されてしまう。

落ちた先で天の箱舟の運転手を自称する妖精サンディと出会った主人公は、彼女の手助けの元、散らばった果実を集めて天界へ戻るために行動を始めることになる。


特徴

キャラクタークリエイションシステム・着せ替えシステム

  • 主人公と仲間キャラクターは体型(5種)、顔(10種)、目の色・肌の色・髪の色(各10種)を組み合わせることで、自分好みに作成できる。
    • 仲間はルイーダの酒場でプレイヤーが自由に設定する、『III』と似たシステム。
    • なお、ナンバリングDQとしては5作目ぶりに男女選択が可能。
  • 装飾品を除いて、武器・防具など装備品がキャラクターの見た目に反映される。
    • もともと個性的な見た目の武器・防具を多く擁する(公式攻略本の設定画などではおなじみだった)シリーズだが、今回はレア装備の中に歴代主人公や歴代キャラクターのイメージコスチュームも用意された。
    • 防具にはネタ気味なものや現代的なデザインをしたものが登場。冒険以外にファッションを楽しむことも可能で、非常に好評となった。
  • 武器系統が12種類に増加(剣/短剣/ヤリ/杖/棍/扇/ムチ/ツメ/オノ/ハンマー/弓/ブーメラン)。防具は6箇所(盾/頭/上半身/手/下半身/足)に装備できる。
    • キャラクター1人あたりの装備は、上記の武器1・防具6にアクセサリを加えた8箇所。
    • アイテムの数が大幅に増え、『VIII』より登場した錬金システム(特定の素材を集めて上位のアイテムを作る)の重要度が更に増している。

戦闘・職業周りの仕様

  • 転職は、各キャラクターそれぞれが職業ごとの経験値・パラメータ情報を保持する、新しい方式を採用している。
    • 初めて就く職業は全てLv1から経験を積み、転職を経て再度同じ職業に戻してもレベルはそのまま。細かいパラメータも個別管理されている様子であり、種系アイテムは使用した職業限定の効果となる。
    • 『VIII』のスキルポイント制を導入。呪文・特技・その他のスキルは、レベルアップ時に獲得するスキルポイントを、職業ごとに定められた5系統のスキルに割り振って習得する。
      • 基本的に装備可能な武器数種類に職業固有のスキル、盾や素手などを加えて5系統となっている。
      • 武器スキルを100まで上げる事により、すべての職業でその武器を装備できるようにもなる。
      • 各職業・スキル毎に『秘伝書』というアイテムが存在し、持っているだけで強力な特技や便利な特殊能力を使える。便利なアイテムだが、入手条件が厳しいものが多い。
    • 『転生』を行うことで、レベル99になった職業をレベル1に戻して再び育て直すことが出来る。一見意味のない行為に思えるが、全スキルポイントをカンストさせるには転生が不可欠。
      • 各職業毎に初めて転生を行った際に、特典として『○○(職業名)の証』というアクセサリーが貰える。特定のステータスが大幅に上がる、便利な特殊効果が付くなど有用な物が大半だが、中にはガッカリ性能の物も存在する(後述)。
+ 職業の一覧
  • 本作の職業は同様のシステムを持つ『III』と比べると、どの職業も一長一短であり、勇者の様にいわゆる万能職と言う物は見られない。
  • また、下級職と上級職の性能差は抑え目になっており、単純にストーリーをクリアするまでなら、どの職業を使っても問題ない。
  • 上級職は『VI』などとの仕様と異なり、転職のためのクエストを成功させる必要がある。

戦士

  • 肉弾戦のプロ。HP・力・身の守りは全職業中トップクラスだが、それ以外のステータスは底辺クラス。
    • 他の職業と比べるとかなりの重装備が可能なため、安定した前衛として使いやすい。
      • 流石にクリア後となると、能力や呪文で勝っている上級職にその立場を譲っている。
    • 装備可能なのは剣、ヤリ、短剣、盾。固有スキルはステータス補強に使えるが特技は微妙な「ゆうかん」。必殺技は会心の一撃を放つ「会心必中」。

僧侶

  • 回復呪文のエキスパート。全職最高の回復魔力を持ち、魔法使いよりかはマシな程度に肉弾戦も出来る。
    • 習得呪文は過去作に比べてやや不器用だが、本作では唯一ベホマズンを習得できるため、高レベルの魔王戦では必須。
    • 装備可能なのはヤリ、棍、杖、盾。固有スキルは回復魔力が大きく伸びる「しんこう心」。必殺技は全員HP回復+状態異常回復の「ゴスペルソング」。

魔法使い

  • 攻撃と補助呪文を操る職業。非常に脆くて非力だが、もちろん魔法攻撃では高い性能を誇る。
    • 本作では後述の通り呪文の地位が向上したため、それに応じて魔法使い自体もやや地位が向上した。
      • ただし、本編だと上級攻撃呪文は取得が遅いために使うことができない。豊富な補助呪文でカバーしたいところ。
      • クリア後はスキルで耐久力を補強すれば、最上級魔法でのアタッカーとして非常に有用となる。
    • 装備可能なのは杖、ムチ、短剣、盾。固有スキルは攻撃魔力が大きく伸びる「まほう」。必殺技は3ターンの間呪文でのMP消費がなくなる「ミラクルゾーン」。

武闘家

  • 素早さと力の高さを活かしたアタッカー。伝統の会心の一撃が出やすいと言う特性は失われたが、ゲームシステムの変化により全体的に使いやすくなった。
    • 相変わらず防具の性能は低いが、素早さを活かして相手に一撃を与える有用性は高い。ただし、MPはほんの僅かしかないために低MP消費の特技ですら乱発する事は出来ない。
    • 装備可能なのは棍、ツメ、扇。固有スキルは素早さが上がり、テンションを上げる「ためる」などを習得できる「きあい」。必殺技は相手を怯ませ、テンションを一段階アップする「一喝」。

盗賊

  • 相手の道具を盗む事が出来る職業。固有スキルで習得可能な「ぬすむ」の価値が極めて高い。素早さの高さが魅力で、かなり少ないが回復や探索系の呪文も習得する。
    • ステータスこそ全体的に武闘家をこぢんまりとさせた感じだが、一応前衛は務まる。「ぬすむ」も錬金やクエストでモンスターの落とすアイテムを使う本作では必須の特技。
      • ただしクリア後の宝の地図探索を始めると、中途半端なステータスのために足を引っ張りがち。呪文にいたっては本当に基礎も基礎のみなので、クリア後どころか本編の中盤くらいにはもう辛くなってくる。スキルを覚えたらとっとと転職するが吉。
    • 装備可能なのは剣、短剣、ツメ。固有スキルは文字通り宝に関係した特技を覚えられる「おたから」。必殺技は相手からのお宝ドロップ率を100%にする「お宝ハンター」。

旅芸人

  • 主人公が最初から就いている職業。『III』の遊び人の様に役に立たない訳ではなく、前衛に立てるステータスを持ち、攻撃・回復呪文もある程度は覚える。
    • 初期職業だけあってステータスはバランスよく、攻撃と回復呪文を両立できる珍しい存在のために有用性は高い。
      • しかし、クリア後の冒険となると盗賊共々貧弱さが目立ってしまう。呪文も中途半端なレベルまでしか覚えない。
    • 装備可能なのは剣、ムチ、扇、盾。固有スキルはそこそこ便利な特技を覚える「きょくげい」。必殺技は身かわし率とカウンター率を大幅に上げる「アクロバットスター」。

バトルマスター

  • 攻撃に特化した上級職。力は全職業中最高で、HPと身の守りもかなり高い。素早さは低く、MPは武闘家と同等。
    • 盾こそ装備できないが、その破壊力は見事の一言。雑魚戦はもちろん、ボス戦でも主力のアタッカーとして役立つ事間違いなし。
      • 盾スキルを100にすれば盾も装備できる様になるため、ステータスも相まって戦士の上位互換に近くなる。ただしバトルマスターは盾スキルを持たないので、装備させるには転職して他職でスキルを育てる必要がある。そしてスキルが100まで育つ頃にはゲームも終盤。
    • 装備可能なのは剣、オノ、ハンマー。固有スキルは攻撃系の特技を多く覚える「とうこん」。必殺技はテンションを一気に上げる「テンションブースト」。
      • 武器は扱いやすく強力なスキルを覚えるものが多いが、MP使用量が気になるところ。乱発するのであればMPの底上げやMP消費量を少なくさせる必要がある。

魔法戦士

  • 補助呪文に特化した上級職。バランスのとれたステータスを持つ。しかし他の作品とは異なり攻撃呪文の類は一切使えず、補助呪文・敵弱体化呪文の専門職に。
    • しかし補助呪文でも、スクルトやフバーハといった有用なものに限って何故か習得しないという致命的な欠点を持つ。
    • また、強い敵は軒並み状態異常系に耐性を持つ為、敵を弱体化させる呪文の価値もそこまで高いわけでは無い(今作に限った話では無いが)。
    • 固有スキルで覚えられるフォース系の特技を使えば攻撃にはその属性が付き、その属性への耐性も大きく上がる。攻防一体の能力を持つため、覚えるだけでもゲームが楽になる。魔王戦では習得必須の特技。
      • 「明確な個性・強みを手に入れた」と好意的に受け止められることが多い一方で、習得さえすればどの職業でも使えるという頭の痛い問題も出てしまった。
    • 装備可能なのは剣、弓、杖、盾。固有スキルは属性の力を与える特技を覚える「フォース」。必殺技は経験値をランダムで引き上げる「EXPルーレット」。
      • 宝の地図攻略では火力不足が気になる為、弓はあまり採用されない。また「呪文を非常に多く使う」とかで無い限り、杖を選ぶメリットもあまりない。なので武器は剣一択と言って良い。
      • 力が強い職業はMPが極端に低い傾向にあるので、力とMPがそれなりにある魔法戦士は、使用MPの多い攻撃特技を1番上手く扱える。流石にバトルマスターや戦士には力で劣るが、アタッカーとしての適性は十分にある。

レンジャー

  • 大自然と共に生きる狩人の上級職。全職最高のきようさが際立つ。
    • きようさ以外のステータスは平凡で、その器用さもこれと言って効果を実感しにくく、特徴らしい特徴があまりない。
      • ただし回復・補助呪文が使えるので、MPこそ低いものの補助的な回復役として立ち回れる。前衛職としては高めのMPにより、特技を使いこなして攻撃役にもなれる。
    • 装備可能なのはオノ、ブーメラン、弓。固有スキルはきようさなどが上がる「サバイバル」。必殺技は自分のステータスをアップさせる「妖精たちのポルカ」。

パラディン

  • 味方を守る騎士の上級職。素早さこそ低いが耐久力は最高クラス。
    • スクルトやマジックバリアなど防御系の呪文もこなせるため、ボス戦では是非とも欲しい。宝の地図の魔王戦ではその耐久性能から必須。
    • 装備可能なのはハンマー、ヤリ、杖、盾。固有スキルは防御系に優れた「はくあい」。必殺技は4ターンの間無敵になれる「パラディンガード」。

賢者

  • 悟りを開いた聖者の上級職。攻撃・回復呪文は専門家の魔法使いや僧侶に一歩譲るが、こちらでしか使えない呪文も覚える。またマジックバリアやスクルトといった有用な補助呪文も覚える。
    • 肉弾戦は僧侶と同程度で素早さも低く、転職はラスボス直前と非常に遅くなったなど他作品にない欠点も目立つが、魔法のプロだけあって攻撃も回復も両方こなせるのは非常に大きい。MPは全職業中1位の値で、攻撃魔力・回復魔力はいざれも2位と非常に高い水準を誇る。
      • 特に賢者しか覚えないザオリク、ドルマ系呪文は非常に有用。
      • 使われる頻度自体は多く無いが、膨大なMPを持っているので階層の多いダンジョンなどで、MPパサー役として立ち回ることも可能。 杖装備をしていれば(微々たる物ではあるが)MP回復も可能であるため、低難易度のダンジョン周回であれば半永久的にMPを供給し続けることが可能。
    • 装備可能なのは杖、弓、ブーメラン、盾。固有スキルはMPに大きく関わる「さとり」。必殺技は自分のMPを回復する「神の息吹」。
      • 力がとても弱いため弓とブーメランは向いてない。攻撃させるのではなく、MPの最大値が増える・MP吸収効果がある杖を装備させ、呪文に特化させるのが良い。
      • 耐久力が低いので盾スキルのマスターは必須。できればパラディンの「はくあい」スキルもマスターさせておきたいところ。

スーパースター

  • ステージに立つアイドルの上級職。転職できるのはクリア後のみ。魅力は全職最高で攻撃呪文も回復呪文も使えるのだが、それ以外は低水準と言ったところ。
    • 一見すると旅芸人の上位互換に思えるが、攻撃魔力が低く、回復呪文もベホイミまで。基礎的なステータスも低めと使いにくい。しかし装備可能な装備品が多く、必殺技の発動率も高い。
      • 固有スキルの演出などを考えると、どちらかと言えばお遊び要素として意図的に弱く調整した可能性もある。つまりこちらが遊び人の後継者か。
    • 装備可能なのは扇、ムチ、ブーメラン、盾。固有スキルはアイドルらしい特技を覚える「オーラ」。必殺技は武闘家と同じ性能の「ダンスフィーバー」。
  • キャラクターの特殊能力は、本作でも「呪文」と「特技」の2系統がある。
    • 呪文の威力に影響するパラメータ(攻撃魔力・回復魔力)が新設され、成長や装備品によって呪文の威力を底上げできるようになった。また、通常攻撃の会心の一撃にあたる「呪文の暴走」という概念が追加。
    • その一方で、強力な特技の多くは消費MPを課されるようになった。
    • 呪文はキャラクターが現在就いている職業で習得できるもののみ、使用可能。特技はMPさえ足りていれば、職業に関係なく自由に使える。ただし、武器を使用する特技は、対応する武器を装備している時のみ使用可能。戦闘中に装備入れ替えは可能なものの、元から装備不可能な武器は当然の如く、装備することはできない。(ただし、武器スキルマスターをすれば、全ての職業で装備可能=どんな職業であっても全ての特技を使える可能性がある)
  • 属性耐性・弱点の影響量が大幅に増加。特に弱点属性はダメージが倍加されるようになり、本作の攻略において重要である。
    • 過去のナンバリング作品では耐性なしの場合に最大ダメージが通り、耐性がつくごとに割合でダメージカットされていた。「弱点属性でダメージ倍加」は、主に『DQモンスターズ(DQM)』などの外伝作品で見られた方式である。
  • 通常ザコとの戦闘はシンボルエンカウント制を採用。

やり込み要素の充実

  • 本作はやりこみ要素が非常に多く、どちらかというとクリア前よりもクリア後の楽しみに比重が寄っている作りとなっている。
    長く楽しめる数々のやり込み要素にハマって、プレイ時間が数百時間となるユーザーも続出した。今となっては、プレイ時間が数千時間に及ぶユーザーもそう珍しくはない。
  • クエスト及びWi-Fi配信クエスト
    • ゲーム中に特定のキャラクターから「クエスト」を請け負って要求を満たすと、アイテムなどの報酬がもらえる。
    • クエストの一部はWi-Fiで順次配信されていく。
      • クリア後限定で受注できるクエストの一部には、クリア前までの本編では描かれなかったストーリーが付属している。また、クリア報酬として本編登場キャラクターを仲間にできるようになるものもある。
  • 宝の地図ダンジョン
    • 「宝の地図」というアイテムで示される隠しダンジョン。地図を入手した時点で入り口や形態などといった細かい設定が決まり、レベルの高さに応じて難易度や深度が決定される。
    • 最後のフロアにはボスがいて、クリアすると新しい地図が手に入る。どんな内容のダンジョンかは入ってからのお楽しみ。
    • 高レベルの地図になると今までのシリーズでは考えられない強さのザコ敵が登場。さらに全12種もの手強いボスやレアアイテムの入った宝箱などやりこみ要素が盛りだくさん。
  • 魔王の地図
    • クエスト報酬や『DQモンスターバトルロードII(DQMBII)』との連動などで手に入る特殊な宝の地図。ここでは歴代DQシリーズの魔王、つまりラスボスやそれに準ずる敵と対決できる。
    • このダンジョンはボスのいる1フロアのみであり、ボス戦闘に専念できる仕様。
    • 勝利するとレアアイテムをドロップする。また、戦闘後に獲得した経験値を魔王側に与えることで地図のレベルが上がり、魔王が強化されるシステムを採用。より強く、よりレアなアイテムを落とすボスになっていく。
    • 対歴代魔王戦時の背景やBGMも再現されている。
  • ワイヤレス通信のマルチプレイ対応。DQを一緒にコミュニケーションしながら楽しめる。
    • 高レベルのプレイヤーにボスを倒してもらうといった攻略も可能。
    • レア度0のアイテムなら交換できる。
      • 本作ではフィールドの特定箇所に、プレイ時間に応じて復活する錬金素材が落ちている。補充される時間はソフトによって異なり、「集めやすい素材、集めにくい素材」が偏るようになっているのだが、自分のソフトで集めにくい錬金素材はマルチプレイで他の世界に行くと補いやすい。

すれちがい通信

本作について語るときに「すれちがい通信」の存在を外すことはできない。
従来のDQにない「すれちがい通信」の使用を前提に作っているため不可分であるにもかかわらず、従来のDQと同じ物差しを使っての批判が相次いでいることが、本作の評価を難しくしている一因である。

  • 主人公キャラクターにメッセージと「宝の地図」「魔王の地図」を託してすれちがい通信を行うことで、他プレイヤーとの交流や地図の受け取り・配布ができる。
    • この他、冒険の拠点となる「リッカの宿屋」がこれまですれちがい通信を行った人の数によって拡大していくという仕掛けがあり、錬金レシピやレアアイテムを入手できる。
    • 有用な宝の地図や高レベルの魔王の地図といったランダムでしか手に入れられない貴重品が、このすれちがい通信によって広範囲に広まっていった。

評価点

  • 長年の課題だった「呪文と特技のバランス」が、本作ではいくぶん改善された。
    • 先述した弱点属性の追加や、能力値による呪文の威力の上昇量が『VIII』と比べて大幅に増えている事、呪文の威力を強化する特技が登場した事など、呪文が大幅に強化されており、攻撃呪文がある程度価値を取り戻した。
    • ただし、呪文を習得するのが過去作に比べてかなり遅くなっている。特に攻撃呪文を主体とする魔法使いと賢者がその影響を受けており、本編中で上位呪文を使うのは難しく(賢者に関して言えば、就けるかどうかも怪しいが)、それ故に終盤になると火力不足が問題となってくる(終盤にもなれば戦士や武闘家なら特技次第で200近いダメージを出せるが、メラミやドルクマだと100ダメージ出せるかどうかも怪しい)。消費MPが大幅に増えた事、呪文威力強化の特技は自分にしか使えず確実に1ターンは必要になるなど、完全にフォローされているとは言えない。当然の如く、呪文の方が消費MPが多い。
      • また、攻撃呪文・回復呪文共に、攻撃魔力・回復魔力を結構上げないと、威力や効果が上昇しないという特徴もある。
      • 特に風属性の呪文・バギ系は使える職業が攻撃魔力の低い旅芸人とスーパースターで、ダメージの幅の広さも相変わらずなためにかなり不遇となっている。また、土属性と光属性には攻撃呪文すら存在しない。
      • 特技はどの職業になっても使えるのに、呪文は使える職業に制限があるのも大きな逆風である。職業ごとの個性だとしても使いにくい。
      • 呪文以上に強すぎる特技も相変わらず存在している。特に、後述するスーパースターの全体攻撃特技『バックダンサー呼び』はコストパフォーマンスの面では魔法使いの呪文を大きく上回っている。前作で指摘された多重攻撃の特技の強さも相変わらず。
    • 育成を突き詰めると最終的にはやはり特技優遇なのは変わらない。
      • 特に今作はやりこみ型RPGであるため、クリア後の世界をじっくり冒険したいならば、どのプレイヤーもある程度は育成を突き詰める必要があり、結局は特技優勢になってしまう。
    • 呪文には防御を無視できるメリットもあるが…元々特技よりも与えられるダメージが少ない為、結果的に物理でも呪文でも与えられるダメージ量に大きな差はないという結果になってしまう(流石に上位の呪文であれば、差がつくが)。そもそも防御力の高い敵自体があまり多くない。
  • 職業間の強さの格差がだいぶ改善された
    • 過去作では強い職業と弱い職業の差が大きかったが、 今作ではどの職業にも明確な強みと弱みが設定されている為、 極端に強い職業も、極端に弱い職業もない。
      • 流石に下級職と上級職との間に差はあるが、魔法使いや僧侶は宝の地図でも活躍ができるほどの性能を誇る
  • また、各職業にはそれでしか習得できない独自のスキルがあるが、それも優秀なものが多い(下級職のスキルであっても、有用なものが多い)
  • 攻略の自由度は高い方。
    • 『III』と同じく仲間は自由で、1人旅から縛りプレイまで快適にできる。キャラメイクの存在によってキャラへの愛着もさらに深められる。
    • 船を手に入れてからは、いくつかのストーリーを好きな順にクリアできる。冒険の道筋が不自然に固定されておらず、自由かつ快適な冒険を送れる。マルチプレイも交えればさらに自由な冒険に
    • 宝の地図で生成されるダンジョンは入る事さえできればゲーム本編の進行度と関係なく挑戦できる。もちろん攻略できるかは別*1
  • すぎやまこういち氏が担当したBGMは相変わらず好評。特に東京都交響楽団による「序曲IX」は大好評。*2
    • また、一部のシーンやダンジョンで過去作品のBGMが流れるようになっている。ファンには嬉しいサービス。
  • 一部のイベントシーンに導入されたアニメーションムービーは、DSとは思えないほどクオリティが高いと評価されている。
  • 錬金釜でのアイテム合成が手軽にできるようになった。
    • 『VIII』の錬金釜システムで存在した「錬金完了までの必要歩数*3」が撤廃されたため、錬金アイテムによる資金稼ぎなどが容易になった。
  • Wi-Fiを繋ぐと歴代DQキャラクターの脇役達がリッカの宿屋に遊びに来るというファンサービスがある。
    • フローラの性格が原作と異なる(不評だったいたスト準拠)という問題点もあるものの、基本的に好評である。
  • 無駄な戦闘を回避しやすいシンボルエンカウント制は、マルチプレイとの相性が良い。

賛否両論点

ゲームバランス面

  • 少し驚くほど平易化した難易度
    • 従来に比べてザコ敵の出現数が少なく、強力な全体攻撃もかなり緩めに抑えられている。加えてパラメータアップ系スキルや、「テンションシステム」「たまに発動する必殺技」などプレイヤー側に強力な要素も多く、レベルアップに必要な経験値も少ない。一回も全滅しないでクリアしたプレイヤーも数多くいたと思われ、シリーズ中でも難易度が低い部類に入る。
      • それに加えて、クエストで得られる報酬や錬金での稼ぎなどで金策に困ることが少ないのが難易度が低いと言われる要因。転職を利用して手っ取り早く強化する手段もある*4
    • レベル上げの観点でもかなり平易化がみられ、道なりのエンカウントを避けずにこなしていればラストまでにレベルは40前後に達し、労せずクリア可能となる。なのに手頃なクエストを少しこなしていればレベルの上げ過ぎになり易い。この点は道中のエンカウントのみを前提にバランスがとられているFFシリーズに近い。
      • ただし、今回はシンボルエンカウント方式であり、従って低レベルのままで要所要所のボスに挑むことも可能である。
    • ボスもあまり強くなく、プレイの壁になるような強さを持った相手はほとんどいない。
      • 本作のラスボスは5つのパターンテーブルがあり、それが戦闘中ランダムで入れ替わるのだが、そもそも厄介な行動の割合が少なく、ターンを無駄にするような行動も目立つ。攻撃力も低めに設定されていることは否めない。
    • 「初心者に難しすぎず甘すぎず」をモットーに、取っつき易いバランスをウリにしてきたDQであることを考慮しても異例とも言える簡単さであり、これがmk2を始めとするレビューサイトでも槍玉の一つになった。
      • 逆説的に言えば、本編において難易度が低く抑えられ携帯のお手軽性を前面に出したことが、より幅広い層に対するシリーズ浸透に貢献し「マニアほど批判するが結果的に売れている」という図式になっている。
    • 発売前に堀井氏のインタビューで「敵の強さに関しては、DQシリーズで今作の9が一番強く感じる設定にしてある」「理由はネット環境の充実により攻略法をすぐに調べられるので、攻略法を知ってても手応えのある強さにしてある」的な発言をしており、『DQII』並の難易度の再来を期待していただけに余計肩透かしを感じたプレイヤーも多かったものと思われる。蓋を開けて見ればボスやラスボスも含めて歴代でも最弱クラスであり、正反対の結果であった。
      • 逆に、後述されているようにクリア後に挑むと思われる練金や魔王のレベルアップなどの難易度は天井知らずとも言えるほど高く、オンラインゲームに取り掛かるような手間暇が必要。おそらく堀井氏の発言はこちらのほうを指していると思われる。
    • また、難易度の低下は着せ替えシステムや攻略順の自由度とも相性が良く、よりプレイの自由度が高くなっているとも言える。
  • 魔王の地図での魔王戦の難度
    • LV99の魔王の強さたるや、もはや理不尽の域に達している。1ターン完全3回行動や強烈な全体攻撃など序の口、攻撃・守備力を筆頭にシリーズ初の4ケタに達する魔王も少なくなく、唯でさえ規格外な攻撃力をバイキルトで倍加させたり、唯でさえ超強力な特技をテンションを高めて放ってくる魔王までいる。痛恨の一撃で999(即死)のダメージも頻繁にたたき出してくる為、たとえスキルを全て習得し、出来うる限りの最強装備で固めたレベルカンストのパーティですら瞬く間に全滅する事も日常茶飯事。倒すにはプレイヤーの腕以上に運も絡んでくる。
      • パーティのレベルがカンストしてからも互角以上に戦える敵がいることを喜ぶ声もある反面、そこまでの育成作業が面倒だという声も。
      • 製作スタッフ曰く魔王は自分たちが勝てなくても構わないぐらいの強さに調整したらしく、長くプレイしてもらうための工夫として捉えることもできる。
  • 呪文を活用させる為か、一部のアイテムが過去作品と比べて大幅に弱体化したり特殊効果が削除されたりしている。
    • 特に、戦闘中に道具として使うと特殊な効果のある装備品の弱体化が著しい。
      • 装備品は「現在装備している物」しか道具として使えず、防具は戦闘中の装備変更が出来ない仕様に変更された。
      • ダメージを与える効果のある装備品は、終盤~クリア後に手に入るようなものでも全体に30前後のダメージしか与えられない。しかも、それらの武器の説明文には「戦闘中使うと強い炎を放つ」などと書かれている為違和感もある。
    • 攻撃がミスか会心のどちらかのみになる武器だった『魔神の金槌』は、攻撃力が上がった代わりに「命中すると必ず会心になる」という効果が削除され、ただミスが多いだけの武器になってしまった。
    • 前作でHPを100以上回復出来たアイテム(『月のめぐみ』『万能ぐすり』など)の回復量が一律90にまで弱体化してしまった。回復量が3桁のアイテムもあるが、全てWi-Fi限定品。
    • 『命の石』の「1回だけ即死を防ぐ」という効果が削除され、錬金専用のアイテムになってしまった。即死耐性を上げられる防具が存在するため、そちらの価値を上げるためと思われる。代用品となるスキルも存在するが、使い勝手は悪い。
    • シリーズ恒例の全体回復アイテム『賢者の石』は効果量が使用者の回復魔力に比例するようになった。回復魔力の高いキャラが使った場合の回復量も過去作よりやや低く、回復魔力の低いキャラに使わせると30~40しか回復しなくなってしまう。もっとも、錬金で何個でも入手できるようになっているためバランス的にな問題と思われる。
    • 持てるアイテムの数自体も過去作に比べて少なくなっている。
    • 一応、過去作と比べて利用価値が上がったアイテムも存在する(蘇生系呪文の弱体化に伴って相対的に利用価値が高まった『世界樹の葉』など)。

その他の点

  • クエストに面倒なものやおつかい系が多い。
    • 基本的に指定のアイテムを採集や練金をして調達したり、モンスター討伐を特殊な方法を加えて行うと言った作業。やらなくていいものも多いが、上級職に転職したりするのもクエストを行う必要がある。
      • 言ってしまえばただの作業。面倒に思えてくるのもあるので不満に思うユーザーもいれば、反対にクエストにはまったというユーザーも多く、人により評価が大きく分かれるところである。
    • モンスター討伐系のクエストは普段は使わない呪文や特技を駆使するものもあり、パズル的な要素もある。
      • しかしこれにより、振りたくもないスキルにスキルポイントを費やさざるを得ない事もある。クリア後はともかく、クリア前の上級職用クエストでは気になる。
      • また、「スーパーハイテンションになった状態でスライムをドラゴン系に効く『ドラゴン斬り』で倒せ」「『魔結界』を使ってから、すぐに逃げてしまうメタルスライムを倒せ」など、条件が面倒でクエストとしても必然性がないものもある。
      • 特に上級職になるためのクエストはこの2つのようにやけに難しいものが多く、攻略法が分かっても時間がかかる・解きにくいものもあったりする。クリアを目指すと嫌でもプレイが止まってしまう事態に。
      • ほか、「特定のモンスターを通常攻撃による会心の一撃で倒せ」「特定のモンスターからアイテムを盗め」などの、成否が完全に運任せのものもあり、運が悪いと延々と特定のモンスターを倒し続けるという作業ゲーになることもある。
      • 追加クエストの中には「Wi-Fiショッピング」限定アイテムやすれちがい通信の報酬限定アイテムを要求するものも。当然今ではクリアできない。
  • 主人公である天使の職業が序盤から中盤まで旅芸人確定であり、転職できるまでに期間がある。
    • 一応、旅芸人自体の性能は悪くないし、すぐに仲間を作成・加入できるようになるため戦力面で不足を感じることは少ない。
  • 本作は自由なキャラ作成ができる『III』同様、仲間キャラクターも喋らない。
    • それ自体は、キャラクターを固定せずプレイヤーそれぞれの自由な想像に任せてきた過去作品と変わらない仕様と言える。しかし、「主人公は天使界の天使」という設定上、天使界絡みのイベントには普通の人間である仲間キャラクターは参加できず、シナリオ上もグラフィック上も存在が完全に消えてしまう。イベントが終わるとどこからともなく戻ってくるなど、演出面での仲間の描き方はかなりおざなり。
    • このように公式で「空気」さながらの扱いを受けている仲間たちだが、主人公1人で来ることを求められるイベントがあるなど、きちんと存在していることは明確にされている。こういった箇所に違和感を覚える人も多い。
      • 1人で来ることを求められるイベントの前後に、いちいちルイーダの酒場まで戻って入れ替えしてくる手間が要求されるいうのもネック。天使界がらみのイベントや移動の際は都合よく勝手にどこかへ消え、終わったとたんどこからともなく戻ってきているというのに。
  • キャラクリエイトのパーツの偏り
    • 種類の割には顔や髪型にネタっぽいものが多い(ひいてはキャラ作成の幅が狭く感じられてしまう)点が批判的に見られがちであった。

問題点

仕様面

  • 冒険の書(いわゆるセーブデータ)が1つしか作成できない。
    • やり直す際はデータを消すか新しくソフトを買うかとなる。故に家族間でのソフトの使い回しや友人間での借り貸しができない。
      • ファミ通のユーザーアンケートの不満点第1位は「セーブデータの数」。女優の淡路恵子氏がラジオ番組『爆笑問題の日曜サンデー』にゲスト出演した際に、本作がセーブ1本な事を不満点として述べ、結局もう1本買ったというエピソードが存在している。
    • しかし、本作の通信を前面に押し出した内容は、複数人で回して遊んだり、複数のセーブデータを使い分けたりする遊び方と非常に相性が悪いため、複数あればそれはそれで面倒な面も増えると思われる。
      • 「ポケットモンスター」シリーズや、それのフォロワーである「ドラゴンクエストモンスターズ」なども同様にセーブデータ1つであり、本作は従来のナンバリング作品よりこの2シリーズに作りが近い。
    • ただ、ゲーム性以外の観点から言えば、バックアップ目的でデータをコピーできないということでもあり、メディアの種類に関わらずデータの消失や破損の危険は常に付きまとう以上、やはり困りどころではある。
      その対策として、ゲーム起動時に破損データが存在した場合、データ復旧を試みてくれるようになっているが、必ず成功するとは限らない。
  • 攻撃呪文から炎のギラ系と電撃のデイン系がなくなった。
    • ギラ系は「属性システムが採用された為、炎系の立ち位置がメラ系と被る」「そもそも単体火力重視のメラ系と全体攻撃のイオ系の間に挟まれて中途半端な感が否めず、あまり使われていなかった」。デイン系に関しては「勇者専用呪文である一方、本作の主人公はあくまで天使であって勇者ではない(=勇者という職業がないため)」という理由だと思われる。
      • しかしギラ系削除、イオ系が従来の炎属性から電撃属性に変更された煽りを受け、炎属性の集団攻撃が前述のアイテム効果以外にほぼなくなってしまったので、批判が根強い。
      • シリーズ皆勤であったギラ系、『III』以降の勇者の象徴であり最強呪文として扱われてきたデイン系の呪文の削除を残念に思う旧来のシリーズファンは多い。
  • カジノの廃止。
    • カジノはシリーズ伝統の好評な寄り道(やり込み)要素であるため、旧来のシリーズファンを中心に落胆を示す人が特に多かった。他のやりこみ要素が豊富なため不必要という意見もあるが…。
      • また、本作はこういった要素に厳しい海外でも販売されたためにこうなったとも言える。
    • ちなみに、内部データの中には本来消されるはずのカジノ関係の台詞やBGM指定などが残っている。
  • スキル間のバランス調整が十分でなく、前作に引き続いて使えるものと使えないものの格差が激しい。
    • 特に短剣スキルの冷遇が著しい。前作でも地雷と呼ばれていたものだが、そこからさらに弱体化している。
      • 「状態異常中の敵に大ダメージ」といった効果の特技を持つのだが、今作ではほとんどのボスキャラに状態異常に対する耐性があり、全く活用できない。単体攻撃技しかないのも前作と変わっておらず、転職がしやすいために前作にあった「長剣も一部装備できるようになる」という数少ない利点まで削除されてしまっている。
    • 他にもサポート重視で攻撃力が低めな扇スキル、MP消費の荒さと装備可能職業が噛み合ってないハンマースキルは本編プレイ中では地雷気味。クリア後の冒険では使える面がある装備なのだが。
    • 逆に、強いのは本編では装備も多く性能が安定しており、クリア後には武器とスキルの組み合わせで最高クラスの火力を出せる剣スキル。使いやすい特技が揃ったオノスキルとヤリスキルも優遇気味。
    • 剣は意図的に強く調整された気配があり、これさえ除けば総合的にはやや均等に近くなる。それでも短剣が露骨に弱い、ヤリとオノとが安定して使い勝手が良いといった差は残るが。
  • 各職業の証の性能差も激しい。
    • 証は「特殊効果がない代わりにステータスが大幅に上がるもの」と「ステータス上昇は少ないが特殊効果が付くもの」の2タイプあるのだが、前者の中では素早さが120上がる武闘家の証、器用さが100上がるレンジャーの証、最大MPが60上がる賢者の証など有用性の高いものが多い一方、守備力が20上がるだけのパラディンの証のように、Wi-Fiショッピングでの購入を除くとデータ毎に1つしか手に入らない点や「育ち切った職業のレベルを1に戻す」というリスクの割に合わないようなガッカリ性能の証も存在する。
    • 後者の特殊効果に関してはスーパースターの証が群を抜いて弱い。「おしゃれさ*5が上がる」という効果があるのだが、戦闘での実用性が皆無な上に効果を実感しにくい。同じネタ系の特殊効果を持つ証でも、異性専用の装備品(一部除く)が装備出来るようになる旅芸人の証の方が数倍楽しめる。
  • レベルの高いキャラクター程経験値をたくさん貰える(正確には経験値の配分が多くなる)という仕様。
    • 等配分ではないシステムとしては珍しい部類に入る。このため、従来作と比べて成長の早いキャラクターと遅いキャラクターの差が付きやすい。また新しい職業に転職したばかりのキャラクターはレベルを上げるのに多少手間がかかる。
  • パーティの並べ替えが「ルイーダの酒場に一旦預けてもう一度呼び出す」という方法でしか出来ない。
    • 主人公は先頭で固定されており、列の後ろに持っていくことは出来ない。
    • 今作ではキャラごとに前列・後列を指定するシステムであり、使用者を敵に狙われにくく(狙われやすく)する特技もあるので致命的な問題ではないのだが、前にいるキャラ程受けるダメージが増える特技を使ってくる敵もいる。
  • メニューや戦歴を開いている最中も敵シンボルが移動する。
    • この為、回復している時に敵に近付かれたり、戦歴を閉じた瞬間いきなり戦闘になったりすることがある。
    • 但し、メニューを開いている間は敵に見つからない仕様になっている為、コツを掴めばやり過ごすことは一応可能。
  • PS2版『V』同様、トラマナ*6は1度戦闘に入ると効果が消えてしまう。この為戦闘が終わる度に掛け直す必要があり、その間も上記のように敵に近づかれる危険がある。
  • 錬金システムの問題点
    • 最強装備の錬金にはいずれも運要素が絡む。最強錬金時にはセーブが行われるためリセットで何度も試す事もできない。
    • しかも、作成には入手の難しいレアアイテムのドロップと50000Gもする素材アイテムが必須になる。このためにアイテムコンプリートを諦めた人も多い。
    • 最強装備の錬金は「錬金大成功」と呼ばれ、最強装備が手に入らずとも「とはいえ それが ふつうなのです」と言われるように、制作側としては「あくまで最強装備は大成功、運良く手に入れられれば良い」程度のつもりだったと思われる。だが、やりこみ要素がメインとも言える本作では、どうしても気になるところ。
    • さらに、アイテムコンプを目指す場合、大成功だけではなく通常成功もしておかないといけない。
      • 研究が進んだ現在、レアアイテムのドロップや最強装備錬金を確実に成功させる裏技(通称ホイミテーブル)が発見されている。
  • 呪文や特技の同時表示数が4つと少ない。
    • 特に特技は最大で30ページ以上にもなるため何度もボタンを押す必要がある。
    • 装備していない武器の特技も表示されるため、そこを非表示にすれば良かったのではとの意見も。
  • 『VIII』と同様に戦闘も3Dだが、テンポの悪さは相変わらず。キャラの攻撃前にカメラワークの移動とキャラの移動が頻繁に行われるのも変わらず。
  • 過去作キャラのコスプレ装備の中に、一式揃わないもの(『III』の女戦士と女賢者、『IV』の男勇者と女勇者)がある。
    • III戦士は鎧が男性版のみ、III賢者は腕装備とブーツが男性版のみ、IV勇者は頭装備が男性版であり、また元デザインと比べてバンドが2本足りない。
    • ゲームへ及ぼす影響としては小さな問題だが、本作におけるコスプレ装備の充実度からすると残念な点と言える。
  • クリア称号システム。
    • メインシナリオのラスボスを打倒した瞬間に決定し、クリア後のシナリオ内で授与されるクリア称号。得られるクリア称号は1回クリア時に1つで、かなり多彩な称号が存在する。
    • 短時間クリアを称える称号もあれば、実質的に遅延プレイ級ののんびりした設定の称号もあるのだが、「クリア後」の比重が決して小さくない本作においては周回プレイの意義も乏しく、セーブデータが1つきりという仕様面も相まって、軽重を計りかねる要素になってしまっている。まして、短時間称号狙いでは、労力と時間を費やすフリークエストをクリア後に回すだけという側面も否めず、その存在意義自体に疑問符が付けられやすい。
  • DQモンスターバトルロードII(DQMBII)』の連動
    • Wi-Fiクエストで、その当時連動でしか入手できない地図の課題を2回出題。『DQMBII』はアーケードゲームなので設置店舗が限られており、これがない地域ではすれちがいでその地図を手に入れられない限り参加不可能。
    • 現在は稼働終了しているため連動による地図の入手は不可能だが、配信クエストでそれらの地図を手に入れる事が可能となっている。

ゲーム本編の面

  • 主人公の相方的立場の妖精・サンディ。
    • おそらく本作で最も批判の集中した点であろう点。
      容姿・性格・言動共に典型的なガングロコギャルという中世ファンタジー的なDQの世界観から浮いたキャラクターは物議をかもした。
      クリア後の彼女に纏わる一連の追加クエストの中でも「ネイルアーティスト」「日焼けサロン」という中世ファンタジーの世界観にそぐわない単語が普通に登場する。
      世界観から浮いた現代的要素といえば、既に『III』の時点で「カジノ」や「バニーガール」といった要素が登場しており、後続のシリーズにいてアイテムなどにも現代的な要素が取り入れられるのはもはやドラクエ恒例のことではあるので、その点を踏まえれば、サンディのキャラクター造詣もそうした要素の延長線上とも考えられる。
      しかしながら「ガングロギャル」という現代日本の世俗的要素をストレートに取り入れたキャラクター性ゆえに、発売前の段階から批判の声が大きかった。
      さらにいうなら、本作の約1年前に発売されたDS版DQ5の追加キャラであるデボラも 「キャバクラ嬢」 と揶揄されるように現代日本の世俗的要素をストレートに取り入れたキャラだった*7ところに、立て続けにコギャル的なキャラを登場させた為に「またこの手のキャラかよ…」とDQファンを辟易させたのも向かい風だっただろう。
    • 外見のみならず言動や性格面でも癖が強く、場の空気を読まないような発言が問題視され、特に序盤のイベントでの人の死を蔑視したような発言が物議を醸した。
      一応、直後の戦歴のコメントから、彼女は「人の生死」という概念を知らなかったことが分かるのだが、見られる時期が短いために見落としてしまうプレイヤーも多く、彼女に対する悪印象を助長してしまった。
      • 一方で、終盤ある人物が亡くなった時には(言葉はともかくとして)主人公を励まそうとし、上記の一連の追加クエストの最中にも病気で死にかけている少女を心配して大泣きする場面があるなど、性格や言動面では確かに問題はあるものの、内面まで最悪と言うわけではない。
      • 上記の様な旅の中での心情の変化を思わせる描写もなくはないのだが、第一印象を払拭するには至らなかったようである。
    • ただ、評価自体は批判一辺倒というわけではなく、「キャラクリエイトのため一切仲間キャラが喋らず、暗い展開のシナリオが続く中で彼女の明るさが救いを与えてくれる」と評価するプレイヤーの声もある。
      なんだかんだで愛着がわいたなどの意見も多く、現在では一時期ほどのバッシングは受けていない。
      堀井雄二自身のコメントによれば「新しいユーザーのために今風の言葉でしゃべる明るいキャラクターを作りたかった」というのが理由だったということで、上述の肯定的な意見の存在も考慮すればその意図はそれなりに受け入れられているとも言える。とはいえ、主人公の相方役にしてはあまりにも人を選びすぎるキャラクターであるのも確か。
    • ちなみに、コギャル系キャラは彼女が初というわけではなく、前例は既にあったりする。
      • 『VII』に登場したサブキャラクター「風の精霊」がそれで、見た目こそサンディのようなストレートなギャル風ではないものの、言動や性格がまんまコギャルである。
        また、もっと遡ればFC版『III』に登場した「ギャルになりたいじいさん」というネタNPCキャラがリメイク版で「コギャルになりたいじいさん」に進化して『チョベリガンブロンだし~』などとギャル語をのたまったりしている。
        ただしそれらはあくまでもサブキャラクターやNPCどまりであり、一方のサンディはれっきとしたメインキャラである為、プレイヤーキャラとしてはどうしても鼻についてしまうのは致し方ないだろう。
  • ストーリーに関して
    • 今作はストーリー部分よりも、システム面やクリア後のやりこみ要素のほうに重点が置かれており、ストーリー部分は大味気味で短めである。
      • ストーリーを重視する傾向にある天空シリーズからのDQファンからは、「ストーリーが薄い」といった不満が上がることも。
    • 今作のストーリーは『VII』の様に散らばっているものの、ストーリー間のつながりは皆無。また、個々のストーリーも話の出来はいいが非常に短く、ビタリ山のストーリーに至っては一番奥にいるボスを倒すだけでおしまい。
    • また、歴代の作品とは大きく違う点として悪の討伐が旅の目的ではないというのも挙げられる。
      • 歴代の作品では魔王などの大ボスを倒すことが旅の目的に位置付けられていたが、今作では主人公の立ち位置やストーリー背景からもわかるように悪の討伐以外の事柄が旅の主目的になっている。
      • また悪の存在が明かされるのが終盤でラスボスの素性が明らかになるのもかなり遅い。歴代の作品と比べてかなり異色と言える。この点は「本作の主人公が勇者では(そもそも人間では)ない」という特殊な立ち位置も関わっている。
  • ダンジョンに仕掛けがなく、道も単純。
    • ドラクエと言えば簡単から難しいのまでダンジョンの幅が広いが、本作のダンジョンは上記の通りであり、非常に簡単である。
      • 本作では上画面に常時マップが表示されている。宝の地図のダンジョンの事を考えれば一概に悪いとは言えないが、道の単純さをより感じてしまう。
      • 「ふういんのほこら」というダンジョンでは大掛かりな仕掛けを作ろうとした痕跡が見られるものの、入り口と同じフロアにあるスイッチを2つ押すだけという単純どころでない仕掛けになっており、ないよりマシとも言い難い。
    • 発売数ヶ月前に「はてな匿名ダイアリー」において関係者の知人から「ダンジョンの仕掛けが全て作動しないようになっている」ということがリークされるというスキャンダルがあった。
  • プレイヤーキャラと重要キャラは3Dで表示されるが、一般町人などのキャラは2Dドット絵で描かれている。
    • これで影響を受けたのはグビアナ城のイベント。3Dキャラが大きく映る場面で2Dドット絵キャラも拡大表示されるため、違和感に映りやすい。

すれちがい通信の問題点

すれちがい通信にはゲームの作りとかみ合った様々なメリットがあり、この点は非常に好評。
一方、「すれちがい通信を前提にした作り」そのものを問題視する声も多い。

+ 仕様の詳細
  • ユーザーモラルの欠如による問題。
    • チートプレイヤーと通信プレイにより未配信クエストが解禁される、チートプレイヤーとの宝の地図交換により改造地図が感染するといった被害が出ている。改造地図の使用は追加クエストの全開放やセーブデータの破壊といった被害にもつながりうる。
      • チートプレイヤーのユーザーモラルの欠如が上記の問題の主要原因ではあるが…。
      • 公式側は警告を行っているが、警告の存在に気付かないユーザーや、低年齢層を中心に警告の内容自体が理解できないユーザーも多い。
      • 2010年5月9日に東京都の「すぎやまこういちがやってきた!」コンサートのようなシリーズファンの集まるイベントや、2010年の夏休みに期間限定のオフィシャル・バー「LUIDA'S BAR」でも改造地図を配布している報告もあり、実質歯止めがきかない状態である。
    • すれちがい通信時のコメント欄でストーリーのネタバレ、放送禁止用語、「改造地図ですどうぞ」と書いてくることが稀にある。
  • 人口の問題。発売してから数年経過した現在、「今となってはすれちがい通信の相手を見つけるのが難しい」という問題も出てきた。
    • 時間が経つにつれ、他のすれちがい通信対応ソフトの登場で移行したユーザーが増え始めたか、すれちがい通信自体のブームが過ぎ去ったのか、すれちがい通信の機会が多い都心ですらその人数は全盛期とは程遠く、地方ではさらに絶望的な状況。すれちがい通信をすることが困難な状況にあり、廉価版や中古で今から始めるというプレイヤーがすれちがい通信による恩恵を得るのは難しい状況にある。前述のとおり本作はすれちがい通信の使用を前提として構成されているため、こうした状況下では製作側の本来の意図通りにプレイすることは難しく、「ずっと遊べる」をコンセプトの1つとして掲げていた作品が時間の経過によりまともに遊ぶことが困難になる、という皮肉な結果になってしまった。
      • ゲームラボが検証企画を行ったが、ゲーマーの多い秋葉原ですら2、3人程度としかすれ違えなかったという結果も出ている。
    • オンラインを除いた次回作「XI」の3DS版ではすれちがい通信こそ存在するものの、その役割はおまけ程度のものとなっており限定要素もない。
    • 2011年10月8日から12月4日まで六本木ヒルズ森タワー52階で開催していた「ドラゴンクエスト展」会場は流石にすれちがいを行う人が多く、狙い目であった。

なお、本作のすれちがい通信が社会現象となったためか、DSの後継機である3DSではすれちがい機能がより強化され、ドラクエ以外の多くのゲームにもすれちがい通信を用いた要素が登場するようになった。
それらのゲームにおいても本作と同様の問題が発生しており、本作固有の問題ではない。

Wi-Fiショッピングシステムの問題点

2014年にDSのWi-Fi接続サービスが終了しているため、以下の事柄はすべて過去の事例についての記載である。

+ 仕様の詳細

システム開始当時の問題点

  • 販売アイテム面
    • 限定アイテムが多い上に、運が悪いと素材しか入荷できなかった。
      • 後期には限定アイテムのみの販売もしているが、金稼ぎの地図がない場合はかなりきつい。
      • アイテムコンプリートまで時間がかかる。自宅や近場にWi-Fi環境のない人や、廉価版で遅く始めた人には過酷。
    • 限定アイテムは万単位のGを要求する(最大10万G)高額なものが多く、金稼ぎ用の宝の地図を持っていない人は辛い。
      • 値段設定がおかしい品も多い。通常の装備品がゲーム内の店の最高で3倍の値で売られたことも(スパンコールドレス:元値2500G→7750G、おしゃれなタキシード:元値2300G→7250G)。
  • 限定アイテムの配布の波が大きかった。
    • 2011年に配信された各職業の証は2回、主人公専用初期装備は1回、後述のリッカの宿屋拡大システムで貰えるレアアイテムの中には関連した配信が終了した2010年7月半ば以降最大3ヶ月後に配信された。特に前述の証アイテムの中には、レアアイテム入手に役に立つものがあるので複数は欲しかった。
    • その反面、DQシリーズ記念やリアル月イベントフェアでは特別な頭装備やハロウィン装備、DS版発売日とオリジナル版発売日記念を合わせ持つ『V』と『VI』、七夕にかけての『VII』に関連したアイテムが圧倒的に多い。
  • 買える個数についての不具合が存在した。
    • 毎年12月31日に、買える数が制限されていながらも無制限に配信購入できるミスが初版、アルティメットヒッツ共通して発生した。
    • アイテムを買う個数を選ぶ時に特定の操作をすると指定した個数の2~4倍の個数を買えてしまうバグも存在する。
      • もっとも、どちらもプレイヤーが有利なのでお得に越したことはないのだが……

ネット接続経由のサービス上の問題点

  • ゲームそのものの問題ではないが、東日本大震災で被害を受けた東北、震災に伴う電力不足のため計画停電が実施された関東において、DSステーションが管理する店側の都合で不通又は切断された。
    • 計画停電地域などでは「マックでDS」自体が撤去された他、やむを得ず店側から3回*8も切断されたところもあるなど、接続したくてもできない状況が発生していた。
  • 2011年7月22日更新分をもってWi-Fiショッピングの更新が終了した。
    • ただしサービスそのものはその後も継続され今までに販売されたアイテムをランダムで販売するようになっており、時間と運が絡むものの、根気よくWi-Fi接続を続けていればいつかは目当てのアイテムを購入できるようになっていた。
      • しかし、2014年5月20日をもって、DSのWi-Fiサービスが終了したため、Wi-Fiショッピング限定アイテムがないとクリアできないクエストの存在により、コンプリートが困難になってしまった。

総評

DQファンが大事にしてきた、見た目には分からない「ドラクエらしさ*9」がかなり失われたこと、延期に次ぐ延期、当初売りとしてきたインターネットを使ったマルチプレイが行えないことなど、ことごとく前評判を裏切ったことにより旧来のプレイヤーから低評価を受けることが多い。

しかし、そもそも本作は過去のシリーズとは作りが大きく違う。
序盤からクリアまでにかけての難易度が旧作と比べて大きく低下しているのに対し、クリア後からはそれまでのプレイの積み重ねが物を言う強大な難易度に変化する。
また「すれちがい通信」は、メッセージや地図ダンジョンの交換…同じゲームを遊ぶ者同士の交流を通じて、ゲームの幅を広げてくれる。今作はクリア後を念頭に置いたバランス設計がなされており、特に「交流」をメインにしたゲーム設計がなされている。
これらは、通り一遍のプレイでエンディングを迎えるだけでは感じ取ることのできない、しかし本作の持つ確かな魅力である。後にDQ10でオンラインとなった事で「交流」の要素を前面に押し出した。

国民的有名タイトルに、当時勢力を劇的に伸ばしつつあった「ソーシャルゲーム」の要素を搭載した本作は、各種メディアですれちがい通信の流行が取り上げられるなど社会現象と化し、秋葉原などに設置された通信スポットも連日大盛況した。また女性や子どもなどの新規層の開拓にも成功している。
伸びに伸びた売上は09年10月末に実売本数400万本を突破し、ロングセラーソフトとなった(11年1月現在の実売本数は約430万本超、全世界では500万本達成)。これは任天堂以外のメーカーとしては初の快挙である。販売本数としては劇的に成功した作品であると言えよう。

ゲーム性への理解が深まるまでの間、本作の評価は不安定な様相を見せていた。それは、保守的なイメージのあるシリーズとしては、見た目以外の部分にかなりドラスティックな変化が施されていたが故だろう。

そもそも、本作ではアクションRPG的要素を取り入れると発表されながら、長らくシリーズに親しみ続けてきたユーザーの猛反発で元のコマンド式に戻されたという経緯がある。*10その時点で、正統派続編を求める古参ファンと、新しいゲームを目指すスタッフや新規ファンとの間で目指す場所が大きく分かれていたと言える。*11

そういった事情から、評価は人によって大きく分かれるゲームであるといえよう。本記事では「スルメゲー判定」としているが、本作はクリア後の冒険に重きを置いている設計になっているので、それを受け入れられるかどうかによって「良作」と取る人間も「過去シリーズから劣化した」と取る人間も多い。そのことからも分かるように、本作の本質的な評価を断じる事は今も尚、難しいのが実情である。


余談

  • 当初はオンラインマルチプレイに対応したアクションRPGとして、2007年内に発売するはずであった。しかしアクションからコマンド型への仕様変更、オンラインマルチプレイからワイヤレス通信への仕様変更などにより、発売は2009年夏にまで延びた。
  • ラスボスの公式ネタバレが発売後半年と、シリーズ中では異例の早さ*12で物議を醸した。 ちなみにこれは、2010年7月9日に発売の『ドラゴンクエストIX星空の守り人公式ガイドブック 秘伝・最終編』ですら公開していない情報である。
  • 廉価版発売による新規ユーザーの増加が歓迎される一方で、8ヶ月で廉価版が発売されることへの難色を示す声もあがった。
    • 特典はここでしか手に入らないアーケードゲーム『DQMBIIレジェンド』用のカード。『III』の主人公の強力な性能を誇るものである。
    • 廉価版のみ特典がつくことへの難色の声も聞かれた。ただし、DQMBIIレジェンドカードを特典同梱すること自体は『DQモンスターズ ジョーカー2(DQMJ2)』、DS版『DQVI』、Wii版『DQモンスターバトルロードビクトリー(DQMBV)』でも行われている。
    • しかしそのカードを使えば大魔王まで易々と行けるため、『DQMBII』で超連動しやすいようにという配慮かもしれない。
  • 国内での売上本数は2011年2月末時点で432万本(廉価版含む)、海外版を含めれば約540万本。これは現在のところDQシリーズ史上最多である。
    • リメイク版を含めれば3(FC版約380万本、SFC版約140万本、GBC版約75万本)が最多。
  • Yahoo!ゲーム、『DQMBV』コンテンツ内での「一番思い入れのある(ナンバリング限定)主人公は?」の2010年8月から9月に行なわれたアンケートでは、全9作中、『IX』の主人公が3位にランクインしている。
  • ナンバリングで唯一、一機種でしか発売されていないタイトルである。*13作品の性質上リメイク・移植は困難とみられており、イベント等でスタッフから言及されることはあるものの具体的な動きには至っていない。
  • 実は、開発スタートが次回作のXより後に始まっている。その後、ある程度出来てからの仕様変更が重なり、シリーズ1の難産とされている。*14
  • Ⅸ発売を前後して、アーケードで稼働していた『DQMB』に手をくわえられている。
    • 『DQMB』のソフトウェア内にて地図等を配布、またそれに使用するWi-Fi装置だがアンテナが本体内部の為に半径2m程度。
    • タイトー直営店がちょっとしたすれ違いスポットとなったが、これを店舗で盛り上げた所は特に指示も無かったので店長の裁量によりけりであった。*15
  • 各種記録
    • 「ファミ通アワード2009」で「ベストヒット大賞」「MVP(堀井雄二)」「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」を取った。受賞した読者の要因は、1位、すれちがい通信。2位、やりこみ要素。3位、着せ替え。という結果だった。
    • 「ワイヤレス通信を通じて、1億1757万7073人がすれちがったゲームソフト」として、ギネス世界記録にも認定された 。ギネス認定はシリーズ初の快挙である。
    • 2010年9月16に行なわれた東京ゲームショウ2010の「日本ゲーム大賞」にて「ベストセールス」「優秀賞」を受賞した。
  • 企業とのコラボレーションが多い。企業コラボ関連のWi-FiクエストやWi-Fiショッピング限定アイテム配信を中心とする、ゲーム内外・規模の大小とも様々な企画が実施された。
  • この作品で没となったアクションRPG的要素は、ネットゲームとなった『X』で利用されている。
  • いただきストリートWii』で本作に登場する「天使界」がマップとして登場した。BGMは「天の祈り」で、サンディもCPUとして登場している。

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最終更新:2024年02月02日 16:04

*1 最初の宝の地図は入手タイミングとボスの強さが見合っておらず、ボコボコにされたという報告も相次いだ

*2 『IV』以降、定番として続いてきたイントロが刷新されている。

*3 レシピごとに設定された必要歩数分歩いた時点で完成する

*4 レベルアップで手に入るスキルポイントは全職業共通のため、「転職を繰り返し、全部の職業をLv10~20程度まで上げる」だけでも莫大なスキルポイントを得られてしまう。

*5 装備品のコーディネートにより変動するマスクデータの1つで、一部のクエストをクリアするのに必要となる。

*6 一定歩数の間ダメージ床の影響を受けなくなる呪文。

*7 実際にプレイすると彼女の「良さ」も分かるのだが、外見や性格から「絶対に選びたくない」というプレイヤーも非常に多かった。なお堀井氏も『デボラはあえて絶対に選ばれないようなキャラにした』と公言している

*8 3月11日の震災後、2回目の震度6地震後、7月1日の15パーセント節電。

*9 そもそもこの言葉自体、人によって受け取り方が違う。

*10 元々、ドラクエはRPGのバトルシステムとしては最もシンプルかつ低年齢層でも取っつきやすいコマンド型を採用した事で、元々一部のマニア向けだった上に複雑かつ高難易度の作品が多かったRPGというジャンルを一気にメジャージャンルにまで押し上げ、一般層(特に小中学生程度の年齢層)に幅広く浸透させたゲーム業界としての実績がある。実際、ドラクエは、FFやポケモンなどの誕生にも影響を与えており、ドラクエが無ければ、日本においてRPGというジャンルがここまでメジャーには成らなかっただろうと言っても過言ではない。長年バトルシステムを変えなかったのも、複雑になればなる程、主にライト層を中心にRPG離れを起こしやすくなり、シリーズの存続に係わる問題が発生しかねない為。実際、最新ドラクエでも、昔ながらのシンプルなシステムのままだが、システムに関する批判は比較的少ない。

*11 余談だが、アクションRPGの要素は後に外伝作品であるヒーローズシリーズで実現した。

*12 実際の最速は発売から5ヶ月後に登場した『SFC版DQV』の主人公、もう1人花嫁、子ども2人、ラスボスのジグソーパズルであるが、出回りが悪かったためにそこまで話題にはならなかった。

*13 2020年現在。

*14 このⅨと、その時期の自社タイトルの不具合の多さから「レベルファイブはネット接続に弱い」と悪評が広まってしまった。

*15 そもそもこの連動自体がタイトー内で理解されていなかった様で、これに気づいた店長やアルバイトが自主的に盛り上げてからやっと動き出している。