本項ではゲームボーイアドバンス用ソフト『ロックマン エグゼ』と、リメイク版のニンテンドーDS用ソフト『ロックマン エグゼ オペレートシューティングスター』の両方を紹介します。
判定はどちらも「良作」です。



ロックマン エグゼ

【ろっくまん えぐぜ】

ジャンル データアクションRPG
裏を見る
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売・開発元 カプコン
発売日 2001年3月21日
定価 5,040円(税5%込)
プレイ人数 【GBA】1~2人
【Wii U】1人
セーブデータ 1個(バッテリーバックアップ)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【Wii U】2014年7月9日/702円
判定 良作
ポイント アクションとカードゲームとボードゲームの融合
インターネットの構造を活かした新機軸のストーリー
GBAを代表するヒットシリーズのひとつ
ロックマンシリーズリンク  ロックマンエグゼシリーズ

ストーリー

西暦200X年。
IT産業の急激な発達により、あらゆる電子機器がネットワークを介する高度ネットワーク時代が到来。
人々は誰もが「 PET (ペット) Personal Terminal (パーソナルターミナル)の略)」と呼ばれる携帯情報端末を持ち、
そこに組み込まれた疑似人格型プログラム「ネットナビ」によって、日常生活のほとんどをネットワーク上で補うことができる。
そんな「PET」と「ネットナビ」の発明は21世紀の電脳革命と呼ばれ、全世界に豊かな生活をもたらした。

…しかしその一方でハッキングなどの犯罪が深刻化し、全国各地のネットワークで多発するウイルス・ネットテロ事件が社会問題化していた。
中でも「WWW(ワールドスリー)」と名乗る謎の組織の犯行は悪質で、ウイルスによる電子機器誤作動事故や、サイバー攻撃により倒産する企業、データを全て消去され社会から取り残される人間が続出。
「WWW」の凶悪なウイルスの前には、ネットポリスも打つ手が無い状態だった。

…デンサンシティ、秋原町。
その町には、今や小学校での必修授業となった「ウイルスバスティング」を鮮やかにこなす少年とネットナビが住んでいた。
彼の名は「光 熱斗(ひかり ねっと)」。そして彼のネットナビ、「ロックマン.EXE」。
その能力ゆえに2人は、これから大きな事件の渦に巻き込まれていくのだった。

(説明書・公式サイトから転載・修正)


概要

ロックマンシリーズの派生作のひとつにして、GBAのローンチタイトルを飾った新シリーズ第一作目。
ロボットSFな世界観のこれまでのロックマンシリーズから大きく変わって、「ネットワークの発展した近未来社会」というテーマを取り上げており、本作はまだまだ粗削りなものの秀逸な世界観設定が評判となり、次作以降の高い完成度をもって歴代ロックマン作品群の中でも屈指の名作シリーズに至る。


特徴

  • 二つの世界と二人の主人公
    • 人間の暮らす「現実世界」と電子機器やインターネットの中に広がる「電脳世界」の2種類の世界を行き来し物語を進めていく点が、本シリーズの大きな特徴となっている。
    • 大まかに、人間の熱斗が現実世界を探索し、様々な場所にある端末にPETを「プラグイン」することでネットナビのロックマンを電脳世界へ送り込み、電脳世界上のロックマンに操作を移して様々なデジタル由来の問題の解消を目指す。
    • プラグイン可能な端末はパソコンやサーバーのようなネットワーク機器はもちろん、犬小屋型の防犯システムだったり壺型の空気清浄機だったりとバリエーション豊富。プラグインできる場所を探すのも楽しみの1つ。
  • テレビアニメ番組の一話分に相当するエピソードたち
    • 本作および『2』『3』のストーリーのおおまかな流れとして、
      現実世界で熱斗が何かしらの事件に遭遇 → 事件解決のためにロックマンを電脳世界に送り込む →
      ロックマンの行く手を阻むトラップを解除するため熱斗が現実世界で行動する(通路を塞ぐ火を消したりなど) →
      電脳世界に潜伏する実行犯のネットナビのもとに辿り着いたロックマンが、ネットナビとの直接対決に臨み、勝利し事件解決。
      という流れのエピソードを繰り返すことでゲームが進行する。
    • 個々のエピソードはアニメ番組の一話分のような区切り方と文章量で展開され、事件が解決した後は自宅のベッドで眠ることで次のエピソードが開始される場合も多い。
  • 登場する人物、ネットナビは本家やXシリーズのキャラクターをアレンジしたものが多い。
    • 主要キャラのロックマンやブルースは勿論のこと、ファイアマンやガッツマンなどの旧作ロックマン出身のキャラがリデザインされて登場する本シリーズは、アレンジ元の旧作を嗜んだプレイヤーにも親しみやすい作りになっているといえる。

バトルのシステム

  • ランダムエンカウント方式となっており、電脳世界を歩き回っているとコンピューターウイルス(場合によっては敵性ネットナビ)と遭遇し戦闘に移行する。
    • 戦闘になると画面が切り替わり、縦3×横6のパネルで構成された戦闘エリアにロックマンと敵が出現する。エリアは中央ラインで区切られており、画面左側の3列がロックマン側、右側の3列が敵側。基本的には相手のエリアに侵入できない。
    • このエリアは上下左右に移動でき、相手や自分の攻撃でヒビが入ったり、穴が開いたりすることもある。ヒビパネルはその上を移動すると穴パネルに変化し、穴パネルの上は一定時間侵入することが出来ない。
    • 後述のチップによってエリアを奪ったり、奪われたりということもある。
  • ウイルスとの戦闘は事前に組んであった「チップフォルダ」のチップと、ロックマン自体が持つ弾数無限のロックバスターを使用して戦う。こちらのHPが0になる前に敵の頭上に表示されているHPをゼロにすれば勝利となる。
    • エンカウントするとチップ選択画面が表示され、フォルダからランダムに選ばれた5枚が表示される。その中からのチップを選択し、OKを押すとバトル画面に。
      • 全部で150種類ほどあるチップには全てにアルファベット(コード)が1文字付いていて、1つのチップにつき5パターンほどある。
      • チップは無造作に選べるわけではなく、1枚目に選んだチップと同じ名前のチップ(コードは別でもいい)か、同じコードのチップのみ選択できる。
      • 例:ソード[A]は、同じ「ソード」か、同じ[A]のコードを持つチップと組み合わせられる。(ただしこの選択は片方しか適用できない。ソード[A]→キャノン[A]→キャノン[B]という組み合わせはキャノン[A]までしか指定不可能。)
      • 使いたいチップが無い時には、ADDボタンを押すと1ターンチップ無しでの戦闘を強いられる代わりに次に選べるチップが5枚追加され、手札が10枚になる。その状態で更にADDすると15枚に増える(1度チップを選択してバトル画面に入ってしまうとまた5枚に戻ってしまう)
      • また、バトルチップを特定の順番で選択すると、選択したチップが一枚の強力なチップに変化する「プログラムアドバンス」に変化することも…。
    • Bボタンで使用できる、おなじみのロックバスターは弾数無限でいつでも使えるが、基本的には貧弱(ゲーム開始時の攻撃力は1で、チャージショットを撃つことも出来ない)。また、敵との距離に応じて連射力が低下する(遠ざかるほど連射が効かなくなる)特性を持ち、大ダメージを与えるためには接近が必須。
      • バスターアップと呼ばれる強化アイテムを使うことで攻撃力や連射力をあげたり、チャージショットを撃つことができるようになる。最終的には大抵の雑魚相手ならバスター一丁でけちらせるほどの威力になる。
    • 戦闘に勝利するとリザルトが表示され、戦闘に要した時間と戦闘内容の評価「バスティングレベル」をもとにゼニー(お金)か、倒したウイルスに由来したチップを手に入れる。
    • 例えば、小型の甲冑騎士のような風貌のウイルス「スウォーディン」を高ランクでデリートすると、前方2マス分の攻撃範囲を持つ「ロングソード」のチップを落とす。
    • バスティングレベルは1~10・Sの11段階のランク付けで評価される。長い戦闘時間、ロックマンの移動回数、攻撃の被弾回数といった要素を減点対象とし、高いランクで勝利するほどに良い報酬を得やすい仕様となっている。
  • ロックマンのHPがゼロになるとロックマンがデリートされてしまいゲームオーバーとなる。
    • 本シリーズは一貫してゲームオーバー後はタイトル画面送りとなり、最後にセーブした地点までゲーム進行度が巻き戻ってしまうため、ボス戦手前や初めて訪れるエリアでは事前のセーブが非常に重要となる。

評価点

  • なんと言っても世界観設定の秀逸ぶり。
    • 当時の現実の日本はいわゆるフィーチャーフォンの所持率が8割近くなりADSLの普及が始まったばかりという時代情勢で、ネットワークを介した双方向通信というのがごく一般のものへとなる過渡期であった。そうした状況はまさしく本作及び以降の『エグゼ』シリーズで描かれる「近未来」が現実味を帯びてくるさなかであった。
    • 本作で描かれる「近未来」は本家やXシリーズのような「自己判断能力を持ったロボットを用いた犯罪」「自我を持ち始めたロボット自身による人類への反逆」と言った80~90年代のSF映画のような極めて遠い未来の果ての技術の暗黒面という作風から一転しており、「ネットを介して現実社会に重大な損害を発生させるのも人間」という地に足のついた世界観設定になっている。
      • こうした「近い将来実現可能な範囲のリアリティ」というのはスタッフが意図して描いたもので、発売から20年以上経過した現在ではただのフィクションと笑える物ではなく、まさしく人類が現実に直面している問題となっている。
        このような世界を物語の舞台としつつ、かつ「PETの中のロックマンをオンライン接続された電子機器にトランスミッションし電脳世界を探索・戦闘する」というオリジナリティある世界観を生み出したのはスタッフの先進性やセンスの良さが窺える。
    • また、続編と比べた本作の特徴点としてWWWの悪事のえげつなさ*1や電脳世界の無機質さなど、ポップ・少年向けのカラーを強化していった続編以降と比べるとより現実感を味わえる部分がある。
      スタッフとしても生々しすぎると思ったのか次作以降はマイルドになっていくため、これに関しては特に『1』固有の評価点と言える。
  • バトルチップや3×3の区切られたマスによる戦闘など、斬新かつわかりやすいシステムは子供から大人まで多くのプレイヤーに支持された。
    • 単純に手持ちの札でSランクを得る為にどうすればよいかを思案するだけでも楽しい。VC版で対戦要素が削られたにもかかわらず購入するユーザーがいる理由の一つ。
      • 初見のV3ナビは普通にプレイしているとSランクでの撃破が難しいが、ストーリーを進めつつ強いチップを集めていけばSランクで撃破できるようになるというゲームバランスは見事。撃破したナビからV3ナビチップを入手し別のV3ナビ撃破、と更なる好循環を促進してくれる。
    • チップを集めて自分でフォルダ(デッキ)を組むカードゲーム要素とアクション要素が融合したゲームデザインは今なお独創的で魅力的。
    • 特に小学生を中心とした低年齢層のプレイヤーに支持され、GBAを代表するヒットシリーズとなった。
    • 「あのナビはあの属性だから、あのチップをフォルダに…」「このチップを組み合わせればコンボになるかもしれない」といった戦略性がある。
    • 属性が同じでも威力半減などは無いため、別に自分の好きなチップだけを入れて戦ってもいい(枚数制限はあるが)。
  • 魅力的なキャラクターたち。
    • 秋原町のガキ大将的存在のデカオ、幼馴染で隣の家に住むメイル、飛び級で進級してきたやいとなど、友人キャラだけでもなかなかのキャラが揃う。
    • シリーズを通してライバルとなる炎山とナビのブルースも1作目からの登場である。
    • また、敵であるWWWの面子も個性豊か。性格的には「悪」がほとんどだが。
    • WWWのとある団員は、特に重要なサブキャラクターでは無いにもかかわらずシリーズ6作中5作も現れる顔なじみとなる。
  • クオリティの高いBGM。世界観にも合っている。
    • ロックマンシリーズの特徴であるBGMの高い品質は本シリーズでも健在。GBAの音源と親和性の高いスタイリッシュな楽曲を取り揃えている。
    • 作曲家は海田 明里氏。後のシリーズでも今作の楽曲の多くがアレンジされ再登場する。
      • 秋原町のテーマである「ホームタウン」は最終作の『6』まで異なるアレンジで毎作登場し皆勤賞を果たすほど。
      • ドリームウイルス戦のBGMは『5』DSでもアレンジされている。
  • Lボタンを押すとロックマンか熱斗がどこへ進めばよいのかすぐに教えてくれる。
    • 現実世界、電脳世界を問わず、移動中にLボタンを押すと熱斗を操作中ならばロックマン、ロックマンを操作中ならば熱斗が現在の目的をおさらいしてくれる。
    • これによりシンプルかつ簡単にストーリーの進行を把握することができ、久しぶりにプレイした時でも迷わず進める。

問題点

  • 進行が基本的におつかい
    • ストーリーは基本的にいわゆる「おつかい」(次に行くべきところを指示される)のみで進行するので、自由度はほとんどない。
      • これは後のシリーズにも共通する問題。
      • 逆に言えば、次になにをするかがはっきりしていて迷わない、低年齢層に配慮したシンプルな設計であるとも言えるが。
    • インターネットの構造も、入り組んだ迷路状になってはいるが、単調な背景とBGMも相まって、他のRPGにおける冒険している感覚は薄い。
    • 現実世界のイベントは敵とのエンカウントがないのでさらに単調で作業感が強くなる。
  • インターネットの背景が単調かつ構造が複雑。
    • シリーズ1作目ということもあってか、インターネットの背景・BGM・道路のデザインが一つのみしか用意されておらず、そのうえ次作以降とは異なり、メニューを開いても自身のいるエリア名が表示されない
    • 次回作以降に見られる、どこに何があるかの案内板等も存在せず、例えば「『〇〇方面に行ってみよう』と言われても道順は一切教えてくれない」といった事態が多発する。結果本作は、インターネット全体が巨大な迷宮と化しており、エリアによっては道が上層下層に分かれているため極めて迷子になりやすい*2
      • シリーズ恒例の犯罪者と凶悪ウイルスの巣窟である「ウラ・インターネット」ですら同様の背景のまま。無論、危険地帯に立ち入っている雰囲気はまるで無く、立っているナビに話を聞いてようやく今いる場所がウラであることを察するほどである。
      • なお、DS版では地名表示がされるようになったものの、エリア名が「インターネット(番号)」で統一…と、相変わらずの迷宮っぷりを誇る。*3
    • シナリオ上、インターネットの移動はプレイ時間の多くを占め、どんなにシナリオが進んでも似たような背景や似たマップに潜らされるため、登場キャラ以外の視覚的変化が乏しく、飽きを誘う原因でもある。
    • 次回作以降ではエリアごとに背景や道路のデザインが変化し、各所に個別のエリア名が設定されるなど、迷子の要因の多くが改善された。
  • 戦闘システム
    • 後のシリーズも含めて、エグゼシリーズは「30枚の様々なバトルチップで構成されたフォルダを駆使して戦う」というシステムなのだが……
    • 駆使して戦う、というコンセプトの割には戦闘時最大でも一度に5枚しか選べずターンを流す必要があったりと非常に運に左右されやすい。
    • 実際は強力なチップ数枚を基準にコードを揃えて回転率を上げていかに早くそれらを引き当てるかという駆使とは正反対のゲームになっている。
      • シリーズを重ねるにつれて緩和されてはいるが、やはり戦闘では非常に運要素が強い。対戦で何も出来ず瞬殺……など日常茶飯事である。
  • 戦闘からの逃亡が困難。
    • 本作の雑魚戦闘は「エスケープ」という専用のチップ無しには逃走が不可能であり、ゲーム終盤に倒しても意味がないような序盤エリアの敵と戦闘になった際もわざわざ戦わなければならない場合が多い。
    • 一応「エスケープ」を使えば確定で逃走が成功するものの、その分他の有用なチップを減らさなければならないので結局ストレスとなってしまう。
    • 次回作以降では固定ボスを除きチップ無しの逃走を試みることが可能となり、更にエンカウント率を下げてくれるアイテムまで登場した。
  • V3ナビが弱い。
    • 条件を満たすと、本編中のシナリオボスがパワーアップして復活し、特定エリアでエンカウントできるようになる。後のシリーズでもお馴染みのシステムだが、本作ではこのパワーアップ形態に当たるV3ナビが驚くほど貧弱。
      • まだまだ手探りだったこともあり、原則的に「バージョンアップするたびにHPが100ずつ上がる」以外の強化点はなし。行動パターンの追加はおろか、なんと攻撃力すら上がらない。そのため、シナリオ最初のボスであるファイアマンV3など、HP500、最大攻撃力20という事態に……。エンカウント時期に対してあまりに弱すぎる。
      • 逆に、V3にならなくても強いナビはV1の時点でかなりの火力を持つ。これはこれでバランスが悪い。
  • ラスボスが弱い。
    • 100以下のダメージを無効化するオーラを纏っており、こちらのエリアの大半をカバーする大ダメージの広範囲攻撃を多く持つなど、スペック自体はラスボス相応に見えるが……。
      • まず最大HPがたったの1000しかない。一応本作内での最大値ではあるが、後のシリーズのラスボスたちと比べても最低値。
      • 攻撃は基本的にチャージを挟むため回転が悪く、さらに攻撃中は自慢のオーラが消えてしまうため完全な攻撃チャンス。どの攻撃も安全地帯自体はちゃんとあるので、見切れればかわすのはさほど難しくない。
      • また、シナリオの展開上、こちらのロックマンは公式チート適用の最強状態である。シナリオ的には燃える展開ではあるが、ロックマンのスペックに対して追いつけていない感が強い。
    • 「エグゼシリーズ最弱のラスボスは?」という話題になると、『6』のグレイガと並んで名前が挙がる。ただ、グレイガは「特定のチップに極端に弱く、ハメ殺しが容易」というのが大きく、真っ向から戦うと苦戦することも多いので、「前準備なしでも普通に倒せる」本作のラスボスの方がやはり弱いという意見が多い。
  • チップトレーダーの仕様
    • チップトレーダーは、これに3または10枚のチップを入れることで別のチップを1枚ランダムで得られるものなのだが…
      • 事前にセーブをしておくことで、気に入らないチップが来たときにソフトリセット→やり直しが簡単にできるので、強いチップを中盤に手に入れられ、以降の難易度低下に繋がってしまった。
  • 対戦バランスが悪い
+ 強力なチップ・戦略
  • 体力を全回復するライフセーバー(ただしチップを3枚消費する)や、ターン中に相手の持っているチップを全て破壊するインターラプトなど鬼畜性能なチップが存在した。
    • 続編「2」では、入手難度こそ上がったものの実質インターラプトの強化版である「ジェラシー」が登場するなど、一部チップの異常な性能は変わっていない。
  • 勝ち筋のあるフォルダの殆どが暗転チップ(使用するとお互いの動きが止まり、一方的にチップを発動できる)で構成されるようになり、非暗転チップ主体の戦法が通じにくく、結果アクション性、戦略性が低くなってしまった。
    • 暗転に関しては3作目までこの仕様であったが、4作目以降は相手の暗転に暗転チップで差し込む事が可能になり、先に発動したもの勝ち、といった事にはならなくなった。
    • また、非暗転チップに威力増加や状態異常付加などの強化が可能となり、従来のアクション要素を取り込んだ戦法が取れるようになった。
  • エリアスチールというチップを使うと相手の動けるマスを奪い取る効果があるが、それを使い続けると相手が1マスに閉じ込められてしまい、問答無用で攻撃が叩き込み放題になる。
    • エリアスチールで動けなくしてポイズンアヌビスやロックオン等を設置する容赦の無い戦法が普及してしまった。3作目あたりからはブレイク性能や設置物を投げ飛ばすといったチップの登場で改善。
    • これもまた3作目まで共通の問題(仕様)だったが、4作目以降は最低でも最奥縦1列の3マスはエリアスチールで取られないようになっている。
    • しかし相手の動きを制限することに変わりはなく、依然としてエリアスチールで相手のマスを奪う戦法は鉄板であった。
  • 目玉のプログラムアドバンスに関しても、実戦投入できるのは一部の強力なPAだけ。
    • チップ選択の上限である五枚のチップを組み合わせたPAはADDしない限りほとんど発動することは不可能である。
    • よしんば発動できたとしても、五枚の消費に見合った効果とは言いがたいものがある。
  • 徘徊ナビのV2チップをゲットするのが地味に面倒
    • 理由は徘徊ナビは初回ではV2となってエンカウントするのだが、そのV2ナビを倒しても得られるチップはV2チップではなくそのランクより一つ下の無印版しか手に入らないから。
    • 手に入れるにはV3ナビを高過ぎず低すぎないバスティングレベルで倒す必要がある。*4
    • ボスを高いバスティングレベルで倒すだけでも一苦労なのに、さらにそれを否定するプレイを強要させるというのは中々に面倒。
    • この問題についてはシリーズを通して改善される事はなかった。

総評

後にシリーズ化、漫画化、アニメ化し、多くの人々を魅了したGBA最初期の名作である。
本シリーズは発売当時はPS2率いるソニー全盛期であり、押され気味であった任天堂勢の主流・GBAを「ポケットモンスターシリーズ」と共に支え続けた。
また、「ポケモン」と同様に今までオマケ扱いであった通信対戦という機能を爆発的に広めた。
1作目ということでまだまだ改良すべき点はあるものの、シリーズの基はこの時点でほぼ完成されていたと言っても過言ではない。


余談

  • この作品自体も本家ロックマンのスピンオフのようなものだが、GCとWSで更にスピンオフ作品が、GBAで外伝作品が2つ発売された。
  • 従来の横スクロールアクション要素は、翌年に発売される『ロックマン ゼロ』に受け継がれた。
    こちらはエグゼと一変してシリアスな世界観と爽快感あるアクションが好評で、主にXシリーズのファン層を獲得した。
    • 前年に発売された『ロックマンX5』の出来が良くなかった為に、これらのシリーズへとファンが流れてきたと言えなくもない。
    • この後、新作のリリースが停滞していた本家ロックマンはもとより、Xシリーズも衰退していく事になる。世代交代はあまり望ましくない形で行われてしまった事も付け加えておく。
  • これまでロックマンシリーズのコミカライズはコミックボンボンで連載されてきたが、本作のコミカライズはコロコロコミックと小学二年生・小学三年生・小学四年生に連載されていた。
  • 2014年7月にはWii Uのバーチャルコンソールにて配信が開始されたが、通信対戦はできない。
  • 『鬼武者 無頼伝』に本作のロックマンが登場した。
  • 2020年1月17日と18日にテレ東プラスに本作の開発秘話が掲載された。記事1 記事2
  • 『1』『2』『3』『3 BLACK』をセットにした『ロックマン エグゼ アドバンスドコレクションVol.1』がSwitch/PS4/Steamで2023年4月14日にダウンロード販売。
    • 『ロックマン エグゼ アドバンスドコレクション』として『Vol.2』とセットになったパッケージ版も同日販売。
    • Wii Uバーチャルコンソール版では手に入らなかった配信限定チップ「フォルテ」がゲーム最序盤から呼び出すことが可能となっており、その際は シリーズ最強のボスナビと共に世界を救う物語へと変貌する ことになる。
      • また、本作独自の仕様の一環で、クリア後要素ナビのナビチップと同様データライブラリに登録さえされればチップトレーダーから2枚目以降のフォルテのチップを排出することもできるが、通信対戦では2枚以上入れた状態でネット対戦を始められないようブロックされる処理がなされている。
    • またバスターの威力を100倍にする"バスターMAXモード"が追加された。いつでも好きなタイミングでON/OFFが切り替えられる。その気になればアニメのロックマンさながらにバスターで並み居る敵を粉砕することが出来るように。



ロックマン エグゼ オペレートシューティングスター

【ろっくまん えぐぜ おぺれーとしゅーてぃんぐすたー】

ジャンル データアクションRPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売・開発元 カプコン
発売日 2009年11月12日
定価 4,190円(税5%込)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント 『流星』とのコラボシナリオが追加

概要・特徴(DS)

  • ニンテンドーDSで発売されたリメイク版。
  • 二画面を活かしたフィールドマップや、後のナンバリングタイトルからの一部追加要素のフィードバック、容量増加によるキャラクターボイスの追加、そして『エグゼ』の続編である『流星のロックマン』とのコラボシナリオなどが主な追加要素。
    • 「ロックマンスターコロシアム」というミニゲームも追加されている。

評価点(DS)

  • 『流星』が『エグゼ』の流れを壊すこともなく、いい塩梅でストーリーに組み込まれているなど、旧作ファンにも安心の仕様。SSロックマンとEXE、二人のロックマンを操れるキャラクターチェンジシステムも好評である。
    • SSロックマンとEXEは全く異なる性能であり、SSを使用すると新鮮な気持ちでプレイ可能。特に自前で「フミコミザン」*5が可能なウォーロックアタックは爽快感がある。

問題点(DS)

  • 『1』のリメイクということもあって、できることが少なめ。時系列や設定などを考えれば仕方ない面はある。
    • バトルでも後の作品に出てきたスタイルチェンジやソウルユニゾン・カオスユニゾン、ビーストモードといった変身システムはなく、ココロウィンドウやダークチップのような機能もない。
    • シナリオ面でも少し付け足しただけとも捉えられるので、目新しい物も多くない。
    • クリア後の要素もコロコロの読者コンテストの最優秀賞のナビと毎度おなじみの隠しボスのフォルテが出てくるぐらい。
  • オンライン対戦未実装。
    • 『流星』ではWi-Fiでランダムバトルができるのだが、『エグゼ』では正規の方法でネット対戦をする方法が無かったので期待したファンも多かった。
  • バトルチップ関連。
    • バトルチップに関しても細かい威力など調整されているものの、チップの顔ぶれなど変わっていないためゲームバランスについては劇的に変化しているわけではない。
    • 前と変わらず「ポイズンハメ」という戦法が強力で、大会でも猛威を振るった。
    • 続編に登場する対策チップも存在しないため、相変わらず対戦バランスは悪いままである。

総評(DS)

移植度に関しては劣化した部分や改悪された部分もなく評価は高い。
DSという機器を生かした機能も違和感なくまとまっていて、『流星』要素も『エグゼ』の流れを壊すことなく組み込まれており好評。

しかしまだまだ荒削りだった『1』のリメイクということもあり、同じくDSで発売された『5DS』と比べるとボリューム不足感は否めない。
それに加えて対戦バランスやバトルチップ等放置されている問題点も目立つ。

それでも『エグゼ』の第一作を楽しむには充分であるため、気になる人は手にとってプレイしてみるのがいいだろう。
『流星』にいい印象を持っていない『エグゼ』ファンも、食わず嫌いせずに遊んでみる価値はある。

余談(DS)

  • エンディングに『流星』のメンバーが出ている。ヨイリーがいる事から『流星3』の後のシーンだと思われる。
  • 『ロックマン エグゼ アドバンスドコレクション』はGBA版の移植のため、本作そのものの移植はされず、『1』への流星イベントの追加も行われていない。その代わりとして、ギャラリーモード内には本作に関連したイラストや設定資料が閲覧できるようになっている。
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最終更新:2024年04月18日 21:02

*1 放火、学生の洗脳、ライフラインの占拠など

*2 いわゆる「右手法」を使えばどうにかなるものの、主なターゲット層である小学生がそんな事を知る筈もなく……

*3 GBA版攻略本でも同様の表記である為、これ自体は仕様である。DS版では後半のエリアにウラインターネットの表記が使われるようになった為あれでもわかりやすくなっている。

*4 高すぎるとV3が、低すぎると無印版が出てくる。

*5 『2』から登場したバトルチップ。相手の目の前にワープしソードで斬りつける