超速変形ジャイロゼッター アルバロスの翼
【ちょうそくへんけいじゃいろぜったー あるばろすのつばさ】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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メヴィウス研究所(スクウェア・エニックス、ノイズ) HINATA
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発売日
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2013年6月13日
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定価
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5,490円 / ダウンロード版:5,000円 (ダウンロード販売終了:2015年3月31日)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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超速変形ジャイロゼッターシリーズ 超速変形ジャイロゼッター / アルバロスの翼
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概要
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アーケードゲーム『超速変形ジャイロゼッター』のメディアミックスとして、ニンテンドー3DS向けに同時発表していたゲーム作品。
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多数の自動車メーカーとメカデザイナーをはじめとする「ジャイロゼッター」の魅力はそのまま、アーケードとは全く違うRPGとして完成している。
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メディアミックスを生かしており、本作のシナリオはアニメと密接な関わりを持ち、アーケード用特典カード「グレイドラ」も封入されている。
また、アーケードやジャンプ系雑誌を中心にQRコードで限定ジャイロゼッター、チャレンジバトルの配布も行われていた。
あらすじ
2053年の「横浜新都心」に住む久堂ユウキは、
暴走したジャイロゼッター"イビルゼッター"に街が襲われたことがきっかけとなり、ジャイロゼッターのドライバーとなる。
イビルゼッターから市民を守るべく、結成された組織「アルカディア」。
そして、その才能から選ばれしドライバーとなったユウキは、
戦いの中で、漆黒のジャイロゼッター「アルバロス」、
伝説のジャイロゼッター「ライバード」と、ドライバー轟カケルに出会う。
彼らとの運命の出会いが、やがて歴史を変える大きな事件へとつながってゆく…(公式サイトより)
システム
移動
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日本各地には「横浜新都心」などの大型都市「シティー」と、シティー間にNPC数名が駐在する「キャンプ」が点在している。
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これらの室内マップは、人間をプレイヤーキャラクターとして操作する。
NPCと会話したり、ジャイロゼッター(以下「GZ」)を乗り換えたり、アイテムの購入などが行える。
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シティー間は屋外のマップに出て、GZを操作して移動する。GZはYボタンで「超速変形」、2モードを切り替えられる。
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ビークルモード(車)
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路面との相性があるが、相性が良いと高速で移動できる。
一定時間走り続ける・道路上のアイテムを獲得すると「ブーストメーター」が溜まり、Bボタンで短時間ブーストできる。
一定以上のスピードで走っていると経験値を獲得でき、道路で指示通りドリフトに成功すれば、更に多くの経験値を獲得できる。
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車種により最高速やカーブ性能などに差がある点はアーケード版と同様だが、
スライドパッド上押し込みで前進+アクセル、スライドパッド左右どちらか+Aボタンでドリフトなど、操作は3DS向けかつ簡略化されている。
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ジャイロモード(ロボット)
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車種に拘らず移動スピードは一定でビークルモードには劣るが、段差を登る・飛び越える、宝箱を開けるなどの特殊な動作ができる。
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ブーストメーターはビークルモードと共有。こちらは時間経過で自動的に溜まり、Bボタンではダッシュする。
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屋外には暴走・野生化したGZ「イビルゼッター」が敵として出現、シンボルエンカウントでバトルに移行する。
マップ内の特定箇所に立ち入るとジャイロモードで追いかけてきたり、道路上を走っていると高速で追尾してくる。
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無防備な敵にダッシュで突撃すると有利状態でバトルが開始され、逆に敵に突撃されると不利状態でバトルが開始される。
バトル
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アクティブタイムバトル改め「アクティブギアバトル」方式を採用。
3vs3のGZ各機が「アクティブギアゲージ」を持ち、ゲージが溜まった順に行動していく。
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シンボルエンカウントの有利・不利はアクティブギアゲージに反映され、有利な方はゲージ1回分溜まった状態になっている。
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加えて「ギアレベル」を持ち、主に行動を放棄してギアアップできる。
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高レベルになると使用可能な技が増え、低ギアレベル技も効果がアップする。
高ギアレベル技は威力が高い・全体攻撃ができる・追加効果があるなどのメリットを持つが、ギアレベルは再び下がる。
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攻撃技にはエレメント属性・物理属性がそれぞれ設定されている。
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エレメント属性は炎・風・雷・氷・光・闇・無の7種類。
炎→風→雷→氷→炎…で有利不利のある4属性、光⇔闇で互いに有利な2属性、影響を受けない無属性。
GZにはエレメント属性が設定されており、不利な属性の攻撃を受けるとダメージが増大する。
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物理属性はストライク・スラッシュ・スティング・バースト・ビームの5種類。
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その他、補助技も多数存在。回復、敵ギアレベルダウン、敵の攻撃を一定時間自機1機にだけ引き寄せる、など効果は様々。
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アイテム「イビルバスター」を使うことで、イビルゼッターを正常化=自機GZとして捕獲することも可能。
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ダメージを与えていたり、状態異常になっていると捕獲率も上がる。
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プレイヤー側のみ、攻撃を当てる・受けると「バーストゲージ」が溜まっていく。
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100%溜めると究極必殺技「ファイナルバースト」が発動可能。アクティブギアに拘らずGZを1機選び、ファイナルバーストで攻撃する。
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特定のマシン3台でパーティを組んでいると、バーストゲージ50%消費+全機ギアを0にすることで「合体」による必殺技も発動可能。
カスタマイズ
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GZには「Zカード」を装備できる。
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Zカードは4枚まで、スロットのレアリティの規定内のカードしか装備できない。レアリティは☆1~6まであるが、そのうち4まで、など。
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攻撃力を上げるなどのオーソドックスな能力強化はもちろん、バトル開始時のギアレベルが高くなるカード、
「特定のメーカー」の能力値を上げるカード、受けたダメージをバトル勝利後にお金に変換するカード「対物補償装置」、
戦闘には全く関係なく移動中のBGMを変更するだけのカード「CDチェンジャー」など、効果は様々で車らしいセンスに富んだものがある。
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GZドライバーには1つだけ「スキル」を装備できる。
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一定確率で発動し、エレメント属性に応じて攻撃力をアップさせる、物理属性に応じて命中率をアップさせる、クリティカル率が上がるなどの効果を発生させる。
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GZにはドライバーに加えてパートナーを乗せることができ、パートナーのスキルも発動の対象になる。
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スキルはバトル後に獲得できる「ドライバーポイント(DP)」を消費して習得させられるが、ドライバーによってスキルの必要DPに上下幅がある。
その他
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シナリオ中のボスバトルをクリアすると、横浜のアルカディア施設内で「チャレンジバトル」として再戦できるようになる。
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シナリオ進行状況と、配布QRコードの読み込みで、ライバードシリーズ3機による「チーム・カケル」などのドリームチームと称されたチャレンジバトルも追加される。
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これらのチャレンジバトルの報酬として、限定GZ・Zカードが用意されている。
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ローカル通信機能に対応しており、対戦・協力チャレンジ・GZ交換を行うことができる。
評価点
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ゲームバランス
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シンボルエンカウントに有利・不利があるのは先に述べた通りだが、
そもそもダッシュ/ブーストで敵から逃走してしまうことも可能であり、車というモチーフをうまく落とし込んだ自由度の高さを持っている。
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低ギアレベル技でちまちま攻めるか、一旦高ギアレベルまで上げて大技を叩き込むか。
GZにどんなZカードを装備し、どのドライバーとスキルを乗せるか…戦略の幅は広い。
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ファイナルバーストはシナリオ進行状況に拘らず持ち越せる。ザコ相手に溜め込んで、ボスバトルでぶっ放して一撃必殺!
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…というわけにはいかないボスも終盤には数体出現する。一度倒すと形態変化するボス相手では、かえってこちらが追い詰められてしまう。
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グラフィック・演出
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何といっても、ボタン1つで変形できる手軽さ。小気味よく、ついやってしまいたくなる。
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色違いを除いても、本作初登場のGZも多く、100種類近いGZが登場。見ても集めても楽しい。
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デザインも同じようなものが並ぶわけではなく、きちんと差別化されている。また、一部はアーケードに先駆けてこちらで登場しており、「好評につき逆輸入された」とも言える。
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さすがにアーケードには劣るが、グラフィックは良好。
車のメーカーエンブレム、ドアの取っ手など細かいところまで描かれており、
技もアーケード同様のカメラアングルとエフェクトで派手に演出される上、立体視にも対応している。
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ギアアップではエンジン音が鳴り、大技に向けてギアを上げている気分を高めてくれる。
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シナリオ
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40年後の未来を舞台としており、タイムトラベルと時空改変を絡めた意外に深い設定、
アニメキャラの未来での(意外な?)姿、「アルバロスの翼」のサブタイトルに相応しい活躍など、見所は多い。
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本作を遊ばないとアニメを理解できないというわけではなく、アニメをより楽しめる程度の関係性。
本作のシナリオライターは、アニメでもシリーズ構成・脚本を務めた「ストーリーライダーズ」所属の永川成基氏。
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メインシナリオ以外にも、道中各地で受領できる「サブクエスト」や各シティーの設定も、
現実社会のものを反映したり、独特な未来像が描かれており、世界観を深めるのに役立っている。
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あるキャラクターは日本各地のラーメンの出前を取っていて、それらがサブクエストになっていたり、
北海道には一年中吹雪く異常気象のためにドーム型都市・旭川シティーが設置されていたり、
あるキャラクターがア・バシリ刑務所に収監されている…などなど。
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やりこみ要素
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クリア後も含め、特定の条件を満たすと現れるジャイロゼッターなどがあり、育成ゲームでは定番のコレクション要素としても楽しめる。
問題点
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ボリュームの薄さ
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難易度自体は低い。先述した初見殺しのボス数体がいる程度で、謎解き要素に至ってほぼ皆無。
多少のレベル上げを考慮しても20時間、移動用GZを用意してエンカウントを避け続ければ16時間もあればクリアできてしまう。
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とは言え、これらの問題は年齢層を考慮しているところも大きいだろう。
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後半のエリアはほとんど存在するだけ
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九州はマップ2つ+火山になっているし、中国地方はほとんど九州へ向かう通過点として(足止めされるが)広島があるだけ(四国や沖縄はそもそも出てない)。北海道などに比べると尻切れトンボに感じてしまう。
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そもそもこのゲームは実質「キャラが変形ロボになったドラゴンクエストモンスターズシリーズ」なわけだが、このような原作ありゲームとは相性が悪い。(特にこのゲームの場合量産型のロボなのに個体値という要素があるので尚更)。
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シナリオをもう一度楽しむためには初めからとなるため。章形式にするか、強くてニューゲームが欲しかったところ。
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シナリオ中はボイスの挿入も多いのにクリア後はスキル発動時の掛け声以外にボイスが入らなくなるため、
クリア後はゲームが物足りなく、作業のように感じてしまうかもしれない。
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クリア後の追加要素も、ダンジョンに新種・高レベルの敵が出現したり、裏ボスが追加される程度。
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パーティメンバーの少なさ
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主人公・ユウキ、妹・エリカ、父・ダイゴ、母・ナオの4人家族だけ。
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アニメ主人公・カケルだけはクリア後に加入するが、シナリオ途中で加入するその他ゲスト数名は、二度とメンバーにすることができない。
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GZドライバーとパートナーで最大の6人パーティを組めるはずなのに、どうやっても5人にしかならない。
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パーティメンバー1人につきスキルは1個しか付けられないため、パーティ編成を最大限生かすには、スキルも頻繁に付け替えなければいけない。
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ラスボスを前にカケル加入、クリアで(またはクリア後ダンジョンを追加、それをクリアすると)ゲストキャラをアンロックなどにするべきであった。
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Lv1加入GZ
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スポーツカーと龍の意匠を持つ青いGZ「グレイドラ」は、本作の封入特典としてアーケードカード化されており、
本作のパッケージを飾りOPアニメにも登場するなど、事実上ゲーム主人公機・ユウキ専用機として扱われている。
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このGZをゲーム中で入手できるのは、アルバロスを含めた4回ものボス戦を終えた後。
主人公機交代とでも言わんばかりのタイミングにも拘らず、
パーティ自機も野生GZもLv30になった頃なのにLv1であるため、実戦投入前にはレベル上げに付き合ってやらないといけない。
敵の攻撃を一定時間自機だけに引き付ける「パッシング」などで高レベル相手から守っていても全体攻撃で低レベル1機だけ即死という事態が多発する。
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グレイドラをはじめとする家族4人分の専用機入手イベントに加え、連動特典の限定GZも同様にLv1のみ。
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限定GZを報酬とする連動チャレンジはシナリオクリア以上を推奨レベルとするやり込み要素が含まれているにも拘らずである。
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戦力としてはイビルゼッターを捕獲した方が手っ取り早く、限定GZを育成するのは趣味あるいは修練のレベル。
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色違いが別キャラ扱い
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RPGや育成ゲームにはよくある要素ではあるものの、本作は
自動車
の
変形ロボット
である。従って、
好きな色に塗り替えられないという問題がかなり大きい
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同じ車を並べると全部同じ色
なんてことも…量産型ロボット好きなら嬉しいのかもしれないが…。
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アーケードでは色によってコンボがあったため、色違いには大きな意味があったのだが…。
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クリア後のデータの状態
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クリア後は世界のいろんな場所に、高レベル向けのやりこみ要素が追加されるが、基本的にはドラゴンクエストモンスターズ等にありがちなクリア後のダンジョンなどはなく、アニメを題材にしたRPGにありがちな「ラスボス前の状態に戻る」である。
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この点はゲームとしてみた場合、これ以上育成する必要がないばかりか、最終エリアの敵は仲間にする意味が殆どないということにもなる。
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2周目などはできないため、育成したキャラを取るか、データを消し、キャラを犠牲にストーリーをもう一周楽しむかの取捨選択になってしまう。因みにアニメの主人公であるカケルは
、クリア後にしか仲間にならない
ので本当におまけ(どころか、ゲームシステム的にかみ合っていない)要素。
GTAのような大人を対象にしたゲームならこの程度の登場がいいかもしれないが、比較的子供向けと言えるアニメゲームでこれは…(しかもこのゲームには過去作などがない。過去作の主人公ということであればこの程度の扱いでもいいのかもしれないが)。
賛否両論
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個体値
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自動車・ロボットなのに
個体値のばらつきがある。強いものを厳選する楽しみはあるが、不自然でもある。
総評
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ボリュームの薄さ、一部の不自然・不便な仕様のせいで、良作とは言い難いものの、
スクエニ製・アニメスタッフが兼任しているだけのことはあり、及第点以上の出来ではある。
車もロボットも好きだという人には、アーケード・アニメ共々触れてもらいたい作品。
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流行り廃りの早いアニメ連動・児童向けキャラゲーの宿命で、発売から半年程度しか経過していないアニメ放送終了後には、既に半額程度で投売りされていた。
ダウンロード版は配信を終了しているものの、パッケージ版の入手は依然として容易である。興味があるなら遊んでみて欲しい。
余談
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スクウェア(スクウェア・エニックス)が手掛ける自動車がメインのRPG。更に主人公側の拠点が存在するのが架空の都市であるYOKOHAMA新都心。
このPhraseからもう一つのドラマを思い浮かべてしまう…そんなSTREET WARRIOR共が、少なからず存在していたらしい……。
最終更新:2024年04月07日 15:54