ボンバーマンMAX 光の勇者/闇の戦士

【ぼんばーまんまっくす ひかりのゆうしゃ/やみのせんし】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイカラー(専用)
発売元 ハドソン
開発元 メトロ
発売日 1999年12月17日
定価 3,980円
判定 良作
ボンバーマンシリーズリンク


概要

ゲームボーイカラー専用ソフトであり、ハドソン最後のゲームボーイ用のボンバーマンシリーズ作品であり*1、ボンバーマンシリーズ初の2バージョン同時発売となったタイトルでもある。
『光の勇者』の主人公(操作キャラ)はシリーズおなじみの白いボンバーマンだが、
『闇の戦士』ではまるで仮面ライダーのような妖しい風貌の新キャラマックスが務めてくれる。

ゲーム中のテキストで両名のセリフを確認でき、ボンバーマンは従来作のイメージを崩すことはないが、
もう一方のマックスはというと課せられた危険な任務をゲームのように扱うという、驚くほどニヒルなキャラになっている。
なお2作品のシステムやストーリーは共通。
マックスの基本性能もボンバーマンと全く同じだが、使用する爆弾は電気属性の爆弾という設定で、爆発音が違う。

通信対戦機能の他、ゲームボーイカラーの特性を生かした『「キャラボン」の交換』や『リモコンシャワー』といった新システムを搭載しており、どちらも完全クリアやコンプリートには必須となっている。


ストーリー

ある時、フューチャースターの制御コンピューター「ブレイン」が暴走。周囲の他4つの惑星を侵略し、惑星を機械化するという凶行に及んだ。
ボンバーマンとマックスは、Dr.アインより、機械化された各惑星に囚われのキャラボン(友好的モンスター)を救出しつつブレインを止めろという指令を受ける。
するとマックスは不敵にも、どちらが先に多くのキャラボンを救出できるか競争をしようとボンバーマンに持ちかけるのだった。
はたして銀河の危機を先に救うのはボンバーマンか、それともマックスか!?


本作の主なシステム

達成率

  • ゲームオーバーになるとどれだけのエリア(ステージ)をクリアしたかの達成率を表彰してもらえる。
    • ただし成績が一番低いと「へぼへぼボンバー」になる。表彰する気ゼロ。
      • セーブ機能が入った「スーパーボンバーマン5」で先駆けて実装されていたシステムであり、同作を遊んでいたプレイヤーには馴染み深いだろう。

ステージ交換

  • 本作ではどちらか一方のソフトでしか遊べないエリアがいくつもあり、片方のソフトだけでは達成率80%が最大であり、100%にはならない。
    • 通信機能を使って未プレイのステージを他者から受け取って全クリして、初めて100%になる。
    • そして本作はマルチエンド。普通にクリアするだけではバッドエンド。達成率80%以上、つまり通信をしない場合は全80面クリアをする事でノーマルエンドとなる。
    • 通信で足りないステージを全て受け取った上で全100面クリアして達成率100%にするとベストエンドとなる。
    • なお本作の通信はゲームボーイカラー本体の赤外線通信機能を使ったものなので、赤外線通信機能が削除されたゲームボーイアドバンスでは通信出来ない。今からプレイしたい人は注意。

キャラボン

  • ステージ中に捕えられているキャラボンを救出すると、そのキャラボンを連れて行けるようになる。
    • 一度に連れ歩けるのは一体のみだが、ゲーム中に自由にキャラボンを交代させられる。
      • 各ステージに落ちているアイテムを入手することでキャラボンの各ステータスを成長させることができる。

リモコンシャワー

  • ゲームボーイカラー本体の赤外線通信機能を使った画期的なシステム。
    • 一部のステージにある特殊マスに操作キャラを立たせた状態で、プレイヤーの自宅のリモコン(TVでもエアコンでも何でも)の電波を本体に当てると、隠しステージに進みミニゲームをプレイできるというもの。
    • 前述のステージ交換同様、ゲームボーイアドバンスでは使えないので注意。

評価点

  • これまでにもシリーズには1作品につき数体のお助けキャラが存在したが、本作のキャラボンはというと全30種もおり、中には「ポミュ」などの過去作のキャラも混じっているというファンサービスまである。
    • それに加えRPGのような成長要素と収集要素まで付いているのだが、ストーリーや世界観を崩すことなく上手く作中に落とし込んでいるのが好印象。
      • 育てたキャラボンを使っての通信プレイさえも可能。キャラボン同士を戦わせたり、融合させて全く新しいキャラボンを作り出したりできる。各キャラボンには属性が設定されており、得手不得手がある。
      • ちなみに対戦で負けた方のキャラボンは勝った方のソフトに移動する(つまり、負けた方のキャラボンは消滅する)。親しい友人とのガチバトルも一興。
  • 通信なしでもボス戦含めて全80ステージ。通信すれば全100ステージと相当なボリュームがある。
    • ステージのゴールが一つではなく、いくつものステージに分岐しており、一周しただけでは絶対に全てのステージは回れない。
    • さらにステージにはクリア条件が課せられており「特定の敵キャラのみを倒せ」「制限時間内に○○しろ」などシリーズマニア向けの設計となっている。*2
      • 中でも「特定のキャラのみを倒せ」は数あるクリア条件の中で一番難易度が高く、ターゲット周辺に別の敵キャラがうろついていることがあるので、巻き込まずに倒すのは困難ながら挑戦のし甲斐がある。
      • 高難度の条件の面にはリモコン等強力なアイテムが置いてある事が多いのでそれを入手すれば比較的楽に進められる。
      • なお一度クリアした面に再度訪れた場合はすでに出口が開いた状態からスタートし、条件を再度クリアする必要はない。
      • 中断セーブ機能が搭載されており、気軽に再開できる。
      • スーパーボンバーマン5では進んだルートでエンディングが分岐したためせっかくクリアしてもバッドエンドでがっかりする事もあったが、本作のエンディング分岐条件は達成率なので条件さえ満たせばどう進んでもエンディングが見られるようになった。ただし別の問題が発生したが…(後述)
  • 作中のミニゲームにも複数の種類がある。
    • 従来のボンバーマンシリーズでおなじみの雑魚敵バロムを倒しまくるステージや、キャラボンのシルエットクイズ、旗揚げなど様々。
    • 何のミニゲームが出現するかは機器による為、家中のリモコンを試してみたプレイヤーもいたとか。
      • ちなみに一番レアなミニゲームは「あみだゲーム」で、ここではアイテムの他に幻のキャラボンを入手することもできる。
      • 幻というだけありバージョン限定のキャラボンで、唯一の複合属性持ち。
  • マックスという強い個性を持つ操作キャラを輩出した点も見逃せない。
    • これまでのキャラとは一線を画すクールな雰囲気により高い人気が出たようで、その後もシリーズ関連作に幅広く登場するほどの役者になっていく。
      • 特にテレビアニメ『ボンバーマンジェッターズ』では、最終話に近づくほど本来の主人公を食うほどの圧倒的な存在感で描かれ続けた。少なくともスタッフからは大変愛されているキャラのようである。

問題点

  • 達成率80%までいかないとエンディングが見られない。
    • 普通に一回ラスボスを倒しただけでは到底80%には届かずバッドエンド。達成率80%まで到達するには何周もしなければいけない。つまりやりこみ前提のゲーム。
    • これに通信機能を使わなければ100%クリアができないという仕様が合わさったせいか、「このゲームは100%クリアしないとエンディングが見られない」という大きな誤解が今日まで蔓延ってしまった。事実この記事でもその誤解に基づいた誤った記述が長い間記載されていた。
  • 一度ステージに入るとステージ選択画面に戻れないというスーパーボンバーマン5でも指摘された欠点はそのまま。
    • そのため未クリアのステージへの入り口を探すのは一苦労。攻略情報に頼らない場合しらみつぶしに探すしかない。
    • 一度クリアした面は出口が開いた状態からスタートできるので条件再クリアの必要はないのが救いだがそれでもかなり面倒。せめてクリア済のステージからは気軽に脱出できるようにしてほしかった所。
  • 対戦機能がキャラボン同士の対戦のみで、シリーズおなじみのボンバーマン同士の対戦は不可能。ボンバーマンGB及びボンバーマンGB2の例を見ての通り、ゲームボーイの画面サイズでは難があるので仕方ない部分もあるが。
    • そのキャラボン対決も負けた側のキャラボンが消滅したりなどの不満点がある。
    • なお隠しコマンドでCPUとの対戦が出来る。*3隠し要素にせず普通にCPU対戦はさせてほしかった所。
  • 同じくクリア条件があったボンバーマンGB2ボンバーマンGB3と比較すると今作のクリア条件は高難度なものが多く全体的に初心者お断りの難易度。
    • 登場する敵も序盤から曲者揃いで、無敵状態になって爆弾を避けながら迫ってくるザウルススターのスカルヘッドや、爆風に反応してその場で回避行動を取るシークレットスターのトビマルなど、敵を倒す事自体にもそれなりのテクニックを要求される場面が多い。
  • ステージギミックもクセが強いのが多い。
    • 下に入った主人公や敵が見えにくくなる屋根が序盤に出てくる。このギミック自体はスーパーファミコン版でもよくあったが、本作ではこの屋根の下にボムを置けなくなっている。
    • 動くリフトを止めるスイッチが終盤に登場するが、このスイッチは投げたボムでなければ押せない。ステージ内にボムを投げられるようになる「パワーグローブ」があるはずなので必ず取る事。
    • 極めつけは4面に登場する土管。主人公は入る事は出来ず、土管の前にボムを置いても特に何も起きないので何に使うのかわかりにくい。
      • 実はこの土管にボムを蹴ると中に入り、対応する別の土管からボムが出てくるというギミック。
      • そしてこのギミックを利用しないとクリアできない面が存在するにもかかわらず、このギミックの使い方の説明はゲーム内にも説明書にも存在しない。ボンバーマンに慣れていない初心者では詰んでしまう可能性がある。
  • リモコンやハートなど一部の強力なアイテムの効果は、次のエリアに引き継げないという制限がある*4
    • ただでさえ本作は難易度が高めな上にこの仕様は初心者にはかなり厳しい。
    • なお、この一部アイテムが引き継げない仕様は次回作「MAX2」にもそのまま引き継がれ、後継作のDS版ボンバーマンなどもその仕様になったことから、何気に標準化していく前兆だったりもする。
  • 他のシリーズ作と比べて操作キャラの当たり判定がやや大きめに設定されているため、わずかでも顔を覗かせていると自爆する。事故率が高め。
  • ステージ構成に横幅1マス分の一本道が多く、行き止まりで敵に追い詰められる事が多い。
  • マップの広いステージでは制限時間との戦いもシビア。ステージのクリア条件を満たした上で、特定のマスに出現するゴールに入らなければならないため、慣れないうちは時間切れミスも十分起こり得る。
  • せっかくのミニゲームで獲得できる報酬アイテムの多くは、先述の通り次のエリアに引き継げないため、がんばって入手する甲斐があまり無い。

総評

GBCでは最後の作品となった本作。独自の要素が多く、その性質上他人と交流することが前提なので一人でプレイするには若干向かない。
それでも現実の小道具をゲームに絡めてみせたり、ポケモンの流行を独自に解釈し新システムとして組み込むなど、シリーズ関連作はおろかゲーム史を見渡してもなかなか見られない意欲作に仕上がっている。


余談

  • ぺんてる製品であるシャープペン芯「Ain」とDr.アインの名をひっかけたコラボキャンペーンが行われ、それに当選すると懸賞品として『ボンバーマンMAX アインバージョン』を貰うことができた。
    • 操作キャラはボンバーマンのみだが、最初から全てのステージを遊ぶことができるという特徴がある。非売品なので今や入手は凄まじく困難。
  • 本作の事件の黒幕である「機械化組織」にMAXは激しい怒りを抱いている、という設定だが本作以降出てこないため、MAXとの関係もいまだに謎のままである。
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最終更新:2024年01月19日 01:45
添付ファイル

*1 ゲームボーイの作品としてはメディアファクトリー発売の『Bビーダマン爆外伝V ファイナル・メガチューン』が最後。

*2 一部の条件は達成に失敗した時点で出口が出現、入ると同じステージを最初からやり直せる。

*3 この場合は勝敗に関わらずキャラボンの移動はない

*4 本作以外では『ボンバーボーイ』でもこのシステムが採用されている