スーパーマリオランド

【すーぱーまりおらんど】

ジャンル アクション

対応機種 ゲームボーイ
発売・開発元 任天堂
発売日 1989年4月21日
定価 2,600円(税3%込)
プレイ人数 1人
セーブデータ なし
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【3DS】2011年6月7日/400円(税5%込)
書換 ニンテンドウパワー
2000年3月1日/800円(税別)/F×1・B×0
判定 良作
ポイント GBロンチタイトル
シューティング面あり
デイジー姫のデビュー作
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

ゲームボーイ史上第2位の販売本数約419万本を誇るマリオシリーズの一つにして、ゲームボーイのロンチタイトル。
宇宙怪人タタンガにさらわれたサラサランドの姫・デイジーを救うため、マリオの冒険が始まる。


特徴

システムは『スーパーマリオブラザーズ』と同じ横スクロールアクションで、主な流れも同じだが、他のシリーズにはない独自の操作や仕様もある。

  • まずアイテムの時点で色々と相違点が多い。
    • 本作ではフラワーを取ってのパワーアップは「スーパーボールマリオ」となり、使えるのはスーパーボール。
      • ファイアボールと比べると前方斜め下に撃ち出すのは同じだが、地面を這っていくファイアボールと異なりスーパーボールはそのまま真っ直ぐ飛んでいって壁や地面、天井で90度跳ね返る特性を持つ。また、スーパーボールをコインに当てるとマリオが直接触れずに取ることも可能。
      • ゲームボーイがモノクロ表示のため、スーパーマリオとスーパーボールマリオの外見は同じとなっている。もっともスーパーボールを発射すれば変身状態は確認でき、ミスすれば両方ともチビマリオになるため、大して悩むこともないが。
    • スーパースターも登場するが、飛び出した後に地面で跳ねずブロックも貫通してゆっくり垂直に落ちていくため、取らないとそのまま床を抜けて画面外に落ちてしまう。また、無敵中のBGMはいつもの曲ではなく、何故かクラシックの『天国と地獄』が採用されている。
    • モノクロ表示故にスーパーキノコと見分けがつかないためか、本作の1UPアイテムはキノコではなく「ハート」になっている。
  • 高得点を稼ぐと、ゲームオーバーになったときにコンティニューできるのも特徴。10万点・30万点でそれぞれコンティニュー回数が1回追加され、タイトル画面でキノコのカーソルを動かして「CONTINUE」を選べば、そのエリアから再開することができる。
  • 舞台がキノコ王国と異なる別の国ということで、敵やマップの雰囲気も従来シリーズとは異なっている。
    • スーパーマリオブラザーズの代名詞とも言えるクリボーとノコノコ、そしてクッパが登場せず、他のシリーズにない敵がほとんどである。
      • 例えば、今作に出てくるクリボーに似たキャラは「チビボー」、亀の敵キャラはノコノコではなく「ノコボン」といい、ノコボンは踏んで甲羅が残っても蹴ることが出来ず、少し経つと爆発する。
      • 過去のシリーズから続投した敵キャラは、唯一パックンフラワーのみ。これについても、従来より土管が細いためかそれに合わせて細長いデザインに変更されている。
    • サラサ・ランドにはピラプト王国・ミューダ王国・イーストン王国・チャイ王国という4つの王国が内包されており、それぞれエジプト風の砂漠の国、バミューダ諸島風の海の国、イースター島風の岩の国、竹やぶの群生する中華風の国となっている。
    • ワールド2・4のエリア3は『スーパーペーパーマリオ』以前では唯一のシューティングステージになっている。
  • 今作は甲羅を蹴る、ものを掴むといったアクションがなく、また変身アイテムが3つしかないなど、非常に簡素なアクションゲームとなっている。
    • これは本作がゲームボーイ最初期のタイトルであり、当時の技術で大きく再現ができなかったためとされている。しかし、簡単かといえばそうでもなく、十分にやり応えのあるゲームである。
    • バグか仕様かは不明だが、しゃがみジャンプをすると何故か通常のジャンプより高く(ダッシュジャンプと同じ)飛び上がれる。
      • しゃがみでハイジャンプが行えるアクションは『スーパーマリオUSA』にも存在したが、あちらはしゃがんだまましばらく溜め時間が必要だったのに対し、本作は単にしゃがむだけで行える。
  • エリア3を除き、各エリアのゴールは上と下に分かれている。上のゴールは下に比べて入るのが難しいが、入ればボーナスゲームとしてあみだくじに挑戦できる。
    • 景品は1UP~3UPとフラワー。スーパーボールマリオの状態でフラワーが当たった場合はハズレになる。
  • 他にもブロック・マップのマス目の大きさがマリオに比べて大きく縮むなど、ひと目でわかる差がてんこ盛り。

評価点

  • マリオシリーズらしく操作性が良好で、アクションの完成度が高い。
    • ワールドは4面、エリアは各3面で合計12エリアしかないが、エジプト風のエリアやイースター島風のエリア、中国風のエリアなどバラエティ豊富である。また、登場する敵もエリアに合った敵が多く、様々な仕掛けもある。
    • クリア後には、敵キャラの配置が増えて難易度が上昇した裏ワールドで遊べる。なお、裏ワールドもクリアすると好きなエリアを選択してプレイできるようになる。ただし、どちらも電源を切ると無効になる。
  • 名曲ぞろいのBGM
    • 軽快なフィールドBGMやボスの待ち構える洞窟面のBGM、中国をモチーフにしたチャイ王国のエリアで流れる中華風のBGMなど、世界観にあったものが多い。
      • 本作のBGMは、近藤浩治氏に代わり、田中宏和氏が担当している。GBの音源設計にも携わってきただけあって、どれもシンプルながら良質な曲ばかりであり、評価が高い。中でも開放感と哀愁感漂うエンディング曲が人気である。
    • 後に「地下BGM」は『大乱闘スマッシュブラザーズX』にてアレンジされて使用された。また、海外においてはゲーム音源を用いたリミックスアルバムがリリースされるほどの人気を誇っている。

賛否両論点

  • 全12エリアなのでボリュームが少ない。慣れれば20~30分程度でクリア可能。
    • ただし最初期のGBソフトということもあり、特に物足りないという程ではない。セーブ機能やワープが存在していないため、ちょうどよいといえる範囲である。
  • シリーズ定番の要素であるワープが存在しない。
    • 裏ワールドを遊ぶには毎回全てのエリアをクリアする必要がある。また苦手なエリアをスキップするというような遊び方もできない。
      • ただ、面数が全体的に少ないことを考慮すれば、ワープを使ってしまえばあっという間にクリアできてしまうのも事実なので良しあしである。
  • 画面の視野範囲は広いものの、その反面キャラ表示が小さく見づらい。
    • 通常16×16ドットで表示していたチビマリオを12×12ドットで表現しており、それに合わせてハテナブロックや敵キャラも小さく描画している。
    • これによって据え置き機作品と遜色ない広い視野範囲を得られているが、GB自体の解像度が低いだけにキャラが小さくチマチマしており、視認性においては欠点となってしまっている。
  • シューティング面の存在。
    • 毛色の異なる戦いなので新鮮といえば新鮮だが、得意でない人にとっては微妙なところ。
    • 5体のボスのうちラスボス含む3体はシューティング面での対決となる。ボスの耐久力は高い一方、自機の連射性能も優れているので接近して撃ち込めば瞬殺も可能。
    • 不得手な人にとっては苦戦させられるだろうが得意なプレイヤーにしてみれば非常にあっけない戦いになる。

問題点

  • 空中での操作の融通があまり利かず、着地点の微調整が難しい。
    • ジャンプした場合と、ジャンプせずに垂直落下した場合とで落下速度が異なり、後者だとかなり速く落ちる。慣れないと違和感がある。
    • また、振り向いてすぐのタイミングでジャンプすると必ず垂直にジャンプしてしまうなど、若干怪しい部分はある。
  • ボス戦が物足りない。
    • 今作のボスはそれぞれに特色のある攻撃方法をしてくるのだが、ラスボス直前及びラスボスを除き、後ろのスイッチを押すだけで勝てるという『スーパーマリオブラザーズ』の攻略法を踏襲しているため、すぐに終わってしまう。
      • 既に『スーパーマリオブラザーズ3』において「ボスは何度も踏んで倒す長期戦」というセオリーが確立されていたが、本作ではアクション面のボスはスーパーボールを当てることでしかダメージを与えることができず退化している。
      • 本作には「頭部を倒されても復活する敵」や「何度踏んでも復活する敵」といったザコ敵が存在するため、そういったことをボスに応用すればバラエティを演出できただろう。
  • スーパーボールは、画面上に一個しか出すことが出来ない。
    • 軌道も斜め下に発射して地面・壁に反射するというもので遠くの敵に当てづらい上に、外すとなかなか消えてくれないので使い勝手が悪い。

総評

ゲームボーイ最初期のソフトということで、性能の限界で本家よりも劣化している部分があることは否めない。
しかし、その制約の中で個性ある敵の攻撃方法や演出・ギミックの面での強化などがされており、シンプルに楽しめるアクションゲームとして工夫されている点は大いに評価できるところである。

国内だけで400万本以上の売上実績を持つゲームボーイを代表するソフトであるが、本格的に本家に劣らない独自の魅力を持つゲームとしての地位を確立するのは次作まで待つことになる。


余談

  • もともと本作のヒロインもピーチ姫が務める予定だったが、当時の任天堂米国法人から「『Peach』という単語には卑猥なイメージがある」とクレームをつけられてしまい、急遽代打として考案されたのがデイジー姫である*1
    • デイジーはその後『マリオオープンゴルフ』にもキャディー役で登場し、それ以降はゲームへの登場はしばらくなかったものの、ハリウッドで製作された実写映画ではピーチを差し置いてヒロインとして登場、コミックボンボンで本山一城氏が連載していた漫画『スーパーマリオ』では本来は彼女が登場しないゲームのときも登場し、出番は多かったため認知度は結構高かった。
    • そして2000年7月21日発売の『マリオテニス64』でようやく本格的にカムバックし、以後もマリオパーティシリーズ(『3』以降)やマリオカートシリーズ(『ダブルダッシュ!!』以降)、その他のスポーツ系ゲームでも、サブキャラ的な立場ではあるもののマリオファミリーにおける常連キャラクターとなっている。
    • ピーチとデイジーは後に「親友」という関係になった。『マリオカート ダブルダッシュ!!』でコンビを組んでいるのをはじめ、良き友人としての描写が多い。
      • 前述の本山一城版コミックスではライバル関係としての面が強調されており、ピーチがマリオとデイジーが乗っている飛行機をバズーカで砲撃するなどしている。ただし前述のとおり、二人を競演させたのは、本編シリーズよりもこのコミックス版の方が先である。
    • その他、 2008年4月10日発売の『マリオカートWii』では子供の姿である「ベビィデイジー」も初登場した。
    • 2017年9月29日にはスマートフォン用の本編『スーパーマリオ ラン』のアップデートによりアクションゲームでは初のプレイアブルキャラクターとして参戦。同作では独自のアクション「2段ジャンプ」を使用できる。
    • 2018年12月7日にはSwitch用対戦アクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にピーチのモーションを流用したダッシュファイターとして参戦した。
    • 2023年10月20日にはSwitch用の本編シリーズ『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』にてプレイアブルキャラとして登場した。同作では性能画一化によりマリオやピーチと同性能となっている。
  • ラスボスのタタンガは本作で死亡したかに思われていたが実は生存しており、本作の3年後に発売された続編『スーパーマリオランド2 6つの金貨』ではワリオの部下として1ボスに降格しつつも再登場を果たした。しかし残念ながらそれ以降のシリーズには登場していない。
    • 漫画『スーパーマリオくん(嵩瀬ひろし版)』のオリジナル大長編ではなんと黒幕の役に抜擢されている。『ドクターマリオ』のウイルス達を部下に従えてマリオ、クッパ、ワリオの3人を同士討ちさせるべく暗躍し、最終決戦では「用済みになったウイルス達は爆破して始末する」と宣うなど、同漫画では珍しい正真正銘の悪役としてマリオ達を苦しめた。
    • なお、前述の『スマブラSP』のスピリッツとしては(アートワーク流用ではあるものの)登場している。
  • 2019年6月28日発売のSwitch『スーパーマリオメーカー 2』では、初代スキンの変身マリオの1つとして本作から「スーパーボールマリオ」が復活。公式紹介動画もアップされている。
    • 変身中はBGMも本作の地上BGMのファミコン風アレンジに変化する他、パワーダウン・ミス・クリア時の効果音も本作準拠となっている。
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最終更新:2024年02月25日 07:03
添付ファイル

*1 また、ピーチ姫自体の名前も初期の作品では「Princess Toadstool」に変更されていた。ちなみにToadstoolとは「毒キノコ」を意味する。キノコ王国のお姫様に対してとんでもない名前をつけたものである。