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グランツーリスモ5

【ぐらんつーりすもふぁいぶ】

ジャンル オンラインカーライフシミュレーター
通常版

SpecII
対応機種 プレイステーション3
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 Polyphony Digital
発売日 2010年11月25日
2012年2月2日(SpecII)
定価 通常版 / 初回限定版:7,980円
RACING PACK(PS3本体同梱版):35,980円
Spec II:4,980円
判定 良作
グランツーリスモシリーズ
SIEワールドワイド・スタジオ作品

概要

期間限定無料配信作『HD concept』と先行作品『GT5 Prologue』でPS3に進出していたドライビングシミュレーターの金字塔『グランツーリスモ(GT)シリーズ』が本格的に再始動を果たしたナンバリング作。
NASCAR・WRC・SUPER GT等のイベント及び車両を本格収録した他、オンラインに完全対応。その他にも新たなシステム・要素を大量に搭載した。

パッケージに使用された車両は、2009年11月16日に発売されたメルセデス・ベンツ『SLS AMG』である。


特徴・評価点

基本的な仕様

  • A-spec/B-spec
    • A-specは自分で走るモード、B-specは監督となってAIドライバーに指示を出し勝利に導くモード。
    • GT4でも両specを任意に切り替えできていたが、本作では完全に進捗が独立する形となった。
  • レベル制
    • 今まではライセンスを取得し、それによって参戦できるイベントを増やすといった形式だったが、本作ではRPGなどのような経験値レベル制に変更された。
    • 具体的には、レースで勝利すると賞金と共に経験値を獲得し、それによってレベルが上昇し購入できるクルマや参戦できるイベントが徐々に増えるという具合である。それぞれ、今のレベル=自分の腕前、レベルの上昇=上達、の目安となっている。
      • このためライセンスは完全に腕を磨く&トロフィー獲得でクルマを貰うというためだけの場所となり、『ライセンスが取れなくてレースに出られない』という問題点は解消された。
  • イベント数はA/Bspecイベントだけを見れば少ないが、スペシャルイベント+追加配信イベントが多く用意されている。それらオンライン追加要素を合わせれば凄まじい大ボリューム。

時間変化・天候変化

  • 一部のコースのみだが、昼・夕・夜・霧・降雨・降雪等、時間の経過による自然の移り変わりを美しく、正確に再現。
  • 時間変化は視認性に、天候変化はレースコンディションにリアルタイムで影響を及ぼしていく。無論、天候変化・時間変化の有無は設定可能。またその変化速度も調整可能。
    • このなかでも『ニュルブルクリンク ノルドシュライフェ』(北コース)は、降雨時の路面グリップ力の変化しやすさが場所によって違うという部分まで徹底再現されている*1。そして夜間走行時の視界性の悪さも再現されているため、『ニュルブルクリンク 24時間レース』の過酷さを追体験できるだろう。

ビジュアルエフェクト

  • PS3の高い演算性能を駆使する事により、ビジュアルエフェクトが大幅に向上。
  • タイヤのシステム構造はシミュレーションレベルから見直され、表面温度にまでアプローチし、リアルに限りなく近いタイヤスモークを発生させる。夜間走行時にはスモークがテールランプに照らされ赤くなるという徹底ぶり。
  • その他、車体で路面を擦った際に飛ぶ火花、風でなびく路傍の草花、赤熱するブレーキディスク、グラベル走行時に巻き上げられる小石等、細かな物理現象もシミュレーションのもとに徹底再現し、小さな表現の積み重ねによりリアリティが大きく増している。
    • トスカーナやサルト・サーキットで打ち上げられる『花火』の美しさには誰もが驚いただろう。この花火は予め用意されたエフェクトではなく、専用に開発された「花火シミュレータ」によって毎回演算されているというのだから驚きである。

多数の自動車レース及びその車両の本格収録

  • レーシングカート
    • 本来はGT6に収録される予定だったが、情報のリークにより急遽収録される事となった。
    • 本作ではモーターレーシングの登竜門である、スプリントカートの入門クラスの車両が収録されている。カートならではのダイレクトな挙動を味わう事が可能。
  • NASCAR(ナスカー)
    • アメリカで開催されているストックカーレース、及びそれに用いる車両の事。本作で初収録。
    • ハイテクの塊のGTカーやF1と違い、マシンコントロールに関わる電子制御が禁止されているため、純粋なセッティングとアクセルコントロールがそのまま実力差として現れる。
      • 対応車自体は通常のレースではTCSやABS等を任意に使用可能だが、イベントのNASCARシリーズの一部ではこれらのアシスト機能が強制的にOFF設定されるようになっている。
    • ドラフティング*2を駆使してオーバーテイクする快感を体験できる他、NASCAR特有の迫力あるピットワークシーンも再現されている。
    • 加えて、『Mr.NASCAR』の異名を持ち当時最多の87勝*3を獲得しているトップレーサー、ジェフ・ゴードンがゲーム内に登場。NASCARにおける様々なテクニックを解説・伝授してくれる。
    • オーバルコースも、インディアナポリス・モーター・スピードウェイとデイトナ・インターナショナル・スピードウェイが登場した。もちろんロードコースも収録されている。
  • WRC(世界ラリー選手権)
    • WRCの車両自体はGT2より登場しているが、本作では『各SS区間での合計タイムを競う』という、現実のWRCと同じルールで競うイベントが初収録されている。
    • またWRCの当時チャンピオンであり、2004年シーズンから9連覇中のセバスチャン・ローブがゲーム内に登場。グラベル・スノー・ターマックで彼のゴーストにそれぞれタイムアタックを挑む事が可能。
  • その他
    • スーパーカーの象徴、フェラーリ&ランボルギーニの車両*4が本格収録。マセラティも『グランツーリスモS』の1台だけだが初登場している*5
    • 『458 イタリア』『ムルシエラゴ LP640』といった人気車種はもちろん、1967年にデイトナやモンツァで活躍した『330 P4』までも収録。ファンを歓喜させた。
    • とりわけコアユーザーから注目を浴びたのが、スーパーカーの代表格の一つである『ランボルギーニ ミウラ P400』。
      • ミウラが収録されているレースゲームは他にも存在するが、本作に収録されたミウラは最初期にたった2台だけしか生産されなかったプロトタイプの内の1台を再現している。もう1台のプロトタイプはテスト中に全損事故を起こして廃棄されているため、世界にたった1台しか存在せず、更にボルト一本に至るまで完全にオリジナルのものが使われているベストコンディションに準拠している。
        存在する事自体が奇跡の車両が本作に収録されているのだから、レーシングカーマニアを多く擁するユーザーの感動は凄まじいものがあった。

収録車種・収録コース

  • シリーズ最多となる1031台もの車が初期収録。その内訳は約200台のプレミアムカー、約800台のスタンダードカーに大別される。
    • DLCでの追加車両やアップデートによる追加車両もあったため現在は更に増えている。
  • プレミアムカーは、エクステリア・インパネ・内装・色・音・ブレーキキャリパー・リトラクタブルライト等を、PS3の性能で再現したハイリアリティなモデル。通常走行では全く見えない後部座席やエンジンルーム等、更にはヘッドライトのハイ&ロー切り替え・ワイパーの稼働・可動部分の作動等も忠実に再現されている。ちゃんと一部の車両のモニター類も動作する。
    • これらのプレミアムカーは、1台につき1か月~3か月もの製作期間が掛かったとの事。CGの綺麗さそのものよりも、実写に見せようとしている努力が窺える。
  • スタンダードカーは、旧作に登場した膨大な数の車を手直しして再収録したモデルなので、一部機能が制限されている。
    • なお、Pカー・Sカー共に問題点もある。詳しくは後述。
  • コースは20ロケーション・70バリエーション以上となっている。
    • 従来と比べコース数が減っているものの、専門の測量チームが現地に赴いて測量を行っているだけあって、再現精度は従来のそれを遥かに凌駕している。特に『ル・マン サルトサーキット』の路面の凹凸、『ニュルブルクリンク』の路面に書かれた落書き等まで、かなり正確に再現されている。
      • 国道246号線を舞台にした東京・R246では、『りそな銀行』や『郵便局』といった看板までもしっかり再現されている。ちなみに『龍が如く』の広告まである。
    • リアルサーキットの再現精度はもはや常軌を逸したレベルにまで達しており、プロのレーシングドライバーには「グランツーリスモでコースを覚えた」とコメントする者まで出る程。

マシンへのダメージ表現

  • 物理演算によって、ボディの傷・凹み・破損等をリアルに再現。特に『C4 WRC』を筆頭とするラリーカーは、ボンネットが外れてエンジンルームが露出するといった素晴らしいダメージ表現が施されている。
    • 但し窓ガラスの破損やタイヤのバースト等といった描写の強いダメージ表現に関してはさすがにメーカーのライセンス許諾に支障をきたす恐れがある為再現されていないが…。
    • スタンダードカーはボディの凹みと汚れのみに留まっており、これについては問題点もある(後述)。
  • また、A-specレベルが一定値を超えると、オフラインレースにおいて衝突時に蓄積されるボディ損傷が足回りやエンジンに影響を及ぼすようになる。
    • 具体的には加速性能が低下したり、真っ直ぐ走らなくなったり、コーナリング時に挙動を乱しやすくなるといったデメリットがゲームを進めるほど段階的に適用されていく。
      これにより、如何に速く走りつつクラッシュを回避して完走するか、という現実のレースさながらの緊張感を味わう事となる。
    • オンラインレースではレベルに左右されず、ホストの任意でこのダメージ制限を掛けられる。
  • 更に派手なクラッシュやジャンプ中に不安定な姿勢になった等の状況下でマシンが横転するようになった。マシンが裏返って走行不能になった場合、時間経過で自動的にコース上に復帰されるものの大幅なタイムロスとなる。

フォトトラベル

  • 前作GT4にも存在した、専用ロケーションでの撮影を主にしたモード。UIとロケーションを一新し、更にロケーション内をある程度自由に歩き回れるウォークモードを搭載。 クルマに乗ってレースに出る以外にも、クルマを使った綺麗な写真を撮ってコレクションするという楽しみ方を提供する要素。今回はPS3のHDDに写真を書き出せるようになったので、他機器での観賞や印刷がかなり楽にできるようになった。
  • 本モードとコース双方で利用できるカメラ機能もデジタル一眼レフよろしく、手動でのフォーカスや絞り、シャッター速度の調整が可能。 当然ながら失敗しても同じシチュエーションで何度でも取り直す事ができるので、プロカメラマン顔負けの写真撮影が簡単にできる。
  • フォトトラベルモードで撮られたプレミアムカーの写真は恐ろしいほどクオリティが高く、何も知らない人に見せるor撮影次第でほぼ間違いなく実写と思われるほど。
  • フォトトラベルの専用ロケーションにも時間変化が実装されており、移り変わる景色やそのロケーションの現地の環境音等も相まって、実に素晴らしい雰囲気を醸し出している。
+ 一例

グランツーリスモから生まれた2台の新しいクルマ

  • フランスの自動車メーカー『シトロエン』と本シリーズのコラボレーションによって生み出されたスーパーカー『GT by シトロエン』は『GT5 Prologue』で登場しGT5P SpecIIIのパッケージを飾ったが、本作でも引き続き収録されている。
    • コンセプトモデルは当時真新しい存在だった電気自動車。ロードカーバージョンはシボレー製のスモールブロック(V8エンジン)を搭載し、その出力は500馬力以上。フルカーボンによって僅か1450kgにまで軽量化された車重、甲冑を模したデザインに戦闘機をイメージした内装、更にはバタフライドアの採用等、正にスーパーカーの名に相応しい1台である。
  • なお、この車両は下記の『レッドブル X2010』と違い、架空ではなく実在する車両であり、モックアップでもない1台のクルマとして製造されている。YouTubeに走行動画がたくさん公開されているため、興味のある人は調べてみよう。
    • 過去に200万ドル・限定5台で販売する計画があったが、残念ながら中止となってしまった。しかし、それでも自動車メーカーとコラボして現実にスーパーカーを作ってしまったという事実は、グランツーリスモがこの当時の自動車界に相当な影響力を持っていた事の現れと言える。
  • そして本作では2005年からF1に参戦しているレーシングコンストラクター『レッドブル・レーシング(RBR)』の全面協力のもと、レギュレーションの枠に囚われない地上最速のレーシングカーの構想を形にした『レッドブル X2010』*6が収録されている。
  • こちらはあくまで現実に製造されなかった架空のクルマではあるものの、モックアップ(後に一般公開された)を使用した風洞実験など、実車さながらの手法で構築されており、レギュレーションが許せば現実に存在し得る。
    そしてその設計にはRBRのチーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューイが携わり、シェイクダウンテストは2010年シーズンF1世界王者のセバスチャン・ベッテルが担当するという豪華ラインナップ。
  • その性能はあらゆるクルマを過去のものにするほど凄まじく、ベッテルが鈴鹿サーキットを走った際には、1周目でF1マシンのコースレコードをいきなり20秒以上更新したほど。ここから先は是非自分の手で確かめてほしい。
  • そして発表から一年。更なる進化を遂げた『レッドブル X2011 プロトタイプ』が追加登場。こちらもエイドリアン・ニューイがしっかりと監修を務めるという、DLCとしてはすさまじい力の入りよう。

オンライン

  • オンラインレース
    • 従来のレースに加え、集まった皆で自由に走行できるフリーレース・観戦モード・テキストチャット・ボイスチャットを搭載している。
    • 当然、コース・VCの有無・車重や車種、馬力、タイヤ等の制限は(ルームホストが)自由に設定可能。レース時には資金と経験値も得られる。
  • My Home
    • プレイヤー1人につき1つ割り当てられる『家』のようなもの。オンラインモードにおけるプレイ記録やカーディーラー、A-specやライセンス等は全てここに集約される。
    • コミュニティ機能が用意されており、PSNのフレンド間でオンラインプレイができるマイラウンジ・掲示板・メール・写真・自作コースの共有等、多彩なコミュニケーションを利用可能。
  • コースメーカー
    • トスカーナ・アラスカ・阿蘇等の基本景観を選び、全長やセクション、バンク等の簡単な設定をするだけでオリジナルのコースが作成できる。 作成したコースはフレンドとの間で共有したり、オンラインでレースをする事が可能。
    • 設定するのは数値だけなので、流石に『モッドネーション』や『リトルビッグプラネット』程に作り込む事はできないが、それなりのロケーションが用意されている上に簡単にサクサク作れるので、面倒にならない。
  • リモートレース
    • 『自分のAIドライバー&クルマ』と『フレンドが公開しているAIドライバー&クルマ』を選択する事により、B-specによるオンラインレースを開催可能なモード。
      • 後のアップデートで、PCやスマートフォン等の外部端末からの遠隔操作が可能となった。

グランツーリスモTV

  • 世界中のレース・クルマに関する様々な映像コンテンツを、GT5上で視聴できるオンラインモード。無料のものもあれば有料のものもある。
  • 配信されている映像はスーパーGT・D1グランプリ・山内氏によるニュルブルクリンク24時間耐久レース密着映像・NSXconcept等の新車の公開映像・レーシングカーの祭典『Goodwood festival of speed』・ヒストリックカーイベント『Pebble Beach -Concours d'Elegance-』・日産『GT-R』や三菱『ランサーエボリューションX』の開発秘話等、実に豊富に揃っている。
  • 本作に影響を与えた本物のスポーツカーやレースカー、プロレーサーをCG抜きで見られる機会であり、モータースポーツファン垂涎ものの充実した内容となっている。有料コンテンツもあるが、お金を払うだけの価値は十分にあるだろう。

配信イベント・ホットカーディーラー

  • 先述の通り、本作はライセンス制からレベル制に変更されているのだが、同時に「後半になるほどレベルが上がりにくくなる」という問題点も生まれた。
  • それへの対抗策として、発売日購入組の経験値稼ぎが辛くなってくるであろう発売から約3週間後に、この配信イベントが開始された。
    • 配信ペースは原則的に1週間に1回、2~5レース用意される。車両は自分で用意する必要があるが、獲得資金&経験値はspecレースよりも多いため、「資金と経験値が稼ぎ辛い」という本作の問題点が一挙に改善された。
    • 現実のイベントとリンクしたレースイベントも定期的に開催される他、「クリアするとプレゼントカーチケット入手」「パフォーマンスポイントを下げるほど獲得資金&経験値が増える」といった形でマンネリ化しないよう手が加えられている。特に後者はやり込み要素を高くしており、ユーザーからは非常に好評であった。
  • ホットカーディラーは、PDIによって選ばれた約20台が新車性能・新車価格*7で購入できるというもの。このラインナップは配信イベントと概ね連動したもので、2週間に1回更新される。
    • 以前は「Specレースに必要な車両が中古車ディーラーでしか買えないため、いつまで経ってもイベントを攻略できない」という問題があったが、これに対してはホットカーディーラーでその車両がほぼ確実に買えるように対応している。
      • 配信イベントに必要な車両も、同時更新されるホットカーディーラーに並ぶため、やはり車両が用意できず参戦できないという事はなくなった。
  • これらの配信イベントは、オンラインサービスが終了する2014年頃まで更新が続けられていた。

DLC

  • 当初はDLCをやらない意向だったが、ユーザーからの強い要望により、2011年10月18日より第1弾が開始された。
  • DLC第1弾ではゲームオリジナルのツーリングカー11台*8とレーシングカート3台、そして先述した史上最速のレーシングカーの後継機である『レッドブル X2011プロトタイプ』が配信された。
    • コースは『カートスペースI/II』と、スパ24時間耐久レースやF1ベルギーグランプリが開催される歴史深いコース『シルキュイ・ド・スパ=フランコルシャン』が追加されている。
  • 第2弾はミニ『ミニ クーパーS』・日産『GT-R ブラックエディション』・フォルクスワーゲン『ゴルフVI R』及び『シロッコR』が配信された。
    • また、同時に行われたアップデートによってトヨタ『86』が無料で追加・プレゼントされた。更にDLCを購入した人への感謝(+重複購入してしまった人へのお詫びなど)の形として、トヨタ『FT-86 II コンセプト』及びグランツーリスモ『レーシングカート 125 SPL.』がさらにプレゼントされるというサプライズが行われている。
  • 第3弾はミニ『ミニ クーパーS カントリーマン』・アストンマーチン『V12 ヴァンテージ』・ランボルギーニ『アヴェンタドール LP700-4』・日産『リーフG』・ジャガー『XJR-9 LM』が配信された。
    • 同時配信されたアップデートで最高速性能・加速性能・最大加速G等を計測できるスピードテスト機能が実装。それに伴いシリーズ最長の全長30kmという凄まじい超巨大コースの『スペシャルステージ・ルートX』も同時に追加された。
  • 第4弾はトヨタ『FT-86』のコンセプトカーと、トヨタ北米ブランドであるサイオンからの『FR-S』。もともとトヨタはGT5というかPDIにかなり協力的*9であり、どちらも無料追加となっている。
    • 今回の有料DLCは本作で削除されていたコース『ツインリンクもてぎ』の復活。従来同様ロードコース・西コース・東コース・スーパースピードウェイの計4バリエーションが揃っており、さらに東日本大震災で破損・修正したスーパースピードウェイのピットとロードコースの接続部分を改めて再現している等、熱心な再現度に拍車がかかっている。
  • 第5弾では日産『GT-R N24』・ホンダ『HSV-010』・スバル『BRZ S』の3台が追加された。
  • 第6弾は、正式発表前であるため外装・内装に偽装を施した次世代コルベットのシボレー『コルベット C7 テストプロトタイプ』が追加された。
    • そして13年1月16日、事実上最後のDLCとして、1月13日の正式発表から僅か3日後に『コルベット スティングレイ ファイナルプロトタイプ』が追加。これは当初からシボレーとPDIのコラボレーションとして予定されていた事であり、改めて当時のPDIが自動車業界に及ぼしていた影響力の高さが窺える。
  • これらのDLCカーは一度入手してしまえば、ゲーム内資金で追加購入できるようになる。レース用、保存兼観賞用として複数保管することも可能。
  • 内有料DLCは、他社・他ジャンルのそれと比較して値段も手頃(クルマ1種当たり100円など)で買いやすいため、好評を持って迎えられた。

その他の特徴

  • リアルな挙動
    • GT4では過剰過ぎるオーバーステアが存在し、GT5プロローグはオーバーステアのハンドルの返りが少なく逆ハンドルのタイミングがやや掴みにくかったが、本作では共に大きく改善・改良されている。また、スピードを出した時に視線が適度にブレる・ハンドルの微妙な振動・スノー走行でのハンドルに伝わる感覚・アンダーステアの抜け感等は、本物に限りなく近づけられている。
    • タイヤの接地感が如実に分かるというか、慣性の法則を意識しながら走るというか、言葉にはしにくいが非常にナチュラルな挙動になっている。
    • クルマの作り込みについつい目を奪われがちだが、実はこのリアルな挙動こそが本作における最大の評価点である。ここまで現実の挙動に近付けたPS3ゲームは本シリーズ以外に存在しない。まして、ハードの性能面を考慮すれば尚更である。
  • サウンド
    • サウンドもより進化。従来では空吹かしのエンジン音だけだったが、本作からトランスミッションの音まで再現するようになり、臨場感のある音作りとなっている。音響も設定や視点に合わせて変動するので、適切な設定を。
    • BGMは189曲を収録。有名所のアーティストの曲を多数収録している他、OP曲『Moon Over The Castle GT5 Version』は過去最高のアレンジとして非常に評価が高い。カスタムサントラにも対応しており、HDDに入れたお気に入りのBGMでドライブも可能。*10
  • グラフィック
    • 言うまでもなくグラフィックはレースゲーム屈指のレベル。1920x1080のフルハイビジョン・60fpsでの最大16台走行が可能であり、この三つを同時に満たしているレースゲームは本作以外存在しない*11。ただし可変60fpsであり、降雪・降雨時に16台走行をすると若干下がる場合がある(40fps程度に)。
      • 車のグラフィックばかりが注目されるが、コース背景のグラフィックも実写と殆ど変わらないレベルである。特に新コース『アイガー北壁』の絶景には誰もが目を奪われた。これらは自分の目で見る方がよりわかりやすいだろう。それほどまでにフォトリアリスティックなグラフィックである。
  • レーシングモディファイ
    • ほんの一部の車両のみだが、GT2以来久しぶりにレーシングモディファイが可能となった。外観・性能・挙動、更には内装に至るまで完全に別物へと変化する。更に一部車両のエンジン始動音も変わる。
    • 特に『インプレッサ セダン WRX STI』は、レーシングモディファイを施すと唯一レーシングカーではなくラリーカーへと変貌する特別仕様。WRCから撤退してしまったスバルへのポリフォニーの愛が見て取れる。
  • プレイヤーとB-Specドライバーのキャラクター化表現
    • 今回、アイテムとしてヘルメットとレーシングスーツが導入され、それを組み合わせてプレイヤー自身の姿をゲーム内で表現する事が出来る。ゲーム内デモなどで、プレイヤーの分身たるレーシングドライバーの姿が描かれ、メカニックやエンジニアと対話する場面もある。
    • リプレイにおいても、コクピットにはプレイヤー自身のドライビングする姿が描かれ、あたかもグランツーリスモの世界の中で自分がレーシングドライバーとして実際に活動しているかのような気分になれる。この姿はオンラインプレイにおけるアバターとしての役目も果たす。
    • また、B-Specドライバーもプレイヤー同様にヘルメットとスーツの組み合わせで個性を表現でき、限定的ながら名前をつけることができるので、実在する(した)ドライバーの再現なりオリジナルのドライバーの設定を夢想するなりして楽しむことが可能。しかも今作では6人まで作成できる。
  • その他の機能
    • 3D立体視に対応。特性上解像度が720pに下がるが、臨場感のあるレースを楽しむ事が可能。当然3DTVが必要。何時間もやってると具合が悪くなるので注意。
    • アーケードモードのみだがフェイストラッキング機能に対応。『PlayStation Eye』で顔を認識させ、レース中に顔を左右に動かしてドライビング中の視点を左右に動かす事ができる。これとハンドルコントローラとドライバー視点を組み合わせる事により、現実さながらの走行が可能。
    • マルチモニターに対応。複数のモニターとPS3を組み合わせる事により、本物に限りなく近い走行が可能。ただそこまで出来るのはお金持ち限定。

問題点

  • ロード時間がかなり長く、特にコースの読み込みに時間が掛かる。インストールしなければもっと長い*12
    • 本作にはゲームをプレイしつつインストールするバックインストール機能があり、ゲームを進めるにつれてちょっとずつ短くなってはくるのだが…。
      • ちなみにver2.00のアップデートによってクルマの読み込みがバックロードになったので、一般的なレースゲームより少し長い程度には落ち着いている。
    • レスポンスも悪い。
      • 一例として、頻繁にオートセーブがされ、その間は各画面にアクセス出来ない。これは前作もそうであったが、今作はオンライン接続が前提のためオートセーブをオフに出来ない。
      • オンライン接続時は、常に情報(ニュース、プレイログ等)をサーバーとやりとりする形になるのか更に動作が遅くなる。
  • 前作までと違い、ライセンス以外でもプレゼントカーが貰えるのは1度きり。間違って売却しないように
    • その代わり一部を除くほぼ全てのクルマは、カーディーラー及び中古車ディーラーで購入できるようになっている。
  • 車ごとに購入可能レベルが設定されており、そのレベルに達しないと車を購入する事すら出来ない。レベル制が批判されている最大の原因
    • カーディーラーならまだしも、中古車を購入する時に致命傷になりかねない。
  • 任意ではあるものの、トロフィーの獲得条件が他のゲームと比較してたいへん厳しい。
    • よく言われているのが、ブロンズトロフィーの「カーコレクター」。
      • 獲得条件が「ガレージのカーコレクション1,000台」なので相当な手間・時間が掛かり、またブロンズトロフィーなので全く割に合わない。ただし馬鹿正直に全てのクルマを集めなければいけない訳ではなく、被り含めてクルマを合計1000台所有していればいいだけなので、配信イベントで稼いで最安価のカートを買いまくれば面倒臭いだけで難しくはない。
    • もう一つ問題なのは全イベントゴールド獲得で解除される「オールゴールド」。それを達成する上で大きな壁として立ちはだかるのがLv30隠しイベント「セバスチャン・ベッテル Xチャレンジ」である。
      イベントの内容は指定された3つのコースを『レッドブル X2010』を使用してベッテルの走行を再現したゴーストが先導する形でのタイムアタックをするというもの。
      • ベッテルはF1世界選手権でレッドブル・レーシングのもと史上最年少優勝からの4連覇を達成した天才。X2010はPDIとRBRが共同開発した史上最速の無制限レーシングカー。…そしてあまり知られてはいないが、ベッテルはグランツーリスモシリーズの大ファン・ヘビーユーザー*13である。
      • つまり、このXチャレンジの基準ゴーストは「重度のGT信者でもある当時現役*14の天才F1ドライバー」が「公式チート車に乗ってガチで走っている」業界からの挑戦状なのである。
        レコードは当時ベッテルが保持していた鈴鹿のF1レコードラップを1周目からいきなり上回るものであり、これについていく難易度は非常に高く、発売当初はパッドでゴールドを獲得した人間は世界で50人もいないとまで言われた。現在ではアップデートでパッド操作性を向上させるアシストが組み込まれており、死ぬ気で頑張れば獲得できるレベルにはなったが、それでもPS3ゲームでは屈指の難易度である。
    • これがあまりにもきつかったせいか、次回作のGT6ではプラチナトロフィー解除の難易度が大幅に楽になっており、またXチャレンジはアップデートでの追加(=プラチナトロフィー解除に影響しない)となった。
  • Xチャレンジ程難しくはないが、ジェフ・ゴードンNASCARスクールについてはVer.1.06以降ABSとASMがOFFに出来なくなってしまったという謎の変更がある。悪影響が大きいため、クリア出来ずに投げ出してしまったというプレイヤーも多いだろう。
    • どうしてもクリア出来ないのなら、インストールデータを消去してVer.1.05以前のバージョンに戻し、これらを切ってクリアするという手もある。
  • スタンダードカー・ダメージ表現
    • 前述の通り、スタンダードカーの殆どはPS2~PSP版までに登場したものをアップコンバートして再収録している。本作初登場のスタンダードカーは数台。
      • GT4やPSP版から収録したクルマはそれほど問題はないが、GT3から再収録したと思われるクルマはテクスチャがかなり汚い。
        そのクオリティのばらつきの激しさは、アプデで修正されたほどのクルマもあれば、プレミアムカーと見紛うほどのクルマもあるほど。
      • 「旧車をリストラしてでもプレミアムカーを増やすべき」という意見もある一方、リストラしたらしたでポケモンのような問題を招くため一概にどちらが正しいとは言いがたい。理想なのは全て作り直しする事だが、コストやスケジュールの関係で不可能なのは想像に難くない。
    • いくつかのクルマはサウンドが使い回されている。本作は基本的に実車からサウンドを収録しているので、実車が存在しない・少ない等の理由でサウンドを再録できなかったクルマは、使い回す以外になかったものだと思われる。
    • 前述の通りスタンダードカーのダメージ表現は『凹む』と『汚れる』のみなのだが、凹むというより『曲がる・歪む』であり、かなり見栄えが悪くなる。
    • スタンダードカーはフォトトラベルでの撮影に使用できず、レースリプレイでのフォトモードでしか撮影することができない。
      • しかしゲーム立ち上げ時のデモにおいて、フォトトラベルの舞台に現在乗車中のクルマが表示されるものがあり、スタンダードカーに乗っていてもちゃんと表示されるため、スタンダードカーでのフォトトラベルの撮影は技術的には可能なものと思われる。
      • 上記のクオリティのばらつきにより、アラが目立つのを開発側が嫌ったためだろうが、デモで見せつけられてしまうとユーザーとしては生殺しの気分を抱く向きもあるだろう。せめて、ズームアップ制限付きでもスタンダードカーでの撮影を実現出来なかったものだろうか。
      • 次回作では、GTシリーズの常連車である4代目のカマロZ28やFTO、またポルシェのチューニングカーを手がけるRUFの車全てを始めとするセミ・プレミアムと呼ばれる高品質モデルのスタンダードカーが多数作られただけでなく、スタンダードカー自体もフォトトラベルで撮影可能になった。
  • 致命的ではないにせよ、細かな不具合が多い。
    • 例えば、「極一部の車両の内部機能(油圧計等)が動作していない」「日本車の海外ブランドの車両が日本正規未導入なのに日本車扱い」「特定の車両を特定ロケーションで写真撮影した際に影が写らない」「グラフィックミス」「誤字・脱字」「可動部分の筈の箇所が動かない」等。
      • プレイに悪影響を及ぼすものはほぼ全てアップデートで改善されたが、上記のような細かなものはスローペースであった。
      • また過去には「アップデートで新たなバグが発生」という事もあった。
  • カスタマイズ
    • 車のボディーカラーとホイールカラーの変更に必要なペイントアイテムが消費制になっているため、自分の思い通りに色を変えるのが難しい。
      • 特に入手しにくいクロム系が好みの人には大きな痛手となる(特にシルバーはかなりのレア物)。
    • また、ボンネットを交換すると、二度とノーマルに戻せなくなる為、ボンネットピンが苦手な人は要注意。
    • GT4にあった中古ホイール(各クルマがデフォルトで装着している系統のホイールや、どこかで見たようなデザインのホイールが買える)が割愛され、旧車や軽自動車に似合うホイールが無くなってしまった。
      • 本作で選択できるホイールはすべて現代的な5つ穴のホイールであり、これらを80年代以前の旧車に装着すると違和感が拭えない。また、軽自動車も本来17~18インチ以上のサイズでデザインされたホイールが10~14インチに縮小されてしまうため、これも不自然になる。
  • 耐久レースの仕様
    • 耐久レースは基本的に3人前後のドライバーが交代して走るものであり、それは複数ドライバーを育成できるB-Specでも導入されたが、A-SpecモードではGT4と同じくプレイヤー1人で走りきる仕様のまま。
      • さらに実在レース準拠のため300kmレースや4時間耐久、果ては24時間レースと凄まじい長期戦が多い。
      • 本作ではA-SpecとB-Specが完全に独立しているため、自身とマイドライバーでチームを組んでの交代もできない。
      • 現在では耐久レースの中断セーブ機能がアップデートで実装された*15ので、この問題点は(時間が掛かるとはいえ)一応解消されている。ちなみに取得経験値やお金の倍率はレースを始めた時の倍率が適用される。
    • B-SpecモードはB-Specモードで、前作で可能だった3倍速モードができなくなっている。
      • これは山内氏曰く「24時間レースを走り切る事で得られる経験を3倍速モードで安易に得てほしくないから」との事。
      • 山内氏自身、現実のニュルブルクリンク24時間レースに出場していたので「簡単にクリアしてほしくない」という気持ちは判るのだが、それならそれで「一度クリアしたイベントで3倍速モードが解禁される」等の配慮がほしかったところ。
      • それよりも「24時間も連続で動かしたら本体に負荷が無視できないほどかかる」という理由で、GT4の頃に3倍速モードを使っていた人が多かったのも事実である。
    • 次回作以降は難易度緩和の流れからか、耐久レースも『6』では24間、『SPORT』『7』は最長でも1時間に短縮されている。
      • ただし、制限時間のあるレースでは時間を過ぎたからといってただちに終了するわけではなく、ゴールしない限りレースが終了しない*16ので、実際には規定の時間より長くかかる場合がある。特に「ニュルブルクリンク」のような全長が長いコースだとなおさら。
  • 一部コースの入れ替えと削除
    • 例えばシティコースの中で旧作から継続登場したのはモンテカルロ市街地コース・東京R246・スペシャルステージルート5とクラブマンステージルート5の4つだけ。他のコースは全て入れ替えられている。
      • これは「全コースが現実の市街地を基に測量を行って製作される」ということにこだわりきったため。現にローマ市街地コースは旧作にも登場しているが、本作でのコース形状は実際の街並みをそのまま使っているため、旧作とは完全に違うコースになっている。
    • 他にもインフィニオン・レースウェイや改修前の富士スピードウェイ等、いくつかのコースが削除されている。もちろん、ニュルブルクリンク・GPコースやトップギア・テストトラック、モンツァ・サーキット等、多数の新コースも収録されているのだが…。
    • ダートコース(未舗装路)はすべて一新されており、コースの風景や雰囲気も完全に変わってしまっている。
      • シャモニー(スノーコース)も登場するが、これも同じ場所であるだけでレイアウトは別。
  • オフラインのUIがオンラインに比べて使いにくい。
    • オンラインでは部屋から直接ガレージにアクセスができるのだが、仕様の関係上オフラインではできず、プラクティスからはガレージに直行できずホーム画面まで戻る必要がある。
    • 先述の通りロード時間が長めなので、オンライン基準で仕様を統一してほしいという声は多かった。
  • 収録車種の問題
    • 発売された地域によってグレード体系や車名が違うという問題があり、GT4ではデータを日本版、北米版、欧州版毎に仕分けて解決していた。GT5ではそれらを1バージョンに一括収録してまとめたため(J)や(EU)という記号付きの車が増殖している。
    • (J)は日本車の海外仕様という扱いだが、一部の国内と海外でスペックが違う車種はGT5では同一のスペックとして扱われている。
      例として三菱GTOを挙げると、国内ではGTOという名前で販売され最高出力280psだが、北米では3000GTという名前で販売され最高出力は320psとされた。GT5では北米仕様は3000GT(J)と表記され最高出力280psとなっておりスペックが間違ってしまっている。日本仕様のものを並行輸入したと言う見方もできなくはないが無理矢理感がある。
      • 他にも海外仕様の車名なのにスペックが日本仕様と言ったものがたくさんある。
      • 最大の問題点はこの記号付き車種が収録車種数に数えられていること。CGモデルやセッティングの数値、スペックなどは一部を除き同じであるため、水増しと言われても仕方がないだろう*17
      • ゲーム内でこの記号について一切の説明が無いのも問題である。
      • このような現象が起きてしまった理由は、おそらく本作では世界中の人々とのオンラインプレイが可能であり、そこで一部バージョンにしか収録されていないクルマが登場すると問題が発生するためだと思われる。
      • これらの問題点があるのはスタンダードカーのみであり、プレミアムカーにはこのような問題を抱えたクルマは存在しない*18
  • 中古車ディーラーで特定の車を出すのが面倒臭い。
    • 中古車のラインナップはレースに出場する度にランダムに更新される。

総評

  • ところどころ粗や不具合が目立つものの、サウンド・挙動・収録車数・グラフィック・それらのクオリティの高さ等、総合的な出来栄えは高く、次世代のグランツーリスモに相応しい品質であると言える。
    • また、そのクオリティの高さを称えられ、Game of the Year 2010を獲得している。
    • PS2とPS3では普及台数に大幅な差がありながら、プロローグ+本編の売上はGT4のそれを超えており、本編単体での売上もGT4に匹敵している。

余談

『ゲームの枠を超え、ヴァーチャルをリアルに』

欧州日産とSCEE、そしてポリフォニー・デジタルによって、『GTアカデミー』と呼ばれる企画が立ち上げられた。
その内容は、欧州12ヶ国のGT5Pトッププレイヤーに腕前を競わせ、勝ち抜いた者にドバイ24時間耐久レースの参戦権を与えるというものである。
この企画の『グランツーリスモのシミュレーション環境下で培ったドライビングテクニックを実戦に結び付け、ヴァーチャルをリアルにする』というコンセプトは、プロデューサーである山内一典氏が10年以上思い描いた夢でもあった。
3万人近い参加者の中からファイナリスト22人を選出し、更にその中から厳選されたのはスペイン出身のルーカス・オルドネス氏。
ルーカス氏の実力は確かなもので、ドバイ24時間耐久レースでは元F1ドライバーのジョニー・ハーバートをも超えるタイムを叩き出し、2009年の欧州選手権ではシリーズ2位を獲得するという好成績を残した。
そして2011年。世界3大レースイベントの1つである『ル・マン24時間耐久レース』に出場し、クラス2位として表彰台に立つという素晴らしい成績を残した。更にインターコンチネンタル・ルマンカップ(ILMC)でもLMP2クラスタイトルを獲得するという大変な成績を残している。
この企画は現在も続けられており、スパ24耐やル・マン24耐などでGTアカデミーは好成績を残し続けている。
この素晴らしい結果は、グランツーリスモでトレーニングすれば大半のドライビングテクニックは習得する事ができ、安全で速いドライビングのセンスが自然と身に付く事の証明であり、またグランツーリスモのシミュレーション性が『本物』である事の証明でもあると言えよう。
余談だが、ルーカス氏のキャリアは幼少期のカートからスタートしており*19、純粋なゲーマーからのレーシングドライバー転向という訳では無い。少なくともファイナルラウンドでは実車を使うという事もあり、極端だが「食ってシートに座ってを繰り返し、ブクブクに太った奴はいくら速くとも脱落する」というのは、今後GTアカデミーを通しレーサーとしてデビューしたいと言うなら覚えておいてほしい。
車の運転というのはめちゃくちゃに筋力と持久力を要求され、例えば元F1ドライバーのジェンソン・バトンは「トライアスロンのフルレースを完走する」レベルの陸上アスリートでもある。

また、GTアカデミーの実話を元にした実写映画『グランツーリスモ』が制作された。2023年9月より公開。

『ヴァーチャルとリアルのコラボレーション』

トヨタ自動車株式会社とポリフォニー・デジタルによって、とあるコラボレーション企画が立ち上げられた。
それは、自動車の車両制御に用いられているController Area Network情報と、GPSによる位置情報を用いて、実車の走行をグランツーリスモ上でビジュアライズするというものであり、これによってプロの走りを分析して自分の走りにフィードバックできる。
簡単に言えば、実車の走行データをゲーム上でそっくりそのまま再現し、プロのゴーストと対戦する事もすぐ可能になる。
この実車の走行を、リアルタイムでライブ再現する事も視野に入れているという。
クルマやコースの再現精度が非常に高い本シリーズだからこそ可能な画期的な試みであり、次回作のGT6以降で実現に至った。


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最終更新:2024年04月14日 17:22

*1 ニュルブルクリンクは全体で300mもの高低差があり、結果ハイドロプレーニング現象が発生しやすい個所が複数存在する。

*2 NASCARにおけるスリップストリームの同義語

*3 2015年に引退、最終勝利数はカップシリーズ93勝+下位シリーズ5勝。

*4 ランボルギーニの車両自体は過去にGT3にてディアブロのJGTC(現SUPER GT)仕様が登場していたが、メーカー名のみ実名では登場していなかった。

*5 PSP版にも登場していたが、権利ロゴだけで車両は収録されていなかった。

*6 発売当初の車両名は『レッドブル X1』。後のアップデートで名称変更された。

*7 ただし慣らし運転済みの設定であり、正確な意味での新車ではない。

*8 ドイツツーリングカー選手権(DTM)のツーリングカーとは別。GTにおけるツーリングカーとは、レギュレーションに縛られないレーシングカーを指す。

*9 『FT-86 コンセプト』『FT-86 G スポーツ コンセプト』が完成した際、「86のコンセプトカーが完成したのでGT5に収録してください」とトヨタ側から言ってきたほど。

*10 過去にカスタムサントラに関するバグがあったが、「バグが発生するタイミングでデフォルト曲に変える」という形で修正された。

*11 フルハイビジョン・60fps・最大同時走行台数14台の『リッジレーサー7』超え。

*12 ちなみに初回起動時のインストールに掛かる時間は1時間位とされているが、本体の状態によって大幅に変わるので注意。画面に表示されるインストール時間は当てにならない。

*13 日本メディアのインタビューに「鈴鹿のレイアウトはグランツーリスモで覚えたんだ」とわざわざ語っていたほど

*14 ベッテルは2022年に引退。

*15 ピットイン時に表示されるメニューで中断セーブが可能。次回起動時はピットイン直前から再開される。

*16 シリーズ全般も現実のレースもそうだが、制限時間のあるレースでは時間を過ぎた時点での周回がファイナルラップになる。

*17 過去作では××車種××グレードという表記が使われたことがあったが今作では使われていない。

*18 余談だが次回作では中古車ディーラーが廃止されたため、大量のスタンダード扱いだった車と一緒に並ぶことになり特定のメーカーの車が探しづらいという別の問題が発生した。主な被害者はRX-7やロードスターを有するマツダやスカイラインGT-Rが所属する日産あたりだろう。

*19 しかし経済的な理由から一度ドライバーとしての活動を断念していた。