ティアーズ・トゥ・ティアラ 花冠の大地

【てぃあーずとぅてぃあら かかんのだいち】

ジャンル アドベンチャー+シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション3
メディア BD-ROM 1枚
発売・開発元 アクアプラス
発売日 2008年7月17日
定価 7,140円(税込)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
備考 AQUAPRICE 2800:2009年7月16日/2,940円
判定 良作
Leaf/AQUAPLUS作品リンク


概要

Leaf(リーフ)が2005年に発売したWindows用18禁シミュレーションRPG『Tears to Tiara』のリメイク版。
原作にあったエッチシーンの全削除だけでなく、キャラクターデザインや戦闘システムに手が入る等大幅な変更を受けており、一般向け移植に止まらないほぼ別物となっている。


ストーリー

かつて…黄金の時代があり、白銀の時代があり、青銅の時代があった。
「青銅の時代」の終焉から1200年。
大陸では新たに勃興した「神聖帝国」がその勢力を広げ、あまねく辺境の地や、かつての「古代王国」の領域までをも呑み込みつつあった。
そんな中、帝国の侵攻を受けた「エリン島」では、ゲール族の少女「リアンノン」が、魔王「アロウン」復活の儀式の為、今まさに生け贄にされようとしていた。
様々な要因が重なり、儀式自体は失敗してしまったかのように見えたが、結局、魔王「アロウン」は復活してしまう…
(公式サイトより抜粋)  


特徴

  • 本作はアドベンチャーパートとシミュレーションパートを交互に繰り返すゲーム形式となっている。ストーリーを重視したゲーム構成となっており、一般的なシミュレーションRPGと比べると、シミュレーションパートよりもアドベンチャーパートの比重が高い。そのため、ジャンル名も「アドベンチャー+シミュレーションRPG」を謳っている。
    • 1時間以上アドベンチャーパートが続く事も多い。ただし定期的にセーブタイムが入るため、長時間の拘束を強いられる事はない。
  • 戦闘システム。
    • 基本システムはオーソドックスなターン制のシミュレーション。いわゆる『タクティクスオウガ』ライク。シンプルなシステムで且つ難しすぎず簡単すぎない適度な難易度のためゲームバランスは良好、ハードルは低くシミュレーションRPG初心者でも入り込みやすい。反面「これ」といった特徴が無いシステムなので、シミュレーションRPGをやり慣れたユーザーからして見れば物足りなさも感じやすい。
    • チェーンストック。
      • 敵に攻撃したり、敵から攻撃を受ける度にチェーンゲージが溜まっていき、チェーンゲージが一定量溜まるとチェーンストックを消費してチェーン攻撃やブースト魔法を使用する事ができる。またチェーンストックは最大4段階まで溜める事が出来る。
      • チェーン攻撃は『うたわれるもの』の連撃と同じ様なものでタイミングを合わせて○ボタンを押す事で追加攻撃が出来るのだが、うたわれとは違いチェーンストックを消費する代わりにダメージの減少量は少ない。またチェーンストックを4つ消費した場合最後に必殺技が発動する。
      • ブースト魔法はチェーンストックを消費する代わりに通常よりも強力な魔法を使う事ができる。ブースト魔法の効果は威力アップ、効果範囲の拡大、移動後使用不可魔法が移動後も使用可能になる等、各魔法毎に異なる。
    • エレメントサイクル。
      • 一定ターン毎に各属性の好調期が訪れ、該当する属性のキャラクターはそのターンのみ能力値がアップし、その属性の攻撃の威力が上がる。

評価点

  • ストーリー。
    • 本作の大筋は「大魔王でありながらゲール族の族長に祭り上げられた主人公アロウンが仲間と共に神聖帝国と戦う」という、戦記モノにおける王道ストーリーであり、王道ながらも良く練られたシナリオと熱い展開が好評だった。
    • 少年漫画的な熱い展開やセリフ回しが多く、特にアルサルとタリエシンの決闘シーンやアヴァロン城攻防戦は、その熱さから定評がある。また、作中のアロウンの台詞「俺が求めるのは王権では無い。ただの王道だ。」は本作を象徴する台詞でもある。
    • 終盤の「アロウンの過去編」は、自身が「無知で哀れな子羊だった」と評した過去のアロウンが、父親の死や一人の人間の少女との出会いを通じて変わっていき、やがて魔王となった描写が丁寧に描かれており評価が高い。
    • アロウンの何気ない台詞の中にはストーリーの核心に迫る伏線が多く、プレイヤーは1周目は何も知らないアルサルに、2周目は世界の秘密を知るアロウンに感情移入して2度楽しめるストーリー構成になっている。
  • キャラクター。
    • 「重い過去を背負う大魔王だが意外と面倒見がいいアロウン」「真っ直ぐな熱血馬鹿にして極度のシスコンのアルサル」「一見いい加減な女たらしに見えるが実はアルサル並みの熱血馬鹿なタリエシン」など魅力的な男性キャラが多く、男性キャラ達がギャルゲームとしては異例な程活躍する為「漢祭りゲー」と評される事も多い。
      • 特にアルサルは妹にしてヒロインであるリアンノンのポジションを喰ってしまう程の活躍から、「アルサルが本作の正ヒロインである!(笑)」とネタまじりに言われる事もある。
    • 「じゃあ女性キャラは大した事無いのか?」と聞かれるとそんな事は無い。元がアダルトゲームなので当然ではあるが、メインのリアンノンや露出度の高い恰好をしているモルガンなどヒロインも皆魅力的。
  • 音楽。
    • このメーカーのゲームとしてはお約束であるが良曲が多く、「末期の言葉」「超えてゆく者」「初源の歌」「最期の誓い」などイベント曲に良曲が多いため、本作のメインとも言えるアドベンチャーパートを盛り上げるのに役立っている。中でも、Win版の主題歌の男声英語版である「Tears to Tiara-凱歌-」は本作屈指の名曲といえよう。
    • Win版のED曲である「Until」はまさかのラスボス戦での起用となった。しかし戦闘前の演出もあり意外と違和感無く場面に馴染んでいる。
  • ゲームオーバーになった場合その時点でのレベルを引き継いで戦闘を最初からやり直す事ができる。再戦を繰り返せばレベルを上げる事ができるためSRPG初心者であっても余程の事が無い限り、詰まる事が無いようになっている。

賛否両論点

  • キャラデザインは概ね好評だが、それでも「原作の方が良かった」と言う声は少なからず存在する。
    • アロウンやモルガン等はまだ面影が在る方で、アルサルに至ってはほぼ別人と化している。
  • ストーリー終盤ではリアンノン以外のヒロインは会話に参加させてもらえない事が多く、「空気化している!」と言っても過言ではない。
    • 中盤までは活躍するイベントも多いモルガンとオクタヴィアはまだ救いがあるのだが、スィールとラスティは全編を通して影が薄く「いなくてもいいのでは?」と言うユーザーもいる。
      • ただしそれらの女性キャラも人気自体は高く、本編と関係が無いサブイベントでは活躍する事も多い為あからさまに冷遇されている、という程ではない。
      • また、最終章ではきちんと全てのヒロインに見せ場が用意されている。

問題点

  • 自由度。
    • 先述した通りストーリーを重視したゲーム構成であるため、一般的なシミュレーションRPGと比べてできる事が少ない。結果としてストーリーに集中できるものの、ストーリーよりもゲーム性を重視するユーザーにとっては、やや物足りないと言わざるをえない。
  • 汎用ユニット。
    • 本作は汎用ユニットを雇用できるシステムがあるが、戦士系と魔道士系が男女1種類ずつと、汎用キャラのグラフィックが4種類しかなく、汎用キャラを育てる楽しみは薄い。
    • そもそもストーリーのメインキャラクターが魅力的で且つ人数も多く、汎用ユニットを使わなくてもクリア可能な難易度設定のため、メインキャラクターだけでゲームを進めるプレイヤーも多い。
  • 戦闘のテンポがやや悪い。
    • キャラがダメージを受けて倒れなかった場合ダメージ量によって、ガードする、仰け反る、痛がるの3種類の演出があるのだがその内の痛がるが他と比べて演出が長めである。また攻撃範囲外の敵がやたらと補助魔法を使うのもテンポを悪くしていると言える。

総評

オーソドックスな作りではあるが、完成度の高いシナリオや音楽など良点は多い。戦略シミュレーションとしてはやや物足りない部分もあるが十分及第点であり、ストーリー性を求めるユーザーからは名作との呼び声が高い。
 



余談

  • プレイステーション3初のエロゲー関連作品である。
  • 本作はネタまじりで「パッケージ詐欺」と言われる事もある。
    • パッと見ではパッケージ中央下で剣を構えているアルサルが主人公に見える。実際はその左にいるアロウンである。
  • アクアプラスの御祭り格闘ゲーム『AQUAPAZZA -AQUAPLUS DREAM MATCH-』に本作のキャラも参戦している。
    • 操作キャラはアロウン、リアンノン、モルガン。サポートキャラはオクタヴィア、ラスティ。
      • 因みに男性キャラはアロウン、『うたわれるもの』のハクオロとアップデート追加されたオボロしか参戦していない。
  • 2009年に『ティアーズ・トゥ・ティアラ』のタイトルでTVアニメ化された。
    • モルガンの触手シーンは無かった事になっている。余計な事を。
  • 最強武器“ギガエドラム”“ギガダーンウィン”の存在が発覚したのはなんと発売から10か月後。これらの存在は攻略本にすら掲載されていない。
  • 公式は逆移植、いや18禁化について「費用も手間も掛かるからするつもりは無い(要約)」と語っている。
    • 18禁化を望む声は在るが、そもそもリーフは2018年の『WHITE ALBUM2 EXTENDED EDITION』を最後に事実上活動(少なくとも新作開発は)していない。「もうアダルトゲームは作らないのか?」と落胆しているファンも多い。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 2008年
  • PS3
  • ADV
  • SRPG
  • AQUAPLUS

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最終更新:2024年02月26日 01:30

*1 「エドラム」「ダーンウィン」といった直接的な物だけでなく、「ヘボ詩人の弓」「双竜の鍋つかみ」といった間接的な由来の品も多い。