本項では『リッジレーサーズ』『リッジレーサーズ2』を併せて紹介します。


リッジレーサーズ

【りっじれーさーず】

ジャンル レースゲーム

対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 1 ナムコ
2 バンダイナムコゲームス
発売日 1 2004年12月12日
2 2006年9月14日
定価 共通 5,040円
2(DL) 2,500円
判定 良作
ポイント シリーズ集大成
ハード性能を活かした演出
起動前ミニゲーム復活
ニトロ初登場
全体的に低難易度
一転して極悪なMAXツアー
リッジレーサーシリーズ


概要

PSPのロンチタイトルの1つ。略称は主に『RRs』『RRs2』が使用されている。
『リッジレーサー』シリーズの集大成として製作された為、主に過去作のコースなどの再録がメインとなっている。

2006年に発売された『RRs2』は完全版と言える作品であり、現在において『RRs』をやる意味は薄い。
しかし『RRs』には「PROツアー」の一対一のツアーにとある特殊演出がある等、『RRs2』との違いがある。
『リッジレーサーレボリューション』以来の、起動時のロード時間に遊べるミニゲームが収録されており、『ニューラリーX』をAC版ほぼそのままを遊ぶことができる*1
また、このゲームにしか収録されていない『ニューラリーX』の高難易度バージョンも用意されており、『RRs2』ではそちらがデフォルトになった。
なお切替は隠しコマンドで行う。


ゲーム内容

レースゲームなので基本は1位を目指すゲームなのだが、以下のようなゲームモードがある。

  • 『ワールドツアーズ』
    本作のメインとなるモードで、いわゆるストーリーモード的な立ち位置である。
    コースが決められた複数のレースから成る「ツアー」をクリアしていくモード。「BASIC」「PRO」「EX」と、『RRs海外版』『RRs2』のみ「MAX」が追加されている。
    • 忙しいorクリアーしたけどまだ遊びたい人の為に目安になる時間を指定して自動でツアーを生成する機能もある。
  • 「シングルレース(RRs)」「アーケード(RRs2)」
    コースを選んで11台のマシンとレースを行うモード。
    • 『RRs2』では「アーケード」と名称が変わっており、アーケードのレースゲームのような制限時間とチェックポイントが追加された。
  • 「デュエル」※『RRs2』のみ
    『RRs』ではワールドツアーズ内の「PROツアー」のみでしか出来なかったが、『RRs2』にてようやく通常モードとして登場。
  • 「サバイバル」※『RRs2』のみ
    4台でバトルし、ラップごとに最下位が脱落する生き残りバトルを行うモード。同じ台数で走る後述の「MAXツアー」とは別物。
  • 「タイムアタック」
    自分1台のみで走り、ゴールするまでのタイムを計測するモード。
  • 「ワイヤレスバトル」
    『RRs』のシングルレースと同じルールでワイヤレス通信によって8人までの対戦が可能。
  • 「AVプレイヤー」
    ゲーム内に収録されている好きな曲を、プリセットリプレイor保存しているリプレイを閲覧しながら視聴出来るモード。

評価点

今見ても秀逸なグラフィック

  • グラフィックは60fpsを維持しつつとても綺麗な仕上がり。PSP発売当時においては携帯機とは思えない程のグラフィックを実現している。
    • 『RRs2』へ移行した際には、特に目立った画質の向上は見られなかったが、それでも陳腐化していない事からも、このグラフィックの完成度の高さがうかがえる。

新システム「ニトロ」

  • レース中に溜まったニトロゲージを消費することにより、一定時間パワーの増加に加え、エンジンのリミッターがカットされ、本来の最高速以上の速度が出る新システムが新たに採用された。
    • ゲージはドリフトを行うことで溜まっていき、ドリフトの速度が速いほどゲージの溜まり方も早くなる。
    • ニトロ中はチャージできないが、ニトロが切れた直後の高速状態でドリフトするとより多くのゲージが得られる「アルティメットチャージ」など、やり込み甲斐のあるシステムになっている。
    • ただし、本作品でのアルティメットチャージは「概念」であり『6』『7』以降のような「システム」という存在ではないため、アルティメットチャージを決めてもゲージは赤く光らず、チャージ量も通常チャージと比較して少し増える程度である。
      • F-ZERO』など他作品のブーストシステムと大きく異なるのが「加速性能に対する恩恵がほとんど無い」という点。最大回転数付近でないと効果を発揮しないので、ミスしてスピードを落とした後に点火しても、大抵はゲージの無駄遣いに終わってしまう。
    • 特定のテクニックを用いる事で、マシンに仕様としてのブーストが掛かるレースゲームはこれまでにも多数存在していたが、中でもドリフト主体のシステムを持つリッジレーサーとの相性は極めて良好。
    • 基本的に「速いドリフト」をすれば、それだけ溜まり具合もいい為、ニトロの為にわざとらしいドリフトをする必要はなく、速さを追求する中で自然と用いやすくなっている。
      • ニトロのシステム自体のバランスも取れており、前作の『V』が肌に合わなかった人でも楽しめる出来となっている。
  • しかし、次回作以降では今後は行き過ぎたドリフトやニトロ依存が始まる*2事になり、これまでの評価が真っ二つになってしまう事になる。
    この為、本作の要素として嫌うとまではいかないが、「終わりの始まり」として、このシステムを嫌うシリーズファンも少なくない。
    • 前述の通り、本作のニトロのバランスは取れている為、少なくとも本作でのニトロはこの後の作品で白い眼を向けられている様な評価ではなかった事は付け加えておく。
  • 余談だが本作におけるニトロは、ニトロ燃料の事ではなく「ナイトラス・オキサイド・システム」という機構を指す*3。どちらも英語では「nitro」と表記される事があるので、日本人には馴染みのあるニトロ表記になったのだろうか。
    • ちなみに、ここまで露骨ではないがニトロ(ナイトロ)自体は現実世界にも存在する技術である。もちろん、ドリフトしてチャージなんて事はできないが…。

ドリフト特性によるタイプの統一化

  • リッジレーサーお得意のお手軽爽快なコーナリングは、上記ニトロシステムを前提に大幅に変化。グリップタイプが廃止され、ドリフトアングルの付けやすさで3タイプに分類されるようになった。
    • マイルド(MLD)…ドリフト時の姿勢変化が穏やかで、ドリフトを制御しやすい初心者向けタイプ。ただし、ドリフト時の減速が激しい。
    • スタンダード(STD)…ドリフトアングル、ドリフト時の減速具合双方がMLDとDYNの中間のタイプ。初~中級者向け。
    • ダイナミック(DYN)…ドリフトが発生しやすいうえ姿勢変化が急激で、ドリフトを制御しにくい上級者向けタイプ。ただし、ドリフト時の減速は緩い。
  • 基本的にドリフトすること自体でのニトロチャージ量は「基礎係数(原則としてDYN>STD>MLD)×ドリフト中の速度」で計算されている。
    • ドリフトアングルはつければつけるほど減速するが、逆に浅すぎても減速してしまう。そのため「速いドリフトをする」には「適切な角度*4でドリフトする」必要がある。
      • このアングル調整はMLDの方がやりやすいのだが、上記の通り減速が激しく、短時間でドリフトによるカーブを済ませる必要がある。
      • 一方、DYN車を操り適正アングルで走れば最速となるが、鈍重なステア特性を持ちドリフト終了も難しいDYNでそこに至るまではかなりの慣れが必要となる。
      • またスペシャルマシンはSPLというタイプで括られているが、実際は車ごとにこの3種のどれかに振り分けられている。
      • なお、アルティメットチャージが「システム」として確立している『6』『7』以降では同システムに併せる形で「MLDはドリフト時の減速が緩やかだがアルティメットチャージ量が少なく、DYNは逆に減速が激しいがアルティメットチャージ量が多い」という、本作品のドリフト特性の真逆に変化したと言える改定を受けている。
      • 『6』『7』以降から本作品に入った人は注意が必要である。なお、その逆もまた然りである。

美麗に復活したコース郡

  • コースは過去の作品に登場したものを再登場させている。特に『レイブレーサー』に登場したコースは家庭用ゲーム機の作品においては初の収録となった。
    • また、この『レイブレーサー』のコースを元にした本作オリジナルのコース2つも登場している。
    • さらに『RRs2』では『R4』までの全てのコースが登場し、順走だけでも21コースと大ボリューム。当然のことながら、このコース数は当時でシリーズ最多となるコース数を記録している。
    • ただし、『V』が初出のコースは全て未登場*5。また、言っても焼き直しコースである為、シリーズを遊んだことがあると目新しさは薄い。

進化した架空車種

  • 『RRs1』のプライスであるマシンデザイン集の説明に「元自動車メーカー所属のエクステリアデザイナー起用」と記載されているだけにこれまで以上にカッコ良くなり、オリジナリティを感じる『リッジレーサー』特有の架空車。
    • マシンは一部を除いて過去作品に登場したマシンの名前を使っているが、何れも「モデルチェンジを挟んだ」として、2000年代的なフォルムにリメイクされている。
    • 終盤のワールドツアーをクリアすることで手に入るスペシャルマシンは『RRs』と『RRs2』で異なる数少ない点。
      • ただし、『ラリーX』のマシンが使えるのは『RRs』のみ。

賛否両論点

ドリフト挙動の大幅な変化

  • ドリフト時の挙動の補正が大幅に強くなり、とりあえず滑らせておけば複雑なコーナーでもコースに沿ってほぼ曲がり切ってくれるようになった。
    • 以前のシリーズのファンの否定意見としては「決められたレールの上を走っているようで制御している感覚が薄い」「簡単すぎて爽快感がない」という声がある。
    • 過去にも逆方向ドリフトで曲がれるなどの不可思議な挙動はあるが、本作はかなり露骨にコースに沿う。前作がシリーズでもリアル寄りの挙動を取り入れた『V』なため反動が大きい。
    • 一方で、今まで以上にドリフトが手軽になり、難易度が高めだった本シリーズやレースゲームとしてのハードルを下げる働きをしているのも事実である。携帯機作品という事情から、屋外でプレイする人やライトユーザー向けの調整とも取れる。
    • また、ニトロによってレースのトップスピードがさらに高速化したことや、挙動の仕様が全く異なる過去作のコースを一作に収録する試みから、このような挙動でなければロクに曲がれずゲームとして成り立たなかった可能性も考えられる。
    • 本作以降シリーズでもドリフト挙動は殆ど本作のようなものに統一され、過去作ファンからはニトロシステム自体と同様に賛否が分かれる点となっている。

一部のRemixBGM

  • 本作は過去作のアーティストを再結集して新曲を作成、さらには過去作BGMの一部をリミックスして再録、そして過去作BGMの原曲も一部収録している。
    • 新録の新曲・リミックス共々出来は良いのだが、一部のRemixBGMに関して否定意見がある。
    • 一部RemixBGMに対して、原曲の持つカッコよさが損なわれている、原曲との繋がりがサンプリング音源ぐらいしかない、という意見がある。
    • この意見に関しては一概に否定できない部分もあるが、あくまで原曲の「Remix」であるが故、原曲に比べて雰囲気が変化してしまうのは言わずもがなである。
      • 原曲が登場してから年月が経っており、当時と比べてBGMの流行が変化したという要因もあるだろう。
    • 一方でレイジレーサーのBGM(とある理由で原曲・Remix共々新録)や、「Motor Species Remix」「Paris Remix」に関しては、原曲に比べ変化に乏しい、リミックスというよりアレンジだ、という意見がある。
    • しかし、レイジレーサーのBGMに関しては後述の理由がある上に、「Motor Species Remix」「Paris Remix」に関しても、他のBGMの様な大幅な変化は無いが、しっかり原曲との差別化がなされている。
    • これらのRemixBGMに対し、ここまで雰囲気が変わってしまうのなら原曲をもっと多く収録してくれた方が嬉しかった、という意見もあるが、この意見に関しては最早「個人の嗜好問題」であると言っても良いだろう。

問題点

挙動の差別化の簡略化

  • 『V』で顕著であった車種毎の大幅な挙動の違いはオミットされ、ドリフトタイプの3種類でドリフト時の挙動に違いがある程度になってしまった。
    • 同じドリフトタイプ内ではクラスと各車種の強化版により、ほとんど速度が違う程度の差しかない。
    • いくらドリフトタイプが違うと言っても『R4』のドリフト/グリップのような根本的な曲がり方に違いがあるわけではない。

ハブられてしまった一部要素

  • 前述の通り、『リッジレーサーV』までの集大成であるにもかかわらず、『V』で新登場したコースは登場しない。
    『RRs』発売当時は、PS2が据え置き型最新作だったため避けられたと思われるが、『RRs2』でもこれについては変わらず。流石に6年も経てば収録してもいいはずだが…*6
    • なお、『V』に楽曲を提供したマイク・ヴァン・ダイク氏やBOOM BOOM SATELLITES、上田剛士氏による楽曲も一切収録されていない。こちらは版権曲なので事情は鑑みる事ができる。
    • 『RRs2』の発売は『6』の発売後だったため、期待はされていたのだがダブル・トリプルニトロの輸入がなかったのも寂しい所。
    • また『RRs2』の追加コースである「ミシカルコースト」(初出レイジ)は『RRs』でコースがリメイクされた「ユニオンヒルディストリクト」「レイクサイドパークウェイ」と整合性が取れていない。

レイジレーサー初出BGMの是非

  • サントラ未発売のせいか『レイジレーサー』のBGMの収録曲数が僅か1曲しか無い(リミックスを含めても2曲)。
    • 長い間この原因はわからず仕舞い。それでなくともその頃のリッジチームはかなりゴタついており、レイブレーサーの資料に関しても散逸している様な雰囲気だった為、ファンの間で様々な憶測までたてられる事になった。
    • この件については、2017年に『レイジレーサー』のサントラ*7が発売された際のリリースイベントである「リッジレーサーフェス2017」にて、マスターが紛失している為、収録したくてもできなかったことが明かされた*8

目に余る水増しな収録車種

  • ゲーム中で選べるマシンは「通常のマシンが54種類+スペシャルマシン」と銘打たれているが、実際はほとんど同じようなモノ。
    • 通常のマシンの車種は「3クラス*9×3種類のドリフトタイプ」の9台。
    • そこに同クラス車両の「TYPE*10」と呼ばれるデカールの変更及び速度とニトロ初期チャージ量の微強化版が3種類で、「9台×3TYPE」の27種類。
    • さらに基本となるクラス1~3の車両を上位レース用にチューンしてエアロを装着した強化車両が全く同じ理屈で27種類。これで計54種類である。
    • 要は「3クラス×3台+その強化型が3クラス×3台」というのが正確な通常マシンの種類であり、残りは色違いにすぎない。詐欺とまではいかないが、ある程度は騙す気があった事も間違いないだろう。

不備の多い『RRs2』のSPマシン

  • 『RRs』の2倍の量である8台のSPマシンが登場し、それぞれ4台ずつSP1とSP2(此方は最高速度は390km/hのみ)で分割されたのだが、そのうちSP1の「WILDGANG」「HIJACK」の2台は『リッジレーサー6』の時点で通常マシンとして登場した車両である。
    • 一応、直近の最新作からのゲスト出演的な感じとして捉えれば違和感もそれほどではないのだが、どう言う訳かこの2車種だけ最高速度がSP2マシンに匹敵する380Km/hオーバーになっている。
    • クラス6と比較して、順当かつスペシャルな性能である350Km/h台が最高速になっている「ANGELUS」と「CRINALE」の存在はあっさり霞んでしまっている。
    • 加えて確かに速いには速いが加速力がやや低い上に物凄く滑りやすく扱いづらい「HIJACK」に対し、「WILDGANG」はドリフト時の減速がやや激しいというマイルド特性故の欠点こそあるものの、それを帳消しにできる程加速力が高くグリップ力も良好という「器用万能」を体現したような性能を有するため、実際の所「WILDGANG」以外のSP1マシン全ての存在が霞んでしまっている。
  • SP2の「ANGELUS KID」「CRINALE KID」というマシン*11は、同じ車両の色違い。
    • 車両も『R4』にて登場したデビルカー、エキュルイユのもの。ただし、性能に差異こそあれど、その外見は単なる色違い。
    • ANGELUS KIDのドリフト挙動は「スタンダードとダイナミックの中間」に位置するようなモノで、ドリフト操作無しに勝手にドリフトしやすい上にドリフト中はアウト側に引っ張られやすいという特性がある。更にエンジン出力が高いが故に加速力も高く、ドリフト中でも加速できるという特徴を持つ。一方のCRINALE KIDは「スタンダード寄りのマイルド」というドリフト挙動を持ち、ギア比もLoのみ若干CRINALE KIDの方が高いが、加速力はANGELUS KIDに劣るため、ドリフト中の減速が激しく、ANGELUS KID程高速でコーナーを攻略出来ない。と言っても、ヘアピンのような強烈なコーナーではこの特性が強く活きる事も多々ある。
    • もっとも、ここまでくればこの程度の差はテクニックで充分埋めてしまえるため、わざわざ別の車両として分ける必要があったのかは疑問符が付く*12
    • 性能自体は『R4』当時並み、或いは当時を超えるトンデモ性能で、癖が強いなりに面白い為車両自体の評価は高いのがせめてものの救いか。
      • なお、両者の比較を見て感づく人もいるかもしれないが、実は2台の特性はSP1、及び次回作以降での「ANGELUSとCRINALEの個性」に近い。
    • この点も踏まえると、わざわざ分けてまで登場させた背景に、SP2における「天使と悪魔のポジション」という意図があった可能性はある*13
      • まぁ、なぜ前作と個性が逆になってしまったのかという疑問点も挙がるのだが*14
  • そして、この2台を始めとしたSP2マシンはMAXツアー最終戦でプレイヤー運転時と全く同じ性能で戦うことになる。
    • だが、本作の収録コースの大半のコース設計から見てSP2マシンはオーバースペックもいい所であり、MAXツアー全戦おいて、一定以上の角度のコーナーに対応できず、頻繁に激突事故を起こして大減速している。
    • いくら特別仕様CPUといえどもそこからの復帰に時間がかかるため、プレイヤー側はSP2マシンの扱いに慣れてさえしまえば、むしろ大きなリードを稼ぐチャンスがゴロゴロ転がっている事になる。
      • この点が決定的になり、MAXツアー制覇者の大半から「最初のほうが難しくて尻すぼみになっている」という声も多い。
  • また、『RRs2』では『RRs』に登場した「ニューラリーX」は収録されていない。別作の通常マシンで水増しするくらいなら、続投でも良かったはずだが…。

弱過ぎるシングルレースのCPU

  • シングルレースとワールドツアーの難易度バランスに酷い格差がある。
    • まず、いわゆる他レースゲームにおけるシングルレースに当たる、「アーケード」の難易度が低すぎる。どうやらワールドツアー序盤程度の難易度しかないようで、プレイヤーが本作の挙動に慣れると、それだけでもう勝負にならない。
      • どのくらいかと言えば、「ニトロ縛り+難易度HARD」でも2位と十数秒の差があっさりついてしまう程。レースの大半は孤独な一人旅、TA状態。
    • ワールドツアー後半からは徐々に手応えが出てくる為、その練習くらいはしたいところだが、それも出来ないレベルに弱い。それならタイムアタックで敵車を意識したライン取りを練習する方がまだ有意義である。

極悪なMAXツアーの難易度

  • そして上記シングルレースの難易度と打って変わって、ワールドツアー最終盤であるMAXツアーは不条理と言えるレベルに難しくなる。MAXツアーのCPUのAIはEXツアー後半のライバルカー(上位陣)と同じであるのだが…。
    • こちらは追加で「ニトロが無限に使用可能」「ドリフト中に自車が接近するとラインを変えてブロックする」「プレイヤーのブロックに成功したり、接近や引き離されそうになる事を感知するとニトロを使う」AIが組み込まれた特別仕様になっている。
  • 当然、これはプレイヤーの独走阻止及び妨害を目的としているのは確かである。
    • しかし、「ニトロを使ったライバルが他のライバルに真後ろから衝突 → 一気に加速した他のライバル車が「ブロック成功」の判断を下し、ニトロを使ってさらに飛ばしていく」と言った、不条理極まりない展開も多々ある。
    • 加えて、ブロックについてはその挙動自体が胡散臭く、ドリフト中にまるで直進しながら車線変更するかの如く直角にラインを変えてくる。
      • 無論、そんな素早い動きはプレイヤーにはできないし、こちらもドリフト状態であれば回避する事も難しい。
  • 総じて難易度が高いと言うよりは先に言った通り「不条理」という表現が適しているような状態になっている。
    • また、敵車の走行AIは『RRs』の時点で収録済みのコースと、『RRs2』初収録のコース、及び初代『リッジレーサー』のコースで差異が見受けられ、具体的に言えば「前者は遅く、後者は速い」とされている。
    • 要は『RRs』→『RRs2』の時点でAIを使いまわしているという事であり、結果としてコース毎に難易度(=理不尽さ)が大きく変わるという事でもある。
    • 『RRs』時点での収録済みコースは、慣れてしまえば前述した特別仕様の相手でさえ独走する事が可能である一方、『RRs2』初収録、及び初代『リッジレーサー』コースはひたすらCPUに張り付かれるレースを強いられ、その分、上記の様な妨害を受ける可能性は上がる。
  • 弱点として、ニトロの連続使用はできない事とドリフト時の減速が激しい事の2点が挙げられる。
    このため、主にこの2点を突く*15形で戦えば勝利することは難しくない。
    • ただ、MAXツアーの最初のツアーである「Opus1」「Opus2」の初戦はどちらも初代リッジレーサーのコースであり、それに加え、自車より敵車の方がニトロ加速力が高いとされるクラス1~3のマシンによるレースとなり、難易度は非常に高い。
    • 逆に自車の方がニトロ加速力が高くなるクラス4以降のMAXツアー後半戦は、当然コースに慣れていること前提ではあるが、最初の3ツアーがなんだったのかと思える程に難易度が低いと感じやすい。
    • 余談として付記するが、BASIC、PROツアーに於ける「オーバルコース」も難易度がやや高い。
      これは前述したAIの適合、そしてバンク角コーナーというアクセル全開で行けるコーナーが大半を占めるため、トップ陣がニトロ使用時の高速度を維持しやすいからである。
    • そのため、ニトロを使用しないと追い抜くことが難しいのだが、オーバルコースの性質上そのチャージも難しいため、本来のセオリーから少し逸脱した走り*16が求められる事になる。
      • なお、このオーバルコースはEX、MAXツアーには一切登場しない。これだけは不幸中の幸いと言っても良いだろう。
  • ちなみに、MAXツアー自体の初出は『RRs』海外版。こちらの方が敵車の動きがあからさまに補正がかかったような走りをするため、『RRs2』よりも難易度が高めである。
    • 『RRs2』と大きく違うところとしては「オーバーテイクしようとすると謎の加速により阻止される」というものがある。ニトロを使うのとは違った動きで、見た目にはサイドバイサイドになった瞬間自車の速度に合わせて並走を始めるといった形である。この補正により「ドリフト時の減速が激しい」という弱点をカバーしてくるため難易度が高い。
    • クラス1~6のツアーはそこまで強くはないが、最終ツアーの「Ne Plus Ultra」では顕著となる。その上かなり個性の強いSPマシン戦のため、より極悪な難易度となっている。
    • 基本的にはアンジェラスとパックマン相手にずっと小競り合いを続けることになる。もちろん、アンジェラスの「後追い時に隙を見計らってニトロでオーバーテイクを仕掛けてくる」動きも健在。パックマンも絶妙なライン取りで邪魔をしてくる。
    • そのせいか、後追い時はニトロを使わない性格のクリナーレは基本的に空気になりがちだが、忘れた頃にとんでもない速度で猛追しプレイヤーをぶち抜きにかかる。ブロックに成功したときの速度から判断すると500km/hに迫る速度で走行していると思われる。
      • もちろんニトロは使っていない*17そして先行した瞬間からニトロを連発し逃げの態勢に入る。こうなると厄介である。
    • ニトロを使用し最高速度が出ている状態ですら張り付かれる勢いのため、「ニトロを温存して最後に連発しオーバーテイク」という作戦すら大博打と化す。

その他ゲームプレーに支障をきたす不具合

  • 全てのモードで起こる可能性がある事であるが、たまに突然ライバル車がプレイヤーの最高速度に迫るかそれ以上の速さに急加速する現象が起こる事がある。
    • この状態のライバルは高い加速度を直進時だけでなくコーナーでもそれなりに維持するため、特にレース後半でこの現象が起こるとレコードラインで走っても差が縮まらないという、これまた別の意味で理不尽な展開となる。
    • 原因は諸説あるが、元々ライバル車のマシン性能を考えると、何らかのバグでニトロ使用時の性能を維持してしまっているというのが妥当とされている。
    • 一応、前半であれば何度もコーナーに差し掛かる内に徐々に減速し、最終的には平常に戻る可能性がある他、バックミラーで確認してブロックする事で、ニトロの速度から叩き落す事ができる為、結果的に阻止することは可能。
      • ちなみに、この現象は後の『リッジレーサー3D』でも確認されており、頻度としてはあちらのほうが高い。
  • 画面内に多数マシンが出現すると処理落ちが発生する。
    コースや走行位置にもよるが、画面内に2台~3台ほど映り込むと発生しやすい。必然的に、レース最序盤とシリーズお馴染みの中位勢の団子状態部分で起きやすい。
    一応、処理落ちといっても全体がやや失速した様に見える程度で、よほどシビアなライン取りをしていなければ実害は少ない。
  • ATでギアが下がらない。
    コースの一部区間で、ドリフト使用後の減速時にギアが最高段から下がらないという不具合が発生する。 さらに、この不具合は比較的多くの区間で発生する上、『RRs』『RRs2』両方で発生するため、まさにAT殺しである。

総評

シリーズの魅力が遺憾なく詰め込まれた集大作。
以後も携帯機でリリースされたシリーズ作品はあるが、何れも何らかの事情と欠点を抱えており、いつもの『リッジレーサー』が携帯機で遊べるのは本作が唯一。
独自のセンスを発揮してきたシリーズの集大成であると同時に、携帯機で遊べるレースゲームとしては最高峰に位置する作品といっていいだろう。
特にシリーズが(当時)10年近く続くにあたって、ハード間の世代を超えて、これまでのコースが一堂に会したというのはシリーズファンにとっても嬉しいポイント。
ニトロも追加要素の一部として節度あるやりくりが求められるため、戦術としての組み込み方も、組み込むタイミングもいい塩梅だったと言える。

諸々のゲームバランスや水増しな車種、その他調整不足が惜しまれる点もあるが、後作にも誇れる出来栄えに仕上がっている。
中古価格も程々の金額で留まっている他、『RRs2』ならDL版でPSVでもプレイできる為、環境さえあれば今からでも楽しめる作品だろう。


余談

  • 2022年12月15日にサブスクリプションサービス「PS Plus プレミアム」の「クラシックカタログ」において、『リッジレーサーズ2』が配信された。
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最終更新:2023年11月16日 16:57

*1 オフにする事も可能だし、オプションからでも遊ぶことが可能。

*2 ストレートですらドリフトした方がいい車両が出る、システムとして新生したアルティメットチャージを活かせば延々とニトロを使い続けられる事も可能になるなど。

*3 レース中、ニトロが貯まった際に「Ready To The Nitrous!」といったナレーションがされるのだが、英語ではニトロ燃料を「nitrous」と呼ぶことは無い。

*4 なお、一部界隈ではこの「適正角度時の減速度合い」を「慣性ドリフト値」という非公式用語で言い表す事がある。

*5 一応、グラフィックは『V』準拠の為、Vに収録されている初代の初級コースと上級コースは、初代とVの連名出典になっている。

*6 あくまで推測ではあるが、『V』のコースは完全な都市部に作られている為、背景を上手く省略しないと、PSPの処理能力を超えてしまう可能性は十分にあると思われる。これはシリーズの命題でもあり、当初の本シリーズが「リッジ(峠)」を題材にしたのも、山間部を扱う事で背景の簡略化を狙った為である。

*7 正確にはリメイク楽曲のアルバムだが。

*8 また、レイジは容量等の関係でCD-DAでの収録だった故、再生機器にゲームディスクを入れれば、それだけでサントラとして十全に機能した為、作る必要性を見出せなかったとも語っている。

*9 車両の所属するクラスで、クラス毎に違う車両が存在。初期作品での「TYPE」と、『レイジ』の「GRADE」に加え、『R』4の「ステージ」にあたる

*10 TYPE-S → TYPE-R → TYPE-Zと順に強化されていく。

*11 キッドという名前は『リッジレーサー レボリューション』の隠しマシン「13th RACING "KID"」に由来。

*12 強いて言えばロケットスタートの速度が1速のギア比で決まるシステムから、1周目のタイムに若干ながら差が出やすいとは言えるかもしれない。この差は「2速発進」というテクニックを使えば帳消しにできるが、ここでは詳細は割愛させて頂く

*13 獲得順は「通常車種最高クラス → SPクラス(悪魔 → 天使)」となり、それぞれを打ち負かす=格上マシンを倒すという挑戦になっているのもポイント。

*14 もっとも、初登場時は悪魔が「最強のコーナリング性能を誇る一方、グリップ性能が高すぎてドリフトが難しい」で、天使が「悪魔と同等のコーナリング性能を持ちながら、ドリフトも十分にこなせる」だったので、ある意味原点回帰と言えなくもない。

*15 ラインを外してドリフト中にオーバーテイクを狙う・終盤まで敢えて前へ出ずに堪え、ゴール前で一気にニトロを連続発動する。

*16 こちらも敢えて前には出ず、比較的角度の深いカーブで過剰気味にドリフトしてニトロを溜めつつ、スリップを利用して距離を維持。最後の最後にやっとこ溜めた1本ないしは2本のニトロで一気にぶち抜くというやり方がベター。単純に速く走ろうとすると、却ってドツボに嵌る事になる。

*17 本作のクリナーレはニトロ使用時に赤い悪魔のマークが点灯するため、よりわかりやすい。