【あーまーど こあ ふぉー】
ジャンル | ハイスピードメカアクション | ||
対応機種 |
プレイステーション3 Xbox 360 |
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発売・開発元 | フロム・ソフトウェア | ||
発売日 |
【PS3】2006年12月21日 【360】2007年3月22日 |
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定価 | 8,190円 | ||
廉価版 |
PLAYSTATION3 the Best プラチナコレクション 共に2008年1月10日/2,940円 |
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判定 | 良作 | ||
アーマード・コアシリーズ |
現代の延長線上にある未来。
人口爆発による食糧・エネルギー資源の慢性的な不足、近視眼的な開発により無秩序に拡大する極地。二極化した享楽と貧困は救いようのない諦観と憎悪を醸成し、国民国家政府は徐々にその統治能力を失っていった。
秩序の崩壊により重要度を増した軍隊は高度に機械化され、その結果として幾つかの企業は強力な軍産複合体を形成し、影響力をかつてないほどに拡大させていく。やがて、最も力を持った6つの企業体は遂に国民国家政府を見限り、歴史上最大のクーデターを起こす。
国家解体戦争。企業側の一方的な奇襲で始まったこの戦争は、わずか一か月で企業側の勝利に終わった。
とりわけ企業側の大きな戦力となったのが、新物質「コジマ粒子」を使用した兵器、30機足らずの「ネクスト」と呼ばれる新型アーマード・コアであった。
戦争終結後、企業の手で、秩序維持のための新しいシステムが構築された。
しかしその実態は、人々を「コロニー」と呼ばれる群居地に移し、労働の対価として糧食を保証する一方、人々を市場経済とは完全に切り離し、自分たちだけの市場に囲い込むというものだった。
ある意味で社会主義的、さらに言えば奴隷制度的ですらある「経済による平和(パックス・エコノミカ)」。その矛盾に満ちたシステムは、しかし企業による軍事力の掌握、そして人々に蔓延する無気力感により、表面上の安定を保ったまま維持されていた。
戦争終結から5年後。物語は小コロニー・アナトリアから始まる。
元来ネクストAC技術を主幹産業としていたアナトリア。だが、研究の第一人者であるイェルネフェルト教授の死去と、その後の研究者の離反によって優位性を失い、一転して経済危機に直面していた。
研究員上がりの新たな指導者、エミール・グスタフはこの状況を打開すべく、研究用に特例として所有が認められていたネクストを使った傭兵業という大胆な計画を発案する。そのパイロット――「リンクス」として選ばれたのが、かつて伝説的とまで称されたレイヴンであり、国家解体戦争時に重傷を負ってイェルネフェルトの娘・フィオナに保護され、アナトリアで療養していた主人公であった。
しかし、ネクストの操縦方法である神経接続には先天的な適性が要求されるのだが、主人公のそれは基準点を辛うじて満たす程度でしかなかった。主人公を強い精神負荷に晒しながら死地へ送り出し、アナトリアの未来を一手に押し付けることに罪悪感を抱いたフィオナは、ネクストのオペレーターを志願する。
老いぼれ鴉と、政治的価値しかない非力なネクスト。
この時、後の「アナトリアの傭兵」の躍進、そしてその活躍がパックスを崩壊させ、後世に「リンクス戦争」と伝えられる6つの企業体の全面戦争を招くことになろうとは、誰も予期することは出来なかった――。
「アーマード・コア(AC)」と呼ばれるパーツの組み換えが可能な巨大ロボット兵器を使い、傭兵として各団体からの依頼をこなし、得た報酬でさらに機体を自在にカスタマイズしていく「カスタマイズメカアクション」、それが『アーマード・コアシリーズ』である。
本作『4』はプラットフォームを次世代機に移した「新たなるAC」。ACシリーズではタイトルごとのナンバリングが改められるに従い、世界観の刷新と新システムが導入されるのが恒例となっているが、本作では最低限のシリーズ共通点を残してインターフェース、世界観設定、ストーリーテリング、ゲームシステムを一新する大胆な改革を行った。
発表後は、明確に現実世界を意識したハードすぎる世界観、パーツカテゴリの刷新、ゲームの高速化等、あまりに変化した作風を心配する声もあったが、発売後はそのどれもがおおむね好評価を得る。
特にシリーズ待望の「(通信環境の)安定したオンライン対戦(*1)」は、その魅力を申し分なくアピールし、更なるファンを取り込むことに成功した。
傭兵として各団体からの依頼をこなし、得た報酬でACを自在にカスタマイズしていくという基本の部分は変わりない。
変更点の全てはとても書ききれないため、特徴的なものを抜粋する。
BGM
グラフィック・デザイン
ストーリーの項でも示したとおり、シリーズ随一の退廃的かつ救いのない世界観が特徴の『4』。
ACシリーズは伝統的にシナリオが分かりづらく、それゆえに考察の余地が豊富で、そこがファンに人気のポイントとなっている。今作もそれは相変わらずなのだが、過去作と異なり世界観設定が細かく設定されているため、考察の余地はそのままに、よりシナリオを探りやすくなっている。
2系・N系に続くACの3度目の転換期。
次世代機と言う圧倒的なパワーを得た『AC4』は、圧倒的なまでの新しいゲームスタイルをACファン、ひいてはロボゲーファンに提示。
現在は続編『フォーアンサー』、そして『V』への移行が進み、オンライン対戦をまともに楽しむことは望めないのが残念。
アニメのような高速戦闘を楽しみたい人、とにかく渋くかっこいいロボゲーを遊びたい人に強くお勧めしたいタイトルである。
*1 過去の作品でもモデム対戦が可能だったが、ラグが酷すぎた。
*2 リンクスはAMSにより機体とリンクする人という意味の「LINKS」であって山猫のLynxとは異なる。言葉の響きから劇中で山猫と揶揄された事があっただけで、山猫という表現が浸透しているわけではない。
*3 タンク以外は空中で発射できず、タンク・四脚以外は移動中に発射できない。強化人間であれば制限を無視できるが、『NX』~『LR』では敵専用。
*4 厳密には過去作でもそうなのだが、前面には出なかった。
*5 どこかの掲示板で出た「索敵性能」の誤字から広まったスラング。ACファンの新たな合言葉。
*6 ノーマルACっぽい三大国家の量産機とAALIYAHっぽい「ガンダムスローネ」のデザイン。