GOD HAND

【ごっどはんど】

ジャンル ゴッドアクション
対応機種 プレイステーション2
販売元 カプコン
開発元 クローバースタジオ
発売日 2006年9月14日
定価 7,140円
廉価版 PlayStation2 the Best
2007年6月28日/3,129円
判定 良作
バカゲー
ポイント コメディ全開の3Dアクション
俺の右手はゴッドハンド
多彩すぎるアクション
圧倒的高難易度


ストーリー

遥か昔、魔王サタンによって支配されつつあった地上に一人の救世主が現れる。
彼は両腕に宿した神にも等しい力で魔王サタンを倒し、世に平和をもたらした。人々はその男を畏れ敬い、「ゴッドハンド」と称した。

それから長い年月の後、旅の青年ジーンは、ふと立ち寄った町でならず者に襲われていた娘オリヴィアを助ける。
オリヴィアを逃がすことには成功したが、ならず者の強さは人間のそれを遥かに超越していた。
ジーンは奮戦するも全く歯が立たず、なす術もなく「ゴッドハンド狩り」の名の下に右腕を切り落とされてしまう。
絶望と失意の中、オリヴィアから伝説のゴッドハンドを右腕に授かり、神の力を手にしようとする悪魔達との戦いに挑む。


概要

素手による格闘戦を主体とした3Dアクションゲーム。ディレクターは『バイオハザード』シリーズを手がけた三上真司氏。クローバースタジオ名義の最後の作品。
上記のストーリーを見る限り一見硬派な世界観と思えるが、その実態は様々なパロディやギャグ要素を内包したPS2でも指折りのバカゲーであり、バカゲー屈指の高難易度を誇る作品である。


ゴッドアクション(操作法)

  • 基本技
    • 100種類以上もの「基本技」から任意の技を各ボタンやコマンドにセットし、多彩な技を自由な順番で繰り出すことができる。
    • 基本技はジャブ・フック・ローキック・サイドキックといった小技だけでなく、サマーソルト・とび後廻し蹴りなどの派手な技、正拳突き・溜めアッパーなどの重い技、酔拳・発剄などの中国拳法まで様々。
    • 火力重視、繋がり易さ重視など、好みに合わせてカスタマイズできる。
  • 回避行動
    • 本作を攻略する上での肝。右スティック上入力でスウェー&ダッキング(上段攻撃回避)、左右入力でサイドステップ(無敵時間の短い左右回避)、下入力でバック転(無敵時間が長めの後方回避)の3種類を使い分ける。
    • 攻撃後のモーションキャンセルにも活用できる。特に下記のガード崩し技は攻撃後の隙が大きいので、高難易度におけるスウェーやステップによる硬直キャンセルは必須と言えよう。
  • ガード崩し技
    • 敵は連続して攻撃を受けるとガード状態に入る。ここから更に攻撃を加えると、対戦格闘ゲームでいう「はじき」により反撃を食らいやすくなる。
      • ガードに入ってから「こちらの攻撃を何回ガードするとはじくか」は、ゲーム中の難易度レベルによって異なる。当然レベルが高いほどはじくまでの回数は少ない。
    • そこで敵のガード中に「ガード崩し技」を当てると、敵は一定時間無防備になり、こちらの攻撃で与えられるダメージが上昇する。さらにこちらの攻撃によりピヨリ易くなる*1ので、ピヨりからの特殊アクションによるダメージ上乗せも可能。また、無防備になっている敵を攻撃すれば後述するテンションゲージの回復量も増加するので、ガード崩しからの追撃はダメージ源とテンション回復の双方で重宝する。
  • ゴッドハンド解放
    • 「テンションゲージ」が一定量貯まると、右腕に装着したゴッドハンドギプスを弾き飛ばして、「ゴッドハンド解放」を任意のタイミングで使用出来る様になる。
    • 開放中は右腕が光り輝き、一定時間完全無敵&攻撃速度上昇&全ての攻撃がガード不可&ゴッドリール技以外の攻撃力2倍という恐るべきチートスペックを発揮する。
    • 全体的に難易度が高い本作において、強敵を倒す生命線であると共に、強敵にボコボコにされて溜ってゆくプレイヤーのフラストレーションを解放してくれる、違った意味での生命線でもある。
    • テンションゲージは敵を攻撃したり、敵を挑発したり、敵の攻撃をスウェーで回避することで増加する。
  • ゴッドリール技
    • いわゆる格闘ゲームにおける超必殺技。ゴッドリールストックを消費して発動させる。
    • ゴッドリール技にも様々な種類がある。「ドラゴンキック」に「1インチパンチ」といったカンフー映画さながらの技や「武闘神拳」に「蹴り嵐」などのカッコイイ乱打技、ゴッドの力で召喚したバットによる「ゴッド本塁打」で敵を星にする技、直接攻撃の他にも体力を回復する「ゴッド瞑想」や、敵に土下座して攻撃の手を緩めてもらう「ゴッド☆土下座」など。
    • メニュー画面で最大10種類を設定可能で、発動時はスロットのようなリールから数秒以内に技を選択する形式になっている。焦ると予定と異なる技やスカ(ハズレ)を選んでしまうことも。スカを選ぶとタライが降ってきて、微量のダメージとどこからともなく笑い声が飛んでくる*2
  • 敵に特定の技などを当てると、敵を画面奥に吹っ飛ばすことができる。
    • 吹っ飛ばしの効果音やエフェクトが派手で気持ちいい。重力を半ば無視した軌道で壁に激突するまで吹っ飛ばす技もあり、近寄ってきた敵がそれらの技で真横へ文字通り「飛んでいく」様は特に爽快である。
  • 敵をピヨらせた時・敵が特定の攻撃を使ってきた時などにおいて、○ボタンを押すことでその場の状況に応じた特殊アクションが行えるという、近年の3Dアクションではありがちな要素が存在する。
    • このゲームでは長々としたムービーチックなアクションはあまりなく、比較的テンポが良く爽快感の高いものが多い。パンチorキックでどこぞの幽波紋よろしくラッシュを叩き込む「ボコる」はその筆頭である。
    • 多くはボタン連打かレバガチャでダメージが向上する様になっており、バトルの流れを止めない作りになっている。休む間がない・コントローラーを痛めやすいとも言えるが。
  • 全体的に、どことなく同社製アクションゲームの名作『ファイナルファイト』をセルフパロディしている要素がある。以下はその代表例。
    • 敵の種類
      • モヒカンのチンピラ、突進してくるデブ、ハイジャンプで飛びかかってくる女、アビゲイル柄そのまんまの雑魚リーダー、スライディングや空中で多段突きを繰り出すナイフ投げ etc
    • 車を破壊するボーナスステージの存在
    • 落ちている角材・鉄パイプ・刀などを拾って強力な武器として使用できる
    • 某大手レビューサイトにおいても、「『ファイナルファイト』を近年のゲームシステム風にリメイクしたらこうなりました、という感じ」という感想を持った人が多く見られる。

バカゲー要素

  • 概要でも触れたとおり、本作にはその割とシリアスなストーリーからは想像もつかないギャグシーンや、様々な方面から拝借したパロディ要素が随所に散りばめられている。
    • 開始直後のOPからして、主人公であるジーンの第一声が「み、水…」と某世紀末救世主を思わせる台詞*3
    • そしていざ敵と戦ってみると、ジーンは「笑龍拳」なるどこかで見たような技で殴り飛ばすわデブが某力士よろしく空を飛びながら頭突きしてくるわガタイの良いノッポが神砂嵐を仕掛けてくるなど、初っ端からいろんなパロディが仕込んである。中ボスとしてカーニバル衣装のマッチョなオカマ兄弟こと「金さん・銀さん」が出迎えるというダメ押しも抜かりない。金色じゃない方は股間がモッコリしていないという細かいネタも光る。
    • 他にも緑のノッポと赤い女王様に青い脳筋どこかで見た連中や、ゴリラの覆面レスラー(背中にチャック)、片言の日本語でしゃべる用心棒の侍(オマエヲ、キル!)など、突っ込みどころ満載で非常にカオスな奴らがプレイヤーを(もれなく全力全開で)迎え撃つ。
  • 回復アイテムがなぜかイチゴやバナナ等のフルーツ(しかも巨大サイズ)。悪魔達とボコりあっている横でふよふよ浮いている絵面は非常にシュール。

評価点

  • 『デビルメイクライ』などとはまた方向性の違う、斬新で爽快なアクションが味わえる。
    • ある程度慣れてくるとタイマンではそうそう死ななくなり、敵をボコボコにする快感が得られるようになる。ザコ敵を派手に吹っ飛ばしたときの情けない悲鳴も痛快そのもの。
    • 主人公ジーンは基本的に武器を使わない格闘家タイプであり、身体のキレはダンテたちをも上回る。敵が強いことも手伝って、至近距離での息もつかせぬ攻防には本作ならではの魅力がある。特にシビアな見切りと正確な反撃を要求されるボス戦に取り憑かれたプレイヤーも多く、スーパープレイ動画も多数公開されている。
  • 上記の通り笑える要素が満載。そのためバカゲーとしても名高い。
  • BGMに関しても結構評価が高い。楽曲を手掛けたのは高田雅史氏と福田淳氏*4
    • ただしサントラが発売されていないため、曲をじっくり聴きたければゲーム内のおまけ要素を解禁するか初回生産特典つきのソフトを購入するしかない。
      • ところが初回生産同梱CDにもED曲をはじめ収録されていない曲がある。そのうえ最高にハイなボス戦のBGMは、後述の難易度HARDをクリアしないと解禁されないというとんでもない仕様になっており、開発側のドMプレイヤーに対する配慮を感じさせる。

賛否両論点

  • 難易度が非常に高い。
    • 「本作に『難易度』などはない。あるのは“難度”のみである。」…と言っても決して過言ではない容赦の無さ。
      • 初回プレイではEASY・NORMALの2つの中から難易度を選べるが、NORMALですら『デビルメイクライ』における DANTE MUST DIE 並とされるほど。EASYが他のゲームでのHARDにあたるようなものであり、1周クリア後に出現するHARDに至ってはNORMALの難易度をさらに超越しており、アクションゲーム屈指の凄まじい高難度と言われるまでになっている。
      • NORMALを2周ぐらいして結構余裕で進めるようになったプレイヤーでも、HARDに進むと最初の雑魚2匹で死んだりする。後述の仕様により技やステータスが引き継げないせいもあるが、この仕打ちでいきなり心を折られるプレイヤーも居る。
    • いわゆるゲームランクの要素がある。Lv1、2、3、DIEの四段階が存在し、攻撃を食らわず上手く敵を倒していくとレベルが上昇していき敵が手強くなる。逆に攻撃を食らうとレベルは下がるので、慣れていない段階だと敵のレベルはそこまで上昇しない。そのため、プレイヤーの腕前に応じてある程度ゲーム難易度が調整されるようにはなっている。ただ、死んでコンティニューしない限りはなかなかレベルダウンしないので、あくまである程度だが。
    • 難易度レベルが上昇するごとに、「敵の思考ルーチンや攻撃力」「同時に攻撃してくる人数」「敵が攻撃を仕掛けてくる方向」などが強化されていくのだが、Dieにおいてはさらに「敵の攻撃スピードの上昇」「敵のフッとび・ダウン技への耐性強化」という独自の鬼仕様が追加される。特に後者は道中の敵集団を相手に立ち回る際に、カウンター狙いでもしなければ敵の分断が出来ずタコ殴りにされてしまうため、HARD(常時レベルDIE固定)での難易度の凶悪化に一役買っている。
    • 特殊アクションは連打が必要な物が多く気合の要るものが殆どな為、連打が苦手な人はフルでダメージを与える事も難しい。○ボタンだけでなく×・△・□ボタンも連打入力の対象なので、それを踏まえて複数のボタンを入力すれば楽になるが、それでもしんどい人はしんどいだろう。
    • この情け無用を絵に書いたような高難度ぶりのせいか、売り上げは芳しくなかった。クローバースタジオ製のゲームの中では、『大神』や『ビューティフルジョー』に比べて売り上げも知名度も低い。
    • アクションゲーム初心者には難易度EASYですら辛いものがある。EASY完走にコンテニュー3桁費やしたプレイヤーもザラ。
      • 一応敵の攻撃力や体力が下方修正、テンションゲージが溜まりやすい、ゴッドリールストックの最大値が6に増加、難易度レベルの上限2までなどかなり難易度が下がっているが、難易度Lv1固定でもキツイレベルなので焼け石に水。
    • 隠し要素開放条件の1つに、ただでさえ高い難易度をさらに高くするような縛りプレイをやる必要がある。通称「張り紙プレイ」と呼ばれ、ゴッドリール技&ゴッドハンド解放禁止。難易度・周回は問われないのでEASYの2周目以降で最初から最強に鍛え上げれば比較的容易なのだが…後述の「引き継ぎ要素なし」のせいで非常に面倒。
    • 一方で、ゲームの難易度を大幅に下げるような高性能の基本技や、いくつかのハメ技が存在する。ゲームの爽快感やテンポ向上に一役買っているハメ技もあり、また初心者救済の措置と捉えることもできるので問題視される事は少ない。
  • アイテムや特定の敵の出現に関し、運の要素が強い。
    • 体力やテンション、ゴッドリールストックの回復アイテムはランダム出現と固定配置があるがランダムの方が圧倒的に多い。ランダムで回復アイテムがどれだけ出現するかでゲームバランスがかなり変わってくる。
      • ただし、仮にアイテムに恵まれたとしても、それらだけでのゴリ押し突破はまず不可能。プレイヤースキルの成長が大前提のゲームバランスである。
    • 一方、道中のザコ敵を倒すと一定の確率で「悪霊」という、一見するとそれこそ悪魔のような外見の敵が出現する*5。異様に速い攻撃モーション、一発で主人公の体力を最低でも3分の1もっていく攻撃力、テレポートじみた高速スライド移動によるHIT&AWAYなど、他のザコとは一線を画すプレイヤー泣かせの強敵である。
      • 通常の敵は一部を除き、初期位置から一定の距離まで主人公が逃げると引き返していくのだが、悪霊は全てそのエリア内を執拗に追いかけてきて振り切れない。次のエリアに行けば追ってこないが、敵を全滅させないと次のエリアへの入口が開かないというシーンで悪霊が出ると、もう倒すしかない。
      • せめてもの緩和策なのか、悪霊出現時はほぼ全ての雑魚敵が一歩退いた位置に移動し、少ない頻度での突進・飛び道具系の攻撃以外はしてこないようになっている。ただし、ナイフ投げをする長身痩躯の雑魚敵は「そんな事知るか」と言わんばかりにナイフを投げこんでくる辺り、本作のマゾゲーっぷりがうかがえる。
      • 敵を倒すと出現し、なおかつ倒せば倒すほど出現率が上昇するので、「満身創痍になりながらも敵の集団を全滅させて一安心→悪霊が出現して一瞬で絶望する」というケースがままある。
    • ご丁寧にも、本作のSTAGE1-1(いわゆるチュートリアルステージ)は、「倒すと必ず悪霊を出す敵が2人いる」というステージ構成。早速1人目がスルー不可であることからも、明らかに殺る気マンマンである*6
  • エンディング
    • 本作のノリと難易度を楽しめた人には抱腹絶倒モノのED曲として知られる「俺の右手はゴッドハンド」である。一言で表現すれば「昭和の巨大ロボットアニメのOPを思わせる曲調で、ゴッドハンドの強さやオリヴィアへの不満を歌い上げる」という非常にカオスな代物。
    • 逆に「買ったからにはクリアしたが、苦しめられた思いしかない」という人には全く伝わらないばかりか、少なからず怒りを覚えるかもしれない。
  • 字幕は入るが全編英語。
    • 洋ゲーのような雰囲気に合っているといえば合っているのだが、ギャグの数々を日本語で聞けないのは残念でもある。字幕だけで関西弁を表現されても…。
  • ガードができない。
    • 回避をメインにしたシステムだが、やはり直観的な操作としてガードが欲しかったプレイヤーも多い。
      • なお、ガードができないのは開発陣の「(ガードはすることは)格好悪い」という分かる様な分からん様な考えから*7
      • 確かに敵の攻撃を受けて固まっているよりは華麗に避けてカウンターを決めた方が格好いいかもしれないが、主人公がガードできないゲームの多くは雑魚敵もガードしないのに対し、本作はほぼ全ての敵が一方的にガードするので不公平さを感じさせる。

問題点

  • クリア後の引継ぎ要素が一切無く、次の周回でもまた一から金を集めて主人公を強化したり技を買ったりしなければならない。
    • 2周目以降のプレイでも一定の歯応えのあるゲーム性を強制させている。多くのゲームに周回引き継ぎの要素が搭載された昨今では、相当にストイックな設計。
    • 一応その難易度の2周目以降では、「金を拾った時の入手額が2倍に増える」「最初からほとんどの技や能力強化アイテムを購入可能」という特典はあるが、それでも技やアイテムを十分に買い揃えるにはかなりの金額と時間が必要。
      • このゲームではステージの進行中に無限に金を稼ぐことは困難であり、金を稼ごうとすれば基本的にはゲームを先に進めるか、運要素のあるカジノのミニゲームを延々繰り返す作業をしなければならない。
      • そしてせっかく金を稼いでも、次の周回ではまた初期状態から仕切り直しになる。
    • そして激闘の末、高威力の隠し技を購入すると、人によっては今度は雑魚が簡単に死にすぎて物足りないと感想を抱いたりする。
  • ステージセレクト機能も無いため、苦手なステージが気軽に練習できず、好きなステージで遊ぶこともできない。稼ぎが困難な一因になっている。
    • 一応「闘技場」というものがあり、そこで本編に登場したほとんどの敵と自由に何度でも闘うことは可能。ただし専用マップで難易度レベルも固定されており、本編と同じ状況で戦えるわけではない*8
  • 厄介な攻撃ほど回避しにくい、又は阻止しにくい
    • 発生が非常に速い攻撃に高威力な技が多く、逆に発生の遅い大技が速い小技よりもダメージが少ないと、明らかに調整を間違えている。
    • スウェー回避できない中段・下段攻撃もダメージが大きいものが多い、格闘ゲームの真逆をいった仕様。
    • 中ボスが大技・特殊技を出す前はスーパーアーマー、もしくは完全無敵。普通のゲームなら発生前のモーション中に攻撃して阻止するのが定石だが、このゲームではそんな常識は通用しない。出され損のパターンは出してくれないよう祈るしかない。
      • ある中ボスは口笛を吹いて増援を呼ぶが、そのモーションに入った瞬間に増援が来る事が確定し、口笛が鳴る前に攻撃して止めても無意味。理不尽としか言いようのない仕様。
  • ロックオンに若干の難あり。
    • 敵へのロックオンが自動であり、対象の変更ができない。誰をロックオンしているのかも視覚的に確認できない。プレイ中は「そっちじゃねぇよ」と心の中で叫ぶ事がしばしばあるかもしれない。
      • しかも木箱や壺等のオブジェクトまでロックオンの対象になる為、目の前の敵を無視して横の木箱を攻撃することも。
  • 実用性のある技が少ない
    • 技の多さを売りにしているが実用性のある通常技はごく一部。
    • ゴッドリール技にしても序盤の救助イベントで入手できる、敵を引き寄せてピヨらせる「ぴよハント」が特出して高性能*9なため、同時期に購入できる他のストック消費1のリール技の存在意義が低い。
      • ぴよハントで攻撃できるのは1人だけなので、雑魚を相手にした集団戦においては同時ヒットを狙えるストック消費1のリール技にも利用価値は十分にある。しかし、ボスとのタイマンでは明らかにぴよハントに見劣りしてしまう。
    • リール技の使用に必要なリールストックはアイテム拾得でしか回復できず、通常技のように闘技場でお試しもできないので性能の低いおバカな技を見るためだけに金を払って購入し、ストックを使用するのは非常にもったいない。
      • ただし、闘技場ではリールストックが固定された状態で試合に臨めるので、金銭面の問題に目をつぶればそこで思う存分キンテキで男の玉を狩りリール技使い放題である。
  • 異常に優遇された敵の回避能力
    • ほぼ全ての敵にガードが備わっているのは前述の通りだが、完全無敵のバックステップも完備。たとえ敵を壁際まで追い込もうがバックステップでこちらの攻撃を無効化し続け、発生が速い、もしくはスーパーアーマー状態の攻撃で割り込まれて形勢逆転されることもしばしば。
    • ダウン中の敵に追撃しようにもこれまた完全無敵の回転回避を完備。難易度レベルが低いうちはともかく、踵落としやストンピングがことごとくスカさらる。
      • 武器の攻撃を回避されようものならダメージは与えられないのに武器の耐久度はしっかり減る。
      • 女の敵は起き上がり時に四つん這い状態で逃げることがあり、この時に種類を問わず攻撃を当てると1発で派手に吹っ飛び、全く追撃できない。
    • 敵の背後をとってもジャブ1発入れただけでものすごい速さで前によろめき、後の攻撃が全く当てられない。1発の攻撃力が高い技は敵の振り向き・回避より発生が遅いのでまず当たらない。
      • 一部の敵はスーパーアーマーの背面攻撃をしてくるので背後と取るのが逆によくない場合もある。
    • 敵を浮かせて空中コンボを狙おうにも、浮いた敵に攻撃を当てるとランダムで空中受け身をとりつつ怒り状態になる。それ以前に浮かせ技自体にも空中受け身を取ることがあるので、「空中廻し蹴り*10」を狙える高さに打ち上げる浮かし技以外はあまり使う意味がない。
      • おそらくはいわゆる永久コンボになるのを防ぐための措置であると思われるが、それなら敵の落下スピードや主人公の攻撃スピードを調整すればいい話であり、調整不足感が否めない。
      • 敵の背後から浮かし技を当てるとそのままバック転し主人公の頭上を超えてこちらが背後を取られるという理不尽行動をされる場合がある。
    • 以上のように普通のアクションゲームならチャンスである「端に追い込む」「ダウンさせる」「背後を取る」「宙に浮かせる」といったケースがほとんど有利にならない。「常に万全に近い状態の敵を実力でねじ伏せるストイックな設計」…とも取れなくはないが、ここまで来ると理不尽という印象が目立ちかねない。

総評

隠れた名作、知る人ぞ知る神ゲーならぬゴッドゲー。あるいはバ神ゲーとでも言うべきか。
21世紀のご時世にこんなゲームをリリースすれば普通は「調整不足のクソゲー」と評されかねないのだが、それを補って有り余る爽快感がある。
激烈な敵の攻撃をスウェー回避 → カウンターで吹っ飛ばすようになる頃には、カタルシスの虜になっているはず。
まさに本作には「ドM仕様」「バカバカしい」という褒め言葉が良く似合う。

ただ、難易度が非常に高いゆえに万人向けとは断じて言えない点*11が確かに惜しい。


参考動画

+ ゴッドリール技集


余談

  • 本作の開発に携わったスタッフの多くはプラチナゲームズに移籍し、『ベヨネッタ』を開発した。
  • 本作のヒロインであるオリヴィアはかなりの人気。主人公に向かって斧をチラつかせ無理難題を強要しながらも、時折見せる女らしさがドMなプレイヤーのハートを鷲掴みに。
    • 「あのツンデレぶりが堪らない」「クリア特典として(『デビルメイクライ』の)スーパーキャラ仕様でオリヴィアを操作したかった」「いやあの女なら斧一本で十分だろ」など、某掲示板にて盛り上がったことも。
  • カプコンの格闘ゲーム 『VS. シリーズ』 には、近年ではクローバースタジオ製のゲームから『ビューティフルジョー』や、『大神』のキャラクターが参戦しているが、本作からの参戦は現在のところ無い。
  • 本作は『大神』ヒット後の作品として世に出た訳だが、『大神』でクローバースタジオのファンとなり本作に飛び付いた結果、そのあまりに対極的な難易度により呆然としたプレイヤーがネット上に散見された。
    • それ程『大神』は同社を有名にしたという証であろう。本作の攻略本の帯に「ゴッドゲーム第一弾」と書かれているが、クローバースタジオが解散してしまったこともあってか続編は出されていない。
  • 公式サイトは様々なミニゲームが仕込まれていて面白い。ちなみにミニゲーム中に「TARAI」を避けると…?
    • ただし、現在公式サイトは削除されてしまった。
  • シルバーゲーマーとして有名な加山雄三氏は、本作を発売日に購入後、翌日のラジオ番組でクリア報告。放送を偶然聞いていたプレイヤー達は耳を疑ったが、「寝ずにやってやっとクリアした。エンディング後の唄がいいよ、笑ってしまった」とのコメントから本当のことだと後日思い知ることとなった。
  • 本作は三上真司氏が『バイオハザード4』の次に手がけた作品であるためか、同作と同じ仕様が多く見られる。
    • 例:左スティックによる主人公の操作、カメラの位置、プレイ中に可変する難易度、跳び後ろ廻し蹴りのモーション、ロケットランチャーのモデリングなど。
  • 『電撃プレイステーション』の“痛そうな技トップテン”に本作のキンテキがランクインした。
  • 本作には三上真司氏が後にエグゼクティブディレクターを担当した『Hi-Fi Rush』との共通点が指摘されている。
    • おバカで片手が特別な義手の主人公と、ツンデレなヒロインの関係性、他作品からのパロディ・小ネタが多いことが主。

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最終更新:2023年11月26日 15:08

*1 本作では主人公・敵の双方に内部パラメータとしてピヨリ値がある。時間経過で減少。

*2 ただのおバカな演出かと思いきやこの「スカ」は演出中無敵であり、行動可能後も約1秒間無敵が持続するのでテンション・リールストック消費なしで回避困難な攻撃をやり過ごせるため、不慣れなうちは重宝する。

*3 ただし、『電撃プレイステーション』のインタビューでそのことを指摘された際スタッフは「『カンフーハッスル』をイメージした」と語っている。

*4 当時は両名とも須田剛一氏が代表を務めるグラスホッパー・マニュファクチュアに在籍しており、いわゆる外部参加と言う形で関わっている(EDのクレジットにもGHMの名が出てくる)。ちなみに福田氏はED曲である「俺の右手はゴッドハンド」のボーカルも務めている。

*5 一部、固定配置の敵もいる。

*6 この「1面から殺る気マンマンでプレイヤーを篩にかける」のは、これまた同社製『魔界村』シリーズを彷彿とさせる。道中の雑魚を倒していると、第2形態としてレッドアリーマが出現するようなものである。

*7 『ビューティフルジョー』シリーズも同じ理由でガードが存在しない。

*8 なお、この闘技場の各ステージは勝利すると賞金が入る(最初の1回のみ)ため、ステージセレクトによる金稼ぎが無いことへの救済措置も兼ねている。

*9 ピヨり中は殴り放題+追加アクションによるダメ押しが出来る。そのため、実際に叩き出すダメージはストック消費の少なさに反して非常に高い。

*10 基本技の設定とは別に、最初から使用可能な「コマンド技」の1つ。ヒットした敵を受け身を取らせずフッ飛ばす。

*11 中でも引き継ぎ要素が無く好きな技・好きなステージで自由に暴れられないなど、痒い所に手が届いていない点も含む。

*12 例として、本作で見られるジーンvsアゼルのオラ無駄ラッシュ合戦がvsジャンヌ戦にほぼそのまま引き継がれている。