SIREN2

【さいれんつー】

ジャンル ホラーアドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
発売日 2006年2月9日
定価 7,140円
レーティング CERO:15才以上対象
廉価版 PlayStation2 the Best:2007年4月26日/2,666円
判定 良作
SIRENシリーズSIREN - SIREN2 - SIREN:NT
SIEワールドワイド・スタジオ作品



逃げ場なんて、ないよ



ストーリー

日本近海に位置する離島、夜見島は、独自の因習を守る閉鎖的な島だったが、時代の趨勢に伴い建造物、移住者の増加など、急速な発展を遂げていった。
1976年8月3日。午前0時、原因不明の海底ケーブル切断による大停電、全島民失踪事件が発生する。それによって島は一夜にして無人島となった。
事件から29年後の2005年。島に伝わる因習を調べに来た雑誌編集者や輸送ヘリコプターのエンジントラブルで島に不時着した自衛官達、
さらにはある“少女”への想いから島に足を踏み入れた作家などが島を訪れる。
8月3日午前0時、突如不気味なサイレンが島に響き渡った。消えた人々が未知の存在・屍人、そして闇人へとすり替わる。
生き残りを賭けた絶望的な戦いが始まる。


特徴

  • 前作の世界観を一部受け継いだストーリー。
    • 本作のストーリーは、前作である『SIREN』の一部を引き継いだものとなっている。
      • 「現世から引き離された異界を舞台に、巻き込まれた人々の生き残りを賭けた群像劇」という点は前作と同じ。
      • しかし今回の異界は起源が違うため、法則も異なり、舞台も山奥の寒村から離島に、さらに巻き込まれる人々も大きく様変わりしているため、新鮮味は強い。
    • 引き続き出ている「屍人」も設定が大幅に違うため、似て非なる存在となっている(変異屍人も今回は出現しない。)。
  • 恐怖感はそのままに、よりリアルに。
    • 前作でも人気であった3Dポリゴンの質がさらに上がっている。
      • 懐中電灯の光の質も上昇。LED型電球とハロゲン型電球で照らし方が違うのもまたリアル。
    • 敵である屍人・闇人も生前の記憶を喋り続けるため、不気味な雰囲気が漂っている。
      • 屍人の台詞はうわ言のように辿々しいが、闇人は屍人に比べてかなり流暢に喋るため、怪物的な恐ろしさとはまた違った不気味さを醸し出している。

評価点

前作から大きく改善された親切設計

  • 前作で「初心者に不親切」という意見が多かったのか、多くの新仕様が追加された。
    • 最初のステージでは親切なチュートリアルが用意されており、訳のわからないままいきなり射殺されていた前作と違って初心者でも安心してゲームを始めることができる。
  • 『1』ではキャラ毎に武器は固定で、倒した屍人の武器を拾うということはできなかったが、今作では武器の取捨が可能となり、倒した敵の武器も奪えるようになった。
    • 逆に敵も武器を拾うため、うっかり銃器を拾われてしまうと思わぬ強敵を生むことに。
  • 便利機能の多数追加でユーザーフレンドリーな仕様になった。
    • アラート機能を導入した事により、敵が近付いてきたり、狙撃銃で狙われているのを確認できるようになった。
    • 地図で自分の現在地や、目的地が表示されるようになったり、
    • ステージ開始時にはクリアのための親切なヒントが表示される。
    • ヒント、地図の現在地表示、アラートはオフにする事も可能。前作のようなストイックな条件でプレイしたい人も安心。
  • クリアしなくてもアーカイブや終了条件2のための必要行動を達成できるようになった(ただし死んだらやり直し)。
    • 前作では終了条件2はガイドから外れて僅かなヒントだけを頼りに独自に行動しないと達成できなかったが、今回はシナリオ開始前にどちらの終了条件に挑むか選択可能になり、終了条件1と同じようにしっかりガイドが表示されるようになった。そのため、今回は選んだ終了条件によってシナリオの結末だけではなく途中の展開自体も変化する。
      • 前作の一部のステージのような「敵に一度も見つからずに脱出」「一定時間以内にクリア」と言った終了条件は無くなり、そちらはタイムアタックの方で楽しめるようになった。
    • また、前作では終了条件2は本来の攻略チャートから外れるため、チェックポイントを通れず死亡したらまた最初からというケースがほとんどだったが、今回は終了条件が選択可能なため、2の場合でもしっかりチェックポイントから再開できる。
  • 難易度選択ができるようになり、ステージごとに難易度を変えることもできる。
    • デフォルトの難易度であるノーマルでも前作より大分簡単になっており、初心者でも安心してプレイできる。
      • ノーマルでも主人公達は前作より打たれ強く、銃撃を多少受けただけでは死なない。頭を数発撃たれてもまだ平気である。
    • 難易度ハードは通常は一度ゲームをクリアしないと解禁されないが、前作のセーブデータがあれば最初から選択することができる。
  • しゃがみ走りの導入や、前作ではリストメニューからしていた操作が○ボタンのみでできるようになるなど、より快適なプレイのための工夫がなされている。
    • 前作ではしゃがんだ状態では非常にゆっくりしか動けなかったが、今回は姿勢を低くしたまま走れるため、ステルス移動のシーンは非常に快適になった。
  • 武器を持っていない状態では素手攻撃が可能。また、銃も撃つ以外に殴りつけて攻撃もできるので弾切れになっても絶望してはいけない。
    • ただし、素手攻撃でダメージを与えられるのは一部のキャラのみで、他は突き飛ばして仰け反らせることしかできない。
    • 攻撃のレスポンスも改善されている。
  • 視点は従来の後方からの視点だけでなく主観状態も選択可能。
    • 前作でも主観視点は可能だったが、歩く以外の行動が不可能で周囲を見回す以外の用途には使えなかった。対して本作は全ての行動を主観視点で取れる*1
  • このように難易度はかなり下がっているが、難易度ハードは前作にも劣らない歯応えのあるステージも多い。
    • 単純に敵の攻撃力も上がるため、油断するとすぐに殺されてしまう前作のようなスリルが味わえる。
    • 銃を持った敵がこちらの位置を捕捉して常に追い掛けて来る、結構な数の闇人と戦わなければならないのに懐中電灯が無い、などの凶悪なシチュエーションも。
    • 難易度ハードではヒントも前作の説明書に載っていたような、極めて断片的で抽象的なものに差し代わる。
    • オプションで新機能を切って難易度ハードを選択すれば、前作と同等かそれ以上の高難易度が味わえるのも前作ファンには嬉しい所。
  • 動画や音声アーカイブが追加され、より『SIREN2』の世界へのめり込めるようになった。スタッフの遊び心なども反映されている。
    • アーカイブにはスタッフの取材時の写真やスタッフの結婚式の写真などが使用されていたり、中川翔子氏が雑誌の表紙を飾っている物もある(本人が描いた絵も登場している)。
    • 前作に触れたネタもあり、前作で美浜奈保子を演じた小代恵子氏はこのためだけに(しかも実写で)出演している。
    • 説明文も思わず笑ってしまうようなユーモラスなものもある。しかしそれらにはいずれも大なり小なりの「絶望」が含まれている*2*3
  • 『SIREN』シリーズの肝とも言える視界ジャックは、一部のキャラに限り「視点の固定」「過去視」「感応視」と言ったバリエーションが用意された。
    • 盲目の作家・三上脩のシナリオでは主観視点となるが、重度の弱視のためにぼやけてはっきりとは見えないため、三上のみ視界を固定する事で視界ジャック中でも行動が可能であり、主に盲導犬のツカサ・オブ・ジルドールの視点を借りて行動する事になる。
    • 「過去視」は占い師の喜代田章子が使用可能。特定の場所に近付くとノイズが走り、そこで視界ジャックを行うとその場の過去の光景を見て、先に進むヒントを得ることができる。いわゆるサイコメトリーに近い。
    • 「感応視」は特殊能力を持つ木船郁子が使用可能。無警戒状態に限り、ジャックした屍人や闇人の身体を乗っ取って操ることができるが、郁子自身に負担が掛かるため長時間の使用はできない。また、当然ながら感応視中は無防備になる。
  • 一部のステージでは軽トラックを運転する事が出来る。移動はもちろん、敵を撥ねて倒したり、ライトを当てたり、クラクションで敵を誘導したり、高所に昇る踏み台にしたりと、用途は幅広い。
    • ただし、ただの軽トラなので外からの銃撃は防げないし、ドアロックが掛からないのか敵に接近されると引き摺り出されてしまう。
    • あるステージでは敵の運転する軽トラに撥ねられないように進むシーンもある。

SFとオカルト要素の多いシナリオ、そして絶望

  • 前作は和風テイストの強い作品だったが、今作はSF作品を思わせる設定やストーリーとなっている。
    • 主要登場人物の「一樹守」がミステリー科学雑誌の編集者*4、「喜代田明子」の職業は占い師、終了条件1・2やエンディングの違いに「パラレルワールド」が関わっているなどの設定も、SFタッチな作風を引き立てる要素となっている。
    • もちろん、奥深い群像劇と100個のアーカイブが織りなすリアリティや、前作の「どうあがいても絶望」にも引けを取らないショッキングな展開も健在である。

敵を掃討することが可能なステージの登場

  • 自衛隊員が出るため、銃火器を使用する機会が増加し「敵から逃げる」と「敵を倒しに行く」という複数のゲーム性を得ることになった。
    • 前作とは作風が異なることや舞台となる夜見島は鉄筋やコンクリートの建造物が多いため戦闘を重視したゲーム性を持ち込む事に成功している。
    • 一方、新登場の闇人は屍人に比べると欠損部分なども補填されている為、動きが全体的に機敏。知能もそちらに比べると高く、戦闘の難易度自体も相応に上昇している。

隠し武器や隠しシナリオの追加

  • あるステージで特別な敵を倒して武器を奪ったり、条件を満たしてクリアすると、後のステージで使用可能な隠し武器が手に入る事もある。
    • 無くても攻略は十分可能だが、いずれも頼りになる為、是非手に入れておきたい。クリア後に入手しても、苦労したステージで暴れられる楽しみもある。
  • 前作ではアーカイブを全て集めると出現する隠しシナリオ(ムービー)があったが、今回はそれに加えて、特定難易度で全ステージクリア、全ステージのタイムアタックを更新、と言った条件により出現する複数の隠しシナリオが用意されている。
    • これにより、ストーリーの真相や、登場人物のその後を知れたりする。また、ムービーのみならず屍人を操作するシナリオ(しかも驚愕のラブロマンス)があったり、前作の主人公を動かして屍人や闇人を時間が来るまで殲滅し続けるミニゲーム的なシナリオもある*5
    • 特に前者は、シナリオ解放条件がそれなりに厳しいこともあり、作中でも「最高難易度の世界」と称されるほどの難しさを誇る*6
  • タイムアタックに「称号」システムが追加された。
    • 単純な割に前作でも好評だったタイムアタックだが、今作では特殊な条件下でタイムアタックをクリアすることで称号を得られるようになった。
      • 中でも、敵に一切発見されることなくクリアすることで得ることができる称号「Stealth」は、ゲームのコンセプトに合った内容と、その難易度の高さから多くのコアユーザーを虜にした。
    • やりこむ価値はあるが、いずれもそう容易い事ではない。

今作もこだわったリアリティ

  • 今回の舞台となる「夜見島」は長崎県にある「軍艦島」をモデルにしている。かつては鉱山の島として栄えた軍艦島と同じく夜見島も鉱山で栄えた島であった。
    • 鉱山や作業員の住む団地や娯楽施設の遊園地、旧日本軍の砲台跡や海沿いの漁村、山の中で「座礁」したフェリーなどステージバリエーションは多い。
  • 自衛隊員も出るため銃火器の検証もかなり細かく行われ、自衛隊の専門用語などが出る場面もある。
    • ちなみに、三沢武明を演じたピエール瀧氏はたまたま映画で軍人役を演じるためスキンヘッドだったので起用されたらしい。
    • 特異な設定を抱える三沢武明を演じる様は正に怪演といえる。

新しい恐怖

  • 前作で猛威を振るった「犬屍人」「蜘蛛屍人」「羽根屍人」などは登場しない。前作で登場した「屍人」も登場するが、中盤以降は新しく出現する闇人がメインの敵となる。「中盤以降屍人は一度も出なくなる」

屍霊

  • 赤黒い霧のような存在。よく見ると中央に顔が浮かんでいるのが視認できる(モデルはシナリオライターの佐藤直子氏)。
  • この霊が死体に憑依する事で「屍人」が生まれる。
  • 光にとても弱く、懐中電灯で照らしたり、街灯の下に誘導するだけで死んでしまう。その代わり、暗闇がある限り無限に湧き出てくる。
  • 弱弱しいただの霧に見えるが、攻撃能力はきちんと有しており、油断していると囲まれてハメ殺しにされる。ハードモードではそれだけでゲームオーバーになることも。
  • また、実体を持たないため、間に遮蔽物があっても追いかけてくる。但し、こちらの攻撃は当たる。

屍人

  • 人間の死体に屍霊が憑依したものであり、前作の屍人とは全く別の存在。動きも緩慢で噛みつきで攻撃したりと、前作に比べてゾンビに近くなっている。
  • 本体は憑依した屍霊の方で、死体をシェルター代わりにしているため、光は効かない。
    • しかし、所詮は死体を動かしているだけなので再生能力は無く、倒すと憑依している屍霊が消滅してただの死体に戻る。別の屍霊が憑依すると再び動き出す。
  • 知能は低く、簡単な陽動にも騙されるが、武器を使用したり段差を登る、鍵を開けるなどの行動は可能。中には軽トラックを運転する個体もいる。

闇霊

  • 蛇のような生物。体色は白だが、ゲーム中では布を体に巻きつけているため黒に見える。
  • 「屍霊」のように人間の死体に乗り移り、後述の闇人に変異する。
  • 設定上これがいるステージでは闇人が再生する。理由は後述。
  • 本来は「屍霊」より光に弱いが、巻きつけた布の影響で光にある程度耐性がある。
    • 屍霊と同じく光に当たり続けるだけでも死ぬが、懐中電灯で照らすと光を避けようとして動くため、側面に回り込まれて攻撃される事もある。
  • 「屍霊」と異なり実体を持つため、遮蔽物で追跡を逃れることができるが、夜目が利くため暗所でも発見されてしまう。
  • ファンの間ではその外見から「タラコ」と呼ばれている。

闇人

  • 人間の死体に闇霊が乗り移ったもの。病的なまでに肌が白く、闇霊の時と同じく光を避けるため全身に黒い布を巻いている。
  • 屍人より知能が優れているという設定を持ち、乗り移った死体の声で話しかけて動揺させるといった特殊な行動を行う。
  • 闇霊・屍霊同様、光に弱いという弱点を持つため、懐中電灯の光で怯ませて戦うといった戦法がメインになる。
    • 光でもダメージはあるため、上手くハメれば懐中電灯だけでも倒せるが、かなりの時間がかかる。
  • 夜目が利くため、暗所でも遠距離から発見されてしまう。それを逆手に利用し、闇人を視界ジャックすれば暗所を観察することが可能。
  • 周囲の闇霊から生命力を補充できるため、前作の屍人のように自己再生する。但し、前作と違ってバラバラになると再生出来なくなるらしく、あるシナリオではそれを利用した撃破方法もある。
  • 今作にも、前作の変異屍人のように、犬の体と鳥の足に人の顔をつけたような「闇人乙式」と闇人の股間に顔をつけて指のような足を四本生やしてる「闇人甲式」が登場。
    • 闇人甲・乙式は発見時に正面からの攻撃を無効化するため、後ろから気付かれないように近づき仕留めるなど、よりゲーム的要素が増している。
      • なお、無効化するのは警戒してる時と興奮してる時であり、見つかってない状態だったら正面からでもダメージを与えられる。
    • 見た目も『SIREN』らしい「グロテスクではない不気味な恐怖」そのものであり、特に太田ともえ(乙式)がトラウマになっている人も多いだろう。
  • ファンの間では「ダークマン」や「やみんちゅ」と呼ばれている。
    • 長い間プレイしているうちに、闇人がかわいく見えてきたという猛者も多い。
+ 闇人の画像(ホラー苦手な方は注意!)

左から順に闇人・闇人甲式・闇人乙式


賛否両論点

武器持ち替えシステム

  • 島中にある日用品や、敵が持っていた武器を倒して奪えるシステムだが、これが大きく『SIREN』らしさを失う基となってしまっている。
    • どんな弱武器でもダメージを与えさえすれば敵は倒せ、武器も奪えるため、前作にあった「非力なキャラクターを操作し、隠れ、進む」ことをしなくてもよくなってしまった。
    • 同行者も武器を拾うため、護衛対象が勇ましく敵に向かって行くなんて事も普通にある。無論、同行者が殺されればゲームオーバーなので守らなければならない事に変わりはないが。
      • また、同行者は敵同様に銃弾を無限に持っているため、銃火器を持たせれば非常に頼りになる相棒になる(なってしまう)。
  • 今作では、自衛隊が島に不時着したという設定の下、多くの銃器や自衛隊員(屍・闇人含む)が登場しているため、敵が多くの銃を持っている。
    • その敵を倒し銃を奪うことで、本職である自衛隊員はともかく雑誌記者からチンピラ、はたまた女子中学生や占い師の一般女性まで銃を使うことができてしまう*7
      • 一応、自衛隊員に比べて素人は狙撃時の手ブレが大きいという違いはある。
  • また、前作ではメインだった近接武器も2では大きく進化してしまったことにより、さらに難易度が低下。
    • 靴べらから日本刀、トロフィーから釘バットまで様々な武器が使えるようになったのはいいが、近接武器が最大3回までコンボできるようになったため、非常に使い勝手がよくなった。
    • しかし、銃でも近接攻撃ができるようになったため、銃さえあれば他の武器は必要なくなってしまう。
    • が、リアリティを求めるとこうなってしまうのは自明の理なので、一概に否定はできない。前作では「農村ならもっと武器がある筈なのに何故拾わない」という意見は出ていた。
    • また、あまりに攻撃力の低い武器では相手が怯まず、逆にコンボの隙に攻撃を喰らってしまうので、全ての近接武器の使い勝手が良い訳でない。

相変わらず複雑なストーリー

  • 「前作並」という意見もあれば、「前作より難解ではない」という意見もあるが、どちらにせよ複雑なことは変わりない。
    • 前作同様、公式サイトや考察サイト、掲示板で情報をやりとりして自分なりの回答を見つける楽しみを重視しているとも言える。

問題点

素手攻撃

  • 素手でも攻撃できるようになったとは言え、ほとんどのキャラは突き飛ばし程度しかできない為使いどころは非常に限られる。
    • 今回は敵味方問わず、段差付近で攻撃を受けると落下してダメージを受けるようになったが、突き落としで倒すのはほとんど無理*8。遊びには使えるが、攻略面の実用性は皆無である。
    • 攻撃力のある素手攻撃を持つキャラはほとんど武器を持ってスタートするため、使う必要が無い。
    • 一応、突き飛ばして仰け反った隙に逃げる手には使えるが、怯んだ敵の脇をすり抜けようとすると大抵捕まって噛み付きを受けてしまう。

一部操作感・モーションの変更

  • 前作と比べ回頭速度が低下した。
    • 後述の闇霊によるハメ殺しの一因になりやすい。
  • ボタン入力式アクションの弊害。
    • 前作ではスティックを強く押し込むだけでスムーズに行なえた段差の昇り降りが、ボタン入力に変更され他の動作との選択形式となったことで意外と手間取ってしまう。
  • 難儀なポイント表示。
    • 何らかの動作を行なうためのポイントが画面に示されるのは分かり易くて良いが、指示内容の頭にあるポイントマークが黄色表示の時でなければ反応しないため、迅速な行動が必要とされる場面やタイムアタックなどでは大きな足枷になってしまう。
  • 階段昇降時に専用モーションが適用されたため、動作が自然になった反面、階段での移動速度が低下。
    • また、リアリティを追求するとどうしてもこうなってしまうのだが、非常事態にもかかわらず律儀に一段一段歩を進める姿は少しシュールに見える。
  • 全力疾走できる距離が前作より延びた反面、スタミナ回復に要する時間も増加。
  • モーションの一部に違和感がある。
    • 近接武器のモーションに使い回しが多い。
    • 機関拳銃を構えるモーションが拳銃の物と同じで「マガジンが手を貫通する」という妙な光景が見れる*9
    • 自衛隊員は懐中電灯を胸ポケットに仕舞っているのだが首振りをしただけでそっちの方向に光が向くようになっている。
    • これらは容量上の問題でありスタッフも妥協せざるを得なかったようである。

その他

  • タラコ(闇霊)の存在。無限に沸くため多数に囲まれてハメ殺されるという理不尽な死に方を度々見せられる。屍霊は許せてもタラコは許せないと言う意見は多い。

総評

前作に比べると難易度は大きく下がったことで賛否が分かれているが、その分初心者には幾分易しい作品となっている。
難易度の減少については前作の明らかに理不尽だった仕様を修正した結果といった側面も強いのでやむを得ないと言えるだろう。

新たな敵の恐怖、新システムなど前作以上に新たな試みを行っていながら、グラフィックや操作性などゲームとしての質は確実に向上している。
緻密なストーリーもまた健在であり、やりこみと情報収集によってさらに世界の奥深くへ引き込まれていくという前作同様の楽しみもまた健在である。

難易度に関しても、熟練者でも退屈しないハードモードや高難易度隠しステージ、各種称号と言ったシステムを用意してある点は忘れてはならない。
前作とは若干方向性が変わっているのは否めないが、本作もまた魅力的な作品であることに変わりはない。


余談

  • 2006年には堤幸彦監督により『サイレン ~FORBIDDEN SIREN~』として実写映画化された。
    • 設定は本作がベースなのだが、森本レオ氏にココリコの田中直樹氏というホラーに相応しくない人選や、人魚伝説、屍人、視界ジャックの設定がすべて上辺だけの登場でありSIRENの良さが失われている上、SIRENが原作である必要性が無い結末*10のためファンからは黒歴史として認識されている。
      • 唯一褒めるとすればキャッチコピーの「サイコ・サウンド・スリラー*11」は伊達じゃなく、サイレンの音は映画の効果音とすればMAXに近い程の音で迫力は凄い。
    • ちなみに、チョイ役程度だが岸田百合役の高橋真唯氏が出演している。
    • さらにEDテーマはピエール瀧氏の所属している「電気グルーヴ」の石野卓球氏が担当している。
  • 同じく本作に合わせて漫画版『サイレン ~ETERNAL SIREN~』がヤングサンデーで短期集中連載された。
    • …が、こちらも原作との乖離*12が激しく、「漫画では音や動画が使えないので十分な恐怖感を表現できない」「作者がホラーは得意ではない」という理由でホラーというよりはアクションメインのダークファンタジー化するなど、評価は芳しくない。
      • そもそもホラー漫画とは音や動画に頼らずに恐怖感を表現するものだし、後年になってコミカライズされた『1』の漫画版二作*13はしっかりSIRENの雰囲気を漫画で再現している。正直言い訳にしか聞こえない。そもそも「ホラーが得意ではない」という時点で人選ミスだったのだろう。
    • なお、舞台となる「夜見島」はメディアによって表記を変えており、映画では「夜島」、漫画では「夜島」となる。あくまで別物だと言う事だろうか。
  • メイン主人公の一樹守役を務めているのは、現在俳優業はもちろん映画監督などでも幅広く活躍している斎藤工氏である。
    • 斎藤氏にとっても思い入れのある作品らしく、2018年に開催されたSIREN展にもプライベートで参加しており、ファンサービスに応じる姿が確認されている。
    • ちなみに物語前半の一樹は眼鏡を掛けているのだが、当時『冬のソナタ』などの韓流ドラマで人気だったヨン様こと韓国俳優のペ・ヨンジュン氏にどことなく似ている事から、「ホラー界のヨン様」と呼ばれる事も。
  • 2019年3月に三沢武明役のピエール瀧氏が麻薬取締法違反(コカイン使用)の容疑で逮捕されたため、本作のアーカイブ配信*14などに影響が出ることが予想されている。
    • また、作中で三沢が精神安定剤のような薬を服用する場面が見られるため、SNS上で本作が引き合いに出されてしまう羽目になった。
      • ちなみに、公式のインタビューでは「三沢の薬は病院で処方される物ではないが麻薬ではない」と語られている。

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最終更新:2023年11月27日 14:14

*1 PVやスクリーンショットでは前方や横などからの視点になっているものもあるが、実際には不可能である。

*2 ツッコミ所満載の映画情報と言ったネタに走ったアーカイブもあるが、最後には「興行収入は全く振るわなかった」という絶望的オチが付く。

*3 実際に曲を聴けるレコードもあるのだが、レコードの傷の所為で音が飛び、「ころして」「しんで」などと聞こえる呪いの歌と化している。

*4 シリーズでもちょくちょく登場する「アトランチス」というB級雑誌担当。

*5 前作ED後の設定を引き継いでいるため、体力・弾数無限、とある最強武器を2種類所持しているなど、文字通りの無双状態。

*6 アサルトライフルを持っているが腕がぼろぼろなので照準が合わない、自身も同行者も動きが鈍い、頼みの綱のライトも電池が切れかけているなど。

*7 ライフル銃は男性のみだが、拳銃・機関拳銃は全員装備可能。

*8 上り下りできる程度の段差では致命傷は与えられず、高所から落とすにしても1回では死なないし、どちらにしても落とした敵は昇ってくるまでに大抵回復してしまう。

*9 ムービーシーンでは銃前部にあるフォアグリップをしっかり握っている。また開発初期のスクリーンショットやティザーPVでもしっかりフォアグリップを握っているのが確認できる。

*10 「実は主人公の思い込み系」オチというのはこの時期のホラーに何故か流行ったラストだが(洋画「catacombe」等)どれも酷評されてる上に、堤作品独特の「その場で思いつき演出」がかなりマイナスに働いているためにサイレンの良さが堤節でけされてしまっている。

*11 そもそもこのコピーからしてホラーではなく「スリラー」と認識間違いをしている。

*12 視界ジャックが無く、主人公がテレパシーを使う。屍人がただのゾンビと化している、など。

*13 1つは新耳袋アトモスで連載された『SIREN -赤イ海ノ呼ビ声-』だが、こちらは作者の体調の都合で打ち切りに。その後、Web漫画サイトZにて『SIREN ReBIRTH』が連載開始された。

*14 前作は配信されているが本作はまだ配信されていない。