半熟英雄4 ~7人の半熟英雄~

【はんじゅくひーろーふぉー しちにんのはんじゅくひーろー】

ジャンル バラエティ・RPG
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対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2005年5月26日
定価 通常版:7,140円(税込)
限定版:9,240円(税込)
判定 良作
ポイント 3vs3戦闘の導入、移動システム変更など、全体的なシステム刷新
たまご戦闘の復活、エグモン復活等、戦闘面での不満は解消傾向
エッグマンが役に立つ日が来た
雰囲気と世界観は前作『対3D』と同様
当時は珍しい「公式生放送」を実施するなど意欲的な宣伝
半熟英雄シリーズ


概要

『半熟英雄』シリーズの第4作目であり、3作目『対3D』の直接的な続編。パロディが多くあり、元ネタを探すだけでも面白い作品である。
ジャンル名にある通り、今作では今までのRTS色が薄れており面クリア型に近いシステムとなっている。


ストーリー

前作のラストで、ゲーム史上最悪のヒロインの一人と言って過言ではないカトリ・イネと結婚させられることになった若。
しかし婚礼の儀の当日、空から巨大な火の玉が落下し、その中には若のものとは違う「たまご」を使う、謎の機械生命体の姿があった。
どうにか撃退した王子たちだが、エッグワールドの伝説に、
「この広い宇宙には7人の英雄が存在するという。英雄の持つ7つのたまご呼び合うとき…すべての世に災厄訪れん…。」とあることを知る。
何者かが、7人の英雄と、その「たまご」を狙っているらしい。こうして王子たちは、まだ見ぬ英雄に出会うため、アルマムーン王国の存在する惑星アルマムーンから宇宙に飛び出すことになった。


特徴

シリーズ初作『半熟英雄』、前作『半熟英雄 対 3D』の記事も参照。

世界観・キャラクター

  • 前作『対3D』に引き続き、2Dの主人公と大臣、及び3D世界の人間であるカトリ王国の王女「カトリイネ」が登場する。また、前作では終盤のサブキャラであったカトリイネの妹 「カトリイヌ」 が本作ではメインキャラに昇格。
    • カトリイヌは姉のカトリイネと異なり青いドレス(というかメイド服)を着た美女(母親似)…なのだが、性格がギャルそのものであり、ガサツで口調も乱暴。姉とはまた別のベクトルで手が付けられず、態度という点ではカトリイネよりタチが悪い。
    • とは言え姉と違って容姿は抜群に良く、性格も強引さはなくツンデレ気味で決して壊滅的なほど悪い訳でもないため、カトリイネと比べるとかなり万人向けのキャラになってはいる。
    • メインキャラ昇格に伴って、声優も下屋則子氏から豊口めぐみ氏に交代となった。
  • 本作では数々の惑星を回り、それぞれの星に住む「英雄」を1人ずつ仲間としていく。
    • 登場する星は主人公たちが住む惑星「アルマムーン」に加え、「ロマンシング」「リローデド」「アクエリアス」「エルム」「コギトエルゴスム」の計6つ。それぞれ雰囲気が全く異なる。
    • それぞれの星に住む「英雄」は曜日を元ネタとしており、「半熟ヒロイン」のルーナエ、「半英雄」のマルティスなど、主人公=「半熟英雄」をもじった肩書きを持っている。いずれも非常に個性的な性格。

システム

  • オープニングとして「惑星アルマムーン」をクリア後、5つの惑星を好きな順番で攻略する。
    • 各惑星は3~5ステージで構成されており、各ステージはそれぞれのボス城(1つ~3つ)を全て制圧すればクリアとなる。その他の城は制圧しなくても構わない。
    • 惑星をクリアすると、その惑星に住む「英雄」が仲間として加わる。惑星リローデドのみ、英雄のマルティスは惑星の攻略開始時点で仲間に加わる(ただし、たまごは最終ステージボス戦まで使用不可)。
  • マップ移動の方式が大きく変わり、広いマップ全体の自由移動ではなくなった。
    • 本作ではマップで移動できるのはクリア目標となる「城」と空き地となっているいくつかの「拠点」、及びそれを繋ぐ道の部分だけであり、迂回したり寄り道するようなことはできない。
    • 各マップでは、主人公たちは宇宙船でもあるカトリ王国の城「カトリ・デ・オマール」のみを持った状態でスタートする。
      • カトリ・デ・オマールは移動能力を持っており、城のない「拠点」には移動することができる。移動中に敵と接触した場合は、通常の城に攻め込まれた場合と同様となる。城には移動できないので、攻め込む場合は従来通り派兵を行って攻め込む形となる。
    • 代わりに本作ではマップギミックが多く、特定の手順を踏むことで道が通れるようになる、月ごとにマップの構造が変化するといった大きなギミックも複数仕込まれている。
  • 本作では将軍ではなく、最大7人の「英雄」を1単位として行動する。
    • 主人公や各惑星の仲間である「英雄」は兵士を率いて戦う点では将軍と扱いが同じだが、戦闘では「英雄1人(リーダー)+将軍最大2人」をパーティとして組み、このパーティ単位で戦闘を行う。英雄や将軍は従来通りそれぞれの兵士を率いるが、英雄は40人、将軍は30人ずつと率いる人数は異なる。
    • 将軍が戦闘不能になった場合は、従来通り消滅して月イチコマンドの将軍雇用で偶然再雇用しない限り使えなくなる。一方、英雄は戦闘不能になるとそのステージでは使えなくなるが、そのステージをクリア・失敗すると再度使えるようになる。
    • 前作と同様にグンググーン、チョッキーン、パパラパーン(グー、チョキ、パー)の相性要素「陣形」があるが、本作では陣形はパーティのリーダーであるそれぞれの英雄に対して設定されており、将軍は陣形を持たない。
  • 本シリーズの特徴「たまご」のセットについても従来作とは異なる。
    • 「英雄」はそれぞれ固有の「たまご」を持っており、例えば主人公は「カラフルエッグ」を、ルーナエは「ピンクエッグ」を担当する。
      • 各たまごから呼び出せるエッグモンスターは敵を倒すことで「半熟レベル」が上がり増えていき、最大20種類のエッグモンスターを自由に呼び出せる。
      • しかし、逆に言えば自分が担当していないたまごのモンスターは召喚することはできない。
    • 一方、「将軍」はいずれもたまごを持っていないが、英雄の召喚できるたまごのエッグモンスターを借りてセットすることができる。
      • 借りてセットした場合、借りた将軍がそのエッグモンスターを召喚できるようになるが、英雄はそのエッグモンスターを召喚できなくなる。
      • そのほか、将軍にセットする専用のたまごとして、「ダンジョンエッグ」「ひみつエッグ」がある。これらのたまごのモンスターは英雄では召喚できず、将軍にセットすることでのみ使用できる。
      • 各エッグモンスターはS・M・Lの「サイズ」を持っている。将軍はエッグモンスターのセット枠を4枠持っているが、Sサイズは1枠、Mサイズは2枠、Lサイズは3枠と占有枠数が異なる。強力なエッグモンスターは占有枠も大きい。
    • 前作同様、各エッグモンスターそれぞれにもレベルがあり、レベル10に達することで3つ目の技が使えるようになる。レベルはそのエッグモンスターをセットした状態で敵を倒すと経験値が溜まり、上昇する。
  • 本作の戦闘面での大きな特徴が、新システム 「タコメーター」 である。
    • 自動車などのタコメーターが元ネタだが、このゲームでは 「タコのメーター」 である。敵・味方双方が技を使うたびに、下部のタコが左右に動く。
    • 多くの強力な技(シリアスな技)を使うと、メーターがどんどん「ブチギレ方向」に動いていく。振り切れるとこちらのターンが一回休みになり、その間相手の攻撃力は倍になってしまう。
      • 中には「ブチギレ」状態になると同時に特殊なイベントが発動し、極めて不利な状態にさせられてしまう(ゲームオーバーになってしまうことも!)敵もいる。
    • 逆にギャグ的な技を使うと、メーターが「アキレ方向」に動く。振り切れると相手が1ターン休みになった上に、倍の攻撃力で攻撃できる。
    • 敵の行動については方向が逆になり、つまりシリアスな技ではアキレ方向に、ギャグ技ではブチギレ方向に動く。
  • 前作でほぼ毎月強制的に起こっていた「貢ぎイベント」は、月イチコマンドで行う任意選択方式に変わった。
    • 本作ではカトリイネだけでなく、妹のカトリイヌにも貢げるようになった。多くの金額を貢ぐと、姉と同様に将軍として戦ってくれる。ただし、カトリイヌの方が全体的に貢がされる金額は2倍近く高い。
    • カトリイヌの将軍としての衣装はコスプレめいたものが多く、『FF10-2』のユウナや『FF12』のフラン、果てには『ドラクエ』の勇者といった同社のネタでも多く着替えてくれる。 中の人はパインだけど。
  • 本作には、通常のステージの他に攻略できる要素として「ダンジョン」が用意されている。ゲーム本編には一切絡まず、特に攻略しなくても問題はないが、進行によって「ダンジョンエッグ」のエッグモンスターが手に入る。
    • 英雄または将軍1名を選び、3Dでキャラを操作してダンジョンを潜っていく。階段を探してフロアを降り、最深部に辿り着くことが目標となる。ダンジョンの内部は固定で、ランダム生成式ではない。
    • 内部には敵将軍が多数配置されており、通ろうとすると1vs1の戦闘になる。たまごを持っている将軍もいる。
    • 特定の場所には「ダンジョンエッグ」のエッグモンスターを使う敵将軍がおり、倒すとそのエッグモンスターが使えるようになる。
    • それ以外にもCPUがいたり、特定の手順を踏まないと先へ進めないといったイベントも多数用意されている。
    • ダンジョンは各惑星に1つずつ、そしてゲーム本編で進む惑星とは別の「ダンジョン惑星」に巨大なダンジョンが用意されているため、計7つ存在する。

評価点

  • 新しいエッグモンスターが大量に追加された。
    • 作業量の都合上か前作でリストラを喰らわされたエッグモンスターも全員復活し、モンスター数は200体の大所帯になった。
    • 前作のエッグモンスターもそのまま使い回しているものだけではなく、グラフィックや技性能に変更があるものも存在する。
    • もちろん今回も一般公募のモンスターが何体か存在する。
  • 前作の欠点・不満点は全体的に解消される方向に動いている。
    • 敵も「たまご」を使うようになり、前作で実質的に廃止されていたエッグモンスター同士の戦闘が復活した。
    • 4倍速ボタンの追加などテンポの悪さが改善され、長いイベント及び演出などがあまり気にならなくなった。
    • 貢ぎイベントも任意選択方式になり、月イチコマンドの煩わしさも改善された。
    • 形骸化していた技のヒット数がきちんと反映されるようになり、前々作の仕様に戻った。
    • パラメータ「にんき」やきりふだパズルなど、前作で不評だった追加要素の多くは廃止された。
    • 主題歌を歌うささきいさお氏を除き、芸能人のゲスト出演は端役やエッグモンスター起用程度にとどまった。
      • これに伴い、前作から続投した鉄拳は闘技場のボスモンスター(実質勝利確定イベント)、およびダンジョンのモブキャラ扱いに留まった。
  • 戦闘についても、前作までと比べて戦略性が大幅に増した。
    • 最大3人のパーティ制となったことで攻撃役・回復役といった役割分担ができるようになり、戦略の幅が広がった。
      • 技ごとに単体・全体の対象が設定されたことで、技の差別化も進んだ。
    • 毒や自動復活などの状態異常が追加されたり、ダメージ計算が特殊な技が現れたりと、パーティー制に伴う変化以外についても多彩な技が追加されている。
  • 新システム「タコメーター」が秀逸。
    • 大抵の場合強い技はシリアス味が強く、ブチギレ方向に動くように設定されているため、攻撃力だけを重視して強い技ばかり使っているとすぐブチギレが振り切れ、敵の猛攻撃を受けてしまう。アキレ技を使用することで、ブチギレ方面へとメーターを積極的に進めて来る敵もいる。
    • このため、攻撃力を頼りにゴリ押しする傾向の強かった過去作と異なり、わざと弱い攻撃などを使ってブチギレを打ち消す戦略性も場合によっては必要になった。強力すぎるエッグモンスターや攻撃手段を持たないエッグモンスターは振り幅も大きいため、 今まで何の役にも立たなかった「エッグマン」や「ウゴカザル」でも、活躍の可能性が生まれた ことになる。
    • 特に闘技場では3体同時に戦わせられるため、メーターの調整と壁としてわりと役に立つ存在に。そのため役立たず系の新エッグモンスターもいる。
    • とはいえ、当たり前だが技そのものの性能が変化したわけではないので、上に挙げたような役立たずモンスターたちが戦力として全く頼りにならないことに変わりはない。逆に言えば、それらのモンスターのアイデンティティーも失われていない。
  • 「ダンジョン」「闘技場」の追加など、やりこみ要素の増加。
    • 前者はレベルアップやお金稼ぎができ、ここでしか手に入らないエッグモンスターやアイテムがある。
    • 後者は既存のエッグモンスターのパロディとなるボスモンスターが控えており、強さは段違い。一番最速のタイミングで挑める「呪われたデス」ですら、4444という破格のHP*1に加えて高火力に即死技を所有と、狂った強さを見せ付けてくる。
      • 役立たずエッグモンスター代表である「ウゴカザル」のパロディである 「ウゴクザル」 、三日月からマッチョな肉体が生えた「ムーンマッスル」のパロディである満月の 「フルマッスル」 など、パロディ自体もインパクトがあり中々笑えるものとなっている。
      • 更に全ての闘技場を制覇すると、本編ボスらを遥かに上回る凶悪な隠しボスに挑戦できる。
  • 音楽は植松伸夫・伊藤賢治・関戸剛などの多数の作曲家陣が製作していて、非常に豪華。
    • 各惑星ごとにそれぞれ別の作曲家が担当する形となっており、フィールド曲、ボス曲それぞれに作曲家の個性が現れている。
  • 前作でもあったタツノコプロ&アニメーター・金田伊功製作のOPアニメは健在。
    • 今作はアニメ作品のパロディとなっているアイキャッチも多数追加され、アニメーションを堪能する機会は多い。
    • 前作と比べてわかりやすいパロディも多く、アニメ版『ポケモン』のアイキャッチなど、比較的近い世代のネタも入れられている。

賛否両論点

  • ギャグ色の強い点は本作でも健在。
    • OPアニメからしてパロディまみれは賛否が分かれるところ。前作は世界観を残しつつ、さりげなくパロディしていたが、本作はあからさまなのが多いと言われがち。
    • ある英雄を覚醒させるきっかけとして貢献したとはいえ、主人公の若が前作に増して悪フザケに徹しているのも原因。今回はブラックドラゴンの夢や若覚醒イベントに相当するシリアス成分が皆無なのもそれを助長している。
      • 最終決戦では若の持つカラフルエッグがキーとなる展開があるが、そこもギャグ的な形である。
    • ストーリー自体には部分的にはシリアスな雰囲気や深いテーマが含まれており、特に終盤には緊張感のある展開も用意されている。が、そこに若が直接絡む事は無く、またせっかく盛り上がってきたのに行き過ぎなギャグで茶化される事も少なくない。
+ ゲーム開始前の主人公とは別の名前・しゅみ(好きな人or恋人の名前入力)についてのネタバレ
  • 最終ステージは「太陽系第三惑星」、つまりは地球であり、そこでプレイヤー自身が自衛隊の一兵士、「半熟兵士」として登場する(3Dモデル)。この時最初に大臣に訊かれて入力したプレイヤーの名前としゅみ(恋人の名前)がこのプレイヤーの分身たる存在に適用される。
    • 台詞も本編中で味方になる関係上それなりにあるが、当たり障りのない発言でそこまでふざけたキャラクターではない没個性。たまごはすっぴんエッグでそこそこのステータス。装備品も可能だが編成リーダーにはなれない。
      • だが少なくとも日本人であり(過去の広島・長崎への原爆投下を憂う等)、秋葉原を地球観光先として半熟英雄達に薦める等、ややオタク的なキャラ付けの青年である。
    • ちなみに、地球の存在はCMや雑誌情報などでしれっとネタバレされていたりする。
+ とあるボスについてのネタバレ
  • 半熟英雄 ~ああ、世界よ半熟なれ…!!~』にてラスボスを務めたキャラ「ボイルド」が、本作にて四次元キャラとして再登場した。それだけなら真っ当なファンサービスなのだが、残念ながらそれ以外が問題だらけであった。
    • まず挙げられるのはその見た目。全体的には第2作での姿そのままなのだが、四次元キャラという事なのか顔にはでかでかと「4」が描かれており、更に股間にはエボン=ジュらしきモチーフが…人によってはこの時点で脱力感が凄まじい事になるだろう。
    • プレイヤー側に倒された際には「これが…わた4の物語か4…!?」という断末魔と共に幻光虫らしきものを出しながら消滅する。ちなみにこの断末魔、ボイルド役の石川英郎氏によるフルボイスとなっている。
    • 戦闘時のBGM「ウィ・アザー・ワールド」は「Otherworld」のアレンジなのだが、歌詞が「4(よん)」しかないというトンでもアレンジとなっている。しかも歌唱担当はよりにもよってボイルド役の石川氏。
      • 更に恐ろしい事に、このアレンジはOtherworldの作曲者でもある植松伸夫氏自身の手によるものだったりする。
    • …とまぁ、これでもかと言わんばかりに『ファイナルファンタジーX』のパロディまみれとなっているのである。
  • FFX以外にも、条件次第ではあるがどう見てもいてつくはどうな「伝説の波動」や、名前からしてアウトな「ツインサイバーライフル」という技まで使ってくるという徹底ぶり。お前本当にシリーズ作品2作目のラスボスか?
    • 一応過去作のラスボスを務めただけあって、なめてかかると幾度となく「常にこうありたいものだ4…」という石川氏渾身の中の人ネタ演技を聴く破目になる程度には手強い相手であるのがせめてもの救いか。
  • 前作と比較するとやや難易度が高い。
    • 戦闘規模が大きくなったのもあるが、技のヒット数が機能したことで非召喚時のリスクが高まっているのが一因。
    • 必中か命中率の高い全体攻撃持ちのボスはこの傾向が顕著である。特にラスボスは攻撃力の高さと素早さから、2回分喰らっただけで(エッグモンスターを召喚していないと)全滅に追い込まれることも珍しくない。

問題点

  • 一部のグラフィック・BGMが前作から使い回されている。
    • 直接的な続編である以上、基本的な要素を引き継ぐのはある程度は仕方ないが、通常戦闘のBGMや不評だった将軍グラフィックなどが変更されていないことには不満もある。
    • 前作から流用された3Dグラフィックは若干粗く表示される。
  • テンポの悪さが完全に改善されているとは言えない。
    • 戦闘が3vs3の大人数になったこともあり、スキップを駆使しても一戦一戦に結構時間がかかる。
  • 「ダンジョン」が面倒くさい。
    • やたら同じ場所をまわらないといけない仕掛けが多い。さらに敵が召喚するエッグモンスターが強いなど、難易度が高い。
      • 敵の強さに関しては、敵エッグモンスターの「HP以外のステータス」がプレイヤー側の同モンスターに比例して強くなる本作の仕様のせい。特に100階ダンジョンのほぼ全域に渡って登場する「ジュードーカ」は攻撃力がよく育つ優秀なアタッカーで扱いやすいのだが、こいつを使い続けるほどダンジョン攻略の難易度が上がるという…いやらしい罠。
    • 本編とは関係のないおまけの割にやたらと分量が多く、全100階の巨大ダンジョンまであるため、下手をすると全てクリアするのに本編クリア以上の時間がかかる。
      • その分、本編の方は割を食ったのかそれほど長くはなく(恐らく歴代シリーズの中でも下から二番目)、ボリュームのバランスが悪い。
    • ちなみに100階ダンジョンの中では様々なサブストーリーや根幹に関わる謎めいた伏線が張られているのだが、このうち後者は最後の最後で盛大に肩透かしを喰らってしまう*2
      • しかもこのダンジョンの謎を解き明かそうとして亡くなった犠牲者もいるだけに、何とも複雑である。
  • 前作にあった、データ引き継ぎを行ったうえでの2周目(いわゆる「強くてニューゲーム」)がない。
    • 使えるエッグモンスターが大量に増えたにもかかわらず、一度クリアしてしまったら育てる場所がほとんどない。
    • クリア後の「ダンジョン」でエッグモンスターを育てることは可能だが、雑魚を倒し続ける単調な稼ぎか、かなりの金がかかる育て屋を使わねばならずあまりに面倒くさい。
  • エッグモンスター及び「たまご」の使い勝手に差がありすぎる。(ある意味、これはシリーズ恒例なのかもしれないが…)
    • 例えば、サイバーエッグは大器晩成型が多い代わりに回復持ちが一人も居ないため、他のエッグに比べると相対的に弱い。
    • ピンクエッグの「リップナイト(旧名くちびるナイト)」は、自己強化技「メイクアップ」と3つめに覚える吸収技「すいつくす」のコンビネーションが非常に強力で、タコメーターの調整もしやすいため、間違いなく本作のエグモンの中で一二を争う使い勝手の良さである。

総評

戦略シミュレーションとしての要素が薄まったことなどには賛否があるが、複数戦闘制と「タコメーター」の導入により、過去作で問題だったRPGとしての戦略性を獲得した。
特にタコメーターシステムはそれなりにオリジナリティがあり、作品のノリともマッチしたシステムが本作の評価を押し上げている。
他にも完全ではないが随所に前作からの改善点が見られ、総合的に見ればまぎれもない良作である。

ただ、路線的に評価の低かった前作『対3D』を引き継いでおり、グラフィックに変化がないこともあって結局は前作の延長線上の作品として扱われやすい。
万人向けのパロディネタが増えたため間口は広がったものの、やはりキャラクターやストーリー回しの点で賛否両論である。
結果的に、減ったファンはあまり取り戻せなかったのが残念なところである。


余談

  • 公式サイト「半熟劇場」(現在は閉鎖)では、プロデューサーの時田貴司氏がMCとなり、 ユーザー数百人が独自のチャットシステム*3を用いて参加できる公式生放送(ラジオ)番組「半熟○○祭」 *4が定期的に開催されていた。
    また、時田氏とアシスタントの「カオリイヌ」氏がMCを務める公式ラジオ「半熟レイディオ」が定期的に更新されていた。
    • 当時はまだ2005年でYoutubeが黎明期、ニコニコ動画はそのものが存在しない時代であり、 「公式生放送」という概念も殆どない頃であった ことを考えるとこの試みは非常に先進的かつ意欲的で、本作のファンにはこのイベントを懐かしく思うユーザーも多い。
    • 次作『エッグモンスターHERO』でも、同様にこの公式サイトでの生放送やラジオ配信が行われた。
  • これまで小ネタ程度に扱われた主人公が喋る姿だが、今回で遂にアニメムービーにてボイス付きで喋る姿が見られる。
    • また、「半熟劇場」内にてミニゲームで貯めたポイントを消費することで設定資料集を閲覧することも出来た。その中にて主人公の名前に「ソーリス」と設定されている(実際のゲーム中では一切言及されないなど、いわゆる裏設定ではあるが)。
  • 前作では集英社の雑誌『週刊少年ジャンプ』『Vジャンプ』と大々的にコラボレーションを取っていたのだが、本作ではまともな紹介すら行われなかった。
    • おそらく、上記のパロディで自社の雑誌を宣伝していたのが原因だと思われる。そこまでしてパロディに徹しなくても…。
    • ちなみに、ほぼ同時期に発売された『エッグモンスターHERO』は月刊コロコロコミックにて毎号特集を組まれていた。
  • 限定版にはランチBOXとサントラCDが付いた。前作はかなり異様なオマケの内容に良くも悪くも話題になったが、比較的まともな物に落ち着いた。
  • 前作から引き続き金田伊功氏がOPアニメを直接手掛けたが、後に鬼籍に入ったため本作が遺作のひとつとなった。
  • 売れる前の芸人、桜塚やっくん(当時は本名の「斎藤恭央」名義)がエッグモンスターの声優として参加している。
    • 以前から僅かだが声優としても活動をしており、ゲームも本作以前に『NANA』に参加しているが、ゲーム声優としては本作の方が有名で語られている。
  • 明らかに金の掛かった作りでありながら、売り上げは前作の半分以下にまで落ち込んでしまったためか、今作を最後に続編は出ていない。
    • OP主題歌の二番に「半熟X-2まで作り続けまーす」という歌詞があるが、ただのネタだとしても切なさが漂う。
    • 本作発売から12年後にスマートフォンにて第2作の移植版が配信された。またまた10年ぶりの発売でございます
    • なお、沖野真歩によるコミカライズ版『半熟英雄』1巻に収録されているシリーズに長年携わった時田貴司氏による寄稿では本作のパッケージが遺影のように見立てられている。これが意味するものは…。
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最終更新:2023年05月12日 01:58

*1 参考までに、ストーリーボスが繰り出すエッグモンスターは序盤の惑星で3桁台、最後の惑星でも1500程度である。

*2 いよいよ大詰めだ、と意気込んで扉の前に立った途端、落とし穴で落とされその先には…

*3 現在の「ニコニコ生放送」等に見られるような択一クイズや投票を行う機能も持ち合わせており、賞品を掛けたクイズ大会も行われた。

*4 ○○の部分には「地鎮祭」「感謝祭」など、毎回違う名前が入る。