本記事では2005年にPS2で発売された『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』について解説しています。
2022年発売のPS5/PS4/Switch/Steam(Win)/スマートフォン向けリマスター版『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』は参考記述扱いで後述。

ロマンシング サガ -ミンストレルソング-

【ろまんしんぐさが みんすとれるそんぐ】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2005年4月21日
定価 6,800円(税抜)
廉価版 アルティメットヒッツ
2006年5月11日/2,940円(税込)
配信 ゲームアーカイブス
2015年4月15日/1,200円(税込)
判定 良作
サガシリーズ


概要

ロマンシング サ・ガ』(ロマサガ)のリメイク作品。通称「ミンサガ」。
フルボイス・3D化に加え、システムは歴代サガの集大成と呼べるものになっており、「ストーリーや設定を踏襲した新作」と言える程のアレンジぶりである。

ディレクターの河津秋敏氏は、『サガ フロンティア2』(サガフロ2)(99年)のアルティマニアのインタビューで『ロマンシング サ・ガ』のリメイクをやりたいと話しており、満を持しての実現と相成った。


特徴・評価点

キャラクター

  • 3D化に伴うキャラクターデザインの刷新
    • SFCの2D作品だった原作からのグラフィック一新は当然ではあるが、メインキャラは服装から大きく変わり、グラフィック的には完全な別人になっている。
      • 例えば、原作では赤のロングヘアにロングスカートだったバーバラは、銀のショートヘアでパンツスタイルと活発なデザインに。
    • キャラの頭身も、原作の2頭身から3頭身程度に変わった。これはスタッフ曰く「3頭身の方がリアル頭身よりもバトルアクションを誇張しやすい」ため。可愛くする事が目的ではないとのこと。
      • イベントムービーではモーションキャプチャーが使用されており、3頭身キャラが滑らかに動く。バーバラ編冒頭のダンスモーションなどは全く不自然さがない。
      • 前作の『アンリミテッド:サガ』(アンサガ)では直立したまま地面を滑るような挙動が目立っており、モーションの向上には大いに貢献したと言える。
    • キャラグラフィックは一目でゲームの印象を決める要素であり、モーションはともかく、その絵面は大いに賛否分かれる点となった。後述の「賛否両論点」を参照のこと。
  • フルボイス化と声優の起用
    • 各キャラクターにはイメージに合った声優が採用されており、好評。メインキャラ担当には皆口裕子氏や雪野五月氏、小林由美子氏に阪口大助氏、保志総一朗氏といった有名声優が勢揃いしている。
    • 新キャラであるダーク・マリーン・海賊シルバー・母ちゃん等の演技も評価が高い。
    • 既存キャラでもジャンやナイトハルトなどは声優の味のある熱演(?)によってオリジナル版にない個性が生まれている。ナイトハルトについては下記で特筆する。
  • 追加キャラクター
    • 完全新キャラの「ダーク」は既存の設定に矛盾させずに上手くマッチさせており、発売前の不満は全て覆された。特定条件を満たした際の「アルドラエンド」は感涙もの。
      • ダークの声を担当する藤原啓治氏*1の演技も光っており、設定の関係上二つの声色で喋る複雑な役を見事に演じ分けている。
    • 「海賊シルバー」はオリジナル版では設定だけの存在だったが、リメイクに伴いプレイアブルキャラクターとなった。
      • ダークと違って事前情報が全くなかったため、驚いた人は相当多いだろう。設定や圧倒的な能力値と見た目のギャップが激しく、本作一番の人気を誇る事となった。惜しむらくは何らかの反応を見せて然るべきホークすらリアクションが薄い事と、モーションが汎用味方キャラとのコンパチである事。
    • OPで現れ、酒場にいる吟遊詩人は旧作では「ハオラーン」という名前だったが、今作では「吟遊詩人」という名前であり、話しかけると曲と語りを聴くことができ、仲間にもなるようになった。また旧作ではPUBのマスターがやっていた「仲間を主人公のパーティーから抜けるように説得する」ことも彼が行うようになった。
    • また、パトリックやファラ、ディアナやナイトハルト等、旧作で仲間にならなかったり期間限定だったキャラが正式に仲間になるのも、多くのファンを喜ばせている。

ストーリー・設定

  • 新しく追加されたイベントも多い他、SFC版では特定キャラクター限定だった一部のイベントが汎用イベントになる等、ボリュームが増している。
    • 新設定や新イベントもオリジナル版を壊すものではなく、よりマルディアスという世界における歴史や信仰の描写を深めるものが多い(「伝説の竜騎士」「ソウルドレイン」「刀の声」など)。
    • オリジナル版ではあまり存在感のなかった部分を活かしたり補強したイベントもある。「死の神デス」「海神ウコム」等の神々や、リガウ島やガレサステップといった地域にも描写が増えた。
      • 『アクアマリン探索』の理由や『皇帝の奇病』の黒幕の正体等、オリジナル版で描写不足だった展開にも説明・補足が追加された。
    • 先述した新規キャラクター「ダーク」関連のイベントも、1000年前のサルーインとの戦いとアサシンギルドを上手く絡めている。
  • パブでは、吟遊詩人が世界各地の伝承や歴史上の逸話などの「語り」を教えてくれるようになっている。
    基本的にゲームの本筋には関係ないが、これもオリジナル版にはなかった新ストーリーが補完されていたりするので聞いてみると面白い。
  • 周回と条件こそ必要だが、リメイク前では全部入手するのは不可能だったディステニィストーンが、ついに全て集められるようになった。
    オリジナルでは未完成であり、『シェリルのゆびわ』等の名残しかなかった三邪神シェラハ関連のイベントもしっかりと完成されている。
  • ガラハドについて
    • SFC版での「ねんがんの アイスソードを てにいれたぞ!」→「殺してでも うばいとる」で非常に有名なガラハドだったが、本作ではアイスソードを奪おうとすると戦闘になり、開幕直後に高威力の「吹雪」でプレイヤーを瞬殺する恐ろしいキャラと化した。
    • また、仲間に引き入れてアイスソードを入手し、そのままガラハドが仲間にいる状態でフレイムタイラントにアイスソードを渡した場合、ガラハドが悲しむ演出が見られる。開発スタッフが頼んで頼んで頼みこんで追加してもらったシーンらしい。
    • 上記に加え、リメイクにおいてガラハドもキャラデザが変更され、しかもその変更でなぜか前髪が無残にも禿げ上がった(通称ガラハゲ)ため、簡単に殺せなくなったリメイクでもいろいろネタに事欠くことはなかった。

ゲームシステム

  • ゲームシステムはこれまでのサガシリーズ同様、慣れるまでは難しく、慣れると易しくなるという特徴を持つ。
    • しかし従来作、特に前作の不親切さを反省してか、ヘルプメッセージやチュートリアルが従来作は勿論他のRPGと比較しても非常に多く、「システムが理解できない」「ハードルが高い」という事は少なくなった。
    • 武器や防具の解説、各能力値の効果、現在地の地名や方角、武器の改造方法等、サガシリーズとは思えないほどに徹底されている。
  • それまでのシリーズにおいて最早恒例と化していたバグや設定ミスなどは、普通にプレイする程度ならワロン島のフリーズバグ以外はまず遭遇しないか気付かない。
    • 勿論バグが存在しない訳ではないが、プレイヤーが意図的に狙わないと遭遇しない等、発生条件が厳しく、支障を来さないものが大半を占める。
  • 金とジュエル
    • 原作でのジュエルは単なる「1万金」扱いだったが、本作でのジュエルはスキル習得用となり、入手方法も金とは別口になっている。詳細は後述の「スキルシステム」等を参照。
  • スキルシステム
    • 武器・術法・マップアビリティには技能の種類別に「長剣スキル」「火術法スキル」「サーチスキル」等の個別のスキルレベルが設定されている。
      イベントクリア等で得たジュエルを修練所で支払う事でスキルレベルがアップし(最大でレベル5)、その技能の使い勝手や効果が上昇する。
      • 例えば、「長剣」や「水術」等の武器スキル・術スキルを上げると、連携確率がアップしたりBP消費がダウンする。武器スキルは閃き確率がアップする。
      • マップアビリティ系のスキルである「サーチ」を上げると、対応するマップアビリティ「財宝サーチ」「鉱石サーチ」等で高レベルの財宝や鉱石でも発見に成功できるようになり使用回数も増える、等。
    • また、習得したスキルのレベルと種類によって特定の「クラス」を名乗れるようになる。例えば弓・土術・サーチのスキルレベルが1以上で 「森の番人」を名乗れる。
    • 修練所では、「森の番人の修練」「海賊の修練」といったクラス単位の修練も可能であり、そのクラスに必要なスキルを複数まとめてレベルアップさせる事ができて、更に支払うジュエルも少し割り引かれるのでお得である。
  • 『ロマサガ2』以来とも言える「クラス」の概念を採用。習得したスキルに応じてクラスの認定を受けられ、クラスに就くと、そのクラスがスキルを所持する武器系統や術系統のEP・LP消費が減り、更に「クラス特性」により有利な効果を得られる。
    • クラスに対応するスキルを修練所でレベルアップさせる事でクラスもレベルが上がる。例えば上の「森の番人」のクラスをレベル5にするには、弓・土術・サーチ全てのスキルレベルが5である必要がある。クラスレベルに比例してクラス特性の効果が上昇するメリットがある。
    • クラス特性は、『サガフロ2』のロール(役割)システムをアレンジしたもの。細工師の「節約魂/耐久度消費確率ダウン」、シティシーフの「発見術/宝箱発見率アップ」、海賊の「疾風/行動速度アップ」等、その種類はより多様になっている。
    • ちなみに「伝説クラス」という特定の修練所でないと認定できないクラスの名前は、「聖戦士」「僧侶」等オリジナル版でニューゲーム時に設定する「両親の職業」から取られている。
  • マップアビリティの導入。
    • 前作のスキルシステムが形を変えて継承。これを使う事が前提の仕様になっており、ゲームプレイに深みを与えている。
    • 本作はシリーズ恒例のシンボルエンカウント。オリジナルを意識したのか敵シンボルの回避が妙に難しいのだが、そこにこのマップアビリティを上手く取り入れる事でそれを打破している。「忍び足」「ステルス」のアビリティを使う事で一定時間こちらを見失わせる事ができ、容易に避けたり、背後を取って先制攻撃を仕掛けたり出来る。
    • ダンジョン攻略にもこのシステムは活かされている。障害物を乗り越える「クライミング」「ジャンプ」、敵と交渉してアイテムを入手する「アイテム交渉」、宝箱の鍵や罠を解除する「カギ開け」「ワナ解除」、レアアイテムを入手する「財宝サーチ」等、単に最深部を目指すだけだったダンジョン攻略に彩りが与えられている。
    • また、「マップアビリティを使うたびに1ジュエルを入手できる」というメリットもあり、プレイヤーに一方的な制限を掛けるだけのシステムではなくなっている。「使うと便利」「使わないと不便」「使うメリットがある」「有限*2」という事で、実にバランスの取れたシステムになっている。
    • 使用回数は街などでマップアビリティを付け替えするだけで回復する。
  • 周回プレイを前提とした作りになっている。この点は多少評価が分かれているが、多くのユーザーには受け入れられている。
    • 2周目以降にしか出ないキャラ*3やアイテムがあるが、分かっていれば条件はさほど難しくない。分からないと困難ともいうが。
    • ちなみに、本作には『イベントをクリアすればするほどジュエル獲得量が上昇する』というシステムがある。イベントをクリアした回数は次周に引き継がれるので、周回を重ねるほどジュエル獲得数が増加し、スキル修得幅が広まるメリットがある。
    • その一方で『1周クリアする毎に敵(一部除く)のHPが3%上昇する(上限あり)』というシステムもある。はじめは大した事ないと思うかもしれないが、何周も重ねると敵はどんどんタフになっていく。プレイヤーは周を重ねてゲームに慣れていくが、ヌルくはならないわけである。
    • ラスボスのサルーインはそのままだと程々の強さだが、2周目以降はディステニィストーンを捧げることで劇的に強くなる。全てのディステニィストーンを捧げた時の強さは、サガ史上最強であることはもちろん、日本RPG史上最強のラスボスとの呼び声も。
      • 周回が前提である以上、クリアを難しくては駄目だからであろう。周回を重ねている時には強すぎず、腕試ししたい時には十分過ぎる強さ、という位置付けのラスボスになっている。実際、クリアするだけなら15~20時間程度と、あまり長くはかからない。
      • 強化前は適度に弱いということで、高速撃破(タイムアタック)やリアルタイムアタック(リセットした時間も記録に含める)を狙う人もいる。強化後を単独で倒す制限プレイをする人もいる。
  • セーブシステムの仕様が変化し、ハマりが起こりにくい。
    • 通常のセーブとクイックセーブ(どこでも行える一時セーブ)という2つのセーブ形式があり、本作では通常セーブが宿屋利用時しか行えないようになっている。以前のシリーズではどこでもセーブできてしまう故に「八方塞がりの状況でセーブして詰む」という悲劇が起こったが、本作ではクイックセーブが詰んだとしても、宿屋のセーブが残っているので被害は少なくなった。
    • ひとイベント終えた後はLPや武器の耐久度を回復するために宿屋を利用するはずなので、自然と新しいセーブデータが作られるようになっている。
  • ゲーム進行度と自由度の高いイベントのシステム。
    • イベントをクリアする事でスキル修練に必要なジュエルを多く獲得できる。
    • このゲームは大量のサブイベントの集合という構成であり、その内でどのイベントをクリアするかほぼ自由。スキル修練が十分ならば、もう他のイベントを進めずにクリアまで一直線に行く事もできる。
    • 戦闘する事でゲーム進行度が上がり、別のイベントが発生する。しかし、進行度が上がると終了するイベントもあるため、多くのイベントをクリアしたいならばプレイヤーは戦闘回数を抑える必要がある。
      • チュートリアル・ヘルプ役のギユウ軍(義勇軍ではなく戯遊軍)という子供達が各街に居て、様々なシステムについて教えてくれるのだが、ゲーム進行度が進むたびに順次新しい解説が増えていくため、ギユウ軍に話しかけて「新」と表示されていればゲーム進行度が進んだという目安になる。
      • ギユウ軍でも推奨されているが、マップアビリティの「ステルス」「忍び足」が便利なので敵シンボルを回避しやすい。進行スピードは早めだが、慣れれば丁度いいと言われる(その慣れが重要なのだが)。
      • また、終了制限があるイベントは中盤で終わり、以降は好きなタイミングでイベントをクリアできる。
    • なお、メニュー画面のプレイヤーノートという項目には、今までに着手したイベントリストが載っており、「現在進行中」「クリア済み」「未解決終了」などに分類されている。さらにそのイベントがどのように進行してきたか(フラグ立てや聞き込み情報)まで記録されるので、セーブデータを長い期間経ってから再開して、どこまで進めたのか忘れてしまっても、現状の確認が容易である。
  • ショップブランド
    • 3種類の商会があり、店で売買するとブランドレベルが上昇する。レベルが高ければ商品が追加されたり、買取価格が上昇したりする。
    • 各ブランド100%の均等な割合で扱っている店もあれば、1つのブランドだけで300%の店もある。
  • 調合
    • 採取した薬草を街でポーションに調合して貰える。
    • 調合して貰うたび調合レベルが上がって、高級なポーションを作れるようになる。
    • 調合レベルの上昇は全ての町で共有。町によって作れる薬の種類が異なる。
    • 調合時に持っている薬草は基本的に全消費される。
      • 高価な薬の材料になる上薬草が片方だけあるときなどは、装備することで消費を免れることも可能。
      • ただし薬草入手時にクラス「薬草摘み」の仲間が居なければ、薬草と上薬草をアイテム名では判別できない。
  • アイテム交渉
    • アイテム交渉のマップアビリティを付けていると、たまに交渉可能な敵シンボルが出現してアイテム交換できる。
    • 全てのアイテムには材質が設定されており、獣系シンボルなら骨製品が好みなど、各種族それぞれ好みがある。
    • たったの10金で買える布製アイテムであるソックスや、やたら宝箱で拾うことが多く売っても25金程度にしかならない骨製のボーンブレストなど、安く買えたり売っても安いアイテムが活躍することになる。
    • 交渉可能シンボルの出現率は高くないが、クラス「旅商」の仲間が居れば出現率が何倍にも高まる。
  • SFC版同様、大半のキャラクターは町のパブに出現し、話し掛ける事によって加入させられる。
    • SFC版の出現条件は戦闘回数だったが、本作では町を出入りする度に決まった順番で町を巡るようになっており、望む仲間を加入させやすくなった。
    • また、「何処の町に誰が出現するか」は、各キャラの行動や設定がきっちりと反映されており、作り込みの高さが窺える。
      例えば、旅芸人のバーバラはニューロード沿いの町を巡り、シフと行動を共にしているアルベルトはシフが出現する町と同じ町に出現する。
      特に秀逸なのがクローディア。彼女は最初はバファル帝国の町に出現するが、特定イベントを解決するとバファル帝国に出現しなくなり、以後は国境を越えたローザリアの町に出現するようになる。それと同じくしてグレイもバファル帝国を離れ、クローディアに寄り添うように同じ町に出現し始める。これは「過去に囚われる事なく自分の人生を歩むクローディア」と「彼女を守るために寄り添うグレイ」という、設定・行動・ストーリー進行が噛み合った見事な作り込みである。

バトルシステム

  • 新旧様々なシステムを融合させた、サガシリーズ集大成と言えるものになっており、その評価は非常に高い。お馴染みの閃き・連携システムも健在である。
    • またそれらの要素の初発動時には「使いなれた武器で強力な敵と戦っていると無意識のうちに体が動いて新しい技をくり出すことがある。これを閃きと呼ぶ!」等と各要素に説明のナレーションが入るようになった。不思議な吟遊詩人の声なので違和感はない。
  • 技や術を使用するためのポイントとして、「BP」と「EP/LP」の二つのシステムを採用している。
    • BP(バトルポイント)は、一般RPGのMPや従来のWP/JPのように「最大値までポイントが溜まっていて減ったらアイテムや宿屋で回復する」のではなく、戦闘開始時は一定の割合分しか溜まっていないが、ターン毎に設定された値だけ回復していく。
      • 最大BPが25と50まで成長すると、回復BP値も上がる。例えば回復BP2のキャラは4まで、回復BP5のキャラは7まで上がる。
      • 戦闘開始時の初期BPは、最大値に対する割合がキャラによって決まっている。回復BPが少ないキャラは初期BPが40%や50%などと多く、回復BPが多いキャラは初期BPが20%や30%などと少ない。
      • 大技や有用な術はBP消費が高く、キャラの最大BP値が低い序盤から中盤に使用するには、数ターン待ってBPを溜める必要が生まれる。また、術法も技も一括してBPを消費するため、大技を繰り出したはいいがBPが切れて回復術が使えない、といった状況もよく起こる。また戦闘不能になった後に回復されずにターンが変わるとBPは0になってしまう。
      • このため、従来のような「ポイントの許す限り大技連発」ではなく、時にはBPを消費の少ない技で温存するというバランスを取った戦い方が必要となる。
    • EPは『サガフロ2』『アンサガ』に登場した「武器の耐久度」をアレンジしたシステム。一部の技を使うことで武器のEPが消費され、0になると武器が使用不可能になる。クラスやスキルレベルによってはEPを消費しない状況になる技も多数出てくる。
      • 武器を使わない体術・術法あるいは特殊な武器については、EPの代わりにキャラのLP(戦闘不能になるごとに減少、0になるとキャラクターが離脱)を消費する必要がある。
      • 武器のEPを使いきっても使用不能になるだけで、壊れて消滅することはなく、改造武器でなければ宿屋に泊まると回復する。が、基本的にはダンジョン内では回復できないので、BPとは別の意味で使い所を考える必要のあるポイントとなっている。同じ武器を複数用意するのも現実的な対応策である。
      • 「耐久度制は、攻撃のたびに耐久度を消費したり、武器が壊れるのが嫌だ」という声にもある程度応えたシステムになっている。
  • 連携システムに大きな変更はないが、前々作から可能となった行動順指定が、本作では戦闘中に毎ターン任意で使えるようになったため*4、連携の使い勝手が向上した。
    • 連携発同時にはキャラクターのカットインが入り、「陣」と呼ばれる特殊演出もある等、演出面も向上している。
  • ディフレクト、カウンター
    • 『アンサガ』にもあったように一定確率で攻撃を武器で弾いて回避する。
    • 武器の種類によっては自分自身だけでなく攻撃された仲間を庇ってディフレクトすることもできる。
    • 体術の場合、回避してさらに反撃もするカウンターになる。
  • 武器・防具の改造システムの導入。『アンサガ』とは完全に別のシステムになった。
    • 武器・防具に戦利品や鉱石発掘等で得た「素材」を加えて改造する事で性能が変化する。素材の種類によって武器なら強度や攻撃力、防具なら物理防御や術防御が上下する。その他に術や状態異常への耐性が付加される素材もある。
      • ただし、素材を加えた改造武器は宿屋に泊まってもEPが回復しなくなる。改造武器のEPを回復させるには、鍛冶屋で同種の新しい素材を補強してもらわなければならず、未改造武器より使用コストが高くなったり再入手の手間がかかる。
      • また、武器は「適材」という指定の素材で補強して使い込むと、「○○+1」、「○○+2」と名前が変化し、攻撃力が10%ずつ上昇していく。適材はときとして使いにくい性能になる素材を使うはめになることもあるが、使いこんで性能が変化した後なら別の素材に付け直しても問題ない。
      • 素材と装備の組み合わせによってはアイテムの名前が特殊なものに変化する。
      • 適材を馴染ませて強くした武器から素材を除去して宿屋で回復できる状態に戻せる特殊なレア素材も存在する。
    • 素材の付与とは別に、武器なら性能寄りか強度寄り、防具なら物理防御寄りか術防御寄りに、性能を偏らせる改造を行なうこともできる。偏らせるともう一方の値は下がってしまう。片方には3段階まで偏らせることができるがもう一方には1段階が最大など、どこまで偏らせられるかは装備それぞれに違う。
      • 改造可能な術具は素材を付けることはできるが、こちらの改造は一切できない。
      • なお店売り防具の中には、プレイヤーでは不可能な程に片方に偏らせた改造済み防具なども売られている。
    • 武器の強度はEP消費と関係があり、装備品改造で武器の「強度」を上げれば、EP消費の高い大技でもEPを全く消費せずに使用することも可能である。EPの消費を完全に無くすには強度が高い素材と強度改造を行なって攻撃性能を犠牲にする必要がある。素材を加えてない宿屋でEP回復できる武器と、EP消費0になる強度が高い改造武器の使い勝手は好みの分かれる所。
      • 逆にEP消費を気にしなければボス戦用に攻撃性能重視の武器へと改造したりすることもできる。
    • スタイルの改造という要素もある。武器の攻撃には、アタックモード、ディフェンスモード、トリックモードという3種類のモードがあり、基本状態の武器はアタックモードしか選べないアタックモード単一スタイルになっている。改造可能な武器はこれを変更することが可能。2つのモードを自由に選べるスタイルや、3つどれでも自由に選べる万能スタイルもあるが、単一スタイルに比べて攻撃性能は下がってしまう。
      • 技には対応したモードがあり、同種のスタイルを含まない武器では技を閃く確率が下がってしまう。例えばアタック単一スタイルの武器では、ディフェンスやトリックに属する技は閃めきにくい。つまり万能スタイルに変えれば閃きにくい種類はなくなるのである。
    • なお、基本的に普通にゲームクリアするだけなら特に武器防具の改造は行わなくてもいいバランスになっている。
  • モード
    • 基本的にはアタックモードだけでも充分だが、活用すれば攻略の幅が広がる要素。
    • アタックモードでは威力が1.3倍になる。ただし相手がディフェンスだと効果が発揮せず、加撃発動率も0になる。
    • ディフェンスモードでは防御力が1.6倍になる。ただし相手がトリックだと効果が発揮せず、加撃発動率も0になる。
      • 設定ミスにより、アタックモードの相手の攻撃に対しても効果が出なくなってしまっている。海外版では修正されてアタックモードに対しても効果がちゃんとある。
      • またディフェンスモードにはディフレクト発動率4倍の効果がある。こちらは敵のモードに関係なく効果が適用される。
    • トリックモードだと速く行動できる。ただし相手がアタックだと効果が発揮せず、加撃発動率も0になる。
    • このように3すくみが形成されている。
    • また別のモードに属する技を違うモードで使用すると少し技の威力が下がる。
    • 術具に該当する武器には術法モードがあり、武器のスキルLVやクラスLVでBP消費やLP消費を軽減して術を使える。
      • 相反する術を覚えて封印されている術も術具経由で使用可能。特に水術と火術を両立できるのは大変便利。
      • 武器の攻撃性能が乗るため術の威力が高くなる。また武器の強度でLP消費を抑えることができる。
      • 術具経由で術を使うなら必要なのは武器のスキルLVだけで術のスキルLVは必要ない。ただしエレメンタルなどを召喚するなら、召喚者の術のスキルLVが適用された状態で術具を経由せず召喚キャラが術を使うためその限りではない。
  • 『神の恩寵』と『信仰値』
    • 冒険の舞台であるマルディアスには様々な種類の神々が存在し、バトル中にそれらの神々が恩寵という特殊効果を発現してくれることがある。味方全体のHPを回復する地の神ニーサの『地母神の慈愛』や、敵全体を消滅させる死の神デスの『冥王の祝福』など全部で十種類の恩寵が存在し、多くが強力であり戦闘の助けになる。
    • 『恩寵』は、対象の神への『信仰値(恩寵値)』が高いと発動しやすくなる(加えて味方全体のHPが低い状態であるといった発動条件が必要な場合もある)。その神の神殿で買い物をする、その神の信仰地域でバトルを重ねるなどの行動で信仰値を上げることが出来る。ただし、一度恩寵が発動するとその神への信仰値は下がってしまうので、連続では恩寵の発動を狙えないようになっている。
      • さらに、信仰値の状態によって終盤のイベント分岐が決定したりと、ストーリー進行にも絡んだシステムとなっている。
  • 歯ごたえのあるゲームバランス。
    • シリーズ恒例、モンスターはゲームの進行具合によって徐々に強力なものが出現するようになる。序盤は比較的簡単だが、後半になるとタフな上に一撃でHPの半分以上を削る(または即気絶にする程のダメージを与える)ような敵が4~5体の中に混じって出現するようになる。
    • また、敵シンボルが密着していると連戦状態になるチェーンバトルというシステムもある。「退却不能」「連戦中はHPが回復しない」「最後に一段強い敵が出現する」「獲得ジュエルが増加」という仕様。慣れたプレイヤーでも全滅する危険があるため、緊張感がある。
      • 最大チェーン数は戦闘回数で増えるため、初心者がいきなり3回以上のチェーンバトルにさらされることはない。
    • 敵が多数出る事もあり、全体攻撃が重要である。使いやすいからと全体攻撃に乏しい長剣や体術ばかりをキャラに使用させていると苦労する。
    • しかし、敵に対してプレイヤーの対処法は十分用意されており、理不尽な難しさは少ない。HPも一回の戦闘が終われば全回復し、BPもターンごとに回復しゼロになる心配はないので、ザコ戦でも全力で戦うことが前提の調整である。
    • 全体的に高難度化。オリジナル版では1ターンで倒されることすらあったジュエルビーストや死の神デスなども、リメイクにあたり通常のゲームクリアレベルではまず倒せない相当な強ボスと化した。
  • 生態系
    • 敵を倒すと他のダンジョンを含むその地域に出現する敵シンボルの種類に影響を与える。(例えば爬虫類系シンボルを倒すと、爬虫類系をエサにしている水棲系シンボルが減り、爬虫類系にエサにされている獣系や不定生物系シンボルが増える)。
    • また前述したチェーンバトルにも、エサにされる天敵シンボルとはチェーンが繋がらないという形で反映されている。
  • 逃走
    • 戦闘から逃げるにはLPを消費する必要がある。ただし敵シンボルは消えるため敵が密集していても数回逃げれば倒さずに通り抜けることができる。原作と違って敵から逃げればゲーム進行度が進むことはない。
    • 逃げるには実行したキャラがパーティ人数分のLPを消費するため、5人ならLP5消費する。十数回逃げれば全員LP切れで逃げられなくなるため宿屋に戻る必要がある。
    • チェーンバトルからは逃げられない。
    • 通路に敵が密集していて接触せずに通るのは難しいがゲーム進行度は進めたくない場合、チェーンバトルを発生させないように1体ずつ誘き寄せて逃げるのも有効。
  • 今までの作品で把握しにくかった実防御力が詳細に確認できるようになっている。
    • 『ロマサガ2』以降恒例のシステムだが、本作でも攻撃は「斬、打、射突、火、冷、電、エネルギー、状態異常」の8種類の属性に分類されている。防具の性能は、基本的に物理防御・術法防御の2種類だけで表示されるが、例えば「物理防御14・術法防御7」の場合「斬・打・射突属性への防御力が14」「火・冷・電・エネルギー属性への防御力が7」ということである(状態異常属性だけは例外的*5)。
    • ただし、実際は特定の属性に対して弱点・耐性を持つ装備品もあるため、物理防御・術法防御だけでは全てを把握しきらない。本作の装備品画面ではより詳細に、耐性・弱点の補正値を合計した8属性個別の防御力も確認できるようになっている(『斬撃防御13+26』 『耐電防御54-10』といった感じ)。
      • ところが、この補正値、実はすべて実際の値の2倍で表示されている(実際は50上昇でも+99と表示される等)。この点は残念か。
    • 『サガフロ2』からの仕様だが、本作では武器にも耐性(補正値)が付くので、一部の武器は防具として装備するという戦略性もある。
  • 装備重量
    • 使用する武器の重量に比例して攻撃の命中率が下がる。
      • 連続で複数回攻撃する技は、2回目以降の攻撃は武器重量による命中率低下効果がどんどん上がっていってしまう。
      • 武器重量による命中率低下は腕力で相殺される。武器重量の10倍の腕力があれば完全に影響を消せる。
    • 武器防具の装備重量の合計で行動順が遅くなる。
      • ただし影響が素早さの8分の1(素早さは256倍、装備重量は32倍の値が計算に使われる)しかなく、しかも0~装備重量の32倍までのランダム値が減るという形なので、重い武器と防具を装備していても行動順への影響は小さくあまり気にする必要はない。
    • 後述する「無足」の発生率も下がってしまう。
  • 能力値の成長
    • 原作同様、確率で各種能力値がアップする。
    • その戦闘中に行なった行動だけでなく、過去の戦闘の行動も上昇確率に影響する。

技・術

  • 武器の種類の細分化
    • 体術や弓は技も独立しているが、細剣・小型剣・長剣・曲刀・両手大剣・大型剣・刀・片手斧・両手斧・棍棒・杖・打槍・衝槍はほとんどの技が別のいずれかの種類の武器でも使用できる。
    • スキルやクラスで使いづらくなることはあれど、各種武器の技の違いによる特色は薄れてしまっている。
    • 依存能力値も技次第なので、細剣で使える技だからといって器用さ依存の技ばかりではなく、長剣や曲刀などでも使える腕力依存の技がいくつもあるということになる。
  • 本作の技には「無足」「加撃」「奥義(無足加撃)」という新システムが導入されており、好評を持って迎えられた。
    • 「無足」「加撃」は、技が一定確率で別の技に変化するというものであり、命中率や攻撃力の上昇・状態異常の付与・連携しやすくなるといった様々な特典が付く。技によっては攻撃範囲や効果対象まで変化するものもある。
      • 基本的にこれといったデメリットもない。不評点らしい不評点は『「錬気」が「錬気掌」に変化した場合、「自己回復+数ターン自動回復」が「敵からのHP吸収」になってしまい自動回復効果を得られなくなる』事のみ。
    • 「奥義」は、上記の「無足」「加撃」が同時に発動した場合に起こるものであり、発生確率はかなり低いものの非常に強力。特に刀技「月影の太刀」の奥義「乱れ雪月花」は美しいグラフィックと圧倒的な破壊力を兼ね揃えた、シリーズお馴染みの技であると同時に(術や敵の技も含めて)本作最強の技である。
  • 術について。
    • 『ロマサガ2』~『3』や『アンサガ』の「術合成」を導入。特定のクラスに就いている場合のみ、1つの術を合成術に出来る。ベース術に別の術を組み合わせるという、システム的には『アンサガ』のそれに近い。
      • 「2術合成」ができるクラスと「3術合成」ができるクラスの2種類があり、前者は能力値低下効果を、後者は状態異常効果を付与できる。ただし元あった付与効果は上書きされてしまう。何も付かない組み合わせなら元の付与効果は維持される。
      • 組み合わせによって術の威力と術の消費BPが変化する。消費BPが少ない組み合わせなら、初期BPが少ない序盤のうちから消費BPが高い全体攻撃術を1ターン目に放つといったことも出来る。
      • どちらも組み合わせ次第でギャラクシィやクイックタイムといった合成術専用の強力な術を使用することもできるようになる。ただし全ての合成術を使えるのは3術合成のみで、2術合成では一部の合成術しか使用できない。
    • 術攻撃のテンポが向上し、戦闘の流れがスムーズになっている。
      • 具体的には、従来は「行動を入力してターン開始」→「行動順が来ると詠唱ポーズ/エフェクト」→「攻撃」という流れであった。
        本作では「ターンを開始した時点で詠唱ポーズ/エフェクトが発生」→「行動順が来ると即攻撃」という流れになり、テンポが向上した。
    • また、一部の術は参照ステータスの上昇によって、エフェクトが変化/進化するようになっている。『サガ フロンティア』以来である。
  • その他、幻日・オーヴァドライヴ・下り飛竜・シヴァトライアングル等、旧作に登場した技や術の再登場も、旧作ファンを歓喜させている。

BGM

  • オリジナルと同じく伊藤賢治氏が担当したBGMは概ね好評である。「捨てる曲がないゲーム」とまで言われた名曲の数々は、当時を知らない多くのゲーマーに絶賛された。
    • サントラ収録曲数は102曲と相当なボリュームで、SFC版の2倍以上の数である。新曲も多いが、SFC版の曲をアレンジしているものも多い。「最終試練」「幻想迷宮」「ラストダンジョン」「下水道」などはオリジナルのメロディをよく残している。
    • 「正義の希望 -Albert-」や「風を感じて -Aisha-」はイントロ部のみ原曲の面影を残しているが、以降は新規。一方、「絶対自由 -Gray-」は全くの新規曲のようでありながら、原曲の旋律が顔を見せるという凝った構成である。
    • ゲーム未プレイ者にも知れ渡るほどの人気を得た「熱情の律動」(ミニオン戦BGM)、守護者戦で流れる「邪聖の旋律」やプロモーション曲&対デス戦BGMの「死への招待状」など、名曲を挙げるとキリがない。
      • またフルオーケストラ化された「オープニングタイトル」を筆頭に、リメイクされたBGMも例外なく超絶クオリティを放っていた。特に怒涛の3段ソロが特徴的な最終ボス戦の「決戦!サルーイン」は、ファンのみならず多くのゲーマーから絶賛の声が上がるほどのクオリティを誇っており、プレイヤーを震え上がらせたが、一部ではロック調になってしまい音が軽くなったとの不満も出ている。
    • 各市町村で流れる曲は、前々作のように「一つの旋律を複数の曲に渡って多用することで統一感を生み出す」という手法をとっており、これも概ね好評。
  • オープニングムービーで流れる山崎まさよし氏の「メヌエット」も、世界観に合っていると大好評だった。
    当時のスクエニは中島美嘉氏や宇多田ヒカル氏といった女性アーティストを多用する傾向だったが、その中での山崎氏を起用という渋すぎるチョイスは、多くのユーザーを(良い意味で)驚かせた。
  • これだけのクオリティを誇るにもかかわらず、伊藤氏は本作のサントラにて「バトルBGMは苦手です」とコメントしている。
    • 無論、下手なのではなく作曲に時間が掛かったり苦労するといった意味だろう。反対に悲壮感漂うような曲は得意と語っている。
      逆に考えれば、苦手だからこそ曲に割く時間をあてているとも考えられるため、必然的に完成度やクオリティが徹底されるのだろう。

グラフィック

  • スクウェア・エニックス製の作品なだけあって、グラフィックは当然の事ながら高い品質を誇っている。
    地形や人物のテクスチャは勿論、ムービーや細かなエフェクトに至るまでしっかりと作り込まれている。
  • 本作のデザインテーマは「エキゾチック」と「異文化交流」。「アイヌ+コサック」など外国の文化をわざと間違えてミックスさせてみよう、という方向性であり、世界各地がそれぞれ服装から建築まで個性的かつ統一感のある文化を持っている。
  • 港のある帝国首都から南国の島やオアシス等、多種多様な地域が用意されており、冒険心をそそられるものになっている。
    特に「クリスタルシティ」等は名称通りに清潔感があり美しく、また深い谷間に集落が吊り下げられた「ヤシ開拓村」といった奇抜なものもある。
    • 砂漠の地下建築・極寒地帯の雪原・鬱蒼とした森林・草葉が舞う草原等、都市以外の地域も美しく仕上がっている。
      上記のオープニングムービーでは、このような世界各地の情景が山崎まさよしの「メヌエット」ともに映し出されていく。

賛否両論点

  • 一新されたキャラクターデザイン
    • 新デザインが好評を博したクローディアやグレイ、眼帯とヒゲで順当に海賊船長らしくなったホーク等のキャラがいる一方で、奇抜な恰好になったキャラも多く、3頭身化を含めて発売前から不評の声も多く聞かれることとなった。
      • キャラデザは発売前の不評を受けて徐々に修正され、製品版のものに落ち着いたという経緯がある。
    • 用途不明の羽根を背負ったアルベルト、角袋のような謎のヘッドドレスを着けたシフなど、必然性のよく分からないデザインも多い。
    • 前後から見ると露出はないが、横から見ると脇から太腿まで丸出しという服装のアイシャは、「裸エプロン」などと呼ばれてその筋の人々から好評を博した。
      • ちなみに、キャラ原画担当の小林智美氏のイラストではちゃんと着ている。他キャラはだいたい小林原画に忠実な中で、何故か主人公キャラ最年少のアイシャに露出増の改変が加えられることとなった。
    • 3頭身化については、どちらかと言えば現在でも否定的な声が多く、否定的でない評価でも「すぐ慣れる」といった程度のものが多い。全体としてはカートゥーンだが体のバランスはリアル寄りで、頭の大きさがやや不自然に感じられる辺りが理由か。
  • フルボイス化に伴い、SFC版では妙に乱暴でネタ成分が強かった台詞が、キャラの個性に沿ったものに変更されている。
    • SFC版の独特なセリフに強い思い入れのあるプレイヤーには残念な点であると言える。
    • 一方で、愛されたネタ台詞にはただただ粗暴なものや幼稚なものも多く、ベテラン声優も多く起用した本作での全面刷新は極めて妥当でもある。
    • ただしボイスの無い選択肢には、SFC版の雰囲気を色濃く残すやたら辛辣な台詞が多く、それらは各キャラ共通。

問題点

  • キャラを追うカメラは可動だが、プレイヤーには操作できず、キャラとカメラの向きが一致するビハインドカメラにならない場面が非常に多い。ゲーム性以前の部分では、おそらく最も大きい問題点。
    • 画面奥の視野に対して手前と左右の視野は狭く、ビハインドカメラにならない場面では敵や地形を確認しづらい。
    • 移動につれてカメラが回り込み、直進したいのにルートが膨らむといったことも。無論、敵はカメラに影響されず最短距離で追ってくる。
    • 似たような地形が続くダンジョンでは、意図しないタイミングで動くカメラに迷わされやすい。地図を入手していないダンジョンでは割と深刻。
    • キャラは北進し、マップ上では上へ進んでいるが、カメラが南向きのため画面上では手前へ進んでいる、といった混乱必至の状態にもよく陥る。
    • カメラの向きが急に変わって操作しづらい場所もある。やり込みで通うことになる雪原西の洞窟の出口付近もこれに該当する。
    • スタッフによると、カメラの回転を自由に行えないようにしたのはテクスチャの貼りが甘い部分を見られないようにする理由もあったらしいが、操作性とトレードして良い欠点だったかは怪しい。
    • 次回作『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』からは手動で動かせるようになった。
  • 移動速度が遅い。少々不自然なほど小股でチョコチョコと移動し、マップの広さや敵の速度に見合っていない。
    • 原作でも乗り物での移動時を除けば速くはなかったが、『ロマサガ2』以降はダッシュ機能が標準搭載だったりWSC版では高速機能が搭載されていたのに比べると、本作の移動速度は時代に逆行するかのような仕様である。
    • 敵シンボルを避けにくくしたり、マップアビリティによる回避を意識させるための調整とも思われるが…。WSC版のように敵味方全体の時間の流れを高速化できたり、通常は早く移動できるようにして、モンスター出現時にのみ遅くする等の配慮があると良かったのではなかろうか。
  • イベントシーンは一般人との会話も含めてフルボイスで行われるのだが、一部を除きスキップはできない。
    • 厳密に言えば、本作には「イベントムービー」と「会話イベント」の2種類があり、前者はスキップ可能。
    • 長々とした会話イベントは少ないが、会話イベント自体は少なくない。周回プレイが前提なだけに、2周目以降は特に気になるところ。ちなみにラスボス前のやや長い舌戦もスキップできない。
    • なお、イベントではなく通常のちょっとした会話なら基本的にスキップ可能。
  • 街と街の移動において進路上に敵の出るマップがあると強制的にそこへ入ってしまう箇所がいくつか存在する。
    • フロンティアへ行くためのニューロード、バルハラントの雪原、リガウ島の草原など、マップ移動における演出に一役買う場面もあるが、基本的にストレス要素である。
      • ひっかからずに直接フロンティアやトマエ火山などに移動できるようになるバグもあるが、発生条件が戦闘回数数万回を要するため利用するのは非現実的。
    • 特にローザリア・バファル帝国間の移動で、イスマスが経路になって意図せず入ってしまうパターンは通称イスマスブロックと言われる。
      • イスマスからすぐワールドマップに出て、再度イスマスから目的地への移動を選びなおせば移動できるが、面倒。バルハラントのガトの村へ行く途中の雪原も同様(ただしガトの村からワールドマップへ出るには雪原を通る必要がある)。
      • ひと手間増えるが、クジャラート側を経由すればフィールドマップを通らずに移動はできる。
      • わざとイスマスの地名を終盤まで明らかにしないままにしておく回避方法もある。ただしアルベルトの加入やイスマス城の宝箱を終盤までスルーすることになる。
    • またワロン島へはワールドマップから移動できるが、逆にワロン島からは直接ワールドマップに出られずいちいち船(2回目から無料)に乗って別の街に一旦移動する必要がある。
      • 船は通常のワールドマップ移動と違って高速スキップできない。
  • 生態系の解説がデタラメ
    • メルビル図書館およびプレイヤーノートで見られる捕食関係の情報が実際の挙動とは全然異なる。
      • なお攻略本では正しい情報が掲載されているが、エサと天敵が逆に掲載されてしまっておりさらなる混乱をプレイヤーにもたらした。
    • 生態系を調整して特定の種類の敵シンボルを増やす依頼が4つあるため、プレイヤーが苦労することになった。
      • ややこしいので何も考えず数が多い他の種族を減らすという考えでも依頼をクリアすることは可能だが「特定の種族を倒すと、その種族を餌にしていた別の種族まで一緒に減る(更に、倒した種族を天敵としている別種族は増加する)」という食物連鎖を意識した要素があるため、それを考慮しないと増やすべき種族まで減ってしまうという徒労を味わうことになりかねない。
  • 店売りアイテムの売り切れ
    • 店のアイテムは売り切れになる場合がある。リアルタイム時関経過で入荷や売り切れが判定されるため、装備改造のための鉱石などを買おうとして売り切れていると、数分放置して確認する作業を入荷するまで繰り返す必要がある。
  • 宝箱の中身
    • 中身がランダムの宝箱が多く、ゲーム進行度に応じてアイテムテーブルがグレードアップしていく。
      • 序盤は装備変更する価値もなく売値も低いようなアイテムしか出ない。
      • 多くの宝箱は配置もランダムなので後から回収するのも面倒。
    • プレイするだけで気付くことではないが、設定されているレアアイテムのテーブルのうち半分は、奇数と偶数を仕切り直さないプログラムミスにより絶対に出現しなくなってしまっている。
      • 攻略本には本来出るはずアイテムが掲載されている。ただし攻略本スタッフはスクエニからの提供資料をそのまま掲載するだけでなく検証もしており、「何度やっても入手できなかった」と注釈も入れている。
      • 宝箱からのみ入手可能な筈だった最強の両手大剣クロスクレイモアも入手不可能になってしまっている。
      • 最強の棍棒である「ろばの骨」の5段階目の適材である「超銅金の塊」なども入手不可能。
      • 後に発売された北米版では、クロスクレイモアなどが入手できるようになっている。「超銅金の塊」などは北米版でも採掘不可能なままだが、敵から入手可能にするというフォローがなされた。
    • 「武器orジュエル」の宝箱や「武器or防具」の宝箱もこのミスの影響で、レアアイテムの種類がさらに1/3に限られている。
      • そのため、このタイプの宝箱からは強い足防具であるタイタスグリーヴなどは絶対に出ない。知らないと、前マップからクイックロードしては宝箱を開けるという作業を無駄に繰り返すことにもなりかねない。
  • お宝の地図について。
    • モンスターが低確率で落とす「お宝の地図」というアイテムがあると財宝を発掘できる。強力な武具やお金を入手できるチャンスであり、この要素自体は好評。お宝の地図でしか入手できない武具もあるが、一部以外は比較的容易に入手できるのでそこまで問題でもない。
      • 敵が何も落とさなかった場合に地図を落とすかどうか判定がある。そのため、何も持ってない敵から約2%の確率ではあるが意図的に地図を狙うことも可能。ただし現在のバトルランクに比べて弱すぎる敵は地図を落とさない。
      • なおイベントクリア後は行けなくなる場所のお宝の地図もあり、既にイベントクリア済みだとその場所のお宝の地図は入手しても使えない。
    • 問題なのはその「一部」。『青の剣』『紅孔雀』という武器はレベル5の地図でしか入手できないのだが、モンスターがそのレベル5地図を落とす条件が大変厳しく、おまけに入手できても青の剣等を発掘できないハズレ地図である場合もある。更にはアタリ地図でもその2つの武器を発掘できる確率自体が超低確率。紅孔雀(曲刀)はそれ以上に強い武器があるのでまだマシだが、青の剣(大型剣)は同等の攻撃性能を持つ武器が存在しない。大型剣で使える技は高性能なものが多いので誰もが悔しがった。
    • 現在は地図を落としやすいモンスターや、ピンポイント発掘等の方法が発見されており、以前と比べて格段に入手しやすくなっている。
      • ただしあくまで「以前と比べて」である。手順にはかなりの作業量とリセット試行回数を必要とし、この確立された方法ですら作業において平気で2週間くらいかかるとも言われており、レアな財宝発掘は本作ファンからも「狂人」と称される域*6に足を踏み込みかけた*7超高難度のコンテンツになっている。
+ レベル5地図の入手と厳選について
  • まず必要になるのが、戦闘勝利で増えるポイント(マスクパラメータ)*8ちょうど2304にするランク9調整*9
    • 敵がレベル5地図を落とすのは戦闘で上がるランクが9のときのみなのだが、2305以上になるとランク8の2048~2111(=2304まで256差~193差)のランダムな値に戻ってしまう。ランク9は2304ちょうどの時しかないため偶然に合わさることはほとんどない。
    • ランクのポイントは表示されない内部的な数値なので特殊な検証方法を使って後何十回何百回1ポイントの敵と戦闘したらランク9になるかまず調べておいてランク9に調整してから、敵が地図を落とすまでリセットし続けることになる。結果、楽なランク9調整方法とされているのが、1971ポイント以降に始まるイベントを目安に戦闘するたびイベント発生を確認して発生すればリセットして1ポイントずつ丁度1971に調整してから、勝っても戦闘でポイント1しか入らない敵と333回戦闘することである*10。現在の値が分からなくなった場合でも、今がランク9になってるかどうか、毒盛り(ランク9による敵HP上昇と毒の割合ダメージで見分ける。周回を重ねて敵HP上昇が上限になると判別不可)、カギ開け(ランク9になるとカギ開け難度も上がる。スキルLVが高いと難度が高くても開けられるので判別不可)、敵出現モンスター(ランクのポイントは敵編成に影響がある)などいくつか判別法はある。毒盛りやカギ開けは今ランク9かどうか判別できるだけなので1稼いでは確認という作業を最大256回*11することになる。
  • 敵がレベル5地図の当たり地図を落とすまでのリセット狩りを快適にするため敵種類の調整*12や信仰値*13の準備もしておかないとリセット狩りの回数は飛躍的に増える。
  • レベル5地図入手後はアタリ地図かどうか前マップのセーブから財宝発掘をしてはリセットしてテーブル調査(ハズレ地図なら残しておいたランク9のセーブデータを使ってリセット地図狩りに逆戻り)。地図リサイクル(後述)をする前提だと作業に不向きなマップのレベル5地図は中身を確認するまでもなくハズレと見なしてリセット。
    • アイテム表示上の地図のサーチレベルは1~5だが、財宝の中身は+0~+4の見えない補正が地図に付いているため、実質的に地図の中身は1~9ということ。レベル5地図でさらに中身のランク補正が高いものがアタリ地図であり、逆にレベル5地図でもランク補正が低いとされるものはハズレ地図でやり直し。
    • 先のレアアイテムはレベル4地図でも発掘可能ではある。ただしレベル5地図だと「地図5+中身3=8」か「地図5+中身4=9」がアタリなのに対して、レベル4地図だと「地図4+中身4=8」だけを狙うことになるので、手間をかけて地図の中身を特定してもハズレ地図の可能性がレベル5地図より高い。また中身+4の地図はランク9調整時のみしか出ないので、どちらにせよランク9調整は必要になる。
  • アタリ地図だと判明すればようやく、タイミングをずらして乱数調整しながら目当ての財宝発掘する「ピンポイント発掘」と、敵種族や交渉テーブルを調整する事前準備*14をしてから地図を交渉でモンスターに渡してから財宝発掘することで地図消滅を回避して再びアイテム交渉でアタリ地図を返してもらい何度も使いまわす「地図リサイクル」を始められる。単純作業や乱数調整をするため、連射パッドはほぼ必須。複数のメモリーカードを用意して、複数のクイックセーブを駆使しないと手間が増大する。
    • 乱数調整は同じタイミングなら同じアイテムを出せるためBGMがいい目安になり、「音ゲー」とも称される。
  • 画面が切り替わったときレバーを入れっぱなしだと、入力方向に関わらず直進する。
    • 入ってきた方向への逆戻りは起きないが、レバーを一度離さないと進行方向を変えられない。
  • アイテムは99個までしか持てない。
    • 1種類ごとに99個ではなく、全部で99個である。耐性のための付け替え装備、ディスティニーストーン、モンスターとのアイテム交渉用の各材質のアイテム、使う予定のある改造素材、半端な数の上薬草、などを保持しようとするとあっという間に埋まってしまう。
      • そこで使わない仲間キャラの装備欄が倉庫代わりに使われることになる。
      • なお詩人が最終局面の3地点の語りをするようになると一度3地点のどこかでサルーインの居場所を聞くまで詩人による仲間外しはできなくなり、また3地点の一つである最終試練クリア後は詩人が現れなくなる。詩人が利用できない場合、仲間を外してパーティに枠空けするのと倉庫キャラを外すにはLP0による強制離脱を利用するしかなくなり、倉庫キャラ利用にかかる手間が増える。
    • イベントアイテムはアイテム欄が一杯でも枠を空けてから入手し直せる物が多いが、入手不可能のままになってしまうイベントアイテムもある。
    • 戦闘回数が数百回以上になってくると固定宝箱が消滅するバグもあるため、取らずに宝箱にアイテムを温存しておくという手段は取りづらい。
  • 連携時に「連携ダメージ◯%」と表示される「連携率」には全く意味がない。
    • 特定の弓技や術を連携の起点にすると発生する「支援」も連携率を上昇させるだけの効果なので全くの無意味。
      • 初めて「支援」を発生させた時の解説ナレーションを聞いておくことが「陣」を使用可能になる条件なので、「支援」は存在に気付かないと陣を出せないというだけの要素になり下っている。
    • 連携時に条件を満たした場合発動する「陣」も、「連携率」が増えても別にダメージが増えたりしないので、派手な追加攻撃演出があるのにダメージに影響は一切なく、ラストバトル以外では対応する神の恩寵値が増えるだけの効果。
  • 敵を倒した順にアイテムドロップ判定があり、 何か1個落とす判定が出れば他の敵のドロップ判定はされない。
    • つまり敵リーダーが良いレアアイテムを落とす可能性があっても、全体攻撃でお供を一掃したりするとお供それぞれが25%程度の確率で落とすゴミアイテムに邪魔されて、入手できる確率が激減してしまう。

バグ

  • 不利益なバグが複数存在する。後の海外版では多くが修正されている。
    • アルベルトとグレイが主人公の場合、とあるイベントをクリアするとグラフィックが変化するのだが、その後戦闘中に一切喋らなくなる(正確には聞き取れないレベルまで音声出力が低下する模様)。アルベルトに至っては術合成の効果が発揮されなくなる。
      • ただしグレイの場合、通称古刀バグと呼ばれるカオスなグラフィック表示が起きたりするバグを利用して専用イベントを発生させてもグラフィックが変化せず喋るままにはできる。
    • 術合成によって付加できる「種族特効」。ゲーム中で表記される種族と実際に特効効果がある種族が全然違う。
    • ディフェンスモードがアタックモードの攻撃に対して防御力が上がらない。
    • アイテムが99個で敵がアイテムを落とすと一杯で入手できなかった旨を知らせるメッセージが出るのだが、所持数98個で敵からアイテム入手して99個になった場合でも同じメッセージが表示されてしまう。
    • 状態防御を101以上にすると、逆に確実に状態異常を受けるようになってしまう。
    • 外した仲間の状態が初期化されるバグ。
    • バルハラントの「バルハラモンスター」「凍結湖の妖精」「凍りついた城」あたりはイベントフラグのバグが多い。
      • 「凍結湖の妖精」で目的地に行っても何も起きなかったり、「凍りついた城」で台詞が少なくなったり、溶けた湖がまた凍ったりする。
      • 詩人から最後の語りを聞けなくなる場合もあり、これは最悪、ゲームクリア不可能になる危険性がある。
      • ただしうまく利用すれば32回しか引き受けられない「バルハルモンスター」を33回以上こなすことも可能。「凍結湖の妖精」のクリア報酬も複数回もらうことが可能。
    • 条件が不明だが再現性ありでフリーズするバグもある。再現性があるためセーブデータをロードし直しても無駄である。仲間を外したり装備を変えたりするとフリーズしなくなったりする様子。
      • 特にワロン島が危険。ジャングルに行けばフリーズする症状の他に、ゴドンゴに入ったらフリーズする症状、ゴドンゴから船でノースポイントに行こうとするとフリーズする症状などがある。装備品がフリーズ発生条件になっているようで全員の装備を外せば簡単にフリーズ回避できるが、持ち物の空きが少なければ1人ずつ数回に分けて装備を外してフリーズしてはリセットという作業の繰り返しになる。
      • ホークを仲間にしようとするとフリーズするバグもある。
      • 盗まれたニンフ像のイベントでは街に移動時にフリーズすることがあるバグもある。
      • 原因がはっきりしているものでは、詩人が雪だるま中に固有技「武装弦楽祭」を使用すると雪だるまに専用モーションがないためフリーズするバグもある。なお海外版では雪だるま召喚中は詩人が固有技を使用不可になる対策が取られた。
      • 戦闘回数が万単位になるとプレイヤーノートがおかしくなる。そして出現した未使用イベント名にカーソルをあわせるとフリーズする。
  • 一方、活用すれば有益なバグも多々ある。プレイの幅が広がるためありがたいことではあるが、数多くのバグがあるというのはバグを充分に潰せていない結果でもあるため一応、問題点として記載する。
    • 「火と冷気を無効化し、また近接攻撃に対しては100%の確率で防いで反撃しつつ効果が切れる」セルフバーニングという術がある。盾を装備している状態でこれを使うと、セルフバーニングの反撃&効果切れが盾防御した扱いになって発動せず、近接攻撃を100%防ぎつつ効果は切れない強力な防御術と化す。通称「セルフ盾」。
      • これは魔法盾で回避判定成功時は続いて計算される盾の回避率が何倍にも上昇するバグ(魔法盾で回避判定成功済みなので本来はなんの影響もない内部的な数値変化)と、魔法盾と盾の両方で回避成功している場合は盾で防いだ事にする処理のせいでセルフバーニングの反撃が発動されず効果も切れないバグ、という2つのバグが噛み合わさった結果の産物。
      • セルフバーニング以外の魔法盾なら、魔法盾で防御成功時も盾エフェクトになってしまう事があるバグに見えるだけでゲームバランスには影響しない。
    • 武器や防具を補強するとゲーム中の表示上は重量が増えるのだが、バグにより内部では重量が減って扱われている。
    • 主人公を前列に置くとアルベルトのクラス特性、主人公を中列に置くとジャミルのクラス特性、主人公を後列に置くとグレイのクラス特性が、敵にも付与されてしまうというクラス特性転移バグ。性質上、アルベルトかクローディアが主人公のときに不利益を被りやすい。特に海賊のクラス特性(速度値上昇)が敵にかかると多大なデメリットとなる。
      • 竜人というクラスには敵の防御力が上がってしまうまた別のバグがある。このクラス特性を敵に付与してプレイヤー側の防御力を上げてしまうという竜人バグとクラス特性転移バグの合わせ技は有益。通称「竜人障壁」。
      • さらに竜人はトリックモード以外では遅くなりトリックモードでは早くなる特性もあるため、敵のアタックモード・ディフェンスモード・術法モードを遅くする効能も、クラス特性転移バグにより得られる。
    • 持っていないアイテムを持っている扱いにできてしまうアイテム代替バグ。たらい回しにされる四天王のおつかいに使えたりシフ主人公時限定アイテムを誰が主人公でも入手できたりと有益。
      • 恐竜の卵を持っている扱いで恐竜に追いかけ回される事態になるケースもあるが、これすら逃げても消えない敵シンボルとして恩寵値上げに利用できる有益な現象になりえる。
    • 行動履歴のバグを利用して、特殊な行動履歴を付与して能力値上昇を促したり、不要な過去の行動履歴をリセットしたりもできる。
    • 敵から逃げられる合成術ホワイトアウトをLP不足で使うと、LPが減らず戦闘中の変化も反映されない。これによりLP消費なしで何度でも逃げられる。
    • 普通なら仲間にできなくなる状況でも仲間にできたり離脱を回避できたりするバグもあり、これもパーティ編成の幅が広がる。
    • 原作のようにキャラ増殖はしないがグレイとクローディアの序盤イベントを利用して豪華な報酬があるイベントを2回起こせる。
      • 他にもミイラ商人やタイニィフェザーなど、バグで2回起こせるイベントはいくつかある。
    • 戦闘回数を何百回何千回と重ねれば固定宝箱が消滅したり復活したりするようになる。一点物の装備を2個入手することも可能になる。
    • とはいえ、意図的に活用すればゲームバランスに大きな影響を与えるバグは多いものの、よほど注意してプレイしないと自力で気付くのは難しい程度のもの。
  • バグチェーン、スーパーステルスモード、夢想弓バグ、表示ダメージバグ、など他にもバグは無数にある。

その他

  • 過去のシリーズネタが随所で仕込まれている。
    • 特に帝国首都の図書館が顕著で、そこの本の内容はそのシリーズネタから実際の戦闘で役立つもの、更には物語の裏設定まで書かれているため、ついつい全部読んでしまうほど、興味深く面白い。
    • シリーズのラスボスとその技をネタにした武器が登場する。また、初代作品の「チェーンソー」にまつわるネタを取り入れている。
  • サブキャラの一人であるローザリア皇太子ナイトハルトは、担当声優である加藤雅也氏の特徴的なボイスアクトによって、メインキャラにも劣らぬ人気を獲得することとなった。
    • 加藤氏の演技はやや抑揚に乏しく、どんな場面であろうと決して昂らない淡々としたものであったため、当初は棒読みとの評価が専らであった。
      滑舌も少々悪く、「ローザリアいち」が「ローザリアいし」、「来い!」が「ほい!」などと聞こえる。
    • が、耳に障らない声質や一騎当千の武人らしからぬ朴訥な雰囲気が好感されてか、やがて「聞いているうちに病み付きになった」「あの声以外考えられない」と好意的に受け止めるファンが増え始め、ほどなくナイトハルトはミンサガ名物キャラの一人として大いに愛されることとなった。人気が高じて「棒読みは意図的な演技説」まで囁かれている。
      • 登場シーンで使用される「殿下のテーマ」こと「ナイトハルトのテーマ」も合わせて人気となり、イントロ部分の「デッデッデデデデ!」を聞いただけで噴き出すファンもいる始末。
    • ネタに走っている訳でも極端に演技がまずい訳でもないのに何故か笑えて印象に残るセリフが多く、現在では代表的なセリフの数々を「コレガワカラナイ」「イクゾー」「シミタゲ*15」等と半角カナ表記されるに至っている。「今は忘れよう」や「体に障るぞ*16」もミンサガミームとして局地的に流行した。⇒参考ボイス集(ネタバレ注意)
    • 一般的にはクソゲー要素に挙げられるところであるが(例:『ローグギャラクシー』、『グランディアIII』等)、このような扱いを受けるのはサガシリーズならではかもしれない。上記に上げた2作品は全体的に声優が低レベルなのに対し、こちらは全体的に高レベルな中で殿下だけ浮いている故とも言われる。
    • 蛇足だが、劇中ではデスとの取引で、仲間キャラクターの死*17と引き換えに強力な装備を入手できるイベントがある。ここでナイトハルトの生命を捧げる事もできるのだが、その後クリスタルパレスに戻ってみると何事もなく復活していて、また仲間にもできる。また、ラストダンジョンにナイトハルトを連れて行った場合、ムービーにもう一人のナイトハルトが出てくる。この事から劇中のナイトハルトは全部影武者じゃないのか? とファンの間で噂されている。
    • さらに蛇足だが、スマホアプリゲームの『ロマンシング サガ リ・ユニバース』にて、2019年9月10日、本作終盤のとある場面における黒い鎧に身を包んだナイトハルトが満を持して登場。告知ツイートには殿下の名言(むしろ迷言?)リプライが多く付くなど、ちょっとした殿下祭りになった。なお、必殺技のナユテカヤキスを使用すると「殿下のテーマ」のイントロと共に攻撃するという演出も施され、ファンを笑撃の渦に巻き込んだ。殿下の(主にネタ方面での)人気をスクエニ側もよく理解しているようだ。
    • もう一つ蛇足を付け足すなら、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』発売時のウェブCM動画にはアルベルトとナイトハルトが出演、リマスター版の発売を報せにアルベルトが殿下のもとへ馳せ参じるという体裁で、「殿下のテーマ」に始まり「イクゾ」で終わる、ファンサービスにも程がある内容であった。
      しかも二人の声はこの為に新録された物らしく、十数年ぶりのナイトハルトのボイスが当時と変わっていない事にファンは歓喜した。
    • ちなみに、加藤雅也という芸能人は複数いる。1人は『龍が如く』等で声優経験のあるバーニングプロダクション所属の俳優、もう1人は大沢事務所所属の俳優。また、現在は「飛鳥幸一」という芸名で活動している俳優・声優の旧芸名も「加藤雅也」だった。誰が声を担当したか詳細は不明だが、ボイスサンプルを聞いたファンの間では大沢事務所の加藤氏であるという説が有力視されている。

総評

初代『ロマサガ』は一部で熱烈なファンを獲得したものの、不親切なシステム、数多くのバグや未完成なイベント等、荒削りで完成度が高いとは言えず賛否両論の問題作であった。
それをリメイクした本作は原作から比べればシステムやグラフィックの改善により大幅にプレイしやすくなっており、まずはこちらをプレイするのがおすすめである。
それでも従来のサガシリーズと同様に比較的人を選ぶ内容で、システムに馴染めないプレイヤーがいる一方でシステムを理解すると面白さが理解できるようになる傾向がある。

発売前は大きく変更されたキャラクターデザインや、前作『アンリミテッド:サガ』の評判もあって、駄作なのではないかという懸念があった。
しかしいざ発売されると、往年のサガシリーズを思わせる設定やセリフ、戦闘の爽快感などの要素が健在で、
また『アンサガ』の反省もありシステムの説明をゲーム内で随時行うようになった事から、発売前のこうした懸念は杞憂に終わり「スクエニの最優良リメイク」という声が上がるほどの充実の作品となった。


余談

  • なぜ、サガシリーズとして「新作」ではなくリメイクを作ることになったかというと、河津氏によれば、「PS2での開発は圧倒的に時間がかかり、さらにゲームとしても200時間遊べるほどのボリュームが求められていたため、完全新規の作品として世界観やキャラクター・ストーリーをいちから作るのは現実的ではなかった」という開発の事情もあったという(出典インタビュー)。
  • 本作発売から3ヶ月後の2005年7月15日に、攻略本『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- アルティマニア』が発売。
    • こちらは『アンサガ アルティマニア』と違って別売の説明書などとは言われていないが、アルティマニアシリーズ恒例の濃い情報が満載であり、『ミンサガ』のシステムを理解するためには読んでおいて損はない。
    • 巻末に載っている小説『吟遊詩人は歌う』(著・ベニー松山)は、作者の作風であるがゲームの要素を反映していて面白い。本作のストーリーをなぞったものだが、オリジナルを知っていると小ネタが笑える*18
      • 上記の小説については、後に2020年12月15日発売のニンテンドースイッチ用ソフト『Sa・Ga COLLECTION』の限定版『サガ 30周年記念 BOX【神】』に付属の小説集『SaGa: Re-imagining Stories』にて他のベニー氏執筆のサガ小説と共に再録されている。同小説集は、後日単体で電子版販売の予定もあるとされていたが、2023年2月時点では実現していない。
    • この本自体にも誤記があり、金のトロイメライにファイナルレターへの閃き派生があるというウソ記述は被害者が多いようだ。
    • またアルティマニアのバトルチームのインタビューにて、『アンサガ』の明らかな説明不足を反省点として挙げている。
    • 後述の『リマスター』の発売に先駆け、2022年11月1日に電子書籍版の販売が開始された。
      • 内容は基本的にPS2版当時そのままであり、当然ながら『リマスター』の追加要素には対応していない。
        一部の誤情報もそのままだが、リマスターの変更に伴い嘘から出たまことになってしまったものもある。
  • 経験者は気付く事だが、一部の地名がSFC版と微妙に違い、「ウロ→ウソ」「アロン島→ワロン島」「オービル→ヨービル」という風になっている。
    • 実は本作で変更された地名こそがオリジナル版の時点で正式な地名となるはずだったもの。SFC版では容量の制約で一部のカタカナフォントが用意できず、似た語で代用していたらしい。
      • なお、SFC版から存在した「アイスード」等があるので「ウ」は表示できたのでは?と疑問を抱かれることもあるが、実はSFC版では地図表示専用として漢字も含まれた個別のフォントをわざわざ用意していたため、そちらの方で容量が足りなくなってしまったようだ。
  • ギユウ軍のバッヂや月下美人等の没アイテムや没会話等、プログラムミスにより入手不可になったのではなく本当に没になった、ロマサガシリーズ恒例の没データは今作にもある。
    • 北米版では月下美人が財宝発掘できるアイテムに追加された。
  • ゲームアーカイブス版は北米版のバグ修正は取り入れられておらず日本版そのまま。
    • エミュレートしているため実機動作の完全再現とはいかないため、各所で処理落ちが発生する。特に技の演出で処理落ちするのは残念な所。
  • オリジナル版のネタ台詞は改変されてしまったものが多いが、それでもなお印象的な台詞が大量に存在している。
    • 選択肢の「海へ帰れ!」「渡すか、ボケッ!」「ばいばーい」や、フルボイスの「見つけたよ!誰にも渡さないよ!これで大金持ちだよ! アッ、アッー!! 」「やるよ」等は、サガシリーズファン垂涎の迷台詞である。
    • ちなみに一部のボイスは、何と開発スタッフが直々に当てている。「く…曲者だぁ~!(棒」「怪しい奴ぅ~!(棒」等の熱演台詞からは、開発スタッフの 悪ノリ やる気がひしひしと伝わってくる。
      • ハインリヒ、フェル6世、ネビル、ウハンジなどの声を当てた声優はスタッフロールに公開されていない模様。

リマスター(参考記述)

  • 2022年12月1日(Steam版のみ12月2日)に、本作のリマスター版『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』が発売された*19
    • 対応機種はPS5/PS4/Switch/Win(Steam)/iOS/Android。
    • 高画質化に加え、遊びやすくなるよう調整が施され、新要素も追加される。
    • 開発は『サガ フロンティア リマスター』のメインスタッフが務め、開発元も同じバレットとなっている。
+ タグ編集
  • タグ:
  • RPG
  • スクウェア・エニックス
  • サガ
  • リメイク

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最終更新:2024年03月07日 14:01

*1 「クレヨンしんちゃん」のひろし役で有名であり、よく「ひろし」と呼ばれる

*2 ただし回数0でも全員のLPを1消費して(残りLP1になったらもう消費されない)使用は可能。行動系が使えなくなると詰む箇所が存在する故の配慮と思われる。但し、それでもジャンプ必須の場所でジャンプをある仲間しか習得せずに、その仲間が外れてしまうと詰んでしまうのだが……

*3 最速でも3周目にならないと出現しないキャラもいる

*4 『サガフロ2』ではバトル前に決めた行動順のみ

*5 状態異常属性への防御力は物理防御にも術法防御にも含まれていない。一部の装備品の持つ耐性でしか上がらない

*6 四天王の1体であるフレイムタイラントの「やはり狂人であったか」という台詞に由来。

*7 一般的にはかなりかなりのやり込みだが、方法が確立されて以降、レベル5アタリ地図のPP発掘とリサイクル程度のやり込みは「狂人」ではなく、まだその手前とされる。

*8 イベントの時間が進んで終了したり新たなイベントが発生したり、敵の種類が強くなったりと、ゲーム全体の進行状況はこのポイントの増加が軸になっている。

*9 ネットではランク0~9と数えるのが主流だが、攻略本であるアルティマニアではバトルランク1~10と数えているため、解説サイトなどでは「ランク9(アルティマニア表記ではバトルランク10)」などと併記されることも多い。

*10 何度も戦える固定敵の「さまよえるエスタミル人」が使われる。ジュエル獲得量2なので、作業開始時からジュエルをメモしておけば戦闘回数を数える必要はなく、666増えれば作業完了。

*11 ランク9と分かっている戦闘の直後なら、そこから192ポイント増やせば、1稼いではランク9になったか確認という作業は最大64回で済む。

*12 特に王冠のついた強い敵シンボルは地図のドロップ率も通常より高い。デス恩寵を用いない場合は王冠付き不定形シンボルが出るように調整するのが最適とされる。王冠シンボルではなく玄竜という敵から狙う派も根強く、好みが分かれる。

*13 邪神デスの恩寵は敵を倒すかわりに何も落とさないため「敵が何も落とさなかった場合に地図を落とすかどうか判定がある」という条件を意図的に満たせる。デスの信仰値を1000まで上げるため卵を持った状態で恐竜とエンカウントしては逃げて信仰値を平均0.5ずつ稼ぐ作業をひたすらこなすことになる。連射パッドがあればボタンを固定して10時間程度放置するだけで済む楽な工程。

*14 特定種族の敵の交渉アイテムテーブルから邪魔な品を回収してリサイクルモードと通称される地図リサイクルに適した状況にする。

*15 空耳ネタではなくアイシャの部族の言葉であるタラール語を話している。

*16 「体に触るぞ」と敢えて誤用される。

*17 デスに主人公の最大LPを捧げて生き返りを頼めば復活できるが、頼まないとそのまま

*18 例:親友に倒され復活させられ、その後も新しい剣の自慢をしているガラハド等

*19 2022年5月31日に制作発表された。