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本項では『真・女神転生III NOCTURNE』と完全版『マニアクス』『クロニクルエディション』とリマスター『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』版を併せて紹介します。
判定は全て「良作」です。



真・女神転生III NOCTURNE

【しんめがみてんせいすりー のくたーん】

ジャンル ロールプレイングゲーム



対応機種 プレイステーション2
Nintendo Switch
プレイステーション4
メディア DVD-ROM 1枚
発売・開発元 アトラス
発売日 無印 2003年2月20日
マニアクス 2004年1月29日
リマスター 2020年10月29日
定価(税別) 無印 7,800円
マニアクス 5,800円
リマスター 6,578円
判定 良作
ポイント 悪魔にされた主人公
プレスターンバトル初登場
今に至る根強い支持
女神転生シリーズ


東京が死んで、僕が生まれた



ストーリー

東京の高校生である主人公は、クラスメートの千晶と勇とともに担任の祐子先生の見舞いへ行くが、その最中「東京受胎」に巻き込まれ、廃墟と化した東京を目の当たりにする。果たして、あなたは混沌の大地をどのように生きるのか…。


概要

『真・女神転生』シリーズのナンバリング第3作。
通称『メガテンIII』『真III』で、オープニングで東京が壊滅しそこから新たな世界を産み出す「混沌からの創造(カオス)」がテーマ。
主要キャラクターがそれぞれ世界の創造に向ける理念「コトワリ」と、コトワリを持てないとされる半人半魔の存在「人修羅」にされた主人公の物語であり、従来シリーズのおどろおどろしさ以上に退廃的なムードが特徴。

COMPが廃止・主人公が悪魔扱いなど『真I』『真II』から世界観・システムを大幅に変更した作品。
あまりの変わりぶりに賛否が分かれたが、「プレスターンバトル」「ランダム継承」と、シリーズの伝統を受け継いだシリアスな世界観と高い難易度とは好評で、特にシステム面でこれ以降の『女神転生』『ペルソナ』シリーズに多大な影響を及ぼした。


主な特徴

全般

  • フィールド、エネミーなどが3Dポリゴン化。もちろんデザインは電脳悪魔絵師こと金子一馬氏。
  • マス目が固定だった従来の一人称視点の3Dダンジョン形式から、通路を自由に歩きまわれる三人称視点方式に転換。
    • また、戦闘画面も味方パーティーが表示されるようになり、さらにキャラクターに声がつくようになった。
  • スキル継承システムが発展。スキル組み換えの自由度がそれまでの作品よりも大幅に増したため、仲魔を育てやすくなった。
    • 1キャラが保持できるスキルは最大8個まで。8枠が埋まった状態で新しいスキルを覚えるには、古いスキルのいずれかを上書きしなければならず、取捨選択が悩ましく面白い。
  • 主にビジュアルや音声面の強化によってシリーズ未プレイ層にも訴求する作品となった。
    • 一方で、後述のシリーズ随一とも評される戦闘難度による別のハードルが生まれており、大いに賛否両論を巻き起こす作品ともなったのだが。
  • 主人公も「悪魔」となった。
    • 本作では主人公も人間ではなく、ある存在にマガタマ(後述)を与えられたことで変異した半人半魔であり、ボルテクス界の住人からは「悪魔」と見なされる。
    • 「悪魔」であるため、素のステータスではシリーズ旧作で人間に無効だった「ハマ」系魔法を受ける。また、マガタマ以外の装備品は身に着けることができない。
    • 合体で生み出した悪魔や勧誘した悪魔をパーティメンバーの「仲魔」として使役できる点は旧作同様。
  • マガタマ(禍魂)
    • 蠢く芋虫のような形をした悪魔の力の結晶体。主人公専用の装備品で、口から飲み込むことで装備する。装備することで様々な耐性・スキル・ステータス補正を身に着けられる。
      • 耐性が備わる一方で弱点も付いてしまうマガタマも多々存在する。よってゲームを攻略する上で、マガタマの装備選択は超重要になってくる。
      • 一度に装備できるマガタマは1つだけで、大抵は主人公も何らかの弱点を抱えることになる。実質的に1人分の枠がフリー編成になっているようなもので、『ペルソナ3』以降における主人公の原型と言える。
    • 各マガタマには5つのスキルが設定されており、装備して主人公が一定レベルに達すると1つずつ習得できる。習得せずに捨てることも可能。
      • 主人公のスキル枠も仲魔同様に8つであるため、取捨選択が必須となる。
      • どのスキルも習得機会は一度しかなく、捨てたり上書きしたりしたスキルを再取得する手段はない。
      • スキルの大半は悪魔と共通の魔法や技、耐性だが、主人公専用スキルも少数あり、総じてモーションが細かく設定されている*1。一部の主人公専用スキルは、のちのシリーズにも人修羅の必殺技として登場している。
  • パズルボーイが遊べる
    • アサクサパズルという名前で、かつてアトラスがGBで発売したソフト『パズルボーイ』のリメイクがミニゲームとして組み込まれている。
      • さらに本作発売後にGBAで『真・女神転生 デビルチルドレン パズルdeコール!』としてリメイクされた。

戦闘システム 「プレスターンバトル」

  • 今作から「プレスターンバトル」と呼ばれるシステムが採用された。
    • これは「有利な行動を取ればターン中の行動回数が増加するが、逆に不利な行動を取る・取られると行動回数が激減する」というシステム。
    • クリティカルを出したり弱点に対応した魔法で攻撃することで行動回数が増え、さらに連続攻撃やその後のフォローなどが可能になる。
    • 逆にこちらの攻撃が吸収・反射・回避なりで無効化された瞬間、行動回数が更に減らされ、すぐに敵側のターンに変わる。
      • ただし、増加した行動分(点滅表示しているもの)で弱点を突いても更に増えることはない。
    • そしてこの法則は、味方だけでなく敵側にも共通して適用されることになる。
  • 敵と味方の行動順は入り乱れることなく「自軍のフェーズ」「敵軍のフェーズ」が交互に切り替わる仕様となっており、双方の激しい攻め合いが展開される。
    • 敵の相性の把握やそれに合わせた使用スキルの選択などが顕著に影響するようになり、バトルの戦略性や爽快感、緊張感が増している。
    • 上手く戦えば、プレイヤー側の一方的な連続攻撃で敵に圧勝できる。逆に運と戦略が悪ければ敵側の一方的な展開になり、目も当てられない悪循環に陥る。 これが不慣れなプレイヤーのストレス源となることもしばしばで、耐性とスキル次第では遭遇時に詰んでいる可能性すらあり得る。
  • この戦闘システムは高く評価されており、「ターン制バトルシステムの最高峰」と評する声もあるほど。
    • これ以降、ほとんどのメガテンシリーズの系譜を継ぐ作品にはプレスターンバトル、ないしそれを原型とした戦闘システムが採用されることになる。

新しい概念 ※「賛否両論点」も参照。

  • 従来のシリーズで採用されてきた「ロウ-ニュートラル-カオス」「ライト-ニュートラル-ダーク」の属性概念が廃止された。
  • これに伴い、主人公と悪魔に「ロウ-カオス」の思想対立がある場合は勧誘できない、根源的に人間とは相容れない闇の存在である「ダーク」の悪魔は勧誘できない、といった仕様も廃止された。
  • 「ロウ-ニュートラル-カオス」軸は、主要キャラクターが持つ「ヨスガ」「シジマ」「ムスビ」の「コトワリ(理)」に変更された。
    • これら3つのコトワリは以前の概念に似た点もあるものの、それぞれの持つ極端さを更に尖らせたようなものとなっている。
      • 「ヨスガ」はカオスのそれよりも強烈な弱肉強食の思想で、力あるものにのみ無限の自由を認め、力なきものは存在すら許さない。
      • 「シジマ」は秩序を絶対視する点ではロウに通じるが、万物が静寂の中で滞りなく巡り続ける状態を至高とし、静寂を乱す自由意志や創造的活動の一切を否定する。
      • 「ムスビ」はニュートラルの中庸とは異なり、「万人にとって自身にのみ価値があり、他者は全て平等に無価値」とする究極の個人主義。個人がそれぞれに、自分だけの理想世界を築くことを目指す。
    • 本作では、いずれかのコトワリの実現に加担する、あるいは否定するといった選択を重ねてストーリーを進めることになる。選択によって進行ルートは5つに分岐する。
    • ちなみに、従来通り各コトワリには特定カテゴリの悪魔が協力しているのだが、コトワリの目的とそこに属する悪魔の性質が真逆なことがある*2。これはある意味、裏の本質あるいは自身の存在意義に必要なものを示しているのかもしれない*3

合体

  • 「悪魔全書」のシステムが導入された。仲魔にしたことのある悪魔がこれに登録され、邪教の館でマッカを払えば直接呼び出せるようになる。
    • 全書には合体で生み出した時点のステータス、または勧誘でパーティに加えた時点のステータスで登録される。所持スキルも登録される。
    • ステータスやスキルに変化があれば、登録の更新も可能。
    • 2周目以降は主人公よりレベルの高い仲魔を呼び出すこともできるため、周回が楽になる。
      • ちなみに召喚価格はパラメータの合計値で決まる。ステータスの低い悪魔に強力なスキルを継承させておくと、序盤から利用しやすい。
  • 悪魔合体時のランダムスキル継承が可能になった(賛否両論点も参照)。
    • 補助スキルでガチガチに固めた悪魔を作ったり、或いは氷系悪魔のジャックフロストに炎スキルであるアギを覚えさせたりもできるので、ある程度自分の好きなように悪魔を育てられる。
    • 序盤に出てくるお気に入りの悪魔に様々な強化を施して最後まで連れて行くことも可能。相応に手間暇が掛かるが、その分思い入れはひとしお。「本作のヒロインは仲魔」と言われる一因である。
    • 悪魔ごとに、継承されやすい・されにくいスキルが設定されている。また、「外見継承タイプ」という設定があり、これが一致しないと継承できないスキルもある。
      • 外見継承タイプの例は、翼があるか、武器を持っているか、若い女性タイプの「乙女」であるかなど。例えば、「羽ばたき」は合体後の悪魔が翼を持っていないと継承できない。
    • 継承スキルは合体予想を見る度に再選定されるため、じっくり吟味することも可能。しかし複数のスキルを継承できる場合、スキルのランダム選定は一括で決定されるため、理想的なスキル継承を行うことは困難。
      • ○ボタン(決定)・×ボタン(キャンセル)を交互にひたすら押す作業になぞらえて「○×ゲーム」と呼ぶ声もある。
    • このランダム継承は後の『ペルソナ3』『ペルソナ4』にも導入されたものの、『女神異聞録デビルサバイバー』や『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』以降、ナンバリングタイトルとしての次回作『真IV』ではランダム継承は廃止され、継承スキルを任意で選べるようになっている。
  • また、今作では仲魔のスキルカテゴリに「交渉スキル」が加わった。名前の通り、仲魔が悪魔との交渉を行うためのスキルで、お互いの口調や性格によって交渉の成功率は変わる。
    • 例として、若い女性タイプの悪魔が男性タイプの悪魔に「誘惑」で交渉すれば成功率が高くなるが、同じ「誘惑」でも男性悪魔から男性悪魔では怒らせて決裂しやすくなる。
    • 勧誘ではなくアイテムや金を要求する「おねだり」といったものもある。このタイプの交渉スキルを上手く使えると金策がぐっと楽になる。後述の『マニアクス』でHARDモードをプレイする場合は重要な要素となる。
    • 可愛いジャックフロストに「脅迫」を持たせる、いかついビシャモンテンに「おねだり」を持たせるなど、仲間自身と相性が悪いタイプの交渉スキルでも継承はできる。

音楽

  • 従来作品で作曲を担当した増子司氏は未参加となり、メインコンポーザーには後に後期ペルソナシリーズで有名となる目黒将司氏が、サブコンポーザーには前期『ペルソナ』シリーズの土屋憲一氏とデビルサマナーシリーズの田崎寿子氏がそれぞれ起用されている。
    • 増子氏が未参加なこともあり、旧作のいわゆる「増子節」は感じられないが、サントラで目黒氏が「模倣はオリジナルを超えられない、新しいものを作る努力をする」とコメントしている通り、旧作とは異なる三者三様の良質な音楽でゲームを盛り上げている。
    • 次回作『真IV』では逆に「増子節」に寄せており、そちらはそちらで好評だが本作の音楽の評価を下げることにはなっていない。
    • 2017年にアトラスが主催した「真・女神転生楽曲ランキング*4」にて、1位が本作の「通常ダンジョン戦闘曲」が、上位には本作の楽曲が多くランキングされている。新作や増子節の旧作を押しのけ、新しいスタイルとして一定の評価がされている。
    • ちなみに戦闘曲には、部分的に男声ボーカル(と言うより朗唱)が入っている。詞は英語だが敢えて聞き取りづらいレベルに調整されており、日本語での激しい街宣やアジテーションも連想させるような仕上がり。どの曲も非常に個性的であり、好評を博している。

評価点

他に類を見ない「孤独な世界」

  • 最初だけは友人達と先生のお見舞いに…と等身大の高校生らしく始まるが、突如起こった東京受胎による日常の崩壊、訳も分からぬまま荒廃した過酷あふれる世界に放り出された「元」人間の主人公…。創世のはざまで翻弄される彼が頼れるのは仲「魔」のみ。
  • 相棒となる人間や身を寄せられる組織のない、格別の孤独感を主人公となって体感できる。

造語や専門用語が理解しやすい

  • 最初に飛び出す「東京受胎」をはじめ、多くの本作・シリーズ独自の造語や専門用語が登場するが、それらをゲーム内に上手く散りばめ、理解させていくことでプレイヤーに難解さを感じさせない。
    • 一部説明不足の言葉もあるが(後述)、ほとんどはゲーム上や説明書でのフォローが出来ている。

独自のセンスが光るグラフィック・音楽・世界観

  • 本作の為に作られたという月光に照らされた様な独特のタッチ、色彩のグラフィックは荒削りな所もあるが、一目で本作のそれとわかる特徴的なもの。
    • 金子一馬氏の独特なタッチで描かれたキャラクターが、この月光に照らされた様な色彩にマッチしている。
  • その独特の色彩の世界観の中で流れる本作のBGMは、これまでの所謂「増子節」は薄まったが、総じて好評。シリーズ25周年を記念してアトラスが行ったシリーズのベストBGMを決める投票企画では、ランキング上位の多くが本作のもので占められた。
    • 特に通常戦闘曲(ダンジョン)はギターソロパートがなんと7パターンも用意されている。作曲者の拘りと熱意を感じる*5
  • 「東京が舞台」も四度目となるとマンネリ化しそうだが、本作独自の世界観に基づいたシナリオで、ヒリヒリとした緊張感の張り詰める極限状態の中、錯綜するヒトと悪魔の意志・思惑が描かれている。
    • 他のシリーズ作品が、原点となる作品にオマージュを捧げた…悪く言えばどこか既視感を感じるシナリオもある中*6、今作は「球体化した世界」「悪魔になった主人公」と類を見ずかつキャッチーな設定で、シリーズ全体を通して見ても強烈な印象を多くの人に残すことに成功した。

コマンド戦闘の最高のシステムともいわれる「プレスターンバトル」

  • システム初採用の作品ということもあり、まだまだ荒削りで調整不足な面も見受けられるが、「記憶を消してまた最初からやりたい」とも言われる程に刺激的で、(いい意味で)中毒性のあるもの。
    • 要は「はないちもんめ方式」だが、ゲーム序盤から実戦で慣らしていくことで面白さがわかってくる。敵のAIも『女神転生』らしくいい意味で嫌らしく、またえげつない。

仲魔が成長する

  • 従来シリーズと異なり、仲魔のステータスやスキルが強化可能になり、お気に入りの悪魔を最初から最後まで使い続けることが可能になった。
    • 経験値によるレベル上限やステータス上限は全悪魔共通だが、弱点属性や状態異常への耐性は悪魔によって異なるので、レベルを上げてスキルを合わせたからといって全て平等になるわけではない。
      • 格の高い悪魔ほどデフォルトの耐性が強力になるので、基本的には格の高い悪魔に乗り換えることが推奨されている。そこは従来シリーズ同様といえる。
    • 一部のスキルはレベルアップ時に「スキル変化」し、上位あるいは全く別のスキルに変化させることができるため、弱いスキルが強力なスキルに変わる可能性がある。
      • 強力なスキルが弱くなってしまう可能性もある上、変化先は事前に見えないが、変化自体は任意決定なので博打する気がなければキャンセルは可能。
    • 合体させても合体元の悪魔を変化させることなく、ステータスアップとスキル継承のみ行う種族「御魂」が存在する。
      • 「御魂」との合体によるステータスアップには限界があるので、合体させまくってステータスMAXにすることはできない。
      • 優れたスキルを多数詰め込んだ「御魂」を悪魔全書に登録しておくことで、仲魔にしたての悪魔に優れたスキルを付与といったことも可能。

賛否両論点

知識を武器に、理不尽に抗う高難度バトル

  • 本作の戦闘は高難度を誇り、ゲームの評価を分ける大きな要素となっている。
    • プレスターンバトルの性質から急展開が起こりやすいのに加え、敵の攻撃パターンもシステムを活用する形で練り込まれており、バトルにおいて極めて厳しい状況が多々発生する。公式の攻略本にも「油断すれば雑魚戦ですらゲームオーバーになる」と記載されるほど容赦がない。
    • 敵に奇襲されるパターンとして「先制攻撃」と「バックアタック」があるが、前者は「敵が1ターン先制行動」で、後者は前者+「敵から受けた通常攻撃は全てクリティカル化」という厳しいもの。一方的に弱点属性を突かれたり即死魔法を喰らう恐れがある先制攻撃だけでも危険だが、バックアタックでは通常攻撃だけで攻撃回数を倍近く稼がれてしまうこともあり、「重傷なら安い」というレベルのヤバさを誇っている。
      • 敵の先制攻撃・バックアタック率はかなり高く、それらの確率に影響する「速」や「運」のパラメータで敵を大きく上回っていても、受ける頻度は低くない。ラスボスを討伐可能なパーティが最序盤に出現するピクシーやコダマに先制されることもザラ。
    • 俗に「○○劇場」と呼ばれる、耐性などが万全でも死ぬしかない展開まで存在する。これは、敵が行動回数を増やす特殊スキル「獣(龍)の眼光」で行動回数を増やしたのち、自己強化スキルの重ね掛けから強烈な一撃でこちらを消し飛ばすというもの。一連の行動の間、プレイヤー側は指をくわえて見ていることしかできない。ゆえに「劇場」である。
      • よくネタにされるのが魔王モトによる「モト劇場*7」で、十分に強化された魔法は一撃で4桁ダメージ(こちらの最大HPは3桁)を叩き出し、数多のプレイヤーを昇天させた。敵フェーズまでに倒すか防御力を強化しないと、モト様による恐怖のオンステージを体感することになる。
      • 「劇場」に招かれた主人公が昇天に至る過程のあまりの酷さに笑いを見いだし、ネタとして楽しむドMファンも多く生まれた*8
    • 加えて、本作では主人公が死ねばゲームオーバー。シリーズ過去作では主人公とパートナーの双方が倒れたら終わりのパターンが多かったが、本作ではそのようなバックアップ体制はなく、ゲームオーバーを喫する頻度もかなり高い。
      • なお、本作のゲームオーバー画面はアニメ「フランダースの犬」のラストシーンに似ており、ゲームオーバーになることは同作のキャラ「パトラッシュ」から取って「パトる」と通称され、ネタとして親しまれている。
    • 厳しい仕様が目立つものの、プレイヤー側が弱すぎるという訳ではなく、こちらの弱点を消し、敵の弱点を突く、といった基本的な対策を取るだけでも、戦闘難度は大きく低下する。そのエリアの戦闘に必要な対策が取れれば、敵をサクサクと蹂躙してゆくことも充分に可能。
    • 総じて、厳しいバトルに倒れたとき、戦術などを練り直して再チャレンジすることを楽しめるプレイヤーか否かで、本作の評価は一変しやすい。
      • とは言え、把握すべき情報の多さによって、不慣れなうちに十二分な体制を整えることはそう簡単ではないが。プレイヤーの知識量によって戦闘難度が激変するという点で、ターン制RPGにおける覚えゲーの極致の1つとも言い得るだろう。

ランダム継承の作業ゲー

  • 悪魔合体時のスキルランダム継承の選定やり直し作業は賛否が分かれている。
    • 理想的なスキル継承になるまでスキルのランダム選定を機械的に繰り返す方針のプレイヤーにとって、ランダム要素はある意味あって無いようなものであり、無駄な長時間の「○×ゲーム」作業をやらされているだけとも取れる。
      • スキル候補と悪魔の組み合わせによっては、理想的なスキル継承になるまでに30分以上、場合によっては1時間以上も延々と○×ゲームを繰り返すこともあり得る。
    • 一方で、ランダム継承および○×ゲームによって、「吟味を一切行わずに運に任せて合体する」「そこそこ良いスキル継承で妥協する」「徹底的に理想的なスキルが選ばれるまで妥協しない」など、プレイスタイルの選択肢を広げ、合体の奥深さを増している面もある。
    • また「○×ゲームに長時間を費やすほど高性能な悪魔を作りやすくなる」ので、「プレイ時間を注ぎ込むほどキャラを強くできる」というRPGの基礎にも一応則っているとは言える。ただしランダム性や作業感が強く、その過程を楽しめるかという問題はある。
      • 素材となる悪魔2体のスキル構成を、「継承させたいスキル」とそれ以外は「絶対に継承されないスキル」で埋めることで、継承させたいスキルを確実に継承させることができる。
      • このような素材悪魔を用意するためには、合体でその悪魔を上手く作り出す必要がある。そのためには、素材悪魔を作るための素材となる悪魔のスキルも重要になる…といったように、いくつかの段階を踏む必要がある。
      • さらに、所持スキルの並び順までこだわる人もおり、こうなると取るべき準備と費やす労力は途方もなくなる。
    • なお、◯×ゲームはウィザードリィでのキャラメイキングの要素を輸入したシステムとも言える。繰り返し繰り返し吟味する事で理想的な悪魔を作れた時はかなりの達成感を感じ、愛着も沸きやすいという心理的な効果がある。
    • しかしながらやはり人を選ぶ面も時間を潰す面も大きかったため、『デビルサバイバー』『P4G』以降のシリーズや本作のリマスター版では「制限付きの選択式」として改良されることになる。

世界設定がもたらす独特の孤独感

  • 本作には、「多くの人が死んだ滅亡直前の東京」を舞台とするシリーズ他作品とも異なる、独特の「孤独感」が漂っている。この独特の孤独感は他に類をみない評価点なのだが、孤独感を通り越して「置いてけぼりを食らっている」場面が多々ある。
    • 主人公の友人である千晶、勇とはボルテクス界誕生と同時に離れ離れになり、再会しても同行する展開にはならない。ストーリーが進むにつれて彼らの言動も加速度的に先鋭化し、やがては一方的にコトワリ実現への協力を求められる。
    • かつての友人が理解しがたい存在となってゆく描写を重ねることで、主人公が「たった1人」であることも浮き彫りにされてゆく。
    • 本作の世界では主要な数名の人間以外は皆死亡した(肉体を失った)という設定であり、モブキャラとして登場するのは悪魔、東京の住人の思念体、そして「マネカタ」という「擬人」のみ。同族を持たない半人半魔の主人公が帰属できる集団はどこにもない。
      • なお「マネカタ」は、泥から作られ、悪魔に労働力として使役される存在。知性や外見はほぼ人間と同等で、指導者を中心としたコミュニティも築いているが、表情に乏しく時折体を痙攣させるなど、作られたヒトであることが頷けるような造形になっている。
    • その独特の空気感は、たまに話せる悪魔に出会えるとホッとする程である。中でも、最初は粗野な暴れん坊だが後々にフランクになる「オニ」は他のNPC悪魔にはない「トモダチ感覚」としてプレイヤーに親しまれている。

ナンバリングタイトルではあるが前作までとの繋がりが無い点

  • 『真II』の続編がやりたかった層からは不満を含む評価となった。
    • しかし、「前作の根幹に関わっていたスタッフが既に退社しているアトラスであの空気感が出せるか?」「ある程度綺麗に終わった話を下手に改変されても嫌だ」との声もあり、賛否は分かれている。
      • ちなみに、『真I』『真II』の世界観を引き継いでいる*9作品は、Xbで『真・女神転生NINE』として発売された。
    • 一応、後述の『マニアクス』で前作と何らかの繋がりがある世界観であることがわかるシーンが追加されている。ただ、大筋で重要なつながりではなく単なるカメオ出現とも取れる*10形にとどまっている。

前作までと比べたダンジョン攻略難易度の低さ

  • メガテンシリーズはJRPGの中では難易度が高めであり、従来だとその要因はダンジョンの攻略面によるところにあったが、今作では「プレスターンバトル」が非常に大きな要因となっている。
    • 仕掛け豊かなダンジョン自体は「カブキチョウ」や「ヨヨギコウエン」「カクヅチ塔」など複数あるが、三人称視点になった事もあり今までほどには複雑でも広大でもない*11
      • 次回作『真IV』ほど低難易度ではなく、「戦闘に重きを置いたため」と捉えることも可能なレベルである。

ボルテクス界の外について一切触れられない

  • 主人公の視点では「自分達しかいないこの世界が全て」の状況なので外の世界へ意識を向ける発想すらないのは必然だが、最終的に「この世の理」となる立場なのに一部の丸まった地域の中しか見ない、見えないという点に違和感を訴える声はあった。
    • ボルテクス界の変遷の描写自体も、ゲーム中通して「山手線内の変化」として描かれるため、スケールが大きいようで小さいという指摘もある。例えば似た様な設定の『STRANGE JOURNEY』ではシュバルツバース外について軽くだが触れられている事で全世界の危機感があるのと対照的である。
    • このためかマニアクスでは「アマラ宇宙のどこかでボルテクス界がいくつも生まれ消える」と理解の対象が「アマラ宇宙の出来事」まで広げられる説明が追加された。
      • …が、むしろスケールが広げられ過ぎて理解がぼやけるという意見もある。解釈によっては「ボルテクスの球体外は存在し無くなった」…の様な、無印の「東京の人々は死に絶えた」をも超越したぶっ飛んだ状態にも捉えられる。
      • 本作から18年のちに東京受胎の「外」を示唆する作品が発売された。

シリーズ内でも独自の展開を見せるストーリーとルート分岐

  • 先述の通り、悪魔の勢力図、シナリオ分岐のどちらも『真I』『真II』『真IV』『真IV FINAL』の「ロウ=天使勢」「カオス(=堕天使勢)」とは異なる独自の構図になっている。
+ ネタバレ
  • また「事実上の真エンド」とみなされるルートでは「東京受胎が起こる前の世界へ戻る(一部失うものもあるが)」 という、異例の結末を見せる。
  • この展開はシリーズ全体の中で(デビルサマナーやペルソナを含めても)極めて異例である。『真I』『真II』から脱却した新機軸とする好意的な意見もあるが、前項同様に『真II』まで同様の作風を期待していた層からの批判も少なくなかった。
    • のちに『真IV』『真IV FINAL』が『真I』『真II』の分岐様式を踏襲し、「人間として、ロウにもカオスにも染まらず、荒廃した東京をここから新たに創造する」という過去作に近いニュートラルルートを用意したことで、本作の異質性はより際立つこととなった。
    • また先述の通り登場人物の少なさもあり、他作でみられた「悪魔にすがり人間の道を捨てた人間」「人間が持つ悪魔以上の狂気」といった、オカルト的な人間描写を伴うハードコアな展開は少ない。
    • そういった意見も挙がりつつ、毎作同じことをやっていてもしかたないので今作はこれでよいと評する見方や、むしろそのオリジナリティこそ今作の魅力であると支持する声も根強く、意見は様々である。

「誰にも共感できない」と言われがちな主要キャラクター

  • 冒頭から独善的で主人公を何度も殺そうとする氷川、力を手にした結果マネカタの虐殺に走る千晶、会うたびに何故か刺々しく挑発的になってゆく勇、夢を見ているように不安定で捉えどころのない祐子と、主要キャラクターはいずれも理解・共感が困難な造形になっている。
    • 特に祐子は、東京受胎という大惨事の根本を担い、主人公への愛着から絶望的な世界にあえて生き残らせた張本人だが、対面すると態度は弱々しく、話す内容は一方的な弁解がましいもので、プレイヤーにカタルシスを与える存在ではない。
      • ヒロインという位置付けには程遠く、半ば氷川に利用された心の弱い人物として描かれている*12
  • コトワリを持てないマネカタの指導者フトミミや、マガツヒ*13が流れるアマラ経絡を覗くことに取り憑かれた雑誌記者の聖も、それぞれの思惑で主人公を利用しているだけであり、利害抜きの信頼関係を結べる存在ではない。
  • いずれにせよこんな状況だからこそ、シリーズ随一ともいわれる「孤独感」が際立つ。また、進行上「お友達にはなれない」にしても、(祐子先生以外は)彼らには彼らなりの信念があり、語られた内容を「一理ある」と少しは飲み込む事も出来るだろう。
  • 本作以降、属性に関するキャラクターに対して「共感一切出来ない」と言われてしまう作品が増えているので*14、こういった傾向は本作だけのことでは無い。

ボイス無しの演出

  • PS2タイトルで、通常会話はおろかムービーにさえもボイスが付かない、というのは発売当時としても少数派。直近の『アバタール・チューナー』や続編の『真IV』がボイス有りなので比較されることも。
    • ただし、女神転生シリーズについては逆にボイスが無い方が良い、と言う声も多い。特に本作を境に前と後でファンの嗜好が顕著に分かれている。
    • SFC版以前からのファンはボイス不要派が多く、『ペルソナ3』『STRANGE JOURNEY』以降はボイス有りに慣れている世代なので、本作は丁度境界上に位置する。
    • そのかわり、戦闘で聞くことのできる悪魔の声はアトラス社員総出の賑やかなもので、プロの声優の演技で無いのに特に違和感はない。
    • 特にティターニアの「アーユーレデイ?」やパールバディーの「タラララン」は「本人(?)が当てている」と言われる程似合っている*15
  • なお、リマスター版ではフルボイスではないもののボイスが追加された。

原作小説『女神転生』エッセンスの薄まり

  • 一番に挙げられるのは「コンピュータの存在の有無」。真シリーズから廃止されたとはいえ、サブタイトルに「デジタルデビル物語」とついていたシリーズでは初めて電子機器が「全く」登場しない。
    • 「最先端技術」と「森羅万象、古今東西の神話や伝説の悪魔」の融合がテーマだったのが、それが無くなっている事に違和感を感じてしまう人も*16
    • これは今作だけの事ではなく、初期の『ペルソナ』シリーズでも電子機器の重要性が非常に薄かったし、『アバタール・チューナー』でも電子ガジェットの類が活躍することはない*17
    • 『デビルサマナー 葛葉ライドウ』はそもそも電子機器のない時代…と、外伝的作品の一部では必ずしも電子機器が必要とならない・できない様に作られてきたのだが、本シリーズでは今作のみ。
      • シリーズではコンピュータ絡みの機能だった「アナライズ」や「オートマッピング」も苦肉の策でやや強引気味に登場しているが、本作は特にこれらが無いと困るゲームでもある。
      • その他、些細な点もいくつか指摘される。いずれも重箱の隅をつつく様なものだが、過去の広報の相原氏の発言と矛盾する箇所が多い。
      • 分かりやすいのが、本作は球状の閉塞した世界でコンピュータが無い設定なのにもかかわらずアイコン化された2Dマップ。この演出は「コンピュータを通して見るカーナビ画面の様な表現」だったが、本作の世界観ではまるで無関係になってしまっている。

戦闘参加員の減少

  • 前作や『デビルサマナー』シリーズでは6体まで戦闘に参加できたが、今回は4体まで。しかも前衛後衛の概念が廃止された。
    • この件に関しては、プレスターンバトル導入において「前衛後衛」は難しいのと、テンポ良い人数として仕方ない調整と思われる。

問題点

仲魔数の激減

  • 『真II』では300体ほどいた悪魔が150体ほどにまで激減した。
  • 今作では全て3Dモデルで一から作っているので仕方のない面もあるが、シリーズとしての劣化点として挙げられている。
  • その少ない枠で採用された悪魔も、スペクターやウイルオウィスプのようなエレメント系、人型悪魔の中ではコダマ、スダマ等のシンプルな造形のものなど、モデリングが比較的簡単なものを多く選んだ様な印象を受ける*18
    • また、金子氏の新旧ある悪魔デザインの中から「動きのつけやすいもの」を選んでいる様にも見受けられる*19
  • ただし、「悪魔全書システムで呼び出し半額効果」と、「スキル継承システムの為の効率」での100%達成出来る悪魔数とすれば妥当な数とも言える。
    • 仲間にはならないが、終盤の本作オリジナルデザインのボスやラスボスのモデリングも比較的シンプル造形ではある*20

主人公への感情移入のしにくさや、一部の展開、設定等の粗

  • 主人公は半人半魔という新たな個性を与えられたが、いわゆる「喋らない主人公」であるのはシリーズ旧作から変わらず。ゲーム中での選択に対して彼が何を思っているのかの描写はなく、プレイヤーが想像するしかない。
    • しかし、自身が半人半魔となる根本の原因を作った祐子を問い質す選択すらなかったり、自分に対して一方的に敵意を募らせ愚弄するようになった勇の頼みに否応なく応じたりと、旧作に比べてプレイヤーが抵抗を覚えるような展開が多い。
    • これによって「主人公が何を考えているか分からない、行動原理がハッキリしない」などと言われることが旧作より増えた。
    • 少しネタバレになるが主人公は全くの無感情ではなく、自身のコトワリを見出して事態に決着を付ける結末も用意されている。
  • 新世界創生の理念として導入されたコトワリについても、練り込み不足な点が見られる。
    • 弱肉強食のヨスガはともかく、万物を進化や発展のない静寂の中に置くことを目指すシジマや、競争あるいは協力といった他者との関係性を一切無視して自分だけの理想世界を築くというムスビは、そもそも理解しにくい。
    • 終盤には各コトワリに信奉者が集ってゆくが、その描写はやや強引にも見える。どのコトワリも少々皮相的であり、熱烈な信奉者を集めるほどの説得力や魅力を備えているとは考えづらい。
      • 「強者のみに価値があり弱者は滅ぶべき」とするヨスガの世界には、最終的にはただ一人の最強者しか存在を許されなくなる筈であり、大多数の者にはただ蹂躙され滅ぼされる未来しかない。
      • 個人の自由意志なき静寂の世界を理想とするシジマでは、信奉者の総意ではなく氷川が定めた「静寂」のもとで、永遠に変化のない世界を生きることになる。
      • 他者を無いものとするムスビは、個人が欲望を追求する上で他者の存在は無視できないという、ごく当然の前提を無視している。信奉者が「他者を従わせたい」という極めてありふれた欲望を持った途端に、ムスビの世界は破綻する。
  • その他にもストーリー面での説明不足や粗は指摘されている。何故オベリスクでマガツヒを集めていた筈の氷川が議事堂のマガツヒを手に入れようとしたのかなど。

いくつかの演出が長い

  • ゲームオーバー演出はなんと20秒ほども掛かる。とかく死にやすいゲームなのに、そのたびにいちいち見せられるので輪をかけてストレスになりやすい。
    • 後述のマニアクス版では演出をスキップできるようになった。
    • ターミナル(セーブや他所のターミナルへの移動を行える装置)の利用時の演出
      • セーブ完了時には毎回約5秒の演出が挿入される。転送時の演出は、スキップしても約8秒掛かる。どちらも頻繁に利用することになるのでテンポが悪い。

戦闘モーションの不備

  • 今作ではダメージ数値がナレーションではなく数字のみで表記されるシステムだが、たまにカメラワークのせいで与えたダメージ数が見えなくなることがある。
  • 特に「アイアンクロウ」「○○剣」などこちらの仲魔が接近して攻撃するタイプの特技で巨体のボス悪魔を攻撃すると発生しやすい。

アサクサのパズル

  • ゲーム中盤のアサクサで遊べるミニゲームであり、これをクリアすると特定のマガタマが入手できる。この難易度は高く、攻略法を知っていても手順が複雑で苦労する*21
    • 全てのマガタマを手に入れることで発生するイベントや得られるものがあるので、そのためには嫌でもこのミニゲームをクリアしなければならない。

その他

  • レベルが上がるにつれ、魔法のダメージや物理スキルの命中率が緩やかに低下してゆく現象がある。
    • レベルに依存する魔法攻撃力は術者がレベル30の時点でピークに達し、以後は緩やかに下がり続け、レベル150を超えたあたりで減少しなくなり、レベル15前後と同等に落ち着く。魔法ダメージはパラメータの「魔」の値にも影響されるため、実際にダメージが低下し始めるのはレベル60あたりからだが、ゲーム終盤にはおおむね影響を受けている。
      • 後半には強力な物理スキルが登場し、属性魔法で弱点を突けない敵も増えてくるため、この現象は意図されたバランス調整の一環であると推測されている。
      • 終盤になるまであまり実害はないが、高レベル帯で解禁される各属性の最上位魔法や「メギド」系魔法の使い勝手がMP消費にイマイチ見合わないという問題を生んでいる。
    • 物理スキルの命中率は実際に減少を始めるのはレベル200以上(最高レベルは255)という超高レベル帯で、減少幅も数%と言ったところなので、影響は薄い。
  • これまでのような、前方を向いたまま左右への平行移動が行いにくい。平行移動の操作は一応あるのだが、前進に比べて移動速度が遅くなってしまうので利用しにくい。
    • 普通の移動も「L1、R1で旋回」と「右スティック旋回」に慣れている人は操作にとまどうだろう。
  • ツボを押さえたストーリーテリングもあり、前述のとおりゲーム内用語は全体に理解しやすいが、一部、扱いが簡素で説明も足りないと言われているものや、本来の意味と異なる用法のものがある。
    • 「ヤヒロノヒモロギ」は、後半のある場面で祐子から求められるアイテム。神道における「(臨時の)神の依り代」であり、漢字では「八尋神籬」と書く。祐子の言動からは非常に重要なものであることが窺われるが、どういうものかは詳しい説明がなく、祐子に渡したあとは再登場することもないため、曰くありげな品ながら、よく分からないまま終わる。
    • 「オベリスク」はゲーム内では氷川らが作り出した巨大な塔を指しているが、本来は柱状の「碑」を指し、内部に空間を持たない点で塔とは異なる。コトワリ実現に関わる装置でもあるため、理想を掲げた碑を兼ねていると解釈してもそれほど無理はないが。
    • 「ミフナシロ」はゲーム内ではマネカタの聖域を指す。指導者フトミミの居所にもなっているため、「シロ」が「城」であるような印象を受けるが、本来は神体を収めるために伊勢神宮で用いる祭器であり、漢字では「御船代」と表記する。
    • 「アマラ経絡」の経絡(けいらく)とは人体の中にある気や血などの通り道であり、ゲーム内でも目的地へ向かう為の通路として登場するが、通路であるがゆえにアマラ経とユーザーに間違われるケースが多発した。 ちなみに2020年辺りまでの本記事でも間違われていた。

総評

シリーズのツボは押さえつつ、ポリゴンによる悪魔デザインの表現、さらに深みの増した悪魔合体および育成、緊張感溢れるプレスターンバトルなど新たな試みをいくつも導入した結果、既存プレイヤーにも受け入れられ、新規プレイヤー層の獲得にも成功した。
アトラスの看板タイトルである『女神転生』の新たな始まりを告げるにふさわしい作品である。

前2作と比べるとシナリオへの評価はそれほど高くないが、プレスターンバトルの評価は高く「雑魚戦もボス戦も楽シめる、てごわいRPG」としてオススメの一本。SwitchやWinに復刻されたのも頷けるものだ。
とは言え、悪魔の合体法則も習得スキルも分からないのでは試行錯誤をするにも限度があるのも事実。逆引き検索が可能なフリーソフトが有志により作成・公開されているので使ってみると良いかもしれない*22


余談

+ マルチエンドについて。ネタバレあり
  • 本作は「ルートによっては悪魔から人の手に世界を取り戻すことができる初のメガテン」である。
    • これまではラスボスを倒してもおおよそ「共存」や「人間優位になったかも?」など、少年ジャンプ的に言えば「俺たちの戦いはこれからだ!」なラストばかりだったが、先生エンドでは「巻き戻った」「修正された」は不明だが、普通の世界に帰還して終わる。
      • 『女神転生』自体が内面に向き合っての自己完結であって、たきつけられようが導かれようが「世界を救う内容では無い」ため、ピリオドが打たれるラストでは無い。先生エンドも「解決しました!世界を救いました!」ではなく他と同じ自己完結だが、元の世界に戻されるのは初。真エンドと言われるが、ある意味「やっぱり前のが良かった」な後ろ向きとも見える。
  • FC版『II』からの「戦闘突入~対峙~戦闘」が「戦闘突入~戦闘」となった。ある意味1作目への原点回帰とも言える。
    • 3D化による「対峙」の表現の難しさによるものと思われるが、特に不満の声は上がっていない。『女神転生』シリーズは何か無くなると途端に不満点としてあげられやすい*23のだが、特徴とも言える箇所の撤廃にもかかわらず、案外好意的な意見が多かった珍しい例。
  • ボツになったイベント
    • 「人修羅とティカティロとイズナ」「神と蛇の話」「モナドへの扉とリリス」「アマラ経絡での高尾祐子」…などが無印版の中にデータが眠っている。デバッグモードで見られるが、いくつかの動画が上がっている。
    • これらは完成版からは省かれているが、どういう繋がりでのイベントなのか大変興味深い。
  • スペシャルDVD
    • シリーズ過去作の解説、作品のメイキング、各開発スタッフへのインタビューなどを収録したDVD『真・女神転生Ⅲ-NOCTURNE Special DVD~創造の軌跡~』が発売された。
    • 試作段階や開発途中のバージョンの映像も少しながら映されており、上記のような没イベントや没仕様の名残りも見える。
  • 特定の悪魔の会話
    • 「ランダとバロン」「ロキとオーディーン」「オベロンとティターニア」等、交渉スキルをつけた仲魔が神話上に因縁や関係性がある場合、特別な会話が用意されている。簡単な所では「上司 → 部下」「有名な兄弟、夫婦」など*24だが、「マダとデュオニュソス」の様な趣向繋がり等面白いものも。
    • 一度きりしか発生せず、しかも8枠しかないスキルの一つに会話スキルを入れないといけない、また一方通行もありとなかなかのレアなものも。
      • 後の作品でもアバドン王など、ナンバリングタイトル外において恒例の隠しイベントとして採用されている。
  • イソラ焼き
    • 多くの方が経験値上乗せの為にやったと思われるのがギンザ大地下道での通称「イソラ焼き」で、『真I』の「四天王の館稼ぎ」よりも遥かに安全で短時間で稼げる。
    • 大地下道の水上はイソラのみ出現、「炎」が弱点、マガタマ入手順などからここで「集魔の笛」で連続戦闘を起こして火炎の息等で効率良く経験値稼ぎをするポイント。
      • 無印版ではただの経験値稼ぎポイントだが、マニアクスではプレスターンバトルでの補助スキルや相性の大切さを体育会式に教えてくれる通称「又先生の授業」とされる、最初の魔人マタドール戦への重要なレベル上乗せポイントとしてさらに有名に*25
  • 複数のパッケージデザインが存在する。
    • 通常版・ツタヤ版・ベスト版の3種。『マニアクス』の2種に加え『HD REMASTER』を加えると6種となる。
  • ラジオ番組「水樹奈々 スマイルギャング」にてラジオドラマが制作された。
    • 人修羅の物語と思いきや、なんと3人目の同級生「沖浦 涼吾」が主人公、覚醒した千晶に拒絶されて思念体になるという、なんともはやな…。
  • 2021年12月に大手ニュースサイト『ねとらぼ調査隊』で行われた「あなたが一番好きな真・女神転生シリーズ作品は?」というアンケートにおいて本作が1位に選ばれた。ランキングはこちら。

完全版

『真・女神転生III NOCTURNE マニアクス』

  • 2004年1月29日発売。新規シナリオ・ボス・仲魔・ダンジョンの追加やバランス調整がされた完全版で、国産RPG最高傑作に挙げる人も少なくない。

追加・変更点

  • 新規シナリオ
    • 追加シナリオでは通常版のシナリオの説明不足な部分が補完されている。
    • 主人公の進む道についても、新たな生き方が提示されているが、そのストーリーで中心となるのは「コトワリ」ではなく「神と堕天使との戦い」である。
  • 魔人ダンテの参戦
    • 最大の目玉と言える追加要素。カプコンの『デビルメイクライ』とのコラボで、同作の主人公ダンテが乱入してくる。
    • 上述の魔人の1人でありながらデビルハンターの称号も持つ彼は主人公を悪魔として狩りに来るのだが、その容赦ない殺しっぷりは恐怖の一言。
    • 他の魔人とは条件が異なり、特定のイベントを達成しなければならないが、「魔人ダンテ」を仲魔にすることもできる。
    • 本作に登場するダンテは外見こそ『デビルメイクライ2』の通常時の姿だが、性格などは初代『デビルメイクライ』に近いものとなっているため、本家『デビルメイクライ2』のダンテよりもよくしゃべる。
  • 難易度選択機能の搭載
    • ゲーム開始時に、NORMALモードとHARDモードのどちらかを選択する。
    • NORMALモードは全体的に通常版よりも易しめの(遊びやすい)バランスになっている。
      • 「敵から受けるダメージが通常版の約75%に低下」の他に敵の先制攻撃&バックアタックの発生確率低下・バックアタックされても確定クリティカルにならないなど、全体的に明らかな難易度低下がなされている。NORMALと言うよりはEASYに近いかもしれない*26
      • ライトユーザーにも遊びやすくなった半面、一部ゴリ押しで通れなくも無いので「どうにかして強敵を倒したい」と試行錯誤する楽しみは少し減ってしまう。
      • ただ、その分強い仲魔を作ることで無双感を楽しめるし、後述するように新たな強敵・難所も追加されている。まずはこの難易度で慣れてからHARDに行った方がより楽しめるだろう。
    • HARDは通常版よりはるかに難しい。
      • アイテム・マガタマの価格が3倍、敵から受けるダメージが通常版の1.5倍(NORMALの2倍)、即死系・状態異常系スキルは敵だけ成功確率が上昇通常逃走不可*27、ダメージ床と宝箱トラップ、そして毒状態で移動した場合のダメージはそれぞれ3倍と、明らかにプレイヤーを殺しにかかっている難易度。
      • 不用意な行動は容易に死を招く。極上のスリルを楽しみたいならこちら。ちなみに、2周目限定ではなく最初からHARDで始めることも可能だが、推奨はされない。
  • 通常版との連動
    • 通常版のデータを読み込ませることで、ゲーム開始時に様々な特典が入手できる。
      • 通常版をクリアしていると、回復ポイントに最初に立ち寄った際に貴重なアイテムが貰える。通常版クリア周回数によって数が増える。
      • 通常版で仲魔にしたことのある悪魔を4体、マニアクス版の悪魔全書に登録できる。選ばれ方はランダムだが、選び直しは何回でもできる。
  • ヒロインはすぐそこに
    • 「ヒロインは仲魔」を更に強く印象付けるイベントがアマラ深界で発生する。
    • 詳しくは省くが、その仲魔のセリフに心を鷲掴みにされるプレイヤーが続出。主人公(プレイヤー)が、シリーズ1の孤独感を持つ今作で最も心温まる&感動するシーンとして知られる。
      • そのうえ加入する悪魔もとびきりのスペックを持っており、HD版発売に向けてのアトラス公式イベント「ベスト・オブ・悪魔」で堂々の一位という納得の実績を得ている。
    • ただ、このイベント発生はかなり終盤になってからなのだが、発生フラグはかなり序盤のメインイベントの行動で確定される。そのため、毎回同じ行動をとる(フラグを折ってしまう)人は絶対に見られない。
      • そうでなくともプレイ中の操作次第でいつでもフラグが折れてしまう。対象を見失わないことが重要なのだが、もし見失った場合、対象は終盤イベント時のセリフ通りの場所に常にいるので参考にしよう。

評価点

  • 細かい改善
    • 主人公専用スキルの命中率が大幅に上昇して使いやすくなった。
    • 死亡時ムービースキップ可、読み込み速度アップ、プレイ中のセーブデータ再ロード機能追加。やり込むプレイヤーでなくても非常にありがたい。
  • センスが最高に高まったと評された演出。
    • 特に雑誌で絶賛されたのがネーミングセンスで「12mの永遠」は厨二センスが良い方向に絞らないと出てこないと評された。
    • 他にも各カルパの壁面デザインや仕掛けなど、第三者視点をこれでもかとばかりに嫌らしく作られている。
    • 魔人の口上も、FC版時代のデザイナー鈴木大司教に負けず劣らずの貫禄がある*28
  • 高難度のアマラ深界
    • ダンジョン「アマラ深界」の深層に移動するためには簡単な3Dゲーム*29をこなす必要があるが、操作方法に少しクセがあり、他のゲームでよく見られる「上で下降、下で上昇」ではなく、「上で上、下で下」である。
    • 言葉で聞くと問題ない様に見えるが、こうした擬似3Dスクロールゲームの操作は「上で下降、下で上昇」というフライトシミュレーター式の設定ができることが多かった。
    • この操作方法が変更不可能のため、違和感を感じる人も少なくない。これはクロニクル版でもこの仕様のままである。
  • アマラ深界の迷路のような構造は慣れるまでは迷いやすい*30。良くも悪くもダンジョンの難易度の低さを強引に高めたとも言える。
  • 敵としても味方としても強力な「魔人」
    • 死を司る『魔人』達との戦いは、プレイヤー達に更なるスリルとやりごたえをもたらすほどの強さを誇る。
      • これらの魔人は、合体で作って仲魔にすることもできる。いずれもとてつもなく強力で、上手くつ作れれば難易度は一気に下がる。
      • 特に、「だいそうじょう」はスキル、耐性共に異常なまでの強さを発揮し、初期レベルが37であるにもかかわらず、終盤まで実用に足るバランスブレイカーとして認知されている。
    • 魔人達との戦いを制し、そして「神と堕天使との戦い」に介入することを決意した主人公を最後に待ち受けるものは…演出、BGMの良さも相まって、印象に残っているプレイヤーも数多い。
      • なお、基本的に魔人との戦いは任意なのだが、最初に戦うマタドールだけは強制戦闘になっている。詳しくは後述。

問題点

  • 初見殺し要素の存在
    • 『マニアクス』において最初の戦闘をすることになる謎の空間は「ドSのチュートリアル」と揶揄されることがある。
    • 手取り足取りシステムを教えてくれる訳では無く、一度のミスが直ちに死に直結する容赦のない難関だが、戦闘で大事なことはここをクリアすることによって自然と頭に叩き込まれ、学習出来る様になっている。いわゆるフロムゲーを連想させる、まさにスパルタ式。
    • ただ、ここでのガキ戦は本作屈指のトラウマ戦闘として有名。敵のクリティカルで相手の行動回数が増える事を体感させてくるが、初周では「仲間がいない」「回復手段が限られたアイテムだけ」「クリティカルの抑制手段は一切なし」とかなりの運ゲーになってしまっている。
      • 最初の魔人であるマタドールとはストーリー進行上必ず戦わなければならず、死に所として有名であり、嫌でもプレイヤー自身が成長する事になる*31。前作をやり込んでもここで全滅したプレイヤーも相当いた模様。
  • 一部箇所で手順を間違うと「半詰み(低確率ぐらいでしか抜けられない状態)」となる箇所がある。
    • 有名なのが「ホワイトライダー戦の条件をアマラ経絡からの街到着で満たしてしまうと、セーブ地点から出た瞬間にホワイトライダーと戦闘になる」というのが対ホワイトライダー戦の準備が足らない状態で発生しやすい…というもの。
      • 他にもあるが、「半詰み」な上に無理してアマラ深界をいける所まで行くなど、狙わないとほぼならない。
  • 前述したアサクサパズルは周回プレイするたびに解かなければならず、地味に煩わしいものとなっている。

品薄とファンの渇望

  • ゲーム自体の評価は無印版より高かったが、個数限定販売且つ再生産は一度あったのみ。当然プレミア化し高額取引されていたため、やりたいのに入手できないというファンが多かった。
    • 主に他社キャラのダンテが原因とされる。正確には著作権というよりも、カプコンが自社キャラを著作物ではなくタレントと同様の肖像権で扱っているので「肖像権絡み」でもある。
  • その後、後述の『クロニクルエディション』でこの問題は完全ではないが緩和されるのだが、ダンテの再登場は2020年でのHDリマスター版まで待つこととなる。
    • ダンテ出演版は中古品でも定価(5,800円)以上の価格で売買されており、『クロニクルエディション』登場前は中古相場が1万円を超えていた時期もあった。そしてその新品に至っては、目玉が飛び出るほどの極端なプレミア価格となっている。

『真・女神転生III NOCTURNE マニアクス クロニクルエディション』

  • 2008年10月23日発売の『デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 アバドン王』の初回版である『葛葉ライドウ 対 アバドン王Plus』に同梱されたバージョン。
    • 『マニアクス』のダンテを、『デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 超力兵団』の主人公・葛葉ライドウに差し替えたもの。ライドウが「無口」であるためにゴウト先生がしゃべり倒す。『アバドン王』の中では「喋りすぎた」と謝っているのに…。
    • 『アバドン王』に比べグラフィックは見劣りする。2003年と2008年のゲームの進化を感じられるだろう。
      • ただし、当時のファミ通によれば、『真III』の独特な色調は『女神転生』を3D化するにあたって編み出されたものと言われている。それを踏まえてみれば『アバドン王』は色調がハッキリしてけばけばしく見える。
  • その他にも『マニアクス』との相違点がいくつかあるが、全体的に『マニアクス』の改良版・上位互換と考えて差し支えない。
    • 特定条件でのクリア後に追加イベントが発生する。
      • ライドウを仲魔に加えて特定のルートでクリアすると、スタッフロール後に追加イベントが発生。
    • ダンテとライドウの性能は基本的には全く同じだが、1つだけライドウの方が高性能なスキルがある。「貫通」を習得するので、ようやくあのお方戦でも役に立ってくれるのだ。
    • 一部の台詞ミスが修正された。
    • 難易度HARDの一部ボスが強化された。
    • ゲーム開始前のループデモ2種類はマニアクス版の内容ではなく、通常版と同様の内容。
    • 唯一、世界観設定やゲームの雰囲気的にはダンテの方が合っているかもしれない。敵としてライドウと戦う時のBGMが、ダンテ戦のハードロックな曲のままである事もその一因。
      • また、ダンテの設定はまあまあ寄添いは出来るのだが、ライドウの場合、果たして「あのお方」と謁見するエンディングに合うのかどうか。喋らないライドウはともかくゴウト先生は決してあのラストは黙って放って置かれないと思うのだが…。
      • キャラクター設定との整合性も考えると、やはりあくまでダンテの代替キャラとして用意された「友情出演」として、深く考えない方が賢明である。
  • 発売してしばらくの間は値崩れを起こし新品4,000~5,000円程度と定価の半額以下の価格で見かけることもあったが、年月を経た現在だと逆にプレミア化しており、中古品でも5,000円前後という、PS2中古ソフトとしてはかなりの高額となっている。
    • ただし、ゲーム2本セットで定価が1万円超えの商品であることを考えれば、それほど高くないという見方もできる。

リマスター

『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』

  • 2020年10月29日にSwitch/PS4版が発売。内容は『クロニクルエディション』に準じている。
  • 2021年5月25日にWin(Steam)版が発売。こちらは諸事情から実質的に無印に準じているので、DLCを使わない場合は勘違いに注意。詳細は後述。

追加、変更点の詳細

  • グラフィックの向上
    • 現行機に合わせてムービー以外がHDとなり、画面比率も4:3から16:9になった。それに合わせてUIなども余裕がある構成に。
  • 中断セーブの追加
    • メニュー画面を開ける状態ならいつでもゲームを中断できるようになった。これまではターミナルまで移動しないとセーブができなかったので、地味ながら大きな変更と言える。
  • ボイスの追加
    • キャラクターボイスが追加された。キャスト・演技ともに概ね好評だが、フルボイスではない。設定でオフにすることもできる。
  • DLCの追加
    • 『マニアクスパック』を購入することでライドウ登場シーンを『マニアクス』のダンテに差し戻せる「NEW GAME -マニアクス-」が出現。ゲーム開始時に選択するのでゲーム中の変更はできない。
      • ライドウに合わせる形でダンテの固有スキルにも「貫通」効果が追加されている。
    • Steam版にのみ「NEW GAME -クロニクル-」を追加する無料DLC『クロニクルパック』が用意されている。なお、内容はSwitch/PS4版の「NEW GAME」と同等のもの。
      • Win版はDLC未適用の場合ゲーム内容が無印準拠のため、『マニアクス』以降の追加要素はこのDLCで解放する形になっている。ただし正確には無印準拠というよりも一部要素を削除したという方が適切なため、Win版をこのDLC未適用でプレイする意味は薄い。
      • ライドウの時代背景上、彼の登場が一部の国で槍玉に挙げられたことを受けての措置だと思われ、実際にそれらの国ではこのDLCを配信しないことで対応している。
    • EASYに相当する低難易度モード「MERCIFUL」が無料DLCとして配信。他にも経験値・資金稼ぎ用の追加ダンジョン、BGM変更パックが販売されている。
      • なお、Win版は前述のDLCが全て同梱された『デジタル豪華版』も配信されているので面倒を避けたいのであればそちらを推奨。
  • 邪教の館の仕様変更
    • アップデートにより継承スキルを任意に選ぶことが可能になり、賛否両論だった「◯✕ゲーム」が解消された。
    • 上記に加えて継承スキルの再シャッフルをワンボタンでできるようになった。一見すると意味のない機能だが、悪魔ごとに特定スキルへの継承率補正が設定されているため、ランダム要素自体はバランス調整や個性付けの一環であった。
    • 任意継承のみの実装ではこの要素が無意味になってしまうので、それを避けるためのおすすめ機能としてこの形で残したと思われる。
  • 発売当初はボタンのレスポンスが悪い、処理落ちがPS2の時代よりも悪化している、フリーズすることがある、取得できないトロフィーがあるなどの多くの問題点があったが、後のアップデートで改善された。
    • 一部の処理落ちはまだ残っており、特にマザーハーロットの全体攻撃で顕著。
    • 楽曲面では通常戦闘曲の演出がカットされ、イントロの尺が固定されている*32
    • シブヤにあるディスコ・インフェルノでのネコマタとのイベント戦闘において、戦闘終了後に画面がブラックアウトし操作不能となるバグが報告されている。
    • 発生条件は分かっておらず、また必ず発生するものではないが、戦闘前にはセーブをしておくことを推奨する。
  • OPを含めたムービーはPS2版からそのまま使用しているのでフルHDではない。
    • 当然ながらムービーはストーリー上重要なシーンで流れるため、印象的なシーンに限って解像度が低いということになってしまう。フルHDが主流となった2020年代の現在では少し物足りない。

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最終更新:2024年03月24日 00:19

*1 例えば「マグマ・アクシス」ならば両手に炎を灯す→頭上に掲げて1つに合わせる → 炎のレーザーのごとく正面に打ち出す、という流れ。

*2 ヨスガに属するのは規律徹底を求める天使、シジマに属するのは人を欲望に落とす堕天使や邪神、ムスビに属するのは感情や霊魂の集合体である外道、といった感じ。

*3 規律を強いるには無秩序とそれを押さえつけるための暴力が必要、欲望を生み出させるには強い抑圧が必要、集合体となるためには確立された個が必要、といった感じ。

*4 FC版や『ペルソナ』『デビルサマナー』等の派生作品は含まれていないが、『STRADGE JOURNEY』『NINE』は含まれている。

*5 サウンドトラックでは2ループなので全て聴くにはゲーム中のみ。

*6 例としてはFC版『2』のオマージュの『真II』と、さらにその焼き直しの『真IV』が上げられる。

*7 ちなみに、モトが登場する場所は台座の上なので、よりステージっぽい。

*8 2chには、本作での死に様を書き込む「真・女神転生3で全滅したら上がってくるスレ」と言うスレッドが発売直後に建てられ、代を重ねて存続している。

*9 作品時間軸的には『真I』の大破壊以降の世界に位置する外伝的作品となる。

*10 思念体としてガイア教徒とメシア教徒が1人ずつ出てくる程度。

*11 「オベリスク」や「カクヅチ塔」など数字だけ見るとゾッとする階数のダンジョンもあるが、実際の内容は特に苦行というものではない。

*12 ちなみに、作中で明言はされないが、物語開始前の入院は心を病んでのこととも考えられる本人の台詞がある。

*13 ボルテクス界に生じた思念や感情の流れ。

*14 『STRANGE JOURNEY』のゼレーニンや『真IV』のワルター&ヨナタンなど。

*15 本作の影響で、ライドウのパールバディの「おばちゃん台詞」が槍玉にあげられることが多い。

*16 ゲーム的には絡まないが、東京受胎前には携帯電話は登場はしている。

*17 ある意味主人公たちが究極的な電子ガジェットともいえるが。

*18 下位悪魔での人気者のドワーフやノッカー等旧作での人気悪魔が軒並リストラ。ただし、元々金子氏は「ケルトやギリシャ勢の扱いはぞんざい、インドやアジアが好き」と好みの多少の偏りについては前々から述べているので、選ばれた悪魔も金子氏のチョイスが影響している可能性もある。代表例が造形からモーションまで力の入った出来栄えのセイテンタイセイ。

*19 ヴィシュヌやラクシュミは新デザイン、オベロン&ティターニア夫妻は旧デザインなど。

*20 この傾向は後々の『葛葉ライドウ 対 アバドン王』まで続いている。

*21 しかも総数20ステージで、攻略本等のカンニングをしても数十分を要する。

*22 むしろ悪魔合体をやり込むつもりなら必携。

*23 『真II』における「今後ともよろしく」の撤廃など。

*24 兄弟/ケルベロスとオルトロス、夫婦/アマノウズメとサルタヒコ、上司と部下/テング、天使…など。

*25 「又先生」の対策として「保健医ウズメ先生」ことアメノウズメを作る為の重要ポイントでもある。

*26 それでもATLUS製ではない一般的なJRPGと比べれば大概難しい方であるが。

*27 戦闘離脱用の魔法やアイテムを使うか、敵全員が行動不能状態でなければならない。

*28 『真IV』では一部ボスなどで「言葉が貫禄無く乱暴になった」と評された箇所が多い。ターミナルの番人やメデューサなど。

*29 HAL研究所の「ハイパーゾーン」に近い。

*30 無印では通路を基準に作られているのに対し、アマラダンジョンは広いマップを仕切り板で仕切って迷路化されている。

*31 ここまではある程度ゴリ押しでも来れるが、回避率の高いマタドールとの戦いはいわゆる「"速"へのバフ(強化)とデバフ(弱化)」が重要で、対策を怠ると待つのは「死」のみ。後述する通り「第2のドSチュートリアル」とされ、敬意を込めて当時ネット等では「又先生」と呼ばれていた。

*32 PS2版は先攻側が攻撃を仕掛けた直後にメインフレーズに移行していた。