天使のプレゼント マール王国物語

【てんしのぷれぜんと まーるおうこくものがたり】

ジャンル ミュージカルRPG

対応機種 プレイステーション2
Windows(Steam)
Nintendo Switch
プレイステーション5
メディア CD-ROM 1枚
発売・開発元 日本一ソフトウェア
発売日 2000年12月21日
定価 6,090円(税込)
配信 Steam:2023年8月30日/2,178円
Switch/PS5:2023年12月21日/2,178円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
マール王国シリーズリンク


概要

『マール王国の人形姫シリーズ』3作目。
前作、前々作の主人公や重要キャラクターをメーンに据えた短編集の第1~4章、前々作の主人公「コルネット」の母親であり本作の主人公である「シェリー」の物語を描いた本作の本編とも言える第5章、シリーズのほぼ全てのキャラクターが集結して隠しボスと戦うおまけシナリオである第6章の全6章構成が特徴である。
タイトルにナンバリングがついていない事から外伝作品と思われがちであるが、第5章のタイトル画面で小さく「The Adventure of Puppet Princess III」と表記されていることから、れっきとした本編作品であると思われる。


戦闘システム

  • 本作の戦闘システムは前作と同じターン性であるが、最大16人までパーティメンバーとして戦闘に参加できるのが特徴である。
    • パーティを編成する場合、まずリーダーとなるキャラクター1名を選び、そのキャラクターのパートナーとなるキャラクターを3名まで選ぶ事ができ、その4名が一つのチームになる。全部で4チーム編成する事ができ、合計16名まで戦闘に参加することができる。
      • リーダーとなるキャラクターはパートナーとなるキャラクターの能力値や相性によって、能力を強化することが出来る。また、戦闘中に操作するのはリーダーとなる4人のみであり、パートナーとなる12人はAIによって自動的に行動する。
      • また、特定のキャラクターを同じチームにした場合、合体技を使用する事ができる。合体技を使用してもそのターンの行動として処理されるのはリーダーのみであり、パートナーは連携技とは別に攻撃する事ができるためお得である。
    • キャラクターは人形使い、人間、人形、モンスターの4種類に分けられていて、人形使いと人間は魔法が使えない、人形はリーダーにする事が出来ず人形使い以外のパートナーになる事ができないといった特徴がある。

評価点

  • ストーリー
    • 概要の項で記した通り本作のシナリオは6章構成であるが、中でも本作の本編とも言える第5章の評価が高い。
      • 前々作の主人公コルネットの母親であるシェリーが主人公であり、古代王国で過ごした少女時代からマール王国に落ち延び27歳で生涯を閉じる瞬間まで戦争の絶えない時代を生きたシェリーの人生を綴ったストーリーである。
      • 同社の作品は、その見た目とは裏腹に鬱展開が多いと言われるが、その中でも一二を争う程本作の第5章は鬱展開が多く、後味の良くない展開も多い。しかし、本作の第5章は前2作で断片的に語られていたシェリーのエピソードをゲーム化したものであり、前2作をプレイしたユーザーならあらかじめ結末が分かっていたので本作の悲劇的な展開はユーザーからも好意的に受け止められている。
      • 第5章の最終盤でシェリーとコルネットが談笑しているシーンは、シェリーが幾多の悲劇を乗り越えて幸せを手に入れた事を実感できる名シーンであると言える。ただし、前々作をプレイしているユーザーならその後の展開を知っているだけに切なくなるシーンでもある。
      • 前2作の人気曲である「歩いていこう~シェリーの愛~」が本作の最後のミュージカルシーンとして使われており、主人公のシェリーが娘のコルネットへの想いを歌う展開は、シリーズのミュージカルシーンの中でも特に評価が高い。
  • やり込み要素
    • 前2作と比べてやり込み要素が大幅に増えており、9999まで上がるレベルやインフレしたダメージ、本編のラスボスを遥かに上回る強さの隠しボスを導入したのは同社の作品では本作が初である。
      • また、以降の作品と比べれば遥かに大変であるが、頑張れば10万を越えるダメージを出す事が出来る。
    • 本作の雑魚敵は戦闘に参加するメンバーの中で最もレベルが高いキャラクターに合わせてレベルが上がるため、レベルを数百、数千まで上げてもペースを落とすこと無くレベルを上げる事が出来る。
    • 2種類以上のモンスターを自然に帰す事により、それらの特徴を兼ね備えたモンスターを貰えるモンスター合成の様なシステムを採用。これを繰り返すことによりモンスターを限りなく強くする事が出来る。
      • また、モンスターを貰う代わりに経験値・金・アイテムなどを貰う事を選択する事も出来る。
    • 本作の第6章はシリーズのほとんどのキャラクターが集結して隠しボスと戦うシナリオであるため、お気に入りのキャラクターを集めて自由にパーティを編成する事が出来る。16人まで戦闘に参加できる戦闘システムは、この6章のためにあると言える。
  • 一度クリアしたシナリオはレベルや装備を引き継いで最初からプレイし直す事が出来る、いわゆる強くてニューゲームがプレイできるようになったため、手軽にシナリオを見直す事ができ、また期間限定要素の取り逃しを気にする事無くプレイする事が出来る。
    • ただし、一つだけ、これを利用してもどうしようもない期間限定要素が存在する。また、クリア時に装備していなかったアイテムは消滅してしまうので注意が必要である。
  • 前2作で問題視されたダンジョンマップの使い回しは本作では無くなり、ダンジョンがしっかり作り込まれている。
  • ゲーム起動時に長めのロードが入る代わりに、ゲーム中のロード時間はほぼゼロになっておりゲームを快適にプレイする事が出来る。この手法は以降の同社の作品にも受け継がれている。

問題点

  • 前2作をプレイしていないと分からない話が多い。
  • シリーズの特徴であるミュージカルシーンが少ない。
  • シリーズお馴染みの最強の人形である「ナイトスポーノ」の第6章に持ち越すための条件が厳しすぎる。
    • ナイトスポーノは第5章の序盤でのみ戦う事ができ、倒すとパーティに加入するのだが、主人公のシェリーがレベル20以下の状態でナイトスポーノを倒さなければ第6章に持ち越す事ができないので、倒す前にシェリーのレベルを21以上に上げてしまうと、二度と第6章では使えなくなってしまう。
    • ナイトスポーノは第5章のラスボスよりも強いためレベル20程度では勝負にならず、シェリーのレベルが20以下の状態で倒すにはシェリーを戦闘メンバーから外した状態で他のキャラクターのレベルを上げなければならない。そのため、初見の前情報無しにナイトスポーノを第6章で使用したユーザーは、まずいないと思われる。
  • 隠しボスが弱く、レベル180もあれば倒す事ができ、レベル250もあればタイマンでも勝利する事ができてしまう。一応本編のラスボスを倒せる平均レベルは30程であるためラスボスと比べれば遥かに強いが、最高レベルが9999である事を考えると物足りないと言わざるをえない。
  • AIの頭が悪く、効果の無い行動をする事も多い。特に、大魔王にゴールドカードを見せ付けて金銭トレードを持ちかけている様子は、某ザキの神官並にシュールである。
  • 所持金が21億4748万3647イノチウム*1を越えるとマイナスになり、もう一度同じだけ稼ぐまで買い物ができなくなるバグ(オーバーフロー)がある。
  • 前2作にあったソフトリセット機能が何故か無くなっている。

総評

第1章~第4章はいつも通りのマールであるが、本編である第5章は暗い話が多い。
しかし、戦争の絶えない時代の中、幸せを求めたシェリーの人生を描いたストーリーは完成度が高く、シリーズの完結編を締め括るに相応しい内容である。
ただし、前2作をプレイしていないと分からない話が多い上に前2作のネタバレが含まれるため、プレイするならば、まず前2作を先にプレイする事を推奨する。
また、やり込み要素も多く、後に同社の代表作となる『魔界戦記ディスガイアシリーズ』に与えた影響も少なくないと言える。



余談

  • シリーズ初作からキャラクターデザインを手がける野村良治(現・Ryoji)氏の可愛らしい絵柄も当シリーズの魅力の1つだが、氏のイラストの女の子はシリーズを重ねるごとに「肉感的」になっているのが特徴。
    そうした画風を踏まえてかは分からないが、本作の女性キャラクターの多くはドット絵でありながら、体のとある部分が「揺れる」*2仕様なっている。
    これは同氏が引き続きキャラクターデザインを手がける「ラ・ピュセル 光の聖女伝説」などのドット絵にも引き継がれている。
+ タグ編集
  • タグ:
  • RPG
  • 日本一ソフトウェア
  • マール王国

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月21日 22:35

*1 符号付き32ビット整数の最大値

*2 もちろん、人形クルルなどの例外もあるのだが