スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-

【すたーおーしゃんふぉー ざ らすと ほーぷ】

ジャンル RPG
対応機種 Xbox 360
メディア DVD-ROM 3枚組
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トライエース
発売日 2009年2月19日
定価 8,925円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン 恋愛、犯罪、暴力、セクシャル、言葉・その他
判定 なし
ポイント 戦闘システムは相変わらず高評価
好みが分かれるキャラ・シナリオ
快適性の低さ
スターオーシャンシリーズ

概要

『スターオーシャン』シリーズの第4作。主な略称は『SO4』等。
キャラクターデザインは『バッカーノ!』や『異世界食堂』などで知られるエナミカツミが担当。
本作から(正確には『1』『2』のPSP版から)はタイトルにはナンバリングが付くようになった。


あらすじ

  • 宇宙暦10年。第3次世界大戦により地球は死にかけ、人類は新天地となる地を求め宇宙へと目を向ける。
    主人公は宇宙開拓隊の第一陣の1人となり、宇宙へと旅立つ。
    • 一つの惑星を主な舞台としていたこれまでのシリーズと違い、本作は主人公が所有する宇宙船でいくつもの惑星も巡るスペースオペラ的内容で、文字通り「星の海」が舞台のストーリーとなっている。
      • 次回作『5』がファンタジー重視路線になった事もあり、本作はシリーズで最もSF色の強い作品となる。
    • ちなみに『1』は宇宙暦346年、『2』は宇宙暦366年、『3』は宇宙暦772年が舞台。本作はシリーズで最も古い時系列を扱う*1

戦闘システム

基本

  • 戦闘システムは前作からガラリと変わり、基本は『2』をベースとしつつ新たなシステムを組み込んだ形となっている。
    • 前作から削られた部分も多い。「小攻撃、大攻撃、プロテクトの3すくみ」「MP0での戦闘不能」など。
    • 攻撃ボタンは一つだが、敵との距離や高さだけでなく、背後の敵への攻撃やダウンからの復帰時など、キャラクターごとに使える通常攻撃の種類に違いを持たせている。
  • 必殺技や一部の呪紋(紋章術)はL・Rトリガーにセットし、ボタン一つで発動する「リンクコンボ」という形で使用できる。セットした必殺技は発動後の隙をキャンセルして別の必殺技につなげる事が出来る。
    • 最初はL・Rそれぞれにひとつずつ(計2つ)の必殺技しかセット出来ないが、スキルブックを使って「リンクコンボ*2」を習得・強化していくとセットできる必殺技の数は最大で3つずつになり、キャンセルした際のダメージボーナスも強化されていく。
  • 攻撃ボタンのほかに用意されているのが「ジャンプボタン」である。左スティックとの同時入力で指定した方向へとジャンプをする。「ジャンプ」と表現しているがキャラクターによって動き方は異なり、ステップというべき横方向へのジャンプや地面に両足を付けたままのスライド移動をする者もいる。
    • また、一部の飛び道具を扱うキャラクターは、ジャンプ中に攻撃ボタンを入力する事で、専用のジャンプ攻撃を行う事が出来る。

エンカウント

  • 『3』と同じく敵シンボルと接触した向きで戦闘開始時の状況が変わるシンボルエンカウント方式だが、状況の種類は『3』からはまた違ったものとなっている。
    • 敵の正面・側面から接触した場合は特に変わった表示もなく、敵と正面から向かい合う構図で戦闘が始まる。
    • 敵の背後から接触した場合は「アドバンテージアタック」となり、戦う敵の数は通常時と比べて少なめになる。戦闘開始時の状況も敵が背を向けて数秒間棒立ちという有利な状態でスタートする。
    • 敵に背後から接触された場合は「サプライズアタック」となり、敵の数は通常時と比べて多くなりやすい。最初の状況もこちらが背後を取られるか四方を囲まれた状態の2種類で、敵全員のラッシュゲージ(後述)が30%溜まった状態でのスタートとなる。
    • 上記三種類とは別に、敵との接触時に他の敵シンボルが近くにいる場合は、周囲の敵シンボルの数だけ連戦となる「レイドアタック」が発生する。味方の位置がリセットされずに次の戦闘が始まるので、ピンチのキャラクターが敵達のド真ん中に放り出されることもある。
      • なお、このレイドアタックを発生させるごとにボーナスボード(後述)に緑色のジュエルが追加されていくほか、連戦数に応じてボーナスボードとは別の取得経験値ボーナスが発生する。
      • ちなみにシナリオ上で強制的にレイドアタックでの戦闘となる場面があり、その場合でも1戦ごとにボーナスが適用されるようになっている。

クリティカルの仕様

  • 本作のクリティカル(いわゆる会心の一撃)は『1』『2』と同じく敵の防御力を無視して物理ダメージを与えるもの。しかし発生の仕様は『3』に近いものになっており、「特定効果の付いたアイテムかバトルスキルを装備する」「戦闘中にメニューを開いて特定のスキルを使用する」「サイトアウトかラッシュモードを使って攻撃する」という条件を満たさなければ、どれだけ攻撃してもクリティカルは発生しない*3*4
    • そのため、防御力の高い敵を相手にする時は装備やスキルを吟味する、サイトアウトやラッシュモードを活用する、もともと防御に左右されない呪紋で攻撃するなどの工夫をしなければならなくなる。

「サイトアウト」と「ラッシュモード」

  • サイトアウトは一瞬で自身を狙う敵の背後を取ることが出来るシステム。ジャンプボタンを長押しする事でサイトアウト準備状態となり、自分を狙う敵をターゲットにして間合いが近くなった時にジャンプ操作をすると発動する。
    • サイトアウトが成功すると敵は「サイトオフ状態」となって「!?」のアイコンが消えるまで棒立ちとなり、サイトアウト直後に攻撃すると必ずクリティカルになる。
      • 攻撃を加えるごとにクリティカル発生率は低下していくが、「!?」のアイコンが消えるまではサイトアウトによるクリティカルの補正は0にはならない。
    • ただし、中にはサイトアウトに対してカウンターをしてくる敵もおり、その場合は敵の攻撃予備動作が出てからサイトアウトを仕掛けるか、BEAT S(後述)で習得するダブルサイトアウトで対抗するといった対抗策が必要となる。また、準備状態のままサイトアウトをしないでいると疲労状態になってしまい、一時的にピヨってしまう。
    • なお、遠い間合いでサイトアウトをした場合は敵をサイトオフ状態にする事はできないが、通常よりも移動距離が伸びたジャンプが発動し、敵はこちらを見失ってわずかな時間だが棒立ち状態となる。サイトアウトが成立せずとも、遠距離攻撃を仕掛ける敵の虚を突いて懐に入り込むといった用途にも使える。
  • ラッシュモードはラッシュゲージが100%の時に発動できるキャラクターの一時強化。移動・攻撃速度の強化とクリティカル発生率上昇に加えて完全ガードレスが付加され、攻撃されても絶対にのけぞらずにコンボを叩き込めるようになる。
    • ゲージを溜めるには、サイトアウト準備状態を維持する、攻撃を当てる、ダメージを受けるなどの方法がある。ラッシュゲージは戦闘ごとにリセットされる。
    • 敵にもラッシュゲージがあり、溜まると即ラッシュモードを発動させるため注意が必要。ラッシュモードになった敵、ガードレスの特性を持つ敵はサイトアウトで動きを止めれば攻撃でのけぞらせる事も出来るが、ガードレス持ちかつラッシュモードになった敵はほぼ手が付けられなくなる。
    • また、ラッシュモード発動直後にリンクコンボを使用すると、ゲージが一瞬で0になる代わりに一方的にリンクコンボで攻撃出来る「ラッシュコンボ」が発動する。ラッシュコンボでのダメージは2倍になる上、ボタン入力を成功させれば近くの仲間と連携して最大で7連発の必殺技を一方的に叩き込めるので、ダメージソースとして非常に優秀。
    • 敵のラッシュゲージを増やさない、ラッシュモード中の敵でも体勢を崩せるなど、火力以外の利点も多い。特に後者は、サイトアウトでも揺るがないガードレスとラッシュモードを併せ持つ敵にすら通用するので、強敵のラッシュモードを潰すという意味でも重宝する。

ボーナスボード

  • 『3』のヒートアップゲージに替わる、戦闘勝利時にボーナスを付与するシステム。戦闘中に特定の方法で敵を倒すなどの行動をすることで、画面右のボーナスボードにカラージュエルが追加されていく。
    • 追加されるジュエルは全部で4色で、それぞれ青(クリティカルで撃破時に取得・獲得経験値+10%)黄(複数の敵を同時撃破時に取得・獲得フォル+10%)赤(バトルスキルのみで撃破時に取得・戦闘勝利時にHPとMPが1%回復)緑(レイドアタック発生時に取得・戦闘勝利時にパーティSP*5を1ポイント獲得)となっている。
      • ボーナスボードに追加されるジュエルは最大14個で、もし単色でボーナスボードを埋めきった場合の効果はそれぞれ「取得経験値2.4倍」「取得フォル2.4倍」「戦闘勝利時にHPとMP14%回復」「戦闘勝利時にパーティSP14ポイント獲得」となる。
    • 「操作キャラがクリティカルを受ける」「操作キャラが戦闘不能になる」「逃走する」のいずれかを満たすとボーナスボードが崩落し、ためていたカラージュエルは消失してしまう。しかし、同色が隣り合うようにジュエルを獲得していた場合、崩落が発生しても隣り合ったジュエルの半分(小数点切り上げ)は消えずに残る。

BEAT

  • ステータスのプラス補正だけでなく、キャラクターの特性を変化させるシステム。キャンプメニューからのみ変更可能で、「BEAT S」「BEAT N」「BEAT B」の3種類から選ぶことが出来る。BEAT Nを除き、パーティメンバーにいる状態で勝利することでランクが上昇していき、上昇すると様々な特典が付加されていく。
    • BEAT Sはサイトアウト中にリンクコンボの先行入力*6を可能としたりダブルサイトアウトを習得するなど、サイトアウトに関連する特典が得られる。また、攻撃関連の能力(ATK、INT、HIT)が上昇する。
    • BEAT Bはラッシュモードの持続時間延長やラッシュモード発動中の消費MP軽減など、ラッシュモードに関連する特典が得られる。また、防御関連の能力(最大HP、DEF、GRD)が上昇する。
    • BEAT Nはこれといった特典はないが、BEAT SとBEAT Bのランクに応じてそれぞれの能力補正を引き継ぐことが出来る。その性質上、ほかのBEATを成長させてないと意味がない。

評価点

戦闘システム

  • 製作がトライエースなだけあり、戦闘システムの評価は高い。
    • アクション性が非常に高く、今作で採用された敵からのターゲットやサイトアウトのシステムは秀逸。
      • 敵の行動に着目したシステムゆえか、今作は敵のモーションや行動パターンがかなり作り込まれている。だからこそ敵を誘導しサイトアウトを決める一連の流れには確かな手ごたえや爽快感があり、完成度は好評を得た前作『3』にも引けを取らない。
      • 上記にあるように敵がサイトアウトの対策をしているケースや、裏を取る動きの時点で敵の攻撃に引っかかってしまって決められない、などサイトアウトを決めるために工夫のいる場面も多い。いっそ無理に狙わない方が良い場合もあり、相手に合わせて戦法を使い分ける戦略性も兼ね備えている。
      • サイトアウトのモーションも各キャラクターごとにまったく異なり、違うキャラクターでサイトアウトを狙うと攻撃に引っかからず決められるというケースもある。
    • 戦闘中の操作キャラクター変更、作戦によるCPUキャラの行動方針切り替えといったシリーズ恒例のシステムはもちろんの事、装備に加えてスキル(必殺技と特性)も変更出来る「セットアップ」や、過去作では『1』のみの要素だった「戦闘中のメンバー入れ替え」も可能にしている。
      • 装備だけでなくスキルまでもが戦闘中に付け替えできるようになったことにより、状況に合わせて多彩なキャラやスキルを使い分けて柔軟に戦えるようになった。
    • 戦闘結果にボーナスを付与するボードシステムも、「ボーナスボード1つでは効果が小さいが、同色のボードを並べるとボードが割れても半分は残る」「極端に弱い雑魚敵相手でもボードの獲得が出来る」など、『3』よりもマイルドな調整*7がされており使い勝手は良くなっている。
      • 『3』での「経験値3倍」「獲得フォル2倍」など(しかもこれらは両立する)と比べると、ボーナスの上げ幅はやや控えめ*8なものの、クリティカルを受けたりするだけで全壊する『3』とは違い安定して稼ぐ事が出来る。
    • 前作までは熟練度の関係で複数のキャラを操作キャラとして育てるには非常に手間がかかり、また、途中加入のキャラが熟練度ゼロの状態で加入するのが悩みの種だった。しかし本作では熟練度が廃止され、スキルや必殺技の強化に使うスキルポイントもレベルアップで手に入る個人のスキルポイント以外に、味方全員で共用するパーティSPも手に入る。そのため気軽に複数のキャラを使い込むことが出来るようになり、中盤以降に加入するキャラも即戦力として使う事ができる
    • 余談として、戦闘終了時には最後の敵にとどめを刺したキャラがアップとなり勝利台詞を言うが、レイミやミュリアの場合は妙に臀部や胸部を強調するようなカメラアングルが取られ、別の意味で好評。

BGM

  • 音楽もトライエース作品おなじみの桜庭統氏の仕事だけあってなかなかに良質。
    • 特に戦闘曲はかなりの高評価。また、惑星ロークでは『1』と、EnIIでは『2』と言った過去作にゆかりのある星では使用されたBGMのアレンジもある。

シリーズ恒例要素

  • アイテムクリエーション、プライベートアクションと言った要素は今作でも勿論健在。「船内・フィールドや街中で発生するもの」「ストーリー上で行われるワープ移動中に発生するもの」「特定キャラのエンディング開放に必要なもの」など、PAの発生パターンや種類も多い。
    • 特にプライベートアクションの大半はカルナス船内で行われると言う本作独自の試みが行われ、文字通りプライベートに密着したイベントが展開されると言う驚きの仕様である。
      • その船内でのプライベートアクションもかなり力の入った作り込みであり、シャワールームに入ろうとしたエッジが既に使用済みだったレイミと遭遇し、覗き魔と間違えられる展開はファンの間で語り草となっている。また、カルナスの住居空間も徹底した作り込みが成されており、前述の通りシャワールームや各メンバーが就寝する為のベッドやたまにバッカスが用を足しているトイレ等他のRPGには無い独自の生活感がある。
    • アイテムクリエーションは前作にあった競争相手や特許申請といった部分は削られ、仲間内でレシピを開発し、レシピに書かれている素材を消費してアイテムを制作するようになった。ランダム要素の強かった旧作、システムが複雑化した前作の良いところ取りのような内容となっている。

やりこみ要素

  • ショップや一般人から依頼を請ける「クエスト」や、武器や宇宙船の情報を入手する・戦闘中に特定の条件を満たすなどして収集する「コレクション」、タイマン・チーム戦・チームでの10連戦という3つのモードで戦えるシリーズお馴染みの「闘技場」など、やりこみ要素が多数用意されている。
    • コレクションの達成状況はゲーマープロフィール(PS3版/リマスター版ではシステムデータ)に記録されるため、異なるセーブデータ間で達成状況を共有可能。
    • シリーズ初のモンスター図鑑「モンスターコレクション」も完備。撃破するごとに解析率が上がっていき、解析率100%のモンスターはアクセサリーの「モンスタージュエル」に宿す事が可能になり、ステータス強化にも役立つ。かなりの数を撃破しないと100%に出来ないのがネックだが、共有システムを活用して遊ぶ要素の一つとなっている。
  • クリア後の隠しダンジョンも勿論完備。2つの惑星に1つずつ設置されており、おなじみの凶悪な隠しボス「ガブリエ・セレスタ」「イセリア・クィーン」も撃破するたびに強くなる(初戦を含めると3段階)という新要素を引っさげつつ待ち構えている。
    • 尚、『1』の舞台のロークが登場する為か、今回の隠しダンジョンはいつもの「試練の洞窟」ではなく、『1』の隠しダンジョンだった「七星の洞窟」である。

グラフィック

  • キャラグラフィック以外はHD世代機として標準以上に評価できるレベル。
    • カルナスをはじめとするSF要素全開な造形の宇宙船、異常な速さの進化でエルダー以上の科学力を手に入れたカルディアノン人の要塞都市、惑星ロークの豊かな自然と多種多彩な動物など、様々な場所で見られるフィールド&オブジェクトの美しさは特筆に値する。

賛否両論点

  • シリーズ初のHDタイトルとなった恩恵で表現力が大幅に向上したが、いわゆる『宇宙戦記物』としての凄惨さが際立つ様になり人を選ぶ作風となっている。序盤こそ宇宙開拓に夢を抱く始まりとなっているが、徐々に宇宙開拓の現状が明かされると同時に理想と現実の挟間で苦しむエッジは見ていて心苦しい物となっており、特に中盤辺りで重い展開が続く事は非常に賛否両論を起こしている。
    • 一方でシリーズで最もセクシャルとコメディ要素に特化した一面もあり、仲間になるキャラはお世辞にも常識人とは言えないキャラが多く、特に女性陣(ネコ耳・ロリ・天然ボケなど等)は大変好みが分かれやすい。上記の重い展開が続く中でも一切ぶれないノリを貫くため、一種の清涼剤や笑える要素と受け止めれば問題ないが、合わない人には苦痛でしかない事は確かである。
      • ただしリルムに関してはローク以降のキーパーソンとなるフェイズと深い関わりを持ち、彼女の一族の出自が作中での大きな伏線となっているので一概に不要な存在とは言えないであろう。
    • 過去作品と違い全員強制的に仲間になるが、アクの強すぎるキャラのため賛否両論である。
      • 特に今回のパーティーの男女比率は3:5+1*9とシリーズでも最も女性側に偏った面子になっており、キャラの性格付けと共にやはり「狙った」意図は少なからずあったと思われる。
    • ただヒロインである幼馴染のレイミ、お色気あふれるお姉さんキャラであるミュリアは他の面々に比べアクが少なく人気はある。が、レイミはエッジに対しての独善的な気持ちが強くイベントでの言動が批判されることもある。
      • 一方で男性陣も負けず劣らずのアクの強さであり、エッジともう1人の主人公と言うべきフェイズも青臭さ故に神経質かつヒステリーな一面が強く、中盤に置いて大きな挫折感を味わって立ち直れなくなるので本作をプレイした人間からは受け付けずに批判が集まってる。ただし、エッジに関しては『2』の主人公のクロードに似た性根は真っ直ぐとした性格であり同時に女体に関心もある助平な一面が強い為、『エッチさん』の愛称で親しむ熱心なファンは存在する。
      • 仲間の一人であるバッカスも全身サイボーグの巨体の男と言う過去作には無かった本作独自のキャラ付けを持っており、頭脳明晰だが全身機械化してる故に思い込みが強く鈍感と言う何処かの歴史的CG映画に登場する宇宙レンジャー隊員を彷彿させる性格付けとなっている。また、彼もエッジ同様にとあるプライベートアクションで助平な一面を見せる。
    • アクの強さを具体的に表すと、リアルな造形に似合わないアニメチックなテンプレの萌え要素が強く、語尾がやたらと臭かったりと、これでもかと言わんばかりに詰め込んでいてとにかくどのキャラも濃ゆい。
    • 特に目立つのが上記のネコ耳(メリクル)・ロリ(リムル)・天然ボケ(サラ)の三人である。この三人に共通するのはとにかく空気を読まず自由過ぎることである。シリアスなシーンでも彼女らはゴーイングマイウェイを貫くので、シリアス路線で進んでいるはずシーンが台無しになっていることもしばしば。以下に詳細を記す。
+ メリクル・リムル・サラの特徴

【メリクル】

  • 語尾が「〇〇ミャ」
  • 性格面よりは見た目が批判されがち。特にネコ耳に違和感を持つ人が多い。
    • ただし、彼女の種族であるレッサーフェルプールは通常のフェルプールよりも猫の要素が強く出ており、ネコ耳もその一つ。また、ネコ耳(というよりもケモ耳)キャラはシリーズの伝統でもあるため賛否がわかれる所ではある。
    • しかしながら、『1』に登場した同じ種族のペリシーとは違い手足は猫化していない。「同じ種族でも個体ごとに猫要素の度合いが違う」という可能性もあるが、種族に関しての具体的な解説が存在しない以上、キャラ設定の矛盾とも取れてしまう。
  • 明るい性格のムードメーカーであるが、動き過ぎてムードブレイカーになっている節がある。一部のイベント以外では乗り物としての登場に留まるバーニィはともかく、仲間として加入するサラに対して食欲から涎を垂らす場面も。
  • 頭が若干残念。実際はちゃんと物事を考えていて、ナイーブな面も持つが、上記の言動ゆえにバカっぽさが強調されて気味である。扱いはちょうど『3』のスフレに近い。

【リムル】

  • 語尾が「〇〇なのよ(もしくは「なのよ~」)」
  • 各キャラクターのことをたんづけしたあだ名で呼ぶ(えーたん、ばっかたんなど。ただしフェイズは呼び捨て)
  • 過去の事件の影響により、6歳の時点で心身の成長が止まっている(実年齢は15才だが、小柄な種族であることを踏まえても明らかに小学生になるかどうかという外見)
    • 上記事件の影響で人格が少し死んでいるというキャラクター性。見た目のマネキン度も相まってもはや人形にしか見えないという人も出るほど。(ただし、あくまで抑揚や表情に乏しいだけなので、実際のキャラ描写は上記のように死んでいるどころかむしろ自由過ぎるほど動く)
  • しゃべり方も動きもたどたどしいが、戦闘中のサイトアウトやジャンプ操作では恐ろしく機敏な動作で前転するというかなり独特なスタイル。さらにサイトアウトで背後を取る時には軌道上の敵を弾き飛ばすというアグレッシブさを見せる。

【サラ】

  • 語尾が「〇〇ですぅ~」
    • 驚異のおっとり系メガネドジっ子。何もないところで転び、あろうことか眼鏡を落として、お決まりの「メガネ、メガネ」を惜しみなく披露する。
    • 背中に翼を持つフェザーフォルクだが一族で唯一飛べない。(ただし滑空程度は出来るほか、エンディングで彼女は飛べるようになる)
    • リムル同様しゃべり方がしつこく、終始ゆっくりなペースでしゃべり、世間知らずなことと相まってテンポが悪くなる要因となっていたりする。
    • また、仲間に加わる経緯が「ロークから離陸した後のタイミングでいつの間にかカルナスに搭乗しており、"一緒に居たら飛べるかもしれない" という理由でついていく」…とかなり強引で、その唐突な展開を批判される事も。
      • ロークにいる邪教祖を倒した後、一度別れる際に「さよなら」ではなくわざわざ「行ってきます」と告げるという伏線を残しているので、超展開というほどの物ではない。再加入時にその事をサラの側が指摘している辺り、スタッフの側も「いないはずの人間がついてくる」というよくある展開を狙っての事あることは間違いないだろう。この様にフォローを入れても強引さが拭えないのも事実だが。
    • 3人の中では特に不快に思っている人も多く「手羽先」などの蔑称で呼ばれることも。
      • ただ彼女の評価は「あるイベントで彼女が助かる一方で犠牲になった、癖のないストレートに可愛い少女」がPTメンバーになってほしかったという、プレイヤーの八つ当たりな面も大きい。

もちろん、この3人を気に入っているという人はいる。が、それでもキャラクター性を盛り過ぎなことは否めないだろう。


問題点

キャラクター面

  • 「マネキン」と称されるグラフィックがよく槍玉に上げられる。それでも去年に同社が開発した『インフィニット アンディスカバリー』と比較して改善している様ではあるが…。
    • 全体的に表情が硬く、声優の熱演に顔が殆どついていけていない。本作は、大人しいキャラとやかましいキャラの差がかなり極端なため猶更である。
    • 一応フェイズやミュリア、バッカスなどイラストの時点で目元が切れ長や小さめに描かれているキャラに関しては、3D化されても馴染んでいる感はある。
    • キャラグラフィックが不評な理由には、エナミ氏によるアニメ調の元絵とFFチーム製作のムービーとのギャップが大きいこともある。そのため、「元のキャラ絵の存在に囚われなければあまり悪くはない」との声もある。
  • 前作『3』では職人ギルドのナビゲーターとして登場したウェルチ・ビンヤードが再登場しているが、『3』では金髪ツインテールの少女だったのに対し、本作では紫髪・メガネ・ポニーテールと全く異なる外見になっており、かなりの不評。
    • 単純にデザインとしても、不美人ではないものの奇をてらい過ぎた感があり、可愛い女の子にも綺麗なお姉さんキャラにもなれていない。
    • 性格についても、『3』の「外面はいいが、自由奔放で腹黒い」キャラが評価されたことを受け、後者をより強調したという意図は理解できるのだが、結果として過剰にテンションの高いウザキャラになってしまっており、余計に別人感が増してしまっている。
      • 『3』ではその身勝手な部分がパーティとは関係ないギルドの身内に向いていたためギャグキャラとして面白く見られたのに対し、本作では矛先がパーティキャラに向いているため、一歩引いて見づらい。
      • 精神的に幼いリムルを煽ったりする*10ようなシーンもあるため、余計に印象が悪い。
    • ただし、スタッフが言うには同姓同名の別人とのこと。実際に以後の作品でウェルチがそれぞれ登場する際も、設定としてはそれぞれ別人となっている。
      • もっとも、本作の時点ではまだウェルチというキャラが定番化している訳ではなかったため、「だったら『3』のウェルチ本人を出せばいいのに」という指摘も多々見られた。
      • その後『1』『2』の各リメイク、『5』『アナムネシス』と各作品で定番的にウェルチは登場しているが、いずれも『3』の金髪ツインテ姿がベースとなっており、本作ベースのウェルチは再登場していない。上記の通り本作は女性キャラの性格付けが盛りすぎな傾向にあるが、特にウェルチについては完全に一線を越えてしまったことが窺える。

戦闘面

  • ターゲット選択の仕様が『3』とは違い、「キャラクターの視界に入っており、一番距離が近い敵を自動で選択する」という仕様で固定されているのだが、その仕様ゆえ他の敵をターゲットに選ぶのが非常に難しくなっている。
    • 例えば自分が敵に斬りかかっている状況で、その敵を味方に任せて自身の遠く後方にいるへとターゲットを移そうとする場合、後ろへ方向転換しても移動して近づいてもなかなかターゲットが切り替わらず、結局武器を振れば届くくらいの距離まで近づいてやっと切り替わる…というケースがままある。
    • これは、ターゲット選定に用いられるキャラクターの視界の幅が(公式攻略本によると)約20度というかなり幅の狭い設定になっている事に加え、視界の射程が7メートル程度という短さである点が原因と思われる。その結果、キャラクターの真正面に敵がいる状態をキープしつつ結構な距離まで接近しなければターゲット切り替えができないという、かなり不便な仕様となっている。
      • また、この視界の範囲は全キャラクター共通となる。接近戦が基本となる前衛キャラはともかく、射撃や紋章術で戦う中衛・後衛キャラだと、現在狙っている敵以外に遠距離攻撃を仕掛けたい場合、わざわざある程度の距離まで近づかなければならなくなる。特に射撃キャラ(レイミ、バッカス)の場合、射程無限のジャンプ攻撃という手段を持ちながら、狙い撃つ敵を変えるために接近が必要という本末転倒な事態に。
    • この元々の視界の狭さに加えてターゲットロック機能が存在するので、裏を返せば「集団戦で攻撃対象が頻繁に入れ替わるといった事象が起こりにくい」とも言えるが、特に複数のザコとの戦闘では煩わしさを覚える事もしばしば。
  • キャラクターにステータス強化や特性をもたらす「BEAT」であるが、BEAT SとBEAT Bの格差が割と大きい。
    • BEAT Sはサイトアウトの性能を強化する特性を習得していくのだが、サイトアウトはそのシステム上プレイヤーの操作キャラしか使う事が出来ない。そのため、BEAT Sに設定したキャラを操作しない場合はその特性がまるまる無駄になるという状態に。一方で、CPU操作キャラはゲージが満タンになり次第ラッシュモードを発動するので、BEAT Bの特性が腐ることはまずない。
    • ステータス強化の面で活路を見出そうにも、BEAT Sでの最大強化時の増加量がATK・INTが100増える+α程度なのに対し、BEAT BではDEFが100増えるほか最大HPが20%も増加するという優遇っぷり。中盤辺りまでは100というステータスの差は十分に機能するのだが、流石にストーリー終盤やクリア後の隠しダンジョン辺りともなると、100程度のATK・INTの補正はほぼ目立たなくなる。
      • BEAT Sとサイトアウトの名誉のためにフォローすると、BEAT Sではランクが上がるごとにサイトオフ状態の敵へのダメージが増加し、クリティカルとの相乗効果でさらにダメージが大きくなるので、サイトアウト込みでの火力は十分に高い。つまり、プレイヤーの直接操作がないと真価が発揮出来ないというコンセプトであり、決して「BEAT Sは弱い」ないしは「サイトアウトは役に立たない」という話ではない。
    • こうして見ると、ステータス面でもシステム面でもBEAT Bに水をあけられているという状態になっている。戦闘では自操作キャラよりCPUが操作する味方の方が多いという仕様の下では、それこそ「キャラ全員をBEAT Bに設定する」「自分で操作をするキャラだけをBEAT Sにして操作キャラの変更をしない」位の体制で臨まない限り、BEATシステムの恩恵を最大限に受ける事は難しいだろう。

シナリオ面

  • シナリオは純粋に完成度が低いという類で、ご都合主義、超展開が非常に目立つ内容である。よく言えば古典的王道SFストーリー、悪く言えば古臭く、ひと昔前のSF映画。
    • キャラクターとともに批判される向きが多いが、「宇宙を舞台にした古典的SF」が好きな人にとっては一定の評価は得ているため必ずしも悪いものではない。が、あまりにもストレートなうえ工夫が少ないため、甘さや粗さが目立つ。
    • ストーリーの概要は「滅びかけている地球を救うため、宇宙開拓をしつつ移住可能な星を見つけること」これ自体は大きな問題はないが、それを受けての具体的な目標と言うべきものがあまり存在しないところに問題があり、「ただ地球を救うため」だけに宇宙を放浪するので、プレイヤーは中盤まで何のために冒険しているのかがよくわからない状況に陥ってしまう。
    • 実際、序盤から中盤までのストーリーの展開は基本的に、ある惑星を目指す→予定通り惑星に到着or不慮の事故に巻き込まれ墜落→不時着した惑星で現地のトラブルに巻き込まれる→とりあえずそのトラブルを解決しつつ惑星からの脱出を図る……という流れの繰り返しである。
      • このストーリー回し自体は問題ないが、これを何度も繰り返すことに問題があり、どうしても冗漫で変化に乏しい展開になってしまっている。
  • 本作のストーリーで最も粗が多いエピソードに、「異次元の地球」(攻略本や後作では「アナザーアース」と呼ばれる)におけるものがある。
    このエピソードは後述する「全部!全部!全部!」のエピソードに繋がることもあり、全域にわたってご都合主義の連続でありキャラクター描写の問題点も山積みである。簡単に流れを説明すると…
    • ある惑星から脱出後、再び宇宙を放浪するエッジ(主人公)達であったが、ブラックホールという名の次元断層に巻き込まれ過去の地球に飛ばされる。
    • そしてエッジ達が偶然訪れた場所はかのエリア51をモデルとした、宇宙人を含めた様々な宇宙研究が極秘裏に行われている場所であり、そこでは反物質の研究も行われていた。
    • 紆余曲折を経てエッジ達はそこの研究員に捕まってしまう。そして宇宙船のエンジンにも使われている反物質を技術供与して欲しいと頼まれる。
    • 迷うエッジだったが、結局反物質を渡すことを了承する。が、実は彼らが研究していた反物質炉は未完成の代物であり、反物質を制御できなかった炉は暴走をはじめ爆発してしまう。
    • 命からがら脱出するエッジ達であったが、彼はその瞬間に見てしまう「地球が光に包まれ爆発して消えていくさまを……」
+ 以下、アナザーアースでの具体的な問題点を上げる。
  • のっけから「ブラックホールに飲みこまれたが運よくワープする」という都合のよさ。これ自体はSFによくある描写なのだが、上述した、事故→墜落→トラブルに巻き込まれるのパターンを再び繰り返しており、どうしても都合の良いストーリー回しに感じてしまう。
  • 手始めにエッジは数人を連れて周辺探索に向かうのだが、その隙に乗り込んだ兵士によってレイミを研究所に連れていかれるという失態を演じてしまう。救出方法に困る中、関係者を名乗る博士が突然後ろから登場し、上記にもある猫耳キャラの「メリクル」を研究所に潜入して捜索してほしいと依頼する。レイミ救出と利害が一致したことから協力体制を組み、まずは博士に捕まったふりをして研究所に潜入する。
    • 予定通り博士が全ての牢屋の扉を開放し、エッジ達は捜索を開始する。のだが、危険な実験生物までもが解放されたために所内が大パニックに陥ってしまう。一応その状況でもメリクル救出には成功するのだが、実験生物に殺される寸前での救出であったことから、計画によってメリクルにも危険が及ぶことは考慮しなかったのかと思わずにはいられない。
    • 結局、最終的には兵士が出口付近で大勢待ち伏せしていたため本当に捕まってしまうことに。なおレイミは特別待遇で扱っているとのことで一安心…と思いきや、なぜか全裸に毛布1枚という格好で寝かされていた。
  • エッジ達を捕まえた研究所員たちは何故か唐突に訪れたはずのエッジ達のことをすぐさま未来人と見抜いている。一応、先んじて捉えたヒロインを素っ裸にしたうえで色々調べた結果らしいのだが、それにしたって察しが良すぎる。
  • そんなエッジ達に対してすぐさまカルナスの制御コアとなる結晶を提供してほしいというムチャを要求する。ただし、捕まえて強引に渡せと迫ったのではなく、あくまで丁寧に理屈立てて説得している。が、その後の展開を見ればわかるが、実際には断られたとしても強引に奪ったであろうことは予測がつく。しかしこの、なまじエッジに選択という形を突きつけたことが後に彼を苦しめることになる。
    • 上の要求をされたエッジがある程度は悩むもなんやかんやでほぼ即決し、結晶を渡してしまうという決断を下す。色々とツッコみたくなるが、これにはそれ相応の理由がある。そもそもエッジ達が宇宙開拓をしているのは、第三次世界大戦が起こったせいで地球が崩壊に追い込まれたからである。しかもそれを引き起こした間接的な原因は世界的なエネルギー問題だったのだ。
    • 研究所員はエッジを説得する際、「世界的なエネルギー問題を解決し、世界が平和になる」といったあまりにもピンポイントな説得をしたため、元々前向きな思考を持つエッジは「たとえ様々な問題を抱えたとしても未来の地球が救われるかもしれないなら……」と思ってしまったのである。しかしそれにしたってほぼ即決するには違和感がある。自分達のいた地球に戻れなくても救いたいという姿勢は分からなくもないが、もう少し時間を置いてから決断してもよかったのではなかろうか。
    • さらに言うと、フタを開けてみれば反物質炉などちゃんちゃらおかしい未完成品だったのだが、事前にちゃんとした炉が出来ているのかの確認を怠ったうえでの決断である。
  • 案の定炉が暴走を始めて脱出を図るのだが、当然宇宙船を動かす結晶を渡してしまっているので飛び立てない状況になる。が、ここでまたも都合よく、この章で参加するメリクルが持っていたペンダントが、実は今までの物よりさらに高集積な結晶であるということが唐突に判明し、それを使ってあっさり脱出してしまう。
    • 一応フォローしておくと、このペンダントはメリクルが研究所に捕まっている際に、面倒を見てくれた博士から「宇宙に帰るためのお守りだ、きっと役に立つときが来るはず」と言って事前に渡されていたものなので、脱出出来ないとゴタゴタしている際にペンダントを渡された時の事を思い出す…という流れは筋が通っている。しかしながら、エッジたちの時代にすらない代物を20世紀半ばの時代に生きる人間が持っているのは不自然なのも否めない。
    • メリクルの話では「偶然とはいえ宇宙船に乗ってしまい、その宇宙船が事故で崩壊する直前に脱出ポッドに押し込まれ、ポッドがアナザーアースに墜落してしまう」という経緯で捕まっており、メニュー画面から閲覧できる辞書でもポッドから博士が回収したものと判明する。
    • しかし、本編でのメリクル本人が本作の時代の人間にしては違和感のある反応*11をし、その理由はゲームをある程度進めて辞書で閲覧出来る彼女の項目で判明するのだが、それが「彼女(そして乗っていた宇宙船)が本作から200年先の時代からブラックホールに飲まれてやってきた存在だった」というもの。またタイムワープか。
  • 脱出する直前には博士が見送りに来てくれるのだが、その前にエッジ達の協力者という事がばれてしまっており、兵士に暴行されまともに動けない状況だったにもかかわらず、何事もなかったかのようにぴんぴんしている。
    • この段階でも危険な実験生物は多数徘徊している状況であるのだが、そんな状況でも一人でここまで無事にこれた理由については一切説明も描写もされない。
    • またこの博士は過去に反物質の研究に協力してしまったことを悔やんでおり、それに対するけじめとして脱出せず残ることを告げる。メリクルにとっては親代わりともいえる博士との唐突な別れであり、後味も悪い。
  • 極めつきは、混乱のなか命からがら脱出を果たすのだが、座標指定も何も行っていない(そもそも元の時代に戻れるかもわからない)状況で都合よく元の時代の、元の空間に戻ってくることである。一応、「地球消滅時の余波に押しやられる形で元の時間に帰れた」と予測を立てて説明しているが、端的に言えば「偶然起こったブラックホールや星の爆発で時間+αを行き来した」というあまりにご都合主義な話である。
    • この「地球消滅時の影響で元の場所に戻ってくる」という流れを逆説的に考えた場合、「そもそも地球の消滅が起こらなかったらエッジたちは戻れないままだったのでは?」ということにもなってしまい、メタ的な視点で言えばエッジたちを元の世界に戻すために地球を消滅させたとも取れる展開になってしまっていることから、そういった意味でも今作でも特に批判の強い部分である。
    • その上で後述する「全部!全部!全部!」のイベントが繰り広げられる。
  • このアナザーアースでのエピソードは内容の鬱さもあって、かなり批判されるものとなっている。しかし、このエピソードの根幹は作品そのもののテーマも如実に表している。それは「進化とは何か、急激な進化がもたらすものとは何か」そして「未開文明に不用意に接触することがいかに危険か」である。
    • この作品のエンディングはSOシリーズでも象徴的な「未開惑星保護条約」が締結されて終幕を迎えるというものである。また全体のストーリーの流れも進化や文明の発展についてのエピソードが語られる。
    • 従来作では、未開惑星保護条約は「これは条約違反だ」→「そんな事を言っている場合じゃない!」と言う感じの足枷的な役割しか無く、その上それを破った主人公達に何らペナルティが課せられる事も無いなど、ほぼ形骸化していた。
      • それどころか『1』のローク、『2』のエクスペル共にその影響で文明を急進化させてしまう*12のだが、その危険性やデメリットに関しては全くと言って良いほど描写されず、寧ろ「条約に囚われてはいけない」と言うかの如く、破る事が正解のような描かれ方をされていた。
      • 今回のシナリオは、「この条約が何故存在するのか?」という疑問への答えとしてその意味と重要性に踏み込み、これまでのシリーズで結果的に良い方向にのみ進んで来た主人公達の行動の危険性を改めて問う内容と言える。
    • それらのことを考えたとき、このアナザーアースでのエピソードは一概に批判されるべきものではなく、むしろシリーズ作品として描くべき必要性のあるものであったことがわかる。
    • しかしながら、話の展開、演出・脚本、そしてキャラクターのチープさなど全編にわたってあまりにも拙い部分が多いため、ツッコみ待ちの電波エピソードとして語られても仕方がない面があるのもまた事実。「時間や次元を(不可抗力で)跳び越える」という要素を入れず、素直に「現在の時間軸にある惑星」を舞台にすれば綺麗にまとまった可能性もあるだけに、スタッフにこの「先進惑星の干渉による破滅」というエピソードをしっかり描き切る力がなかったのが悔やまれるところである。
  • さらなる追い打ちをかけるのがこのイベントの後、主人公のエッジがショックを受けふさぎ込んでしまい、バトルで勝利してもレベルアップでも全く喋らなくなってしまう。もちろん後に立ち直ってくれるが、そこまでが割と長い。
    • イベントシーンでも仲間が会話している際に一人だけ明後日の方向を見て陰鬱な表情をしている事も多く、加えて干渉したくないという思いが強くなりすぎているゆえに情報提供者に対して失礼な態度をとるシーンすらあり、ただでさえ超展開なストーリーを見せつけられたあげくいつまでも陰鬱な気分を引っ張り続けるエッジに嫌気がさし、彼が嫌いになったプレイヤーも多い。
    • これはSO3で主人公がショックを受けた後もバトルのあとでは平然と楽しそうにしている…という批判があったからとも言われるが、もう少しなんとかならなかったのだろうか。
  • また全体的な演出・脚本について簡単に言うと、いわゆる「昭和のノリ」が目立つ。
    • 例えば敵要塞のトラクタービームに捕まりカルナスがドック内に拘束された際の「お招きにあずかったと考えようよ、前向きにね」といった臭いセリフや、やたらと「仲間」という言葉を使いたがる主人公の熱いノリ、主人公がヒロインの額をこづくラブコメめいたやり取り等、とにかく古臭い演出が多い。
    • イベント中のモーションが全体的にバタくさく落ち着きがない、メリクルがギャグパートで何処からか取り出したナイフとフォークを持って走り回る、嫌われ役の上官は歯に衣着せぬ言動と保身に走る悪辣さを見せ、死ぬ瞬間まで徹底的に嫌な奴として描かれるなど、昭和のアニメ的な描写が多い。
    • 勿論、好きな人は好きな部類なので、必ずしも問題点と言う訳ではないが、万人受けするとは言えないのも確かだろう。
  • その昭和的ノリを抜きにしても、微妙な演出や設定が多い。
    • カルディアノン人というとある異星人がモンスター化(リザードマンや竜人など)する場面があるが、それら一連の惨状を捉えた映像を見た主人公のセリフが「カルディアノン人はトカゲ人間に変貌し、殺し合いが起きた――」である。トカゲ人間という言葉のチョイスはおおよそ2009年に出たとは思えないセンスである。
      • もっと根本的な事を指摘すると、カルディアノン人は爬虫類を祖として進化した異星人で、簡単に言ってしまえばモンスター化する前の時点で「トカゲ人間」なのである。元々トカゲ人間である種族が変異したモンスターを指して「トカゲ人間」と呼ぶのには違和感を禁じえない。
    • さらに、アナザーアースが消滅する様子を見た主人公のエッジが「全部! 全部! 全部!」と発狂するイベントは、その言動と演出のシュールさからAAまで作られるようになった。
+ AA(画像版)
+ AA(テキスト版)
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       ┗(^o^ )┛<亜空間に飲まれる寸前に見たよ……
          \\   歪んだ地球が……光の中に消える瞬間を……
              ミ  たったの一瞬で消滅したんだよな……あんなにも簡単に……
                   それを引き起こしたのは僕なんだ……! 気休めはよしてくれ!
                  .        _ ,.... -‐‐
                      ,...- ' ゙゙
                   , '´ヽ ヽ    _/
                 /   j´  `'ー、_ j
                /  /`´      !ノ
              /  '!.j
             ,!'   `

そうさ……全部消えちゃったんだよ!>\(^o^)/<地球は消滅した! 何一つ残らず!



<(^o^)> 全部!
 ( )
//

<(^o^)>  全部!
 ( )
 \\

..三   <(^o^)> 全部!
 三    ( )
三    //


.    <(^o^)>   三 全部! 全部! 全部だ!
     ( )    三
      \\   三
  • また、AAを見れば分かる通り、「地球は消滅した!」と叫びながら両手を上げる、「全部!全部!全部だ!」と叫び上体ごと振りかぶりながら机を叩くといった過剰すぎる演出が逆にシュールさを際立たせている。
  • このシーン、本来ならばシュールさとは無縁の悲劇的なシーンなのであるが、ストーリーの部分でも詳しく書いた通り、あまりにも急展開・超展開、電波シナリオなためプレイヤーを完全に置いてけぼりにしてしまっている。そのため上の過剰演出と相まってシュールさを感じさせるシーンと化してしまっているのである。
  • ちなみに、この「全部だ!」の扱われ方はトライエース側も認知しているようで、7年後に発売された『5』の「エモーション」というスキル*13の中に「ゼンブ、ゼンブダ!」という名前で存在していたり、スマホアプリ「スターオーシャン:アナムネシス」公式サイトで提供されているエッジのTwitterアイコン「全部だ」と叫びながら号泣しているものというチョイスとなっているなど、半ば公式自虐ネタに近い使い方をされている。
  • ほかにも、上記アナザーアース編の説明でさらりと述べたが、アナザーアースの基地内で先に捕まっていたレイミが何の脈絡もなく全裸に毛布を掛けた状態で眠らされているというかなり際どい一幕も。全裸にされた施設が施設なので、アナザーアース編でのレイミを描いた薄い本も実際に何冊か存在する。
    • 冷静に考えれば*14*15服を脱がされた以上の事はされていないだろうし、基地の責任者である軍人も「危害は加えていないが、リラックスして話を聞かせてもらった*16」と説明している。レイミ発見時の一連の流れを好意的に受け止めれば、「頑丈な密室の扉をロックするのを妨害されないように、エッジたちをレイミに釘付けにして隙を作るため」という解釈は可能である。
      しかし、それならそれで部屋の隅に縛り付けて放置しておくだけでも十分なはずなので、全裸にしておくという方法そのものに違和感が生じるのは避けられない。
    • 公式攻略本収録のインタビューによると、そのイベント中の台詞「エッジのエッチ!」は脚本の時点で言葉遊びとして入れられていたとのこと。だが、前述のように何もされてないという前提で考えると、その言葉遊びをするために全裸放置という流れを作ったことになる。
      そんな事を理由に全裸をぶち込むくらいなら、もっと自然な流れの脚本にしてほしいものである。入れるにしても理由付けや説明をゲーム内でしっかりとしておき、上記のような性暴力に結び付けないための考察や解釈をわざわざ要するような事態は避けるべきだっただろう。
  • エッジとレイミ、そしてもう一人の幼馴染であるクロウの素性に関する設定が前作の主人公フェイトとヒロイン2人とやや被っている。フェイト達のそれに比べるとストーリー上の必然性も薄く、前作プレイヤーからすれば劣化フェイト達という印象が拭いきれない。オマージュのつもりなのかもしれないが、何もすぐ1つ前の作品と似せなくても…。
  • 総じて本作のシナリオは粗が目立ち、そこに目を瞑ったとしても各種キャラクター描写を筆頭に人を選ぶ出来となっている。4作目にしてようやく「スターオーシャン」のタイトルに適ったSF展開を実現したり、過去作では半ば目を逸らされていた暗部に焦点を当てる、などと言った意欲は感じられるものの、やはり本作のストーリーを楽しめるかどうかはプレイヤーの好みによるだろう。
    • ちなみに本作のシナリオ原案はSOシリーズ生みの親で過去作を手掛けた五反田義治氏ではなく、シリーズのゲームデザインを担当してきた則本真樹氏である。その為か旧作との作風のギャップも大きく、上記の評価に少なからず影響していると思われる。
      • 過去には『テイルズ オブ ファンタジア*17や『ヴァルキリープロファイル』のシナリオで高評価を得た人物であるものの、氏の作風がスターオーシャンの雰囲気に合わなかったのか、実際のシナリオが原案から大きく改変されたのかは不明だが、今回はこのような結果となっている。
    • 五反田氏が手掛けた過去作のシナリオも『3』は賛否の嵐を呼んだ上、『1』『2』に関しても決して完成度が高いとは言えなかったが、基本的に万人受けしやすい王道ストーリーであり、あまり好みが分かれるようなものではなかった。また、世界観やキャラクターの面では人気を集めていたのも確かである。

キャラクターバランス面

  • そこまで強烈な格差があるわけではないが、パーティメンバー内での性能格差も見受けられる。
    • レイミやエイルマットは万能で強力。
    • 一方、主人公のエッジは全面的に火力が物足りず、終始苦労する。
      • 加えて裏ダンジョンでもらえるバトルスキルが非常にガッカリ性能。いわゆる乱舞技となるのだが、予備動作は短いものの技を出し切るまで拘束時間が非常に長く、攻撃範囲も広くはないので他の敵の妨害を受けやすい。
    • リムルは専用必殺技が全て火属性のため、後半に耐性持ちが出てくると他の呪文キャラの劣化になりがち。
    • またフェイズはおまけのような存在で、剣士キャラでありながらまともな必殺技が存在しない。

その他

  • フェイズに関する仕様
    • パーティメンバーの1人、フェイズは物語中盤で永久離脱し、入れ替わりでエイルマットが加入する。2周目以降はフェイズを残存させる事が可能だが、その場合はエイルマットが仲間にならない。
      • フェイズを残存させてもストーリーは変化せず、ムービーには通常通りエイルマットが登場し、フェイズはパーティにいない事になっている。空気を通り越して最早幽霊である。
      • 当然、仲間にしなかった方はその周では育てる事ができず、プライベートアクションも、後述のアーツコレクションも達成不可能。また、アイテムクリエーションも各キャラ限定のアイテムが存在するので、コンプする場合は注意が必要。
        クリア後を含め1周のプレイ時間が余裕で100時間を越える本作では大問題である。いてもいなくても一緒なら二者択一にする必要なかったのでは・・・。
      • また離脱が前提だからか、フェイズの技などは他のキャラと比べて半分程度しかなく、キャラ性能もすこぶる悪い*18。本当にフェイズファン向けのオマケ要素のようなものである。
  • 実績/トロフィーの解放条件がかなり鬼畜。全解放の難易度は、これらのシステムがあるゲームではトップクラスである。大半はアーツコレクションとアイテムクリエイションのコンプ率に関するもので、どちらも100%にする必要がある。
    • アーツコレクションとは実績に似たシステムで、ゾロ目ダメージを出す、足技だけで勝利、といった項目がキャラクター毎に100ずつ用意されており、それらを達成していくことでバトルボイスのバリエーション増加、レベル上限アップなどのボーナスを得られるというもの。中には連続4時間戦闘、隠しボスを短時間撃破といった無茶振りも。実績/トロフィーを狙うならこれらを100×9キャラコンプしなければならない。最低でも隠しダンジョン含め2周やり込む必要がある。所要プレイ時間は100~200時間以上。
      • 要は前作のバトルコレクションのようなものだが、バトル中の行動累積が次週に引き継がれないため計画性と反復苦行が求められる。
      • レベル条件解放はガチのやり込み向けなので、EDを観るだけなら不要。
      • 根気よくこなせば何時かは達成できるものばかりではあるが、作業量が尋常ではない。
  • 快適さを大きく損なう仕様の数々。
    • セーブポイントがかなり少ない。そのくせにマップは無駄に広い。
      • 特に、隠しダンジョンの1つ「ワンダリングダンジョン」は、早くとも攻略に5時間近くは掛かるのに、完全ノーセーブで一度脱出するとまた最初からという超絶鬼畜仕様である。
    • 基地や家といった、ダンジョン以外の屋内マップに入ると強制的に歩き移動になる。特に序盤の拠点となる開拓基地が広いため、基地内を移動するだけで時間がかかる。
    • アイテムクリエーションが宇宙船カルナスでしか出来ないのはまだいいが、レムリックとロークではカルナス着地地点から最寄りの街まで遠い*19うえに高速移動のシステムが無く、クエストやアイテム採取での往復に不便する。
      • 本作でも移動手段としてローク限定でバーニィが登場するが、移動速度はエッジのダッシュよりも明らかに遅い。砂漠の流砂を抜けるのに必須の存在ではあるが、シナリオを進めると受けられるクエストをこなすとその流砂も消滅する。そのため、該当クエスト達成後は移動手段としての存在意義がほぼ完全になくなる
    • マップデータが1枚のディスクに纏まっておらず、星を移動するたびにディスク交換が必要となる。*20
      • 最終盤では拠点となる宇宙船カルナスがディスク3(ラスダンとその1つ前の星しかないディスク)の場所に固定され、素材集めやサブイベントで他の惑星に行くたびにディスクを交換させられる。更に2つある隠しダンジョンのうち1つはディスク2にあり、これまたカルナスとの往復のたびにディスク交換させられる。
      • ディスク交換のタイミングも微妙で、特にディスク1→2への交換は惑星ロークのフィールドを移動中にイベントなどを挟まず突然要求される。
      • 本作の終盤~クリア後はレベルよりも装備性能に依存したバランスな為、育成・やり込みには装備の作り込みが避けられないにもかかわらず、このディスク交換強制という仕様はあまりにも不便である。
      • レアアイテム採集→アイテムクリエイション→レアアイテム採集…を容易にさせないための嫌がらせととれなくもない*21
      • この問題はDVDから本体ハードディスクにインストールしても解消されない。
      • 2019年6月にOneの下位互換に対応し、現在はダウンロード版か互換機能でのプレイならディスク入れ替えの煩わしさから解放されている。
    • メニューのキーレスポンスが悪い。フィールドや街中でボタンを押してからメニューが表示されるまで、数秒間待たされることもある。
    • ムービーが非常に長い。特にラストダンジョン手前のムービーイベントは約1時間と恐ろしく長く、イベントスキップも3回に分けられているほど。仲間との感情度で俗物な上官の断末魔が変化するという無駄に凝ったギミックを仕込んだりしているが、もう少しコンパクトにまとめる事は出来なかったのだろうか。
      • Xbox360の仕様でコントローラーの接続が切れるとムービーが止まってしまうため、ムービー鑑賞中もちまちまボタン入力しなければならない。
      • さらにエンディングもめちゃくちゃ長く1時間を超える。図鑑データコンプのためにはラスボスを何度も倒す必要があるが、そのたびにエンディングを最後まで見なければならず1日がかりになる。
    • スキップメニューにも問題がある。多くのゲームではスキップメニューはポーズを兼ねているが、本作のそれではポーズがかからないため任意でムービーを止めてトイレに行くことが出来ない。
    • 宝箱やセーブポイントでの判定に問題があり、うまく立ち位置を調整しないと反応しない。

総評

単体で見ればそれほど悪くなく、進化する点はしっかり進化しており、特にバトル面の評価は高い。
豊富かつやりがいのあるやり込み要素や楽曲含む優れた音響面など、「スターオーシャン」というシリーズで押さえるべきポイントもしっかり押さえている。

しかし、ストーリーの粗にマネキンのようなポリゴン、不便を強いる仕様等々無視し難い点が多い。
加えて、まがりなりにもコアなファンを持つ人気シリーズの久しぶりの新作であった為に問題点の方が強く目立ってしまった。
特にシナリオは、見所こそあるものの粗が多い上に人を選び、元々ストーリー面の評価が高いとは言えなかったSOシリーズにおいても特に批判されるものとなっている。
一部では、超展開が多くトンデモストーリーとも揶揄される『3』の後に出されたせいで、評価が低めな傾向にあるとも言われている。

しかし、皮肉にも次回作『5』の低評価により、発売からかなり月日が流れた後で本作が再評価され始めた。
それ相応のスペックは秘めた作品ということだろう。


余談

  • パッケージを見れば分かる通り、ロゴ自体は前作同様「ナンバリング無しの英語タイトルの下にナンバリング付き日本語タイトルを併記」という形。
    • 『3』以降はこれがシリーズの基本スタイルとなっているが、その原型たる『3』以外はナンバリングも正式名称に含めている。
    • ちなみに日本語タイトル表記の無い海外版はいずれもナンバリングが無く、本作も『STAR OCEAN -THE LAST HOPE-』である。
  • 後述するPS3版の影響や、上記の欠点からか中古品が溢れてしまい、『テイルズ オブ ヴェスペリア』と並んで360コーナーでは値崩れを起こしている。
  • 『5』発売の際のインタビューにて、五反田氏を始めとする主要スタッフは本作発売当時を「海外を意識していたと言うか、ゲーム業界全体がそういう風潮だった(意訳)」と語っており、本作の反省点として挙げている。
  • 本作発売より7年後、次回作となる『スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-』が発売された。
    • 本作の反省点を生かし、原点回帰しつつシリーズ集大成を目指した作品であると、インタビューでは語られていた。しかし確かに本作より改善されている点はあるのだが、それ以上に改悪点、微妙な新要素、使い回しが多く、逆にシリーズ最低と評されるほどであった。
    • そして前述の通り、それによって前作『3』と本作が再評価される流れもまた生まれていった。
    • その続編となる『スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE』では、本作の主人公の子孫と思しき存在である「ルカ・マーベリック」が登場。声優もエッジと同じく岸尾氏が担当している。
  • 本作のストーリーで、良くも悪くも最も印象に残る「アナザーアース」については、スマホアプリ『スターオーシャン:アナムネシス』にてその後の経緯が述べられている。
    • アナザーアースは消滅したのではなく、2つの結晶が引き起こした時空断裂によって メインキャラクターのいる元の世界(アナザーアース側から見た異世界)の宇宙に転移された ということが明らかになっている。

スターオーシャン4 -THE LAST HOPE- インターナショナル

【すたーおーしゃんふぉー ざ らすと ほーぷ いんたーなしょなる】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション3
メディア BD-ROM 1枚
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トライエース
発売日 2010年2月4日
定価 8,190円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン 恋愛、犯罪、暴力、セクシャル、言葉・その他
廉価版 アルティメットヒッツ:2011年4月21日/3,800円
判定 なし
ポイント 若干の改善あり
音声言語の切り替えが可能に

概要(PS3版)

『4』から約1年後に発売された完全版。
『3』のときは同機種で「ディレクターズカット版」として発売されたが、今作では原作と異なるPS3でのみ発売された。
タイトルは『インターナショナル』となっているが、同社の『FF』や『KH』シリーズのインターナショナル版と異なり、いつでもボイスを日本語と英語に切り替え可能になっている。


主な変更点

  • 無印で不満とされていた点が一部改善されている。
    • BD1枚となったためディスク入れ替えをする必要がなくなり、快適性が上がった。
    • メニュー画面をリニューアル。
      • 見た目は無印の北米版と同じ?
    • ステータス画面のキャラ絵は3DCGに切り替え可能。
    • バトルターゲット変更機能追加、セレクトボタンで一発変更可能。
    • 宝箱の判定の改善。
    • 戦闘時の黒枠がなくなった。
      • また戦闘開始の時の演出も短くなっている。
    • ICにおいて受注されたアイテムを作成する場合、いくつ要求されているか表示するページが追加。
    • 室内に入った際強制で歩きにならなくなった。
  • 戦闘バランスも一部調整されている。
    • 無印でチート級の性能を持ったキャラの技の弱化*22や、弱キャラの武器の性能上昇があげられる。
  • その他、色々な部分で若干の変更点や改良点あり。
  • トロフィーまとめWikiで最高難易度の1つとして挙げられるほど、プラチナトロフィーの難易度は高い。

総評(PS3版)

システム関係で抱えていた問題の多くが改善され、360版に比べて遊びやすさは大きく向上している。

ただ、シナリオやキャラモデリングへの変更はなかった為、結局評価を大きく覆すには至らなかった。
先行した無印の評価が微妙だったことや、目玉となりうる大きな追加要素がなかったこともあり、360からPS3への移植にしては珍しく売上本数が無印に届かなかった。
(WiiからPS3/PSPではあるが『428』等、前例がないわけではない)


スターオーシャン4 -THE LAST HOPE- 4K & Full HD Remaster

【すたーおーしゃんふぉー ざ らすと ほーぷ よんけー あんど ふる えいちでぃー りますたー】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション4
Windows 7~10
メディア ダウンロード専売
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トライエース
発売日 2017年11月28日
定価 2,800円(税抜)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン 恋愛、犯罪、暴力、セクシャル、言葉・その他
判定 なし
ポイント 高精細化したグラフィック
ゲーム内容に違いはなし

概要(リマスター)

PS3版を元にしたリマスター版。グラフィック関係のオプションが追加され、環境によってはより高精細な画面で楽しめるようになった。
1年半後に販売された『1』のリマスター版と合わせ、PS4一台でナンバリングタイトル全てがプレイ可能になった。PC版はこれが初移植となる。


主な変更点・評価点(リマスター)

  • PS3版のHD(720p)からフルHD(1080p)と4K(2160p)の解像度に対応。全体的によりクッキリした画面になっている。
    • 4Kで遊ぶためにはPS4 ProかPC版が必須*23
  • グラフィックを詳細に設定できるオプションが追加。
    • 影解像度、アンチエイリアス、描画距離などを選択することでフレームレートと画質のどちらを重視するか選択可能。テクスチャも高解像度と低解像度を選択できるようになった。
  • フレームレートが60fpsに向上。戦闘含め、より滑らかに動く。
  • ダウンロード専用のため、ロードもほぼなくなり、快適性が向上した。

問題点(リマスター)

  • リマスターである以上、当然だがゲーム部分に違いは一切ない。
    • ただし、当初はシステムデータのロードに問題があり、適切にコレクションの状況が共有されないといった新たな問題も発生した(現在はパッチで修正済)。
  • 「自分の影を自分に描画する」ことが可能になり、デフォルトで描画オプションがONになっているのだが、これがキャラフェイスのマネキンっぽさに拍車をかけている。
    • 簡単に言うと、髪の毛の影が顔にかかる様になるのだが、パーティーメンバーの殆どは前髪がやたら長くかつ前髪で顔が隠れないようボリューミーにされている。そのため、前髪の影が顔にかかるとまるで「カツラを着けたマネキン」の様な印象になってしまう。この髪型を現実でやったら確実に前が見にくくなるレベルで鬱陶しいだろう。
    • 特にヒロインのレイミは、片目を塞ぐ程伸びた前髪が鼻先まで影を落としており、影の具合でオッド・アイに見えるなど端から見てとても鬱陶しい。お前は鬼太郎か。アニメ6作目の鬼太郎はリムル(CV.沢城みゆき)の方だが。
    • 幸い、該当の描画オプションは単独でOFFにできる。リアルに描画すれば良いというものではない好例だろう*24

総評(リマスター)

基本的にはPS3版準拠で、より美麗になったグラフィックで楽しめる良移植。
現在の環境で遊びたいのなら、このリマスター版一択だろう。

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最終更新:2023年11月09日 22:20

*1 スタッフ曰く、「『1』~『3』を3部作とするなら、本作はエピソード0」とのこと。

*2 前述のボタンにセットした必殺技や紋章術の事ではなく、L・Rトリガーに2つ以上の技をセット出来るようになるスキル名。

*3 『1』『2』でもクリティカル率を上げる効果のスキルは存在するが、それが無くてもステータスのCRTの値に応じてクリティカルは発生する。

*4 ちなみに、『3』のクリティカル効果は防御力無視ではなく、ダメージ計算中に+50%などの補正が付くタイプとなる。

*5 レベルアップで手に入るキャラクター個人のスキルポイントとは別に、プレイヤーが自分で選んだキャラに使用できるスキルポイント。アイテムクリエーションのレシピ開発でも使用する。

*6 通常はサイトアウト成立時の隙をキャンセルして出せるのは通常攻撃のみだが、ランクを上げたBEAT Sをセットしてるならば、即座に必殺技や紋章術へ繋げられる。

*7 『3』ではヒートアップゲージの増加率に敵の強さが関わっており、弱すぎる敵と戦ってもゲージを増やせない。また、戦闘不能になるなどの条件を満たすとその場でボーナスが終了する。

*8 経験値とフォルにかかる補正は、ともにボード1枚で+10%の補正がかかり最大で2.4倍まで。しかもボードの獲得数は14枚までなので、経験値と獲得フォルを両方とも2倍にする事は不可能。

*9 正確には4:5だが、後述するように男性陣の1人のフェイズは永久離脱してしまう。

*10 「からかっている」描写のつもりなのだろうが、本人のキャラのせいで煽っているようにしか見えない。

*11 惑星ロークに降り立った際の「生まれた所と匂いが似てるけど微妙に違う」という発言、トロップの町に住む占い師のイレーネを「おとぎ話に登場する賢者にして聖女」として認識している。

*12 エクスペルは『2』本編終了からたった数年で銀河連邦に加盟。ロークは詳細が直接語られている訳ではないが、『1』から僅か100年程度で加盟している。

*13 移動中やイベント中にボタン操作で特定のジェスチャーを取らせるスキル。

*14 拿捕したカルナス内にはエッジら複数の乗務員がいた形跡があるはずなので、他にもいるはずの(しかも優れた技術・武力を有するであろう)乗務員が何処にいるか分からない状態で狼藉を働くのはリスクが大きい。また、取り繕うヒマもないであろう目覚めた直後のレイミ自身の反応も取り乱しているとはいえない。

*15 なによりメタ視点で見ればCERO:B(12歳以上対象)で全裸を晒すイベントを入れるだけでも際どいのに、「実は性暴力も受けてました」という設定を確定させるのはあまりに無謀といえる。

*16 21世紀の地球出身である事やカルナスの反物質エンジンの事など、簡単に口を割らないであろう内容も聞き出しているので、自白剤の類を使ったのはまず間違いない。

*17 五反田氏が原案、則本氏が実際のシナリオを手掛けた。

*18 レイピア装備で通常攻撃は近接技のみながら、リンクコンボにセットして発動可能なのは詠唱を挟む紋章術のみ。近接専用の術や他の魔法キャラは不可能なガードレススキルをセットできるものの、詠唱そのものの隙はカバーしきれず、リムルの様なINT依存の必殺技も持たない。よく言えば剣と魔法によるオールレンジ対応キャラだが、実質的にはどっちつかずである。

*19 レムリックの場合、訪れた当初はすぐ近くに村があるが、シナリオを進めると移住が進みほぼ人がいなくなり、買い物やクエストは受けられなくなる。そしてもう一つの村はカルナスからそれなりに遠い。

*20 より正確に書くと、「エイオス・レムリック・ローク」に行く際にディスク2が、「EnII・バロックダーク(カルナス着陸地点)」に行く際にディスク3が必要となる。一応、EnIIとバロックダークの素材を採集する分にはディスク交換は必要ないのだが…。

*21 本作での採取ポイントは時間経過ではなく、カルナスに戻った時点で復活する仕様となっている。

*22 一部の技等に至っては、入手時期を本編クリア以降に先送りされている。

*23 ただし、PC版でも4Kでプレイするには推奨環境以上が要求されるため注意。

*24 2Dのイラストを3Dモデルに起こしたときに前髪の不自然さが強調されるのは良くあることなので、本作が特に出来が悪い訳では無いのだが、元々マネキンっぽいキャラフェイスのためより気になってしまう。