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ペルソナ2 罪

【ぺるそなつー つみ】

ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション
発売・開発元 アトラス
発売日 1999年6月24日
定価 6,800円(税別)
廉価版 PlayStation the Best
2000年9月14日/2,940円
判定 良作
女神転生シリーズ

ストーリー

物語の舞台は、人口128万人の政令指定都市、珠閒瑠(すまる)市。 その蓮華台に、主人公が通う七姉妹(ななしまい)学園がある。
通称『セブンス』と呼ばれるこの学園の校章やエンブレムを持ち歩くことは、他校生の間でも一種のステイタスであった。
しかし、いつの間にか街では『セブンスのエンブレムは〈呪いの校章〉で、身につけていると容貌を破壊される』という噂が広まっていた。
そして、やがてそれが現実となる。
次々と噂が現実になる奇妙な現象……。
あるきっかけで、《ペルソナ》という別人格を召喚するようになった主人公たちは、 それぞれに課せられた宿命と対峙しながら街に起こる様々な事件を追う。
次第に明らかになっていく噂と事件の関係。
止まっていた時が動き出す。

概要

アトラスの人気RPGシリーズ第二弾。
前作がメガテンシリーズ中でもかなりの高難易度だったのに比べ、今回はゲーム全体が見直され、難易度が抑えられた。無論ただのヌルゲーではなく、やり応えのあるバランスに仕上がっている。
前作同様、今作のストーリーのタッチはジュブナイル色が強い。

今作はPS2・PS3で起動すると、PSの場合と比べ不具合・フリーズ発生のリスクが大きくなってしまう。
特にPS2ではメニュー画面などで重度の処理落ちが発生、まともなプレイは望めないため、プレイの際にはPS1本体を用意すること。


評価点

  • 新システム「合体魔法」
    • 2~5人のキャラクターで特定の順番に魔法・特技を使うことで、特殊な魔法を発動させる。エフェクトも華やかで迫力があり、戦闘を盛り上げてくれる。
      • 本作における究極の合体魔法は、ルシファー+サタンの二大巨頭悪夢の夢の競演による「ハルマゲドン」。パーティーレベル94という破格の条件を要求されるが、その効果も「ザコ・ボス関係なしに敵を即死させる」という壮絶なもの。無論ラスボスだろうが瞬殺である。
    • 一度使用した合体魔法はアナライズに登録され、いつでも組み合わせの確認ができる。このアナライズの開拓は一種のやりこみプレイと言え、基本4属性を継承なしで習得するヘル等のペルソナがあれば、大きな助けとなるだろう。
    • 合体魔法で戦闘を終了させると、ランダムで「突然変異」が発生し参加したペルソナが強化される。このとき相性が最高のペルソナを降魔していると、発生確率が向上する。*1
      + 発生確率こそ低いものの、得られるものは大きい。
    • パラメータ強化
      • 全パラメータがわずかだが上昇する。全パラメータカンストまで何度でも発生。
      • 前作の「潜在復活」の上位互換というべきもので、理論上はどんなペルソナでも最強クラスの戦闘力を得られる。
        • 有用な合体魔法の素になる「ザンマ」「精霊召喚」等の技を習得したペルソナは、いつの間にかステータスがえらいことになっている可能性もある。
    • 隠し魔法の解放
      • アナライズに記載されていない魔法を習得。どんなものを覚えるかはペルソナ毎に決まっている。シヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマーのヒンドゥー三柱神は、完全な専用技を習得する。
    • 一度に2ランクアップ
      • 読んで字の如く、突然変異した瞬間にペルソナランクが上昇。突然変異前のランクで貯めた熟練度は引き継がれない。
      • その性質上ランク7では発生しないため(8が最大)、ランクが偶数のときに発生することが望ましい。
    • 変異能力
      • ベルベットルームで新たなペルソナと交換できるようになる。この方法でしか召喚できないペルソナも存在する。
    • こういった「複数人で協力しての行動」がシステムとして実装されたのは、メガテンシリーズでは本作が初。
  • 噂システム
    • 本作の舞台では、「噂が現実になる」という奇妙な現象が発生している。プレイヤーはこの現象を利用して、単なる飲食店や衣料品店といったそこら辺によくある店を武具屋へと改変して装備を整えていくことになる。
    • 噂の中には「懸賞で戦闘用のアイテムが当たる」「ゲームセンターが本物のカジノになる」などといったものも。
      これらの噂を流すかどうかは原則としてプレイヤーの自由であり、あえて噂を流さない縛りプレイも可能。
    • 設定的に面白いのは、現実化した後では「真実から出た噂なのか、噂から生まれた真実なのか」の境界がないこと。所謂"シュレディンガーの猫"を利用した設定といえる。
  • 前作からの改善点
  • バトル面
    • 難易度バランスやシステムが見直され、戦闘のテンポが大幅に向上した。
      • フォーメーションの概念は消滅、攻撃範囲・属性の種類もメガテンとしては常識的な範囲に。高いエンカウント率は相変わらずだが、退却が100%成功する「トラフーリ」や主人公より弱い敵が出なくなる「エストマ」の復活により、ある程度はフォローされている。
    • 降魔相性が「発動時のSP消費量」という形でダイレクトに反映されるようになり、相性の良いペルソナを優先して使う意味が生まれた。相性の悪いペルソナでも降魔さえできれば自在に使いこなせるので、プレイの幅も広がっている。
    • コンタクトの不安定さが大きく改善。こちらの取った交渉パターンに対しての結果が固定され、前作のように「正しいアクションを選択していてもムードによっては失敗する」という事態は起こりえない。また、全ての交渉結果が何かしらの意味を持っており、交渉が決裂してしまう「怒り」を除き、必ずプレイヤー側がメリットを得られる。*2
      • 「喜び」が最高に達すると、交渉していた悪魔と「契約」することができる。契約している悪魔からは特殊な噂や、任意のタロットと交換できる「フリータロット」が入手可能。
  • グラフィック面
    • 背景が3DCGで描画され、人物(ペルソナ・悪魔も含む)はドット絵と言う「ゼノギアス」や「グランディア」に近いグラフィックとなった。
      • メインキャラはもちろんの事、珠閒瑠の市民から悪役、またはヘンテコなペルソナまで丁寧にドット打ちされており、FC~SFC時代で培われたアトラスの2Dグラフィックの技術が本作で遺憾無く発揮されている。続編「3」からは3Dグラフィックに移行した為、ナンバリングでは最後の2Dグラフィック採用作品となった。
  • システム面
    • 一人称3Dダンジョン・月齢システム・悪魔合体といった"メガテンらしい"要素が撤廃され、シリーズ初心者でも入り込みやすくなった。
      • ダンジョンは多くのRPGで見られるクォータービューに変更。複雑なマップでも迷いにくくなった。移動もスピーディーで快適。
      • ペルソナ召喚の方法はかなり簡略化され、コンタクトにより「タロットカード」を入手し一定の枚数と引き換えに召喚する形式となった。魔法継承や封神具などの要素も「○○カード」という形で*3それぞれわかりやすくまとめられ、理想的なペルソナを作りやすくなった。
    • 貢献度による経験値分配の廃止や、レベルアップ時のパラメータボーナス*4により、キャラ育成もスムーズに行える。
      • このパラメータボーナスの効果は大きく、「パーティーでAGI(素早さ)が一番伸びないキャラ」を「パーティーで一番AGIが高いキャラ」に育て上げることも難しくない。
  • 音楽
    • 今作では土屋憲一氏、黒川真毅氏、田崎寿子氏の3名が作曲を行っている。
    • 前作から受け継がれた、通常戦闘が小節区切りで終了する独特の演出はスタイリッシュと好評。
    • 後述するストーリー展開のインパクトの強さには、音楽による効果も大きいといえる。
    • 「サトミタダシ薬局店のうた」は更にパワーアップ。各店舗によって演歌調、インストゥルメンタルなど5種類のアレンジを楽しめる。
  • シナリオ
    • 前作と比べ、より重く暗い内容になっている。
      だが「噂が現実になる」という世界観が生かされ、主人公達の過去などを主軸にしていく展開は一つ一つ見所になるものが多い。
    • 規制が多くなってきた現在では困難な設定や衝撃的な展開も多く、これもプレイヤーの記憶に残るものとなっている。
+ 衝撃性のある展開(ネタバレ)
  • 主要メンバーと縁が深い人物をはじめ、大勢の人々が影人間*5に変えられてしまう。消えていく様あるいは影人間に至るまでの様を見せつけられる絶望感は相当なもの。しかも、絶対に助けることができない。
  • ゲーム後半、人々の噂が暴走し「アドルフ・ヒトラー*6」と、彼の率いる「ラスト・バタリオン」が舞台の街に現れ、街を制圧していく。もちろんナチスの象徴たる「ハーケンクロイツ」を掲げて、である。
    • 今作のシナリオの衝撃的要素の一つで、「ナチハンター」に目をつけられ、海外での発売を見合わせた…とも言われている。*7
    • ボス格として登場する聖槍騎士団(ロンギヌス・サーティーン)が色々な意味でインパクト大。
      "マリオネッテイェーガー「ヒンメル・フォイアー」"なるパワードスーツに身を包み、互いにドイツ語数字で呼び合う…とそのテの設定が好きな人にはたまらない。ラスト・バタリオン初登場時のムービーは必見。
      戦闘面でも"ロンギヌス・コピー"によってペルソナ発動を封じ、堅牢な装甲で物理攻撃をほぼ無力化してくる難敵。
    • ラストダンジョンでは、ヒトラーとの直接対決も待っている。ヒトラーはロンギヌスの槍(本物)を所持しており、戦闘終了までペルソナを封印する技を使用してくる。*8使用してくる頻度が低いことや、ヒトラー自身が大して強くないことが救いか。
  • 同じくゲーム後半、噂によって生まれた主人公たちの偽物「シャドウ」が登場する。
    • 悪い噂が現実化した存在のため、姿はそっくりだが性質は邪悪そのもの。本人が隠しておきたい秘密や守りたいものを踏みにじることで、自我を破壊しようと画策してくる。
    • また、姿だけでなくその精神にも、主人公らの負の側面が反映されている。そのため、如何にすれば彼らの心を踏みにじることができるか熟知しており、巧妙に嘘と誇張を織り交ぜてくる。
    • 余談だが、戦闘開始時・終了時に特定の各キャラ専用ペルソナをつけていると特殊演出が発生する。ペルソナの台詞がフルボイスで聞ける数少ない機会なので、ぜひ一度は見ておきたい。戦闘終了時のイベントには、専用ペルソナの防御相性が強化されるボーナスもある。
  • 特に衝撃的なのはエンディングで、その内容は続編が発表されるまで大きな議論を巻き起こした。
+ エンディング(ネタバレ)
  • 簡単にまとめると「ラスボスの策略で主要メンバーの一人が死に、そのキャラの最期の言葉を逆手に取られ、あざ笑われながら世界が滅ぶ」というものである。しかも、それは「人々が潜在的に望んだこと」だというのがさらに悲惨。
    • ちなみに、ラスボスのデザインも相当えげつなく、両腕両脚及び頭部が主人公たちの父親というかつてない有様。*9顔が浮き出ているとかそういうレベルではなく、手足の代わりに人間が生えている。設定イラストではその狂気的異形が惜しげもなくでかでかと描かれている。
  • そして主人公たちはフィレモンの提案により、「自分たちの絆をなかったことにして、崩壊の起こらなかった別世界を構築する」選択を行い、ラスボスの干渉がない世界を作ることになる。その際に「とある人物」が過ち*10を犯し、続編『罰』の始まりとなる。
    • しかし、この苦渋の決断さえも実はラスボスの計画通りというどこまでも救いのない展開となっている。当然のごとく、ラスボスの干渉がないどころかラスボスが張り巡らした蜘蛛の巣に突っ込んでいく羽目になってしまう。
    • 本作での世界滅亡の因果が10年前の主人公たちの出会いに始まっていることから、「10年前の出会いがなかった」平行世界(『罰』の舞台となる世界)を作り出した。本作の舞台となった世界は『罰』のED後でも滅んだままとなっており、それらの決着を『罰』でつけることになる。
      • この部分は『月刊少年ジャンプ』で連載された漫画『ペルソナ ~ 罪と罰』*11、電撃文庫から発売された小説『ペルソナ2 罪』『ペルソナ2 罰』*12で掘り下げた考察が描かれている。特に後者は、ラスボスの悪意がこれでもかと強調されていた。

賛否両論点

  • 戦闘バランスが大味
    • よく挙げられるのが、即死攻撃の高性能ぶり。
      本作は「剛切断」「秘孔突き」など、一部の即死攻撃が非常に命中しやすく、それらの攻撃があれば通常戦闘で困る事はまず無い。なかでも合体魔法「原子破壊」「ローエンドブレイカー」はゲーム序盤から使うことができ、"即死技頼み"に拍車をかけている。
      • ただし、これは逆に言えば「敵の即死攻撃を高確率で喰らう」ということでもあり、ある意味バランスは取れている…かもしれない。
        また、ボスには即死攻撃が通用しないため、ゲームバランスが崩壊する心配は無い。
  • 地味になった戦闘シーン
    • キャラクター画像やエフェクトの描写が、前作と比べシンプルになった。
      • 悪魔のアクションは簡素なものばかりで、パターンもあまり多くは無い。また、ペルソナの描写方法が敵悪魔と共通になっており、同名悪魔が存在するものは丸コピペである。
    • ただし、メガテンシリーズ全体で見れば前作の演出は"こだわりすぎ"と言ってもよく、本作が特別ショボいというわけではない。
      また前作は、描写の細かさゆえグロテスクさが目立っていた面もあり、好みという点でも一概に良し悪しは決められないだろう。
    • 残念ながら明らかな改悪もあり、前作ではまず有り得なかった処理落ちが発生するようになってしまった。

問題点

  • 合体魔法の使い勝手が悪い
    • メガテンシリーズにおいても初の試みゆえか、調整がうまくできておらず扱いが難しい。
    • 攻撃タイプの合体魔法はダメージ効率が悪いものばかりで、全体攻撃ができるペルソナがいれば戦力価値は無くなる。単体攻撃タイプのものや4・5人連携のものに至っては、ごく一部を除き合体させるとかえって損になる。
      実際のところ「弱い敵を瞬殺しまくり突然変異を狙う」のが存在価値のすべて…と言っても過言ではない。
      • 「精霊召喚」絡みの2人連携4種だけは別格で、組み合わせが簡単でダメージ効率も悪くない事から多くのプレイヤーに重宝された。
    • 回復・補助タイプの合体魔法は優れた効果を持つものが多いが、比例して組み合わせを揃えるのも難しい。また当然ながら、突然変異の恩恵も受けられない。
  • 戦闘演出の拘束時間が長い
    • 前作と比べれば多少マシになってはいるが、改善された戦闘シーンのテンポにまったく追いついていない。
      • 非常に厳しい言い方をすれば「演出がグレードダウンした上、テンポはダラダラのまま」ということであり、状況は前作より悪化しているという見方も。
  • 固有ペルソナの使い勝手の悪さ
    • 一定の条件を満たすと、特定のイベントで各キャラクターの専用ペルソナを入手できる。が、どれもSP消費量が多く、同レベル帯のペルソナと比べ使い勝手が悪い。
    • 終盤のイベントで手に入るペルソナはこれが顕著で、パーティ5人分のペルソナで消費SPワースト5を独占している有様。*13レベルに関係なく一定の戦力を得られるとはいえ、はっきり言って割に合わない。
      入手イベントの演出が優れているだけに、余計に残念なところ。
  • より理不尽になったアルカナ「FOOL」の入手方法
    • 前作では「合体事故が発生した際にランダムで誕生」という、ごく限られた状況下でのみ召喚できたアルカナ「FOOL」のペルソナ。悪魔合体が存在しない本作では、カードの入手方法に特別な条件が設定されている。
    • その条件とは「一回のコンタクトで4回以上質問を受け、かつ4回目以降の質問で興味がMAXに達する」こと。
      条件を満たすと「FOOL専用質問」が低確率で発生、正しい答えを選択できればカード入手となる。
    • 悪魔が質問をしてくるのは"興味"か"怒り"が上昇した場合のみ。同じ感情を3回上げると交渉終了なので、いかに困難な条件かが理解できるだろう。*14実際、コンタクト時のリアクションの種類や返答のパターン・傾向を調べ上げたうえで、さらにリアルラックにも恵まれなければ条件達成は不可能である。*15
    • そんな多大な苦労の末に召喚できるFOOLのペルソナではあるが、これがまた「消費SPが多いうえ、特別強いわけでもない」というガッカリペルソナ。帰還アイテムはどれも他では手に入らないレアモノだが、FOOL召喚の手間に見合うかといえば……。
    • さらに、これらFOOL入手方法に対し、ゲーム内にはヒント・手がかりが一切存在しない。フリータロットとの交換もできないため、普通にプレイしていてはまずお目にかかれない存在である。
  • 細かすぎるオートマッピング
    • 3Dダンジョンが廃止された本作ではあるが、オートマッピングの仕様は3Dダンジョン時代と変化していない。つまり、画面に表示された範囲ではなくキャラが実際に歩いた部分しかマッピングされないのである。
      • 例えば、横幅がキャラ3人分の通路をマッピングするには、さながら雑巾がけのごとく直進で3往復しなければならない。更に柱などの凹凸も、掃き掃除の如く万遍なく歩きまわらなければならない。「1キャラ分=マップ1マス」ではない事が唯一の良心か。
      • メガテンシリーズにおいて「ダンジョンのマッピングを完璧に終わらせる」というのは定番のやりこみであり、コアなファンからは否定的に捉えられている。

総評

  • 難易度やシステムがよく配慮されており、メガテンシリーズ未経験者でもすんなり入り込める間口の広さがある。テキストやシナリオも作り込まれており、高い完成度と衝撃性から現在でもファンが多い。
  • 前述したストーリーの鬱さは次作の『罰』で昇華される。
    • すべてきれいに昇華されるわけではないが、『女神異聞録ペルソナ』からの集大成としてファンからは好評である。

余談

  • 本作の中に、「流星野郎のSOUND MAX」なるラジオ放送が公開録音されるイベントが存在する。
    • これはかつてラジオ関西系で放送されていた、「流星野郎のGAME MAX」というアトラスの名物広報「流星野郎相原」がパーソナリティを務めていたラジオ番組のセルフパロディである。

リメイク版『PERSONA2 罪』

【ぺるそなつー つみ】

ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 アトラス(インデックス)
開発元 アイ・ティー・エル
発売日 2011年4月14日
定価 PKG 6,279円
DL 4,980円
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン セクシャル、暴力、犯罪、麻薬
判定 良作
ポイント まさかのリメイク版
『P3』以降を意識したGUI
システム面での問題が目立つ

概要(リメイク)

リサの声と劇中歌「JOKER」を担当した声優・小西寛子氏に関する諸問題や、ナチス絡みの劇中設定もありリメイクは絶望的と言われていたが、音声はそのまま手を加えないという形でPSPでのリメイクが決定。一度延期を経て4月14日に発売された。

公式の略称は「P2IS」。

追加・変更点

  • イメージカラーはPS版『罰』のような赤に変更され、各種インターフェースも赤と黒を基調としている。
    • またメニュー表記などが『3』以降のデザインに近づけられ、防御相性のアイコン表記や「合体魔法 → 合体技・合体スキル」といった呼称変更など、PS版から大きく印象を変えている。
      • だが、参照したタロットの種類が違うにもかかわらず『3』以降のアルカナ名を当て嵌めている*16、パラメータ名表記が日本語に変更されたのにパラメータ強化アイテムは英語名のまま*17といった雑な部分もみられる。
  • 新要素「シアター」
    • 七姉妹学園で舞耶・ゆきのが仲間になった後、全体マップから行くことができるようになる「シアター」にてクエストを受けられるようになる。シリーズの世界観に関係した舞台に行けたり、クエストを自作することも可能。*18本作最強の雑魚悪魔にして終盤のレベル上げの要「アリス」もボス専用キャラとして指定できるので、PS版では困難だったレベル99も容易に達成可能。
    • PSstoreで追加クエストが配信されており、PS版シナリオライターの里見直氏による書き下ろしシナリオやゲーム雑誌ファミ通、4Gamer.netとのコラボクエスト等が配信された。
  • EASY・NORMAL・HARDの三種類の難易度が選択可能になった。
  • …だが、難易度ごとの違いは敵に与えるダメージの大きさだけ。敵の能力は全難易度でEASY準拠になっており、HARDでも普通にプレイして防具などを買い揃えていけば、ろくにダメージを食らう事はなくなる。
    • 一部ユーザーからは「難易度HARD・初期防具縛りでちょうど良い」などという意見さえ上がっている。
  • 通常戦闘終了時の演出が小節区切りで締めくくられる形から、新たに作曲された「戦闘リザルト」という曲に切り替わる形に変更。
    • スタイリッシュと好評だっただけに、再現されなかった事が惜しまれる。ただ音楽の再生方式の違いなど、PSPの仕様から再現できなかった可能性もあり、致し方ない点ではある。
  • 先述したリサの声はそのままだが、劇中歌「JOKER」のアレンジ版はアトラスのスタッフが歌唱している。
  • バトルでは「敵と味方の行動順表示」「合体魔法をコマンドひとつで行動設定可能」「コンタクト中の感情グラフ表示が復活」といった変更点がある。
  • 物議の的となったラスト・バタリオンに関しては、いくつかアレンジが加えられている。
    • あらゆるグラフィックやムービーからハーケンクロイツが排除され、ドイツの伝統である「鉄十字(バルケンクロイツ)」に差し替えられた。
    • ヒトラーは「フューラー」という名称に変更され、会話時のグラフィックがサングラスで顔を隠したものになっている。あくまで「ヒトラーをモデルとした架空の人物」であることをアピールするための変更であり、作品の雰囲気を損ねていない。

評価点(リメイク)

  • BGMアレンジ
    • 前作『Persona』では告知なしのBGM全差し替えやオリジナルbgmへの変更不可という仕様で旧作プレイヤーから不評を買った。この反省から今作の楽曲は、オリジナルとアレンジ版を同時収録しゲーム中に自由に切り替えられる形となった。
    • アレンジはアトラスの喜多條敦志氏、小西利樹氏、小塚良太氏の3人が担当。PS版の作曲陣は参加していないものの、アレンジの評価は概ね良好。
  • 配信シナリオのうち、PS版シナリオライター・里見直氏の書き下ろしシナリオは非常に好評。
    前作と今作を繋ぐプロローグのようなシナリオで、10年以上前に手がけたゲームながらキャラ達の言動にまったく違和感を感じさせない。随所に仕込まれた小ネタも好評である。
  • バトルの仕様変更のうち、合体魔法に関しては更に改良され、どのタイミングで発動するかも選択できるようになった。*19この点は純粋に評価点と言っていいだろう。

賛否両論点(リメイク)

  • 今作のOPはPS版のものに加え、目黒将司氏が作曲した新曲に合わせたアニメーションが追加された。前者はそのままのため特に問題はないのだが、後者はグラフィックや曲調が『3』以降のような作風なので賛否両論となっている。
  • シアターでは、アリスのみを出現させることで簡単にレベルを上げられる。
    • ゲームバランスの崩壊につながるという声があるが、本作では罰の達哉にレベルが継承されるため、歓迎する姿勢も見られる。

不評点(リメイク)

  • PS版から幾つか改悪された要素がある 具体的には…
    • PS版では一つの画面で一括入力できた『(攻撃などの)行動選択』『行動順変更』『ペルソナチェンジ』が個別コマンド化され、キャラクターの行動順から一人ずつ入力する方式に変更
    • 行動順番を入れ替えると再び最初からコマンド入力をしなおさねばならない
    • キーレスポンスが悪く、操作性は全体的に悪化している。
    • コマンドの決定・キャンセルのSEがPS版から変更されているのだが、その評判がよくない。
  • せっかく復活したコンタクトに関しても「感情エフェクトが削除され、どの感情が上がったか判りづらい」「いちいちアナライズを見ないと契約している悪魔がわからない」など大きな問題がある。
  • 動作が早くなった関係か、発動した魔法のエフェクトと効果音の音ずれが起きている。
    • アニメーション時間や効果音自体が短い魔法なら大して問題ないが、効果音が長い魔法の場合だと魔法のアニメーションが終わった後も音が続いており、合っていない。
    • この問題は次作の『罰』でも同様に発生している。
  • 配信シナリオのうち、コラボクエストは内容の稚拙さから評判はあまり芳しくない。*20
  • 上述の通り変更されたラスト・バタリオン関係だが、この際テキストにもヒトラーの名前を出さないように変更が加えられた。それ自体は止む無しとの声もあるがその変更内容がヒトラーの部分をただ差し替えただけ。そのため、一部の台詞が意味の通らないものになってしまっている。
    • 例:「ラストバタリオンを率いているのはあのフューラーなんだって、驚きだね」あのフューラーって、どのフューラー?
      • ちなみに「フューラー」とは、ドイツ語で庁における自動車・電車の運転手を指す語句。日本では「指導者」と訳されることが多い。ナチスにおいては「総統」の称号として用いられ、ヒトラーのみが名乗ることを許されていた。

総評(リメイク)

システムやゲームバランスの改悪が目立ち、リメイク・移植として良い出来とはあまり言えない形となってしまった。
そのかわり演出面には『Persona』のような極端な改変は無く、世界観やストーリーの魅力を十分に味わえる。PS版は前述のようにハード面での問題が大きいため、どちらを選ぶかは個人の判断となる。

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最終更新:2023年10月10日 16:36

*1 というより、相性が最高でなければほとんど発生しない。

*2 一見敵を強化しているように思える「興味+怒り」にも「敵が魔法・特技を使えなくなる」という利点がある。

*3 パラメータを強化する「インセンスカード」、魔法を習得させられる「マジックカード」、特殊なペルソナの召喚に必要な「マテリアルカード」。

*4 全ペルソナと一部装備品に設定されており、キャラごとの育成パターンとは別に特定のパラメータが上昇する。

*5 "夢見る心"を吸い取られ、無気力になった人間(最終的に夢を見れなくなった人間も該当)。身体は影のように黒くなり、ほとんどの人間から忘れ去られてしまう。ストーリー進行とともに症状は少しずつ悪化し、最期には存在そのものが消滅する。

*6 ヒトラー本人が復活したわけではなく、事件の黒幕が化けている。

*7 有志による翻訳版はいくつか流通している。

*8 回復する手段は存在しており、ストーリーの都合上必ず入手できる。

*9 これは、各キャラが父親に対してコンプレックスを持っているため。

*10 主要人物の大半が過去の傷と折り合いを付けたり克服したりでエンディングを迎えるが、この人物のみその描写がない。

*11 漫画オリジナルキャラによる『罰』ストーリーの直前までを描いた作品。滅びた世界を浮上し続ける『罪』の珠閒瑠市も登場する。

*12 双方とも登場人物の一人・吉坂杏奈の視点で両作品の舞台裏が描かれている。

*13 実際は、相性の関係で多少マシになる。

*14 4回の上昇で交渉終了にする方法はあるが、それを使うと質問される確率が下がってしまう。

*15 ちなみに、FOOLのアナライズフルコンプには、この苦行を10回も成功させなければならない。気休めだが、2回目以降の入手に関しては質問が出る確率が倍になる。

*16 『異聞録』『2』はライダー・ウェイト版準拠、『3』『4』はマルセイユ版をベースとしたゲームオリジナル。

*17 「力」のパラメータを上げるアイテムは「力の香」ではなく「STRインセンス」。『Persona』においても、この正反対のミスを犯していた。

*18 このうち、クエストを自作するには一度ゲームをクリアしなければならない。

*19 元々はPS版『罰』で追加された要素だが、そちらでは自動的に最初に行動するように設定されていた。

*20 例を挙げると、本編シナリオとの時系列の整合性が考慮されていないため、あるキャラの呼称がパーティメンバーが過去を思い出してからの物に固定されてしまっている