ドラゴンシーズ~最終進化形態~

【どらごんしーず さいしゅうしんかけいたい】

ジャンル シミュレーション
対応機種 プレイステーション
開発・発売元 ジャレコ
発売日 1998年8月6日
定価 6,090円(税込)
レーティング CERO:C(15才以上対象)*1
配信 ゲームアーカイブス
2012年1月18日/600円
判定 良作


概要

中世ファンタジー風の世界観をベースにした、ドラゴン育成ゲーム。
目的はバトルアリーナで勝ち進み、準チャンピオンとチャンピオンを撃破して頂点に到達すること。


特徴

  • ドラゴンは武器と盾で武装しておりいずれも知能が高い。ドラゴンは、自身を「言霊」で復活させた人間を主と認め従順する。
    • 幼体の時点で既に蟹や虫のような姿をしたものがおり、進化したものとなるとまさかの人型だったりする。
      実は本作におけるドラゴンの定義は「超生物」となっており、いかに珍妙なものでも一律でドラゴン扱いなのである。
    • 要するに『モンスターファーム』のようなゲーム(発売時期は初代と『2』の間)と言えば手っ取り早いか。対人戦も搭載している。
  • なお戦闘でドラゴンのHPが0になると死んでロストしてしまうという、極めてシビアな設計になっている。
    • 途中で「ギブアップ」可能なのが救い。うかつなプレイではクリアが難しい。

ドラゴンの誕生

  • ドラゴンは言葉を組み合わせた「言霊」を入力することで誕生する。
    • 各数十パターンある上の句と下の句の組み合わせ次第でドラゴンの種類やステータスが決定される(真ん中の助詞は特に影響しない)。
    • かっこ良さげな言霊の中に、どういうわけか開発・発売元であるジャレコの名前まで混じっている。使おうと思えば使える。
      • 【「古」に「 燃える」】【「普通」の「夢」】【「ジャレコ」が「売り切れ」】など。
      • ちなみに、聞き取りにくいが合成音声によってちゃんとプレイヤーが繋げた言霊を喋ってくれる。

システム

  • ドラゴンは「ティラ(普通の竜)」「テラン(翼竜)」「ビート(甲虫)」「インセ(昆虫)」「タラバ(蟹)」「ナチュラ(土偶)」「スピル(マーライオン)」「イブル(扉や棺)」の8種類がいる。
    • これら8種のドラゴンはそれぞれ異なる外見の子竜2種が存在する。成長する能力も若干異なる。
  • ドラゴンは「子竜」→「成竜」→「完竜」→「老竜」へと自ずと成長する。老竜になったあと寿命を迎えると姿を消し、戦闘外であってもロストしてしまう。
    • 「成竜」→「完竜」の成長の際に、外見は更に2種類に分岐する。
  • 特定の条件を満たしたドラゴンは「完竜」から「超竜」「変異竜」へと進化する。
    • 「変異竜」は名前の語尾に「○○チャー」と付き、若干クリーチャー的な不気味さやコミカルさのある姿。しばらくすると普通のドラゴン同様「老竜」となり、やがて寿命を迎えてしまう。
    • 「超竜」は総じて人型。完全に人間の女の子のような容姿をしている者が数種いるが、その他の超竜もなかなか格好良いのが揃っている。こちらは不老*2
      • 不老なら育成し放題と思いきや、トレーニングで成長させることができるのは「完竜」の段階で頭打ちになる。
      • ただし、完竜になってからもレアアイテムによるドーピングはし放題なので結局はバランスブレイカーと化すが。
  • ドラゴンはトレーニング(ミニゲーム)や睡眠、時間経過で各種ステータスを伸ばしていく。
    • 体重以外のステータスはレアアイテムを使えばカンストまで上昇させる事が可能。もちろん手間はかかる。
    • ドラゴンに「剣」と「盾」を買い与えることが可能で、これによって近接攻撃力の威力が上昇したり、反射回数*3や攻撃反射時のダメージ割合を変更できる。
      • 通常の公営ショップの他、売っているものがランダム且つレアなジャンクショップというものもある。
  • 戦闘はターン制。プレイヤーはドラゴンに対して一度に2ターン分の指示を与える事ができる。
    • 毎ターン、「武器攻撃」「特殊攻撃」「リフレクター」「前進」「後退」「挑発」の中から2つの指示を選ぶ。
    • 指示には場に合った相性があり、例えば武器攻撃は間合いが離れていれば空振りするし、間合いにとらわれない特殊攻撃はリフレクターで反射されてしまう。
    • 指示が先行入力である上に敵味方同時に行動するため、敵のルーチンを読んで行動を選択しなければならないというのが肝。
      • リアルタイムバトルである『モンスターファーム』に対し、こちらは二手を出し合うじゃんけんのようなもの。

評価点

  • 育成ゲームで他に類を見ない、ダークでシビアな世界観が目を惹く。
    • ゲームの導入部からして、「ドラゴンを連れて本編の舞台を訪れた主人公が怪しい男(実はチャンピオン)に『練習試合』と称して勝負を挑まれ、力の差を見せつけられた挙句に主人公のドラゴンが殺される」という情け無用の展開*4
    • 確かにゲーム的に考えると優秀なドラゴンがいない状態で始まるべきではあるのだが、だからと言って殺されるところからスタートする作品はそうそうないのではなかろうか。
      • この戦闘はチュートリアルでもあるが、負け戦闘である。なお、頑張れば勝つこともできるが、どのみち敗北扱いとなり死んでしまう。
      • 他にもドラゴンを扱う施設が「クローンラボ」だったり、酒場で非合法の賭けバトルができたりする。
  • 戦闘システムは単純ながら駆け引きが熱い。
    • 対人戦になるとその単純なシステムが熱く、相手の裏を読む駆け引きや心理戦へともつれ込むので一気に戦闘が奥深くなる。
    • ドラゴンを特殊能力特化で育成すると、リフレクターの反射が脅威となるためCPU戦も油断できないバランスとなる。
  • 本作を語る上で欠かせないのは何よりBGM。
    • その曲風は民族音楽風ではあるが、他の何にも似ておらず変調が激しく、本作の世界観を良く表現している。特に戦闘曲の人気は非常に高い。

賛否両論点

  • 登場キャラクターの顔がアニメ調ながら妙に濃くて人を選ぶ。
    • ただしバトルアリーナの管理人ナナは大半のプレイヤーから可愛いと評判。

問題点

  • トレーニングのミニゲームが少々面倒。難しくはないのだが。
    • 一方で運要素や相性はほぼ介在しないミニゲームであるため、プレイヤーによっては毎回最高評価をラクに獲得することもできバランスがよろしくない。
  • ドラゴンの種類があまり多くない上に、上位種だろうと特有の技などもないので差別化が弱い。
    • ギャラリーモードといったものも無いのでコレクション性も今一つ。
      • つまるところ飽きが来やすい。このあたりが『モンスターファーム』に後れを取った部分か。
  • ドラゴンの育成で特定のステータスに全振りすれば、本編が力押しで通用してしまう。特殊能力に特化させないようにするとこうなる。
    • また、特定データから登場する上級盾を手に入れることにより、魔法反射で体力を奪って魔法を切らせてガン逃げでの勝利も成立してしまう。このため「ただ単純にクリアする」というプレイはとにかく浅い。
  • メモリーカードによりあっさり最強クラスのドラゴンを誕生させられてしまう。
    • しかも幾つかの手順を踏めば本編にも遠回しでその力を移行できる。具体的には装備している武器と盾を剥ぎ取り、自身が育てているドラゴンに装備させるという事ができる。また、賭けバトルに出場させ賞金を稼ぐ事も可能。

総評

独特かつ印象深いBGMに反し、あまり種類の多くないドラゴン・時間をかければカンストするステータス・簡単に勝てる戦闘等が悪い意味で記憶に残りやすい。
しかしそれらは本作の些細な一面に過ぎず、ステータスはカンストしてからが本番で、ゲーム本編は壮大なチュートリアルに過ぎない。
実際のところ対人戦に特化した作品であり、対戦ツールとして良作である。


余談

  • 2016年にクラリスディスクからサウンドトラックが発売された。
    • 荒川憲一氏による「DECISIVE」のアレンジバージョンが新規収録され、ブックレットにはスタッフインタビューとラフイラストも収録されている。
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最終更新:2023年11月26日 13:45

*1 ゲームアーカイブス版で付与されたレーティングを記載。

*2 老化しないだけで、HPが0になったら死ぬのは一緒。

*3 回数が尽きても反射ができなくなるだけで、特殊攻撃の無効は可能。

*4 しかも、その理由が「将来成長するとチャンピオンの座を脅かしそうなドラゴンだったから」