モンスターファーム

【もんすたーふぁーむ】

ジャンル 育成シミュレーションゲーム
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 テクモ
発売日 1997年7月24日
定価 6,090円(税込)
廉価版 PlayStation the Best
1998年11月19日/2,940円(税込)
判定 良作
ポイント 音楽CDからモンスターという新感覚
成長・体型変化など、続編の2よりも優れた部分も
ゲームバランスはやや大味
モンスターファームシリーズ


概要

ゲームディスクを市販の様々な種類のCDと入れ替え、読み込んだデータを下にモンスターを誕生させる、
PSのディスク入れ替え機能を活かした新機軸のシステムで人気を呼んだモンスター育成・対戦ゲームの第1作。

あらすじ

古代、人はモンスターと共に平和に暮らしていた。
しかし、モンスターの強大な力を悪用した人間同士で戦争が勃発し、多くの命が失われてしまった。
神はこれを嘆き、モンスターを封印し、人と関わらせないようにした。
人々は平和を取り戻し、大陸の地形が変わるほどの時が過ぎた。

現代。
古代の遺跡を発掘していると、ごく稀に「円盤石」が見つかる事がある。この円盤石こそ神がモンスターの封印に使った媒体である。
円盤石の封を解く技術は既に確立されており、人は取り出したモンスターの力を借りながら、かつてのように共に暮らすようになった。
そうするうちに、いつのころからかモンスター同士を戦わせる競技が誕生した。「モンスターバトル」である。
この娯楽は人々を熱狂させ、大会のためにモンスターを鍛える人、通称「ブリーダー」と呼ばれる人たちも現れだした。
モンスターバトルは大陸中に広まり、ブリーダーを目指す者もあれよあれよという間に増えていき、ついにはこの世界で一番人気の娯楽・職業にまでなっていった。

そして今。円盤石を手にブリーダーとして歩みだそうとする者がいた…


ゲームの基本

  • 1000年4月1週からスタート。12の月×4週間、育成の指示は1週間単位で出すため、1年で48回育成ができる。
  • モンスターはいくらでも手に入るので死んでもゲームの進行的にはなんてことはないが、資金が尽きた状態で月を終えてしまうと下記のエサが買えなくなるためゲームオーバーになってしまう。最初の資金は3000G。
  • 月のはじめにエサを選ぶ。10、100、300Gの3種類。高い方が効果がいいのは言うまでも無いが、特に序盤はお金ときちんと相談して決めよう。
    • 食性によって好みの違いがありそうだが、本作においてはどのモンスターに対してもエサの効果は同じ。

モンスターの育成

  • 育成は基本的にファームで行う。ここでは割愛するが、アイテムショップもファームの近くにある。
  • 仕事
    • 人間とモンスターがともに暮らすこの世界において、モンスターを働かせることもブリーダーの役割の一つ。成功すれば報酬に加えて能力がアップする。
    • 疲れとストレスの貯まりが少ないがパラメータの上がりが少なく、100Gもらえる軽い仕事が6種類。
    • パラメータが大きく上がる代わりに、疲れとストレスが大きく貯まる上ちょっと下がるパラメータまである、150Gもらえる大変な(重い)仕事が4種類。
  • 修行
    • 2000G(半額割引あり)払って、1ヶ月の間モンスターを修行に出す。仕事と比べるとパラメータの上昇量が大きく、新しい技を覚えてくることもある。
    • 修行中はずっと修業しっぱなしで休養を取る事が不可能。なので修業に出す前は体調を万全に整え、戻ってきたら休ませてあげよう。
  • 大会
    • モンスターを大会に出す。優勝すれば賞金や賞品が貰え、公式戦で勝てばブリーダーのランクが上がり、名人への階段を上ることが出来る。
    • 大会は1対1のバトルで、通常は4体から8体による総当たり戦を行う。全勝しなくても優勝の可能性はある。
      • 棄権やギブアップも可能。逆にこちらが強くなれば、敵の方から棄権することもある。
    • モンスターは疲れてしまうが、体を動かすからなのか、ストレスは大きく下がる。
    • 敗北すれば怪我をしてしまったり、最悪の場合はそのまま死亡してしまうこともある。
  • 休養
    • 人間と同じようにモンスターにも休みは必要。1週間何もさせずに休ませ、疲れとストレスを取り払うことが出来る。
    • 疲れやストレスがたまっていると寿命が縮む上、仕事を指示しても逃げ出し、勝手に休んでしまうこともある。
    • あまりに酷使しすぎると、小屋を壊して脱走したり、最悪そのままポックリ死んでしまったりする。
      • なお脱走された場合、モンスターが居ないので仕事の収入がなくなる上、脱走した状態で月の初めを迎えると「捜索費」がかかるので、ゲームオーバーの危険性が跳ね上がる。

街の施設

  • モンスターの入手や管理などは街で行う。モンスターを連れていないとファームには行くことができない。
  • モンスター市場
    • 純血種の「ディノ」「ライガー」「スエゾー」の中から好きなモンスターをいつでもいくらでも無料で貰える。
      • このため、本作の目玉であるCD再生を一切行わなくてもクリア可能。
    • モンスターを連れている場合は、そのモンスターを手放す事も出来る。次回作以降とは違い、円盤石再生したモンスターを直後に手放すことができないため、利用頻度はそれなり。
  • モンスター神殿
    • 「円盤石」(CD)からモンスターを再生する。これは特徴の欄で詳しく紹介する。
  • モンスター工房
    • モンスターの管理はここで行う。育てたモンスターを10体まで保存する「冬眠」や、冬眠させたモンスター2体を合わせ、強くて新しいモンスターを作る「合体」などが行える。
      • モンスターを合体させると、能力や技を引き継いで新たなモンスターとして生まれ変わる。寿命が近づいたモンスターは冬眠・合体させるのが基本。
      • 合体時には、モンスターに加えて隠し味のアイテムを混ぜ、隠しモンスターを出したりパラメータを更に上げたり出来る。
      • 冬眠したモンスターは年を取らない。大事な大会があるけれど寿命が不安なときには開催される週まで冬眠させよう。
    • 対人戦をするときには、出したいモンスターを冬眠させておく必要がある。

モンスターの基本

  • モンスターには寿命が設定されている。種類や育て方によって長さはまちまちだが、だいたい3~5年は生きる。
    • だいたい1~2年目で肉体的にピークを迎える。ピーク中は能力の上がりが最もよくなる。
    • ピークに入った時はホリィが教えてくれる他、体の大きさからある程度推察する事も可能。ちなみに、寿命を迎えそうなときも教えてくれる。
      • ちなみに、このゲームでは成長具合(年齢ではない)によってモンスターの大きさが変わる。成長具合を動かさないようにすれば小さいままで10歳なんてモンスターも。
    • また、レアアイテムである「黄金モモ」「卵カブリ」を与えればさらに寿命を延ばすことが出来る。6年以上長生きさせるにはほぼ必須のアイテムである。
  • モンスターは「ライフ」「ちから」「丈夫さ」「命中」「回避」「かしこさ」の6つのパラメータを持つ。
    • それぞれ「体力」「力技の威力」「ダメージの減少」「攻撃命中率」「攻撃回避率」「かしこさ技の威力」にかかわる。
  • モンスターには「忠誠度」というものがあり、これが低いうちは言うことをきかない。具体的には仕事の失敗やバトルでの指示を無視して「意味不明*1」になる確率が高くなる。
    • 内部的には『甘え度』『恐れ度』の2種類に分かれている。モンスターを甘やかして甘え度だけを高くした「溺愛」状態だと仕事の失敗率が上昇し、モンスターに厳しくして恐れ度だけを高くした「スパルタ」状態だとストレスが貯まりやすいため寿命が短くなる。「ふつう」をキープしてバランスよく育てるのが理想。

特徴・評価点

  • 「円盤石再生」というシステムが最大の特徴。
    • これは、PS本体にCDを読み込ませ、その情報からモンスターを再生させるというもの。もちろんCD毎に生まれるモンスターや能力値は違う。
    • また、合体で生み出せず、特定のCDからしか出てこない「レアモン」と呼ばれるものも存在する。
    • 読み込ませるCDはPSのゲームだけでなく、音楽CD、セガサターンやPCEのソフト、パソコン雑誌の付属ディスクなど、CD-ROM規格ディスクなら幅広く使用できる。流石にまだDVDの規格すらなかったので次世代ディスクは厳しいが…。
      • プレイステーション3でプレイすれば、DVDはもちろんブルーレイディスクからも再生可能。
    • このゲームにもポケモン図鑑のようなものがあり、図鑑を完成させてもメリットは特にないが、やりこみ要素としてはかなりのボリューム。
      • 一度でも手に入れたモンスターのポリゴンモデルは自由に鑑賞することができる。
  • モンスターがとても個性的。
    • ゴーレム、ピクシー、ナーガ、ドラゴン、ゴーストなどの他のゲームでも聞いたことがあるぐらいメジャーなものや、恐竜のディノ、動物型モンスターのライガー(名前に反して狼型)、植物型モンスターのプラント等はともかく、黄色い体に大きな目玉としっぽが1本というこのゲームの看板モンスターである「スエゾー」を筆頭に
    • パッと見可愛らしいウサギだが、マーシャルアーツの達人「ハム」
    • 見た目からは想像できないバランスの取れた戦闘力、羽化イベント等様々な要素で優遇されたイモムシの「ワーム」
    • 太陽の塔のような仮面とマント(と時折出る白い本体)だけの「ガリ」
    • ただの黒い板(と度々浮き上がる顔らしきもの)だけの「モノリス」
    • その上記2体の謎を解くと登場する隠しモンスターだがパッと見バスケ選手にしか見えない人型モンスターの「マジン」
    • アイテム集めに謎解き等、再生条件は厳しいもののそれに見合う実力と見た目のインパクトを持つ変形ギミック持ち古代ロボの「ヘンガー」
    • がんばれギンくん…もとい、テクモの別ゲームキャラが元ネタの「ラクガキ」
    • 継ぎ目などが嫌な意味でリアルな猫のぬいぐるみがそのまま動きだしたようなモンスターの「ニャー」
    • どう見ても円盤石そのものだが、本体は中のトカゲの「ディスク」
      • やったことがない人は一見「なんだこれ」と思うようなモンスター達だが、仕草に愛嬌があり、育てていくうちになんだか愛着がわいてくる、そういう不思議な魅力があった。イモムシだってかわいい。
    • 王道モンスター代表のゴーレムですら、今シリーズでは象徴的な攻撃技がでこぴん。当時のテクモスタッフのセンスを感じられる。
    • 基本となるモデルは20系統で、あとは他のモンスターが混ざったりした派生種となっている。一見少ないようにも見えるが、派生種も単なる色違いで終わらず、細かい部分が作り込まれている。
    • 3Dポリゴンだけでなく、仕事や修行で見られる2Dのドット絵もデフォルメされていてかわいらしい。
  • 大会ではモンスター同士を戦わせる。「ガッツ」という技を出すのに必要なものや距離によって出せる技が違うなど、なかなか面白い出来。
    • 相手のライフを0にしてKOさせるだけでなく、技を出されないように相手のガッツを徹底的に削って逃げ切る戦法(通称「ガッツロック」)を取ることもできる。
    • 出せる技は種族毎、ガッツが貯まる早さはモンスターごとに違う。まあ最終的には誰を選んでも戦法次第で勝てるので、見た目で選んでしまうのも良い。
  • 他の大きなイベントとしては、探検が挙げられる。これはモンスターと一緒に未開の地へ行き、そこの遺跡を探索していろいろなアイテムを手に入れるというもの。
    • 隠しモンスターの出現条件になっているため、全モンスターを育てるには必須の作業。そうでなくても、探検限定のアイテムがあったりお金稼ぎに使えたりと何かとお世話になる。
    • 修行と同じくらいの疲労がたまるので、探検の前の週は休養を忘れずに。
      • 余談だが、探検に誘ってくれるおじいさんは実はとっても凄い人。
  • クリア難易度は適度なバランスとなっており、育成シミュレーションゲーム初心者のための救済措置も多い。
    • 育成するモンスターが一体目や二体目ではクリアは厳しい(慣れている人ならば不可能ではない)が、それを合体させて次世代のモンスターにして育てて行けば着実に能力は上がるため、ゲームが上手くない人でもクリアできる事だろう。
    • 全体的にアイテムが非常に強力である。
      • 疲労やストレスを取り除く「香り餅」「冬美草」を初期状態から安価で購入できる。ノーリスクかつ使用制限もないので、育成シミュレーションでありながら長期的な体調管理といった概念とは無縁。
      • わずかな寿命減少と引き換えに修行時のパラメータ成長が劇的にアップする「トロカチンEX」。基本的には大会賞品でのみ手に入るが、年数が進むとショップで販売される*2ため、これを利用すればクリア難易度は大きく下がる。どうしてもクリアできないプレイヤー向けの救済措置とも言える。
      • 寿命と引き換えにパラメータを直接伸ばすアイテムもある。たとえ寿命が尽きても週を送るまでは生きているため、仕上げに寿命を伸ばすアイテムを与えればペナルティをチャラにできる。このため、お金と時間さえかければどんなモンスターでもフルパラメータは容易。
  • ピクシー種はしっかり揺れる。何がって? これテクモのゲームですよ?
    • 成長とともに幼児体型からグラマラスになっていくのも本作ならではの見どころ。
  • BGMは全体的にオーケストラ調で、ヨーロッパ風のデザインにピッタリ。
    • タイトル画面や街、育成関連では軽快でご機嫌な曲調、反面大会やバトル中は勇ましいものが数多く用意されている。
    • ファームのBGMも季節毎に用意されていたり、大会もランク別に6曲存在。成り上がるに連れて壮麗になるバトル曲に、育成モンスターの出世を実感出来る。
    • このオーケストラ路線は『2』『BCPS』にも引き継がれている。*3

問題点

  • 全体的にローディングが多い上に、ソフトリセット(リロード)がない。以下のようにやり直したくなる場面が多いので気になるところである。
    • しかも、メモリーカードにデータがあってもカーソルのデフォルトは「はじめから」である。これを選んでしまうとまたリセットしなければならない。
  • 修行や探検でモンスターが迷子になってしまいやすい。こうなるとプレイヤーとしては待つことしかできなくなる。
    オール999モンスターを作るときや金稼ぎの作業をするときは、いつでもリセットできるよう心の準備を忘れずに。
    • 続編の2では迷子そのものにならなくなり、修行では失敗した時に時々ケガをするようになってたり色々改善されている。
  • ややバグが多い。以下はその一例。
    • 参加できる大会を選択する瞬間に十字キーで操作すると、操作した先の大会に出る事が出来てしまう。
      • 同じ週にひとつ上のランクでも大会が行われていれば格上挑戦が可能。勝てる実力さえあれば有用だが、格上の公式戦に勝ってもランクは1段階しか上がらない。
      • ただし大会のない欄を押すと、「DUMMY ZERO」という名の大会の画面となり、大会開始のアナウンスと名前のないディノ同士が戦っているような映像がエンドレスで流れ続ける。こうなったらリセットするしかない。
      • なお、入力は割とシビアであるため、意図的に狙わなければ発生しないバグである。
      • 次回作では1ランク上への挑戦は標準仕様となり、飛び級も可能になった。
    • 隠しパラメータの潜在能力を上げすぎると仕事失敗が多発するようになる。
      • これは、モンスター同士を合体させることで上がるステータスの上がり幅と仕事の成功率であり、上げれば上がるほどステータスがよく育ち、仕事もこなす優秀なモンスターになる。
      • ところが、最大値150であるはずの潜在値が128を超えると上がり幅は上がるが、仕事の成功率がオーバーフローしてしまい、失敗続きになってしまう。
      • 潜在能力は2体の平均値をベースに加算される。よって128を超えるには「相性の良い合体を行ったモンスター同士で、さらに相性の良い合体」を繰り返す必要がある*4ので、ノーヒントでは発生しづらい。しかし当時の攻略本では強いモンスターを育てる方法として紹介されていたので、それを鵜呑みにして役立たずを作ってしまったプレイヤーは少なくないと思われる。
      • 特に、レアモンスターなどでは潜在能力が最初から高く設定されている場合があるので、一度合体を行っただけで発生することもある。
    • 「寿命と引き換えに次の大会で能力を倍増させる」という触れ込みの「バーニング」「ボムズ」に何の効果もない。
      • もっとも探検のみで入手可能なレアアイテムであり、使用がためらわれる効果の上に高額で売れるので、気付かなかったプレイヤーも多いだろう。
  • 隠しモンスターの解禁方法が全体的に面倒なものが多い。
    • 簡単な方であるドラゴンですら「チャレンジ杯(春)」に優勝→モンスターをAランクにして7月に「協会特別招待試合」の挑戦状を貰いボスに勝利という手順を踏むことで解禁用アイテムを手に入れることができる。…が、問題はこのあとで、ディノパープル(ディノ×ナーガ)とスティンガー(ナーガ×ディノ)に先程のアイテムを使いながら合体というややこしい合体が必要になってくる。
      • 更に、この大会で対峙するドラゴン種「マッカム(純正ドラゴン)」「メギラス(ラグナロックス)」ともにSランクと同等のステータスを誇っており、生半可なモンスターでは勝つことができない。マッカムはレノマウとクワンムが勝ってくれれば勝たなくても優勝できたりするのだが。
    • マジンとラウーに関しては大会がフラグになっておらず、探検で見つけたアイテムを特定レシピで合体させるだけでいいので、ドラゴンよりかは簡単。ただしマジンの合体に必要なモノリスとガリは出現率が低めである。
      • この2体はドラゴンと違って、合体レシピが断片的にしか言及されないので自力で気付きにくいのも難点。
    • ヘンガーに関しては「探検で特定アイテムを4種類集める」「その後大会に勝利して最後のパーツを集めて合体用アイテムを作成する」「かしこさの高いモンスターに遺跡の石版を解読させる」と、複数の手順を踏んでやっと誕生させることができる。対戦相手の「ゴーラ」が上記マッカムやメギラスより幾分弱いのがまだ救いか。
      • 最も解禁が面倒なヘンガーは実は抜け穴があり、マジン種を解放した後「ガトリングブロー(マジンxヘンガー)」をCD*5で2体再生し、合体でヘンガーを作ると条件を無視して解禁できてしまう。
    • 隠しモンスターのうち、ニャーのみ「ショップで売られるアイテムを合体に使うだけ(特定レシピの必要がない)」と解禁条件自体は簡単だが、アイテム入手までゲーム内時間で25年間プレイする必要があるため、結局遠いことには変わりない。
    • ゴースト及びラクガキはどちらも前準備が必要な上に運ゲー。確率自体は低くないためセーブとリセットを繰り返せば上記4種より簡単に出現させることができる。とはいえ、「モンスターを死なせる(死んだら合体できないので育成が無駄になる→普通はリセットする)」「上がった人気を下げる」と、いずれもノーヒントではまず行わない行為が必要。
    • ディスクは隠しモンスターという扱いであるものの、解禁条件は無くCDを再生させるだけでいい。問題はそのCDが当時時代遅れだったPCEソフト『テクモワールドカップスーパーサッカー』と地味にマイナーで流通数が少ないと言われる『レイジレーサー』の2本のみ。ウイイレやリッジじゃダメだったのかよ。
      • 現在では中古のネット通販で容易に購入できるが、1997年当時はPCEソフトを扱っている店は稀になっていたので幻のモンスターのように扱われていた。
    • 一応1度でも合体した後でならCDから再生可能であるが、今作における解禁が必須なモンスターは正規の方法で登場するCDの種類が非常に少ないため、何度も育成するのであればその特定のCDを用意する必要がある。
      • 例えばドラゴン種が登場するCDは2枚しか存在していないので、CDが用意できなければいちいちメギラスを倒して牙を用意する必要がある。
  • 上記のように貴重なモンスターが多いにもかかわらず、モンスターを計10体しか保存(冬眠)できないのは不便。メモリーカードを1ブロックしか使わないのはありがたいが、ブロック数を増やしてもっと多くのモンスターを保存したいと思ったプレイヤーは多いだろう。
    • データのコピーは可能だが、異なるデータ間でモンスターをやりとりすることはできない。対戦用データとしては使用できるが。
  • モンスターの性格の基準になる「まじめさ」が各モンスター毎に固定されている隠しパラメータ扱い。尚且つ、イメージ重視でついている節があり法則性が薄く、攻略本などで確認しないといけない。
    • 一例を挙げると真面目さの値が低い同士の合体である「エンジェル(ピクシー×ガリ)」は全モンスターでもトップクラスの真面目さ70を誇る。(対して逆位置の「ピクセル(ガリ×ピクシー)」はそうでもない。)
      一方で最も不真面目なモンスターは「ラグナロックス(ドラゴン×モノリス)」。「太古の文明を滅ぼすきっかけとなった暗黒の使い」という設定を反映してか、なんと真面目さの数値が5しかない。今作のその他のドラゴンはそこそこ真面目な方。
    • 一応ライガー派生・特殊派生がある程度真面目だったりする程度の法則はある。真面目さが低いモンスターでも忠誠度が高くなれば言うことを聞くようになる。
      • 『2』では「ヨイワル度」として性格が可視化+変動化、『3』は真面目・不真面目以外に細かく性格が設定されて育成やバトルに大きく影響するようになった。
  • 明確な「ラスボス」が存在していない。
    • 一応四大大会のみに出場している「四天王」扱いのレアモンスターはいるが、全体的に他のSランク敵に毛の生えたような能力程度である。
      • 但し夏の四大大会である「グレートモンスターズ杯」のレアモンとして登場するドラゴン「レドント(ドラゴン種xゴーレム種のジハード)」だけは別格で、脅威的な攻撃力故にドラゴンタイプの攻略法を知らないと瞬く間に秒殺され、加えてKO負けすると100%死亡する難敵となっている。
      • 続編以降は「レジェンド杯」という明確なラスボス戦が登場した。*6
  • 初代ということもあり、対戦バランスにやや難がある。
    • 単に「ガッツが貯まっているほど技のダメージが上昇する」という仕様であったために「ガッツが貯まるのが速いモンスター≒最強」という図式が出来てしまった。
      • 今作ではガッツ回復と技の性能を両立したプラント種、特に「ベニヒメソウ(ピクシー派生)」がプラント種の中でもガッツ回復が早く、最強の座に君臨している。事実、後述する「モンスター甲子園」の優勝モンスターは4回中3回がベニヒメソウであった。そうでなかった1回は3体でのチーム戦形式で、優勝チームにベニヒメソウこそ居なかったものの、ベニヒメソウと同じピクシー派生が2匹いた。
        一方で、ガッツ回復の早いピクシー種は技性能が低く、プラントのような人気を得ることができなかった。
      • 次点はワーム系統最速のベニシャクトリ(ピクシー派生)から羽化のマグナビートル(ゴーレム×ワーム)とされている。ゴーレムの高火力とゴーレムにしては破格のガッツ回復速度を併せ持ち、やや反則気味の性能を持っていた。*7
      • 続編の2では「ガッツ回復が遅いモンスターほどガッツを貯めた時の技の威力の上昇率が高い」というように改善されている。

総評

第一作目ゆえの粗さはあるが、モンスターファームシリーズの基盤となった作品だけあり、今なお評価する声のある良作。
中でもCDからモンスターを再生すると言う独特のシステムは好評を博し、大きな話題を生み、そして後のシリーズにも代々受け継がれた(ハードの関係で不可能なGBA版・DS版を除く)。

テクモはそれまでもいろいろな作品を出してきたが、モンスターファームシリーズはそれらにも負けない新たな看板タイトルになるほどの人気が出た。
このゲームはもちろん対人戦も出来るのだが、それの全国大会である「モンスター甲子園」が開催されるほど。


余談

  • 本作を初期型のPS2でプレイすると一部の大会中にフリーズする事がある。
    • 中にはゲームクリアに必須な四大大会の内二つフリーズしてしまう。*8
    • 本作に限った話ではなく、PS2発売以前に発売されたソフトの中には、PS2でプレイすると何らかの不具合が生じる物が少なからずある。
    • 後期型の薄型PS2ではフリーズが解消された。
  • 本作においてプレイヤーの助手であるホリィはモンスターファームの人間キャラの中で根強い人気を誇るキャラである。
    • 次回作の『2』では対抗戦のライバルとして、またGBA版の『アドバンス2』では再び助手キャラとして、再登場をして見せた。
    • アニメ版でも登場し、アニメ版主人公のゲンキと共に冒険をして見せた。
  • 没データとして、規格外の強さの敵モンスターのデータが見つかっている。
    • そのうちハムリーフ(ハムxプラント)の「ハメッド」、スケゾー(スエゾーxゲル)の「マッドキャップ」、レクサス(ガリxディノ)の「アギラル*9」は次回作「2」のFIMBA対抗戦のSランクの対戦相手モンスター、しかもホリィのモンスターとして登場している。
  • 「モンスターファーム~円盤石の秘密~」としてアニメにもなった。ゲームとは全く違うオリジナルのストーリーだが、2期が放送されるほど好評だった。
    • 「モンスターファーム大好きな少年がゲームの中に吸い込まれて冒険」という、いわゆる王道な冒険モノ。その一方で敵・味方問わず死者が多く出る展開が続く、朝アニメとしては重い内容だった。
    • 主役となるモンスターは次回作の目玉だったモッチーに加えてスエゾー、ゴーレム、ハム、ライガーの5体。後続作(『ソロモン』『モンスターファームジャンプ』)でこの5体が主役として抜擢されたり、スエゾーの関西弁設定やライガーのクールな性格がゲームにも逆輸入されるなどの影響もある。
    • また、ゲームで単なるわがまま娘だったピクシーが「冷徹だが、時折善側に付く女幹部」という設定になったりする面白いアレンジも。
  • このゲームは1000年4月1週(月に関係無く4週で1月経過)から始まり、やりこんでいる人は2000年を突破しているらしい。軽く1000年は経過しても姿が全く変わらないホリィさんやその他のキャラの事はいろいろとネタにされまくっている。
    • しかも、ホリィさんは10年経過時と100年経過時にお祝いメッセージを言ってくれる。100年…
  • 特定のCDを再生した際に誕生する突然変異種(後述の「アルデバラン」や「サンプラザ」等の派生種不明モンスター)は、実はCDのトラック総数と総合時間で判別されており、トラック数と時間さえわかればCD-Rで自作する事も可能。
    • 上述したディスクも、この方法を使えば一応手に入れることができる。
  • 1999年2月に次回作『モンスターファーム2』が発売。
    • 本作のメモリーカードがあれば、冬眠させたモンスターを「石盤再生」することができる。パラメータの10%が基本値に上乗せされた状態で生まれる。
    • 本作のCDそのものを円盤石再生するとレアモンが誕生する。その名は「すえきすえぞー」。
      • もとは「モンスター甲子園」で予選に使われていたタイムアタック用の対戦相手で、「ライフと丈夫さが999、回避が1」という極端なパラメータを持っている。そのステータスを再現*10スエゾーのレア種が登場する。
      • 『2』で現在発見されているデータの中で最高の初期値を誇るが、もちろんそんなうまい話があるワケもなく、1週間しか生きられない人工モンスターという扱いで、育成は不可能である。もっとも合体の素材としては問題なく使えるので活用方法はある。
  • 「ラクガキ」以外にも、特殊派生種での「テクモネタ」キャラクターも存在。
    • 『刻命館』を再生すると、館の主である「アルデバラン(マジン種のレアモン)」が再生される。
    • また、『刻命館』のサウンドトラックからは、同作の没キャラ「イヴ(ピクシー種のレアモン)」が登場。
    • 『闘姫伝承 ANGEL EYES』からは同作に登場するクマのぬいぐるみ「キング(ニャーのレアモン)」が登場する。
    • テクモネタ…かは微妙だが、『ギャロップレーサー』からは競走馬のような姿をした、その名も「ギャロップ(ディノ種のレアモン)」が生まれる。
  • 影牢 ~刻命館 真章~』の隠しトラップの一つにスエゾーが降ってきて転がってくるというものがある。
    • ついでに、このゲームを2で円盤石再生させるとエミリアのコスプレをしたようなナーガ「トキビト」が生まれる。
  • イメージソングとして爆風スランプの「モンスター」が使用された。
    • シングルCDを再生すると「サンプラザ」というニャー種のレアモンが登場する。名前の通りサンプラザ中野氏そっくり。なおサンプラザはガッツ回復がニャー種の中で最速である。
    • ちなみに今作の特殊派生モンスターはサンプラザ以外にもピクシー種「プラチナ(GlobeのKEIKO)」やナーガ種「カリビアン(松任谷由実)」、ラクガキ種「ナンゴクラクガキ(鈴木雅之)」等、登場するCDの邦楽アーティストをモチーフにしたと思われるモンスターが数体いる。
  • 本作の話題性は実際かなり大きかったようで、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で本作を題材とした話が作られた程である。作中では両津勘吉が本作をプレイしている様子も描かれている。その話、「CDモンスター!!の巻」は単行本107巻に収録されている。
    • 原作にほぼ忠実なゲーム画面で描かれているが、麗子に借りたクラシックCDからはライガー種らしきオリジナルモンスター(悪魔のような顔付きで鋭角的な翼と尾を持つ)が再生されている。
    • 話の中盤からは、電子少年の電極+と友達の小学生達によって開発されたモンスターファームのオリジナルゲームが題材に変わる。

モンスターファーム(移植版)

【もんすたーふぁーむ】

ジャンル 育成シミュレーションゲーム
対応機種 Nintendo Switch
iOS
Android
発売・開発元 コーエーテクモ
発売日 2019年11月28日(スマホ版)
2019年12月19日(Switch版)
定価 1,980円(税込)
判定 良作
ポイント 当時の内容をほぼそのまま移植
不便な点もそのまま
新規モンスターも少量実装

概要(移植版)

2019年にTwitterの公式アカウントが設立され(リンク)、本作発売から22年後である2019年7月24日に、本作の移植版が配信予定だとアナウンスされた。
ネットワークを介して独自のデータベースからCD名やアーティスト名を検索してモンスターを再生できる仕組みが採用されている。(参考リンク)
それ以外は概ねオリジナル版と同じである。

評価点(移植版)

  • 原作の雰囲気を損なわない忠実な移植
    • 特にBGMは後発の移植版モンスターファーム2がリマスターの結果劣化したことを鑑みると、比較的忠実に移植されているこちらは高評価。
  • ロード時間がほぼ皆無
    • 一瞬懐かしの「Now Loading」が表示されるが、見えたかと思えばすぐに次の画面に移る。
  • 新規モンスターの追加
    • 特に話題となったのはアニメ版のラスボスにして2由来のドラゴン種「ムー」が実装されたこと。その他、キンキライガー(金のライガー)など既存のレアモンを意識したモンスターも実装されている。
      • 既存のレアモンの色違いなども登場している。

問題点(移植版)

  • オートセーブを実装しているのにゲームプレイ中のロードが未実装。
    • 移植版特有の仕様としてスタートボタンを押せば移植版限定の特殊メニューを呼び出し、いつでもタイトルに戻れる。よってセーブ&ロード自体の手間はオリジナルよりはマシになっている。それでも一々ムービーを飛ばす必要があるため手間は手間。
  • 過去作のSTARTボタンが移植版独自のメニューに割り当てられていること。
    • そのため名前入力などがやや不便になっている。
  • デフォルトのセーブ枠が2つと少なめ。
    • 本作唯一の課金要素としてセーブ枠購入が存在する。それほど高くはないがややアコギに感じてしまうか。
  • オンラインに繋いでいないと起動が面倒くさい。
    • 本作の円盤石は個数制で、所持数だけモンスターの再生が可能。円盤石の取得はソシャゲのようなログインボーナス仕様で、オンラインとの連動要素を要するため、オフライン起動が面倒。

総評(移植版)

最新ハードに蘇った本作は非常に快適な移植版として昇華された。懐かしさでプレイするプレイヤーに基本的なプレイの面での面倒を感じさせないつくりも好感が持てる。
音楽データ再生はやや面倒ながら、楽曲の所持の有無を問わず自由に選択できる。
惜しむらくは当時特有の面倒な仕様が放置されたままなことであるが、いずれにせよ、本作は少量とはいえ追加要素もあるため、オリジナル・アーカイブ版を持っているユーザーにも魅力は感じられる作品になっていると言えよう。

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最終更新:2023年10月06日 18:55

*1 アホそうなアクションをとる。その間はガッツ回復が止まる上に回避が大幅に下がるため危険。逆に言えば、相手がコレを発動したらチャンスということでもある。

*2 初めてショップに行ってからゲーム内時間で最短でも33年以上が必要。

*3 『3』では世界観変更か、BGMの雰囲気も大きく変化。完全に番外編の『ジャンプ』はゴキゲンなカントリー調のBGMとなっている。

*4 基本値100からスタートすると、8体のモンスターを合体させていく必要がある。

*5 ミスチルの「マシンガンをぶっ放せ」から再生可能。

*6 『2』では「それぞれの師匠キャラの相棒」という設定のモッチー・スエゾーが、『3』では上記不真面目さで話題になったラグナロックスが「ラグナ」と名を変えて君臨する。

*7 ワームの羽化イベントで現れるモンスターは羽化前のワームのガッツ回復速度を引き継ぐ仕様だった。そのため、最速のベニシャクトリをガッツ回復の遅い系統のモンスターに羽化させることで大幅に強化される。

*8 5月3週のマスターズ・オブ・ブリーディング杯と2月1週のオールスターバトル

*9 こいつだけは「アキレール」と改名

*10 但し『2』で登場するすえきすえぞーは、基本技と「かみつき」のみしか覚えておらず、完全再現はされていない。