I.Q Intelligent Qube

【あいきゅー いんてりじぇんときゅーぶ】

ジャンル パズル
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 シュガーアンドロケッツ
発売日 1997年1月31日
定価 4,800円(税別)
廉価版 PlayStation the Best
1998年7月9日/2,800円(税別)
配信 ゲームアーカイブス
2007年12月26日/600円(税5%込)
判定 良作
I.Qシリーズ
I.Q Intelligent Qube / I.Q FINAL / I.Q REMIX+ / I.Q Mania


□概要

プレイステーションの中期に発売されたアクションパズルゲーム。わかりやすくシンプルなルールとテクニカルな内容で多くのゲーマーから好評を博した。
『ピタゴラスイッチ』『だんご3兄弟』などを手掛けたことでも知られるクリエイター・佐藤雅彦氏が制作を手掛けた。


□ゲームのルール

本作の目的は、画面奥から徐々に転がって迫り来る「キューブ」で構成された「問題」をクリアしていくことである。

フィールドは、ステージごとに決められた四角いマス分に広がる、キューブで構成された平坦な足場で構成されている。
このフィールド上でプレイヤーキャラクター(以下「キャラクター」)を動かし、キューブにつぶされないようにしながら、可能な限り少ない手数で、適切にキューブを消去していかなければならない。

マーキングと解除

  • ○ボタンでキャラクターの立つ足場に1つだけ「マーキング」を行うことができる。
    もう一度○ボタンを押すことでマーキングが青色から赤色に変化し、その上に重なったキューブを「捕獲」してフィールドから消滅させる。
    キューブが一歩進む毎に赤いマークは消えるため、普通は一歩ごとに一個ずつ…というのが基本。
    • 何らかの手段でキューブを捕獲する毎に、一旦キューブの回転が一時的に停止する。後述のアドバンテージゾーンは停止中に爆発させた場合は即座に捕獲が行われる。
  • 問題として転がってくるキューブには、ステージと同じ材質で何の効果もない「ノーマルキューブ」、緑色に輝く「アドバンテージキューブ」、漆黒の「フォービドゥンキューブ」の3種類が存在する。
    • アドバンテージキューブを捕獲すると、その地点に緑色のマーク(アドバンテージゾーン)が残る。
      1つ以上緑マークがある状態で△ボタンを押すと、全ての「アドバンテージゾーンを爆破」し、緑マーク中心の3×3マスに赤マークを展開してキューブを捕獲する。
      ただし青いマークがこの操作で赤いマークに上書きされることはない。
    • フォービドゥンキューブは捕獲してはならないキューブである。捕獲せずに避け、後方に「流して」フィールド外に落とすことで処理する。誤って捕獲してしまうと、フィールドが手前側から一個に付き一行崩壊してしまい、その問題は失敗となる。
  • 上記の通りのアクションを駆使し、マーキングと捕獲を繰り返してフォービドゥン以外の全てのキューブを捕獲し、残ったフォービドゥンキューブを流すことで問題はクリアとなる。
    • キューブは□ボタンで早送り可能。捕獲したい位置にキューブを早く移動させたい時や、残ったフォービドゥンキューブを手早く流したい時に使う。
    • クリア可否にかかわらずステージは進行するが、問題クリア時にはボーナスとしてキューブ一行分フィールドが拡張され、問題を解く余裕が増えていく。余裕をもって問題を解くためにはできうる限りクリアを目指していく必要がある。

ステージクリアとミス&ゲームオーバー

  • フォービドゥンキューブを一つ捕獲してしまうとフィールドが手前側から一行崩壊しノーボーナスになることは先述した通り。
    • またフォービドゥン以外のキューブを一つでもステージ外に流してしまうとノーボーナス。さらにフィールドの横幅分の数を落としてしまうとフィールドが1行ずつ崩壊する。
  • キューブにキャラクターが押しつぶされた場合、その時点で問題は失敗扱いとなってすべてのキューブが後方へと自動で高速回転して流されてしまい、次のキューブに同じ問題が与えられる。
    • この時に限り、フォービドゥンキューブもフィールド崩壊の一因としてカウントされてしまう。そうなると少なくとも1行崩壊・大抵は複数行崩壊が避けられない。
      • ただし潰されてもマーキング・捕獲・爆発だけはまだ可能。捕獲時にキューブの回転が一時停止するのも変わっていない。さすがに高速回転中にキューブを捕獲するタイミングを掴むのは相当キツイが、うまくやれば被害を減らせる。
      • その問題にフォービドゥンキューブが全くなかった場合、潰されても全てのキューブを捕獲できれば「Perfect!」になる。
    • キャラクターがフィールドの崩落や問題キューブ出現に巻き込まれて転落してしまった場合、ゲームオーバーとなる。
      • フィールドの崩壊そのものはゲームオーバーの条件ではないが、キューブの落下までの猶予と足場が減るため、確実に破滅に近づいていく。ステージ末尾で踏み潰されようものなら即死しかねない。
      • 転落時のキャラクターの断末魔「オォオオオオオー!!」が耳に残っているプレイヤーも多いことだろう。
  • 問題の出題は奥から手前に向かってキューブがせりあがるという演出でなされるため、クリア後にステージの奥に行き過ぎるとせりあがるキューブに巻き込まれ、コロコロと転がり落ちてフィールドに振り落とされてしまう。
    • フィールドの状況によっては、立ち上がる間もなくキューブに潰されたり、そのまま足場の端から落下してゲームオーバーになってしまうこともあるので注意が必要。
  • 各ステージ4ラウンド制。全ての問題が終了した時に生き残っていればステージクリア。
    • 先述通りステージクリアに問題のクリア成否そのものは問われないが、ラウンドごとに一定列のキューブがフィールド上に再配置されるため、この時に一定以上の行数がないと足切りとなって転落が確定する。
    • そしてステージを経るごとにフィールドは前後左右に拡大し、問題もまた拡大・複雑化していく。

スコアとI.Q
スコアは以下の条件で加算される。

  • マーキングによりノーマル・アドバンテージキューブを捕獲:1個につき+100
  • アドバンテージゾーンの爆発を使用した歩数でノーマル・アドバンテージキューブを捕獲:1個につき+200
    爆発とマーキング捕獲を同じ歩数で行った場合、マーキングによる捕獲分も+200になる。
    • 不要なアドバンテージゾーンが出来た時、適当なところで爆発させて同時にマーキングによる捕獲を行えば、100点稼げる。爆発範囲内にキューブがある必要はない。
  • 当然だがフォービドゥンキューブは捕獲しても0点。
  • ステージクリア時、残った足場1行につき+1000。
  • 模範歩数
    • 問題をクリアすると、最初にキューブを消した時点を1歩目とし、最後の消すべきキューブの捕獲までに進んだ歩数によってボーナス得点が得られる。
      • 問題毎の「模範歩数」ぴったりに解くと+5000、それを一歩でもオーバーすると+1000点に下がる。なお、模範歩数より少ない手数で問題をクリアするとボーナスは+10000へと倍増。
  • I.Qはこのゲームオリジナルの「もう一つのスコア」である。
    • ステージごとに獲得したスコアや各種設定などからI.Qが算出される。
      基本的にスコアが高いほどI.Qも増えるが、前半のステージ(特にStage1,2)で確実に模範歩数以内でPerfect!を取るほど更に増えやすい模様
      逆にStage Finalで全ての問題をPerfect!してもあまり稼げない。
      • 同じスコアでも、OPTIONでゲームの難易度を上げていればI.Qは上昇する。

□評価点

  • シンプルなルールと、奥深いゲーム性
    • このゲームは使用ボタンは3つのみ(マーキング/マーキング解除、アドバンテージゾーン爆破、問題の速流し)。
    • 一見複雑に見えるが、ルールを要約すれば「いかに早く黒色以外のキューブを全部消すか」という一文に集約できる。とっつきやすさは悪くない。
    • そのシンプルさの反面、ゲーム性は奥深い。一見理不尽に見える複雑な問題であっても、きちんと反射神経と思考を駆使すれば模範歩数以内に解くことが可能である。
      • 思考を極限まで研ぎ澄まし、模範歩数以内に問題を解き終えた時の快感は『ぷよぷよ』の連鎖を組み上げた時に通ずる爽快感がある。
      • 問題の解き方は一つではない。後述するアクションテクニックの数々を駆使することで歩数を模範以上に切り詰めてしまうことまで可能。こういったアクションテクニックを会得してからは、自分だけの回答パターンを組み上げる更なる楽しみが待っている。
  • 様々なテクニック
    • 一見抜けられないキューブの隙間をくぐり抜ける「斜め抜け」や、マーキングを使ってアドバンテージゾーンの爆発から主にフォービドゥンキューブを保護する「キューブ保護」、素早いマーキングで同時に多数のキューブを捕獲する「n個消し」など、本作はスコアで更なる高みを目指すための小技が数多く用意されている。
      これらを修得することで、より素早く、より効率的に問題を解ける。高みを目指す上級者にとってはたまらない要素である。
    • もちろん、これらの小技はプレイヤーの鍛え抜かれた思考と操作技術があってこそ。決してゲーム性を破壊するような手軽な裏技ではなく、アクション仕様の延長線上にあるものである。
    • それを裏付けるように、ほぼ全ての問題での模範手数はこれらのテクニックを一切使わずに達成できる。
  • 独特な世界観と緊張感
    • パズルらしく多くを語らず、威圧感とともに迫りくるキューブを沈めて生き残らなくてはならないというサバイバルホラーを思わせる独特な世界観が、ゲーム性の緊張感を高めている。
  • BGMを担当するのは『機動戦艦ナデシコ』『王様のレストラン』などで有名な服部隆之氏。
    • 服部氏が得意とする荘厳なオーケストラサウンドによる、映画音楽を思わせる臨場感溢れる楽曲は、常時緊迫感と隣り合わせの本作のゲーム性と、無駄を削ぎ落としたシンプルかつクールな世界観との親和性がかなり高い。
      • 知名度こそ低いものの、今でも本作のBGMを優れたゲームBGMとして推すゲーマーが少なくないことからもその人気が窺い知れる。

■問題点

  • 難しい。
    • シンプルさは評価できるものの、慣れるまでは後述の欠点とあいまってミスを連発しがち。中盤からは咄嗟には解けない、と思わされるほど判断の難しい問題が頻発しだす。そうこうして迷っているうちにキューブに踏みつぶされて…という展開はほとんどのプレイヤーが体験した苦い思い出であろう。
    • よしんば問題をクリアするまでに行き着いたとしても、中盤以降で模範歩数以内を目指すのは結構大変。ここまで来ると素早く回る頭だけでなく、無駄のないアクションや決断力も求められるのがキツい。
      • 一応、問題の完全攻略を目指さずステージクリア…「全問通過まで生き残る事」を目指すだけなら難易度はやや下がる。ステージ毎の4ラウンド目までくれば、問題を成功できずとも足場の貯金を切り崩しながらごり押せるようになる。
      • 最終ステージから始められる裏技もあるので、エンディングを見る「だけ」ならハードルはそこそこ低い。
  • ゲーム性以外の部分で難易度を上げていると思しき面が見受けられる。
    • 特によく指摘されるのがハーフトップビュー。これにより迫力は出ているものの、キューブの位置関係やマーキングの位置を掴みづらい。「あれさえなければ…」と嘆くプレイヤーは少なくなかった。
    • ノーマルキューブとステージの床は同じ材質なので、一部ステージではノーマルキューブが見づらい。色によってはマーカーも見づらい。というか最終面はマーカー上の目印が表示されないという仕様もある。
  • エンディング
    • ゲームをクリアすると当然ながらエンディングが流れ、専用のムービーとナレーションが流れるのだが…このエンディングのナレーションが全て英語。字幕も存在しない。
      • このことから一部のプレイヤーからは「洋ゲーをローカライズしたのでは?」という疑惑を持たれたが、本作はれっきとした国産のゲームである。

□総評

ぷよぷよ』や『テトリス』には知名度でこそ劣るものの、完成度は偉大なパズルゲーの先輩にも勝るとも劣らない。
「脳は戦う」のキャッチコピーの通り、思考と反射の限界に挑戦したいアクションパズルゲーマーにはぜひお勧めしたい一作。
無機質なキューブの織り成す問題の数々は、あなたの脳を活性化させてくれるはずだ。


□余談

  • 海外では『KURUSHI』と云うタイトルでリリースされている。
  • 前述のとおり、本シリーズでゲーム終了後に算出される「I.Q」と呼ばれる数値は知能指数のことではなく本作独自のスコア単位である。
    • つまり高得点を取って500以上のI.Qを獲得しても「金田一少年以上の天才だ!ヒャッハー!!」とはならないので注意。
  • 本作のタイトルは『I.Q』。Iの後のみにピリオドが付く。『IQ』でも『I.Q.』でもない。
  • 先述した通り「オール英語・字幕なし」という不可解な内容で多くのプレイヤーを困惑させたエンディングだが、内容を解読できたプレイヤーの間ではそこそこ評価は高い。中には「並の泣きゲーよりよっぽど心に染みる」というプレイヤーも。
  • 「キューブ」「パズル」「謎解き」というキーワードを聞くと同年に公開されたヴィンチェンゾ・ナタリ監督のホラー映画『CUBE』を連想しがちだが、本作はそれらとは一切関連性はない。
  • 様々な名作CMやテレビ番組などを手がけたメディアクリエイター・佐藤雅彦氏が制作に携わっている。
    • 自宅から向かいのマンションを見ている際に思い浮かんだ、「真っ白な空間に巨大なものが転がってくきて逃げ惑う人々」というイメージが思い浮かび、鮮烈なそのイメージにゲームというものへのとっかかりを見出してソニーへ企画を持ち込んだものの、頼る伝手もなくにべもなく追い返されようとしたところ、偶然通りかかったSCE副社長丸山茂雄氏に興味を示され、かろうじてプレゼンにこぎつけた。
    • しかし集まった人々の多くが、氏がゲーム制作に関して丸きりの素人だった(RPGというジャンルのことすら知らなかった)ことに失望して席を立ったという。
      その場に残ったたった3人の中には、後にシリーズのプロデューサーとなる山元哲治氏がおり、RPG全盛期だった当時に彼が抱いていた「何かこれまでとは違ったものを作りたい」という意欲も助けとなって、彼が率いるチームの下で実制作がスタートした。
      • その後、具体的なゲーム性を模索する日々が続き、基本的なルール、スコア表示などの細かい部分、コンピューターの自動生成では完成できない純粋な面白さを追求した問題の実現に苦労を費やしたという。
  • その後、Playstation Storeにてダウンロード専売でアップレンダリングによる高画質とトロフィー機能を搭載したPS4/PS5版が発売された。
    • クイックセーブと巻き戻し機能も追加されているため、間違えたとしてもやり直せるので簡単にクリアが可能で、最短を目指すと1時間もかからずゴールドトロフィーも10個と多いのでトロフィーレベルを上げたい人にもおすすめ。
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最終更新:2024年01月28日 11:49