絶体絶命でんぢゃらすじーさん3 ~果てしなき魔物語~
【ぜったいぜつめいでんぢゃらすじーさんすりー はてしなきまものがたり】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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メディア
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64MbitROMカートリッジ
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発売元
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キッズステーション
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開発元
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六面堂
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発売日
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2004年12月16日
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定価
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4,800円 (税別)
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判定
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なし
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ポイント
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ゲームとしては前2作より遙かに無難でまとも しかしじーさんのキャラゲーとして見ると… バカゲー要素は大きく後退 何故か冷遇されているゲベ
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絶体絶命でんぢゃらすじーさんシリーズ
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概要
『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』のGBA向け第3弾。ただし、間にスピンオフの『絶対服従ばいおれんす校長』が入るので、ナンバリングは3だが実質4作目。
今回はキャラクター切り替え制の2Dアクションにジャンルを変えている。
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ストーリーは、まごの読書感想文の宿題のためにじーさんたちがおとぎ話の世界に入る、というもの。
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ギャグ全開だった前作、前々作と異なりオープニングは終始シリアス。後に何度か公開される大長編シリーズに似た雰囲気がある。
システム
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Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃というごく普通のライフ制2Dアクション。ステージ内を進んでゴールにたどり着くのが目的。
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ステージ内は自由に動けるが、扉は基本的に一方通行なので、一度進むと戻ってこれない事が大半。
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ステージは6個で一つのワールドになっており、クリア済みのステージへの出入りは自由。
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ストーリー序盤でじーさん、まご、校長、ゲベの4人のキャラクターが揃い、以降これらのキャラクターを切り替えながら進めることになる。キャラクター入れ替え制限は特にない。
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各キャラクターには自身の性能を変化させる5種類の能力(デフォルト=無能力含む)と固有のソリアクションとおたすけアクションがある。ソリというのは仲間が乗っているソリであり、常に操作キャラの後方についている。能力はストーリー進行や宝箱から手に入る。
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ソリアクションはRボタンで発動する。現在の操作キャラの技が発動する。いずれも搭乗者が酷い目に会うものばかり(後述)だが、ダメージやペナルティなどはない。
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おたすけアクションは下+Bで発動する。メニューでサブに設定したキャラの技が発動する。
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アイテムは体力回復の桃とコレクションアイテムの星の2種類とシンプル。
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星は一つのワールド内で30個集めると、隠しステージに行ける。
キャラクター
評価点
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アクションとしては非常にオーソドックスで無難な出来。
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全体に操作性は軽快で、ストレスを感じる場面は少ない。ステージの構造もほどほどに練られており、謎解きも多少だが存在する。
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隠しステージを出現させるのに必要な「星」は獲得した時点で結果に反映され、仮にステージ途中でやられたとしても既に入手したものとして扱われる。
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キャラクター切り替えはメニューに行かなくてもL+十字キーでも可能で、煩わしさが少ない(ただ、この方法だとおたすけキャラの変更が出来ない)。
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ただし、この点はゲーム内で説明されないので、気がつかなかったら事あるごとにメニューを開くことになってしまう。
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ボスの行動パターンも多彩で、ラスボスはかなり手強い。またとある条件を満たすと最強のあの人物が隠しボスとして…?
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結果に関係なくステージを終えるたびに即オートセーブが入る。待ち時間が殆どと言っていいほどなく、やめたい時にすぐにやめる事ができる。
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エンディングの展開はラスボスを倒した際の残りHPの量で変わる。無傷かそれに近い状態で倒せばハッピーエンドとなるが、瀕死の状態で倒すと酷いエンディングになる。
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もっとも、原作自体がバッドエンド的なオチを地で行くような作品のため、そこに鬱要素といったものは皆無である。
+
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とはいうものの…。※エンディングまでのネタバレ
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エンディングの内、絵本を作ろうとしたじーさんがアダルト風に大胆にアレンジする場面が存在する。CERO仕事しろ
当然の如く呆れた孫に警察に通報されるが、子供向けの作品としてアウトなエンディングはどうなのか...。
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グラフィックレベルは高め。アニメーションパターンも多い。
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過去作同様、BGMのセンスはなかなか。ただしサウンドテストはない。
問題点
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じーさんのゲームとしては期待外れにも程がある。
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前3作はいずれもいい意味でも悪い意味でもゲームの常識を覆すようなトンデモない内容であった。それだけにゲームの作りとしては粗い面も多々あったが、「じーさんのゲーム」という一面から見ると間違いなく名作と言っていい作品群である。
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しかし本作はシステム的にもストーリー的にも手堅くまとまりすぎている感があり、正直はっちゃけ度という面では過去作の足下にも及ばない。バカゲー的要素は極端に削られており、精々ステージ間のじーさんたちのかけあいと、ところどころに置いてある意味不明な文言が書かれた看板ぐらい。敵もおとぎばなしのキャラクターとして無難なセンス(魔女、狼、鬼など)でかなり地味。
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ストーリーも一応大長編に則った感動系のストーリーなのだが、ラスボスが唐突にパワーアップするなど、純粋におかしな点(バカな点にあらず)も見受けられる。
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もっとも、実際に原作の大長編でもこのような話はある。中には黒幕が姿を現してから3ページ程度で倒してしまうケースもある。
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原作キャラも、メイン4人の他はゲストの最強さんぐらいで、他はほぼ完全にオリジナルである。
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キャラクター間の格差。
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基本的に校長が一番使いやすい。二段ジャンプが可能なジャンプシューズの性能が圧倒的であり、ステージ中はほぼこれ一本で進める。また、比較的序盤で手に入るバズーカも連射性能が高く敵を貫通するので使いやすい。ソリアクションも高火力で上方の敵を攻撃しやすく(ただ隙は大きい)、おたすけも校長を使っている間は使えないとはいえ、広範囲をカバーできる優秀な技。通常攻撃とジェットブーツがごく限られた場面でしか役に立たない・火炎放射器の入手時期が遅すぎるなどの難点も一応あるが、ジャンプシューズの余りある性能がそれを補っている。
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原作ではもっぱら弱小キャラとして扱われ、「パズドラZ」でもリーダースキルが「えいえんのやられやく」になっていたりモンスター図鑑の解説にも「永遠のやられ役」と記載されていた程なのだが…
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逆に冷遇されているのはゲベ。遠距離攻撃のキイロのルビーとアカのルビーは類似スペックの校長のバズーカに比べて使いづらさが目立ち、アオのルビーが効力を発揮する水中面はたったの2箇所。ソリアクションは移動専用で戦闘に関わらず、おたすけの全体攻撃はリスクが大きくじーさんのジャイアントスイング辺りを使ったほうが安全。極め付けに通常攻撃は序盤しか役に立たない死にステとあって、実際に使えるのは壁ジャンプのできるミドリのルビーだけという有様。原作のゲベは一二を争う強キャラとして認知されているだけに、本作での難点だらけのスペックはかなり違和感があるといえる。
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ストーリーもほぼじーさんと校長のかけあい&まごのツッコミだけで進行し、ゲベの台詞が極端に少ないという問題がある。本作中でゲベが人語(擬音などを除く)を話す回数はたったの4回。おまけにその内の一回は「でばん すくねえよ」という台詞。自覚はあったのだろう。
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じーさんは、穴への落下を防止できるニワトリじーさんや安定打のジャイアントスイングなどが使い勝手に優れ、ボス戦はロボじーさんで高火力を発揮できるなど、全体的に癖が少なく使いやすい。また、謎解きに必須となる場面が多く必然的に使用回数は増える。
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まごは雑魚相手だと召喚技の隙が大きくて使いにくいが、ボス戦では高い火力を活かして戦える。特に4段ヒットするブレーメンの音楽隊の火力は優秀(ステージ構造上最終ボスには使いにくいが)。難点は桃太郎があるボス戦以外では全く役に立たない事と、おたすけが謎解きにしか使えないことくらい。
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ボスによっては与えるダメージの増える有効な武器が存在するが、中にはそのボスより後に登場する武器もある。当然そんなタイミングで入手できても自己満足にしかならない。その後であっても十分に使い物になるが。
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一応、一度倒したともボスのステージに入れば再戦はできる。特に報酬などはないが。
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残機数の設定がなく、体力がゼロになると即ゲームオーバー。ボス戦で負けると長いアクションステージを超えてもう一度戦う必要があるので面倒。
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ボス戦前の会話イベントは2回目以降はショートバージョンになり、すぐ再戦できるという配慮はある。が、なぜか隠しボスだけはショートバージョンがなく常に長い会話イベントを聞かされる。
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「ジャンプシューズ」入手後はそちらを使わないと進めない、または進みにくいステージがちょくちょく出てくる。他の能力をメインで進んでいる場合はいちいちそちらに切り替えないといけないので結構面倒。
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結果として「最初から最後までジャンプシューズで行くのが一番」という感が強くなり、他の能力を楽しむ余地が少なくなってしまう。
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ステージクリア後は体力回復の桃を入手できるミニゲームに突入するが、癖があり大幅に回復させるのが意外と難しい。
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一方でゲームオーバーからコンティニューするとHPが必ず全回復する。そのため、瀕死のダメージを受けた場合は桃を集めて回復するよりも、わざとゲームオーバーになったほうが早く済む事もある。
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また、星を取ってステージから出たくなっても出る手段がゴールまで進むかゲームオーバーになるしかない。
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「ブレーメンの音楽隊」を召喚した際のSEは非常に前衛的なもので、正直言ってかなり鬱陶しい。
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最初こそ笑えるものの次第にその煩さが気になってくる。有用な能力の一つのためにプレイヤーによっては使用する機会が多くなるのも、この問題に拍車をかけているといえる。
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倒したザコ敵は1画面分ほどスクロールすると復活するシステム。画面が頻繁に切り替わるステージや難易度の高いステージでは面倒に感じる事も少なくない。
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初回限定版の特典ゲーム「曽山の大冒険」が存在し、初回版以降の版では遊べない。初回限定特典というのはよくある話だが、それをゲーム中にやらかしてしまうのはいかがなものか。ちなみに内容は原作者の曽山が夏休みを求めて担当のニー・シマキを倒すという短編。
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基本的な進め方は本編と全く同じだが、ソリアクションとおたすけも含め特殊能力が一切使えない、HPが3ポイントと少ない、回復アイテムが配置されていない、ステージ自体に敵と障害物がかなり多いなど難易度は全体的に高め。そのためボスのニー・シマキも手強いが、実はとあるボスのモーションを使い回しているので、そちらの行動パターンを知っていれば多少は楽になる。
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なお、見事勝利しても作者が馬鹿笑いする1枚絵が表示されるだけで、それ以上の報酬はない。もっとも、あったらあったで初回版と通常版に更なる格差が生まれてしまうので、その辺は仕方がないだろう。
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ゲームオーバー時の1枚絵はボコボコにされた作者が鬼の角を生やしたニー・シマキに睨まれながら徹夜で仕事をしているというもの。
ご多忙であったことに対する作者なりの愚痴だろうか…
総評
単体のゲームとして見ると、間違いなく進化しており純粋なアクションとしては佳作レベル。
しかしかなり独特な作風のバカゲーであった過去作と比べるとバカゲーとしては退化しており、キャラゲーとして一概に評価出来るともいいがたい。
アクション要素を求めるにしても抜きん出た魅力があるとは言えない「可もなく不可もなし」な出来で笑えない粗や調整不足な点も多く、もっと良質なアクションが山ほどあるGBAであえてこれを選ぶ理由もない。
バカゲー要素が薄まった事で微妙な点を露呈する形となり、無難な方向に走りすぎて失敗してしまった作品だろう。
余談
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初回限定版には上記のおまけステージ「曽山の大冒険」とは別に、作者書き下ろしの絵本「せいねんとせきぞう」が付いてきた。
最終更新:2023年05月18日 18:19