カルネージハート

【かるねーじはーと】

ジャンル シミュレーション
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 アートディンク
発売日 1995年12月8日
定価 6,800円
廉価版 ARTDINK BEST CHOICE:2000年1月6日/2,800円
SuperLite 1500:2003年4月24日/1,500円
判定 良作


ストーリー

宇宙での鉱産資源採掘が進められていた2032年、月面での採掘権を巡ってフランス・ブラジル間での紛争が勃発。この紛争で無人機動兵器オーバー・キル・エンジン(OKE)が初めて導入された。以後、OKEを駆使した各国間の紛争が激化。事態を収拾すべく2035年に世界連合は”SMRPA”(Space Mining Resource Association)宇宙資源探査協会を設立。SMRPAの尽力により、かろうじて世界は秩序を取り戻せた。
そして28年後、木星の3つの衛星での鉱物資源がきっかけとなって再び各国間による採掘権争いが勃発。SMRPAはその監視を開始。だが、キャッチしたのは世界的な超巨大企業連合「ドラッケン」グループの怪しい動き。そして世界連合とドラッケンの対立は、木星の衛星を舞台とした世界的に例を見ない国家連合対企業連合という戦争へと発展するのであった‥‥


概要

  • A列車で行こうシリーズ』や『The ATLAS』シリーズでSLG製作に定評のあるアートディンクによるウォーSLG。前述のシリーズがパソコンからの移植であるのに対し、本作はプレイステーションオリジナルのタイトルである。
  • 木星の衛星を舞台にした無人機動兵器「オーバー・キル・エンジン(OKE)」による陣地戦。OKEを開発・設計・生産して敵OKEを排除しつつマップ上の基地を占領し、全ての基地を占領すればステージクリア。資金と兵器開発状況が繰り越しになるキャンペーン形式でステージを攻略していく。
  • ゲームのメインはキャンペーン形式のシナリオモードであるが、シナリオモードで作成したOKEのデータを持ち寄って戦わせることのできる対戦モードもある。
  • PCゲームで古くから存在する「プログラミングゲーム」と呼ばれるジャンルをコンシューマーに持ち込んだ作品である。

特徴・評価点

無人機動兵器-オーバー・キル・エンジン

  • このゲームの最大の特徴は、SLGで言うところのユニットを構成するOKEについて、「OKEの機体設計はもちろん、戦闘プログラムの設計もしなければならない」点にある。ユニットの種類や装備品のカスタマイズはSLGとしては珍しくもない要素であるが、OKEはなんと戦闘時には手動で動かせず、OKEに搭載されたプログラムの通りにしか動かない*1。そして戦闘プログラムの設計はプレイヤーの仕事である。
  • 機体設計・プログラム設計はコンピュータ任せ(登場人物が組んだもの)にすることはできるが、基本的に実用とは程遠い弱さのため、強いプログラムや思い通りの動きが欲しかったら自分で頑張るしかない。

と、こう書くと非常にハードルが高いように思えるが、プログラム制作自体は小難しいコードなど一切ない。

  • 本作のプログラム制作とは、端的に言えば「フローチャートをマス目に敷き詰めていく」作業である*2
    • 大別して、攻撃や移動を行う命令チップと、その時点での様々な情報を元に分岐する条件判断のチップの二種類を組み合わせるが、「敵に向かって移動」といった都合のいいチップはないため、索敵を行うチップで「前方角度○度・範囲○m以内に敵がいるかどうか」を設定して分岐させ、分岐先のマスに「YESなら前進チップ、NOなら左旋回チップ」を配置し、処理を組み合わせていく。
    • よって、大雑把な流れとしては、攻撃・移動・索敵などの行動要素となるチップを貼り付け、処理の流れを作ることが本作のプログラム制作といえる。分岐やカウンタもあり、ROMが許す限りではあるが複雑かつ柔軟な行動パターンの構築も可能である。
      • このプログラムの設計は機体設計以上に重要であり、うまく組めば驚異的に強くなる反面、組み方がまずいと障害物めがけて延々とレーザーを撃ったり、敵を目の前にしながらクルクル回るだけという事も起きる。
      • 前述したように、索敵・旋回を駆使して細かく指示しなければならない。回避についても、「前方90度・範囲100m以内に飛来物があれば、1/2の確率で右・左にジャンプ」のようにまず飛来物の探索から行わねばならないのだが、つまりそれだけ条件を正確に設定でき、プレイヤーのアイディア次第で非常に個性的に制作できる。この計り知れないOKE設計の奥の深さこそがカルネージハートの特徴であり、最大の長所である。
      • 最初から使える二足歩行型の「月影」ですら、プログラム設計次第では最強クラスのOKEになれる可能性を秘めている。横山宏氏デザインのOKEが活躍し、ストイックな雰囲気も味わい深い。
  • 登場するOKEは4カテゴリに各3種類の合計12種。
    • 二足歩行型(月影・ジュジュマン・火影)
      • 小型でジャンプによる高い回避能力を持つ反面、エンジン効率の悪さから搭載能力に欠けるため薄い軽装甲材しか積めない。メイン武装の同時射撃数が1~2と少ないものの、それを補ってあまりある強力な格闘を併せ持つ。
      • このゲームの格闘は、一度決まればいかなる厚い装甲を積んだ相手でもほぼ確実に標的を撃破できるという強力なもので、本カテゴリの重要な攻撃方法の一つとなっている。
    • 多脚型(ファイアインセクト・塵界・ゾルダード)
      • 二足歩行型よりエンジン効率が高く攻撃性能のスペックも同等以上、さらに二足歩行型と違い上半身が回転するため瞬時に狙いを変える事ができる。格闘も可能で、こちらも一度決まれば撃破がほぼ確定するのは同じ。ただし移動速度の遅さや中途半端な回避能力が足を引っ張っており、また全体的に挙動が重いため強い機体を作るのは難しい。
    • 車両型(クーゲル・クラッベ・ワイルドボア)
      • 全カテゴリで最もエンジン効率に優れ、非常に厚い装甲を積む事ができる。武装の搭載量も抜群で、メイン射撃の発射数も多い。しかし車両特性ゆえに移動系のプログラムチップの制約が非常に多く、基本的に前進後退と旋回のみで左右移動すらできない。このため敵の攻撃に反応しての回避は事実上不可能で、プログラムの製作に難儀する。ただし移動速度自体は飛行型に次いで速く、移動中の車両型をアサルトやレーザーで射抜くのは容易ではない。
      • このカテゴリも全て上半身(というより砲塔)が回転する。また、メイン武装のうちショットガンが装備できない。
    • 飛行型(リヒター・プロキュルール・サンダーラプター)
      • 後発の登場となる飛行型は常に滞空する特殊なカテゴリで、エンジン効率は最低で装甲も薄いなど防御面はずたぼろだが、優れた攻撃能力により回避プログラムさえきちんと組む事ができれば非常に頼もしい制圧力を発揮する。難点は登場が遅い上に全体的に工数(生産にかかる時間)が高い事で、量産が難しい。
      • このカテゴリではリヒターのみ旋回可能な砲塔を持つ。
    • タイプによっては一長一短どころか長所・短所のいずれかが極端すぎるということもある。タイプが変わればプログラムはほとんど流用できないため、タイプ別・目的別にプログラムを組むのもポイントである。
  • OKEの構成は全て共通であり、前述した12種を基本フレームとして、エンジン・メイン武装・サブ武装・中央処理装置・装甲・燃料タンク・オプション装備をそれぞれ設定する。
    • エンジンはOKEの積載能力と稼働時間に関係するが、その出力はOKEの各々に設定された「エンジン効率」で変動する。車両型は最大で100%のエンジン効率を持ち、それはエンジン出力がカタログスペック通りに得られる事を意味する。逆に飛行型は効率が悪く、高出力のエンジンを積んでも積載能力があまり向上せず、重くて厚い装甲を積む事はできない。
    • メイン武装は文字通りOKEの主力となる武器を決定する。アサルト・レーザー・ショットガンの3つがあり、同時に弾倉(レーザーは発信器)もセットで設定する。火力や弾数は弾倉に依存する。
    • サブ武装はOKEの火力を補助する特殊装備で、メイン武装に比べ弾数は僅かしかないが、火力に秀でている。小型ミサイル・大型ミサイル・ロケット・地雷・機雷がある。搭載弾数はOKEの種類に依存している。例えば、月影は最大で8連小型ミサイル・単装大型ミサイル・8連ロケットを装備でき、地雷・機雷は扱えない。
    • 中央処理装置はプログラムの処理能力に関係し、処理速度は低速・中速・高速に分けられ、さらにソフトウェアのテーブルの大きさも決まる。テーブルの大きさは初期のもので8×8、最高のもので14×14。
    • 装甲はダメージを軽減する(HPはOKEごとに固定)。種類としては25mm~150mmのものがあるが、ワンランク厚くなるごとに重量も大幅に増加するため、非力なエンジンでは厚い装甲を積む事ができない。
    • 燃料タンクは文字通りで、エンジンの燃料消費量との関係によりOKEの稼働時間が決まる。
    • オプション装備は冷却装置・ミサイル誘導妨害・修復装置の三種類があるが、他と異なり必須装備ではない。
  • 上記の兵器や新型OKEの開発は各国軍需企業が行っているのだが、ここでも敵陣営ドラッケンとの競争がある。
    • 各兵器にはターンによる開発開始段階と開発期間数があり、それぞれ研究投資を行うと開発期間を短く出来る他、窓口の担当者との好感度がアップする(これを消費して敵側の兵器購入情報を「買う」事ができる)、設計図完成時に通信をくれる。また、ドラッケンより多く研究投資を行うことで開発を早めたり、敵側への新型兵器提供を遅れさせることができる。逆にドラッケンより少ない研究投資の場合は開発が遅れることもある。
    • 兵器やOKEの調達については、「各国兵器企業から開発完了した設計図を購入」→「設計図を元に基地で生産」という流れになる。一旦開発が完了した設計図を購入した後は自分の基地で資金が許す限り生産できるようになっている。
  • その他
    • BGMは通常5曲+戦闘1曲で、通常のものは5曲の中からプレイヤーが選択する形式。戦闘以外ではBGMは常時流れたループし続ける、ツクール系の作業BGMのようなものに近い。曲自体は総じて独特だが、ストイックな世界と非常にマッチしたインダストリアルな雰囲気が前面に出されている。

問題点

  • プログラムは決して理不尽な難解さはないが、強いプログラムの制作は難易度が高い。ROMの容量にも悩まされがち。
  • チップの優先度や実際の挙動など必要な情報の説明がなく、なかなか思い通りに動かない事が多い。
    • 例えば「メイン射撃攻撃チップ」が実行されたとき、OKEは指定範囲の中心線に一番近い敵に向かって旋回しつつ発砲するが、発砲までにかかる時間は固定であるため、照準に捉える旋回中であろうと強引に発射される。また攻撃チップ自体には距離の指定がなく(200m固定)、中心線に近い場合は目の前の敵より遠くの敵を狙ってしまう。
    • ジャンプチップが実行された際、攻撃モーションをもキャンセルして実行される(ジャンプ中にもプログラムは動き続け、その間の行動チップは全て無視される)し、障害物探索は障害物全体の中心点のみが探知対象となる。車両型の旋回は他と違い必ず前進を伴う(超信地旋回や後退しながらはできない)し、飛行型の上昇下降は移動系のチップでありながら例外的に他の移動系チップで行動が上書きされない…等々。
  • 効率よく組むことで容量を節約できるのだが、かなり難しい。
  • システム
    • ローディングが比較的長く、メモリーの使用ブロック数も多め。
    • シナリオ毎にプログラムの流用やコピーができず、新シナリオを開始する時は全て一から作り直さなければならない。技術もシナリオマップごとに最初からなので致し方ない面もあるが…。
    • マウス操作を前提としたような操作性・レイアウトが用意されているが、各種ショートカットに相当する操作がきちんと実装されているため、どちらかといえばマウス操作は不向き。
    • キャラクター数オーバーなのか攻撃モーションを取っているのに弾が出ない等の事態が起こる。特にショットガンとロケット*3を使うOKEが多いと頻繁に発生し、特に接近戦が展開されている時は弾が出ないばかりに形勢が覆ってしまう事もある。
    • 各基地が保有する「燃料」に関する具体的な説明がゲーム中にも説明書にも一切無い。弾薬と違い生産もできない(自動的に増加はする)。
    • プレイヤー側はOKE設計後、改めて生産から入らなければならないのだが、敵側は全編通してその時点のOKEを各基地に初期配備している。
      • 一応プレイヤー側の各基地にも初期OKE(自動設計された変更不可のカード)が配備されているのだが、まともに索敵をしない、味方がいても発砲する、回避がおざなりなど問題が多すぎるプログラムで戦力に数える事すら怪しい代物。しかも改造も改変もできない上に全編通して一緒で、マップ後半ではむしろ邪魔になってくる。処分する事もできない。
  • 難易度バランス
    • 焦点となるプログラミングは確かに重要だが、シナリオモードではそれに並ぶほど資金の重要度が高く、そしてその資金に関連して難易度にかなり差が生まれる。大雑把に言って、各シナリオの最初のマップが異様に辛く、進むにつれて急激にヌルくなるというもの。
      • 敵が開幕から初期配置されたユニットで容赦なく侵攻してくるため、最序盤の資金の割り当てを間違えると負けが確定してしまう。*4
      • また、開始時点での初期の兵器は性能が低く、特にプログラミングの自由度を左右する中央処理装置の処理能力が低い事や、敵の初期兵器クーゲルが飛来物探知を行わないゴリ押しのプログラムを搭載している等、プレイヤーが使う事になる月影で対抗するにはかなりの知識が要る。
      • さすがに初級のエウロパマップなら敵のプログラムもお粗末*5なので、序盤なら低性能の自動設計OKEでもそこそこの確率で勝てるが、カリストマップになると逆にかなりの確率で負けるようになる。二脚型の自動設計は地形が複雑だと何もしなくなるので、運が悪いと連戦で三連敗という事態も珍しくない。
      • なおクーゲルの設計図自体はプレイヤーも最初から購入可能だが、初期資金が少なすぎて一式購入すると財政破綻してしまう。このため仮想敵として性能テストする事は(捨てゲー以外では)できない。
    • 一方で、マップを普通にクリアするとその時点でボーナスとして追加予算を得られるため、一転して難易度が低くなる。
      • クリアターンが40ターン以内だった場合はさらに莫大な追加ボーナスが得られ、その後のマップでは研究投資や設備投資に大量に次ぎ込めるようになるため、単純に物量で押せてしまう。最序盤のクーゲルを安定して退けられる程度のOKEを設計できたなら、40ターン以内のクリアも余裕で達成できてしまう上、結果的に少ない消耗のため資金を浮かせる事もできるので尚更である。
  • 兵器のバランスもあまり良いとは言えない。
    • なぜか「サブ武装」が機体設計に必須。この仕様のために特にクーゲルが工数等の割を食っている。
    • 軍需産業各社の開発する設計図の開発開始ターン数のバランスが取れていない。
      • 使いこなせばかなりの戦果を得られるロケット・地雷は比較的早く開発される。対してエンジンの開発は種類の多さもあってか全て出揃うまで凄まじく長いターン数がかかる。
      • OKEのエンジンは積載能力に関係するが、この積載を圧迫するのは「装甲」であり、武装の搭載量にはほとんど関係しない(大抵の機体は序盤のエンジンで十分最強クラスの弾薬を積み込める)。また、後発のエンジンほど燃料を喰う上、OKEに積める燃料タンク自体の上限は進化しないので稼働時間が短くなってしまう他、それでいてコスト・レベル・工数がとんでもない勢いで増加するなど利点を見出しにくい。
      • そして装甲には放熱率が著しく悪化するデメリットがあり、単純に厚い装甲を積めば有利になる訳ではない。
      • ミサイルに対抗する誘導妨害装置の登場が遅いにもかかわらず、ミサイル兵器は最序盤戦から登場するため、シナリオはミサイルゲーになりがち。大型ミサイル自体の装弾数の関係から結果的に重量・コスト・工数を抑えられる利点も大きい。加えて敵OKEもミサイル採用率が高く*6、しかもプログラムの関係上積極的に乱射してくる。
    • メイン武装のアサルトがレーザーやショットガンに比べあまりに弱い。レーザーには優れた弾速と射程が、ショットガンには高い命中率と近接射撃の大火力などの長所があるが、アサルトは弾速が遅い・飛距離が短い・火力もそれほど秀でていない。上位装備になると弾倉の重量も激増しなおさら選ぶ価値がなくなる。
      • レーザーより発射時の発熱が少ない利点はあるのだが、二脚が歩いて避けられるような遅さの弾ではメイン武装としてそれ以前の問題である。
  • 対戦関連
    • オリジナル機体を戦わせる事ができるのが本作の醍醐味の一つでもあるが、シナリオで登場が遅いOKEほど高性能になりがちな関係で対戦バランスはあまりよくない。中でもカテゴリの一つである「多脚型」は不遇。
      • ファイアインセクトはサブ武装で最大16連の小型ミサイル・ロケット弾を装備可能だが、それ以外のサブ武装は平凡でそれほど攻撃力に秀でている訳ではなく、多脚型に共通する挙動の遅さが足を引っ張る。シナリオでは序盤に搭乗するOKEと考えれば16連装はそれなりに魅力的で、4連大型ミサイルも時期を考えれば火力は高く、他の多脚型よりは使い道があるのが救い。
      • 塵界は多脚型では最も挙動が機敏で、エンジン効率にも優れる事から厚い装甲を積む事ができる。しかしサブ武装の最大搭載数が二足歩行型のジュジュマン・火影と同じで*7、何のための搭載能力なのか分からない有様。シナリオで使おうにも登場時期が微妙な上、生産工数が妙に高いせいで量産にも向かないなど不遇ぶりが際立つ。
      • ゾルダードは有脚型OKEで唯一4というメイン射撃の同時攻撃回数を誇るが、ただでさえ大柄なこのカテゴリ中でも一際巨体で、ジャンプ力まで低いため回避力が絶望的なまでに低い。サブ武装も初期機体の月影よりほんの少しだけマシという目を疑いたくなるもので、とても後発のOKEと思えない。また、上半身の旋回が売りの一つである多脚型なのに、サブ武装は腰部に設置されており、機体正面にしか撃てないのも地味に痛い。メイン射撃の同時攻撃回数も一度にまとまって発射されるためそれほどの強みではなく、むしろ無駄弾や発熱に難を抱える有り様。
      • 多脚型に共通して、どんなに画期的な戦法を練っても多機種で代用可能なのも悲しい点。いくらエンジン効率が優れていても、装甲を厚くすればただでさえ回避しにくいロケット弾などの熱にあぶられて何もできなくなり、まともに戦闘を行う事すら難しい。その弱さゆえに愛するファンがいるのも事実ではあるが…。
  • 地雷・機雷のバランス
    • 「デススフィア」一強の地雷
      • 主に対戦の話題において避けて通れない、本作の象徴的なサブ武装。地雷にもかかわらず転がって敵を追尾する恐るべき(画期的な)能力を持ち、強制ダウンに加え威力も熱量も大型ミサイルに匹敵する凶悪な性能で、地上OKEは狙われたら最後*8といわしめる。
      • 使いこなせば地上OKEでも相当な戦果が期待できるが、何よりも飛行型のプロキュルールによるものが有名で、開幕に上昇しながら最速で接近する最中はショットガンすら当たらないためデススフィア宅配便として大暴れする。搭載弾数も12発とクーゲルに次いで多く、脚型なら3発・車両でも4~6発で致命傷であり、その火力は過剰といえるほど。このため対戦では特に爆発物探知や飛行型対策が重要視される。
      • 一方でデススフィア以外の地雷はあまりにお粗末であり、近付くと低火力の子弾を撒き散らすものの1発当たればいい方のローパー、それよりはマシとはいえやはり火力が低いゾンド、上方向に子弾を噴出するタイトロープ(飛び込まない限りまともに当たらない)、カタログスペックでは最強火力にもかかわらずバグなのかまったくダメージがないフォボスなど特に調整が甘い。
    • 機雷も同様に「クラーケン」以外は使い物にならない。
      • クラーケンはデススフィアと同じく自動追尾型の機雷で、追尾の仕方にクセはあるものの2~3発で飛行型を確実に撃墜する火力を併せ持つ実用的な性能。一方で他の機雷は個性こそあれどいずれも低火力・低命中であり、まともに兵器として機能しない。クラーケン以外を使うぐらいならタイトロープ(地雷)の方が対空として優秀とまで言われる。

総評

ウォーSLGであるということに加え、プログラム設計が非常に難しいことから、プレイヤーを極端に選ぶゲームである。
不評点で多く文章を割いた通り、本作の一人プレイはただでさえ難しい設計をより困難なものにしている要素が多く、対戦相手や攻略本の開発者機体など、プログラムの出来によるOKEの魅力を体感できる環境が必要不可欠である。
だが、そうした環境によってひとたびその魅力に気付いてしまったが最後、プレイヤーは抗う術もなく徹夜でプログラム制作を強いられる事になるだろう。
当時のパソコン通信に本作のフォーラムがあったり、対戦大会が開かれたり、続く続作もまた熱心なファンが数多く存在する事が、良作たる所以を物語っているといえよう。


関連作品

PS版

  • 『カルネージハート EZ』
    • マイナーチェンジ版。「EZ=Easy Zapping」の略でシリーズ未経験者に対するハードルがかなり下がっている。バランスが若干再調整されたことに加え、複数の命令を1まとめにしたマクロ機能の導入でプログラム作成がかなりしやすくなっている。
    • 車両型・飛行型が移動しながら射撃可能になった他、不遇すぎた多脚型の性能向上などバランス調整も行われた。
    • また、かつて攻略本の付属CDに収録されていた対戦専用OKEがシナリオにも敵増援として登場するようになった。
      • ただし、この特殊OKEは挙動速度をはじめとしたバランス崩壊レベルの異常な性能を持っており、しかも付属CDの頃と同じくプレイヤー側が使う事はできないままなので批判の対象ともなる。
    • 現在はゲームアーカイブスで600円と安価な値段で配信されている。尚、無印版は配信されていない。
      • 余談だが2作目『ゼウス カルネージハートセカンド』と3作目『ゼウスII カルネージハート』も同じ値段で配信されている。どうせなら全作を遊び倒すのも悪くないだろう。

PSP版

  • 『カルネージハートポータブル』
    • 『ゼウスII』をベースにシステムやゲームバランスの見直しが行われている。
    • インターネット経由で機体のやり取りが可能。
  • 『カルネージハート エクサ』
    • 2010年に発売された最新作。セーブデータが製品版に引継ぎ可能な体験版がプレイできるため、こちらからやってみてもいいだろう。

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最終更新:2022年09月23日 08:13

*1 が、裏技で手動操作は出来たりする。プログラム制作と言う本作の要素を全否定する事になるが…

*2 実際にはプログラムは高速で処理し続けるため、フローチャートそのものを当てはめるには専用のチップを使う必要がある。

*3 主にブラックパンサー

*4 具体例を挙げると、初級のエウロパでも5ターン後には敵のクーゲル部隊が自軍基地に到達する(つまり実質4ターンの猶予)のだが、月影と弾薬の生産の関係で初戦に間に合うのは5機が限度。そしてこれを達成するには、最低でも全てのラインに1回以上の設備投資かつライン増設を行う前提であり、この時点でかなりの財政難に陥る。機体生産にも資金は消費するので、投資の仕方を間違えるとゲームオーバー一直線。

*5 あまり攻撃をせず、射程も短く、正面から突っ込んでくる

*6 COMのサブ武装は妙にロケットの採用率が低く、地雷・機雷が装備できないOKEの場合ほぼ確実にミサイルを積む。

*7 火影には大型ミサイルの搭載数で負けている。

*8 一部の脚型なら逃げられる、踏まない能力がある等はあるが、どれも一時しのぎにしかならない。