本稿ではFCで発売された同名作のリメイクであるWii版『PUNCH-OUT!!』について記載します。FC版については『パンチアウト!!』をご覧ください。


PUNCH-OUT!!

【ぱんちあうと】

ジャンル スポーツアクション(ボクシング)
対応機種 Wii
発売元 任天堂
開発元 Next Level Games
発売日 2009年7月23日
定価 5,800円
配信 【WiiU】2015年6月24日/2,700円(税8%込)
周辺機器 バランスWiiボード対応
判定 良作
パンチアウト!!シリーズ
パンチアウト!! (FC / マイクタイソン) / スーパーパンチアウト!! (SFC) / Arm Wrestling / PUNCH-OUT!! (Doc Louis)


概要

発売された任天堂発のボクシングゲーム『パンチアウト!!』シリーズ第5作。
『マリオストライカーズ』シリーズを手がけたNext Level Games*1によるファミコン版『パンチアウト!!』のリメイク作品で、SFCでリリースされた前作『スーパーパンチアウト!!』から実に11年ぶりの家庭用新作として発売された。

システム

  • 本作はWiiリモコンとヌンチャクにより、よりリアルなボクシングのプレイ感を体感できるようになっている。
    • Wiiリモコンとヌンチャクを持った左右の手を振ることでフックパンチ。ヌンチャクのコントローラースティックを上に倒しながらパンチするとジャブを繰り出す。
    • スティック上でガードし、左右でスウェー、下でダッキング。ダウンの際はリモコンを素早く降ることで起き上がる。
    • ヌンチャクとバランスWiiボードの組み合わせでより直感的かつ体感的なプレイが可能。
      • この場合はパンチをヌンチャクで、スウェー及びダッキングはバランスボードによる重心移動で行う。
    • Wiiリモコンの横持によるファミコンスタイルの操作性で遊ぶことも可能。
  • モードは主に3つある。チャンピオンシップ以外は本作で初出である。
    • 各国の選手達と戦う「チャンピオンシップ」。このゲームのメインモードである。
    • 次の選手に備えてホログラムトレーニングしたり、一度戦った選手と何度でも試合できる「エキシビション」。チャンピオンシップで勝った相手はフリー試合になり、相手毎に3つのトロフィー条件が設定されているが、その条件はどれもかなりシビア。いかに相手のパターンを、このゲームを隅々まで熟知しているかを求められる。
    • 二人専用の「対人戦」。このモードで規定数のカウンターヒットを取ると一定時間だけボス仕様の「ギガ・マック」に変身する。
  • マックの攻撃手段はジャブ・ボディブローの2つのみ。
    • 特定タイミングで相手にカウンターパンチを決めることで、相手を気絶、または「スター」を得ることができる。
      • 気絶させて相手の頭のまわりに物が回っている間は連続パンチのラッシュをかけることができる。
      • スターを得ると、溜めた数に応じた強烈な威力のアッパー「スターパンチ」を一度だけ使用可能。
        最大の3つまで溜めたときの威力は絶大だが、FC版と違い回数ストックができなくなったうえに敵の攻撃を一発受けただけでも全て失う(スターパンチそのものも、タイミングが悪いとカウンターを喰らって中断される)。
      • このスターパンチもまた特定のタイミングで決めると真価を発揮する。隠し要素の範疇になるが、あるタイミングでスターパンチが決まると一撃でダウンする必殺ポイントが対人戦でのギガ・マックを含めた全員に1つずつ用意されている。選手によっては通常のパンチでカウンターしても一撃ダウンしたり、★3でのスターパンチで決めると一発KOで勝利できる場合がある。
      • ちなみにこのスターパンチは元プロボクサーであるセコンドのドック・ルイスの必殺技という設定でもある。
  • 相手をダウンさせてから起き上がるまでのカウント中にリモコンを振ると、マックがシャドーボクシングを始め体力が徐々に回復していく。これはSFC版から引き継がれたシステムでもある。
  • 体力の他にスタミナを表す数字の書かれたハートが表示されており、マックのパンチを防がれたり相手のジャブをブロックすると1減少。相手の攻撃を喰らうと一気に複数減少する。
    • スタミナが0になるとマックがバテてしまい攻撃できなくなってしまう。この状態では相手の攻撃をブロック以外で回避出来ればスタミナが回復する。
  • 試合は1R3分形式の全3Rで行われるが、タイムの減りは現実と比べて3倍早い。ただしラッシュをかけている間は現実と同様の減り方になる。

チャンピオンシップモード

キャラクター関連

敵となる選手達は基本的にファミコン版準拠だが、『スーパーパンチアウト!!』からの出演や新規キャラクターも追加されている。
ハード性能が向上し、3Dグラフィックへと移行した関係で、過去作に見られた別キャラ同士での体格やモーションの共有はなくなったが、選手の外見や挙動は過去作のものを踏襲している。

+ 個性豊かな全選手を紹介。

マイナーサーキット

  • グラス・ジョー (フランス・パリ出身 38歳 1勝99敗1KO 身長178cm 体重49kg)
    • AC版から登場しているキャラクターの一人*2。イントロテーマ曲はフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」。マックの最初の対戦相手で凄まじい敗戦歴の最弱ボクサー。操作になれるための相手。
      パンチを避けたりガードしただけでも叫び声をあげるほど臆病だが、挑発だけは忘れないというモットーを持っているらしい。
    • この戦績で、医者からもボクシングを辞めるよう勧められているのに、ボクシングを続けている根性は天晴れである。唯一のKO勝利の相手は誰だったのかは不明。そしてなんとMr.サンドマンと対戦経験があり、無論KO負け。どういった経緯で対戦が組まれたのだろうか……。というか、本作のサンドマンは異常に強いので下手したらジョーがKO死させられてもおかしくない。
    • ちなみに「グラスジョー」とはボクシングや格闘技において「顎が打たれ脆くノックダウン・ノックアウト負けが多い選手」を指す用語だったりする*3。名前であからさまにザコと分かる選手である。
  • フォン・カイザー (ドイツ・ベルリン出身 42歳 23勝13敗10KO 身長183cm 体重65kg)
    • 立派な口髭を蓄えた軍人気質のボクサー。ファミコン版から引き続きズボンを履いているが、本作ではサスペンダー付きの戦闘服ズボンとして描写されている他、紳士的な面が強調されている。イントロテーマ曲の「ワルキューレの騎行」は、FC版ではグレート・タイガーとスーパー・マッチョマンも使用していたが、本作ではカイザー専用曲となった。
    • 「ドイツの鋼鉄マシーン」の異名は健在でガードも強くブリキのような音を立てながら攻撃してくる。
      しかしあがり症なのか小さい相手にトラウマ*4でもあるのか入場時から緊張のあまり息切れしていたり、突然ガードを固めた後に「マミー…」と呟いて隙を晒す始末である。
    • パンチを放つ直前の首を振る動作や、気絶中にスターパンチを当てると即ダウンという有名な法則もFC版のまま。
  • ディスコ・キッド (アメリカ合衆国・ブルックリン出身 20歳 4勝12敗2KO 身長191cm 体重95kg)
    • 本作初登場の選手。マックたちと同じアメリカ出身だが、何を勘違いしたのかダンサーからいきなりボクサーに転身するという不思議な経歴の持ち主。しかも、対決前の紹介映像を見る限り、ダンサーとしては非常に成功していた模様。何が彼をそこまでボクサーに駆り立てたのか本当に不思議である。
      更に試合中の声や動きがいちいちバカっぽくウザいものが多く大変ネタに満ち溢れている。
    • AC版1作目のキッド・クイック*5をリファインした選手だが、キッドのパンチをガードした瞬間にキッド側があからさまに痛がっており、ジョーほどではないが付け焼き刃であることも窺える。結局のところマイナーリング相応のポンコツボクサーにすぎないが、マックとの試合後に出会ったボクササイズが彼の運命を変える…。
  • キング・ヒッポー (南太平洋・ヒッポーアイランド出身 18勝9敗18KO 年齢・身長・体重不詳)
    • 今作はSFC版と同じくサーキットが基本4人区切りとなったため、マイナーサーキットチャンピオンとして登場する。
    • 南太平洋の架空の地域「ヒッポーアイランド」出身の、丸々太った巨体が特徴的な大酋長。FC版では台詞が英語で表記されていたが、本作ではそれぞれの出身地の言語を話す演出へと変更されたため、架空の島出身の彼は怪獣の雄たけびのような声しか発さなくなり、ますますどんな存在か分からなくなった。仮に本作にMr.ドリームやブルーザー兄弟が参戦していたら、台詞が用意されたのだろうか!?
    • FC版譲りの鉄壁の防御と破壊力は健在だが、攻撃や動作にバリエーションがついた分、防御にほころびができた。1ダウンとれば即KOになるのは相変わらず。そのため通常のダウン演出はないが、あるタイミングで王冠を吹っ飛ばすと怯むような仕草を見せる*6
      スターも入手できるようになり*7、一撃KOパターンも存在する他、本作ではさりげなくラッシュ中にジャブが当たるようになっている

メジャーサーキット

  • ピストン・ホンドー (日本・東京出身 28歳 26勝1敗18KO 身長188cm 体重78kg)
    • ファミコン版のピストン・本田のリファイン*8。FC版の風貌を引き継ぎつつ、顔つきは浮世絵を思わせるさらに濃ゆいものとなった。イントロテーマ曲はFC版と同様「さくらさくら」。
      • 全キャラクターに出身と同じ地域の声優が用意されていて母国語で喋るため、ホンドーが唯一の日本語音声キャラである。グラス・ジョーや下述のドン・フラメンコ等他の国籍のキャラクターにも似たことが言えるが、ホンドーは試合開始時に礼をしたり、気絶すると寿司がでたりと、勘違いイメージも含め日本人らしさを強調されている。
      • なお声優の高橋研二氏は、後に任天堂が販売する対戦格闘ゲーム『ARMS』でも日本をイメージしたファイター「ニンジャラ」を演じている。
    • 行動パターンはFC版とほぼ同じで、サイドステップを繰り返してからストレートのラッシュを仕掛ける「ホンドーラッシュ」が必殺技。一発ダウンを奪えるカウンターのタイミングもそのまんま。その兼ね合いか、彼との試合ではマックの初期スタミナが50と非常に多い。
    • 彼は1敗しかしておらず、Mr.サンドマンは他の全選手にKO勝ちしているので、Wii版では彼はサンドマン以外には誰にも負けていなかったことがわかる。
  • ベア・ハッガー (カナダ・ブリティッシュコロンビア州サーモンアーム出身(海外SNES版の説明書ではサスカトゥーン) 32歳 17勝12敗10KO 身長191cm 体重199kg)
    • AC版『スーパーパンチアウト!!』とSFC版に登場した、キング・ヒッポー並の肥満体と裸オーバーオールが特徴の木こりおじさん。前2作では最序盤の敵だったが、今回は全体のちょうど中盤ぐらいまでランクアップ。外見のカナダ人らしさもアップ。しかし成績はSFC版のものを使いまわしているため、勝率はホンドーはおろかカイザーをも下回る。
      • SFC版では「クマ殺し」の異名を持っていたが、本作ではクマを相棒にしてミット打ちなどのトレーニングを行う野性のほのぼのキャラクターとして描写されている。
    • 過去作とは違いボディブロー無効ではなくなったが、その代わり普通にガードもしてくる。しかし超威力のベアハッグ攻撃*9と挑発的な仕草は相変わらず。
  • グレート・タイガー (インド・ムンバイ(旧:ボンベイ)出身 29歳 24勝5敗3KO 身長181cm 体重59kg)
    • 奇術師という一面を持ち不思議な技を使う、インド出身の変則ボクサー。FC版ではハードの制約上フォン・カイザーのコンパチだったが、今作ではさらなる差別化が図られ、ズボンにも虎柄の模様が入った。
    • それに伴い挙動の奇天烈さ及び勘違いインド人像がさらに強調され、必殺技の「マジックアタック」も、2体に分身した後ニセモノかホンモノのどちらかを先頭に連続で攻撃してくる技に。そして防衛戦では、その幻惑的なイメージに違わないトリッキーな技が目白押しとなる。
  • ドン・フラメンコ (スペイン・マドリード出身 23歳 22勝3敗9KO 身長186cm 体重68kg)
    • 今作ではメジャーサーキットのチャンピオンとなり、攻撃パターンが多彩となった。イントロテーマ曲は「カルメン」で、本作ではアッパーの使用時にも"¡Carmen, mi amor!"(我が愛しのカルメンよ!)と叫ぶ*10
    • 出身地のスペインのお国柄が強調され、挑発やパフォーマンスが闘牛士やカルメンの踊りを思わせるものになった。FC版では寒色系(初戦は水色、再戦時はエメラルドグリーン)のグローブに白のトランクスという出で立ちであったが、本作ではトランクスが赤色と黄色、グローブも赤色とスペイン国旗を思わせる暖色系のカラーリングで統一された。また、FC版と比べて造形のイケメン度も上昇し、試合前のデモでは女性ファンが多数存在することも確認できる。
      ただしヅラは相変わらず*11。本作では試合中に追い詰めるとヅラをふっとばすことになり、その直後は彼自身が猛牛と化したかのごとく怒り狂いパターンが攻撃的なものに変わる。
    • 予備動作の後に右フックを3連打する「ローズアタック」という必殺技も身に付けた。ダッキングでかわすと直後に高速アッパーでの追撃が飛んでくる。
    • FC版にハメパターンがあったことを再現して今作のフラメンコにも挑戦者編・防衛戦共に永久コンボをかけることができる。
      ただし永久コンボの内容とタイミングはそれぞれで大きく変わっている。

ワールドサーキット

  • アラン・ライアン (アイルランド・ダブリン出身 23歳 18勝10敗16KO 身長186cm 体重72kg)
    • 継続登場キャラクターながら事実上の新キャラクターレベルで大きく変わった選手である。初出のSFC版『スーパーパンチアウト!!』ではそこそこ真っ当な選手*12なのに、今回は試合中に頭突きやエルボーをかますなどラフファイトを自重しないヒールと化した。レフェリー仕事しろ。ここまで設定を変えるなら2人目の新キャラクターを出せばいいのでは!?
      • 試合前のデモでもグローブに蹄鉄を仕込んでおり、真っ当に戦うつもりはさらさら無い様子。リアクションも理性を保っていたSFC版とは一転し、アドレナリン全開の戦闘狂と化してしまっている。一応、プロフィールと服装のカラーリングはSFC版と同じ。
    • ダウンすると7カウント目で起き上がる、スター獲得パターンは7つなど幸運の数字「7」絡みの仕様が異様に多く、この試合中ではマックの最大スタミナも何故かたったの7(他はホンドーを除いて11~22)。初見では驚愕すること請け合い。
  • ソーダ・ポピンスキー (ロシア・モスクワ(旧:ソ連)出身 35歳 33勝2敗24KO 身長199cm 体重107kg)
    • 過去作でも終盤に登場した、赤いレスリングパンツがトレードマークのサウスポーの酔っ払いボクサー*13。本作ではレーティングの都合もあり、真っ赤っかになる演出が防衛戦に限定されるなど酒飲みらしさが薄れた代わりに、後述するようにソーダ中毒ぶりに拍車がかかっており、殴られるたびにタポタポと水音が鳴るようになった。イントロテーマ曲は「ヴォルガの舟歌」。
    • FC版では飲酒ソーダを飲む行為はインターバル時の画面演出に過ぎなかったが、本作ではインターバル後のラウンド開始直前に飲んで体力回復してきたり、ラウンド中にいきなりソーダを見せびらかした後に飲んで体力回復してきたりと、体力回復手段として積極的に利用してくる。さらにはダウンからの復帰もパンツから取り出した空のボトルに残った一滴のソーダを煽り、ピンフォール回避の如く飛び起きるというものに変更された*14
      ちなみに見せびらかしているときにソーダを直接殴るとソーダ飲みを阻止できるが、直後逆ギレして連続アッパーを放ってくる。好物を吹き飛ばされ体力回復を阻止されたからとはいえ、理不尽すぎる。
  • ボールド・ブル (トルコ・イスタンブール出身 36歳 34勝4敗29KO 身長188cm 体重135kg)
    • 伝統にして脅威の一撃必殺攻撃でシリーズおなじみのブルファイター*15。さらにセコンドのドックのジョークでは彼が「Mask-X」の名前で出演した番外作『Arm Wrestling*16に関連する超マニアックな小ネタが。ヅラが取れたフラメンコに輪を掛けて、猛牛さながらの血の気が多く荒々しい一面が強調されている。トランクスのデザインとグローブのカラーはFC版の公式イラスト及びSFC版と同じ。
    • 今作では構えが極端な前のめりの体勢になり、身長の高さはあまり感じなくなったがそれでもマックよりは大きいのは変わりない。
    • 伝統の必殺技「ブルチャージ」の動作も大きく変化し、少し後ろに下がって鼻息荒く地団太を踏んだ後、高速の猛突進からのアッパーを繰り返すという動作になった。そのため今までのうさぎ跳び突進よりもカウンターのタイミングが取りづらくなったという嘆きも…。
  • スーパー・マッチョマン (アメリカ合衆国・ハリウッド出身 27歳 35勝1敗29KO 身長194cm 体重109kg)
    • ナルシズム溢れるポージングを多用するボディビルダー。世界チャンピオン/ラスボスからワールドサーキット1位への降格に伴い、AC版『スーパーパンチアウト!!』とFCの賞品版よりは弱体化。一方で、試合前のパフォーマンスでは胸筋に加え尻も揺らすようになり、嬉しくない方向に強化されている。ポピンスキー共々おなじみのレスリングパンツには彼の名前のロゴ(表面に"SUPER"、裏面に"MACHO MAN")が入り、カラーリングはFC版同様水色となっている他、新たに金のネックレスを着用、ポージングが決まるとサングラスをかけるようになった。
    • 攻撃の振りかぶり動作がかなり大げさになり、過去作では一撃必殺だったラリアット(回転パンチ)や派手なラリアット3連打「スーパーマッチョスピン」も確定2撃になっている。
    • その他、叩くとスター獲得の無駄なポージングが多かったり、観客からのウケも何故か露骨に悪いなど*17、AC版『スーパーパンチアウト!!』やFC版での強豪としての威厳は消え失せてしまっている。
    • 彼もピストン・ホンドーと同じく1敗しかしていない。本作の描写からそれがMr.サンドマンの直近の1戦によるものと判明しており、彼が元世界チャンピオンであった事も窺える。
  • Mr. サンドマン (アメリカ合衆国・フィラデルフィア出身 31歳 31勝0敗31KO 身長196cm 体重128kg)
    • マックと同じく今までの選手に順番に挑み、その全員をKOしてきた*18獰猛な巨漢の黒人ボクサー。FC版やSFC版『スーパーパンチアウト!!』と比較すると異常にパワーアップしている。グローブとトランクスのカラーはSFC版を元にしている。
    • ラスボスだけあって他の選手達とは一線を画すパンチの速さ。ちょっとよそ見していたらいつの間にか1ダウンしていたこともままある。
      モーションが短いから避けるのにも一苦労なのに、更にフェイントまで入れてくるんだからたまったもんじゃない。おまけにタフ。
    • 彼の強さはその速さによるところが大きいものの、シリーズおなじみの3連続アッパーには「ドリームランドエクスプレス」の名がつけられ、それを印象づけている。
    • NES版のラスボスとして登場したMr.ドリームのリファインキャラクターも兼ねており、気絶すると「Z」を出す、ダウンするといびきをかく、そして対戦相手を寝かしつけるなど、名前の由来である眠りの妖精に関連した演出が多い。
      • ちなみに実質的な前作にあたるSFC版『スーパーパンチアウト!!』では何故かFC版の31歳から30歳に若返っていた*19が、本作では31歳に戻っている。
      • 声優はドック・ルイスと同じ人物が担当しており、登場時にはドックが意味深な反応を見せるが関係は不明。

ベルトまでの険しい道のり

最初の頃は適当にパンチしているだけで勝てるので、余裕を持って楽しみながら試合ができるだろう…と思ったら大間違いである

4人目にして最初のマイナーサーキットチャンピオンとなるキング・ヒッポーから難易度は一気に上昇し、その図体と鉄壁のガードはファミコン版同様に多くのプレイヤーにとって大きな壁として立ちはだかる。
この相手はただ普通にパンチしただけでは全部ブロックしてくるので、相手の攻撃を見切って適切なパンチでカウンターするという事が一気に重要となる。
メジャーサーキット中盤以降もこちらから攻める余裕は基本的になく、初見で動きを把握することが難しい敵も出てくるので、トレーニング無しの一発勝負で勝てる見込みは薄い。

もっとも、トレーニングで予習しても実戦ではスタミナや被弾ダメージといった問題が付きまとうので、決して楽勝とまではいかないだろう。
ワールドサーキットとなると一瞬のうちにパンチしてくる敵まで出てくるので最終的にプレイヤー自身の動体視力も必要となる。

…………が、このゲームの選手達は完全パターンで動いているため(ダウンを取るごとにある程度変わるが)、しっかり頭に叩き込んだか否かで難易度は大分違ってくる。
サンドマンも例外ではなく、スピードこそ速いが何度も練習し、戦っていくうちに目が慣れていくはず。倒れても諦めるな。
ちなみに1周目の敵達のパターンはほとんど前作までのものを踏襲しているらしく、昔取った杵柄でもそれ相応には戦えるはず。

サンドマンを打ちのめせば、見事念願のチャンピオンになれる。そしてエンディングへ……だが、俺達の戦いはこれからだ!

+ 本気の2周目

ED後、いわゆる2周目にあたる「防衛戦シリーズ」がスタート。以前にも増して強くなった選手達と再び戦うことになるのだが…
その難易度は極端な話「全員新キャラクター・全員ラスボス」と言ってもおかしくないもので*20、気を抜くとあっさり負けが込んでベルトを返上するハメになってしまう。

  • スターパンチを適当に放っても全部当てられたが、2周目では不用意なスターパンチはすぐ避けられる。
    スターパンチが右手でのパンチである事を考慮しないとラッシュ中でも回避されてしまうことも…
  • 他にも1周目と2周目ではマックの攻撃力や、一部を除くキャラの攻撃力も総じて異なる。また、アラン・ライアン以外にも反則技を使うキャラが何名か追加される。
+ パワーアップして帰ってきた選手たち

ワールドサーキットB

  • グラス・ジョー
    • 100敗を記念して贈呈されたヘッドギアを装着した状態で戦う。ちなみにこのヘッドギア、WVBAの規則なのか同セーブデータ内で通算100敗した時にマックも装着する事になり、一部攻撃からの被ダメージがわずかに軽減される。
    • ジョーのヘッドギアの効果は絶大で頭部の攻撃はスターパンチからのラッシュしか通らなくなり、ジョー自身も攻撃時以外はボディーを常に守っているため、スターが無い場合は必然的にボディーへのカウンターを狙うしか無くなる。
    • 攻撃パターンもディレイやフェイントをかけてくるようになったため、上記のカウンター狙いも厳しくなっている。
    • スターを得た後はスターパンチ始動の永久コンボでハメ倒すことができるのだが、裏を返せば2周目の1人目からハメ殺さないと厳しいと言う事である。
  • フォン・カイザー
    • 他の選手に比べれば劇的な変化はしておらず、カウンターの即ダウンに☆3スターパンチが必須になったぐらい。ヘアスタイルは角刈りにして気合いを入れたのか、ガタガタと震えて無防備になる事は無くなった。*21
      最大の変更点はダウンから起き上がった直後で、気合いを入れた後、絶叫から繰り出す当たれば一撃ダウンのぶん回しパンチ「カイザーナックルをぶっ放してくるように。その兼ね合いで即KOはできなくなった。
  • ディスコ・キッド
    • 1周目ではポンコツボクサーだったが、修行の旅で出会った ボクササイズを習得し覚醒 。動作もエアロビクスを実戦的に組み込んだトリッキーなものに。髪型はキッド・クイックを思わせるアフロに変化し、コスチュームもトランクスからレオタードに着がえている。
      特に1周目には無かった新技「ディスコアタック」はサークル*22の予備動作から3連パンチを放つ技だが避けるタイミングがややシビアで、早すぎても遅すぎてもその餌食となる。
    • ディスコアタックの予備動作のサークルへの攻撃はダウン前だと無防備に喰らうが、1ダウン以降はサークル中への攻撃は特定のタイミングを除いて冷静にガードして即ディスコアタックで反撃してくるようになる。奴もカイザー同様に1ダウン後にエンジンが掛かるようだ。
  • キング・ヒッポー
    • 腹に貼り付けたマンホールの蓋で腹へのラッシュを3回まで無効化するように。王冠も巨大な物になって落ちなくなった。とりあえずマンホールの蓋の持ち逃げはやめなさい。
      しかしマンホールを外しても、より磨きのかかった鉄壁の防御に悩まされること請け合い。攻撃すると思わせてフェイントを使ってきたり、ラッシュの起点にできる口を開ける癖も控えめになっており、ただ攻撃するにも一筋縄ではいかなくなっている。

ワールドサーキットA

  • ピストン・ホンドー
    • FC版の2戦目基準でラッシュ攻撃にフェイントを混ぜてくる上に一発の威力が上がり、一度回避をしくじると一気にダウンへ持ち込まれてしまう。黒帯を意識してか、トランクス、グローブともに白黒カラーになった。
    • 1周目では礼をする際は完全に無防備でスターも手に入る仕様だったが、この戦いでは時々礼に合わせた攻撃にカウンターを合わせてくる無礼な反撃を仕掛けてくる時がある。ポイントはトレードマークの眉毛の動き。
  • ベア・ハッガー
    • フェイント攻撃が多彩となっており、特にベアハッグのフェイントは注意が必要。
      新たに紺色のニット帽を被っている*23が、その中にクマとのトレーニング中に仲良くなったリスを連れてきており、時には彼の合図でその後の判断を見極める必要がある。かわいい
    • 通常はラッシュが2回までしか通らず、気絶中ラッシュにスターパンチを挟むことで長いラッシュを掛けることができる
  • グレート・タイガー
    • ターバンに巻いてある宝石の色に沿った4種の多彩なパンチ(ベアハッグ風の反則攻撃あり)を仕掛けてくる。さらにそれを利用した予備動作なしのコンボも使用してくるため、それぞれの色がどのパンチに対応しているのか覚える必要もある
      ユニフォームはホンドーと同じく白黒カラーに。ズボンはホワイトタイガーをイメージしている模様。
    • 必殺技はファミコン版を再現して、リング奥から大きな円を描いて分身パンチを繰り出す「スーパーマジックアタック」に変化。攻撃の最後にはダブルラリアットを仕掛け、それをかわせばFC版同様に目を回すため反撃のチャンスを得られる。タイミングがシビアだが分身それぞれにカウンターを当てることも可能になった。
  • ドン・フラメンコ
    • 基本的にはファミコン版の2戦目基準だが、必殺技「ローズアタック」が左右のフックを打ち分ける技と化し、攻撃回数が最大で5回まで増える。
      予備動作で手を叩いた方向と順番にフックが来るので、それを覚えないと見てかわすのは難しい。さらに反則技のバックナックルも使用する。
    • ヅラが取れた後の攻撃的なスタイルも、ラウンド終了まで収まらなくなる。
    • マックに対する恨みが特に強い選手の一人で*24、FC版からの特徴であった自信ありげな微笑みがなくなった。服装も黒基調に変化し、1敗するまではバラまでも黒くなってしまっている。このフラメンコに1度でも負けてしまった場合、以降は恨みを晴らしたことでバラが元の赤色へと変化することが描写される。岩鬼の葉っぱみたいな原理なのだろうか…。

ワールドサーキットS

  • アラン・ライアン
    • 挙動が素早くなった頭突きとエルボーに加え、1周目で使用した紫のグローブをロープでくくりつけて振り回し攻撃してくる*25。当然ながら観客からも物を投げられるなど大ブーイングの嵐である。そしてレフェリー仕事しろ*26。グローブ・トランクスは1周目を反転したようなカラーリングになった。
    • しかもダウンした際この凶器で悪あがきをし、避けるかスターパンチカウンターでトドメを刺さないとダメージを喰らってしまう。ちなみに挑戦者編でもダウン時に似た動作をしており、これが伏線となっている。
  • ソーダ・ポピンスキー
    • 研究所でソーダの改良を重ね、禁止薬物同然の効能を得て超人的な能力を発揮するまでに至った。2周目はそのドーピング剤特製ソーダを引っ提げて現れ、元から素早かったパンチのスピードが飲めば飲むほど速くなる有様となる。グローブとパンツは紫になった。
    • 試合中ダウンからの復帰などでソーダを飲むたびに体がどんどん赤くなり、高速連続アッパーの回数と速度が上がる。ヘビー級とは思えない高速のアッパーを連続でかわす必要があるので、試合が長引くと手をつけられなくなる可能性がある。この高速状態のポピンスキーが最強の敵だと言うプレイヤーも多い。
    • それに対しこちらのラッシュが通常は1発しか通らず、避ければ避けるほどラッシュ打数が増えていくが、一度でも攻撃を受けるとラッシュ可能数はリセットされてしまう。
  • ボールド・ブル
    • ファミコン版の2戦目のように、通常パンチでは絶対にダウンせず、踏みとどまって体力25%ですぐ復帰してくる。ブルチャージに対するカウンターでも例外ではない。トランクスは紅色に変更。
    • それどころかブルチャージの「突進開始→即死アッパー」までが大幅高速化している(しかも微妙に一定しない)ため、カウンターどころか普通に避けることさえも難しくなっている。
    • おまけにこの戦いのブルはスターが発生する条件やタイミングがやたらと複雑で、ブルチャージへの通常カウンターで確実に手に入る1点以外を狙って取れるプレイヤーは少ない。
      そのため、長丁場のポピンスキーと並んで屈指の難敵に数えられる。
  • スーパー・マッチョマン
    • ライアンと同様に物を投げられるなど1周目以上に観客ウケが悪くスポットライトからも見放されているが、実力はしっかり終盤の敵に相応しいものになっている。パンツとシューズはAC版・SFC版との折衷で濃いめの青色になった。
      1周目を基準に行動がかなり素早くなっており、そこに緩急をつける「ビッグアッパーカット」の追加、「スーパーマッチョスピン」も3発すべて避けきらないと一撃ダウンと過去作準拠の強さを取り戻している。
    • そして唯一、2周目の彼だけ一撃ダウン・一撃KOが絶対に取れないため真剣勝負を強いられる。メディアや観客からの注目を失い、海岸で1人地味に練習してきた事の成果だろうか?
  • ミスター・サンドマン
    • まさかのマイク・タイソン*27を思わせる強化がされた結果、全体的にさらに機敏になった。髪型はZ型モヒカンに、グローブ・トランクスは黒基調で見た目もタイソン風となった。
      その攻撃速度をより高めているのが文字通り一瞬で振り抜いてくるアッパーカット。タイソンと同じウィンク&必ず左右交互に撃ってくる法則で避ける方向が分かっても僅かに遅れただけで餌食となるほどの動作速度である。
      • 仕様上、アッパーカットのパターン中に命中しないパンチを打つと瞬間的にカウンターが飛んでくるという見た目も凄まじいが、ドリームランドエクスプレス予備動作中などには本当に専用のカウンター技*28があるのも難攻不落の印象をより強めている。
    • どちらかがダウンから起き上がった直後は必ずアッパーカットを使うようになっているので、対策は必須である。
    • 3ラウンド目に入るか2ダウンまで追い詰めると「これからが本番だ!」と言わんばかりの暴走モードに突入し、タイソン戦の開幕直後のように一撃即ダウンの威力と化したタイソンアッパーを十数回連続で繰り出すようになる。*29息切れで暴走が収まったあとはラッシュが一番長く通るようになるが、アッパーを的確に潰せる自信がないなら避けに集中することが必須となる。
    • 防衛戦ムービーでもマックのポスターが貼られた建物ごとパンチだけで粉砕するなど、ますます人間離れしている。つまり建造物損壊罪である。

だがパターンであることに一切変わりはないので、動体視力さえついていければ何度も立ち向かっていくことで必ず打開への道を見いだせるだろう。

死闘の末両周でのラスボスであるサンドマンまでを再び倒すと、3敗するまで相手に立ち向かっていくエンドレスサバイバル「ラストスタンド」に突入。

  • 文字通りマックの引退をかけた最後の戦いなので3回負けるとエンディングとなり、そのファイルでは二度と「チャンピオンシップ」での対戦ができなくなる
    • ラストスタンドの成績も隠し要素に関わっている。
  • ラストスタンドの試合中ではポーズメニューでの試合中止・再スタートができなくなる他、WiiリモコンのHOMEボタンも押せなくなる。負けそうだからと言って逃げることはできないのだ。一応ゲーム機自体の電源を抜けば…逃げることはできないのだ!
  • 出現する相手は基本的にランダムだが、ここに一人出身・年齢・身長・体重・戦績の全てが不明の謎の隠しボス選手が追加されている。
+ その正体

正体はなんとドンキーコングであり、彼は初見殺しに特化したファイトスタイルを持っている。
ドン・フラメンコと同じ「挑発からのカウンター」が主だが、さらに「挑発中にとったプレイヤーの行動で攻撃パターンが分岐する」という個性があるため、パターンの特定がとても難しくなっている。
なお、ドンキーの姿を見る前に3敗(引退)してしまった後でもエキシビションモードに選手として追加されるので安心されたし。

  • モーションは完全にゴリラのそれであり、ネクタイが顔に張り付いて慌てたりインターバル時にバナナを食べてゲップをしたりとコミカルで作りこまれている。声優はシリーズおなじみの長嶝高士氏でBGMのアレンジも『スーパードンキーコング』風。
    • インターバル時にセコンドから「手こずるようなら俺が配管工を呼んでやる」と冗談を言われるなどのネタ要素も。
    • プレイヤーからはスマブラでやれ」と好評(?)であった*30…が、『for 3DS/Wii U』でファイターに昇格し、見事に実現してしまった。

評価点

  • リモコンによる臨場感あふれるプレイ感覚。
    • コツコツとトライアンドエラーを繰り返して強さを身に着けていく原作譲りのプレイ感にWiiリモコンとヌンチャクによる体感性が加わり、よりリアルなボクサー体験が味わえる。Wiiならではの強みがこの上なく活かされた作りとなっている。
    • 特にバランスWiiボードでの体感プレイの臨場感は抜群に高く、このゲームで運動するということも可能。
    • また、ファミコン時代を模した横持ち操作も可能なので、体感プレイが体力的にキツい、操作性に煩わされたくないというプレイヤーでも楽しめる。
  • FC版からのゲーム性の向上。
    • FC版ではダッキングや左右スウェーの使い分けが意味を成していなかったが、本作では特定方向に回避しなければ食らってしまう攻撃が追加され、回避動作の使い分けの重要性が増した。
      • ダッキングの操作も下2回入力から1回入力に変更され、使いやすくなっている。
    • スターパンチのシステムが見直され、ストックして連発できなくなった代わりにタイミング次第で一発ダウン・一発KOを狙えるようになり、「相手の攻撃パターンを読み、合間を縫ってこちらの攻撃を決める」という基本システムを一層際立たせるものになった。
  • 個性的な対戦相手の数々は健在。
    • 前作まであったコンパチが周回分け以外に一切なくなっている。
  • 対人戦は本編とはまた違った心理戦が繰り広げられる。ギガ・マックに変身してもデメリットは残るので、常に気を抜けない。
  • 良曲揃いのBGM
    • 試合中のBGMはFCでも流れた曲のアレンジで各サーキット、さらにチャンピオン戦ごとに異なったアレンジがなされている
    • 「エキシビション」モードで流れる対戦相手をイメージしたアレンジ曲も良曲、こちらも各選手たち全員に用意されている。中には出身国に合わせたものも。
      • 1体分のトロフィー条件をコンプリートするとそのキャラクターのサウンドモードが出現、そこからでも聴くことができる。従って全キャラクターのBGMを聴きたいのであれば全員分をコンプリートしなくてはならない
        ちなみにマックのテーマ曲は各サーキットのテーマ曲になっている。ギガ・マックも対人戦のテーマ曲として用意されているが、残念ながら各チャンピオン戦の曲は未収録となっている。
  • 挑戦者編のスタッフロールもちょっとしたミニゲームになっており最後まで飽きさせない作りになっている。
    • 内容は誤字やスタッフ名に紛れてるパンチアウトの選手たちの名前を見つけ出し、得点を稼ぐものとなっている。
  • ファミコン版を始めとした過去作からの再現要素が随所に見受けられる。
    • ダウン時や復帰時にファミコン版を意識したようなコミカルなSEが鳴るグラス・ジョーや、やけにスターパンチに弱いフォン・カイザー、ダウン時に極端に吹き飛ぶグレート・タイガーやソーダ・ポピンスキー、攻撃時に拳を掻き回したり頭を上下させたりするボールド・ブルなど、原作を知っていれば知っている程ニヤリとする小ネタが盛り沢山。
      • 終盤の相手となるポピンスキー・ブル・マッチョマン・サンドマンの並びも「FC版後半の鬼門とシリーズおなじみの強敵が揃い踏み」「旧作のコンパチ関係キャラの連続」など、過去作の要素を取り入れた山場にふさわしい人選となっている。
      • ほぼ完全な別キャラになってしまったアラン・ライアンも、チョコマカと左右に動き回る基本動作はサイドステップを多用していたSFC時代に通じており、2周目のグローブとトランクスのカラーリングはコンパチ元キャラだったピストン・ハリケーン、タメ無しの頭突きの挙動はマスクド・マッスルを彷彿とさせるものとなっている。

問題点

  • メインゲームはやりごたえバツグンだが、クリアまでの総合難易度は元はFC時代のゲームとはいえWiiのタイトルとしては相当高いものとなっている。
  • 対して育成などといった「やりこみ要素」には非常に乏しく、理論上は数時間で各要素を完全クリアできてしまう。5,800円のWiiソフトであることを考えるとボリュームが少ないという意見はあり、対人戦がWi-Fi対応でない事が非常に悔やまれる。
    • 対戦できるキャラクターは14人(とパワーアップ版の13人)であるが、FC版でも11人(とパワーアップ版の3人)であった。FC版が20年以上前のゲームであることを考えるとちょっと寂しい。
    • タイムアタックのやりこみには向いたタイトルであると言えるか。
  • そこまで気になるほどではないが、試合後のファンファーレはどのモードでもキャラクターテーマのアレンジの物で少々不自然。
    • 実は没BGMとして各サーキットBGM版のファンファーレがROMの中に残っている。サーキットBGMはメインゲームで聞けるのに何故ファンファーレは使用しなかったのか…。
  • ボクシングゲームと言うことで仕方ないかもしれないが、ダメージを深く負った選手の顔面がかなりエグい。
    • FC版でもインターバル中に選手の顔面へのダメージ表現が見られた。表現力の上がったWii版では試合中の選手の顔も傷だらけになるのだが、キャラクターによってはかなり凄惨な事になっている。
    • 絆創膏を貼ったり髪やヒゲがボサボサになるだけのキャラもいれば、青アザやコブだらけになったり歯が折れたりなど初代『ストリートファイターII』の負けグラフィック並みにエグい表情になっているキャラクターもいる。
  • 国籍豊かなメンツのセリフに対応した字幕がなく、字幕があるのはセコンドのドックだけになっている。
    • そのため各キャラクターのセリフはリスニングで聞き取るしかない。日本語のホンドーは問題ないし、英語圏のキャラクターが多いのは幸い*31だが、フランス語やドイツ語のように大学の選択科目にあるような言語はともかくトルコ語(ブル)やヒンディー語(タイガー)などカルチャースクールでの修得が必須な言語もあるので全部聴きとるのは難しい。
      • 「Mon docteur a déclaré que tu es mauvais ... pour ma santé.(僕のお医者さんが忠告したんだよ…君と戦うのは健康上危険だとね。)」(ジョー/フランス語)
      • 「Мой любимый напиток это победа!(俺が好きな飲料は勝利と言う名の美酒だ!)」(ポピンスキー/ロシア語)
    • といった具合にインターバル時にはキャラクターに沿ったユニークな発言もあるので、やはり相手側の台詞にも翻訳の字幕は欲しかったところ。
    • 説明書に辞書が付属していたFC版の一般販売版のような配慮もない。ドッグのセリフに字幕がある点はFC版と比べて配慮されている点だが。
    • キング・ヒッポーに至っては既知の言語すら話さなくなってしまった。架空の国に属する以上演出としては妥当なのだが、FC版では「トランクスは特注品なんだよ」「早く帰って飯が食いたい」等といったやはりユニークな台詞を発していただけに勿体なく感じられる。

総評

演出・デザイン・そして攻略全てにこれまでの全シリーズ作品のテイストを引き継いだ、値段の割に少々小粒ながら質の良いリメイクである。
当然、昔ながらのプレイ感覚をほとんど再現しきった上で拡張しているので、その手の硬派なゲームが好みであれば勧めるに足るゲームだ。


余談

  • 北米では30万本以上と、同国で発売された『モンスターハンター3』初動並の売上本数を記録している。
    • また北米のクラブニンテンドーの2009年度プラチナ会員限定特典として、本作のスピンオフであるWiiウェア『Doc Louis's Punch-Out!!』が配信されていた。
      • タイトルの通りドック・ルイスと3段階の難易度でスパーリング対戦できる内容になっている。
        例によってスパーリング中にも関らず時々チョコバーを見せびらかして回復する。これはソーダ・ポピンスキーのソーダと同じような扱いで食べられればドックが回復、阻止すれば逆ギレされる。
      • 高難度だとドックも一撃ダウン技としてスターパンチを披露してくる。
        さらにこのモードで回復を阻止すると派手なコスチュームになりパワーアップする。
  • 本作をROM解析すると、防衛戦インターバルのピストン・ホンドーが読んでいる諺などの書き込みが確認できる。
    • 実はセーラームー○と思しき漫画を読んでいたことが判明する。*32
  • 大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』に参戦したリトル・マックは本作準拠。対戦モードで見せた「ギガ・マック」にも最後の切りふだで変身できる。
    • それに伴い本作の登場キャラクターの一部が鑑賞フィギュアとして、ファミコン版の切り抜きが名作トライアルとして収録されている。
    • カラーバリエーションとして『スーパーパンチアウト!!』版やカットシーンでのジャージ姿、そしてアーケード版準拠のワイヤーフレーム姿という最多のモデル数を持っている。
  • 2023年公開の映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』にて、作中に登場する多数の任天堂ネタに混じって本作も序盤とクライマックスに登場するブルックリンの店舗「ピッツェリア パンチアウト‼︎」として登場。店内には本作のデザインを元にした*33キャラクター達の写真が所狭しと飾られている。
    • リトル・マックをはじめ、本作で戦った各国の選手たちの写真*34もたくさんある。作中のシーンの非常に細かいところにも別の選手の写真があるため、もしかしたら全選手を網羅している可能性がある。ブルックリン出身のディスコ・キッド(挑戦者編)の写真も滅茶苦茶細かいがちゃんとあった

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最終更新:2023年11月16日 15:03

*1 本作発売当時は任天堂プラットフォーム以外のソフトの開発も手掛けていたが、2014年に任天堂のセカンドパーティとなり、2021年3月に任天堂が同社の全株式を取得したことで任天堂の完全子会社となった。

*2 SFC版では彼をセルフオマージュしたガビー・ジェイが代役を務めている。

*3 ちなみにこのキャラクター名の綴りが"Joe"であるのに対し、顎を指す英単語は"jaw"と違う。

*4 試合前ムービーにて彼は子供達にボクシングを教えていたが、子供達の悪ふざけで取り囲まれてめった打ちにされ、そのままKOしてしまった様子がえがかれている。

*5 ディスコ・キッド同様にブルックリン出身の黒人選手。中盤に登場する相手で、グラフィックはグラス・ジョーのコンパチ。

*6 ヒッポー戦で相手ダウンBGMが聞けるのはここのみである。

*7 ドックのヒントで「スターパンチのデザートをごちそうしてやれ!」というセリフから、今作のヒッポーからスターが獲得できることが暗示されている。

*8 元をたどるとAC版のピストン・ハリケーンをアレンジした選手でもある。なお、「ホンドー」は作中では一貫してカタカナ表記であり、漢字は不明。

*9 旧作では両手のオープンブロー(平手打ち)のような動作であったが、本作ではちゃんと相手を締め上げる動作になっている。

*10 FC版にもカルメンへの愛を語る台詞が存在していた。

*11 FC版ではプレイヤーが優勢に進めた状況でインターバルに入るとヅラが取れた姿が確認できる。

*12 あくまでSFC版『スーパーパンチアウト!!』基準での話であり、当時でもクリンチを仕掛けて延々しがみつき、振りほどかれるや否やアッパーで追撃してくる卑怯者であった(クリンチが解かれた直後の攻撃は反則であり、これはAC版1作目に登場するピッツァ・パスタが元ネタ)。しかし同作では前述のハッガーに加え、飛び蹴りをかますドラゴン・チェン(AC版2作目が初出の香港のブルース・リー似のカンフー使い)、頭突きや毒霧攻撃をしてくるマスクド・マッスル(メキシコの覆面レスラー)、長髪を振り回してくる平家陽炎(日本のオカマボクサー)、ボールを投げてくるマッド・クラウン(イタリアの巨体ピエロ)、杖で殴ってくるホイ・コーロー(中国の老武闘家)、エルボーを使うブルーザー兄弟(最後に順番に戦う出身地不明のスキンヘッドの巨漢双子)が立ちはだかる無法地帯と化しており、それらに比べれば十分に正統派である。

*13 AC版『スーパーパンチアウト!!』のみ名前が「ウォッカ・ドランケンスキー」であった。

*14 通算6回ダウンさせるとその一滴すらも出てこなくなり、困惑しながら力尽きて10カウントを迎えるというKOシーンを見ることができる。

*15 よく誤解されるがAC版の『スーパーパンチアウト!!』のみ欠場であり、シリーズ皆勤賞ではなく精勤賞である。

*16 主に海外のみでの稼働だったが日本でもごく一部の店舗でもおかれていた。

*17 マッチョマンの攻撃が決まるとブーイングが聞こえる。しかし女性人気は高いようだ。

*18 試合前のムービーにて。なおこれ以外のイントロは4枚のスライドショーなのに対して、挑戦者編サンドマンだけはこれまでの相手選手がKOされる様子を一人ずつ写した特別仕様。

*19 海外版説明書および日本語版のプロフィールより。海外版のゲーム中では28歳・230パウンド(約104kg)と書かれているが、これはサンドマンのプロフィールがスーパー・マッチョマンのものになっているというミスがあったため。

*20 1周目では全員マックの事を見くびっていたが、2周目では全員マックの事を強敵と認め、鍛錬を重ね全力で挑むという設定がある。中にはマックへの恨みや嫉妬で怒り任せに準備を重ねているキャラクターもいる事がそのキャラクターの試合前のデモで分かる。

*21 ただし空元気だったようで、勝利後での戦歴表示画面でのカイザーはいつにも増してガタガタ震えている。

*22 顔の前で糸巻きの手の動きを持続させる運動。ビリーズブートキャンプなどではお馴染みの動き

*23 これはAC版『スーパーパンチアウト!!』の実写ポスターが元ネタ(色は本作とは違い赤)と思われる。

*24 路地裏に貼られたマックのポスターすら見るだけで顔を真っ赤にしてポスターを無理矢理ひっぺがしヒステリックにビリビリに破り散らしている様子が防衛戦での彼のムービーとなっている。

*25 試合前ムービーにて、穴が開いて使えなくなったグローブを捨てようとした際にゴミ箱からロープを見つけ、この凶器の製作を思い付く様子が描かれている。

*26 一応、2ラウンド目には開始前からマックを攻撃しようとしたアランを制止しているが、彼に吹き飛ばされてしまう。本人は無事ではあったものの、このような仕打ちを受けてもなおアランを反則負けにしようともせず、何事もなかったかのように試合に立ち会っている。

*27 一般販売されたファミコン版でマイク・タイソンとタイアップしており、氏本人がラストボスとして出演していた。肖像権や晩年の関係からバーチャルコンソールではMr.ドリームとしてキャラクター変更された海外版後期ロットが採用されている。

*28 こちらはダッキングでなければ避けられない。

*29 厳密には、3~5発ほど連続でアッパー、小休止を挟んで息を整えた後またアッパー連打…といった流れを3回繰り返してくる。小休止の時は一歩下がるので、こちらの攻撃は当たらない。

*30 マックは本作発売前に『スマブラX』でアシストフィギュアとして出演していた。

*31 ただし、その中でもアメリカ英語カナダ訛りのベア、イギリス英語アイルランド訛りのアランのように、訛った話し方をするキャラクターもいるので聞き取りの際は注意。

*32 実際の漫画版のとある場面と一致する箇所がある。

*33 グラス・ジョーはだいぶ美化されている。

*34 本作では描写されていないマック以外の選手同士が戦っている写真もある。ブルvsホンドー、フラメンコvsカイザー。