名探偵コナン&金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵

【めいたんていこなん あんど きんだいちしょうねんのじけんぼ めぐりあうふたりのめいたんてい】

ジャンル アドベンチャー

対応機種 ニンテンドーDS
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 スパイク
発売日 2009年2月5日
定価 5,040円(税5%込)
判定 良作
名探偵コナンシリーズリンク
金田一少年の事件簿シリーズリンク


概要

『名探偵コナン』と『金田一少年の事件簿』。二大推理漫画の主人公が共演するクロスオーバー作品。
両作を看板作品とする「週刊少年サンデー」と「週刊少年マガジン」の創刊50周年記念企画として制作された。
シナリオは後に『ダンガンロンパ』シリーズを手掛ける小高和剛氏が担当している。


あらすじ

25年前に鉱山から金塊が発見されたことをきっかけに、南国の観光地として賑うようになった夕闇島。
この島では「神隠し」が起こるとの噂が流れていた。数日後に神隠しから戻った者は、「もう一つの夕闇島」を見たと言う。

江戸川コナンと金田一一、二人の少年探偵がそれぞれの理由で夕闇島を訪れた時、事件の幕は上がる……


システム・特徴

  • 本作ではタッチペン操作メインで進む。基本は下画面の「聞く」「移動」「しらべる」「キーワード」「?」のコマンドから状況に合ったものを選択する。
    • 「聞く」は現在周囲にいる人物との会話。状況に応じて聞ける内容が増える。
    • 「移動」はそのまま島内の移動。状況に応じて移動できる場所が制限される事もある。
    • 「しらべる」は通常は周囲を観察するだけだが、特定の場面では画面内をタッチして調査することが出来る。
    • 「キーワード」はこれまでに登場した人物、証言、証拠を確認できる。捜査を進めると内容が書き換わっていく。内容はコナンサイドと金田一サイドで別々になっている。
    • 「?」は状況に応じて変化する汎用コマンド。「探偵バッジ」「腕時計型麻酔銃」などのコマンドが出る。
  • 基本コマンド以外にストーリー進行に応じて以下のような選択が発生する。
    • キーワード選択:今まで入手したキーワードの中から適切なものを選択する。
    • キーワードミックス:異なる2つのキーワードを選び、2つの関連性を洗い出す。トリックの解明などに使われる。
    • 証言選択:『逆転裁判』のムジュン指摘のように、証言の中からおかしいと思われる箇所を選択する。
    • フローチャート:犯人を告発する際に登場する。事件の関連図に入手したキーワードを当てはめていく。全て正解すれば推理ショーに進める。
    • 選択肢を間違えるとロジックポイントが減り、ポイントがなくなるとゲームオーバーとなる。また、通常の選択肢の際にはコナンや金田一のアイコンをタッチすることで「ひらめき」が発生し選択肢を減らしてくれるが、この行動でもロジックポイントを消費する。
  • 全7章で、江戸川コナンと金田一一が交互に主人公となって進行。最終章はコナン編と金田一編の両方が用意されている。
    • 一度プレイした章はタイトルのセーブデータメニューから何度でもプレイ可能。
  • BGMは、アニメの曲は使用せず全部オリジナル。
    • ただし、OPのみアニメ『名探偵コナン』のメインテーマを意識したような雰囲気の楽曲が使われている。
  • キャラクターボイスはなし

評価点

  • 序盤、夕闇島にいるコナンが捜査を進めている一方、金田一と剣持警部は神隠しにあってしまい、もう一つの夕闇島から戻れなくなってしまう。偶然拾っていた少年探偵団バッジの通信機能により情報を交換しつつ事件の謎に迫っていく。
    • それゆえに2人で1つの事件に挑む展開ではなくなり、おたがいに出しゃばりあう事がないのは好印象。
+ ...
  • 最終章こそ2人で1つの事件に挑む展開になるが、前述の通り章初めにコナンメインor金田一メインかを選択出来る為、もう片側はサポートに徹してメイン側を上手く引き立てるシステムになっている。
  • 大勢の原作キャラが登場するが、原作のイメージ通りの描かれ方をされており、きちんと見せ場が用意されている。
    • また、「神隠し」によってキャラクターが引き離されたということで、江戸川コナンと明智警視、金田一一と少年探偵団の3人組といった原作の枠を超えたキャラクターの組み合わせでシナリオが進行する。
    • 少年探偵団3人の活躍が珍しく事件解決のヒントになったり、明智警視から爆弾解除のやり方を教わったりといったシーンも存在する。
  • オプション設定でメッセージで漢字のふりがなを表示できることからも判るように、年少者向けの簡単な難易度設定がなされており、推理の難易度は低い(推理はゲーム内でコナンや金田一が行い、プレイヤーが選択する前にほとんどのヒントが示される)。爆弾解体シーンやスケボーでの移動シーンと言ったミニゲームも挿入されている。
  • 各章ごとに起こる事件は「25年前の惨劇」と呼ばれる事件が発端となっており、コナンと金田一は事件を解決することで徐々に島に隠された忌まわしい過去の真相を明らかにしていく。
    • 犯人側も、「25年前の惨劇」の復讐の舞台を整える為に時間を掛けて今の地位を築き上げ、そして大掛かりな復讐劇を成し遂げている。目的は「復讐」に染め上げられており、「コナンと金田一の競演」に相応しい犯人といえるだろう。

賛否両論点

  • キャラが増えた事による弊害
    • 二作品のキャラが揃い踏みしている都合上、毛利小五郎や剣持勇、少年探偵団の面々等「推理ミス役や話を動かすためのお邪魔キャラ」も揃っている。
      • 話を動かす上で大事なキャラではあるし、原作通りでもあるのだが、推理ミスキャラが増えるのは少々ウザくもある。

問題点

  • あまりにも子供向けな謎解き要素
    • 前述の通り年少者向けの難易度なので、謎解きは人物関係や人名を覚えておけばいい程度、トリックも子供だまし、小学校低学年かそれ以下向けの子供だましの暗号ばかりと簡単すぎる物ばかり。
      • コナンはまだしも*1金田一に関しては中高生から大人がメインターゲットの重めの人物関係主体の作品であり、そちらの原作ファン層的には物足りないにも程がある。
      • 加えて、謎解きがそういった内容である為、コナンが暗号を解いた際の「こんな子供が謎を解いたのか」という驚きもむしろ大人たちがバカ過ぎるとしか思えない。どちらかといえば子供向けのコナンでさえ、原作では大人でも悩むレベルの暗号を扱っており、コナン以外が解けないのも頷けるようにはしている。
        あるいは「作中ではもっと難解な謎解きをしているが、ゲーム補正によりプレイヤー目線では簡単なものになっている」と考えた方が、シナリオ的には自然かもしれない。
    • とはいえ、原作通りの謎解き難易度を誇っていたら子供どころか大人でも解けずに困るレベルなので、多少は仕方ない面もある。また、謎解きで下手に詰まることなく、さくさくとゲームを進められるとも言える。
  • 一部ミニゲームの難易度
    • 謎解きが上記のような低難易度の一方、ミニゲームとして挿入される爆弾解体ゲームは大人でも少々手こずるレベル。制限時間内にタッチペンで細かい操作(分かりやすく言えば電流イライラ棒)をやらされ、更に左右にぶれる表記が枠内に入るタイミングでタッチする(しかも直前で戻ったりする)等、ストレスの溜まるミニゲーム。
      • クリア出来ないと先に進めないので、タッチペン操作が苦手なプレイヤーには厳しい物がある。しかも、パッケージにはアクション操作が要求されるミニゲームが存在する事が描かれていない為、アクション要素の存在を知らずに買ってクリアできずに困った人もいた。
  • ADVとしての基本的なシステム部分の問題
    • バックログ機能がない。
      • あらすじや登場人物・キーワードの説明、人物相関図等現時点のシナリオを追う為の機能はあるので、その点では問題ないが、メッセージ送りミスをした時に直前の会話も見れないのはやはり不便。
    • メッセージスピードの調整が不可能。
      • サクサク読み進めようと思うとBボタンやRボタンで表示を早める必要がある。一々早めるのは手間だし、送りミスの原因にもなりやすい。
    • 漢字にはフリガナがふられて子供にも読みやすくなっているのだが、通常メッセージがON/OFF出来るのに対し、手紙シーン等のムービーシーンではフリガナ有のみでOFFには出来ない。不要な人には邪魔となると判断してのON/OFFだと思われるが、片手落ちになってしまっている。
    • 他にも「?」コマンドが変化した時やフローチャートを解く際など毎回同じ説明が入るため鬱陶しく感じる。
  • 原作を考えると不自然な点
    • 剣持警部が感情的になりやすい部分ばかりピックアップされており、本作中ではやたらと感情に任せて暴走する。
      • 原作でも「剣持警部の殺人」などでは感情的になるシーンはある。だが、流石に本作はやりすぎの領域になってしまっておりうざすぎるし、原作ファンからすれば違和感が強い*2
    • コナン原作でもよく使われる「犯人追跡メガネ」の物語上での使い方がおかしい。
      • 少年探偵団の探偵バッジの在処も分かるのだが、たまたま拾って持っていた金田一が神隠しに会った際は追跡メガネで位置を調べようともしない。今回は追跡メガネがないのかと思いきや、少年探偵団が神隠しに遭った際はしっかり使用して場所探しをしている。結局充電切れになってしまい、それ以降出番はない。
      • 金田一が最初に拾ったバッジは壊れてしまい、少年探偵の物は神隠しに遭った際に手放してしまっている。その後、神隠しに遭うと思われる人物に仕込んで再度金田一の手に渡る事になるのだが、その人物の行先も、手に取った金田一の居場所もやはり探さない。充電が切れてから先については充電する為の道具がない可能性もあるがそういう説明はない。最初金田一を追跡メガネで探さなかった理由は特に説明がない。

総評

コナンと金田一への原作愛がしっかり感じられる、キャラクターゲームとしては非常に素晴らしい出来の一品。
シナリオも、「25年前の惨劇の謎」を軸に据えることで最後までプレイヤーを飽きさせない。 難易度が低い点は本格的な推理を期待しているファン層にはやや食い足りないが、その分、コミックを見ている感覚でさくさくと進行できる。
コナン、金田一双方のファン、そして両作品に触れるのが本作初という推理ゲーム初心者にもお勧めできる作品である。


余談

  • 両作品での漫画・アニメと同様に殺人を扱った推理作品だが、CEROはAである。
    • ライターの小高氏によると、これは製作時の要望で意識的にそうしたものであるとのこと。この制約の中で推理物として成立させるのに難儀したという。
    • もっとも、作中ではかなりの数の人死にが出ており、CERO:Aで良いのか?と思わなくもないが、殺害方法等の関係でCEROはAに収まった。
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  • タグ:
  • DS
  • 2009年
  • ADV
  • バンダイナムコゲームス
  • スパイク
  • 名探偵コナン
  • 金田一少年の事件簿

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最終更新:2024年04月01日 13:54

*1 こちらも幅広い年齢層に人気がある作品ではある。

*2 原作では冷静に金田一をサポートするポジションであり、警部として冷静に判断を下す事がほとんどである