ルパン三世 パンドラの遺産

【るぱんさんせい ぱんどらのいさん】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ナムコ
開発元 トーセ
発売日 1987年11月6日
定価 5,500円
判定 ゲームバランスが不安定
ルパン三世ゲームリンク


概要

アニメ『ルパン三世』の劇場版『ルパン三世 カリオストロの城』の後日談となる横スクロールアクションゲーム。
ルパン・次元・五右衛門の三人の何れかを操作し、攫われたクラリスを救い出すのが目的。

システム

  • 操作キャラはルパン、次元、五右衛門の3人から選ぶ選択制
    • ステージ開始時、アイテムのトランシーバーを使った際に別のキャラへと任意の交代が可能。ダメージを食らってアウトになると強制で交代。
      • ルパンは接地時にしか攻撃が行えず、連射もできず、射程も短いが、唯一各種のアイテムを使用できる。
      • 次元は射撃の名手という部分を取り入れ、ルパンと異なり攻撃が連射可能で、弾が画面端まで届きジャンプ中でも攻撃可能。
      • 五右衛門は斬鉄剣の為至近距離しか攻撃できないが、代わりに攻撃力が高く、他の二人ではかなりの弾を撃ち込まないと倒せない敵もあっさり倒せる。また銃が通用しない敵も撃破可能。
  • 体力はなく、敵に触れる、敵の攻撃に当たると一発でアウト
    • ただし死亡ではなく「敵に捕まった」という扱いになる為、ステージ内のどこかに監禁されており、その部屋に入れば助ける事が出来る。また、ステージ開始時には三人が揃った状態で開始される。
    • 「時間をかけすぎると出現するペナルティキャラ」として銭形警部が存在しており、銭形警部に当たる、もしくは銭形警部の投げる手錠に当たると捕まってしまい、そのステージ中は助ける事も不可能になる。
      • ただし、銭形が出てくると雑魚が一切出なくなるので、敵の多い場所でわざとモタついて銭形を出して一気に駆け抜ける、というハイリスクな戦法も一応可能。
    • ルパンのみ使用可能な「防弾チョッキ」は所持数分だけ敵の攻撃を防いでくれる。
  • 道中には多数の扉や道があり探索要素もある
    • 扉は別のマップへの入り口、アイテム部屋や捕まった仲間の部屋への入り口、入ってもすぐ出てくる何もない扉の3種類。
      • 中に何もない扉は十字キーを押しっぱなしにする事で無敵を維持できるので、一時的な退避要素。
  • コンティニューは何度でも可能
    • 死んだステージの最初からスタートとなる。

評価点

  • 原作を尊重したゲーム化
    • 本作はしっかりと原作の要素を取り入れており、上記の通り三人は原作の個性を活かした性能になっている。
      • ルパンでないと手詰まりになる場所もあり、「攻撃力が高い=便利」というわけではない部分も良い点。
    • 原作でも度々ルパン一味が捕まり救出する場面はあったが、それを一種のライフシステムとしてゲームシステムに上手く取り入れられている。
      • 銭形に捕まった際には通常よりペナルティが重いというのも納得の設定。
    • 序盤に登場するアサシンはカリオストロ伯爵が差し向けた刺客にそっくりだし、屋根から屋根へ飛び移る場面もちゃんとある。
    • 飛行アイテムとして御馴染みジェットパックも登場。
    • ステージ1における屋根伝いに飛び移っていくシーンは、原作で城の屋根から屋根を飛び移っていくシーンの再現であり、急こう配な屋根を一気に駆け下りて飛び移るスリルが再現されている。
      ステージ4のフィアットステージも原作に多いカーチェイスの一環。
  • 実は高いビジュアル力
    • ゲーム開始時に出るクラリスや、セレクト時の三人の顔などは当時としてはかなり出来がいい。
  • 少ないながら台詞も多彩
    • 交代時や捕まった時、各ステージクリア時の台詞はしっかりと各キャラのらしさが出ている。
      • 他のキャラがつかまってしまった時のルパンは「ありゃま、どったの」、トランシーバーで交代するときの五右衛門は「せっしゃにはあわぬ」。
    • EDも誰でクリアしたかで台詞が変わる凝りよう。

問題点

  • 操作性がいまひとつ
    • 慣れるまでは思ったように動いてくれず、結果、最初の内はしばらく思ったように動かずに1ミス、という事になりやすい。
      • 特にステージ4前半のフィアットは加減速は出来ても止まれない為、かなり面倒。
  • 1ミスで捕まってしまう為、全体的に難易度は高め
    • 「ミスして捕まっても助け出せば良い」という前提で作られている為、1ミスでアウトの割には敵の数が多く、初見殺しも多い。
      • とはいえ、道中で扉をくまなく調べていけば大抵は捕まった仲間を発見でき、アイテムも多数手に入るので、それらを活用すれば道中に関してはある程度はどうにかしやすくは作られている。(後述のとおりステージ4は別)
    • スコープを使うと発見できる罠に引っかかってしまうと画面全体に空から物が落ちてくるようになるので、扉に入ってやり過ごさないと対処は面倒。
      • 発見する為のスコープはしっかり探索していれば十分な量が手に入るので、初見殺し、不注意へのペナルティという側面が強いが。
    • 特にボス戦や後半に入るステージ3からは敵の攻撃が激しくなってくるので、1ミスアウトがかなり厳しくのしかかってくる。
      • また、ボスは全てのステージを通して耐久値が非常に高く設定されており、銃弾を40発近く当てないと倒せないため慣れてくるとただただ時間がかかって面倒に感じやすい。
    • コンティニューがいくらでも出来るのは良いが、その際にはアイテムがすべてなくなってしまうのが痛い。
      • ルパンはアイテムを駆使してこその性能をしているので、アイテム部屋で補充するまではかなりの弱体化。
  • 鬼畜なステージ4
    • まず前半の砂漠ステージが操作性の悪いフィアット面であり、ここでかなりコンティニューした人も多い。
      • 止まれない車を操作して水場を飛び越えたり、足場から足場へとジャンプするだけでも面倒だが、それに合わせて空から鳥が爆弾を落としてきたり、五右衛門の斬鉄剣でないと壊せない岩が転がってきたりとジャンプに集中させてくれない。
      • 下記、ピラミッドで死んだ際にこの砂漠からやり直しなのも辛い。
    • そして最も厄介なのが迷宮になっているピラミッド内部。
      • 2D画面なのだが、立体的な構造になっており、色々な所がしっかり繋がっている。
      • 開発もプレイするだけでは分からないと判断したようで、説明書にどういう画面構成になっているかをしっかりと説明している。画面から手前への道は表示されないので、T字路に見えて十字路という場所もある。ルールを理解した上でマッピングしないとクリアはほぼ不可能。しかも、似たような見た目のマップも多いので、マッピングもしづらい。
    • さらにピラミッドではアイテムを使用しないと進められない場所もあるので、ルパンが銭形に捕まるとその時点で詰みである。
      • 敵の攻撃も激しくなっており、銭形にルパンを捕まえさせない為にも出来れば他のキャラで進めて要所要所でルパンに交代するのが理想ではあるが、トランシーバーは有限。コンティニューした際にはピラミッド内部で手に入る分しかトランシーバーは使えないので、数は非常に少ない。
    • マッピングの手間がかかる=時間がかかると言う事であり、ピラミッド内ではまず銭形に追いかけられるのも辛い。
      • ラストステージなのでここで銭形に捕まるともうクリアまでそのキャラは使えなくなってしまう。
    • ステージ4自体が非常に長いのが原因なのか、ピラミッド後半では捕まったキャラが捉えられている部屋を全然見かけない。その為、進めながら助けるという事が出来ないのも難易度を上げている。
  • 全体で見ると寂しいボリューム
    • 全4ステージと、当時としてもかなりの短さ。
      • ステージ4でかなりの時間を要するのでプレイ時間はかなり長くなるが、やりこんだ上で最短プレイをするとかなり短い。

総評

ファンはもちろん、元ネタである「カリオストロの城」を知らなくてもACTとして中々に楽しめる点では良く出来たキャラゲー。
ただし当時のゲームでは良くあることとはいえ全体的に難易度はそれなりに高く、特にステージ4は非常に難しい。
プレイ時間を延ばすためとはいえ仕方ないが、全体的なボリューム含めもう少し遊びやすければよりよかっただろう。


余談

ちなみに本作のタイトルのパンドラは神話に出てくる女神ではなく、「カリオストロ公国の財宝を隠した女性」の名前。

+ タグ編集
  • タグ:
  • 1987年
  • FC
  • ACT
  • ナムコ
  • トーセ
  • ルパン三世

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年07月15日 18:25
添付ファイル