魂斗羅 Dual Spirits

【こんとらでゅあるすぴりっつ】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 256MbitDSカード
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 WayForward Technologies
発売日 2008年3月13日
定価 5,229円
判定 良作
魂斗羅シリーズリンク


概要

  • 北米では2007年11月13日発売。国内では2008年3月13日に発売された。
    • 魂斗羅シリーズの外注作としては、ゲームボーイ版『魂斗羅スピリッツ(開発:ファクター5)』以来、14年ぶりの作品となる。*1
  • 開発はアメリカのデベロッパー、WayForward Technologies。スポンジボブ、X-MENなどのキャラクター系ゲームを多く手がけている。
    • 現在ではゲームボーイカラーから始まったアクションゲームの名作『Shantae』シリーズを手がけたデベロッパーとしても知られている。
  • 音楽は魂斗羅マニアであり、チップチューンの世界では有名なVirtことジェイク・カウフマン氏が手掛けた。
  • 初代スーパー、スピリッツと同様の横スクロールのステージクリア型アクションシューティングゲーム。全9ステージ構成。
    • ただし難易度イージーでプレイした場合は、ステージ7クリア時点でエンディング。完全なエンディングを見るにはノーマル以上の難易度でプレイする必要がある
    • なお難易度はイージー、ノーマル、ハードの三種類。コンティニューは無限でなく、いずれの難易度も5回と有限。
  • 基本的システムは最大二つまで所持可能な武器など、「魂斗羅スピリッツ」を踏襲している。ただし、初期装備はマシンガンから初代の豆鉄砲に変更された。ボムと乱れ撃ちも廃止されている。
    • 代わりに、アーケード版「スーパー魂斗羅」のように武器が二段階パワーアップするようになった。いずれの武器も第2段階は非常に強力。
      また、Aボタンで装備中の武器を足元に置くこともできる。(第2段階の武器に対しAボタンを押した場合は装備と足元で第1段階の武器を分割する)
      • 難易度イージーに限り、すべての武器が最初から第2段階になっている。ただし、Aボタンで武器を捨てる操作はできない。
  • 登場する武器は、『魂斗羅スピリッツ』に登場したものとほぼ同じだが、一部性能が変わっている。
    • なお、マシンガンと第2段階のレーザー以外は全て手動連射が必要。ショットがフルオート連射でないのは魂斗羅シリーズでは久々であった。
+ 武器一覧
  • ノーマルガン
    • 初期装備。弾が小さく非常に頼りない。単発の威力はそこそこあり弾も速いため使い勝手自体は素直なので、装備を剥がされても最後まで諦めないこと。
  • マシンガン(M)
    • 本作ではこの武器のみパワーアップ段階を問わずフルオート高速連射。ノーマルガンよりやや大きな弾をまっすぐ連射するオーソドックスな性能の武器。第2段階では弾が2連装になり、威力が倍になる。
  • スプレッドガン(S)
    • 3方向に拡散する弾を撃つおなじみの武器。第2段階では5方向に拡散するようになるが、第1段階でも強みが分かりやすく扱いやすい。
  • フレイムガン/ファイアガン(F)
    • 第1段階は回転しながら飛ぶ火の玉を撃ち出すという初代や「ネオコントラ」のファイアボールのような外見だが、実質的には巨大弾として機能する攻撃。第2段階では着弾時に炸裂する、FC版「スーパー魂斗羅」のファイアガンに相当する性能の弾を連射できる。
  • レーザーガン(L)
    • 敵を貫通する短いレーザーを発射する。貫通ダメージがあるため、当たり判定の大きい敵に対して有効。第2段階ではレーザーが太くなり、マシンガンのようにフルオートで連射できるようになる。マシンガンやスプレッドと並び、ボス戦で有効な武器。
  • ハンターガン/ホーミングガン(H)
    • 敵を追尾するミサイルを発射する。第2段階では3発同時に発射するようになり、死角がほとんど無くなる。
  • クラッシュガン(C)
    • 着弾すると爆風を発生させる高威力のミサイルを撃つ。第1段階の射程は短いが、第2段階では画面端まで届くようになる。3D面では第1段階でも壁まで届く上に爆風の当たり判定も広いため、3D面での切り札になりうる。
  • スマートボム(無地)
    • 取った瞬間、画面内の敵を全滅させる。
  • バリア(B)
    • 取得すると、暫くの間無敵になり体当たりで敵を倒せるようになる。

本編クリア後にプレイできる「チャレンジモード」では、本編に登場しない特殊な武器を使うミッションも収録されている。

  • 試作武器
    • 5WAYになったハンターガンといった感じの性能。単純にハンターガンの上位にあたる武器であり、非常に強力。
    • 弾の形状がハンターガンとは異なり、小型の戦闘機のような形状をしている。
  • クラシックレーザー
    • ファミコン版「魂斗羅」と「スーパー魂斗羅」のレーザーガンを再現した武器。
    • 威力はそれなりに高いのだが、弾速が遅く、発射中にショットボタンを押すと先に発射されていたレーザーが消えるといった癖の強い点まで再現されている。*2
      状況によってはノーマルガンの方がマシというくらい使い勝手は劣悪だが、その点も含めFC版の同武器に対するリスペクトが感じられる武器。
  • 新要素として、DSの特性を活かした二画面ぶち抜き構成のステージ。全ステージが二画面を活かす事を前提としたデザインとされており、上画面からも下画面からも敵の弾が飛んでくる。
  • もう一つの新要素として上画面への移動手段の「グラップリングフック」。真上にワイヤーを伸ばし、上画面へ高速で飛び上がる。フックできる箇所は指定のバー、或いは天井に限られている。
  • 他に初代の3D面が復活。グラフィックも背景周りが3DCGで描かれ、真の意味で3Dステージへと進化したところが注目のポイント。
    • 3D面は3つ存在するが、いずれのステージも過去作品に登場したボスが登場する。
      + 3D面のボス達 魂斗羅 (FC)』からは「分幻鬼 ゴドムガー」と「天王創魔心 ゴメラモスキング」、『魂斗羅スピリッツ』からは「大覚ロボ ビッグファズ」が登場。攻撃パターン等も、それぞれ過去作を意識したものになっている。
      特にビッグファズは最期の「オチ」まで徹底再現…と見せかけて本作に合った形でひとひねり加えられており、熱いシチュエーションでの戦いを楽しめる。
  • ステージの敵配置は初代、スーパーを踏襲した雑魚戦主体の原点回帰が図られ、スピリッツやハードコアのようなボスラッシュは少なくなっている。
  • ゲームモードはメインの「アーケードモード」のほか、全40種類の課題を攻略する「チャレンジモード」がある。
    • 難易度問わず、一度でもゲームをクリアすれば出現。
  • 魂斗羅生誕20周年を記念した「ミュージアム」を収録。「チャレンジモード」の課題を攻略していくにつれ、FC版初代『魂斗羅』、『スーパー魂斗羅』が遊べるようになる。
    • ただし、いずれも海外版である為、『魂斗羅』のみ背景や演出が国内版と若干違う。
    • また、更にチャレンジを攻略していくと、シリーズプロデューサー中里伸也氏のインタビュー、新たなプレイヤーキャラクター(「キャラクターセレクト」の項目で選べる)、サウンドテストがオープンする。

評価点

  • DSらしい豪快なステージデザイン。二画面を最大限に活かすべく、仕掛けから敵配置まで「らしさ」を貫いた作り込みが徹底されている。
    • 特に上画面から下画面へと、目まぐるしく移り変わるステージ5の演出は必見である。
    • 二画面いっぱいに表示されるボスキャラもこの画面構成だからこその迫力がある。
  • 硬派な難易度。最も優しいイージーすら、生半可な腕では攻略不可な厳しさ。今時珍しい、アクションゲーム初心者お断りな姿勢を貫いている。
    • だが、決してクリア不可能でなく、繰り返し挑戦していく事で自然に乗り越えられるようになっていく絶妙な難易度設定。職人芸の調整が図られている。
    • 最近のゲームに少なくなった、困難に挑戦する面白さとそれを達成する快感を教えてくれる。
  • 素晴らしい操作性。タッチペン操作は単なるおまけ(メニュー画面の選択にしか使用しない)、メインはボタン操作。
    • DSのゲームにありがちな無理矢理さが無い。
  • 「チャレンジモード」も練習モードとして見事に機能していて、幾つかの課題を攻略できた頃には自然と腕が上達している。
    • 制限時間内に規定ポイントにたどり着く物から、撃ってはいけない民間人がうろつくステージを突破する物、ボス戦の練習モード*3など様々な課題が用意されている。
      • 中には、弾数制限が設けられているミッションや、チャレンジモード専用の装備で攻略するミッション、ステージ中に紛れた人面犬*4を全滅させるなどといった変わったミッションもある。
    • 魂斗羅(ゲーム本編で通用するプレイヤー)を養成するモードという意味で、「魂斗羅ブートキャンプ」「斗羅の穴」といった通称も生まれた。
  • 20周年記念作品に相応しい、ファンサービス。
    • 伝統のミサイル渡り、高速スクロールステージ、懐かしいボスの登場など、ファンなら感動必至な演出が充実している。
    • 「ミュージアム」で過去の魂斗羅シリーズの歴史をじっくり閲覧できるのも嬉しい。
    • 隠しキャラクターも、コアなシリーズファンほど嬉しい人選。『魂斗羅ザ・ハードコア』の「シーナ・エトランゼ」や『真魂斗羅』の「ルシア」と女性キャラ2名が用意されている他、『魂斗羅スピリッツ』のグラフィックそのままの「スピリッツビル」「スピリッツランス」*5や、欧州版魂斗羅の「プロボテクター」まで登場する。プロボテクターについては余談の項にて後述。
    • 音楽にも過去シリーズのフレーズが盛り込まれてたりなど、サービス精神旺盛。
  • 高品質のグラフィック。キャラクターの動きから背景描写まで、ドット絵の芸術とも言うべき職人芸が炸裂している。
    • 先述のスピリッツビル&ランスに至っては、原作に無かったロープの昇降アクションの為に、新しくグラフィックが描き起こされている。それほどの徹底ぶり。
  • 往年のコナミサウンドを髣髴させる、熱い音楽。ステージ1の曲など、名曲が多い。
    • ちなみにステージ1の曲はVirt(ジェイク・カウフマン)氏が2002年に「昔の魂斗羅っぽい曲」として発表したオリジナルのチップチューン「Vile Red Falcon」のアレンジ版である。この曲はVirt氏のサイトで聞くことが出来た。現在は公開を停止している点が惜しまれる。
      • 難易度ハードのみ、ステージ1の曲が初代『魂斗羅』のステージ1のBGMである「密林の戦い」のアレンジバージョンに変更される。
  • ゲームのボリューム。
    • ゲーム本編やチャレンジモード等のお楽しみ要素の数々に加えて、ファミコンソフト2本も収録されている事からボリュームも多く、5,229円でこの内容は太っ腹と言わざるを得ないだろう。

賛否両論点

  • 硬派過ぎる難易度。長所であり短所。前述の通りイージーでも相当難しく、アクションゲームが苦手なプレイヤーなら挫折しかねない。
    • ゴリ押しもほとんど効かず、「100万回死んでも諦めない」精神が無いとどうにもならない。
      • ミスしてしまうと装備していた武器は失われてしまい、その後しばらくは貧弱なノーマルガンでの攻略を強いられる。
        よほどノーマルガンでの戦いに長けていない限り、「武器を失ってしまったがために敵の物量に押されそのまま全滅」…という憂き目に遭う事も少なくない。
    • 今作の武器は2段階制になっているため、武器を失ってしまうとフルパワーアップまで時間が掛かりやすい。
    • 初代魂斗羅のように残機を増やす裏技も無いので尚更厳しい。
    • しかし、武器の能力を最大にまでパワーアップさせる裏技はある*6

問題点

  • 上画面と下画面を同時に見なければならないので、忙しい。
    • また、上画面と下画面の間に隠れた敵から不意打ちを喰らうこともある。しかし、意識して敵を先に倒しておけば大概、防げる。
  • 背景グラフィックは美しいが、彩度が落とし切れておらず自己主張がやや激しいシーンが散見される。
    • 滝の背景グラフィックは、敵の弾と同化してしまう事がよくある。
  • 中断セーブから再開するとコンティニューが1消費される。全9面をプレイするとノーミスで進んでいっても40分弱はかかる長さのため、外で遊ぶには適していない。
    • また、コンティニューの数を増やす救済処置もない。難易度を高くしている要因の一つ。
  • キャラクターが選べるが、基本的にどのキャラにも性能の違いは無く、プレイ感覚は同じ。*7
  • 本編自体にはクリアタイム計測などのやり込み要素が存在しない。(一応スコアは記録するが、無限に沸くザコを撃ち続ければ永遠に稼げるため数値的には無意味)
  • オプション画面がボイスのON/OFFとセーブデータの消去しかない。
  • 細かいところだが、日本版に限ってステージ開始前のデモの「STAGE○」のフォントの上部分が切れている。海外版では切れていない。
  • ミュージアムの一部の説明。
    • コントラ』の説明でブラックバイパーが初登場と書いてあるが、国内版では『コントラ』が初登場ではない。国内での初登場作品は実質本作である。
    • ミュージアムの『魂斗羅 ザ・ハードコア』の説明文が海外の基準を採用しているのか、シリーズ屈指の難易度と表記されている。
      • 国内版は体力制の採用により難易度が抑えられていて、ミュージアムで『ザ・ハードコア』を初めて知ると誤解する可能性がある。
    • 『真魂斗羅』に同梱されている『スピリッツ』のコミックが、『スピリッツ』に同梱されていると紹介されている。やはり初めて知ったファンは誤解する可能性あり。

総評

旧作への強烈なオマージュが随所に感じられるだけでなく、DSの機能を使用した演出まで取り入れ、すべてが高い水準でまとまっている魂斗羅シリーズの新作。
その妥協しない姿勢はゲームの難易度にも及んでおり、アクション初心者お断りなバランス調整であることによく表れている。
どこを見回しても魂斗羅であり、シリーズの熱烈なファンは最後まで安心して遊べる。
強いて難点を挙げるならば目新しさに欠け、新規ファンが手に取るには敷居がかなり高くなっている点か。


海外版『CONTRA 4』との相違点

  • 国内版と海外版には目立った差異は無く、基本的にどちらも同じである。
    • ただ先に問題点で挙げた、ステージ開始デモの「STAGE○」のフォントが海外版では切れていない。
    • また使用されている文字フォント全般も国内版とは違う。
    • そして、最後のエンディングのスタッフロールが海外版だと長い。

その後の展開

  • 2009年3月12日にベスト版が発売。現在の流通はこちらが主となっている。
  • また同年5月12日、Wiiウェアで『魂斗羅ReBirth』が配信された。
    • 今作と同じ外注作品だが、製作は日本。『グラディウス リバース』を手掛けたM2が担当した。音楽はさんたるること、並木学氏(発売当時、ベイシスケイプ所属)。
    • 外伝作品という事で、世界設定は共有していない。魂斗羅の呼び名も「CONTRA」ではなく、ローマ字読みの「KONTORA」とされている。
    • 今作の二段階パワーアップはそちらでは廃止された。しかし、ビルの掛け声「Let's Party!」や「It's Time For Revenge!」等は引き継がれた。それでも声優は別人に変更されている。

余談

  • 本作のビルとランスは少佐に昇進している。初代からスピリッツまでの万年上等兵からは脱却した。
  • ランスはキャラクター説明において「エイリアンが地球を襲う理由」を探っている事が示唆されているが、これは『真魂斗羅』への伏線になっている。
  • 隠しキャラの一人、プロボテクター(Probotector)について。彼だけ人間ではなくロボットなのだが、これには事情がある。
    • かつてのヨーロッパでは、テレビゲームでも人間が人間を殺害する描写がタブーとされていた。そのため、対策としてプレイヤーキャラをロボットに差し替え規制を逃れた……という経緯がある。
    • 「ネオコントラ」公式サイト(閉鎖済)のスタッフのコラムでも、上記の件について軽く触れられていた。(当時のアーカイブ)下記にその一部を引用。

      これはゲームの暴力表現に対する倫理規制意識が、かつての欧州では厳しかった事に由来する措置。
      人間殺しちゃダメだけど、ロボットならオッケーという訳である。

  • 2019年に発売の『魂斗羅 アニバーサリーコレクション』(Switch/PS4/One/Win)には、『魂斗羅スピリッツ』と『魂斗羅ザ・ハードコア』の欧州版が収録された。これにより、現行ハードでプロボテクターたちの活躍を拝めるようになった。
+ タグ編集
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  • 2008年
  • DS
  • ACT
  • コナミデジタルエンタテインメント
  • 魂斗羅

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最終更新:2022年02月01日 19:24

*1 日本未発売作品も含めた場合は『エコー・ザ・ドルフィン』で知られるAppaloosa Interactiveが開発した『CONTRA LEGACY OF WAR』(1996~97年、PS/SS)、『C:THE CONTRA ADVENTURE』(1998年、PS)が本作より前に発売されている。

*2 なお「先に発射されていたレーザーが消える」という点についてはAC版初代のレーザーガンも同じ

*3 このモードのみスプレッドガンが初期装備。

*4 文字通り犬のような姿をしたエイリアンで、『魂斗羅スピリッツ』にも登場した。

*5 海外版『CONTRA 4』では「Jimbo」「Sully」名義。

*6 ノーマル以上の難易度で、ポーズ時にコナミコマンドを入力すれば良い。但し、效果は1回限りで2回目以降はコマンドを入力すると自爆コマンドになるので逆に危険な代物になっている。

*7 一応、スピリッツビル&ランスはショットの高さが他のキャラより僅かに低い。だが、攻略難易度に影響するほどのものではない。